JPH11333360A - 支持体のシワ伸ばし装置およびそれを用いた塗布装置 - Google Patents

支持体のシワ伸ばし装置およびそれを用いた塗布装置

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JPH11333360A
JPH11333360A JP15994198A JP15994198A JPH11333360A JP H11333360 A JPH11333360 A JP H11333360A JP 15994198 A JP15994198 A JP 15994198A JP 15994198 A JP15994198 A JP 15994198A JP H11333360 A JPH11333360 A JP H11333360A
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roll
support
wrinkle removing
coating
wrinkle
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Hideki Tanaka
英樹 田中
Yutaka Shimizu
豊 清水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続搬送される支持体に発生するシワを効果
的に除去できる支持体のシワ伸ばし装置およびそれを用
いた塗布装置を提供する。 【解決手段】 本発明のシワ伸ばし装置は、連続的に搬
送される支持体をガイドしつつ支持体のシワを伸ばすた
めのシワ取りロールと、前記支持体を介して前記シワ取
りロールと当接することができる弾性ロールとを有し、
前記シワ取りロールは、そのロール中央部の外径に対し
てロール両端部の外径が小さいクラウン形状をなし、前
記弾性ロールは、前記シワ取りロール上を搬送される支
持体の全幅を、シワ取りロール側に実質的に押しつける
ことができ、前記シワ取りロールと対となって支持体を
挟持できるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続搬送される支
持体に発生するシワを効果的に除去することができる支
持体のシワ伸ばし装置、およびそれを用いた塗布装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、支持体の上に塗布液を塗布す
る方法としては、押出し塗布法、ロールコート法、グラ
ビアコート法、スライドビードコート法、ドクターコー
ト方等の種々の方法が用いられている。これらの中で
も、特に、押出し塗布法は、生産性や操作性が高く、ま
た塗布膜の厚さ制御性にも優れているため、磁気テープ
等の生産に好適に用いられている。
【0003】押出し塗布法は、図6に示されるようにガ
イドロール101,102等の搬送手段の間に塗布ヘッ
ド120を配置し、連続搬送される支持体130に対し
て所定の張力がかかるように塗布ヘッド120の先端部
120aを押し込むように近接させ、塗布ヘッド120
のスリットから塗布液を押し出すことにより、連続搬送
される支持体130の上に連続して塗膜135を形成さ
せる方法である。
【0004】このような押出し塗布法においては、生産
性や膜厚制御操作の容易性などを考慮して、上記図6に
示されるごとく、連続搬送される支持体の塗布ヘッド1
20が位置する対向背面(支持体を介して塗布ヘッド1
20の反対側)には、なんらバックアップのための当接
物がない(例えば、バックアップロールが設置されてい
ない)、いわゆるバックアップフリーの状態で押出塗布
ヘッドを押し付ける手法が主流となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなバックアッ
プフリーの状態での押出し塗布法においては、支持体搬
送時の長手方向の張力の変動等により、支持体にシワや
バタツキが発生しやすい。このようなシワやバタツキが
発生した場合、そのままの状態で塗布液を塗布して塗膜
を形成すると、塗膜厚さの変動、すなわち縞状の厚み変
動の原因となってしまう。このような理由から、塗布液
の塗布前には支持体のシワを伸ばして、シワをなくして
おく必要がある。
【0006】支持体のシワを除去する方法としては、特
開平6−254466号公報に提案されているようなエ
キスパンダロールを用いる方法がある。エキスパンダロ
ールとは、ロール面に、任意の角度をもつリング状の溝
が形成されたものである。確かに、エキスパンダロール
を用いることによって走行中の支持体のシワは除去でき
る。しかしながら、エキスパンダロールそのものの形態
が複雑であり、しかも支持体との接触力が張力だけで十
分とは言えず、支持体をしごくような力が働かないため
に、シワが伸びきるまでの距離などの条件設定の把握が
難しく、シワ取りの安定性や再現性に問題があると言え
る。また、特許第2578631号公報には、塗布ヘッ
ドと、その上流側に位置すガイドロールとの間にクラウ
ン状のロールを別途設け、このクラウン状のロールを支
持体に押しつけることにより、塗布ヘッドとの関係で塗
膜を幅方向均一にすることができる旨の提案がなされて
いる。しかしながら、当該提案において、クラウン状の
ロールは支持体のシワを除去するために形成されたもの
はなく、また、単にクラウン状のロールを支持体に押し
つけたのみでは十分なシワ取り効果は期待できない。
【0007】このような実状のもとに、本願発明は創案
されたものであって、その目的は、連続搬送される支持
体に発生するシワを効果的に除去できる支持体のシワ伸
ばし装置およびそれを用いた塗布装置を提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明の支持体のシワ伸ばし装置は、連続的
に搬送される支持体をガイドしつつ支持体のシワを伸ば
すためのシワ取りロールと、前記支持体を介して前記シ
ワ取りロールと当接することができる弾性ロールとを有
し、前記シワ取りロールは、そのロール中央部の外径に
対してロール両端部の外径が小さいクラウン形状をな
し、前記弾性ロールは、前記シワ取りロール上を搬送さ
れる支持体の全幅を、シワ取りロール側に実質的に押し
つけることができ、前記シワ取りロールと対となって支
持体を挟持できるように構成される。
【0009】本発明のより好ましい態様として、前記シ
ワ取りロールのロール中央部の最大外径(D1)と、ロ
ール両端部の最小外径(D2)との差で定義されるクラ
ウン量(D1−D2)が、0.1〜0.75mmとなる
ように構成される。
【0010】本発明のより好ましい態様として、前記シ
ワ取りロールの表面うち支持体が接する範囲における幅
方向(搬送方向と直角)の真直度が、20μm/20m
m以下であるように構成される。
【0011】本発明のより好ましい態様として、前記弾
性ロールは、少なくともその表面が弾性体からなり、弾
性体のJIS−A硬度が、10〜80°の範囲内にある
ように構成される。
【0012】また、本発明の塗布装置は、連続的に搬送
される支持体をガイドするために所定の間隔を開けて設
置された1組のガイドロールと、この1組のガイドロー
ルの間に塗布液を塗布するための塗布ヘッドとを備え、
前記1組のガイドロールの内、上流側に位置するガイド
ロールは、ロール中央部の外径に対してロール両端部の
外径が小さいクラウン形状をなすシワ取りロールを構成
し、さらにこのシワ取りロールに隣接して、支持体を介
して前記シワ取りロールと当接することができる弾性ロ
ールが設置されており、前記弾性ロールは、前記シワ取
りロール上を搬送される支持体の全幅を、シワ取りロー
ル側に実質的に押しつけることができ、前記シワ取りロ
ールと対となって支持体を挟持できるように構成され
る。
【0013】本発明の塗布装置における好ましい態様と
して、前記シワ取りロールのロール中央部の最大外径
(D1)と、ロール両端部の最小外径(D2)との差で
あるクラウン量(D1−D2)が、0.1〜0.75m
mであるように構成される。
【0014】本発明の塗布装置における好ましい態様と
して、前記塗布液が、磁気記録媒体形成用の磁性塗料、
非磁性塗料、またはバックコート用塗料であるように構
成される。
【0015】本発明の塗布装置における好ましい態様と
して、前記塗布ヘッドがバックアップフリーの状態で支
持体に当接するように配置されてなるように構成され
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の支持体のシワ伸ば
し装置およびそれを用いた塗布装置について、図面を参
照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の塗布装置1
を概略的に示した斜視図であり、この一連の塗布装置1
内に、支持体のシワ伸ばし装置10が存在する。図2
は、図1の側面図である。
【0017】図1において、連続的に搬送されるシート
状の支持体6は、支持体のシワ伸ばし装置10(以下、
単に、『シワ伸ばし装置10』と称す)により、支持体
6の搬送途中に発生したシワが伸ばされる。しかる後、
シワ伸ばし装置10の下流側に位置する塗布ヘッド4に
よって、支持体6上に塗布液が塗布され、塗膜が形成さ
れるようになっている。
【0018】図1に示される実施の形態において、シワ
伸ばし装置10のさらに上流側(図面の右方)には、傾
き調整ロール18が設置されており、この傾き調整ロー
ル18を調整することによって、所定の速度で搬送され
る支持体6の幅方向(図面矢印(α)方向)の平行度が
調整されるようになっている。平行度が調整された支持
体6は、シワ伸ばし装置10に挟持されつつ図面の矢印
(β)方向に搬送されることによって支持体6に形成さ
れたシワが伸ばされる。
【0019】シワ伸ばし装置10は、連続的に搬送され
る支持体6をガイドしつつ支持体のシワを伸ばすための
シワ取りロール11と、このシワ取りロール11の上流
側に位置しシワ取りロール11と当接することができる
弾性ロール15とを有している。連続的に搬送される支
持体6は、これらのシワ取りロール11と弾性ロール1
5とによって挟持されつつ、シワ取り操作を受ける。
【0020】シワ取りロール11は、図3(a),
(b)に示されるようにそのロール中央部の外径に対し
てロール両端部の外径が小さいいわゆるクラウン形状を
なし、支持体6の全幅がシワ取りロール11に密着され
るように弾性ロール15から押圧を受ける。
【0021】図3(a)には、中央部に頂点を備えるク
ラウン形状のシワ取りロール11が示されているが、中
央部においてもなだらかな曲線を描くいわゆる樽(バレ
ル)形状のものであってもよい。また、図3(b)に
は、中央部が平坦(長さLの円柱部)で両端部に傾斜部
を備えるクラウン形状のシワ取りロール11が示されて
いる。
【0022】図3(a),(b)に示されるように本発
明で用いられるシワ取りロール11は、シワ取りロール
11のロール中央部の最大外径(D1)と、ロール両端
部の最小外径(D2)との差で定義されるクラウン量
(D1−D2)が、0.1〜2.0mm、特に、0.1
〜0.75mmの範囲内とすることが好ましい。このク
ラウン量の範囲において、シワ取り効果が顕著に現れる
傾向がある。なお、クラウン量をシワ取りロール11の
表面に形成される好適な傾斜に換算して表示すると、
1.3×10-4〜1.0×10-3の範囲となる。
【0023】また、シワ取りロール11が備えるクラウ
ン形状の表面のうち、支持体と接する範囲においては、
上述のごとく支持体6と密着されるために、ロール11
表面における幅方向(搬送方向と直角)の真直度が、2
0μm/20mm以下、特に、10μm/20mm以下
とすることが好ましい。ここで、真直度の数値は、JI
S B 0610(1987)に準拠して測定される最
大うねりの数値で表わされる。すなわち、ろ波うねり曲
線または転がり円うねり曲線から基準長さだけ抜き取っ
た部分(以下、抜き取り部分という)の平均線に平行な
2直線で抜き取り部分を挟んだとき、この2直線の間隔
をろ波うねり曲線または転がり円うねり曲線の縦倍率の
方向に測定して、この値をマイクロメータで表示したも
のをいう。本発明における基準長さは、任意の位置で抽
出した20mmとしているシワ取りロール11のロール
長さは、支持体6の幅に対して、約100mm程度余裕
をもって作製すればよい。シワ取りロール11のロール
径は、Φ40〜200mm程度で作製すればよい。
【0024】このようなシワ取りロール11と対をな
し、シワ伸ばし装置10を構成する弾性ロール15は、
シワ取りロール11の上を搬送される支持体6の全幅
を、シワ取りロール11側に実質的に押しつけることが
できるようになっている。実質的な押しつけは、シワ取
りロール11と弾性ロール15の相対移動で実現可能で
あり、特に弾性ロール15の移動のみに限定されるもの
ではない。
【0025】弾性ロール15は、シワ取りロール11の
クラウン量を問わず、シワ取りロール11との密着がで
きるように、少なくとも弾性ロール15の表面は、ゴム
やエラストマーなどの弾性体から構成される。弾性体
は、上記双方のロールの密着が確保できるように変形可
能な物性を備えていればよく、そのJIS−A硬度は、
10〜80°の範囲内にあることが望ましい。弾性体の
半径方向肉厚は、10〜50mm程度とされる。弾性ロ
ール15の中心には、例えば、強度の高い中心シャフト
15a(図4)が配置され、この上に弾性体15b(図
4)が筒状に形成されてもよい。
【0026】弾性ロール15のシワ取りロール11への
押しつけ方法は、シワ取りロール11の表面に支持体6
を均一に密着できるように押しつけることができればよ
い。具体的には、例えば、図4に示されるような中心シ
ャフト15aの両端部にシリンダ等で力を加えて押しつ
ける(矢印Fで表示)方法や、図5に示されるように、
補助的に設けられた金属ロール17を用い、この金属ロ
ール17により弾性ロール15をシワ取りロール11側
に加圧して(矢印Fで表示)押しつけるようにしてもよ
い。押しつけ圧は、線圧で0.1〜10kgf/cm程
度に設定される。
【0027】このようにしてシワ伸ばし装置10によっ
てシワの矯正がなされた支持体6の片面上には、図1に
示されるように、塗布ヘッド4によって塗布液の塗布が
行われ塗膜5が形成される。塗布ヘッド4としては、特
に、生産性や操作性が高く、また、塗布膜の厚さ制御性
に優れる押出塗布ヘッド(4)を用いることが好まし
い。
【0028】図1に示されるように、塗布ヘッド4の下
流側にはガイドロール51が設けられており、このガイ
ドロール51と上記シワ取りロール11とによって、連
続的に搬送される支持体6をガイドするための1組のガ
イドロールが形成されている。この1組のガイドロール
11,51の間に、好ましい態様としての押出塗布ヘッ
ド(4)が、バックアップフリーの状態で押しつけられ
る。
【0029】ここで、バックアップフリーの状態とは、
上述したように連続搬送される支持体6の押出塗布ヘッ
ド(4)が位置する対向面側(支持体6を介して押出塗
布ヘッド(4)の反対側)には、なんらバックアップの
ための当接物がない状態をいう。
【0030】すなわち、押出塗布ヘッド(4)は、ガイ
ドロール51とシワ取りロール11の間に配置され、連
続搬送される支持体6に対して所定の張力がかかるよう
に押出塗布ヘッド(4)の先端部(吐出口)を押し込む
ように近接させ、塗布ヘッドのスリット状の吐出口から
塗布液を押し出すことにより、連続搬送される支持体6
の上に連続して塗膜5を形成させることができるように
なっている。
【0031】このようにして塗膜5が形成された支持体
は、次工程に搬送され、塗膜の乾燥や、カレンダ等、塗
布する塗布物に応じた種々の操作が行われる。
【0032】塗布液としては、磁気記録媒体形成用の磁
性塗料、非磁性塗料、またはバックコート用塗料等が好
適例として挙げられる。
【0033】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0034】(実験例1)下記の要領で塗布液として、
磁性層形成のための磁性塗料を作製して準備した。
【0035】磁性塗料の作製 Hc=2000Oe、σs =140emu/g、平均長
軸長さ0.08μm、平均軸比5である強磁性金属磁性
粉末(Co/Fe=30at%)を含む下記の組成物を
用い、磁性層形成のための磁性塗料を調製した。
【0036】 磁性層形成のための磁性塗料組成物 強磁性金属磁性粉末 …100重量部 塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン(株)製,MR−110) … 8.3 重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製,UR−8300) … 8.3 重量部 α−アルミナ … 5重量部 ステアリン酸 … 1重量部 ステアリン酸ブチル … 1重量部 メチルエチルケトン …111重量部 トルエン …111重量部 シクロヘキサノン … 74重量部 この組成物の一部またはすべてをニーダにて十分に混練
処理を行った後、サンドグラインダーミルにて分散混
合、希釈を行った。このようにして得られた磁性塗料に
硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製,コロネート
L)を3.3重量部添加混合し、磁性層形成用の塗料を
作製した。塗料の粘度は30cps(剪断速度3000
sec-1)に調整した。図1に示されるようなシワ伸ば
し装置10を含む塗布装置を用いて、660mm幅(厚
さは下記表1に示される)のポリエチレンテレフタレー
トからなる支持体の上に上記塗料を塗布した後、塗膜を
乾燥させ、所定の加工を施したのち、ロール状に巻き取
った。シワ伸ばし装置10における操作条件、および押
出塗布ヘッドを用いた塗布条件は以下の通りとした。
【0037】シワ伸ばし装置10の操作条件 図3(a)に示されるクラウン形状のシワ取りロール1
1であって、クラウン量(D1−D2)が異なる種々の
シワ取りロール11を準備した。そして、図4に示され
るような方式でシワ取りロール11と弾性ロール15を
組み合わせてシワ伸ばし装置10を構成し、塗布前の支
持体のシワ伸ばしを行った。弾性ロール15の弾性体1
5bとしてゴムを用い、そのゴム硬度は70(JIS−
A)、ゴム肉厚は、10mmとした。また、弾性ロール
15のシワ取りロール11に対する押しつけ圧(線圧)
は、0.6kgf/cmとした。
【0038】さらに、下記表1に示さえるように弾性ロ
ール15を用いないものや、クラウン量のない比較条件
でも実験を行った。
【0039】塗布条件 支持体の搬送速度: 150m/min 塗布幅: 650mm 塗布長さ: 5,000m 乾燥後塗布厚さ: 3μm 塗布部支持体張力: 7kgf/支持体幅 上記、各種のサンプル作製実験において、支持体搬送時
にシワやバタツキの発生の有無、および塗布後の縞状厚
み変動の測定を下記の要領で測定した。すなわち、シワ
やバタツキの発生は目視にて確認し、縞状厚み変動は、
蛍光X線膜厚計((株)理学社製)にてX線強度を求
め、標準サンプルによる検量線を用いて厚みを算出し、
塗布幅全長に亘り、2mm間隔で測定を行って、膜厚変
動を求めた。
【0040】総合判定基準は以下の通りとした。
【0041】 ○…支持体搬送時に目視にてシワやバタツキが確認され
ず、塗布後の縞状厚み変動が0.1μm以下である △…支持体搬送時に目視にてシワやバタツキが確認され
ないが、塗布後の縞状厚み変動が0.1μmより大きく
0.2μm以下の範囲にある ×…支持体搬送時に目視にてシワやバタツキが確認さ
れ、塗布後の縞状厚み変動が0.2μmより大きい 結果を下記表1に示した。
【0042】
【表1】 上記表1において、実施例1〜5は、最もシワが発生し
やすい厚さ6.5μmの支持体を用い、シワ取りロール
11のクラウン量を種々変化させたものである。実施例
6,7は、支持体の厚さを10μm、15μmとし、シ
ワ取りロール11のクラウン量を0.15μmとしたも
のである。もちろん実施例1〜7では、弾性ロールを用
いて支持体の挟み込みを行っている。
【0043】実施例1〜7に示されるように本発明のシ
ワ取りロールおよび弾性ロールを用いたものは、シワ伸
ばしが有効に行われ、良好な塗布性が得られる。これに
対して比較例1〜14のサンプルは、クラウン量がゼロ
のストレートロールであったり、弾性ロールによる挟み
込みが行われていないために、塗布性が悪い。
【0044】(実験例2)上記実験例1における実施例
2のサンプル作製(表1)において、支持体の搬送速度
のみを下記表2に示すごとく種々かえて実験を行った。
それ以外の操作条件は、実施例2のサンプル作製(表
1)の場合と同様とした。実験結果を下記表2に示した
【0045】
【表2】 表2示される結果より支持体の搬送速度を変化させて
も、本発明では良好な効果が得られることがわかる。
【0046】(実験例3)上記実験例1における実施例
2のサンプル作製(表1)において、シワ取りロールの
クラウン形状を図3(b)で示されるものに変えた。ク
ラウン量は0.15mmであり、中央の円柱部の長さ
L、シワ取りロールの表面に形成される傾斜はそれぞれ
下記表3に示される通りとした。それ以外の操作条件
は、実施例2サンプルの作製(表1)の場合と同様とし
た。
【0047】実験結果を下記表3に示した
【0048】
【表3】 表3示される結果よりシワ取りロールのクラウン形状を
図3(b)に示されるものに変えても、良好な効果が得
られることがわかる。
【0049】(実験例4)下記の要領で塗布液として、
下地層を形成するための非磁性塗料を作製して準備し
た。
【0050】 下地層形成のための塗料組成物 針状α酸化鉄(平均長軸長さ0.15μm、BET53m2 /g) …100重量部 カーボンブラック(コロンビヤンカーボン(株)製, コンダクテックスSC)… 25重量部 塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン(株)製,MR−110) … 10重量部 ポリウレタン樹脂(東洋紡績(株)製,UR8700) … 10重量部 α−アルミナ(住友化学工業(株)製,HIT60A) … 10重量部 ステアリン酸 … 2重量部 ステアリン酸ブチル … 1重量部 メチルエチルケトン … 80重量部 トルエン … 80重量部 シクロヘキサノン … 80重量部 上記材料の一部または全部をニーダーで混練した後、サ
ンドグラインダーミルにて分散混合、希釈を行った。さ
らに、塗料を塗布する直前に硬化剤(日本ポリウレタン
工業(株)製,コロネートL)を3.6重量部添加混合
し、塗布を行った。非磁性塗料の粘度は40cps(剪
断速度3000sec-1)に調整した。図1に示される
ようなシワ伸ばし装置10を含む塗布装置を用いて、6
60mm幅、厚さ6.5μmのポリエチレンテレフタレ
ートからなる支持体の上に上記非磁性塗料を塗布した
後、塗膜を乾燥させ、鏡面加工を施したのち、ロール状
に巻き取った。シワ伸ばし装置10における操作条件、
および押出塗布ヘッドを用いた塗布条件は以下の通りと
した。
【0051】シワ伸ばし装置10の操作条件 上記実験例1の実施例1サンプル作製(表1)と同様な
操作条件とした。
【0052】塗布条件 支持体の搬送速度: 200m/min 塗布幅: 650mm 塗布長さ: 5,000m 乾燥後塗布厚さ: 1.2μm 塗布部支持体張力: 7kgf/支持体幅 このようにして形成された下地層の上に、上記実験例1
で用いた磁性塗料を塗布した。ただし、この場合は磁性
層の塗膜を薄くするために磁性塗料の粘度は15cps
に調整した。この場合もやはり上記図1に示されるよう
なシワ伸ばし装置10を含む塗布装置を用いて塗布を行
なった後、塗膜を乾燥させ、鏡面加工を施したのち、ロ
ール状に巻き取った。シワ伸ばし装置10における操作
条件、および押出塗布ヘッドを用いた塗布条件は以下の
通りとした。
【0053】シワ伸ばし装置10の操作条件 上記実験例1の実施例1サンプル作製(表1)と同様な
操作条件とした。
【0054】塗布条件 支持体の搬送速度: 200m/min 塗布幅: 650mm 塗布長さ: 5,000m 乾燥後塗布厚さ: 0.2μm 塗布部支持体張力: 7kgf/支持体幅 このように重層塗布したサンプルを実施例15サンプル
として、下記に示される判断基準で塗布ムラ有無の評価
を行った。
【0055】 ○…磁性塗料の塗布完了後に、目視にて光透過による縞
状のムラが確認できないもの ×…磁性塗料の塗布完了後に、目視にて光透過による縞
状のムラが確認できるもの また、比較例15のサンプルとして、磁性塗料を塗布す
る際のシワ伸ばし装置10の操作条件のみを上記実験例
1の比較例1サンプル作製(表1)と同様な操作条件に
変えてサンプル作製し、上記の同様な評価を行った。
【0056】実験結果を下記表4に示した
【0057】
【表4】 表4に示される結果より、非磁性の下地層の上に、上層
としての磁性薄膜を形成するいわゆる重層塗布法におい
ても本発明の効果は顕著にみられることが確認できた。
【0058】
【発明の効果】上記の結果より本発明の効果は明らかで
ある。すなわち、本発明のシワ伸ばし装置は、連続的に
搬送される支持体をガイドしつつ支持体のシワを伸ばす
ためのシワ取りロールと、前記支持体を介して前記シワ
取りロールと当接することができる弾性ロールとを有
し、前記シワ取りロールは、そのロール中央部の外径に
対してロール両端部の外径が小さいクラウン形状をな
し、前記弾性ロールは、前記シワ取りロール上を搬送さ
れる支持体の全幅を、シワ取りロール側に実質的に押し
つけることができ、前記シワ取りロールと対となって支
持体を挟持できるように構成される。さらに、本発明の
塗布装置は、上流側に上記シワ伸ばし装置を備えて構成
される。
【0059】従って、連続搬送される支持体に発生する
シワを効果的に除去でき、特に塗布前に支持体のシワ伸
ばしを行うことによって、縞状の膜厚変動をなくすこと
ができ極めて良好な塗膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布装置を概略的に示した斜視図であ
る。
【図2】図1の側面図である。
【図3】(a)および(b)はそれぞれ、シワ取りロー
ルのクラウン形状を概略的に示した斜視図である。
【図4】本発明の支持体のシワ伸ばし装置の好適な一例
を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の支持体のシワ伸ばし装置の他の好適な
一例を示す概略斜視図である。
【図6】押出し塗布法の一例を説明するための側面図で
ある。
【符号の説明】
1…塗布装置 4…塗布ヘッド 5…塗膜 6…支持体 10…支持体のシワ伸ばし装置 11…シワ取りロール 15…弾性ロール 51…ガイドロール

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続的に搬送される支持体をガイドしつ
    つ支持体のシワを伸ばすためのシワ取りロールと、 前記支持体を介して前記シワ取りロールと当接すること
    ができる弾性ロールとを有し、 前記シワ取りロールは、そのロール中央部の外径に対し
    てロール両端部の外径が小さいクラウン形状をなし、 前記弾性ロールは、前記シワ取りロール上を搬送される
    支持体の全幅を、シワ取りロール側に実質的に押しつけ
    ることができ、前記シワ取りロールと対となって支持体
    を挟持できるようになっていることを特徴とする支持体
    のシワ伸ばし装置。
  2. 【請求項2】 前記シワ取りロールのロール中央部の最
    大外径(D1)と、ロール両端部の最小外径(D2)と
    の差で定義されるクラウン量(D1−D2)が、0.1
    〜0.75mmである請求項1に記載の支持体のシワ伸
    ばし装置。
  3. 【請求項3】 前記シワ取りロールの表面のうち支持体
    が接する範囲における幅方向(搬送方向と直角)の真直
    度が、20μm/20mm以下である請求項1または請
    求項2に記載の支持体のシワ伸ばし装置。
  4. 【請求項4】 前記弾性ロールは、少なくともその表面
    が弾性体からなり、弾性体のJIS−A硬度が、10〜
    80°の範囲内にある請求項1ないし請求項3のいずれ
    かに記載の支持体のシワ伸ばし装置。
  5. 【請求項5】 連続的に搬送される支持体をガイドする
    ために所定の間隔を開けて設置された1組のガイドロー
    ルと、この1組のガイドロールの間に塗布液を塗布する
    ための塗布ヘッドとを備える塗布装置において、 前記1組のガイドロールの内、上流側に位置するガイド
    ロールは、ロール中央部の外径に対してロール両端部の
    外径が小さいクラウン形状をなすシワ取りロールを構成
    し、さらにこのシワ取りロールに隣接して、支持体を介
    して前記シワ取りロールと当接することができる弾性ロ
    ールが設置されており、 前記弾性ロールは、前記シワ取りロール上を搬送される
    支持体の全幅を、シワ取りロール側に実質的に押しつけ
    ることができ、前記シワ取りロールと対となって支持体
    を挟持できるようになっていることを特徴とする塗布装
    置。
  6. 【請求項6】 前記シワ取りロールのロール中央部の最
    大外径(D1)と、ロール両端部の最小外径(D2)と
    の差であるクラウン量(D1−D2)が、0.1〜0.
    75mmである請求項5に記載の塗布装置。
  7. 【請求項7】 前記塗布液が、磁気記録媒体形成用の磁
    性塗料、非磁性塗料、またはバックコート用塗料である
    請求項5または請求項6に記載の塗布装置。
  8. 【請求項8】 前記塗布ヘッドがバックアップフリーの
    状態で支持体に当接するように配置されてなる請求項5
    ないし請求項7のいずれかに記載の塗布装置。
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