JPH11333454A - 油性溶質吸着体及び浄水器 - Google Patents

油性溶質吸着体及び浄水器

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JPH11333454A
JPH11333454A JP1082199A JP1082199A JPH11333454A JP H11333454 A JPH11333454 A JP H11333454A JP 1082199 A JP1082199 A JP 1082199A JP 1082199 A JP1082199 A JP 1082199A JP H11333454 A JPH11333454 A JP H11333454A
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JP
Japan
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water
oily
solute
adsorbent
polymer
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Application number
JP1082199A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Konishi
義昭 小西
Hiroshi Nogami
宏 野上
Fumio Kida
文夫 木田
Tetsutaro Doi
鉄太郎 土井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikkiso Co Ltd
Original Assignee
Nikkiso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種の溶質を含んだ水性溶液から油性溶質を
選択的に吸着除去することのできる油性溶質吸着体及び
浄水器の提供。 【解決手段】 水に対する接触角が60度以上であるポ
リマーを油性溶質の吸着材とすることを特徴とする油性
溶質吸着体及びこれを利用した浄水器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は油性溶質吸着体及
び浄水器に関し、更に詳しくは、水系溶媒に溶解してい
る微量の油性溶質たとえばトリハロメタン等を効率良く
除去することのできる油性溶質吸着体、及びこの油性溶
質吸着体を利用した浄水器に関する。
【0002】
【従来の技術】油性溶質が水系溶媒に、二相に分離しな
い程度の微量に、溶解ないし分散している混合系におい
て、油性溶質を、選択的に除去することのできる吸着材
に関する従来技術は、見あたらない。
【0003】もっとも、従来から分離手段の一つとし
て、活性炭が知られている。例えば、活性炭を充填して
なる吸着装置がある。吸着材が活性炭である場合、活性
炭の細孔分布に応じて被吸着物が実質的に決定されると
いう特性がある。つまり、平均細孔径が大きいとその平
均細孔径よりも小さな物質は活性炭で効率良くその物質
を除去することができないので、除去しようとする物質
の大きさに応じて活性炭の種類を選択しなければならな
いと言う制約が活性炭にある。
【0004】又、活性炭を充填した分離装置において
は、逆洗をするのに長時間を要するという問題点、固形
物の濾別をすることができないと言う問題点がある。要
するに活性炭は、被吸着物の粒子径に依存していて、粒
子の油溶性、あるいは水溶性という性質に依存していな
かった。さらに活性炭はその粉炭が発生するので、活性
炭を採用する吸着装置には、吸着装置の下流側にこの粉
炭を除くフィルターがさらに必要になるという問題点が
ある。
【0005】油水分離装置としてオイルフェンスという
分離手段が知られている。このオイルフェンスは、二相
に分離しているときに有効な、分離除去材である。例え
ばオイル流出海上事故を想定すると、このオイルフェン
スは、海上に油膜となって存在する油を吸着除去するこ
とはできる。しかしながら、このオイルフェンスは海水
中に溶解ないし分散している状態の油に対する有効な除
去材ではない。
【0006】イオン交換樹脂という分離手段が知られて
いる。このイオン交換樹脂を充填した分離装置では、イ
オン物質或いは分極又は荷電している物質しかこれを有
効に除去することができない。
【0007】クロマト用分離材が分離手段として知られ
ている。このクロマト用分離材は、吸着と脱着との平衡
を利用する分離手段である。
【0008】ポリエーテルスルホンとポリアリレートと
を含有するポリマーアロイからなる濾過膜が、その細孔
を通過するエンドトキシンを吸着除去することができる
ということは公知である(特開平8−243366号公
報)。エンドトキシンは多糖類であり、特定の親水性物
質である。したがって、このような濾過膜によって親水
性物質を吸着除去することが知られているだけであり、
疎水性物質の低濃度水溶液からその疎水性物質を吸着除
去可能か否かは知られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、水
系溶媒に溶解している微量の油性溶質を効率良く吸着除
去することのできる油性溶質吸着体、及びこの油性溶質
吸着体を利用した浄水器を提供することにある。
【0010】この発明の他の目的は、水系溶媒に溶解す
る疎水性物質を吸着除去することのできる油性溶質吸着
体及びこれを使用する浄水器を提供することにある。
【0011】この発明の他の目的は、分離材の頻繁な交
換もしくは再生の必要のない油性溶質吸着体及びこれを
使用する浄水器を提供することにある。
【0012】この発明の他の目的は、疎水性の表面を有
するポリマーである分離材により、疎水性物質の低濃度
水溶液からそれら疎水性物質を吸着除去することがで
き、水の浄化に十分実用的に使用することのできる油性
溶質吸着体及びこれを使用する浄水器を提供することに
ある。
【0013】この発明の他の目的は、各種の溶質を含ん
だ水溶液から油性溶質を吸着除去することのできる油性
溶質吸着体及びこれを使用する浄水器を提供することに
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
のこの発明は、水に対する接触角が60度以上であるポ
リマーを油性溶質の吸着材とすることを特徴とする油性
溶質吸着体であり、この発明の好適な態様においては、
前記ポリマーが、ポリアリレート、ポリエーテルスルホ
ン、及びポリスルホンよりなる群から選択される少なく
とも一種を含有するポリマーアロイから形成されてな
り、この発明の好適な他の態様においては、前記ポリマ
ーが中空糸濾過膜に形成されてなり、他の発明は、前記
油性溶質吸着体を有することを特徴とする浄水器であ
る。
【0015】
【発明の実施の態様】この油性溶質吸着体は、水に対す
る接触角が60度以上であるポリマーを油性溶質の吸着
材とする。
【0016】前記接触角は、固体、液体、および気体を
接触させたとき、三相の接触点で液体に引いた接線と固
体面とのなす角のうち液体を含む側の角度を言う。接触
角を測定する装置としては、特に制限がないのである
が、通常、共和界面科学株式会社製の接触角計(CA−
A型)が好適に使用される。
【0017】この発明におけるポリマーは水に対する接
触角が60度以上であることが重要である。また好まし
い接触角は70度以上であり、更に好ましくは110度
を越えない。ここで、水は通常の蒸留水を言う。
【0018】ポリマーの水に対する接触角が60度未満
であると、そのポリマーは油性物質を吸着しない。この
ような接触角を有するポリマーは疎水性ポリマーであ
る。この疎水性ポリマーの例としては、ポリスルホン、
ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリ(メタ)
アクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、1,2
−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、ポリスチ
レン−ポリブタジエンブロックポリマー、ポリイソプレ
ン、ポリクロロプレン等を挙げることができる。この発
明におけるポリマーはこれらの一種単独で使用されても
良く、また親油性を低下させて接触角が60度未満にな
らない範囲で前記二種以上の疎水性ポリマーが併用され
ても、また他のモノマーユニットが含有されていても良
い。
【0019】これらの中でも、ポリスルホン、ポリエー
テルスルホン、及びポリアリレートよりなる群から選択
される少なくとも一種が好ましく、中でも、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、及びポリアリレートよりな
る群から選択される少なくとも一種を含有するポリマー
アロイが好ましく、また、ポリアリレートとポリスルホ
ンとを組み合わせたポリマーアロイ、及びポリアリレー
トとポリエーテルスルホンとを組み合わせたポリマーア
ロイが特に好ましい。
【0020】前記ポリアリレートは、以下の化1に示す
繰り返し単位を有するポリマーを好適に採用することが
できる。
【0021】
【化1】 ただし、式中、R1及びR2は炭素数が1〜5の低級アル
キル基である。R1及びR2は互いに同一であっても良
く、あるいは相違していても良い。R1及びR2として
は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基等を挙げることができる。この発明にお
いては、R1及びR2がメチル基であるのが好ましい。
【0022】このポリアリレートは、その分子量が2
0,000〜50,000程度であるのが良い。
【0023】この発明においては、前記ポリアリレート
としては、二価フェノールと芳香族ジカルボン酸とを重
縮合することにより適宜に合成したポリアリレートを用
いても良く、また市販品を用いても良い。市販品として
は、商標名「Uポリマー」として販売されているユニチ
カ(株)による製品、商標名「APE」として販売され
ているバイエル社による製品、商標名「DUREL」と
して販売されているセラニーズ社による製品、商標名
「Arylon」として販売されているデュポン社によ
る製品等を挙げることができる。
【0024】前記ポリスルホンとしては、以下の化2に
示す繰り返し単位を有するポリマーを好適に採用するこ
とができる。
【0025】
【化2】 ただし、式中、R3及びR4は炭素数が1〜5の低級アル
キル基である。R3及びR4は互いに同一であっても良
く、あるいは相違していても良い。R3及びR4として
は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基等を挙げることができる。この発明にお
いては、R3及びR4がメチル基であるのが好ましい。
【0026】前記化2で示される繰り返し単位を有する
ポリスルホンは、その分子量が20,000〜40,0
00程度が好ましい。
【0027】このポリスルホンは、適宜に合成したポリ
スルホンを用いても良く、また市販品を用いても良い。
市販品としては、商品名「P−3500」として販売さ
れているユニオンカーバイド社製の製品を挙げることが
できる。
【0028】前記ポリエーテルスルホンとしては、次の
化3で示される繰り返し単位を有するポリマーを挙げる
ことができる。
【0029】
【化3】 このポリエーテルスルホンは、前記化3で示される繰り
返し単位を主たる繰り返し単位としていればよく、その
分子量が20,000〜40,000程度であるのが好
ましい。
【0030】また、このポリエーテルスルホンとして
は、適宜に合成したポリエーテルスルホンを用いても良
く、また市販品を用いても良い。市販品としては、商標
名「スミカエクセルPES」として販売されている住友
化学工業(株)による製品等を挙げることができる。
【0031】ポリアリレートとポリスルホン及び/又は
ポリエーテルスルホンとを組み合わせる場合、ポリアリ
レート(A)とポリスルホン及び/又はポリエーテルス
ルホン(B)との混合重量比(A/B)は、0.1〜1
0、好ましくは0.3〜4であるのが望ましい。混合重
量比がこの範囲を外れると、このポリマーアロイを中空
糸濾過膜に形成した場合に、分子量が1000以下であ
る有機分子よりも大きな孔を有する中空糸濾過膜を得る
ことができないことがある。すなわち、吸着対象である
分子量1000以下の分子であってもその一部を通過さ
せないものしかできない場合がある。
【0032】前記ポリ(メタ)アクリレートとしては、
ポリメチルメタクリル酸メチル、ポリメチルメタクリル
酸エチル、ポリエチルメタクリル酸メチル、ポリエチル
メタクリル酸メチル、ポリエチルメタクリル酸エチル、
ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等が好適
である。
【0033】なお、上記ポリマーであっても、分子量が
小さかったり、その表面を改質するために何らかの処理
が行われた結果、水に対する接触角が60度未満になっ
ているポリマー、及び、重合時に微量の親水性モノマー
を共重合させ、又は重合時に立体異性を制御して結晶性
を低下させて、水に対する接触角が60度未満になって
いるポリマーは、この発明における「水に対する接触角
が60度以上であるポリマー」から除外される。
【0034】この発明におけるポリマーは、その形態と
して、例えば、シート状、ひも状、短冊状等のような長
尺状の形態、顆粒状、粒状、粉末状等のような粒子状の
形態、及び繊維形態等を挙げることができる。また、別
の観点よりすると、このポリマーは、チューブ状、スポ
ンジ状、ブロック状、スパイラル状等の様々の形状を有
していても良い。
【0035】また、この発明におけるポリマーは、その
形態が、平膜状、粒状、棒状、ラシヒリング状、フレー
ク状であってもよく、また中空糸膜の形態であっても良
い。いずれにしても、比表面積の大きな形態のポリマ
ー、又は表面真体積比の大きな形態のポリマーが好まし
い。好ましい表面真体積比としては、100cm2/c
3以上、特に200cm2/cm3以上が好ましい。
【0036】この発明における各種形態を有するポリマ
ーの中でも、中空糸膜であって、中空糸膜の外側、及び
中空糸膜の内側のいずれかが濾過前の液に接触し、他方
が濾過後に接触するように、膜両側を区画された濾過器
に構成されており、しかも濾過前の液中の油性溶質より
も大きな平均孔径を有するのが好ましい。ポリマーがこ
のような好適な形態である中空糸膜であると、中空糸膜
における平均孔径が油性溶質よりも大きいと、中空糸膜
の外側面、内側面及び孔壁の全てが油性溶質を吸着する
吸着面として機能する。中空糸膜における平均孔径が油
性溶質よりも小さいと中空糸膜の外側面又は内側面のい
ずれかしか吸着面として機能せず、吸着可能量が低下す
る。
【0037】この発明を濾過器に構成された中空糸とす
る場合、この中空糸における孔中を油性溶質含有液を強
制的に流通させるようにすると、ポリマーと油性溶質と
の接触確率を高める上で、効率的である。
【0038】この発明における吸着材としてのポリマー
が前記ポリマーアロイであるときには、前記二種以上の
疎水性ポリマーを有機溶媒に溶解してポリマー原液を調
製し、このポリマー原液を紡糸口金又は押し出しダイス
から押しだして凝固液中に導入すると、条件を選択する
ことにより、紐状体もしくは糸状体が形成される。この
紐状体の直径が小さい場合に、この紐状体を所定長さに
切断すると繊維形態の油性溶質吸着体が形成され、この
紐状体の直径がある程度の大きさを有するときには、こ
の紐状体を所定長さに切断すると、ペレット状、軸状の
油性溶質吸着体が得られる。
【0039】また、紡糸口金又は押し出しダイスから押
し出して得られる前記紐状体の断面は、見かけ上単純な
円形であるよりも中空状、星形状等の、表面積が大きく
なる異形であるのが望ましい。
【0040】このような顆粒状、粒子状、ペレット状、
繊維状等の吸着材としてのポリマーを形成するには、前
記ポリマーアロイを有機極性溶媒に溶解してなるポリマ
ー原液を紡糸口金又は押し出しダイスから押し出すのが
よい。
【0041】前記有機極性溶媒としては、例えばテトラ
ヒドラフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等を
挙げることができる。
【0042】前記ポリマー原液を調製する際に、二種の
ポリマーの濃度、特にポリアリレートとポリスルホン及
び/又はポリエーテルスルホンとの合計濃度としては、
通常10〜25重量%、好ましくは12〜20重量%で
ある。このポリマー原液は、紡糸口金から吐出すること
により繊維を形成するために調製される場合、前記ポリ
マー濃度が10重量%よりも低いときには、紡糸口金に
より紡糸しても強度のある糸に紡糸することができない
ことがあり、また25重量%よりも濃度が高いと、多孔
質の糸に紡糸することができず、またポリマー原液がゲ
ル化し易くなって取り扱いに困ることがある。
【0043】前記有機極性溶媒に二種のポリマー特にポ
リアリレートとポリスルホン及び/又はポリエーテルス
ルホンとを溶解する際の温度は、通常30〜100℃、
好ましくは50〜80℃である。
【0044】なお、吸着材であるポリマーは、この発明
の目的を阻害しない限りにおいて、各種の添加剤を含有
していても良い。
【0045】この発明に係る吸着体として機能するポリ
マーが吸着する被吸着体は油性溶質であり、直接に人に
有害とされる程の濃度には水系溶媒には溶解していない
が、繰り返しの吸収によって人体に害をもたらすと言わ
れている分子量1000以下の分子を主体とする溶質で
ある。
【0046】この油性溶質としては、水に対して微溶性
又は難溶性である有機化合物を挙げることができる。例
えば、ヘキサンに易溶性であり、かつ水に対する溶解性
が1g/水100g以下であるとき、この油性溶質は水
に対して微溶性、又は難溶性であると言うことができ
る。また、この油性溶質としては、炭素数が10以下で
あり、かつ水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ
キシル基、ニトロキシル基、スルホン酸基等の親水性基
を含まない有機化合物、及び炭素数が10を越える炭化
水素基を有する有機化合物を挙げることができる。
【0047】油性溶質の具体例としては、クロロホル
ム、ブロモジクロルメタン、ジブロモクロルメタン、及
びブロモホルム等のトリハロメタン類、DDT、ダイオ
キシン、及びPCB等の芳香族系含ハロゲン有機化合
物、トリクロロエタン、トリブロモエタン、及びモノク
ロロジブロモエタン等のトリハロエタン類、並びにこの
トリハロエタン類を含み、その他にテトラクロロエチレ
ン、テトラクロロエタン、及び四塩化炭素等の脂肪族系
含ハロゲン有機化合物等を挙げることができる。この吸
着材であるポリマーは、前記油性溶質の一種又は二種以
上を同時に吸着することもできる。
【0048】油性溶質の他の例としては、ベンゼン、ア
ンスラセン、及びヘキサン等の炭化水素を挙げることが
できる。相分離した状態で前記油性溶質を含有せずにこ
れを溶解若しくは分散している水系溶液の例としては、
例えば河川水、井水、湖沼水、水道水、透析液、生理的
食塩水、輸液等を挙げることができる。これらの中でト
リハロメタンの吸着を有効に生かせるのは塩素滅菌され
た水道水である。
【0049】この発明に係る油性溶質吸着体は、良好な
吸着作用を有する。したがって、この油性溶質吸着体と
油性溶質含有液たとえば前記水道水とを接触させる様々
の手法によって、油性溶質を除去することができる。
【0050】例えば、この発明に係る油性溶質吸着体
は、その形状が顆粒状、粒状、粉末状、ペレット状等で
あるときに、油性溶質を含有する液、つまり油性溶質含
有液中にそのまま添加し、十分に攪拌混合してから濾過
することにより、油性溶質の除去された精製液を得るこ
とができる。濾過操作を望まないのであれば、例えば油
性溶質吸着体を装填した袋を油性溶質含有液中に浸漬す
る方法もあり得る。この浸漬方法であると、袋を引き挙
げるだけで、油性溶質を除去した液を得ることができ
る。
【0051】この発明に係る油性溶質吸着体は、その形
状が紐状体、長尺のテープ状、シート状であるときに
は、この油性溶質吸着体を、油性溶質含有液中に浸漬
し、懸垂しても良い。また、テープ状又はシート状の油
性溶質吸着体を巻回してなる巻回物を油性溶質含有液中
に浸漬しても良い。
【0052】この発明に係る油性溶質吸着体は、次に説
明する浄水器に装填してもよい。
【0053】油性溶質を吸着した油性溶質吸着体は、加
熱処理及び超音波照射処理等により、吸着された油性溶
質を容易に脱着することができる。
【0054】油性溶質が含ハロゲン有機化合物であると
きには、加熱処理が好ましい。加熱処理としては、例え
ば50〜150℃に加熱することを挙げることができ
る。加熱は、適宜の加熱手段で加熱する。例えば、油性
溶質吸着体を適宜の容器に収容し、その容器を加熱して
も良いし、前記温度範囲に加熱された温湯に、油性溶質
を吸着した油性溶質吸着体を浸漬し、所定時間かけて温
熱加熱しても良い。また、所定の温度に加熱された蒸気
を、油性溶質を吸着した油性溶質吸着体に、散布しても
良い。このような加熱処理は、吸着された油性溶質が含
ハロゲン有機化合物たとえばトリハロメタン類であると
きに、効果的である。
【0055】超音波処理は、吸着物質が含ハロゲン有機
化合物たとえばトリハロメタン類であるときに有効であ
る。
【0056】この発明に係る浄水器の具体例は、この発
明に係る油性溶質吸着体に接触させる油性溶質含有液を
導入する導入口及び液を排出する導出口を備え、内部に
油性溶質吸着体を装填した容器を備えてなる。
【0057】油性溶質吸着体を装填する容器は、油性溶
質吸着体を内部に装填することができ、この容器内に有
機物質含有液を導入する導入口及び処理された液を容器
の外に導出する導出口を備えている限り、その規模、構
造等に制限がない。
【0058】多くの場合、円筒形の筒体とその一端部に
設けられた導入口とその他端部に設けられた導出口とを
備えるタンクが採用される。
【0059】容器の中には、油性溶質吸着体を装填する
のであるが、その油性溶質吸着体の形状に応じた工夫が
必要である。例えば油性溶質吸着体が粉状、又は粒状で
あるときには、容器内に装填された油性溶質吸着体が圧
密化されてしまうと、容器内に導入した油性溶質含有液
の流通が悪くなるおそれがあるので、液の流通を確保す
る液流通確保手段が必要になる。
【0060】液流通確保手段としては、例えば円筒状の
タンク内に、その半径方向に張設された網体を、軸方向
に向けて所定間隔をもって、複数配設することが挙げら
れる。この液流通確保手段においては、タンクの軸線方
向に沿って所定間隔毎に網体が張設されてなる。そし
て、網体と網体との間に、粉末状、粒状、又は顆粒状の
油性溶質吸着体を装填する。網体と網体との間に装填さ
れる油性溶質吸着体は、タンク内を流通する液により攪
拌される程度の量であるのが望ましい。網体と網体との
間に油性溶質吸着体がぎっしりと装填されると、油性溶
質含有液の流通が悪くなるからである。
【0061】この浄水器においては、容器内の油性溶質
吸着体を再生するための再生液導入装置及び/又は超音
波照射装置を併設してなるのが好ましい。
【0062】再生液導入装置としては、容器内に、実質
的に油性溶質を含有しない液を導入する液導入装置を挙
げることができる。この液導入装置においては、油性溶
質を実質的に含有しない液を常温で容器内に供給するこ
とができるように、又は、前記油性溶質を実質的に含有
しない液を所定の温度に加熱し、その温度に加熱された
液を容器内に供給することができるように、又は、前記
油性溶質を実質的に含有しない液の蒸気を前記容器内に
供給することができるようにしても良い。
【0063】さらには、この再生液導入装置として、前
記油性溶質を実質的に含有しない常温の液を、容器内に
供給する液導入装置と、容器内を所定温度に加熱する加
熱装置とを備えてなる装置をも挙げることができる。
【0064】この加熱装置としては、容器内に配設さ
れ、所定温度を有する熱媒を流通させる配管を備えた装
置、容器内に配設され、絶縁管に被覆された電熱線を有
する装置、容器の外周に配設され、所定温度を有する熱
媒を流通させる配管を備えた装置、容器の外周に配設さ
れ、絶縁管に被覆された電熱線を有する装置等を挙げる
ことができる。
【0065】また超音波照射装置としては、容器内又は
容器外に設置された超音波発振器を備え、容器内の油性
溶質吸着体に超音波を照射することができるようにして
なる超音波照射装置等を挙げることができる。
【0066】再生液供給装置及び超音波照射装置はいず
れか一方を容器に備えても良く、またいずれをも容器に
備えても良い。
【0067】油性溶質吸着体を装填した複数の容器を直
列に接続しても良く、また並列に接続しても良く、さら
には直列と並列とを組み合わせて接続しても良い。どの
ような組み合わせの接続になるかは、油性溶質含有液の
処理量、油性溶質の種類等に応じて、当業者により適宜
に決定される事項である。
【0068】また、容器内に装填する油性溶質吸着体の
量、油性溶質含有液の流通速度等の処理条件は、当業者
により容易に、かつ適宜に決定される事項である。
【0069】この発明に係る浄水器の他の例として、例
えば、この発明におけるポリマーの形態が平膜状である
ときには、平膜状のポリマーを空隙の多いセパレータを
介して積層した積層体、又はこの積層体を渦巻き状に巻
回してなる巻回物を例えば円筒ケースに装填してなる構
造、又このポリマーが濾過膜状であるときには、膜の両
側それぞれに液密な原液室と濾過液室とが形成されるよ
うにチャンバー内にポリマー濾過膜が介装されてなる構
造、このポリマーが粒状、棒状、ラシヒリング状、及び
フレーク状等の形態をとるときには、これら形態のポリ
マーを充填カラムに装填してなる構造等を挙げることが
できる。更に、このポリマーが中空糸膜状であるときに
は、この多数本の中空糸膜を管状のケースに装填し、中
空糸の一端開口部から中空糸の周側面へと液が通過する
ことができるように形成されてなる構造等を挙げること
ができる。
【0070】このような浄水器の一例を、図面を参照し
て、説明する。
【0071】図1に示された浄水器においては、両端が
開口した、この発明におけるポリマーで形成された中空
糸濾過膜1が、略円筒状の中空糸濾過膜ケース2の内部
に、充填されている。前記中空糸濾過膜ケース2の側面
における両端部のそれぞれには、枝管21及び22が設
けられている。
【0072】前記中空糸濾過膜1は、中空糸濾過膜ケー
ス2の両端部においてポッティングされ、これにより、
前記中空糸濾過膜の両端部にポッティング部23及び2
4が形成されている。前記ポッティング部23及び24
は、いずれも、中空糸濾過膜ケース2の端面に沿って切
断され、末端開口部11及び12が形成されている。
【0073】前記中空糸濾過膜ケース2における、末端
開口部11が形成された方の端部には、底部を有する略
円筒状の被処理水供給キャップ31が被せられ、前記中
空糸濾過膜ケース2における、末端開口部12が形成さ
れた方の端部には、前記被処理水供給キャップ31と同
様の形状を有するドレン排出キャップ32が被せられて
いる。被処理水供給キャップ31の底面における中央部
からは、被処理水を供給する被処理水供給管31aが、
末端開口部11から遠ざかる方向に向かって伸びてい
る。一方、ドレン排出キャップ32の底面における中央
部には、ドレンを排出するドレン排出管32aが、前記
末端開口部12から遠ざかる方向に向かって伸びてい
る。前記ドレン排出管32aには、開閉弁であるドレン
弁32bが設けられている。尚、中空糸濾過膜ケース2
と被処理水供給キャップ31との間、及び中空糸濾過膜
ケース2とドレン排出キャップ32との間には、それぞ
れOリング41及び42が嵌装されている。
【0074】以上、要するに、この浄水器は、疎水性で
あり、且つ分子量が1,000以下である有機化合物の
分子よりも大きな孔を有する中空糸濾過膜と、第1及び
第2の通水口を備え、且つ、前記中空糸濾過膜によっ
て、前記第1の通水口を備える第1の室と前記第2の通
水口を備える第2の室とに分割された中空糸濾過膜ケー
スとを備えてなる。
【0075】この浄水器における中空糸濾過膜は、除去
しようとする有機化合物の分子よりも大きな平均孔径を
有するのが好ましく、また、除去しようとする被吸着物
は、その殆どが分子量1000以下であるので、それら
を通過させるように分子量が1000以下である有機化
合物の分子よりも大きな孔を有するのが好ましい。もち
ろん、分子量1000の分子よりもはるかに大きくても
良いが、あまり孔径が大きい場合には濾過膜としての使
用に際して、孔壁と対象液との接触が不十分になり、ま
た、固体粒子の通過を許すことになってしまう。
【0076】図1に示された浄水器において被処理水を
吸着及び濾過する時(以下「濾過時」という。)には、
被処理水供給管31aを通して末端開口部11に被処理
水を供給する。このとき、ドレン弁32bは閉めてお
く。
【0077】前記被処理水は、末端開口部11から中空
糸濾過膜1の内部に流入する。中空糸濾過膜1の内部に
流入した被処理水は、中空糸濾過膜1の外側に向かって
透過することにより濾過される。中空糸濾過膜1で濾過
された濾過水は、枝管21及び22を通って前記浄水器
の外部に流出する。
【0078】前記浄水器を逆洗するとき(以下「逆洗
時」という。)には、枝管21及び22から洗浄水を供
給する。このときは、ドレン弁32bを開いておく。
【0079】前記洗浄水は、中空糸濾過膜1の外側から
内側に向かって透過し、末端開口部11及び12から中
空糸濾過膜ケース2の外部に流出する。これによって、
濾過時に中空糸濾過膜1に蓄積した汚れが除去される。
【0080】なお、吸着器に吸着された油性溶質の除去
は前記逆洗操作に限らず、吸着工程において溶質含有液
を流通させたのと同じ方向に洗浄液を流通させる操作に
よっても実現することができる。
【0081】濾過膜状に形成したポリマーをこのように
モジュール化してなる浄水器は、逆洗が容易であり、被
洗浄液中に細菌、エンドトキシン、微小固形物等を含有
するときには、これらをも除去することができる。
【0082】
【実施例】(実施例1) <浄水器の作成>前記式(I)においてR1及びR2がい
ずれもメチル基であるポリアリレート樹脂((株)ユニ
チカ製、商品名;Uポリマー「U−100」、水に対す
る接触角:74.1度、以下「PA」と略する。)と、
前記式(III)で示されるポリエーテルスルホン樹脂
(住友化学工業株式会社製、商品名:スミカエクセルP
ES、水に対する接触角:66.4度、以下「PES」
と略する。)とをN−メチル−2−ピロリドン(以下
「NMP」と略する。)に加え、60℃に加熱しながら
溶解して紡糸原液を調製した。前記紡糸原液におけるP
AとPESとを合計した樹脂濃度は17重量%であり、
PAとPESとの混合重量比は、1:1であった。この
ポリマーの水に対する接触角は70.6度であった。
【0083】二重管紡糸口金の内側から、芯液として、
NMP50容量%及び水50容量%の混合液を吐出し、
前記二重管紡糸口金の外側から前記紡糸原液を吐出し、
空気中を20〜50mm通過させた後、NMP60容量%
及び水40容量%の混合液である凝固浴中に導いて凝固
させ、中空糸濾過膜を得た。二重管紡糸口金の温度は7
〜8℃に設定した。
【0084】得られた中空糸を水洗し、次いで乾燥し
て、有効膜面積1.2m2である、図1に示すような浄
水器を作成した。
【0085】<油性溶質の除去性能試験> (1) 油性溶質としてDDTを0.0023mg/リッ
トルの濃度で含有する原水(被処理水)を前記浄水器
に、1リットル/分の割合で10分間通水し、その後に
濾過膜で濾過された通過水を採取して測定試料とした。
DDTの検出限界は0.0002mg/リットルである
とするも、通過水にはDDTが検出されなかった。
【0086】(2) 油性溶質としてベンゼンを0.01
0mg/リットルの濃度で含有する原水(被処理水)
を、前記浄水器に、1リットル/分の割合で10分間通
水し、その後に濾過膜で濾過された通過水を採取して測
定試料とした。通過水にはベンゼンが0.002mg/
リットルの濃度で検出された。ベンゼンの除去率は80
%である。
【0087】(3) 油性溶質としてテトラクロロエチレ
ンを0.0068mg/リットルの濃度で含有する原水
(被処理水)を前記浄水器に、1リットル/分の割合で
10分間通水し、その後に濾過膜で濾過された通過水を
採取して測定試料とした。テトラクロロエチレンの検出
限界は0.0002mg/リットルであるとするも、通
過水にはテトラクロレチレンが検出されなかった。
【0088】(4) 油性溶質として1,1,2−トリク
ロロエタンを0.0066mg/リットルの濃度で含有
する原水(被処理水)を前記浄水器に、1リットル/分
の割合で10分間通水し、その後に濾過膜で濾過された
通過水を採取して測定試料とした。通過水には1,1,
2−トリクロロエタンが0.0019mg/リットルの
濃度で検出された。1,1,2−トリクロロエタンの除
去率は71.2%であった。
【0089】(5) 油性溶質としてドデシルベンゼンス
ルホン酸ソーダを0.24mg/リットルの濃度で含有
する原水(被処理水)を前記浄水器に、1リットル/分
の割合で10分間通水し、その後に濾過膜で濾過された
通過水を採取して測定試料とした。ドデシルベンゼンス
ルホン酸ソーダの検出限界は0.02mg/リットルで
あるとするも、通過水にはドデシルベンゼンスルホン酸
ソーダが検出されなかった。
【0090】(6) 油性溶質としてフミン酸を6.6m
g/リットルの濃度で含有する原水(被処理水)を前記
浄水器に、1リットル/分の割合で10分間通水し、そ
の後に濾過膜で濾過された通過水を採取して測定試料と
した。通過水にはフミン酸が2.4mg/リットルの濃
度で検出された。フミン酸の除去率は63.6%であっ
た。
【0091】ところで、フミン酸は、溶液中の塩素と反
応してトリハロメタンを生成させる。又、フミン酸は親
水性化合物である。したがって、水道水中のフミン酸と
塩素とが反応してトリハロメタンが水道水中で生成する
のを防止するために、フミン酸と親和性を有する分離材
を使用するのが従来の技術であったが、疎水性のポリマ
ーがフミン酸を除去することができたことは注目に値す
る。したがって、この発明に係る吸着器及び浄水器を、
フミン酸除去を目的とする吸着器及び浄水器にすること
が好ましい。
【0092】(7) 水道水に由来するトリハロメタンを
微量含有する透析液を前記浄水器に、1リットル/分の
割合で10分間通水し、その後に濾過膜で濾過された通
過水を採取して測定試料とした。透析液中のトリハロメ
タンの含有量としては、クロロホルムが0.093mg
/リットル、ブロモジクロロメタンが0.039mg/
リットル、ジブロモクロロメタンが0.027mg/リ
ットル、ブロモホルムが0.0059mg/リットルで
あったところ、透析後の液(通過水)中におけるトリハ
ロメタンの含有量としては、クロロホルムが0.010
mg/リットル、ブロモジクロロメタンが0.0049
mg/リットル、ジブロモクロロメタンが0.0035
mg/リットル、ブロモホルムが0.0007mg/リ
ットルであった。
【0093】<油性溶質の脱着性能試験>前記浄水器に
総トリハロメタン濃度0.85mg/リットルの水を1
リットル/分の流量で3時間通過させたところ、通過水
の総トリハロメタンの濃度測定の結果から75mgのト
リハロメタンが吸着したと結論された。この浄水器に1
リットル/分の流速で13℃の純水を逆洗し、脱着した
トリハロメタンの濃度を経時的に測定したところ、5分
後に0.56mg/リットル、15分後に0.43mg
/リットル、25分後に0.37mg/リットル、55
分後に0.23mg/リットル、115分後には0.1
1mg/リットルになった。
【0094】(実施例2) (1)原水の調製 トリハロメタンとして、クロロホルム、ブロモジクロロ
メタン、ジブロモクロロメタン、及びブロモホルムの4
種類を含有するメタノール混合溶液を調製し、定量ポン
プを用いて0.5ml/分の流量で、10リットル/分で
流通する活性炭処理水に添加して原水を連続的に調製し
た。原水中における前記4種のトリハロメタンの含有量
は、下記の表1に示す通りであった。
【0095】(2)トリハロメタン除去性能試験 前記濾過装置に、前記原水を、水温16℃、流量0.2
リットル/分の条件で流通させた。流通方向は、中空糸
濾過膜の内側から外側に向かう方向とした。前記原水を
50分間通水後、前記中空糸濾過膜で濾過された通過水
を採取し、ガスクロマトグラフを用いて前記4種類のト
リハロメタンの濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0096】
【表1】
【0097】(比較例1)前記実施例1における中空糸
の代わりにセルロース(接触角:50〜55度)の中空
糸(AKZO社製、商品名:カプロファン)を用いた外
は前記実施例1と同様にして浄水器を作成した。
【0098】この浄水器を用いて、前記実施例2と同様
の原水を通水し、通過水を前記実施例2と同様にしてト
リハロメタンの濃度を測定した。結果を表2に示す。
【0099】
【表2】
【0100】(実施例3)表4に示すトリハロメタンを
含有する原水を、前記実施例1におけるのと同様の浄水
器に1リットル/分の割合で通水し、所定時間経過時の
通過水を採取して前記実施例2と同様にしてトリハロメ
タンの濃度を測定した。結果を表5及び表6に示す。
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】(実施例5)前記実施例1におけるのと同
じ中空糸濾過膜を軸線長さ3mmに切断して中空糸のカ
ット糸を得た。このカット糸0.21gを1100ml
のガラス製容器に収容し、さらにこのガラス製容器内に
満杯のトリハロメタン含有水を入れた。このトリハロメ
タン含有水中に含まれるトリハロンメタン類の含有量を
表5に示す。トリハロメタン含有水を入れ、開口部に栓
を詰めたガラス製容器を、恒温槽内の温水(20±1
℃)に浸漬し、30分毎に上下に1回浸透する操作を1
6回行い、その後に16時間静置した。その後、ガラス
製容器内の液(処理水と称する。)を取り出して、その
液中に含まれるトリハロメタン含有量をガスクロマトグ
ラフ法により測定した。結果を表6に示す。
【0104】また、トリハロメタン類を含有しない水
(対照水と称する。)を前記ガラス製容器に装填し、前
記と同様の処理をしてから、液中のトリハロメタン含有
量を測定した。結果を表5に示す。
【0105】
【表5】
【0106】表5において、カット糸を吸着体として処
理した液が処理水であり、カット糸を使用せずに処理し
た液が対象水である。したがって、原水と対象水との差
が処理による減少分を、また、原水と処理水と差が吸着
と操作とによる減少分を、それぞれ示す。そうすると、
カット糸による吸着分は、両者の差になる。総トリハロ
メタンを例にすると、(1.0−0.59)−(1.0
−0.82)=0.82−0.59=0.23mg/l
が吸着量であり、カット糸1gあたりの総トリハロメタ
ンの吸着量は、1.1リットル×(2.3mg/g)/
(0.21)=1.2mgとなる。
【0107】
【発明の効果】本発明によると、(1) 細孔分布によら
ずに油性溶質を吸着除去することができ、したがって、
活性炭におけるように、被吸着物質の種類に応じて細孔
分布の適正な吸着体を選択するといった煩雑性がなく、
(2) 簡単に油性溶質を脱着することができ、(3) 活性
炭で被吸着物質を吸着除去するときに生じるような、活
性炭の接触により生じる微細活性炭による汚染がなく、
(4) 被処理液(原水)中における油性溶質を選択的に
吸着除去することができ、(5) たとえば被処理液であ
る透析液からブドウ糖等の必要な成分を吸着除去せずに
油性溶質を選択的に吸着除去することができ、という優
れた効果を奏する油性溶質吸着体及び浄水器を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の浄水装置の一例を示す縦断面
図である。
【符号の説明】
1…中空糸濾過膜、11、12…末端開口部、2…中空
糸濾過膜ケース、21、22…枝管、23、24…ポッ
ティング部、31…処理水供給キャップ、32…ドレン
排出キャップ、31a…被処理水供給管、32a…ドレ
ン排出管、41、42…Oリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土井 鉄太郎 東京都渋谷区恵比寿3丁目43番2号 日機 装株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水に対する接触角が60度以上であるポ
    リマーを油性溶質の吸着材とすることを特徴とする油性
    溶質吸着体。
  2. 【請求項2】 前記ポリマーが、ポリアリレート、ポリ
    エーテルスルホン及びポリスルホンからなる群から選択
    される少なくとも一種を含有するポリマーアロイから形
    成されてなる前記請求項1に記載の油性溶質吸着体。
  3. 【請求項3】 前記ポリマーが中空糸濾過膜に形成され
    てなる前記請求項1又は2に記載の油性溶質吸着体。
  4. 【請求項4】 前記請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の前記油性溶質吸着体を有することを特徴とする浄水
    器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010103731A1 (ja) * 2009-03-10 2010-09-16 株式会社日立製作所 水処理方法及び水処理部材
CN111110940A (zh) * 2019-12-24 2020-05-08 东莞科威医疗器械有限公司 氧合器、离心灌胶封端增强粘接结构及其成型工艺

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