JPH11323517A - 張り剛性に優れたアルミニウム合金板パネルの製造方法 - Google Patents

張り剛性に優れたアルミニウム合金板パネルの製造方法

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JPH11323517A
JPH11323517A JP14516398A JP14516398A JPH11323517A JP H11323517 A JPH11323517 A JP H11323517A JP 14516398 A JP14516398 A JP 14516398A JP 14516398 A JP14516398 A JP 14516398A JP H11323517 A JPH11323517 A JP H11323517A
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JP
Japan
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modulus
young
aluminum alloy
tensile rigidity
strain
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JP14516398A
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Natsuko Sugiura
夏子 杉浦
Manabu Takahashi
学 高橋
Koji Kishida
宏司 岸田
Makoto Saga
誠 佐賀
Osamu Akisue
治 秋末
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 張り剛性に優れたアルミニウム合金板パネル
を製造する。 【解決手段】 相当歪みで2%の予歪みを施し、さらに
熱処理を施した後、L方向に再度引張試験を行った際
に、歪み量0.06%での応力歪み曲線の傾きXとヤン
グ率Yとの比A(=X/Y)が、A>0.8を満たすア
ルミニウム合金板を用いてアルミニウム合金板パネルを
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、張り剛性に優れた
アルミニウム合金板パネルの製造方法に関し、主に自動
車構造材として、例えば、ルーフ、フード、ドアパネル
等のように曲率が大きな部分を有するパネルに好適な張
り剛性に優れたアルミニウム合金板パネルの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題に対する関心の高ま
りと共に自動車の燃費向上のニーズが強くなっている。
燃費向上のための有効な方策の一つとして車体重量の軽
減が注目され、車体を構成する薄板部品の板厚を低減す
ることが重要視されている。そのため、アルミニウム合
金板の自動車への適用、およびアルミニウム合金板の更
なる薄肉化のニーズが高まっている。
【0003】この場合、問題となるのが、成形部品の張
り剛性の低下である。張り剛性が低下すると、成型品が
外部から力を受けたときに容易にたわみを生じてしま
う。一般に、張り剛性は、数1に示すように板厚とヤン
グ率に依存する。
【0004】
【数1】S∝E.tm
【0005】ここで、Sは張り剛性、Eはヤング率、t
は板厚、mはパネル形状による定数で1〜3の値を持
つ。
【0006】薄肉化による張り剛性の低下を防ぐための
手段の一つとして、アルミニウム合金板のヤング率を上
げることが考えられる。特開平3−267332号公報
には、SiCなどの硬質な微粒子を分散させることでア
ルミニウムのヤング率を向上させる方法が開示されてい
る。しかし、このような材料は主に焼結によって製造さ
れており、板材として製造することは極めて困難であ
る。
【0007】また、建築物等に使用されるパネルに関し
ては、特開平4−357261号公報に開示されている
ように、曲げ角度を最終製品形状よりも鈍角にし、最終
製品として組み込まれた際に、パネル正面部をわずかに
凸面状に張り出させることで張り剛性を強化する方法が
既に知られている。しかし、自動車の様に複雑な形状の
パネルの組み合わせによって最終製品を構成する用途に
は、適用は困難である。
【0008】ところで、ヤング率は物理定数であること
から、張り剛性の評価を行う場合も一定値として取り扱
われてきた。しかし、パネルのようにプレス成形などに
よって材料に歪みが与えられた部品に再度力がかかる
と、一般に、弾性域といわれる歪み量(0.1%以下)
の範囲においても、歪みの増加に伴い応力−歪み曲線の
刻々の傾きが低下していく。この傾きのことを、以後、
瞬間ヤング率と呼ぶ。すなわち、従来完全な弾性範囲内
での変形であり、一定値のヤング率で評価出来ると考え
られていた張り剛性は、実際は、歪みの増加に伴う瞬間
ヤング率の低下という現象を含めた形で取り扱われるべ
きである。しかし、これまでにこのような現象に着目し
て張り剛性向上を検討した例はまったくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記課題を有利に解決して、張り剛性に優れたアルミニウ
ム合金板パネルの製造方法を提供することを目的とする
ものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の通りであ
る。
【0011】(1) 相当歪みで2%の予歪みを施し、
さらに熱処理を施した後、L方向に再度引張試験を行っ
た際に、歪み量0.06%での応力歪み曲線の傾きXと
ヤング率Yとの比A(=X/Y)が、A>0.8を満た
すアルミニウム合金板を用いることを特徴とする、張り
剛性に優れたアルミニウム合金板パネルの製造方法。
【0012】(2) 前記アルミニウム合金板が、質量
%で、Mg:0.2〜1.5%、Si:0.4〜2%、
Cu:1%未満を含有することを特徴とする、前記
(1)の張り剛性に優れたアルミニウム合金板パネルの
製造方法。
【0013】前述のように、本発明者らは瞬間ヤング率
の低下という現象と張り剛性との相関に着目し、歪みの
増加に伴う瞬間ヤング率の低下を抑制することで張り剛
性が著しく向上するというまったく新しい知見を得た。
すなわち、プレスに相当する2%の予歪みを与えた後、
引張試験を行った際の瞬間ヤング率をX(応力−歪み曲
線の傾きに相当)とし、ヤング率をYとしたとき、歪み
量0.06%まで数2(1)式の関係を保つ材料を用い
たパネルでは、張り剛性が著しく向上することをみいだ
した。
【0014】
【数2】X/Y>0.8 …(1)
【0015】瞬間ヤング率の低下には、前述したように
プレス成形などによって材料中に導入された歪みが深く
関係している。すなわち、プレス成形時に可動転位が導
入されていると、マクロには弾性変形範囲内とされる歪
み域においても、徐々に局所的な降伏現象が進行し、そ
れが、瞬間ヤング率の低下の要因になっていると考えら
れる。
【0016】また、本発明者らは、アルミニウム合金中
において可動転位の動きを抑制し、瞬間ヤング率の低下
を抑制する方法は特に限定はしないが、6000系合
金、すなわちAl−Mg−Si(−Cu)系合金を用い
て成形後に熱処理でMg2 Siを微細に析出させるのが
極めて効果的であるという知見を新たに得た。その他の
方法としては、粒径の微細化、集合組織制御、他の析出
物の微細分散、固溶強化元素添加なども挙げられる。
【0017】以下に限定理由を述べる。
【0018】瞬間ヤング率:まず、張り剛性と瞬間ヤン
グ率の関係は、以下の実験によって決定した。表1に示
す化学成分を有する板厚1.1mmのアルミニウム合金
板を実機にて製造した。これらのアルミニウム合金板の
L方向からJIS5号引張試験片および振動法によるヤ
ング率測定用試験片を切り出し、残部より図1の模式図
に示した型のパネル1を作製した。各々の試験片および
パネルに表1中に示した種々の熱処理を施した後、ま
ず、ヤング率測定と引張試験より瞬間ヤング率の測定を
行った。
【0019】
【表1】
【0020】図2にNo.2、4、7、9の歪み量に伴
う瞬間ヤング率の変化を示す。歪み量0のところに表示
されている値が振動法によって測定されたヤング率であ
る。アルミニウム合金の成分によるヤング率の違いはあ
まり認められないが、歪み量の増加に伴い、合金または
熱処理によって瞬間ヤング率の低下の挙動が異なること
がわかる。
【0021】一方、パネルについては、周囲を拘束しパ
ネル正面を構成する部分の中央部を押して荷重100N
でのたわみ量を求めた。図3には、ヤング率比とたわみ
量の関係を示す。これより、歪み量0.06%でのヤン
グ率比が0.8以上であれば高い張り剛性が得られるこ
とがわかる。
【0022】熱処理:熱処理条件は、実際にそのパネル
を製造するラインで塗装焼付等の目的のために行われて
いる条件に準じる。張り剛性向上の目的で熱処理条件を
定めても良い。その場合、150〜230℃で10〜4
0分の熱処理を施すことが望ましい。もちろん、工程上
熱処理を施さない場合はそのまま評価を行っても良い。
【0023】Mg、Si:これらの元素は、いずれも熱
処理によって微細なMg2 Siを形成し張り剛性を向上
させる。しかし、それぞれの下限値よりも添加量が少な
いと十分な析出物が形成されない。また、上限を越える
と析出物が粗大になり、張り剛性が低下する。よって、
Mgは0.2〜1.5%、Siは0.4〜2%の範囲と
する。
【0024】Cu:Cuも微細析出物を形成し、張り剛
性を向上させるので1%未満で添加しても良い。1%以
上添加すると耐食性が著しく低下することから、上限を
1%未満とする。
【0025】
【実施例】以下に本発明を実施例をもって詳細に述べ
る。
【0026】(実施例1)表2に示す板厚1mmのアル
ミニウム合金板を実機にて製造した。L方向からJIS
5号引っ張り試験片およびヤング率測定用試験片を切り
出し、残部より図1に示したパネル1を作製した。各々
の試験片およびパネルに170℃で20分の熱処理を施
した後に、ヤング率測定と瞬間ヤング率測定を行った結
果から得られたヤング率比A(=0.06%歪みでの瞬
間ヤング率/ヤング率)およびパネル周囲を拘束しパネ
ル正面を構成する部分の中央部を押した時の荷重100
Nでのたわみ量を表2中に示す。これより、ヤング率比
が0.8以上を有しているアルミニウム合金板はいずれ
も高い張り剛性を示し、特に、好適な範囲のMg、S
i、またはCuを含有するアルミニウム合金板は極めて
張り剛性に優れていることがわかる。
【0027】
【表2】
【0028】(実施例2)表2中のアルミニウム合金1
5と同じ成分を有し板厚が1mmのアルミニウム合金板
を用いて、実施例1と同様な試験を行った。このとき、
熱処理は表3に示した条件で行った。この場合もヤング
率比が高い方が張り剛性に優れていることがわかる。ま
た、熱処理条件としては150〜230℃で10〜40
分の範囲に入っている場合の方が、そうでない場合に比
べてヤング率比がより高く、張り剛性にも優れている。
【0029】
【表3】
【0030】
【発明の効果】本発明により、張り剛性を著しく向上さ
せたアルミニウム合金板パネルを製造できるため、本発
明は工業的に価値が高い発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】張り剛性を評価するために作製したパネルの形
状を示す図である。
【図2】歪みの増加に伴う瞬間ヤング率の変化を示す図
である。
【図3】ヤング率比と張り剛性との関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 パネル
フロントページの続き (72)発明者 佐賀 誠 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 秋末 治 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相当歪みで2%の予歪みを施し、さらに
    熱処理を施した後、L方向に再度引張試験を行った際
    に、歪み量0.06%での応力歪み曲線の傾きXとヤン
    グ率Yとの比A(=X/Y)が、A>0.8を満たすア
    ルミニウム合金板を用いることを特徴とする、張り剛性
    に優れたアルミニウム合金板パネルの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム合金板が、質量%で、
    Mg:0.2〜1.5%、Si:0.4〜2%、Cu:
    1%未満を含有することを特徴とする、請求項1に記載
    の張り剛性に優れたアルミニウム合金板パネルの製造方
    法。
JP14516398A 1998-05-12 1998-05-12 張り剛性に優れたアルミニウム合金板パネルの製造方法 Withdrawn JPH11323517A (ja)

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