JPH11335934A - セルロース系繊維染色糸 - Google Patents

セルロース系繊維染色糸

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JPH11335934A
JPH11335934A JP10145797A JP14579798A JPH11335934A JP H11335934 A JPH11335934 A JP H11335934A JP 10145797 A JP10145797 A JP 10145797A JP 14579798 A JP14579798 A JP 14579798A JP H11335934 A JPH11335934 A JP H11335934A
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JP
Japan
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yarn
dyeing
cellulose
dyed
cellulosic fiber
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Pending
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JP10145797A
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English (en)
Inventor
Masanori Nakagawa
政則 中川
Akihiro Kamimura
明浩 上村
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィブリルの発生の極めて少ないセルロース
系繊維染色糸を工業的に提供する。 【解決手段】 X線結晶配向度が70−85%、動的粘
弾性値のピークトップ温度Tmaxが252〜280
℃、そのときのtanδが0.062〜0.090であ
るセルロースマルチフィラメント糸を染色してなるセル
ロース系繊維染色糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース系繊維
染色糸に関し、さらに詳しくはフィブリル発生の極めて
少ないセルロース系繊維染色糸に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セルロース繊維は、染色加工時あ
るいは洗濯などで容易にフィブリル化し易く、これに伴
い表面がすれて、白っぽくなる、いわゆる「白化」が問
題となる。この問題を防止するため、例えば、特開平6
−322667号公報には、セルロース系繊維やその構
成物をセルラーゼ処理してフィブリル化した繊維を除去
することによりフィブリル化を改善する方法が開示され
ている。この方法によれば、確かにフィブリルは除去さ
れるものの、外観品位を問題ないレベルまで上げるため
には、セルラーゼによる処理を長時間行う必要があり、
これにより、特にセルロースマルチフィラメント糸は著
しい強度低下を起こし、実用的に満足できないという問
題がある。また、特表平8−505441号公報には、
セルロース系繊維やその構成物の処理として、セルロー
スと反応し得る化合物を用いて化学的にセルロースと架
橋を行い、フィブリル発生を抑制する方法が開示されて
いる。このような架橋によるフィブリル化の抑制は、架
橋に伴うセルロース繊維の強度低下及び風合いの粗硬化
を生じ、実用的に満足できるものが得られない。以上の
ようにフィブリル化防止に関する提案は続々されている
ものの、実用的に満足できるものはなく、工業化は困難
であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、フィ
ブリル発生の極めて少ないセルロース系繊維染色糸を提
供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記欠点
に鑑み、鋭意研究の結果、本発明の完成に至った。本願
で特許請求される発明は、下記のとおりである。 (1)X線結晶配向度が70〜85%のセルロースマル
チフィラメント糸を染色してなるセルロース系繊維染色
糸。 (2)前記セルロースマルチフィラメント糸の動的粘弾
性値のピークトップ温度Tmaxが252℃〜280
℃、そのときのtanδが0.062〜0.090であ
る(1)記載のセルロース系繊維染色糸。 (3)前記セルロースマルチフィラメント糸のヤーン表
面占有率が30%以上である(1)記載のセルロース系
繊維染色糸。
【0005】本発明の染色糸は、その構成糸であるセル
ロースマルチフィラメント糸の最終的なヤーン表面占有
率が30%以上であることが好ましい。また本発明の染
色糸は、X線結晶配向度が85%以下で、後述する動的
粘弾性値のピークトップ温度Tmaxが252℃〜28
0℃、そのときのtanδが0.062〜0.090で
あるセルロースマルチフィラメント糸を染色して得られ
たものが好ましい。
【0006】本発明に用いるセルロースマルチフィラメ
ント糸のX線結晶配向度は70−85%であり、好まし
くは、75−80%である。70%未満では、強度低下
が著しく、85%を越えるとフィブリル化が発生し易く
なる。さらに、セルロースマルチフィラメント糸のヤー
ン表面占有率は30%以上が好ましく、この範囲であれ
ば他の如何なる繊維と複合しても構わない。ヤーン表面
占有率が30%未満であると、染色糸又は染色糸を用い
た布帛においてセルロースマルチフィラメント糸より発
生するフィブリルが布帛の外観品位を大きく低下させ
る。
【0007】本発明に用いるセルロースマルチフィラメ
ント糸のtanδは0.062〜0.090、Tmax
は252℃〜280℃であるが、Tmax及びtanδ
がこれらの数値未満の場合は、フィブリルが発生しやす
くなり、またこれらの数値を超える場合は、繊維強度の
低下が著しくなる。
【0008】本発明に用いるセルロースマルチフィラメ
ント糸は、セルロース銅安溶液を用いて得られるセルロ
ースマルチフィラメント糸である。具体的な製造方法と
しては、特開昭61−34212号公報に記載の如く、
流下緊張紡糸法が採用される。その際、セルロース紡糸
原液を凝固・再生する際に行われる延伸を出来るだけ抑
制することが重要であり、例えば、紡糸口金から吐出さ
れた紡糸原液の自由落下により生ずる延伸を抑制するた
めに、樋のような装置を設けて流速を制御することが好
ましい。流速を制御する装置としては、樋以外に平板、
ロール状のものなどを使用することができる。
【0009】本発明のセルロースマルチフィラメント糸
を染色する際の糸の形態は、単糸でも双糸でもそれ以上
でもよいが、撚数は、100T/M以上であることが、
染色中での糸乱れが少なく、品位の高いものが得られる
上で好ましい。染色形態としては、チーズまたはかせの
何れでも良い。
【0010】本発明のセルロースフィラメント糸を用い
た染色方法として、チーズ染色を例にとって説明する。
チーズ染色に供する形態はチーズボビンとしてパラレル
タイプを使用することが染色液を均一に通液する上で好
ましい。また、予めウレタンシート等をチーズボビンの
内層材として用いると、染色中に生ずる糸の膨潤による
圧迫を緩和するのに好ましい。チーズの巻き密度は0.
3g/cm3 以上、0.45g/cm3 以下で、好まし
くは、0.32g/cm3 以上、0.40g/cm3
下である。0.3g/cm3 以下では染色中にチーズ変
形が起こり、染液がショートパスしたりして染色斑を生
じることがある。上記巻き密度が0.45g/cm3
越えると染色中の通液性が悪く、チーズ内外において染
色色差が大きくなる。また、チーズ形態を保護するため
にエステル加工糸を用いたネットによりチーズをカバー
してもよい。
【0011】チーズ染色に用いるセルロースマルチフィ
ラメント糸用染料としては、直接染料、反応性染料、ス
レン染料など何れでも良いが、反応性染料が均染性及び
鮮明性、染色堅牢度の点から最も好ましい。反応性染料
タイプとしては、ビニルスルホン系、トリアジン系、ピ
リミジン系など何れでも良いが、ビニルスルホン系及び
トリアジン系などよりなる2官能タイブが最も好まし
い。反応性染料による染色方法については、予め、硫酸
ナトリウムとアルカリ剤を投入するオールイン染法で
も、染色温度より少し高い温度で硫酸ナトリウムを投入
し、染色温度まで徐冷して、アルカリ剤を投入するクー
ルダウン法など何れでも良い。染色後の洗浄及びフィッ
クス処理、オイリング処理等は、通常糸染めに用いる洗
浄剤、フィックス剤、オイリング剤などを使用しても何
ら構わない。
【0012】本発明の染色糸は、刺繍糸、紐など、ま
た、染色糸を用いた布帛としては、横編や丸編物などに
用いることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例で具体的に
説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものでは
ない。なお、実施例中の繊維等の物性評価は以下の方法
で行った。 (1) 試料の調湿;物性測定用試料は、予め、20℃、
相対湿度65%の雰囲気下に48時間以上調湿し、供試
試料とした。
【0014】(2) フィブリル化度;繊維のフィブリル
化の尺度を固定するために全くフィブリル化していない
繊維から激しくフィブリル化している繊維までの一連の
繊維を準備し、全くフィブリル化していないものを10
0点、激しくフィブリル化しているものを0点としてそ
の間を20分割して5点刻みで評価し得る標準サンプル
を作成した。フィブリル化試験は以下のように行った。
【0015】繊維1gを5mm長さに切断し、3%、7
0℃に調整した50ccの硫酸に30分浸漬する。その
後、糸に衝撃を与えないように十分水洗し、続いて、3
00ccの室温の水を入れた松下電器社製「ミキサーMX
−40X」に入れ、所定時間のミキシングを行う。その
後、繊維を乾燥し、顕微鏡により観察し、前述の標準サ
ンプルのフィブリル化の程度と比較して採点する。
【0016】(3) X線結晶配向度:透過法によりシンチ
レーションカウンターを101面の回折角度に相当する
2θ=20.1゜に固定し、試料の繊維束を入射X線に
対し垂直に回転させ、方位角ψの回折X線強度を測定し
た。X線結晶配向度(fc)は次式により算出した。式
中、ψ1/2 は、方位角度で現した半値幅である。
【0017】 fc(%)={1−(ψ1/2 /180)}×100 ・・・(1) (4) Tmax及びtanδの測定:次にオリエンテック
社製Rheovibron DDV01EPを用い、試料の繊維長20m
m、初期荷重0.1g/dとし、測定周波数100Hzで室
温から350℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、試
料の動的粘弾性(tanδ)を測定する。得られる温度
−tanδ曲線において、真鍋らの報告(Polymer Journ
al VOL.18.P1) をもとに140℃から290℃の間に出
現するピークα2分散として、このピークのピークトッ
プ温度をTmax、およびピークトップの値をtanδ
とした。 (5) 洗濯試験:JIS L−1042G法(タンブラー
乾燥)
【0018】
【表1】
【0019】
【実施例1】セルロース/銅アンモニア紡糸原液を紡口
(口径0.5mm、45ホール)より紡糸濾斗に押し出
した。濾斗の下に凝固液噴射器を2個設置し、更にその
下に角度60℃の樋を設置した。紡糸に際しては、紡糸
濾斗中に39℃の温水を注入し、凝固液噴射器には70
℃の温水を注入した。紡出した繊維は樋を500mm流
れたところで引き上げて変更させ、その後、硫酸を流し
た周速90m/分で回る23個の硫酸再生ロールにより酸
洗、60℃温水を流した周速90m/分で回る23個の水
洗ロールにより水洗し、油剤を付与後、乾燥して巻き上
げ、本発明のセルロースマルチフィラメント糸No.1
を得た。その物性を表1に示す。
【0020】直径5.5cm、長さ11cmの染色チュ
ーブに上記セルロースマルチフィラメント糸No.1
(75d/45f)2本を下撚り400T/M、上撚り
350T/Mで撚糸した。この諸糸をSSPワインダー
(神津製作所社製)を用いて、巻き密度0.35g/c
3 、巻き量500gで巻き、ついでこのチーズを日阪
パッケージ染色機(日阪製作所社製)を用いて下記の染
色処方と条件で染色、洗浄後、チーズ乾燥機(日阪製作
所社製)を用いて、20分脱水後、80℃にて2時間乾
燥したものを2本取りして、14GGの天竺を試編みし
た。
【0021】 (染色処方と条件) Sumifix Brill Blue R (住化染料テック社製:ビニルスルホン系反応性染料) 1%owf 硫酸ナトリウム 50g/l 炭酸ナトリウム 15g/l 染液方向はチーズ内層から外層方向で、染液温度より2
0℃より1℃/分にて70℃まで昇温し、硫酸ナトリウ
ムを10分毎に2分割して添加した後、60℃まで徐冷
し、続いて、炭酸ナトリウムを10分毎に2分割して添
加した後、30分間染色し、中和後、80℃で洗浄し
た。
【0022】
【比較例1】紡糸濾斗の下に凝固液噴射器2個と樋を設
置する代わりに、凝固液噴射器1個と凝固菅を設けた以
外は実施例1と同じ装置を用いて、セルロース/銅アン
モニア紡糸原液を紡糸濾斗に押し出した。紡糸に際して
は、紡糸濾斗中に39℃の温水を注入し、凝固液噴射器
には70℃の温水を注入した。紡出した繊維は凝固管下
で変更させ、その後、硫酸浴により酸洗、水洗浴により
水洗し、油剤を付与後、乾燥して巻き上げ、比較例のセ
ルロースマルチフィラメント糸No.2を得た。その物
性を表1に示す。
【0023】直径5.5cm、長さ11cmの染色チュ
ーブに上記セルロースマルチフィラメント糸No.2
(75d/45f)2本を下撚り400T/M、上撚り
3 50T/Mで撚糸した。この諸糸をSSPワンイダ
ー(神津製作所社製)を用いて、巻き密度0.35g/
cm3 、巻き量500 gで巻き、以下、実施例1と同様に
して、染色、洗浄、脱水、乾燥したものを2本取りし
て、14GGの天竺を試編みした。
【0024】得られた天竺編物を繰り返し洗濯を50回
実施した結果、実施例1の編物は殆どフィブリルが発生
せず、外観品位が高いのに対し、比較例1の編物は、全
面にフィブリルが発生し、編物表面が擦れて「白化」が
目立ち、外観品位の低いものであった。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、フィブリルの発生の極
めて少ないセルロース系繊維染色糸を提供することがで
きる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線結晶配向度が70〜85%のセルロ
    ースマルチフィラメント糸を染色してなるセルロース系
    繊維染色糸。
  2. 【請求項2】 前記セルロースマルチフィラメント糸の
    動的粘弾性値のピークトップ温度Tmaxが252℃〜
    280℃、そのときのtanδが0.062〜0.09
    0である請求項1記載のセルロース系繊維染色糸。
  3. 【請求項3】 前記セルロースマルチフィラメント糸の
    ヤーン表面占有率が30%以上である請求項1記載のセ
    ルロース系繊維染色糸。
JP10145797A 1998-05-27 1998-05-27 セルロース系繊維染色糸 Pending JPH11335934A (ja)

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