JPH11326617A - 回折光学素子を含む光学系及びその設計方法 - Google Patents

回折光学素子を含む光学系及びその設計方法

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JPH11326617A
JPH11326617A JP10130105A JP13010598A JPH11326617A JP H11326617 A JPH11326617 A JP H11326617A JP 10130105 A JP10130105 A JP 10130105A JP 13010598 A JP13010598 A JP 13010598A JP H11326617 A JPH11326617 A JP H11326617A
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grating
optical system
optical element
incident
relief
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Tetsuya Ishii
石井哲也
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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/18Diffraction gratings
    • G02B5/1866Transmission gratings characterised by their structure, e.g. step profile, contours of substrate or grooves, pitch variations, materials

Abstract

(57)【要約】 【課題】 レリーフ型回折光学素子の回折効率を入射角
依存性を含めて簡便に定量的に導出する手法。 【解決手段】 回折効率を少なくとも1つの評価指標と
した回折光学素子を含む光学系の設計方法であり、回折
光学素子は鋸歯波状断面のレリーフで構成される透過型
ブレーズ格子であり、その透過型ブレーズ格子は格子面
に対して略垂直な側壁部を有し、評価指標は、少なくと
もレリーフの不連続部の位相差と影効果を含む所定の数
式で与えられ、その数式は、不連続部の影効果として、
少なくとも入射角度に依存した光の減衰効果と、入射角
度に依存しない光の減衰効果とをそれぞれ独立に含む設
計方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋸歯波状断面を有
するレリーフ型回折光学素子、それを含む光学系、及
び、その設計法に関し、特に、その回折光学素子がレン
ズ作用を有する場合に関するものである。
【0002】
【従来の技術】回折作用によって光を曲げるレンズ(回
折型レンズ)は、屈折型のレンズとは異なる有用な特徴
を持っている。例えば、屈折素子とは異なる分散特性
(逆分散性、異常分散性)を用いた色消し光学系、ある
いは、実質的に厚みを持たないことを利用した光学系の
小型軽量化を実現することが可能である。このような回
折型レンズは、最近の精密加工技術を用いれば、レリー
フ型回折素子として製造することができ、最近では、実
際に回折型レンズを搭載したアプリケーションが実用化
されるに至った。このように、回折型レンズはすでに実
用化の段階に達している。
【0003】しかし、回折型レンズに代表される回折光
学素子は、回折効率という屈折型素子には存在しない特
性を有し、この特性が回折型レンズを撮像光学系に適用
する際の障害となる場合がある。その1つの例が、回折
効率の入射角依存性である。回折効率の入射角依存性と
は、特定のある入射角度で十分な回折効率を得るように
回折光学素子を構成したとしても、入射角の変化によっ
て回折効率が低下する現象である。これは、回折光学素
子の原理的な問題であり、実際の回折光学素子であれ
ば、程度の差はあれ必ず存在する。
【0004】主要次数光で回折効率が低下するというこ
とは、その他の次数光(不要次数光)が増加することに
対応する。このような不要次数光はゴーストやフレアー
となって光学系の性能を低下させてしまうことになる。
したがって、例えばピックアップレンズのような検出光
学系に使用する場合であっても、少なくとも60%以上
の回折効率を実現することが望ましく、特に、画像を形
成する結像光学系に回折レンズを適用する場合は、画像
の品質を最低限保つために少なくとも80%以上の回折
効率が必要である。さらに、高精細な画像品質を実現す
るためには、90%以上の回折効率、あるいは、場合に
よっては95%以上の回折効率が必要である。
【0005】また、例えばレリーフ型回折光学素子の溝
を透明な光学材料で平坦化する場合がある。このような
構成の回折光学素子は、レリーフパターンの微細構造が
保護されているので、外部からの汚染に強いといった特
徴を有し、レリーフパターン面を実質的に外部に露出す
るといった光学設計上の配置を可能とする。したがっ
て、このような技術は回折光学素子の実用化技術として
極めて有効である。しかし、このような構成は、回折効
率の入射角依存性を通常のレリーフ格子の場合より悪化
させることが予想されるので、実際の光学系にこの構成
を適用する場合には、回折効率の入射角依存性に対する
定量的な配慮が特に重要である。
【0006】このように、回折光学素子を光学系に適用
し、実用化するためには、回折効率の入射角依存性に関
する定量的な配慮が不可欠である。ところが、例えば超
高屈折率法(Sweatt Model)に代表される
ような通常の回折型レンズの設計手法では、回折光学素
子を仮想的な屈折レンズに置き換えているため、設計段
階では、その回折光学素子がレリーフ格子であるのか、
あるいは、体積型ホログラムであるのかが指定されてい
ない。回折効率の入射角依存性は回折光学素子の実施形
態によって当然異なるから、つまり、このような設計手
法では回折効率の入射角依存性を考慮した設計は実現で
きていないことになる。したがって、回折光学素子を含
む光学系をこのような設計に従って実現したとしても、
その光学特性が設計通りとならない場合が多く予想され
る。
【0007】これに対して、レリーフ型回折光学素子に
おける回折効率の入射角依存性を定量的に解析する手段
としては、一般的にマックスウェル方程式に基づく電場
解析が行われている。マックスウェル方程式に基づく電
場解析を行えば、回折効率の入射角依存性を定量的に把
握することは可能である。しかし、この方法は、特定の
状態(使用光の波長、格子ピッチ、溝深さ、屈折率等)
毎に微分方程式を解く必要があり、容易に計算結果を得
ることができない。また、微分方程式を正確に解くため
には、波長で規格化したピッチPに対して概ねP×P程
度の行列演算が必要になり、回折型レンズとして結像光
学系によく用いられる程度のピッチ(通常、波長で規格
化したピッチが20以上)では、計算結果を得ることは
さらに容易ではなくなる。したがって、このような解析
をレンズ設計と並列に行うことは実用的とは言えない。
【0008】一方では、レリーフ型回折素子の回折効率
を見積もる手段として、薄型回折格子のモデル(薄型モ
デル)をスカラー回折の公式に適用する方法もある。こ
の方法は、レリーフ型回折素子の回折効率を定式化した
表現(いわゆるClosedform)で表すため、容
易に計算結果を導けるという特徴がある。しかし、この
ような薄型モデルに基づく手法は、一般に斜入射の影響
を考慮していないため、本発明が問題としているような
回折効率の入射角依存性の評価に適用されることは少な
い。薄型モデルを拡張することにより、レリーフ格子の
斜入射特性を考慮した例(E.K.Popov et.
al.,Opt.Commun.80,(1991)3
07.)もあるが、本発明が課題としているような回折
効率の定量評価においては、定量的な精度の点で十分と
は言えない。特に、レリーフ型回折光学素子の溝を透明
な光学材料で平坦化したような場合、この方法では、電
場解析に基づく厳密な計算結果との定量的な一致が全く
得られない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上説明してきたよう
に、従来は、レリーフ型回折光学素子の回折効率をその
入射角依存性を含めて定量的に簡便に評価する手法が確
立していなかった。そのため、回折効率の入射角依存性
が光学系の設計段階ではほとんど考慮されず、実際にそ
の光学系を実現した場合の光学性能と設計性能との間に
剥離が生じていた。
【0010】本発明は従来技術のこのような問題に鑑み
てなされたものであり、その第1の目的は、レリーフ型
回折光学素子の回折効率を入射角依存性を含めて簡便に
定量的に導出する手法を提示することである。また、本
発明の第2の目的は、光学系への適用において特に重要
なブレーズ格子に対して、その構成条件と光の入射角と
の関係を明らかにし、その効果的な関係による高性能な
光学系を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の回折光学素子を含む光学系の設計方法は、回折効率
を少なくとも1つの評価指標とした回折光学素子を含む
光学系の設計方法において、回折光学素子は鋸歯波状断
面のレリーフで構成される透過型ブレーズ格子であり、
その透過型ブレーズ格子は格子面に対して略垂直な側壁
部を有し、評価指標は、少なくともレリーフの不連続部
の位相差と影効果を含む所定の数式で与えられ、前記数
式は、不連続部の影効果として、少なくとも入射角度に
依存した光の減衰効果と、入射角度に依存しない光の減
衰効果とをそれぞれ独立に含むことを特徴とする方法で
ある。
【0012】また、本発明の回折光学素子を含む光学系
は、光軸上に少なくとも1つの回折光学素子を有する光
学系において、回折光学素子は鋸歯波状断面のレリーフ
で構成される透過型ブレーズ格子であり、その透過型ブ
レーズ格子は格子面に対して略垂直な側壁部を有し、光
学系は光軸を含み、格子溝に垂直な少なくとも1つの入
射面を有し、その入射面上において、入射光線が格子面
の法線となす角θenと、その光線が入射する格子面上の
領域におけるブレーズ格子の構成が、入射側媒質の屈折
率をnen、射出側媒質の屈折率をnex、格子溝深さを
h、格子ピッチをpとするとき、回折光学素子に入射す
る入射面上の全ての光線に対して、以下で示す関係を満
足することを特徴とするものである。 1≧PSE×SE>0.8 ただし、 PSE=|sinπ(m−φ)/{π(m−φ)}|2 φ=h/λ・(nexcosθex (m) −nencosθen) nexsinθex (m) =nensinθen+mλ/p SE={1−√(SE12 +SE22 )}2 SE1=k1 ・(h/p)tanθave SE2=k2 ・λ/p θave =(θen+θex (m) )/2 k1 =0.85 k2 =0.3・|h/λ|0.35 ここで、m:回折効率が最大となる回折次数、 θex (m) :m次回折光線が格子面の法線となす角、 λ:使用する光の波長 である。
【0013】本発明に基づく透過型ブレーズ格子を含む
光学系は、鋸歯波状断面のレリーフで構成される透過型
ブレーズ格子において、入射側媒質の屈折率をnen、射
出側媒質の屈折率をnex、格子溝深さをh、格子ピッチ
をpとするとき、以下で示す関係を満足することを特徴
とするものである。 0.8<|h/h0 |<1 6<|p/h0 | ただし、h0 =λ/(nex−nen)、λ:使用する光の
波長である。
【0014】本発明においては、評価指標が、少なくと
もレリーフの不連続部の位相差と影効果を含む所定の数
式で与えられ、その数式は、不連続部の影効果として、
少なくとも入射角度に依存した光の減衰効果と、入射角
度に依存しない光の減衰効果とをそれぞれ独立に含むの
で、透過型ブレーズ格子の回折効率を定量的に正確に計
算することができる。これを光線追跡と併用することに
より、回折光学素子を透過型ブレーズ格子として実現す
る場合の光学設計の精度と開発の効率を向上させること
ができ、従来より高性能な回折光学素子を含む光学系開
発が可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】前記の本発明の目的を達成するた
め、まず、本出願人は拡張した薄型モデルをスカラー回
折の公式に適用する方法、すなわち、前述したE.K.
Popov等の試みを改良し、拡張した薄型モデルによ
る計算(近似計算)と電場解析に基づく厳密な数値計算
とを定量的に一致させることを試みた。以下では、ま
ず、本発明の第1の目的を達成するレリーフ型回折光学
素子の設計手法を詳しく説明する。
【0016】まず、図1で、本発明で想定しているブレ
ーズ格子の形状と入射光線の関係を規定する。図1にお
いて、x−y面は格子溝に垂直で光軸を含む入射面上に
あり、x軸はレリーフが形成された基準面(格子面)に
接し、y軸はその接点においてx軸に垂直であるとす
る。各軸の符号は、図の矢印の向きを正とする。図中の
太線は、屈折率nenの媒質1と屈折率nexの媒質2の境
界であり、ブレーズ格子の断面形状を規定する。このブ
レーズ格子の断面形状は、図で示すように、x軸に垂
直、すなわち、格子面に垂直な側壁ブレーズを有した鋸
歯波状断面形状であり、そのピッチはp、溝深さはhで
ある(ブレーズ角をθb とすると、tanθb =h/p
となる。)。なお、hが負の場合、ブレーズ格子の断面
形状はy軸方向に反転する。入射面上において、このブ
レーズ格子に入射した光線は複数の次数の回折光に分離
され、このとき、x−y面、すなわち入射面上における
光線の入射角θenとm次回折角θex (m) の関係は以下の
式で規定される。
【0017】 nexsinθex (m) =nensinθen+mλ/p ・・・(1) ここで、入射角及び回折角の符号は反時計回りを正と
し、また、回折次数の符号は回折角が増加する向きを正
とする。なお、以下では、特に断らない限り、入射角あ
るいは回折角はこのx−y面(入射面)上における角度
とする。
【0018】図1で示したようなブレーズ格子の回折効
率を決める要因としては、(1)レリーフによる位相シ
フト作用の効果(PSE)、(2)レリーフの不連続部
の影効果による効率の低下(SE)、(3)表面反射に
よるエネルギー透過率の低下(FT)、が考えられ、こ
れらの要因から、以下に示す透過m次回折効率を与える
表現が得られる。
【0019】 ηm =FT×PSE×SE ・・・(2) 本出願人は、それぞれの要因毎にモデルの設定を行い、
その表現から得られる近似計算の結果と厳密な数値計算
結果との定量的な比較を行い、モデルの簡潔さと定量的
な一致の良さから、本出願人は、以下で説明する構成の
モデルが好適であることを見出した。以下に、各要因毎
にモデルの構成を説明する。
【0020】 (1)レリーフによる位相シフト作用の効果(PSE) ある入射角θenでレリーフ格子に入射した光束は、m次
回折光(mは整数)の回折角θex (m) で射出する。ここ
で、図2に示すような光線追跡的な仮定を用いると、こ
のときのレリーフ格子の位相シフト作用φ(位相シフト
関数の振幅)は図2で示した2つの光路ABとA’B’
の差から与えられ、 φ=h/λ・(nexcosθex (m) −nencosθen) ・・・(3) となるから、この結果を通常のスカラー回折の公式に適
用することにより、透過型ブレーズ格子の位相シフト作
用の効果PSEとして、以下の表現を得る。
【0021】 PSE=|sinπ(m−φ)/{π(m−φ)}|2 ・・・(4) この表現によれば、レリーフ傾斜部から射出する光線と
してm次回折光を仮定しているので、回折効率の入射角
依存性における非対称性を効果的に表すことができる。
【0022】(2)レリーフの不連続部の影効果による
効率の低下(SE) ブレーズ格子に斜め方向から光が入射した場合、図3に
示すように、入射光束の一部がレリーフの不連続部で遮
られると考えられる(図3の斜線部)。本出願人はこの
ような影作用として、格子溝の側壁の幾何学的な影の効
果、すなわち、入射角に依存した効果SE1、及び、不
連続境界近傍における入射角に依存しない光の減衰効果
SE2を独立に仮定し、それらの作用を以下で示すよう
な形式で表現した。
【0023】 SE1=k1 ・(h/p)tanθave ・・・(5) SE2=k2 ・λ/p ・・・(6) ここで、θave は入射角と射出角の平均であり、 θave =(θen+θex (m) )/2 ・・・(7) である。また、k1 及びk2 は計算結果の定量的な合わ
せ込みを行うために導入した任意の補正係数である。
(5)〜(7)の表現を用い、本発明では、レリーフの
不連続部の影効果による効率の低下を、 SE={1−√(SE12 +SE22 )}2 ・・・(8) の形式で表現する。この表現によれば、幾何学的な影の
効果を表す項SE1によってレリーフの溝が深くなった
場合の入射角特性を効果的に表現することができ、ま
た、入射角に依存しない項SE2によって垂直入射近傍
における回折効率を効果的に表すことができる。さら
に、任意の補正係数k1 及びk2 によって定量的に高精
度な結果を得ることができる。
【0024】 (3)表面反射によるエネルギー透過率の低下(FT) レリーフ格子表面における反射を取り扱うため、ブレー
ズ格子の傾斜面が十分な大きさを持っていると仮定す
る。このとき、ブレーズ格子の傾斜面における透過係数
t は、入射光と0次回折光のそれぞれが傾斜面の法線
に対してなす角より、例えば入射光の電場ベクトルが格
子溝に平行な場合(TEモード)において、 Ct =2nencos(θen−θb ) ÷{nencos(θen−θb )+nexcos(θex (0) −θb )} ・・・(9) のような形で与えられる。ここで、θb はブレーズ角で
ある。この結果に基づいて、入射光のエネルギーとm次
回折光のエネルギーを比較することにより、エネルギー
透過率に対する表現は、 FT=(nexcosθex (m) /nencosθen)・|Ct 2 (10) となる。
【0025】以上の各々の構成を式(2)に適用するこ
とにより、透過m次回折効率に対する近似式ηm を得る
ことができる。ここで、上記表現には、任意の補正係数
1及びk2 が含まれるが、この値は例えば、 k1 =0.85 ・・・(11) k2 =0.3・|h/λ|0.35 ・・・(12) のように設定することができる。以下で示す全ての実施
の形態は、この値に基づくものである。
【0026】なお、ここで示したk1 及びk2 の値は、
実用的に想定される種々の条件に対して近似式ηm の精
度をバランスさせたものである。したがって、k1 及び
2の値はこれに限定されることはなく、条件によって
より効果的な値を設定することができる。また、ここで
は、SE1とSE2に対して別々に補正係数を設定して
いるが、これらに共通の補正係数を設定することもでき
る。
【0027】ただし、これらの補正係数の値としては、
式(11)及び式(12)で示すように、k1 について
は定数、k2 については(h/λ)に比例した変数とす
ることが近似式(2)の精度を高める上で効果的であ
る。
【0028】図4及び図5は、本発明の近似式による計
算結果と、電場解析に基づく厳密な数値計算の結果とを
合わせて表示したもので、薄型モデルに基づいて透過1
次回折効率が最大となるように溝深さhを設定した場合
である。各図において、○印及び□印は厳密な回折効率
DEの計算結果を示し(○:p=50〔WL〕,□:p
=20〔WL〕;WLは波長)、実線及び破線は近似式
(2)による回折効率DEの導出結果を示す(実線:p
=50〔WL〕,破線:p=20〔WL〕;WLは波
長)。なお、これらの図の中、図4は、光学材料の表面
にレリーフを形成しただけの単純な場合であり、レリー
フを挟む片側の媒質が外部雰囲気(実質的に空気:屈折
率=1)の場合である。また、図5は、2種類の光学材
料の境界にレリーフを形成した(レリーフ格子の溝を別
の光学材料で埋めた)場合である。これらの計算結果か
ら、実用的に想定される入射媒質と射出媒質の組合せに
対して、本発明で示した近似式が導出する結果と厳密な
数値計算の結果が良く一致していることが分かる。
【0029】さらに、図6は、透過2次回折効率が最大
となるように溝深さhを設定した場合の計算結果であ
り、溝深さhが2倍であること以外、条件は全て図4の
場合に合わせてある。この図が示すように、2次回折効
率が最大となるような場合においても、近似式(2)は
回折効率の入射角依存性を定量的によく表している。
【0030】以上、説明したように、本発明によれば、
透過型ブレーズ格子の回折効率を近似式(2)で正確に
表しているので、透過型ブレーズ格子の回折効率を定量
的に簡便に見積もることができる。また、近似式(2)
はブレーズ格子の物理的な作用に従った構成を有するの
で、前述の例に限らず、本発明によってブレーズ格子全
般で定量的に正確な計算結果を得ることができる。した
がって、これを光線追跡と併用することにより、回折光
学素子を透過型ブレーズ格子として実現する場合の光学
設計の精度と開発の効率を向上させることができる。こ
れにより、従来より高性能な回折光学素子を含む光学系
開発が可能になる。
【0031】さらに、本出願人は、透過型ブレーズ格子
の実用的な構成条件を回折効率の入射角依存性の観点か
ら判断する基準として、 EC=PSE×SE ・・・(13) で定義した評価指標ECを見出した。この指標ECは、
式(2)で示した表現から式(10)で示した反射の影
響による回折効率の低下FTを除いたものである。この
ような反射の影響は、反射防止コートを施すことによっ
て補償することが可能であるから、式(13)で示した
評価指標ECにより回折光学素子特有の性質を効果的に
表すことができる。これにより、より効果的な回折光学
素子を含む光学系開発が可能になる。
【0032】以下では、式(13)で示した評価指標E
Cに基づき、本発明の第2の目的を達成するために、回
折効率の入射角依存性を考慮したブレーズ格子の好適な
構成条件を明らかにしていく。
【0033】まず、良好な画像を形成するための最低条
件として、回折効率80%を目安として考える。D.
A.Buralli等の文献(APPL.OPT.3
1,(1992)4389.)によれば、回折効率の低
下に伴って生じた不要次数光は、背景光となって像のコ
ントラストを低下させ、空間周波数ゼロにおけるMTF
を回折効率程度の値に低下させることが指摘されてい
る。これは、例えば回折効率が80%に低下すると、空
間周波数ゼロにおけるMTFが80%に低下するという
ことであり、同時に、空間周波数の高い領域においても
この値に引きずられてMTFが低下するこということで
ある。光学系の用途によって一概には言えないが、一般
にこのレベルで結像性能は良好であるとは言えない。こ
のことから、一般に、回折効率80%を良好な画像を形
成するための目安と見なした。
【0034】なお、D.A.Buralli等の議論
は、回折レンズ単体の結像性能を考えた場合のものであ
り、不要次数光が均一に像面内に分布するという前提が
ある。したがって、一般的な光学系に対してこのような
議論は正確ではない。しかし、考慮する空間周波数領域
におけるMTFの劣化を全体的に把握する目安として、
この考え方は十分意味があるものである。
【0035】すでに説明したように、透過型ブレーズ格
子の回折効率は式(13)で示した回折光学素子特有の
性質を表す評価指標ECと、表面反射によるエネルギー
透過率の低下FTとで記述することができる。ここで、
エネルギー透過率の低下は反射防止コート等によって対
策ができるから、上述した良好な画像を形成するための
条件は、評価指標ECが80%以上となるようにブレー
ズ格子の構造を決めることによって達成できる。
【0036】したがって、透過型ブレーズ格子を含む結
像光学系において、良好な画像を形成するためには、少
なくとも入射面上における光の入射角度と、それに対応
する領域のブレーズ格子の構成との関係が、式(13)
で規定した評価指標ECに対して、 EC>80% ・・・(14) となるように光学系を構成する必要がある。この構成に
よれば、少なくとも入射面上の全ての光束に対して回折
効率を80%以上に保つことができるので、良好な結像
性能を有する光学系を実現することができる。
【0037】図10は、上記構成に従って構成した本発
明による撮影光学系の概念を示す図である。撮影光学系
4は、光軸上に配置された屈折レンズ1、回折レンズ
2、開口絞り3、及び、物体の像を撮像する撮像手段5
からなり、これらの配置の最適化により撮影光学系4の
収差は実用的に良好な範囲に補正されている。図10の
右側の円内は、回折レンズ2の表面の拡大図である。こ
の拡大図に示すように、回折レンズ2は、屈折率Nの光
学的に透明な材料基板上に、鋸歯波状断面を有するレリ
ーフを形成した透過型ブレーズ格子であり、そのレリー
フは、回折レンズ2が所定のレンズ作用を有するよう
に、同心円状のレリーフパターンを構成する。本発明に
よれば、このレリーフの溝深さh、ピッチp、及び、基
板の屈折率Nに対して、その領域に入射する光線の最大
入射角θmax が、少なくとも式(14)で規定される条
件を満たすように、回折レンズ2のレンズ作用と撮影光
学系4の構成をバランスさせるので、回折レンズ2から
生じる不要次数光を効果的に低減させることができ、良
好な結像性能を有する撮影光学系を実現できる。この例
で示す構成のように、本発明は、不要次数光の影響が特
に問題となる物体の像を形成する結像光学系に用いた場
合に、特に効果が大きい。
【0038】なお、この例のように、光学系が撮像手段
5のような光検出部材を含む場合、使用する光の波長λ
は、その光検出部材が感度を有する波長帯域における任
意の波長とすることができる。
【0039】なお、回折光学素子の回折効率が高い程、
その回折光学素子を含む光学系の結像性能が向上するこ
とは明らかである。したがって、さらに良好な結像性能
を実現するためには、式(13)で規定した評価指標E
Cが、 EC>90% ・・・(15) となるように、レリーフの構造と上記の最大入射角との
関係を設定することがより好ましい。
【0040】さらに、図4及び図5で示した結果を詳細
に吟味すると、概ね実用的な回折効率を達成している入
射角の範囲において、入射角の符号が正の場合に、回折
効率の入射角依存性が比較的少ないことが分かる。式
(13)示した評価指標ECの特性によれば、このよう
に入射角依存性が抑えられるのは、入射角の符号と回折
次数の符号が一致する場合の一般的な特徴である。した
がって、上記構成に従う光学系においては、この条件を
満たす向き(入射角の符号と回折次数の符号が一致する
向き)に入射角を偏らせることが実用上効果的である。
すなわち、ブレーズ格子を含む光学系において、ブレー
ズ格子に入射する入射面上の全ての主光線の入射角の符
号は、回折効率が最大となる回折次数mの符号と一致し
ていることが望ましい。この構成によれば、高い回折効
率を維持しつつ、回折効率の入射角依存を全体として低
く抑えることができるので、より高性能な光学系を実現
することができる。
【0041】なお、このように回折効率の入射角依存性
が非対称になる現象は、式(4)で示した位相シフト作
用の効果(PSE)によるところが大きい。式(13)
で示した評価指標ECの特性によれば、その効果は入射
側の屈折率と射出側の屈折率の差が大きい場合に支配的
になる。したがって、実用的な光学材料を想定した場合
の上記構成において、 5>|nex−nen|>0.5 ・・・(16) となるように入射側と射出側の媒質をそれぞれ設定する
ことがさらに好ましい。
【0042】また、図6によれば、回折効率が最大とな
る回折次数mを大きくすることによって回折効率の入射
角依存性が悪化することは明らかである。したがって、
より広範囲の仕様で回折光学素子を効果的に利用するた
めには、使用する回折次数mとして、 |m|=1 ・・・(17) であることが望ましい。この構成によれば、回折効率の
入射角依存性が最も少ない+1次、又は、−1次回折光
を使用するので、回折光学素子の光学系における適用範
囲を拡大し、より高性能な光学系を実現することが可能
になる。
【0043】図11は、本発明による光学系が光源を含
む場合の概念図である。図11において、照明光学系9
は、光源6、コンデンサレンズ7、及び、バンドパスフ
ィルター8からなり、標本面を照明する。符号10は標
本の像を形成する結像光学系である。結像光学系10は
透過型ブレーズ格子を内部に含み、そのブレーズ格子の
構成とそれに入射する光線の入射角は前述した本発明に
よる所定の条件を満たしている。この例のように、本発
明の光学系が光源を含む場合、使用する光の波長λは、
光源の発光波長帯域における任意の波長とすることがで
きる。また、この例のように、本発明の光学系がバンド
パスフィルターを含む場合、使用する光の波長λは、バ
ンドパスフィルターの透過波長帯域における任意の波長
とすることができる。
【0044】なお、以上説明してきた本発明の光学系に
おいて、使用する光の波長λは、その光学系が実質的に
透過する光の波長帯域の略中心波長とすることが効果的
である。このように、使用する光の波長λを選択するこ
とにより、実質的に使用可能な光の波長範囲における広
い波長領域において、良好な画像を得ることができる。
【0045】次に、本発明の第2の目的を達成するため
のブレーズ格子の構造を説明する。図7は、ブレーズ格
子の溝深さhと回折効率の入射角依存性との関係を示し
た図である。各図(a)〜(d)における溝深さhは、
通常の薄型モデルに基づく透過1次回折光の最適値、 h0 =λ/(nex−nen) ・・・(18) に対して、それぞれh=0.8・h0 ,h=0.9・h
0 ,h=1.1・h0 ,h=1.2・h0 のように設定
してある。また、入射側の屈折率nen=1.0、射出側
の屈折率nex=1.5のように設定してある。図4〜図
6の場合と同じように、○印及び□印は厳密な計算結果
を示し(○:p=50〔WL〕;WLは波長、□:p=
20〔WL〕)、実線及び破線は近似式(2)による導
出結果を示す(実線:p=50〔WL〕,破線:p=2
0〔WL〕)。
【0046】図7から明らかなように、垂直入射近傍に
おける回折効率の若干の低下を許容するならば、ブレー
ズ格子の溝深さhを薄型モデルの最適値より浅めに設定
することにより、回折効率の入射角依存性は良好な特性
を示す。本出願人は、前述した評価指標ECの特性を詳
細に検討することにより、ブレーズ格子の構成が以下の
条件を満たすとき、回折効率の入射角依存性が良好な特
性を示すことを見出した。すなわち、 0.8<|h/h0 |<1 ・・・(19) 6<|p/h0 | ・・・(20) を満足することにより、広い入射角度の範囲で、良好な
画像形成に必要な回折効率を維持することができること
を見出した。
【0047】図8、図9は、m=1の場合つまり1次回
折光に対する評価指標ECが80%及び90%となる等
高線を、入射角と溝深さをパラメータとして示したもの
である。図8は、ピッチp=20〔WL〕の場合、図9
はピッチp=50〔WL〕の場合である。また、各図に
おいて、(a)〜(d)はそれぞれ|p/h0 |が5、
6、7、8の場合である。ここで、入射側の屈折率nen
=1.3、射出側の屈折率nex>nenとしたが、これら
の設定はここで示した入射角特性にほとんど影響しな
い。図8、図9から明らかなように、ブレーズ格子の構
成が条件式(20)を満たさなくなると、入射角の符号
が正の場合に回折効率の入射角依存性が悪化し、また、
条件式(19)を満たさなくなると、良好な画像形成に
必要な回折効率を達成できる入射角の範囲が急速に減少
する。
【0048】なお、図8、図9によれば、上記構成にお
ける回折効率の入射角依存性は、入射角が負の場合、一
般的には入射角の符号と回折次数mの符号が逆の場合
に、より良好な特性を示す。したがって、上記構成のブ
レーズ格子を含む光学系にあっては、ブレーズ格子に入
射する入射面上の全ての主光線の入射角の符号が、回折
効率が最大となる回折次数mの符号と逆であることが好
ましい。この構成によれば、回折効率の入射角依存を全
体として低く抑えることができるので、より高性能な光
学系を実現することができる。
【0049】なお、以上説明してきたブレーズ格子及び
光学系の構成において、使用する光の波長λとしては、
例えば、 0.4μm<λ<10μm ・・・(21) の範囲の任意のλを選ぶことができる。あるいは、光学
系全体の実質的に透明な波長範囲における任意の波長を
選ぶことができる。ただし、特に白色結像光学系におい
ては、良好な画像特性を得るために、 0.45μm<λ<0.55μm ・・・(22) を満たすようにλを選ぶことが特に効果的である。この
範囲からλを選ぶことにより、白色結像に関与する広い
波長範囲で回折効率の入射角依存を良好に保つことがで
きる。
【0050】なお、以上の説明において、本発明のブレ
ーズ格子及び本発明の光学系で用いるブレーズ格子は、
図12に示すように、互いに異なる2種類の光学材料の
境界面に形成されていることがより効果的である。な
お、図12において、符号11はブレーズ格子断面の輪
郭、符号12は第1の光学材料、符号13は第2の光学
材料である。このような層構造のブレーズ格子は、一般
にレリーフの溝が深く、斜入射の許容範囲が狭い。しか
し、本発明の構成に従えば、不要次数光による劣化の少
ない良好な画像を得ることができる。また、このような
構成によれば、例えば指紋等によるレリーフパターン表
面の汚染を効果的に防止できるので、レリーフパターン
面を実質的に外部に露出するといった光学設計上の配置
が可能となる。これにより、回折光学素子の適用範囲を
拡大でき、より高性能な光学系を提供することが可能と
なる。
【0051】以上の本発明の回折光学素子を含む光学系
及びその設計方法は例えば次のような構成を有するもの
である。 〔1〕 回折効率を少なくとも1つの評価指標とした回
折光学素子を含む光学系の設計方法において、回折光学
素子は鋸歯波状断面のレリーフで構成される透過型ブレ
ーズ格子であり、その透過型ブレーズ格子は格子面に対
して略垂直な側壁部を有し、評価指標は、少なくともレ
リーフの不連続部の位相差と影効果を含む所定の数式で
与えられ、前記数式は、不連続部の影効果として、少な
くとも入射角度に依存した光の減衰効果と、入射角度に
依存しない光の減衰効果とをそれぞれ独立に含むことを
特徴とする回折光学素子を含む光学系の設計方法。
【0052】〔2〕 光軸上に少なくとも1つの回折光
学素子を有する光学系において、回折光学素子は鋸歯波
状断面のレリーフで構成される透過型ブレーズ格子であ
り、その透過型ブレーズ格子は格子面に対して略垂直な
側壁部を有し、光学系は光軸を含み、格子溝に垂直な少
なくとも1つの入射面を有し、その入射面上において、
入射光線が格子面の法線となす角θenと、その光線が入
射する格子面上の領域におけるブレーズ格子の構成が、
入射側媒質の屈折率をnen、射出側媒質の屈折率を
ex、格子溝深さをh、格子ピッチをpとするとき、回
折光学素子に入射する入射面上の全ての光線に対して、
以下で示す関係を満足することを特徴とする回折光学素
子を含む光学系。 1≧PSE×SE>0.8 ただし、 PSE=|sinπ(m−φ)/{π(m−φ)}|2 φ=h/λ・(nexcosθex (m) −nencosθen) nexsinθex (m) =nensinθen+mλ/p SE={1−√(SE12 +SE22 )}2 SE1=k1 ・(h/p)tanθave SE2=k2 ・λ/p θave =(θen+θex (m) )/2 k1 =0.85 k2 =0.3・|h/λ|0.35 ここで、m:回折効率が最大となる回折次数、 θex (m) :m次回折光線が格子面の法線となす角、 λ:使用する光の波長 である。
【0053】〔3〕 上記2において、 1≧PSE×SE>0.9 の関係を満足することを特徴とする回折光学素子を含む
光学系。
【0054】〔4〕 上記2又は3において、回折光学
素子に入射する入射面上の全ての主光線が格子面の法線
となす角θenの符号と、回折効率が最大となる回折次数
mの符号とが一致していることを特徴とする回折光学素
子を含む光学系。
【0055】〔5〕 上記4において、 5>|nex−nen|>0.5 の関係を満足することを特徴とする回折光学素子を含む
光学系。
【0056】〔6〕 上記2から5の何れか1項におい
て、 |m|=1 の関係を満足することを特徴とする回折光学素子を含む
光学系。
【0057】〔7〕 上記2から6の何れか1項におい
て、光学系は物体の像を形成する結像光学系であること
を特徴する回折光学素子を含む光学系。
【0058】〔8〕 鋸歯波状断面のレリーフで構成さ
れる透過型ブレーズ格子において、入射側媒質の屈折率
をnen、射出側媒質の屈折率をnex、格子溝深さをh、
格子ピッチをpとするとき、以下で示す関係を満足する
ことを特徴とする透過型ブレーズ格子を含む光学系。 0.8<|h/h0 |<1 6<|p/h0 | ただし、h0 =λ/(nex−nen)、λ:使用する光の
波長である。
【0059】
〔9〕 上記8において、透過型ブレーズ
格子に入射する入射面上の全ての主光線が格子面の法線
となす角θenの符号と、回折効率が最大となる回折次数
mの符号とが逆であることを特徴とする透過型ブレーズ
格子を含む光学系。
【0060】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の回折光学素子を含む光学系及びその設計方法による
と、評価指標が、少なくともレリーフの不連続部の位相
差と影効果を含む所定の数式で与えられ、その数式は、
不連続部の影効果として、少なくとも入射角度に依存し
た光の減衰効果と、入射角度に依存しない光の減衰効果
とをそれぞれ独立に含むので、透過型ブレーズ格子の回
折効率を定量的に正確に計算することができる。これを
光線追跡と併用することにより、回折光学素子を透過型
ブレーズ格子として実現する場合の光学設計の精度と開
発の効率を向上させることができ、従来より高性能な回
折光学素子を含む光学系開発が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で想定しているブレーズ格子の形状と入
射光線の関係を規定する図である。
【図2】レリーフ格子の位相シフト作用を説明するため
の図である。
【図3】レリーフ格子のレリーフの不連続部の影効果を
説明するための図である。
【図4】光学材料の表面にレリーフを形成した場合の本
発明の近似式による計算結果と電場解析に基づく厳密な
数値計算の結果とを合わせて表示した図である。
【図5】2種類の光学材料の境界にレリーフを形成した
場合の図4と同様な図である。
【図6】透過2次回折効率が最大となるように溝深さを
設定した場合の図4と同様の図である。
【図7】ブレーズ格子の溝深さと回折効率の入射角依存
性との関係を示した図である。
【図8】1次回折光に対する評価指標ECが80%及び
90%となる等高線を入射角と溝深さをパラメータとし
て示した図である。
【図9】図8と同様の図である。
【図10】本発明による撮影光学系の概念を示す図であ
る。
【図11】本発明による光学系が光源を含む場合の概念
図である。
【図12】互いに異なる2種類の光学材料の境界面に形
成されているブレーズ格子の断面図である。
【符号の説明】
1…屈折レンズ 2…回折レンズ 3…開口絞り 4…撮影光学系 5…撮像手段 6…光源 7…コンデンサレンズ 8…バンドパスフィルター 9…照明光学系 10…結像光学系 11…ブレーズ格子断面の輪郭 12…第1の光学材料 13…第2の光学材料

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回折効率を少なくとも1つの評価指標と
    した回折光学素子を含む光学系の設計方法において、回
    折光学素子は鋸歯波状断面のレリーフで構成される透過
    型ブレーズ格子であり、その透過型ブレーズ格子は格子
    面に対して略垂直な側壁部を有し、評価指標は、少なく
    ともレリーフの不連続部の位相差と影効果を含む所定の
    数式で与えられ、前記数式は、不連続部の影効果とし
    て、少なくとも入射角度に依存した光の減衰効果と、入
    射角度に依存しない光の減衰効果とをそれぞれ独立に含
    むことを特徴とする回折光学素子を含む光学系の設計方
    法。
  2. 【請求項2】 光軸上に少なくとも1つの回折光学素子
    を有する光学系において、回折光学素子は鋸歯波状断面
    のレリーフで構成される透過型ブレーズ格子であり、そ
    の透過型ブレーズ格子は格子面に対して略垂直な側壁部
    を有し、光学系は光軸を含み、格子溝に垂直な少なくと
    も1つの入射面を有し、その入射面上において、入射光
    線が格子面の法線となす角θenと、その光線が入射する
    格子面上の領域におけるブレーズ格子の構成が、入射側
    媒質の屈折率をnen、射出側媒質の屈折率をnex、格子
    溝深さをh、格子ピッチをpとするとき、回折光学素子
    に入射する入射面上の全ての光線に対して、以下で示す
    関係を満足することを特徴とする回折光学素子を含む光
    学系。 1≧PSE×SE>0.8 ただし、 PSE=|sinπ(m−φ)/{π(m−φ)}|2 φ=h/λ・(nexcosθex (m) −nencosθen) nexsinθex (m) =nensinθen+mλ/p SE={1−√(SE12 +SE22 )}2 SE1=k1 ・(h/p)tanθave SE2=k2 ・λ/p θave =(θen+θex (m) )/2 k1 =0.85 k2 =0.3・|h/λ|0.35 ここで、m:回折効率が最大となる回折次数、 θex (m) :m次回折光線が格子面の法線となす角、 λ:使用する光の波長 である。
  3. 【請求項3】 鋸歯波状断面のレリーフで構成される透
    過型ブレーズ格子において、入射側媒質の屈折率を
    en、射出側媒質の屈折率をnex、格子溝深さをh、格
    子ピッチをpとするとき、以下で示す関係を満足するこ
    とを特徴とする透過型ブレーズ格子を含む光学系。 0.8<|h/h0 |<1 6<|p/h0 | ただし、h0 =λ/(nex−nen)、λ:使用する光の
    波長である。
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