JPH11336192A - 木造軸組の接合法およびその接合具 - Google Patents
木造軸組の接合法およびその接合具Info
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- JPH11336192A JPH11336192A JP18322198A JP18322198A JPH11336192A JP H11336192 A JPH11336192 A JP H11336192A JP 18322198 A JP18322198 A JP 18322198A JP 18322198 A JP18322198 A JP 18322198A JP H11336192 A JPH11336192 A JP H11336192A
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- column
- girder
- splint
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- Joining Of Building Structures In Genera (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 木造軸組の柱と土台および基礎、並びに柱と
梁・桁・胴差を高強度・高剛性・施工容易・安価に接合
する。 【解決手段】 その断面の中央に長手方向にボルト貫通
孔をあけた添え木2を、柱1の上下端の側面、および梁
・桁・胴差10の材端の上面または下面に、高力接着剤
と大釘4で添設し、そのボルト貫通孔に、アンカーボル
ト6および普通ボルトまたは高力ボルト11を通して、
座金8をはめ、ナット9を締めて緊結する。さらにそれ
等の接合面に強力接着剤を塗布し、木造軸組架構をラー
メン構造とする。
梁・桁・胴差を高強度・高剛性・施工容易・安価に接合
する。 【解決手段】 その断面の中央に長手方向にボルト貫通
孔をあけた添え木2を、柱1の上下端の側面、および梁
・桁・胴差10の材端の上面または下面に、高力接着剤
と大釘4で添設し、そのボルト貫通孔に、アンカーボル
ト6および普通ボルトまたは高力ボルト11を通して、
座金8をはめ、ナット9を締めて緊結する。さらにそれ
等の接合面に強力接着剤を塗布し、木造軸組架構をラー
メン構造とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、在来軸組工法の木
造建築物の主要な接合部である、柱脚と土台および基礎
との接合、並びに柱と梁・桁・胴差との接合を、従来の
方法より遥かに高強度・高剛性で、しかも施工容易かつ
経済的に行なう木造軸組の接合法、およびその接合具に
関するものである。
造建築物の主要な接合部である、柱脚と土台および基礎
との接合、並びに柱と梁・桁・胴差との接合を、従来の
方法より遥かに高強度・高剛性で、しかも施工容易かつ
経済的に行なう木造軸組の接合法、およびその接合具に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】在来軸組工法の木造建築物の接合法の中
で最も進んだ現行の技術は、建設省住宅局監修・(財)
日本建築防災協会発行の「木造住宅の耐震精密診断と補
強方法」の中で推奨されている、図4および図5(A)
〜(E)に示す方法で、これは何れも柱と、土台および
梁・桁・胴差との接合を、T型金物15と釘16・羽子
板ボルト17・短冊金物18・かね折り金物19などの
補強金物を使用して結合する方法である。
で最も進んだ現行の技術は、建設省住宅局監修・(財)
日本建築防災協会発行の「木造住宅の耐震精密診断と補
強方法」の中で推奨されている、図4および図5(A)
〜(E)に示す方法で、これは何れも柱と、土台および
梁・桁・胴差との接合を、T型金物15と釘16・羽子
板ボルト17・短冊金物18・かね折り金物19などの
補強金物を使用して結合する方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の補強金物を使用
すれば、それだけ接合部の耐力が強くなるが、それには
自ずから限度がある。例えば、図4のT型金物15と釘
16を使った鉛直方向の接合部の引張り強度を計算する
と、桧材の場合、太め釘CN65(径d=0.333c
m)5本の一面剪断短期許容耐力は 2×K・d1.8×5=2×230×0.3331.8
×5=318kgf また、図5の羽子板ボルト17・短冊金物18・かね折
り金物19を使った、通し柱1aと梁・桁・胴差(以下
これらを総称して「梁など10」と略称する)との接合
部の水平方向の引張り強度は、羽子板ボルト17・短冊
金物18・かね折り金物19を梁など10にとめる直交
方向のボルト20を、一般に使われる黒皮ボルトのM1
2とすれば、その一面剪断耐力で決まり、その値を計算
すると次のようになる。 桧の支圧強度 Fe=3×70=210kgf/c
m2,梁などのせい 1=12.0cm とする。 黒皮ボルト 径 d=1.2cm、基準強度 F=19
00kgf/cm2 γ=F/Fe=1900/210=9.05 C=d/1(2/3・γ)0.5=1.2/12.0
(2/3×9.05)0.5=0.2456 降伏耐力 Py=C・Fe・d・1=0.2456×2
10×1.2×12.0=743kgf 従って短期許容剪断耐力は sPa=2/3・Py=4
95kgf 以上の通り、この接合法では、接合部の短期許容引張り
耐力が何れも0.5tf未満しかなく、終局強度でもせ
いぜいその1.5倍程度である。これに対して、先年の
兵庫県南部地震による阪神・淡路大震災と同等か、ある
いはそれ以上の直下型超巨大地震が発生すれば、震度7
の激震地では、筋かい12両端の節点の柱1と梁など1
0の接合部に、筋かい12の突き上げ力によって、鉛直
・水平両方向に1tfを超す引張り力がかかり、また建
物全体の転倒力によって、隅柱には巨大な引き抜き力が
生じ、上記の接合法では耐えられず、接合部が破壊して
建物が倒壊してしまうことになる。
すれば、それだけ接合部の耐力が強くなるが、それには
自ずから限度がある。例えば、図4のT型金物15と釘
16を使った鉛直方向の接合部の引張り強度を計算する
と、桧材の場合、太め釘CN65(径d=0.333c
m)5本の一面剪断短期許容耐力は 2×K・d1.8×5=2×230×0.3331.8
×5=318kgf また、図5の羽子板ボルト17・短冊金物18・かね折
り金物19を使った、通し柱1aと梁・桁・胴差(以下
これらを総称して「梁など10」と略称する)との接合
部の水平方向の引張り強度は、羽子板ボルト17・短冊
金物18・かね折り金物19を梁など10にとめる直交
方向のボルト20を、一般に使われる黒皮ボルトのM1
2とすれば、その一面剪断耐力で決まり、その値を計算
すると次のようになる。 桧の支圧強度 Fe=3×70=210kgf/c
m2,梁などのせい 1=12.0cm とする。 黒皮ボルト 径 d=1.2cm、基準強度 F=19
00kgf/cm2 γ=F/Fe=1900/210=9.05 C=d/1(2/3・γ)0.5=1.2/12.0
(2/3×9.05)0.5=0.2456 降伏耐力 Py=C・Fe・d・1=0.2456×2
10×1.2×12.0=743kgf 従って短期許容剪断耐力は sPa=2/3・Py=4
95kgf 以上の通り、この接合法では、接合部の短期許容引張り
耐力が何れも0.5tf未満しかなく、終局強度でもせ
いぜいその1.5倍程度である。これに対して、先年の
兵庫県南部地震による阪神・淡路大震災と同等か、ある
いはそれ以上の直下型超巨大地震が発生すれば、震度7
の激震地では、筋かい12両端の節点の柱1と梁など1
0の接合部に、筋かい12の突き上げ力によって、鉛直
・水平両方向に1tfを超す引張り力がかかり、また建
物全体の転倒力によって、隅柱には巨大な引き抜き力が
生じ、上記の接合法では耐えられず、接合部が破壊して
建物が倒壊してしまうことになる。
【0004】
【課題を解決するための手段】前述の通り、従来の接合
法は何れも、釘またはボルトを引張り力と直角方向に使
用して、一面剪断でもたせる方法である。すなわち接合
部に引張り力がかかれば、図5(D)・(E)に示すよ
うに、直交方向のボルト20の端部の側面に大きな側圧
力が生じ、釘またはボルトが木材にめり込んで曲がって
しまうので、前述の計算値が限界となり、それ以上の耐
力を期待することは不可能である。これに対して本発明
は、特許請求の範囲で述べた通り、添え木を材端に添設
する方法によって、釘またはボルトを横方向の剪断に使
うのではなく、ボルトを引張り力と同じ軸方向に使うも
のである。このようにすれば接合部の引張り耐力を、ボ
ルトの鋼材の引張り強度一杯まで上げることができ、後
述のように従来の接合法より遥かに大きな耐力が確実に
得られる。
法は何れも、釘またはボルトを引張り力と直角方向に使
用して、一面剪断でもたせる方法である。すなわち接合
部に引張り力がかかれば、図5(D)・(E)に示すよ
うに、直交方向のボルト20の端部の側面に大きな側圧
力が生じ、釘またはボルトが木材にめり込んで曲がって
しまうので、前述の計算値が限界となり、それ以上の耐
力を期待することは不可能である。これに対して本発明
は、特許請求の範囲で述べた通り、添え木を材端に添設
する方法によって、釘またはボルトを横方向の剪断に使
うのではなく、ボルトを引張り力と同じ軸方向に使うも
のである。このようにすれば接合部の引張り耐力を、ボ
ルトの鋼材の引張り強度一杯まで上げることができ、後
述のように従来の接合法より遥かに大きな耐力が確実に
得られる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細について述べ
る。まず請求項1の発明(以下“第1発明”と略称す
る)について、図によって説明する。図1(A)は、柱
とその下の土台および基礎、並びに柱とその上の梁など
の鉛直方向の接合法を示したもので、柱1には予め加工
場にて、柱頭および注脚の側面に、その断面の中央に長
手方向にボルト貫通孔をあけた添え木2を、エポキシ樹
脂接着剤・フェノール樹脂木材接着剤・レゾルシノール
樹脂接着剤などの強力接着剤を接合面3に塗布し、大釘
4で打ち付けて接合しておく。そうして工事現場におい
ては、コンクリート造または鉄筋コンクリート造の基礎
5の規定位置に埋設したアンカーボルト6を、土台にあ
けた孔に通して土台7を設置する。続いてその上に、上
記の添え木2を添設した柱1を、アンカーボルト6の上
部を添え木2のボルト貫通孔に通して立て、アンカーボ
ルト6の上端に座金8をはめ、ナット9を締めて緊結す
る。次いで、ボルト孔をあけた梁など10を柱1の上に
設置し、梁などのボルト孔と柱頭の添え木2のボルト貫
通孔に、普通ボルトまたは高力ボルト11を通して、座
金8をはめ、ナット9を締めて緊結する。その後、必要
な個所には所要断面の筋かい12を設置する。1階柱の
直上に梁など10を介して2階の柱があるときには、図
1(B)のように、1階柱頭の添え木2と2階柱脚の添
え木2のボルト貫通孔と梁など10にあけた孔に、1本
の普通ボルトまたは高力ボルト11を通して、座金8を
はめ、ナット9を締めて緊結する。
る。まず請求項1の発明(以下“第1発明”と略称す
る)について、図によって説明する。図1(A)は、柱
とその下の土台および基礎、並びに柱とその上の梁など
の鉛直方向の接合法を示したもので、柱1には予め加工
場にて、柱頭および注脚の側面に、その断面の中央に長
手方向にボルト貫通孔をあけた添え木2を、エポキシ樹
脂接着剤・フェノール樹脂木材接着剤・レゾルシノール
樹脂接着剤などの強力接着剤を接合面3に塗布し、大釘
4で打ち付けて接合しておく。そうして工事現場におい
ては、コンクリート造または鉄筋コンクリート造の基礎
5の規定位置に埋設したアンカーボルト6を、土台にあ
けた孔に通して土台7を設置する。続いてその上に、上
記の添え木2を添設した柱1を、アンカーボルト6の上
部を添え木2のボルト貫通孔に通して立て、アンカーボ
ルト6の上端に座金8をはめ、ナット9を締めて緊結す
る。次いで、ボルト孔をあけた梁など10を柱1の上に
設置し、梁などのボルト孔と柱頭の添え木2のボルト貫
通孔に、普通ボルトまたは高力ボルト11を通して、座
金8をはめ、ナット9を締めて緊結する。その後、必要
な個所には所要断面の筋かい12を設置する。1階柱の
直上に梁など10を介して2階の柱があるときには、図
1(B)のように、1階柱頭の添え木2と2階柱脚の添
え木2のボルト貫通孔と梁など10にあけた孔に、1本
の普通ボルトまたは高力ボルト11を通して、座金8を
はめ、ナット9を締めて緊結する。
【0006】次に、通し柱に梁などを水平方向に接合す
る、請求項2の発明(以下“第2発明”と略称する)に
ついて説明する。図2(A)・(B)は、通し柱1aの
両側に梁など10を接合する場合で、予め加工場にて材
端の上面(または下面)に、その断面の中央に長手方向
にボルト貫通孔をあけた添え木2を、強力接着剤を接合
面3に塗布し、大釘4で打ち付けて接合しておく。その
梁など10を、工事現場にて通し柱1aの両側に、傾ぎ
大入れ短ほぞ差し等で取り付け、その添え木2のボルト
貫通孔と通し柱1aにあけた孔に、1本の普通ボルトま
たは高力ボルト11を通して、座金8をはめ、ナット9
で強く締め付ける。このようにすれば、胴付きが密着し
て接合面の隙間が全くなくなる。この梁など10と直交
方向にも梁または桁または胴差が取り付くときは、ボル
ト貫通孔をあけた添え木を、その部材端部の下面(また
は上面)に接合し、ボルトと座金およびナットで緊結す
るようにすれば、図のように交差するボルトが互いにぶ
つからなくて済む。図2(C)・(D)は、通し柱1a
が隅柱または外柱の場合で、そのときには梁など10が
柱の内側にしか取り付かないので、外側は図のように、
ボルト頭が座金8を介して直接柱の外面に当たることに
なる。
る、請求項2の発明(以下“第2発明”と略称する)に
ついて説明する。図2(A)・(B)は、通し柱1aの
両側に梁など10を接合する場合で、予め加工場にて材
端の上面(または下面)に、その断面の中央に長手方向
にボルト貫通孔をあけた添え木2を、強力接着剤を接合
面3に塗布し、大釘4で打ち付けて接合しておく。その
梁など10を、工事現場にて通し柱1aの両側に、傾ぎ
大入れ短ほぞ差し等で取り付け、その添え木2のボルト
貫通孔と通し柱1aにあけた孔に、1本の普通ボルトま
たは高力ボルト11を通して、座金8をはめ、ナット9
で強く締め付ける。このようにすれば、胴付きが密着し
て接合面の隙間が全くなくなる。この梁など10と直交
方向にも梁または桁または胴差が取り付くときは、ボル
ト貫通孔をあけた添え木を、その部材端部の下面(また
は上面)に接合し、ボルトと座金およびナットで緊結す
るようにすれば、図のように交差するボルトが互いにぶ
つからなくて済む。図2(C)・(D)は、通し柱1a
が隅柱または外柱の場合で、そのときには梁など10が
柱の内側にしか取り付かないので、外側は図のように、
ボルト頭が座金8を介して直接柱の外面に当たることに
なる。
【0007】ここで、以上の接合耐力が如何程かを計算
する。先ず、一般に使用される普通ボルトであるSS4
00の中ボルトのM12は、軸断面積が π×1.22
/4=1.13cm2 であるので、その短期許容引張
り力は 1.2tf/cm2×1.5×1.13cm2=2.0
3tf これに対し、添え木2の寸法を 50×100×150
mm とすると、その長手方向の短期許容剪断耐力は桧
材で 2×7kgf/cm2×10cm×15cm=
2.10tf となり、エポキシ樹脂などの強力接着剤
の接着力は、引張り・圧縮・剪断とも木材の強度より大
きいので、添え木2と柱1および梁など10との接合面
の短期許容剪断耐力も、この2.10tfを採用でき
る。また、座金の寸法を 45×45×4.5mm と
すると、そのボルト孔を控除した有効支圧面積は 4.
52−π×1.42/4=18.71cm2 であるの
で、桧材の添え木に対する座金の短期許容支圧耐力は
2×70kgf/cm2×18.71cm2=2.6
2tf となり、何れも上記の2.03tfより大きい
ので、この接合法の短期許容引張り耐力は、ボルトの引
張り強度一杯を採ることができる。この短期許容引張り
耐力2.03tfは、前記の在来工法の値495kgf
の4倍以上で、一般の木造建築物の接合部では、これだ
けの耐力があれば十分であるが、若しそれ以上の強さを
望む場合には、所望強度に応じて、さらに高強度のボル
トを使用すると共に、添え木と座金の寸法を大きくし
て、添え木の接着面積と座金の支圧面積を増せばよい。
例えば、高力ボルトのF10TのM12を使用すると、
その短期許容引張り力は 3.1tf/cm2×1.5
×1.13cm2=5.25tf と巨大な値となる。
またアンカーボルトに、異形鉄筋SD390のD13を
加工し、その頭部のリブと節を削り取って、M12の雄
ネジを転造したものを使用すると、転造ネジM12の有
効径は1.103cmであるので、その短期許容引張り
耐力は 4.0tf/cm2×π×1.1032/4cm2=
3.82tf と、図4に示すT型金物と釘を使った従来接合法の値3
18kgfの12倍となり、巨大地震で大きな引き抜き
力がかかっても安全である。
する。先ず、一般に使用される普通ボルトであるSS4
00の中ボルトのM12は、軸断面積が π×1.22
/4=1.13cm2 であるので、その短期許容引張
り力は 1.2tf/cm2×1.5×1.13cm2=2.0
3tf これに対し、添え木2の寸法を 50×100×150
mm とすると、その長手方向の短期許容剪断耐力は桧
材で 2×7kgf/cm2×10cm×15cm=
2.10tf となり、エポキシ樹脂などの強力接着剤
の接着力は、引張り・圧縮・剪断とも木材の強度より大
きいので、添え木2と柱1および梁など10との接合面
の短期許容剪断耐力も、この2.10tfを採用でき
る。また、座金の寸法を 45×45×4.5mm と
すると、そのボルト孔を控除した有効支圧面積は 4.
52−π×1.42/4=18.71cm2 であるの
で、桧材の添え木に対する座金の短期許容支圧耐力は
2×70kgf/cm2×18.71cm2=2.6
2tf となり、何れも上記の2.03tfより大きい
ので、この接合法の短期許容引張り耐力は、ボルトの引
張り強度一杯を採ることができる。この短期許容引張り
耐力2.03tfは、前記の在来工法の値495kgf
の4倍以上で、一般の木造建築物の接合部では、これだ
けの耐力があれば十分であるが、若しそれ以上の強さを
望む場合には、所望強度に応じて、さらに高強度のボル
トを使用すると共に、添え木と座金の寸法を大きくし
て、添え木の接着面積と座金の支圧面積を増せばよい。
例えば、高力ボルトのF10TのM12を使用すると、
その短期許容引張り力は 3.1tf/cm2×1.5
×1.13cm2=5.25tf と巨大な値となる。
またアンカーボルトに、異形鉄筋SD390のD13を
加工し、その頭部のリブと節を削り取って、M12の雄
ネジを転造したものを使用すると、転造ネジM12の有
効径は1.103cmであるので、その短期許容引張り
耐力は 4.0tf/cm2×π×1.1032/4cm2=
3.82tf と、図4に示すT型金物と釘を使った従来接合法の値3
18kgfの12倍となり、巨大地震で大きな引き抜き
力がかかっても安全である。
【0008】続いて、請求項3の発明(以下“第3発
明”と略称する)について説明する。これは第1発明お
よび第2発明をさらに一層高強度・高剛性にする目的の
もので、工事現場で建方時に、柱およびそれに添設した
添え木の上下端と土台および梁・桁・胴差との接合面、
並びに梁・桁・胴差およびそれに添設した添え木の端部
と通し柱との接合面にも、エポキシ樹脂などの強力接着
剤を塗布して接合固結する。これによって、木造軸組の
節点を剛接合にすると共に、柱および梁などの材端の部
材断面のせいを、添え木の厚さだけ増すことになる。こ
れは、鉄筋コンクリート造・鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリ
ート造において、梁端部にハンチを設けて梁せいを増す
のと同じである。特に木造の場合には、木材の繊維に直
角方向の強度と剛性が、繊維方向に比べて可成り低いの
が弱点であるが、添え木の厚さを必要なだけ増すことに
よって、接合面の所要強度と剛性を確保することがで
き、この弱点を克服し得る。以上によって、従来はピン
節点としか見なせなかった木造軸組架構を、完全なラー
メン構造にすることが出来て、架構の耐力と剛性が飛躍
的に高められる。
明”と略称する)について説明する。これは第1発明お
よび第2発明をさらに一層高強度・高剛性にする目的の
もので、工事現場で建方時に、柱およびそれに添設した
添え木の上下端と土台および梁・桁・胴差との接合面、
並びに梁・桁・胴差およびそれに添設した添え木の端部
と通し柱との接合面にも、エポキシ樹脂などの強力接着
剤を塗布して接合固結する。これによって、木造軸組の
節点を剛接合にすると共に、柱および梁などの材端の部
材断面のせいを、添え木の厚さだけ増すことになる。こ
れは、鉄筋コンクリート造・鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリ
ート造において、梁端部にハンチを設けて梁せいを増す
のと同じである。特に木造の場合には、木材の繊維に直
角方向の強度と剛性が、繊維方向に比べて可成り低いの
が弱点であるが、添え木の厚さを必要なだけ増すことに
よって、接合面の所要強度と剛性を確保することがで
き、この弱点を克服し得る。以上によって、従来はピン
節点としか見なせなかった木造軸組架構を、完全なラー
メン構造にすることが出来て、架構の耐力と剛性が飛躍
的に高められる。
【0009】最後に、請求項4の発明(以下“第4発
明”と略称する)について説明する。図3は、第1発明
・第2発明および第3発明で使用する添え木2を示した
もので、桧など比較的強度が高く、腐蝕しにくく耐久性
があり、かつ割れにくく靭性のある木材で、その断面の
中央に長手方向にボルト貫通孔13をあけた簡単なもの
である。そうしてそれと直交する短辺方向にも大釘用の
孔14を4本あけておけば、取り付けが一層容易にな
る。この添え木は予め必要量を簡単に作っておくことが
でき、またエポキシ樹脂接着剤・フェノール樹脂木材接
着剤(JIS K6802)・レゾルシノール樹脂接着
剤などの高力接着剤と大釘、並びに普通ボルトまたは高
力ボルトおよびアンカーボルトと、それに付属する座金
およびナットの緊結金物は、何れも容易に入手可能なも
のであるので、これ等を取りまとめて、木造軸組の接合
具とする。
明”と略称する)について説明する。図3は、第1発明
・第2発明および第3発明で使用する添え木2を示した
もので、桧など比較的強度が高く、腐蝕しにくく耐久性
があり、かつ割れにくく靭性のある木材で、その断面の
中央に長手方向にボルト貫通孔13をあけた簡単なもの
である。そうしてそれと直交する短辺方向にも大釘用の
孔14を4本あけておけば、取り付けが一層容易にな
る。この添え木は予め必要量を簡単に作っておくことが
でき、またエポキシ樹脂接着剤・フェノール樹脂木材接
着剤(JIS K6802)・レゾルシノール樹脂接着
剤などの高力接着剤と大釘、並びに普通ボルトまたは高
力ボルトおよびアンカーボルトと、それに付属する座金
およびナットの緊結金物は、何れも容易に入手可能なも
のであるので、これ等を取りまとめて、木造軸組の接合
具とする。
【0010】
【作用】在来軸組工法による日本の木造建築は、永年の
伝統と経験により培われた世界にも類を見ない洗練され
た優れた工法であるが、どうしても柱脚部や、柱と梁・
桁・胴差との接合部、いわゆる仕口部分は、部材の切り
欠きや、ほぞ穴・ボルト孔などによって断面欠損が生じ
て、構造上の弱点となる。先年の阪神・淡路大震災で
も、十数万棟の木造家屋が全・半壊したが、その殆どは
この柱脚部や仕口部分の破壊によるものであった。それ
に対して、建設省住宅局や(財)日本建築防災協会その
他建築関係諸団体などが、図4および図5(A)〜
(E)に示すような補強金物による補強を推奨している
が、この補強を行なっても期待できる耐力は前述の計算
値程度に過ぎないので、万一阪神・淡路大震災のマグニ
チュードM7.2を超える直下型超巨大地震が発生すれ
ば、柱脚や仕口部分の耐力不足によって、甚大な被害の
生ずることが予想される。この点に鑑み本発明は,次に
述べる発想によって、接合部における柱と梁などの主要
構造材の断面欠損を無くすと共に、接合部の強度を母材
強度以上に保持するようにして、上記の仕口部分の弱点
を解消した。以下、具体的に説明する。
伝統と経験により培われた世界にも類を見ない洗練され
た優れた工法であるが、どうしても柱脚部や、柱と梁・
桁・胴差との接合部、いわゆる仕口部分は、部材の切り
欠きや、ほぞ穴・ボルト孔などによって断面欠損が生じ
て、構造上の弱点となる。先年の阪神・淡路大震災で
も、十数万棟の木造家屋が全・半壊したが、その殆どは
この柱脚部や仕口部分の破壊によるものであった。それ
に対して、建設省住宅局や(財)日本建築防災協会その
他建築関係諸団体などが、図4および図5(A)〜
(E)に示すような補強金物による補強を推奨している
が、この補強を行なっても期待できる耐力は前述の計算
値程度に過ぎないので、万一阪神・淡路大震災のマグニ
チュードM7.2を超える直下型超巨大地震が発生すれ
ば、柱脚や仕口部分の耐力不足によって、甚大な被害の
生ずることが予想される。この点に鑑み本発明は,次に
述べる発想によって、接合部における柱と梁などの主要
構造材の断面欠損を無くすと共に、接合部の強度を母材
強度以上に保持するようにして、上記の仕口部分の弱点
を解消した。以下、具体的に説明する。
【0011】1)先ず第一は、接着工法の採用である。
近年、接着剤と接着技術は長足の進歩を遂げ、接着力が
木材の強度以上で、耐久性があり、硬化までのハンドリ
ングタイムが自由に調節できて使い易く、かつ比較的安
価な優れた接着剤が各種開発されたので、これを積極的
に活用し、前述の方法で添え木を母材に接着することに
よって、母材の断面を一切欠損することなく、かつ母材
と添え木を,一本の材木から切り出したものと同様に、
力学的に全く一体のものとすることが出来る。すなわち
これは、鋼板や鉄骨を溶接により接合することによっ
て、接合部を母材と全く同等の耐力にするのと同じ発想
である。
近年、接着剤と接着技術は長足の進歩を遂げ、接着力が
木材の強度以上で、耐久性があり、硬化までのハンドリ
ングタイムが自由に調節できて使い易く、かつ比較的安
価な優れた接着剤が各種開発されたので、これを積極的
に活用し、前述の方法で添え木を母材に接着することに
よって、母材の断面を一切欠損することなく、かつ母材
と添え木を,一本の材木から切り出したものと同様に、
力学的に全く一体のものとすることが出来る。すなわち
これは、鋼板や鉄骨を溶接により接合することによっ
て、接合部を母材と全く同等の耐力にするのと同じ発想
である。
【0012】2)次には接合鋼材を引張り力と直交方向
の剪断に用いるのではなく、引張り力と同じ軸方向に使
用することである。前述のように、剪断による在来補強
法では、耐力が低い上に、力がかかれば釘やボルトが木
材にめり込んで変形が生じ、接合部の剛性がなくなって
しまうが、これに比べて本発明の接合法では、ボルトを
母材の引張り力と同じ軸方向に使用するので、ボルトの
鋼材の引張り強度一杯に働かせることが出来、耐力が在
来工法の数倍ないし十数倍に向上する上に、ナットを強
く締めることによって、接合部が密着して隙間がなくな
り、架構の剛性が高められる。
の剪断に用いるのではなく、引張り力と同じ軸方向に使
用することである。前述のように、剪断による在来補強
法では、耐力が低い上に、力がかかれば釘やボルトが木
材にめり込んで変形が生じ、接合部の剛性がなくなって
しまうが、これに比べて本発明の接合法では、ボルトを
母材の引張り力と同じ軸方向に使用するので、ボルトの
鋼材の引張り強度一杯に働かせることが出来、耐力が在
来工法の数倍ないし十数倍に向上する上に、ナットを強
く締めることによって、接合部が密着して隙間がなくな
り、架構の剛性が高められる。
【0013】3)続いて作業性について述べる。従来の
伝統的な軸組工法では、接合部の加工は、大工さんが工
事現場で、鋸や鉋やのみ等の工具を使って、柱や梁など
を一本づつ手作業で切りきざんで、複雑な仕口の形に仕
上げていたのに対し、近年は加工場でプレカット工法に
より、電動工具を使用して効率よく加工するようになっ
た。それでもなお、ほぞ穴その他の仕上げ等、のみ等を
使って手作業で行なわなければならない作業が種々残さ
れていて、加工手間が多くかかるのが現状である。また
工事現場でも、羽子板ボルト17・短冊金物18・かね
折り金物19を使用する在来補強法では、それに直交す
るボルト20が必要で、何れも複数の金物を取り付けね
ばならないので、孔あけと取り付け作業がそれだけ多く
かかることになる。これに比べ、本発明の工法によれ
ば、加工場では、先行製作された添え木に接着剤を塗っ
て大釘で打ち付けるだけで済むので、極めて簡単であ
る。さらに工事現場でも、1本のボルトを既製のボルト
貫通孔に通して締め付ける作業だけであるので、これも
全く簡単容易で、作業時間と手間も少なく、労せずして
工期の短縮がはかれる。
伝統的な軸組工法では、接合部の加工は、大工さんが工
事現場で、鋸や鉋やのみ等の工具を使って、柱や梁など
を一本づつ手作業で切りきざんで、複雑な仕口の形に仕
上げていたのに対し、近年は加工場でプレカット工法に
より、電動工具を使用して効率よく加工するようになっ
た。それでもなお、ほぞ穴その他の仕上げ等、のみ等を
使って手作業で行なわなければならない作業が種々残さ
れていて、加工手間が多くかかるのが現状である。また
工事現場でも、羽子板ボルト17・短冊金物18・かね
折り金物19を使用する在来補強法では、それに直交す
るボルト20が必要で、何れも複数の金物を取り付けね
ばならないので、孔あけと取り付け作業がそれだけ多く
かかることになる。これに比べ、本発明の工法によれ
ば、加工場では、先行製作された添え木に接着剤を塗っ
て大釘で打ち付けるだけで済むので、極めて簡単であ
る。さらに工事現場でも、1本のボルトを既製のボルト
貫通孔に通して締め付ける作業だけであるので、これも
全く簡単容易で、作業時間と手間も少なく、労せずして
工期の短縮がはかれる。
【0014】4)さらに経済性について述べる。上記の
通り従来の接合法では、加工場および工事現場における
作業量が多いので、それだけ加工費が多くかかる。さら
に補強金物の数も多く要るので、鋼材費も嵩む。それに
比べて本発明の接合法によれば、加工場・工事現場とも
作業量が少なくて済むので、加工費の節約になる。また
資材費についても、添え木は大量生産すれば安価に供給
でき、ボルトの数も少ないので、鋼材費も少額で済む。
かつ、作業量の減少による工期短縮の経済的利益、並び
に建物が早く竣工することによる建築主および社会への
諸々の利益まで考えれば、その経済的・社会的効果は非
常に大きいと言える。
通り従来の接合法では、加工場および工事現場における
作業量が多いので、それだけ加工費が多くかかる。さら
に補強金物の数も多く要るので、鋼材費も嵩む。それに
比べて本発明の接合法によれば、加工場・工事現場とも
作業量が少なくて済むので、加工費の節約になる。また
資材費についても、添え木は大量生産すれば安価に供給
でき、ボルトの数も少ないので、鋼材費も少額で済む。
かつ、作業量の減少による工期短縮の経済的利益、並び
に建物が早く竣工することによる建築主および社会への
諸々の利益まで考えれば、その経済的・社会的効果は非
常に大きいと言える。
【0015】5)最後に第3発明は、柱と土台および梁
・桁・胴差との主要節点をすべて強力接着剤で固めるこ
とによって剛接合とし、木造軸組架構をごく簡単な作業
で、鉄筋コンクリート造等と同様のラーメン構造にして
しまうもので、今までにはなかった全く新しい木構造で
ある。
・桁・胴差との主要節点をすべて強力接着剤で固めるこ
とによって剛接合とし、木造軸組架構をごく簡単な作業
で、鉄筋コンクリート造等と同様のラーメン構造にして
しまうもので、今までにはなかった全く新しい木構造で
ある。
【0016】
【発明の効果】1)先ず第1発明は、柱の上下端の側面
に添え木を添設して、柱を鉛直方向に接合するもので、
前述の通り架構にとって最も重要な柱脚の短期許容引張
り耐力は、在来工法の耐力318kgfに比べて3.8
2tfと12倍も高いので、超巨大地震にも倒壊の怖れ
がなくなる。かつ、基礎の上に土台を設置してアンカー
ボルトのナットを締め、その後に柱を立てて柱脚と土台
とをT型金物やV型金物を釘打ちして接合する在来工法
に比べて、本発明工法では基礎から立ち上がった一本の
アンカーボルトに土台を据えると同時に、柱脚の添え木
のボルト貫通孔を差し込んで柱を立ててしまうので、建
て方が非常に早く容易に出来、工期が短縮される。その
上、アンカーボルトからそれた位置で柱脚を止める在来
工法と異なり、柱脚を土台をはさんで基礎に、一本のア
ンカーボルトで直接鉛直方向に緊結するので、力の流れ
が明確となり、構造的信頼性も高まる。換言すれば、メ
カニズム上も極めて単純明快で、接合に要する鋼材など
も少なくて済み、経済的でもある。なおこの柱脚構法
は、現在一般に行なわれている3階建て木造建築の柱脚
部の補強金物構法の代わりとしても使え、それよりも高
強度で施工し易く、かつ安価である。柱頭と梁などとの
接合、および1階柱頭と2階柱脚を梁などを介して接合
する場合も、同様に一本のボルトを鉛直方向に通して緊
結するだけで済むので、全く同じ効果がある。
に添え木を添設して、柱を鉛直方向に接合するもので、
前述の通り架構にとって最も重要な柱脚の短期許容引張
り耐力は、在来工法の耐力318kgfに比べて3.8
2tfと12倍も高いので、超巨大地震にも倒壊の怖れ
がなくなる。かつ、基礎の上に土台を設置してアンカー
ボルトのナットを締め、その後に柱を立てて柱脚と土台
とをT型金物やV型金物を釘打ちして接合する在来工法
に比べて、本発明工法では基礎から立ち上がった一本の
アンカーボルトに土台を据えると同時に、柱脚の添え木
のボルト貫通孔を差し込んで柱を立ててしまうので、建
て方が非常に早く容易に出来、工期が短縮される。その
上、アンカーボルトからそれた位置で柱脚を止める在来
工法と異なり、柱脚を土台をはさんで基礎に、一本のア
ンカーボルトで直接鉛直方向に緊結するので、力の流れ
が明確となり、構造的信頼性も高まる。換言すれば、メ
カニズム上も極めて単純明快で、接合に要する鋼材など
も少なくて済み、経済的でもある。なおこの柱脚構法
は、現在一般に行なわれている3階建て木造建築の柱脚
部の補強金物構法の代わりとしても使え、それよりも高
強度で施工し易く、かつ安価である。柱頭と梁などとの
接合、および1階柱頭と2階柱脚を梁などを介して接合
する場合も、同様に一本のボルトを鉛直方向に通して緊
結するだけで済むので、全く同じ効果がある。
【0017】2)次に第2発明は、梁などの端部の上面
または下面に添え木を添設して、梁などを通し柱に水平
方向に接合するもので、この場合も前述の通り接合部の
短期許容引張り耐力は、普通ボルトを使用したときでも
在来工法の4倍以上で、高力ボルトや総ねじPC鋼棒そ
の他、高強度鋼のボルトを使えば、幾らでも容易に耐力
を上げることが可能である。しかもこの場合も前項と同
様に、一本のボルトを水平方向に通して締めるだけの作
業で済むので、先ず羽子板ボルトを柱に通し、あるいは
短冊金物またはかね折り金物をスクリュー釘などでとめ
た後に、梁などに直交方向のボルトを通して締める必要
のある在来工法に比べて、遥かに簡単・容易で短時間で
出来、作業量が少ない上に、鋼材数も少なくて材料費も
少額で済む。
または下面に添え木を添設して、梁などを通し柱に水平
方向に接合するもので、この場合も前述の通り接合部の
短期許容引張り耐力は、普通ボルトを使用したときでも
在来工法の4倍以上で、高力ボルトや総ねじPC鋼棒そ
の他、高強度鋼のボルトを使えば、幾らでも容易に耐力
を上げることが可能である。しかもこの場合も前項と同
様に、一本のボルトを水平方向に通して締めるだけの作
業で済むので、先ず羽子板ボルトを柱に通し、あるいは
短冊金物またはかね折り金物をスクリュー釘などでとめ
た後に、梁などに直交方向のボルトを通して締める必要
のある在来工法に比べて、遥かに簡単・容易で短時間で
出来、作業量が少ない上に、鋼材数も少なくて材料費も
少額で済む。
【0018】3)さらに第3発明は、前述のように接合
部に強力接着剤を塗るだけの簡単な作業で、木造軸組の
全節点を剛接合にして架構をラーメン構造にするもので
ある。このラーメンによって地震や台風による大きな水
平荷重に耐えることができるので、従来の木構造に必須
であった多大な壁量の、筋かい入りの耐力壁や構造用合
板を張った耐力壁を大幅に減らすことができ、また場合
によっては全廃することも可能である。これによって木
造建築の泣き所である東西・南北両方向に多くの壁を設
けなければならないとの制約から開放され、壁の少な
い、或いは全く壁のない、広くて明るい空間が自由に造
れることとなる。特に間口の狭い小住宅や棟割り長屋、
および1階が店舗や車庫の場合などには、平面計画上間
口方向に必要量の耐力壁が設け難いものであるが、この
ラーメン構造で地震や台風による水平剪断力をもたせる
ことによって、邪魔になる壁をなくすことが出来る。ま
たラーメン構造にすれば、建物全体の剛性が飛躍的に向
上して、地震・風や交通振動等による揺れも少なくな
り、住宅などの居住性も快適なものになる。
部に強力接着剤を塗るだけの簡単な作業で、木造軸組の
全節点を剛接合にして架構をラーメン構造にするもので
ある。このラーメンによって地震や台風による大きな水
平荷重に耐えることができるので、従来の木構造に必須
であった多大な壁量の、筋かい入りの耐力壁や構造用合
板を張った耐力壁を大幅に減らすことができ、また場合
によっては全廃することも可能である。これによって木
造建築の泣き所である東西・南北両方向に多くの壁を設
けなければならないとの制約から開放され、壁の少な
い、或いは全く壁のない、広くて明るい空間が自由に造
れることとなる。特に間口の狭い小住宅や棟割り長屋、
および1階が店舗や車庫の場合などには、平面計画上間
口方向に必要量の耐力壁が設け難いものであるが、この
ラーメン構造で地震や台風による水平剪断力をもたせる
ことによって、邪魔になる壁をなくすことが出来る。ま
たラーメン構造にすれば、建物全体の剛性が飛躍的に向
上して、地震・風や交通振動等による揺れも少なくな
り、住宅などの居住性も快適なものになる。
【0019】4)そうして第4発明は、第1発明・第2
発明および第3発明に使用する添え木と強力接着剤およ
び緊結金物によって構成する木造軸組の接合具で、これ
等を規格化して何種類かに分類の上、セットにして例え
ば「ニュー ウッド コネクター」とでも名付け、大量
生産により廉価で販売すれば、木造建築に従事する全国
の建設業者や大工さん等に広く手軽に使ってもらえるの
で、商品化の効果が期待できると考える。
発明および第3発明に使用する添え木と強力接着剤およ
び緊結金物によって構成する木造軸組の接合具で、これ
等を規格化して何種類かに分類の上、セットにして例え
ば「ニュー ウッド コネクター」とでも名付け、大量
生産により廉価で販売すれば、木造建築に従事する全国
の建設業者や大工さん等に広く手軽に使ってもらえるの
で、商品化の効果が期待できると考える。
【図1】本第1発明の木造軸組の接合法を示し、(A)
は柱と土台および基礎、並びに柱とその上の梁などとの
接合法の姿図、(B)は梁などの上下に柱がある場合の
接合法の姿図である。
は柱と土台および基礎、並びに柱とその上の梁などとの
接合法の姿図、(B)は梁などの上下に柱がある場合の
接合法の姿図である。
【図2】本第2発明の木造軸組の接合法を示し、(A)
は通し柱の両側に梁などが付く場合の接合法の姿図、
(B)はその立面図、(C)は通し柱の片側に梁などが
付く場合の接合法の姿図、(D)はその立面図である。
は通し柱の両側に梁などが付く場合の接合法の姿図、
(B)はその立面図、(C)は通し柱の片側に梁などが
付く場合の接合法の姿図、(D)はその立面図である。
【図3】本第4発明の木造軸組の接合具のうちの添え木
の姿図を示す。
の姿図を示す。
【図4】在来工法の柱と土台および基礎、並びに柱と梁
などの接合法の姿図を示す。
などの接合法の姿図を示す。
【図5】在来工法の通し柱と梁などの接合法を示し、
(A)は通し柱の片側に梁などが付く場合の姿図、
(D)はその立面図、(B)は通し柱の両側に梁などが
付く場合の姿図、(E)はその平面図、(C)は通し柱
の一種である隅柱に梁などが付く場合の姿図である。
(A)は通し柱の片側に梁などが付く場合の姿図、
(D)はその立面図、(B)は通し柱の両側に梁などが
付く場合の姿図、(E)はその平面図、(C)は通し柱
の一種である隅柱に梁などが付く場合の姿図である。
1…柱 1a…通し柱 2…添え木 4…大釘 5…基礎 6…アンカーボルト 7…土台 8…座金 9…ナット 10…梁など(梁または桁または胴差) 11…普通ボルトまたは高力ボルト 13…ボルト貫通孔 14…大釘用の孔
Claims (4)
- 【請求項1】 木造建築物の柱脚と土台および基礎との
接合、並びに柱頭または柱脚と梁または桁または胴差と
の接合において、柱の上下端の側面に、その断面の中央
に長手方向にボルト貫通孔をあけた添え木を、予め強力
接着剤と大釘とで添設しておき、そのボルト貫通孔と、
土台あるいは梁または桁または胴差にあけた孔の中に、
土台および基礎との接合部ではアンカーボルトを、梁ま
たは桁または胴差との接合部では普通ボルトまたは高力
ボルトを通して、座金をはめ、ナットを締めて緊結する
木造軸組の接合法。 - 【請求項2】 木造建築物の通し柱と梁または桁または
胴差との接合において、梁または桁または胴差の端部の
上面または下面に、その断面の中央に長手方向にボルト
貫通孔をあけた添え木を、予め強力接着剤と大釘とで添
設しておき、そのボルト貫通孔と通し柱にあけた孔の中
に、普通ボルトまたは高力ボルトを通して、座金をは
め、ナットを締めて緊結する木造軸組の接合法。 - 【請求項3】 請求項1および請求項2の発明におい
て、さらに柱およびそれに添設した添え木の上下端と土
台および梁・桁・胴差との接合面、並びに梁・桁・胴差
およびそれに添設した添え木の端部と通し柱との接合面
にも、強力接着剤を塗布して接合することを特徴とする
木造軸組の接合法。 - 【請求項4】 請求項1・請求項2および請求項3の発
明で使用する、断面の中央に長手方向にボルト貫通孔を
あけ、かつそれと直交する短辺方向に大釘用の孔をあけ
た添え木と、強力接着剤および緊結金物によって構成す
る木造軸組の接合具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18322198A JPH11336192A (ja) | 1998-05-26 | 1998-05-26 | 木造軸組の接合法およびその接合具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18322198A JPH11336192A (ja) | 1998-05-26 | 1998-05-26 | 木造軸組の接合法およびその接合具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11336192A true JPH11336192A (ja) | 1999-12-07 |
Family
ID=16131919
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18322198A Pending JPH11336192A (ja) | 1998-05-26 | 1998-05-26 | 木造軸組の接合法およびその接合具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11336192A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002077385A1 (en) * | 2001-03-26 | 2002-10-03 | Martinssons Trä Ab | Junction between wooden construction elements |
JP2009102944A (ja) * | 2007-10-25 | 2009-05-14 | Yoshikuni Okura | 締結具 |
-
1998
- 1998-05-26 JP JP18322198A patent/JPH11336192A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002077385A1 (en) * | 2001-03-26 | 2002-10-03 | Martinssons Trä Ab | Junction between wooden construction elements |
JP2009102944A (ja) * | 2007-10-25 | 2009-05-14 | Yoshikuni Okura | 締結具 |
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