JPH11332811A - 食器洗浄機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間で強力洗浄を行ったり、運転騒音を低
減した静音洗浄が可能な食器洗浄機を提供することを目
的としているものである。 【解決手段】２系統の吐出経路を有する洗浄ポンプ３、
洗浄ノズル９と能力可変が可能な駆動用モータ４を用い
ることにより、短時間で、しかも強力に食器に付着した
汚染を洗浄することができる食器洗浄機を提供できる。
さらに、洗浄時間の短縮にともなって、ヒ−タの通電時
間も短縮され、消費電力の低減をも実現できる食器洗浄
機を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、洗浄水を噴射する
洗浄ノズルを備えた食器洗浄機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の食器洗浄機について、図１１に基
づいて説明する。

【０００３】食器の洗浄を行う場合には、被洗浄物であ
る食器を洗浄槽６１の食器かご６２に収納し、洗剤を投
入して運転を開始する。運転が開始されると、まず洗浄
ポンプ６３が洗浄水を加圧する動作が安定するように、
所定量の洗浄水を洗浄槽６１に供給する給水工程が実行
される。洗浄ポンプ６３は遠心羽根６４と、これを駆動
する電動機６５を有している。洗浄ポンプ６３の吸込口
６６と洗浄水面はほぼ所定の間隔（以下では「洗浄水
位」ともいう）を有している。

【０００４】続いて、洗浄ポンプ６３によって加圧され
且つヒータ６７によって加熱された洗浄水が洗剤と共に
洗浄ノズル６８の噴射口から噴射される本洗工程が行わ
れる。洗浄水は洗浄ノズル６８の噴射口７１から鉛直方
向または斜め上方向に噴射される。また洗浄ノズル６８
はこの噴射反力によって略水平に回転する。このように
回転する洗浄ノズル６８から噴射された洗浄水の衝突力
・洗剤・熱等の作用によって、食器は洗浄されるもので
ある。

【０００５】所定時間の本洗工程を経ると、次に食器等
から洗い落とされた汚れを含む洗浄水を排水ポンプ（図
示せず）によって機外に排出する排水工程に入る。引き
続いて、新たに洗浄水を供給する給水工程と、洗剤や残
菜（食器に付着した汚れを残菜ともいう）で汚れた食器
をすすぐために洗浄水を洗浄ノズル６８から噴射するす
すぎ工程と、前記排水工程とが連続して４回繰り返され
て、洗浄工程を終了する。

【０００６】続いて、送風機（図示せず）により洗浄槽
６１内に機外より空気を送風ダクトから送風口を経て洗
浄槽６１に送り込み、ヒータ６７を断続的に運転して温
風を作り、この温風で食器に付着した水滴を蒸発させる
乾燥工程が行われる。この乾燥工程で洗浄槽６１内の多
湿な空気は排気口より機外に排出される。なお６９は、
洗浄水位を検知する水位検知手段であり、７０は洗浄ポ
ンプ６３・ヒータ６７等の運転を制御する制御装置であ
る。

【０００７】また洗浄ノズルに関してわれわれは、図１
２に示すように、第一の洗浄ノズル７１に、第一の洗浄
ノズル７１とは回転軸心を所定距離だけ偏心させ、かつ
略水平に回転する第二の洗浄ノズル７２を設けた高効率
な洗浄ノズルを提案（特開平５−１６８５８１号）して
おり、エネルギ−効率の高い食器洗浄機を実現できるも
のである。さらに、洗浄ノズルを２通路構成したものを
提案（特開昭６３−４３６３６号）している（図示して
いない）。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の構成の食器洗浄機は、（１）洗浄時間が長い、（２）
洗浄騒音が大きいなどの課題を有している。

【０００９】短時間で洗浄を行なう運転方法を実現する
場合、あるいは食器等に付着した強固な汚れを落すため
の強力洗浄を行なう運転方法を実現する場合、２つの方
法が考えられる。

【００１０】１つ目は、ポンプ能力を可変することで洗
浄ノズルより噴射される噴射力を上げて高圧水の噴射に
よる機械力を向上させる方法が用いられる。しかしこの
場合、ポンプの循環流量が増加してしまい、給水量の不
足からポンプのエアガミによる洗浄不良を引き起こしか
ねない。仮に給水量を増やすと使用水量の増加や運転時
間が長くなるなどの問題が発生する。

【００１１】２つ目は、洗浄ポンプの吐出口に切換弁等
を用意し、洗浄ノズルも２通路構成したものもあるが、
第一の洗浄水流路の噴射口と第二の洗浄水流路の噴射口
の総開口面積については触れられていない。よって、２
つの流路における噴射圧力や循環流量の変化はなく、よ
り短時間で洗うことも、洗浄騒音の小さい運転を行なう
ことも可能とするものではない。

【００１２】また、運転騒音を低減する場合、ポンプ能
力を可変することで洗浄ノズルより噴射される噴射力を
低くすることが考えられるが、同時に循環流量が少なく
なるためすすぎ性能が低下するという課題がある。

【００１３】さらに、先ほど述べた２系統の洗浄水流路
をもつ洗浄ノズルの片方流路側噴射口の開口面積をより
大きくした構成としても、噴射圧力は低下するが、循環
流量が増加するため、ポンプに空気が入り込み、洗浄水
を安定して加圧することができなくなり、所定の洗浄能
力を得られなくなる。仮に給水量を多くした場合、ヒー
タ６７の加熱能力（容量ともいう）は大きいものが必要
となる。

【００１４】しかも、ヒータ６７による加熱には長時間
を必要とするものであり、洗浄運転での使用水量と消費
電力量と運転時間のかかるものである。

【００１５】本発明は、以上のような従来の食器洗浄機
が有している課題を解決するものである。特に、２系統
の吐出経路を有するポンプ、ノズルと能力可変が可能な
電動機を用いることにより、短時間で強力洗浄を行った
り、運転騒音を低減した静音洗浄が可能な食器洗浄機を
提供することを目的としているものである。

【００１６】

【課題を解決するための手段】本発明の食器洗浄機は、
洗浄槽と、食器を収納する食器かごと、被洗浄物を捕獲
するフィルタと、回転数を可変できる駆動用電動機を用
い、加圧した洗浄水を吐出する第一の吐出経路と第二の
吐出経路、および吐出経路を切り換えるための切り換え
手段を、洗浄ケ−シングあるいはポンプ吐出経路内に具
備した洗浄ポンプと、切り換え手段を制御する制御手段
を備えるとともに、洗浄水を噴射する第一の洗浄ノズル
は、上記第一の吐出経路あるいは第二の吐出経路にそれ
ぞれ連通した第一の洗浄水通路と第二の洗浄水通路、お
よび第一の複数個の噴射口と第二の複数個の噴射口と
が、互いに同一円周上に位置しないよう設けられ、かつ
第一の複数個の噴射口の総開口面積は、第二の複数個の
噴射口の総開口面積より小さく設定したことを特徴とす
るものである。

【００１７】この発明によれば、通常運転時は第二の噴
射口より洗浄水が噴射するように、ポンプの切り換え手
段を制御し、洗浄を行うが、強力洗浄を行うときには噴
射口の総開口面積のより小さく設定した、第一の噴射口
より高圧の洗浄水を噴射させると共に、ポンプを高速回
転させることにより、洗浄ノズルより噴射される噴射流
量を略一定に保ち、洗浄エネルギ−を増大させることが
できる。

【００１８】よって、短時間で、しかも強力に食器に付
着した汚染を洗浄することができる食器洗浄機を提供で
きる。さらに、洗浄時間の短縮にともなって、ヒ−タの
通電時間も短縮され、消費電力の低減をも実現できる食
器洗浄機を提供できる。

【００１９】

【発明の実施の形態】請求項１記載の発明は、洗浄槽
と、食器を収納する食器かごと、被洗浄物を捕獲するフ
ィルタと、回転数を可変できる駆動用電動機を用い、加
圧した洗浄水を吐出する第一の吐出経路と第二の吐出経
路、および吐出経路を切り換えるための切り換え手段
を、洗浄ケ−シングあるいはポンプ吐出経路内に具備し
た洗浄ポンプと、切り換え手段を制御する制御手段を備
えるとともに、洗浄水を噴射する第一の洗浄ノズルは、
上記第一の吐出経路あるいは第二の吐出経路にそれぞれ
連通した第一の洗浄水通路と第二の洗浄通路、および第
一の複数個の噴射口と第二の複数個の噴射口とが、互い
に同一円周上に位置しないよう設けられ、かつ第一の複
数個の噴射口の総開口面積は、第二の複数個の噴射口の
総開口面積より小さく設定したことを特徴とする食器洗
浄機としたことである。

【００２０】本発明によれば、高圧、低流量用噴射口
と、所定圧、所定流量用の２種類の噴射口をそれぞれ独
立した洗浄通路内に設け、さらに洗浄ポンプを能力可変
できるようにしたことにより、噴射口より噴出する洗浄
水の圧力は変化させるが、洗浄流量を略一定に保つこと
ができるため、ポンプのエアガミを防いで安定した洗浄
性能を得ることができると共に、流量と圧力の積である
噴射エネルギ−を最適に設定することができる。よっ
て、洗浄性能を大幅に高めた短時間、強力洗浄を安定し
て実現するとともに、消費電力を低減した食器洗浄機を
提供することができる。

【００２１】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明に加えて、第一の複数個の噴射口と第二の複数個の噴
射口の両方の噴射口から洗浄水を吐出するよう、上記切
り換え手段を動作させ、かつ第二の複数個の噴射口より
噴射する噴射流量が、第一の洗浄水通路と第一の複数個
の噴射口を用いた運転時と略同一となるように、駆動用
電動機の回転数を制御させて動作を行うことを特徴とす
る食器洗浄機としたことである。

【００２２】本発明によれば、特に加熱すすぎ行程な
ど、洗浄ノズル噴射力をあまり必要としない場合に、低
噴射圧による静音運転の実現と、洗浄流量を増加させ
ず、安定して食器に対して広範囲に洗浄することができ
るものである。

【００２３】よって、すすぎ性能の高い、静音洗浄を実
現した食器洗浄機を提供することができる。

【００２４】請求項３記載の発明は、請求項１あるいは
請求項２記載の発明に加えて、上記第一の洗浄ノズルに
は、第一の洗浄ノズルとは回転軸心を所定距離だけ偏心
させ、かつ略水平に回転する第三の複数個の噴射口を有
する第二の洗浄ノズルを設け、第一の洗浄水通路と連通
させたことを特徴とする食器洗浄機およびその運転方法
である。

【００２５】本発明によれば、第二の洗浄ノズルを高圧
洗浄時に使用することにより、よりきめ細かく洗浄水を
食器に噴射することができ、より効率的な洗浄ムラのな
い洗浄を行うことができる。よって、特に高圧洗浄時の
洗浄性能の向上や短時間洗浄を実現する食器洗浄機を提
供できる。

【００２６】請求項４記載の発明は、請求項１あるいは
請求項２記載の発明に加えて、第一の洗浄ノズルには、
第一の洗浄ノズルとは回転軸心を所定距離だけ偏心さ
せ、かつ略水平に回転する第三の複数個の噴射口を有す
る第二の洗浄ノズルを設け、第二の洗浄水通路と連通さ
せたことを特徴とする食器洗浄機およびその運転方法で
ある。

【００２７】本発明によれば、第二の洗浄ノズルを低圧
洗浄時に使用することにより、洗浄水を噴射する洗浄領
域を拡大することができ、より効率的な洗浄ムラのない
すすぎ洗浄を行うことができる。よって低圧力噴射では
あるが、より短時間に食器をすすぐことができる。

【００２８】また、第一のノズルには多数の開口面積の
大きい噴射口が具備されているので、第一のノズルの回
転摺動部には過大な回転トルクが加わることになる。と
ころが、第二の洗浄ノズルからも洗浄水を噴射させるこ
とにより、第一のノズルとの間で噴射圧力バランスが改
善され、第一のノズルの回転摺動部における偏摩耗を抑
制することができ、摺動部からの水漏れの抑制、ノズル
回転の回転信頼性を向上することができる。

【００２９】よって特に、静音洗浄でありながらより短
時間に洗浄を行うことができ、かつノズル回転の信頼性
を向上した食器洗浄機を提供することができる。

【００３０】

【実施例】以下、この発明の実施例について、図面を参
照しつつ説明する。

【００３１】（実施例１）図１は、本実施例の全体の構
成を示している。１は洗浄槽、２は食器を収納して洗浄
槽１内に配置されている食器かごで、３は図２に示すよ
うに、ＤＣモ−タを駆動用モ−タ４とする洗浄ポンプ
で、その噴出経路５内にソレノイドコイル６により可動
し、制御装置７によって制御された切り換え弁８が設け
られており、洗浄ノズル９にそれぞれ連通する第一の吐
出経路１０あるいは第二の吐出経路１１に枝分かれして
いる。上記洗浄ノズル９は図３、図４に示すように、洗
浄ノズル９を軸支するノズル軸受け１２内に第一の吐出
経路１０あるいは第二の吐出経路１１にそれぞれ連通し
た第一の洗浄水通路１３と第二の洗浄通路１４が設けら
れており、また洗浄水を噴出する第一の噴射口１５と第
二の噴射口１６とが、上記各経路に、互いに同一円周上
に位置しないよう設けられている。

【００３２】また第一の噴射口１５の総開口面積は、第
二の噴射口１６の総開口面積より小さくなるよう設定さ
れている。ただし、噴射口の開口面積は洗浄槽１下部に
設けられたフィルタ１７の最小通過径よりも大きく設定
されており、食器に付着した残菜が噴射口に詰まること
はない。制御装置７は、給水、洗浄、すすぎ、排水動
作、切り換え弁８の開閉動作、駆用モ−タ４の回転数を
制御するなど、食器洗浄機の一連の動作を制御してい
る。

【００３３】以下本実施例の動作について説明する。ま
ず、洗剤を投入して洗浄する本洗行程を行うが、このと
き、制御装置７によって制御された切り換え弁８が、ソ
レノイドコイル６によって第二の洗浄通路１４を塞ぐよ
うに動き、洗浄ポンプ３が動作して、第一の噴射口１５
から高圧の洗浄水が噴射し、食器の強力洗浄を行う。こ
のとき駆動用モ−タ４は通常より高回転で回転する。そ
して、排水、行程を経てすすぎ行程に入る。このとき、
制御装置７によって制御された切り換え弁８が、ソレノ
イドコイル６によって第一の洗浄通路１３を塞ぐように
動き、洗浄ポンプ３が動作して、第二の噴射口１５から
通常圧の洗浄水が噴射し、食器のすすぎ洗浄を行う。

【００３４】この一連の動作により噴射口より噴射され
る洗浄水の流量、圧力の変化について図５を用いて説明
する。図５は洗浄ポンプ３のＱ（流量）Ｈ（圧力）曲線
（ポンプは能力可変）と噴射口の圧力損失曲線を示した
ものであり、両曲線の交点が洗浄ノズルの動作点とな
る。また、噴射口の損失曲線において、第一の噴射口１
５の総開口面積は、第二の噴射口１６の総開口面積より
小さくなるよう設定されているため、第一の噴射口１５
の曲線はより低流量側にくる。

【００３５】よってすすぎ行程の時には、第二の噴射口
１６と洗浄ポンプの通常回転時のＱＨ曲線が交わる点Ｖ
が動作点となるが、高圧洗浄時には第一の噴射口１５に
洗浄水が吐出するようになり、しかも制御装置があらか
じめ用意されたプログラムに従って、点Ｖにおける略流
量になるまで洗浄ポンプ３の回転数を高く回転させる動
作を行い、動作点は点Ｗに移動する。よって高圧ながら
十分流量が確保されるために、洗浄エネルギ−は点Ｖよ
り上昇し、より高エネルギ−で洗浄する強力洗浄が実現
する。

【００３６】このように本実施例によれば、高圧、低流
量用噴射口と、所定圧、所定流量用の２種類の噴射口を
それぞれ独立した洗浄通路内に設け、さらに洗浄ポンプ
を能力可変できるようにしたことにより、噴射口より噴
出する洗浄水の圧力は変化させるが、洗浄流量を略一定
に保つことができるため、ポンプのエアガミを防いで安
定した洗浄性能を得ることができると共に、流量と圧力
の積である噴射エネルギ−を最適に設定することができ
る。よって、洗浄性能を大幅に高めた短時間、強力洗浄
を安定して実現するとともに、消費電力を低減した食器
洗浄機を提供することができる。

【００３７】なお、洗浄ポンプの吐出経路の切換方法に
ついては、本発明の方法の他に、図１０に示すような方
法も考えられる。つまり洗浄ポンプに２つの吐出経路を
設け、その一方には切換弁が設けてある。そして切換弁
の動作は、洗浄インペラを正逆反転させることにより、
洗浄水の力で切換弁が開閉するものである。さらに図示
していないが、図２において、ソレノイドコイルではな
く、洗浄水の力で切換弁を開閉させる方法も考えられ
る。

【００３８】（実施例２）基本構成は実施例１と同様の
食器洗浄機であるので、これを共用するとともに細部の
説明は省略する。また食器洗浄機の洗浄工程での基本的
な動作については、実施例１と同じであるから、説明を
省く。以下では、本発明の特徴とする動作を中心に説明
する。なお、噴射口の開口面積はフィルタを通過する最
小面積より大きく設定しており、異物などが噴射口に詰
まることはない。

【００３９】通常、洗剤を用いて行う本洗行程は、洗浄
水中に含まれる気泡が存在するために、洗浄水が洗浄槽
その他に衝突するときに音に起因する洗浄騒音は、気泡
の存在しないすすぎ行程より低くなる。また、すすぎ行
程では、本洗行程で落ちた汚れや洗剤成分を食器からす
すぐためのものであり、高圧な噴射を必要としない。つ
まり、すすぎ行程においてはより低圧なすすぎ洗浄を行
い、騒音の低くなる洗浄方式が有効であることはいうま
でもない。

【００４０】そこで本実施例では、本洗行程では制御装
置７によって制御された切り換え弁８が、ソレノイドコ
イル６によって第二の洗浄通路１４を塞ぐように動き、
洗浄ポンプ３が動作して、第一の噴射口１５から通常圧
の洗浄水が噴射し、食器の洗浄を行う。そして、排水、
行程を経てすすぎ行程に入る。このとき、制御装置７に
よって制御された切り換え弁８が、ソレノイドコイル６
によって第一の洗浄通路１３を塞ぐように動き、洗浄ポ
ンプ３が動作して、第二の噴射口１５から通常より低圧
かつ通常時とほぼ同一の流量の洗浄水が噴射し、食器を
低騒音ですすぎ洗浄する。

【００４１】この一連の動作により噴射口より噴射され
る洗浄水の流量、圧力の変化について図６を用いて説明
する。図６は洗浄ポンプ３のＱ（流量）Ｈ（圧力）曲線
（ポンプは能力可変）と噴射口の圧力損失曲線を示した
ものであり、両曲線の交点が洗浄ノズルの動作点とな
る。また、噴射口の損失曲線において、第一の噴射口１
５の総開口面積は、第二の噴射口１６の総開口面積より
小さくなるよう設定されているため、第一の噴射口１５
の曲線はより低流量側にくる。

【００４２】よって本洗行程の時には、第一の噴射口１
５と洗浄ポンプ３の通常回転時のＱＨ曲線が交わる点Ｘ
が動作点となるが、低圧すすぎ洗浄時には第二の噴射口
１６に洗浄水が吐出するようになり、しかも制御装置が
あらかじめ用意されたプログラムに従って、点Ｘにおけ
る略流量になるまで洗浄ポンプ３の回転数を低く回転さ
せる動作を行い、動作点は点Ｙに移動する。よって低圧
ながら必要以上の流量が噴射されることなく、給水量の
不足からくる洗浄ポンプ動作の不安定さを起こすことは
ない。よって洗浄エネルギ−は点Ｘより低下し、より低
エネルギ−で洗浄する静音洗浄が実現する。

【００４３】このように本実施例によれば、特に加熱す
すぎ行程など、洗浄ノズル噴射力をあまり必要としない
場合に、低噴射圧による静音運転の実現と、洗浄流量を
増加させず、安定して食器に対して広範囲に洗浄するこ
とができるものである。よって、すすぎ性能の高い、静
音洗浄を実現した食器洗浄機を提供することができる。

【００４４】なお、洗浄ポンプの吐出経路の切換方法に
ついては、本発明の方法の他に、図１０に示すような方
法も考えられる。つまり洗浄ポンプに２つの吐出経路を
設け、その一方には切換弁が設けてある。そして切換弁
の動作は、洗浄インペラを正逆反転させることにより、
洗浄水の力で切換弁が開閉するものである。さらに図示
していないが、図２において、ソレノイト゛コイルではなく、洗
浄水の力で切換弁を開閉させる方法も考えられる。

【００４５】（実施例３）基本構成は実施例１と同様の
食器洗浄機であるので、これを共用するとともに細部の
説明は省略する。特に本発明の特徴としては、図７、図
８に示すように、第一の洗浄ノズル２０には、第一の洗
浄ノズル２０とは回転軸心を所定距離Ｌだけ偏心させ、
かつ略水平に回転する第三の複数個の噴射口２１を有す
る第二の洗浄ノズル２２を設け、第一の洗浄水通路１３
と連通させたことである。なお、噴射口の開口面積はフ
ィルタ１７を通過する最小面積より大きく設定してお
り、異物などが噴射口に詰まることはない。

【００４６】一般的に高圧噴射を行う場合、噴射口はそ
の個数を少なくする、あるいは開口面積を小さくするな
ど流量を削減して高圧を得る。よって噴射する洗浄水は
棒状に噴射するため、洗浄面に圧力の高いところと低い
ところが顕著に現れる、いわゆる洗浄密度差が大きくな
る噴射となってしまう。結果として食器に対しても洗浄
ムラを発生してしまい、洗浄性能の低下を引き起こす。

【００４７】ところが本発明によれば、第二の洗浄ノズ
ルを高圧洗浄時に使用することにより、よりきめ細かく
洗浄水を食器に噴射することができ、より効率的な洗浄
ムラのない洗浄を行うことができる。また。特に高圧洗
浄時の洗浄性能の向上や短時間洗浄を実現する食器洗浄
機を提供できる。

【００４８】なお、洗浄ポンプの吐出経路の切換方法に
ついては、本実施例の方法の他に、図１０に示すような
方法も考えられる。つまり洗浄ポンプに２つの吐出経路
を設け、その一方には切換弁が設けてある。そして切換
弁の動作は、洗浄インペラを正逆反転させることによ
り、洗浄水の力で切換弁が開閉するものである。さらに
図示していないが、図２において、ソレノイドコイルで
はなく、洗浄水の力で切換弁を開閉させる方法も考えら
れる。

【００４９】（実施例４）基本構成は実施例１と同様の
食器洗浄機であるので、これを共用するとともに細部の
説明は省略する。特に本発明の特徴としては、図９に示
すように、第一の洗浄ノズル２３には、第一の洗浄ノズ
ル２３とは回転軸心を所定距離Ｌだけ偏心させ、かつ略
水平に回転する第三の複数個の噴射口２４を有する第二
の洗浄ノズル２５を設け、第一の洗浄水通路１３と連通
させたことである。なお、噴射口の開口面積はフィルタ
１７を通過する最小面積より大きく設定しており、異物
などが噴射口に詰まることはない。

【００５０】一般的に低圧噴射を行う場合、噴射口はそ
の個数を多くする、あるいは開口面積を大きくするなど
流量を増大して低圧を得る。ところが本発明のようにポ
ンプのエアガミを防止するためにポンプ能力を低下させ
て洗浄流量を通常状態と略同一にする場合、洗浄流量の
低下によるすすぎ性能の低下はさけられない。

【００５１】また、第一のノズル２３には多数の開口面
積の大きい噴射口が具備されているので、第一のノズル
の回転摺動部２６には過大な回転トルクが加わることに
なる。よって、圧力バランスがくずれ、回転摺動部２６
からの水漏れが発生したり、偏摩耗による摺動性能の低
下による洗浄性能の低下を引き起こしてしまう。

【００５２】ところが本実施例によれば、第二の洗浄ノ
ズルを低圧洗浄時に使用することにより、洗浄水を噴射
する洗浄領域を拡大することができ、より効率的な洗浄
ムラのないすすぎ洗浄を行うことができる。よって低圧
力噴射ではあるが、より短時間に食器をすすぐことがで
きる。

【００５３】また、第二の洗浄ノズルからも洗浄水を噴
射させることにより、第一のノズルとの間で噴射圧力バ
ランスが改善され、第一のノズルの回転摺動部における
偏摩耗を抑制することができ、摺動部からの水漏れの抑
制、ノズル回転の回転信頼性を向上することができる。
よって特に、静音洗浄でありながらより短時間に洗浄を
行うことができ、かつノズル回転の信頼性を向上した食
器洗浄機を提供することができる。

【００５４】なお、洗浄ポンプの吐出経路の切換方法に
ついては、本発明の方法の他に、図１０に示すような方
法も考えられる。つまり洗浄ポンプに２つの吐出経路を
設け、その一方には切換弁が設けてある。そして切換弁
の動作は、洗浄インペラを正逆反転させることにより、
洗浄水の力で切換弁が開閉するものである。さらに図示
していないが、図２において、ソレノイト゛コイルではなく、洗
浄水の力で切換弁を開閉させる方法も考えられる。

【００５５】

【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るので、以下に記載されるような効果を有する。

【００５６】本発明の請求項１記載の発明は、洗浄槽
と、食器を収納する食器かごと、被洗浄物を捕獲するフ
ィルタと、回転数を可変できる駆動用電動機を用い、加
圧した洗浄水を吐出する第一の吐出経路と第二の吐出経
路、および吐出経路を切り換えるための切り換え手段
を、洗浄ケ−シングあるいはポンプ吐出経路内に具備し
た洗浄ポンプと、切り換え手段を制御する制御手段を備
えるとともに、洗浄水を噴射する第一の洗浄ノズルは、
上記第一の吐出経路あるいは第二の吐出経路にそれぞれ
連通した第一の洗浄水通路と第二の洗浄通路、および第
一の複数個の噴射口と第二の複数個の噴射口とが、互い
に同一円周上に位置しないよう設けられ、かつ第一の複
数個の噴射口の総開口面積は、第二の複数個の噴射口の
総開口面積より小さく設定したことを特徴とするもので
ある。

【００５７】本発明によれば、高圧、低流量用噴射口
と、所定圧、所定流量用の２種類の噴射口をそれぞれ独
立した洗浄通路内に設け、さらに洗浄ポンプを能力可変
できるようにしたことにより、噴射口より噴出する洗浄
水の圧力は変化させるが、洗浄流量を略一定に保つこと
ができるため、ポンプのエアガミを防いで安定した洗浄
性能を得ることができると共に、流量と圧力の積である
噴射エネルギ−を最適に設定することができる。よっ
て、洗浄性能を大幅に高めた短時間、強力洗浄を安定し
て実現するとともに、消費電力を低減した食器洗浄機を
提供することができる。

【００５８】請求項２記載の発明は、請求項１の発明に
おいて、第一の複数個の噴射口と第二の複数個の噴射口
の両方の噴射口から洗浄水を吐出するよう、上記切り換
え手段を動作させ、かつ第二の複数個の噴射口より噴射
する噴射流量が、第一の洗浄水通路と第一の複数個の噴
射口を用いた運転時と略同一となるように、駆動用電動
機の回転数を制御させて動作を行うことを特徴とするも
のである。

【００５９】本発明によれば、特に加熱すすぎ行程な
ど、洗浄ノズル噴射力をあまり必要としない場合に、低
噴射圧による静音運転の実現と、洗浄流量を増加させ
ず、安定して食器に対して広範囲に洗浄することができ
るものである。よって、すすぎ性能の高い、静音洗浄を
実現した食器洗浄機を提供することができる。

【００６０】請求項３記載の発明は、請求項１あるいは
請求項２の発明の場合において、上記第一の洗浄ノズル
には、第一の洗浄ノズルとは回転軸心を所定距離だけ偏
心させ、かつ略水平に回転する第三の複数個の噴射口を
有する第二の洗浄ノズルを設け、第一の洗浄水通路と連
通させたことを特徴とする食器洗浄機およびその運転方
法である。

【００６１】本発明によれば、第二の洗浄ノズルを高圧
洗浄時に使用することにより、よりきめ細かく洗浄水を
食器に噴射することができ、より効率的な洗浄ムラのな
い洗浄を行うことができる。

【００６２】よって、特に高圧洗浄時の洗浄性能の向上
や短時間洗浄を実現する食器洗浄機を提供できる。

【００６３】請求項４記載の発明は、請求項１あるいは
請求項２の発明の場合において、上記第一の洗浄ノズル
には、第一の洗浄ノズルとは回転軸心を所定距離だけ偏
心させ、かつ略水平に回転する第三の複数個の噴射口を
有する第二の洗浄ノズルを設け、第二の洗浄水通路と連
通させたことを特徴とするものである。

【００６４】本発明によれば、第二の洗浄ノズルを低圧
洗浄時に使用することにより、洗浄水を噴射する洗浄領
域を拡大することができ、より効率的な洗浄ムラのない
すすぎ洗浄を行うことができる。よって低圧力噴射では
あるが、より短時間に食器をすすぐことができる。

【００６５】また、第一のノズルには多数の開口面積の
大きい噴射口が具備されているので、第一のノズルの回
転摺動部には過大な回転トルクが加わることになる。と
ころが、第二の洗浄ノズルからも洗浄水を噴射させるこ
とにより、第一のノズルとの間で噴射圧力バランスが改
善され、第一のノズルの回転摺動部における偏摩耗を抑
制することができ、摺動部からの水漏れの抑制、ノズル
回転の回転信頼性を向上することができる。

【００６６】よって特に、静音洗浄でありながらより短
時間に洗浄を行うことができ、かつノズル回転の信頼性
を向上した食器洗浄機を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１における食器洗浄機の全体図

【図２】同実施例の洗浄ポンプの要部断面図

【図３】同実施例の洗浄ノズルの側断面図

【図４】同実施例の洗浄ノズルの平面図

【図５】同実施例の噴射口より噴射される洗浄水の流
量、圧力の変化を示す図

【図６】本発明の実施例２における噴射口より噴射され
る洗浄水の流量、圧力の変化を示す図

【図７】本発明の実施例３における洗浄ノズルの要部断
面図

【図８】本発明の実施例３における洗浄ノズルの平面図

【図９】本発明の実施例４における洗浄ノズルの要部断
面図

【図１０】本発明の実施例における洗浄ポンプ要部断面
図

【図１１】従来の食器洗浄機の要部断面図

【図１２】従来の洗浄ノズルの平面図

【符号の説明】

１ 洗浄槽 ２ 食器かご ３ 洗浄ポンプ ８ 切り換え弁 １０ 第一の吐出経路 １１ 第二の吐出経路 １３ 第一の洗浄水通路 １４ 第二の洗浄水通路

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗浄槽と、食器を収納する食器かごと、
   被洗浄物を捕獲するフィルタと、回転数を可変できる駆
   動用電動機と、前記電動機により加圧した洗浄水を吐出
   する第一および第二の吐出経路と、前記それぞれの吐出
   経路を切り換えるための切り換え手段を洗浄ケ−シング
   あるいはポンプ吐出経路内に具備した洗浄ポンプと、前
   記切り換え手段を制御する制御手段を備えるとともに、
   洗浄水を噴射する第一の洗浄ノズルは、前記第一の吐出
   経路あるいは第二の吐出経路にそれぞれ連通した第一の
   洗浄水通路と第二の洗浄通路、および第一の複数個の噴
   射口と第二の複数個の噴射口とが、互いに同一円周上に
   位置しないよう設けられ、かつ第一の複数個の噴射口の
   総開口面積は、第二の複数個の噴射口の総開口面積より
   小さく設定した食器洗浄機。
2. 【請求項２】 第一の複数個の噴射口と第二の複数個の
   噴射口の両方の噴射口から洗浄水を吐出するよう、切り
   換え手段を動作させ、かつ第二の複数個の噴射口より噴
   射する噴射流量が、第一の洗浄水通路と第一の複数個の
   噴射口を用いた運転時と略同一となるように、駆動用電
   動機の回転数を制御させて動作を行う請求項１記載の食
   器洗浄機。
3. 【請求項３】 第一の洗浄ノズルには、第一の洗浄ノズ
   ルとは回転軸心を所定距離だけ偏心させ、かつ略水平に
   回転する第三の複数個の噴射口を有する第二の洗浄ノズ
   ルを設け、第一の洗浄水通路と連通させた請求項１から
   ３いずれか１項記載の食器洗浄機。
4. 【請求項４】 第一の洗浄ノズルには、第一の洗浄ノズ
   ルとは回転軸心を所定距離だけ偏心させ、かつ略水平に
   回転する第三の複数個の噴射口を有する第二の洗浄ノズ
   ルを設け、第二の洗浄水通路と連通させた請求項１から
   ３いずれか１項記載の食器洗浄機。