JPH11320477A - 産業用ロボットの動作異常検出方法 - Google Patents

産業用ロボットの動作異常検出方法

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JPH11320477A
JPH11320477A JP10139591A JP13959198A JPH11320477A JP H11320477 A JPH11320477 A JP H11320477A JP 10139591 A JP10139591 A JP 10139591A JP 13959198 A JP13959198 A JP 13959198A JP H11320477 A JPH11320477 A JP H11320477A
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welding
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disturbance torque
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Hajime Hosoi
一 細井
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Nachi Fujikoshi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝突や各作業点における動作異常の発生を検
出するための適正な規定値を一義的に選定することによ
り、迅速かつ信頼性の高い産業用ロボットの動作異常検
出方法を提供する。 【解決手段】 外乱トルクの衝突成分が予め設定された
規定値を超えたときに動作異常を検出したものと判断す
るようにした産業用ロボットの動作異常検出方法におい
て、各作業点位置を基準にしたときの産業用ロボット本
体の予め設定された移動範囲内を作業異常検出範囲と
し、一方、移動範囲外を衝突検出範囲とし、産業用ロボ
ットを作業異常及び衝突の発生がない状態にて動作さ
せ、このときの両範囲のそれぞれにおける外乱トルクの
衝突成分の最大値を算出し、これら両範囲のそれぞれの
最大値に範囲毎に予め設定されたマージン値をそれぞれ
乗ずることにより、両範囲のそれぞれにおける動作異常
の規定値を自動的に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】産業用ロボットを構成するア
ームあるいはエンドエフェクタが障害物などと衝突した
場合に駆動軸モータや減速機にかかる異常な負荷を最小
限に抑えることができ、なおかつエンドエフェクタが各
作業点において行う所定の作業の際の動作異常を検出す
ることが可能な産業用ロボットの動作異常検出方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】産業用ロボットを構成するアーム自身あ
るいはこれに把持されたエンドエフェクタが障害物に衝
突した場合、あるいはエンドエフェクタが各作業点にお
いて行う所定の作業の際に動作異常を起こした場合、例
えば産業用ロボットが溶接ロボットであるとき溶接作業
時にエンドエフェクタである溶接ガンの溶接電極と被溶
接物との間で溶着が発生した場合などにおいては、各ア
ームを駆動する駆動軸モータは予め設定された移動指令
に従ってなおも回転し続けようとし、この結果駆動軸モ
ータは拘束状態となり、大きなトルクを発生し続けるこ
とになる。この状態が長く続くと駆動軸モータや減速機
を含むアームの機構部及びエンドエフェクタや作業対象
物が破損する可能性が生ずるので、従来より、何らかの
手法によりこれら動作異常の発生を検出し、駆動軸モー
タの移動指令を即時に中断する等の処置を行わせてい
た。
【0003】例えば、特開平6−131050号に開示
されている方法では、外乱推定オブザーバによって摩擦
トルクを考慮した外乱トルクを推定し、この推定外乱ト
ルクに基づいて算出された外乱トルクの衝突成分が規定
値以上になったとき、負荷異常として衝突等が生じてい
るものと判断するようにしていた。この方法は、力セン
サなどの衝突検出用の特別な検出器を使用することな
く、ソフトウェア上での処理により衝突の発生を検出
し、駆動軸モータへの動力供給を遮断し、これによりア
ームを即座に緊急停止させることができるというもので
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の規定値
は、この値が小さいほど素早く衝突の発生が検出される
が、極度に小さくし過ぎると、実際に衝突が発生してい
ない場合でも衝突が発生しているとの誤った判断がされ
るという事態が生じる。詳細には、図3は衝突が発生し
ていない場合の外乱トルクの衝突成分の時間変化を示す
グラフであるが、衝突が発生していない場合でも、外乱
推定オブザーバで使用するロボットモデルと実機との間
には、ロボットの機械的な誤差や温度変化などの環境に
よる誤差、あるいはオペレータが設定するエンドエフェ
クタや作業対象物の設定誤差などが存在するために、常
に正確な外乱トルクが推定されるわけではなく、ある程
度の誤差を含んだものとなり、その結果図3に示すよう
に外乱トルクの衝突成分は完全なゼロとはならない。
【0005】そのため、衝突発生前後の外乱トルクの衝
突成分の時間変化は図4に示すようなグラフとなり、こ
の場合、規定値を極度に引き下げると、実際の衝突発生
前(衝突発生時刻T1より以前)でも外乱トルクの衝突
成分が規定値を超えるような状態が起こりうる。一方、
規定値の値が大き過ぎると、衝突時にも外乱トルクの衝
突成分が規定値を超えない状態となってしまい、この場
合衝突の発生が検出されなくなってしまう。したがっ
て、迅速かつ信頼性の高い衝突検出を行わせるために
は、適正な規定値を一義的に選定できるような方法が必
要となる。
【0006】また、産業用ロボットが溶接ロボットであ
る場合には、新たな問題も生ずる。図10は衝突及び溶
着が発生していない場合の外乱トルクの衝突成分の時間
変化を示すグラフであるが、溶接ロボットが各溶接点間
を移動する際(ステップ2〜6)の外乱トルクの衝突成
分は、その区間以外を移動する際(ステップ1〜2及び
ステップ6〜7)の外乱トルクの衝突成分よりも一般に
小さくなるので、溶接ロボットが各溶接点間を移動する
際において迅速かつ信頼性の高い溶着検出を行わせるた
めには、その区間以外を移動する際の衝突検出用の規定
値とは別に、溶着検出用の規定値を一義的に選定しなけ
ればならない。さらに、産業用ロボットがハンドリング
ロボットであるときにも、エンドエフェクタとしての把
持部材が搬送対象物に対して掴み異常を起こした場合に
は、前述の溶接ロボットの場合と同様な問題が生ずる。
【0007】本発明は上記従来技術の問題を解決するた
めになされたものであり、衝突や各作業点における動作
異常の発生を検出するための適正な規定値を一義的に選
定することにより、迅速かつ信頼性の高い産業用ロボッ
トの動作異常検出方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、関節部を駆
動する駆動軸モータが減速機を介してアームと連結され
る構造を有し、オブザーバを用いることにより駆動軸モ
ータが受ける推定外乱トルクを算出し、この推定外乱ト
ルクから既知の外乱トルクを差し引くことにより外乱ト
ルクの衝突成分を算出し、この外乱トルクの衝突成分が
予め設定された規定値を超えたときに動作異常を検出し
たものと判断するようにした産業用ロボットの動作異常
検出方法において、以下の構成により上記の目的を達成
することとした。
【0009】すなわち、請求項1にかかる発明では、各
作業点位置を基準にしたときの産業用ロボット本体の予
め設定された移動範囲内を作業異常検出範囲とし、一
方、移動範囲外を衝突検出範囲として設定しておく。そ
して、予め産業用ロボットを作業異常及び衝突の発生が
ない状態にて動作させ、このときの作業異常検出範囲と
衝突検出範囲のそれぞれの区間における外乱トルクの衝
突成分の最大値を算出する。次に、このそれぞれの区間
における外乱トルクの衝突成分の最大値にそれぞれの区
間毎に予め設定されたマージン値をそれぞれ乗ずること
により、作業異常検出範囲及び衝突検出範囲のそれぞれ
における規定値を自動的に設定しておく。そして、産業
用ロボットが所定の作業を伴う動作をしているときに
は、産業用ロボットが作業異常検出範囲にあるときにお
いては、外乱トルクの衝突成分が前記作業異常検出範囲
における規定値を超えたときに動作異常を検出したもの
と判断し、一方、産業用ロボットが衝突検出範囲にある
ときにおいては、外乱トルクの衝突成分が前記衝突検出
範囲における規定値を超えたとき、または外乱トルクの
衝突成分の変化量が予め設定された別の規定値を超えた
ときのいずれかの場合に、動作異常を検出したものと判
断するようにする。
【0010】また、請求項2にかかる発明では、請求項
1にかかる発明において、前記産業用ロボットを被溶接
物に対して所定の溶接作業を行う溶接ロボットとし、前
記作業点位置を溶接点位置とし、前記作業異常検出範囲
を溶着検出範囲とし、前記作業異常を溶接ロボットが具
備する溶接ガン電極と被溶接物との溶着とした。これに
より、請求項1にかかる発明の技術は、被溶接物の所定
の溶接点位置に対して溶接作業を行うようにされた溶接
ロボットに対しても容易に展開できるものとなる。
【0011】以下、本発明の理解を容易にするために、
産業用ロボットが溶接ロボットである場合すなわち請求
項2に記載の構成の場合について説明する。実際に衝突
が発生していない状態において衝突の発生を検出しない
ためには、衝突が発生していない状態での外乱トルクの
衝突成分よりも常に規定値の値が大きくなければならな
い。同様にして、実際に作業異常すなわち溶着が発生し
ていない状態において溶着の発生を検出しないために
は、溶着が発生していない状態での外乱トルクの衝突成
分よりも常に規定値の値が大きくなければならない。そ
こで、溶接ロボットを衝突及び溶着の発生がない状態で
動作させ、このときの外乱トルクに基づいて算出された
外乱トルクの衝突成分からその最大値を抽出することに
する。ただし、前述のように、溶接ロボットが各作業点
間すなわち各溶接点間を移動する際とその区間以外を移
動する際では外乱トルクの衝突成分のレベルが異なるの
で、本発明ではこの点を考慮することにした。すなわ
ち、各作業点位置としての各溶接点位置を基準にしたと
きの溶接ロボット本体の予め設定された移動範囲内を作
業異常検出範囲すなわち溶着検出範囲とし、一方、移動
範囲外を衝突検出範囲とし、溶接ロボットを衝突の発生
がなくかつ作業異常のない状態すなわち溶着の発生がな
い状態にて動作させ、このときの溶着検出範囲と衝突検
出範囲のそれぞれの区間における外乱トルクの衝突成分
の最大値を算出することにした。
【0012】そして、これらそれぞれの区間における外
乱トルクの衝突成分の最大値にそれぞれの区間毎に予め
設定されたマージン値をそれぞれ乗ずることにより算出
された値を、溶着検出範囲及び衝突検出範囲のそれぞれ
における規定値として予め選定しておく。かかる処理を
各駆動軸毎に行うようにすれば、駆動軸毎に異なる溶着
検出範囲及び衝突検出範囲のそれぞれにおける規定値を
自動的に選定しておくことが可能になる。溶着検出範囲
におけるマージン値は、実際に溶着が発生していない状
態において溶着の発生を検出しないよう考慮して選定す
る必要がある。一方、衝突検出範囲におけるマージン値
については、実際に衝突が発生していない状態において
衝突の発生を検出しないとともに、衝突時の外乱トルク
の衝突成分が小さい場合、例えばアームの動作速度が遅
い状態で障害物と衝突した場合や障害物が弾性体であっ
た場合などには衝突の発生を確実に検出できるよう考慮
して選定する必要がある。
【0013】さらに、アームの動作速度が速い状態で障
害物と衝突した場合においても素早く衝突の発生を検出
できるように、外乱トルクの衝突成分が衝突検出範囲に
おける規定値を超えたときに加えて、外乱トルクの衝突
成分の変化量が予め設定された別の規定値を超えたとき
にも衝突の発生を検出したものと判断するようにした。
これは、アームの動作速度が速い状態で衝突が発生した
場合には、外乱トルクの衝突成分の変化量が大きくな
り、さらには外乱トルクの衝突成分の変化量のピーク時
刻は外乱トルクの衝突成分が前記衝突検出範囲における
規定値を超える時刻よりも早く訪れるという特性に着目
したものである。したがって、前記の算出された外乱ト
ルクの衝突成分を時間微分するなどによりその変化量で
ある外乱トルクの衝突成分の変化量を算出し、この値が
前記衝突検出範囲における規定値とは別の予め設定され
た規定値を超えた場合にも衝突を検出したものと判断す
る。これにより、アームの動作速度が速い状態で衝突が
発生した場合にも素早く衝突の発生を検出できるものと
なる。
【0014】本願出願人が様々な条件下において動作実
験を行ったところ、前記溶着検出範囲と衝突検出範囲の
それぞれの区間におけるマージン値をともに1.5以上
かつ2.5以下の範囲内で設定するようにすれば、実際
に衝突や溶着が発生していない状態において衝突や溶着
の発生を検出することはなく、さらに、衝突時の外乱ト
ルクの衝突成分が小さい場合にも衝突の発生を確実に検
出できることがわかった。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態
における駆動軸制御装置を構成するサーボ系のブロック
図である。図中、1は産業用ロボットとしての溶接ロボ
ットの各アームの駆動軸を駆動するための駆動軸モータ
としてのサーボモータ、2は駆動軸の位置を検出するた
めの位置検出器としてのエンコーダ、3は増幅器として
のパワーアンプである。サーボループは内側から電流制
御装置4、速度制御装置5、位置制御装置6、という3
重のループで構成されている。10は目標位置・出発位
置・要求速度・加速度の制限値などを基に産業用ロボッ
トが適正に動作するために求められた時々刻々の各駆動
軸の指令位置を出力する指令位置発生装置である。7
は、本発明の動作異常検出方法が適用される、アーム2
3またはアーム23に把持されたエンドエフェクタとし
ての溶接ガン25が、図示しない障害物と衝突した際こ
れを検出したり、あるいは溶接ガン25に具備された溶
接電極と被溶接物24との間で溶着が発生した際、これ
を検出するようにされた動作異常検出装置である。8は
衝突検出時に位置ループゲインを変更する位置ループゲ
イン変更装置である。9は衝突検出時に指令位置を変更
する指令位置変更装置である。一方、図2はサーボモー
タ1、回転減速機22、及びアーム23の関係を示す、
ばね−質量系の概念図である。
【0016】このサーボ系の機能について説明すると、
位置制御装置6は、指令位置発生装置10が発生した動
作プログラム等に従ったサーボモータ1の時々刻々の指
令位置と、サーボモータ1に取り付けられたエンコーダ
2から読み込まれた現在位置としての位置フィードバッ
ク11との差分をとって位置偏差14とし、この位置偏
差14に位置ループゲインを乗じて求められた速度指令
15を出力するようにされている。速度制御装置5は、
位置制御装置6から出力された速度指令15と、エンコ
ーダ2から読み込まれた現在位置を微分器Sで微分する
ことにより求められた速度フィードバック12との差分
をとって速度偏差とし、この速度偏差に基づいて電流指
令16を出力するようにされている。電流制御装置4
は、速度制御装置5から出力された電流指令16と、電
流検出器17により検出されたサーボモータ1へ流れる
実電流としての電流フィードバック13との差分をと
り、これに基づいてサーボモータ1へモータ電流を出力
するようにされている。
【0017】動作異常検出装置7は、本発明の動作異常
検出方法が適用される装置であり、外乱推定オブザーバ
によって外乱トルクを推定し、この推定された外乱トル
クに基づいて算出された外乱トルクの衝突成分が規定値
以上になったとき、衝突あるいは溶着が生じているもの
と判断するようにしている。衝突時あるいは溶着時に
は、サーボループは通常よりも大きなトルク(電流指令
16)をサーボモータ1に対して出力しようとするが、
衝突や溶着により実際にはサーボモータ1の位置はほと
んど変化しないので速度フィードバック12の値はほと
んどゼロとなる。したがって、速度制御装置5から出力
された電流指令16と速度フィードバック12の値を監
視し、これらの値を基にねじれ量を算出し、このねじれ
量をアーム23に加わる外乱トルクに換算し、この換算
値から、重力により発生するアンバランストルクや、他
の駆動軸の運動により発生する遠心力・コリオリ力・慣
性力等を源とする所謂軸干渉トルクといった既知の外乱
トルクを差し引けば、外乱トルクの衝突や溶着による増
加分すなわち外乱トルクの衝突成分が算出できる。
【0018】以下、説明を容易にするために、本発明の
技術を、溶接作業を伴わない動作形態における実施形態
と、溶接作業を伴う動作形態における実施形態とに分け
て説明する。
【0019】まず、溶接作業を伴わない動作形態におけ
る実施形態について説明する。図4は本実施形態におけ
る衝突検出のタイミングを示すグラフであり、外乱トル
クの衝突成分の時間変化を示している。横軸は時間であ
り、縦軸は外乱トルクの衝突成分である。外乱トルクの
衝突成分は、前述のように、オブザーバを用いることに
より駆動軸モータが受ける推定外乱トルクを算出し、こ
の推定外乱トルクから、重力により発生するアンバラン
ストルクや、他の駆動軸の運動により発生する遠心力・
コリオリ力・慣性力等を源とする所謂軸干渉トルクとい
った既知の外乱トルクを差し引くことにより、外乱トル
クの衝突による増加分として得られる。T1は衝突発生
時刻であり、T2は衝突検出時刻としての外乱トルクの
衝突成分が規定値を超えた時刻である。
【0020】ここで、規定値の値を自動的に設定する方
法について、図5に示す溶接作業を伴わない動作形態に
おける衝突検出用の規定値の値を自動的に設定する方法
の一実施例を示すフローチャートに基づいて説明する。
産業用ロボットを実際の動作プログラムに従い動作さ
せ、その間、ロボット制御装置において図5に示すフロ
ーチャートで規定される処理を行う。まず、外乱トルク
の衝突成分の最大値Tma x を初期化する(ステップ3
1)。次に、最小次元オブザーバに基づいて外乱トルク
の衝突成分Tを算出し(ステップ32)、外乱トルクの
衝突成分Tがこの時点での最大値Tmax よりも大きけれ
ば(ステップ33Y)、この外乱トルクの衝突成分Tを
新たな最大値Tmax と置き換えた後(ステップ34)、
ステップ35に進み、一方、外乱トルクの衝突成分Tが
この時点での最大値Tmax よりも小さければ(ステップ
33N)、そのままステップ35に進む。そして、ステ
ップ35では、動作プログラムが終了していなければス
テップ32以降の処理を再度実行し、一方、動作プログ
ラムが終了していればステップ36に進む。
【0021】最後に、ステップ36において、この時点
での最大値Tmax をこの動作プログラムにおける最大値
と判断する。すなわち、図6は衝突が発生していない場
合の外乱トルクの衝突成分の時間変化と最大値Tmax
の関係を示すグラフであるが、図5のフローチャートに
示す処理を行わせることにより、最大のピーク値が最大
値Tmax として求められる。そして、最大値Tmax に所
定のマージン値を乗ずることにより得られた値を規定値
として記憶する。
【0022】ここで、マージン値は1以上の数値であ
り、ある程度の許容率を考慮した上で設定する。すなわ
ち、マージン値は、実際に衝突が発生していない状態に
おいて衝突の発生を検出しないよう考慮し、なおかつ、
衝突時の外乱トルクの衝突成分が小さい場合、例えば遅
い速度で障害物と衝突した場合や障害物が弾性体であっ
た場合などにも、衝突の発生を確実に検出できるよう考
慮して選定する。本願出願人が様々な条件下において産
業用ロボットの動作実験を行ったところ、前記マージン
値を1.5以上かつ2.5以下の範囲内で設定するよう
にすれば、実際に衝突が発生していない状態において衝
突の発生を検出することはなく、さらに、衝突時の外乱
トルクの衝突成分が小さい場合にも衝突の発生を確実に
検出できることがわかった。
【0023】図7は衝突が発生している場合の外乱トル
クの衝突成分の時間変化と最大値T max に所定のマージ
ン値を乗ずることにより得られた規定値との関係を示す
グラフである。適正なマージン値を設定することによ
り、衝突検出の信頼性を確保しつつ、衝突発生時刻T1
と衝突検出時刻T2との間隔すなわちタイムラグを小さ
くすることができる。
【0024】さらに、本実施形態においては、アームの
動作速度が速い状態で障害物と衝突した場合においても
素早く衝突の発生を検出できるように、上述のように外
乱トルクの衝突成分が衝突検出範囲における規定値を超
えたときに加えて、外乱トルクの衝突成分の変化量が予
め設定された別の規定値を超えたときにも衝突の発生を
検出したものと判断するようにした。これは、アームの
動作速度が速い状態で衝突が発生した場合には、外乱ト
ルクの衝突成分の変化量が大きくなり、さらには外乱ト
ルクの衝突成分の変化量のピーク時刻は外乱トルクの衝
突成分が前記衝突検出範囲における規定値を超える時刻
よりも早く訪れるという特性に着目したものである。
【0025】詳細には、図14は衝突検出のタイミング
を示すグラフであり、(a)図は外乱トルクの衝突成分
の時間変化を示し、(b)図は外乱トルクの衝突成分の
変化量の時間変化を示している。横軸は(a)(b)両
図とも時間であり、縦軸は(a)図については外乱トル
クの衝突成分、(b)図については外乱トルクの衝突成
分の変化量である。外乱トルクの衝突成分の変化量は、
例えば外乱トルクの衝突成分を時間微分することにより
容易に得ることができる。T1は衝突発生時刻であり、
T2は外乱トルクの衝突成分が衝突検出範囲における上
述の規定値(規定値A)を超えた時刻である。一方、T
3は外乱トルクの衝突成分の変化量が予め設定された別
の規定値(規定値B)を超えた時刻である。衝突検出範
囲における規定値が上述の方法により適正に設定されれ
ば、T3はT2よりも衝突発生時刻T1に近くなるの
で、外乱トルクの衝突成分が衝突検出範囲における上述
の規定値(規定値A)を超えたとき、または外乱トルク
の衝突成分の変化量が予め設定された別の規定値(規定
値B)を超えたときのいずれかの場合に、衝突の発生を
検出したものと判断するようにすることにより、特にア
ームの動作速度が速い状態で障害物と衝突した場合にお
いても、素早く衝突の発生を検出できるものとなる。
【0026】次に、溶接作業を伴う動作形態における実
施形態について説明する。図8はアームの先端にエンド
エフェクタとしてC型溶接ガン25を装着した溶接ロボ
ット21と被溶接物24上の各溶接ステップ2〜6の位
置関係を示す図であり、図9は溶接ロボット21におけ
る各溶接ステップ間のアーム先端位置の移動形態を示す
模式図である。なお、溶接ロボット21の詳細な構造に
ついては本発明の要旨ではないので省略する。また、説
明の簡素化のため被溶接物24は鋼板などの平板を想定
し、溶接点である溶接ステップの配置も直線状になって
いるが、これに限定されるものではない。溶接の工程と
しては、まず、アーム先端位置が溶接ステップ1にくる
ように溶接ロボット21を位置決めし、次いで、各溶接
ステップ2〜6に順次位置決めしつつ各溶接ステップに
おいてC型溶接ガン25を動作させてスポット溶接を行
い、溶接ステップ6での溶接終了後は溶接ステップ7に
回避する。
【0027】図10は、この溶接作業を伴う動作形態に
おける、衝突及び溶着が発生していない場合の外乱トル
クの衝突成分の時間変化を示すグラフである。この図か
らわかるように、溶接ロボット21が各溶接点間を移動
する際(ステップ2〜6)の外乱トルクの衝突成分は、
その区間以外を移動する際(ステップ1〜2及びステッ
プ6〜7)の外乱トルクの衝突成分よりも一般に小さく
なる。これは溶接ロボット21が各溶接点間を移動する
際(ステップ2〜6)の速度は、その区間以外を移動す
る際(ステップ1〜2及びステップ6〜7)の速度より
も一般に小さいことに起因している。
【0028】ここで、先の溶接作業を伴わない動作形態
における実施形態の動作異常検出方法をそのまま適用す
ると、最大値Tmax は実質的には溶接ロボット21が各
溶接点間を移動するステップ2〜6以外の区間から抽出
されることになり、この最大値Tmax にマージン値を乗
ずることにより得られた値を規定値として溶着検出の検
知レベルとした場合、溶着の検出にかなりの時間を要す
ることになる。詳細には、図11は溶接作業を伴う動作
形態における溶着発生前後の外乱トルクの衝突成分の時
間変化を示すグラフであるが、この場合、溶着検出の検
知レベルが溶着の発生直前の外乱トルクの衝突成分に比
して非常に高くなってしまうために、実際の溶着の発生
からその検出までにはかなりの時間を要してしまう。
【0029】かかる事態に対処するために、本実施形態
では、溶接ロボットなどの溶接作業を伴う動作形態にお
いては、各溶接点位置を基準にしたときの溶接ロボット
本体の予め設定された移動範囲内を溶着検出範囲とし、
一方、移動範囲外を衝突検出範囲とし、溶接ロボットを
衝突の発生がなく、かつ溶着の発生がない状態すなわち
溶接電流を流さない状態にて動作させ、このときの溶着
検出範囲と衝突検出範囲のそれぞれの区間における外乱
トルクの衝突成分の最大値を算出することにした。本実
施形態においては、図9に示すように、溶接ステップ2
〜6のそれぞれの位置を基準にし、それぞれ次の溶接ス
テップ3〜7に移動する際の、予め設定された移動範囲
内を溶着検出範囲(A)とし、一方、移動範囲外を衝突
検出範囲(B)とする。そして、これらそれぞれの区間
における外乱トルクの衝突成分の最大値にそれぞれの区
間毎に予め設定されたマージン値をそれぞれ乗ずること
により算出された値を、溶着検出範囲(A)及び衝突検
出範囲(B)のそれぞれにおける規定値として選定す
る。なお、動作条件にもよるが、溶着検出範囲としては
50mm程度を設定する。
【0030】ここで、この場合における規定値の値を自
動的に設定する方法について、図12に示す溶接作業を
伴う動作形態における衝突検出用の規定値及び溶着検出
用の規定値の各値を自動的に設定する方法の一実施例を
示すフローチャートに基づいて説明する。溶接ロボット
21を実際の動作プログラムに従い動作させ、その間、
ロボット制御装置において図12に示すフローチャート
で規定される処理を行う。まず、外乱トルクの衝突成分
の溶着検出範囲(A)における最大値Tsmax及び衝突
検出範囲(B)における最大値Tmax をそれぞれ初期化
する(ステップ41)。次に、最小次元オブザーバに基
づいて外乱トルクの衝突成分Tを算出する(ステップ4
2)。次いで、ステップ43において、溶接ロボット2
1が溶着検出範囲(A)にあるか否か判断し、溶着検出
範囲(A)にあれば(ステップ43Y)、ステップ46
に進み、一方、溶着検出範囲(A)になければ(ステッ
プ43N)、すなわち衝突検出範囲(B)にあれば、ス
テップ44に進む。
【0031】ステップ44において、外乱トルクの衝突
成分Tがこの時点での衝突検出範囲(B)における最大
値Tmax よりも大きければ(ステップ44Y)、この外
乱トルクの衝突成分Tを新たな衝突検出範囲(B)にお
ける最大値Tmax と置き換えた後(ステップ45)、ス
テップ48に進み、一方、外乱トルクの衝突成分Tがこ
の時点での衝突検出範囲(B)における最大値Tmax
りも小さければ(ステップ44N)、そのままステップ
48に進む。同様にして、ステップ46において、外乱
トルクの衝突成分Tがこの時点での溶着検出範囲(A)
における最大値Tsmax よりも大きければ(ステップ4
6Y)、この外乱トルクの衝突成分Tを新たな溶着検出
範囲(A)における最大値Tsmax と置き換えた後(ス
テップ47)、ステップ48に進み、一方、外乱トルク
の衝突成分Tがこの時点での溶着検出範囲(A)におけ
る最大値Tsmax よりも小さければ(ステップ46
N)、そのままステップ48に進む。そして、ステップ
48では、動作プログラムが終了していなければステッ
プ42以降の処理を再度実行し、一方、動作プログラム
が終了していればステップ49に進む。
【0032】最後に、ステップ49において、この時点
での衝突検出範囲(B)における最大値Tmax を、この
動作プログラムにおける衝突検出範囲(B)における外
乱トルクの衝突成分の最大値と判断する。そして、この
衝突検出範囲(B)における外乱トルクの衝突成分の最
大値Tmax に所定のマージン値を乗ずることにより得ら
れた値を、衝突検出範囲(B)における規定値として記
憶する。同様にして、ステップ50において、この時点
での溶着検出範囲(A)における最大値Tsma x を、こ
の動作プログラムにおける溶着検出範囲(A)における
外乱トルクの衝突成分の最大値と判断する。そして、こ
の溶着検出範囲(A)における外乱トルクの衝突成分の
最大値Tsmax に所定のマージン値を乗ずることにより
得られた値を、溶着検出範囲(A)における規定値とし
て記憶する。
【0033】ここで、マージン値は、衝突検出範囲
(B)における場合、溶着検出範囲(A)における場合
ともに1以上の数値であり、ある程度の許容率を考慮し
た上で設定する。すなわち、衝突検出範囲(B)におけ
るマージン値は、先の溶接作業を伴わない動作形態にお
ける場合と同様に、実際に衝突が発生していない状態に
おいて衝突の発生を検出しないよう考慮し、なおかつ、
衝突時の外乱トルクの衝突成分が小さい場合、例えば遅
い速度で障害物と衝突した場合や障害物が弾性体であっ
た場合などにも衝突の発生を確実に検出できるよう考慮
して選定する。一方、溶着検出範囲(A)におけるマー
ジン値は、実際に溶着が発生していない状態において溶
着の発生を検出しないよう考慮して選定する。本願出願
人が様々な条件下において動作実験を行ったところ、前
記溶着検出範囲と衝突検出範囲のそれぞれの区間におけ
るマージン値をともに1.5以上かつ2.5以下の範囲
内で設定するようにすれば、実際に衝突や溶着が発生し
ていない状態において衝突や溶着の発生を検出すること
はなく、さらに、衝突時の外乱トルクの衝突成分が小さ
い場合にも衝突の発生を確実に検出できることがわかっ
た。
【0034】図13は、溶接作業を伴う動作形態におけ
る、溶着が発生している場合の外乱トルクの衝突成分の
時間変化と、溶着検出範囲内の最大値Tsmax に所定の
マージン値を乗ずることにより得られた溶着検出範囲
(A)における規定値(検知レベルA)との関係を示す
グラフである。溶着検出範囲(A)におけるマージン値
を適正に設定することにより、図11に示した溶着検出
範囲(A)における規定値を設定しない場合に比して、
溶着の発生からその検出までの間隔すなわちタイムラグ
を小さくすることができる。
【0035】さらに、本実施形態においても、前述の溶
接作業を伴わない動作形態における実施形態と同様に、
衝突検出範囲においては、外乱トルクの衝突成分が衝突
検出範囲における規定値を超えたときに加えて、外乱ト
ルクの衝突成分の変化量が予め設定された別の規定値を
超えたときにも、衝突の発生を検出したものと判断する
ようにした。これにより、迅速かつ高い信頼性で衝突及
び溶着の発生を検出することができる。
【0036】指令位置変更装置9は、動作異常検出装置
7において衝突あるいは溶着が検出された場合は、エン
コーダ2よりサーボモータ1の現在位置を入力し、この
現在位置を衝突時の指令位置として指令位置発生装置1
0へ出力する。指令位置発生装置10は、前述のよう
に、通常は動作プログラム等に従いサーボモータ1の時
々刻々の指令位置を発生しているが、衝突あるいは溶着
の検出時には指令位置変更装置9から入力したサーボモ
ータ1の現在位置を指令位置として位置制御装置6へ出
力する。これにより、衝突時や溶着時には指令位置と現
在位置との差分である位置偏差14はゼロとなるので、
これに位置ループゲインを乗じて求められる速度指令1
5もゼロとなり、この結果サーボモータ1に制動トルク
が発生することにより直ちにアーム23の動作が停止さ
れる。したがって、衝突発生の際にはアーム23あるい
はエンドエフェクタとしての溶接ガン25の障害物への
くい込みが最小限に抑えられることになり、一方、溶着
発生の際には溶接ガン25や被溶接物24の変形などが
最小限に抑えられることになる。
【0037】位置ループゲイン変更装置8は、動作異常
検出装置7において衝突あるいは溶着が検出された場合
は、位置制御装置6に対して位置ループゲインの動作異
常時設定値を出力し、位置制御装置6はこの動作異常時
設定値の入力を受け、位置制御装置6内に記憶されてい
る位置ループゲインの初期設定値を動作異常時設定値に
変更する。位置ループゲインは位置偏差14より速度指
令15を算出する際に用いられる比例定数であり、この
値が大きいほど駆動軸の剛性は高くなり、よって指令位
置に対する駆動軸の追従性は良くなるが、逆にサーボモ
ータ1や減速機22にかかる負荷は大きくなる。アーム
23の動作中は駆動軸の追従性を良くするために位置ル
ープゲインを大きくとることが望ましいが、衝突時や溶
着時にサーボモータ1が拘束状態となったときには、位
置ループゲインが大きいことによる減速機22にかかる
負荷の増加により、減速機22の寿命を縮めたり、最悪
の場合は減速機22を含む駆動系を破損させることにな
る。
【0038】そこで、衝突時や溶着時には位置ループゲ
インをアーム動作中の初期設定値からこの初期設定値よ
りも小さい動作異常時設定値に変更することにより、速
度指令を低下させ、よって駆動軸の剛性を低下させ、こ
の結果、衝突時においては障害物に衝突したアーム23
が復元力により衝突位置まで自然に引き戻されることに
よりくい込み状態が解消され、一方、溶着時においては
アーム23が復元力により溶接点まで自然に引き戻さ
れ、よって減速機22にかかる負荷が低減されるように
なる。
【0039】位置ループゲインの動作異常時設定値は、
アーム23が復元力により衝突位置や溶接点まで自然に
引き戻される程度に小さくしておく必要があるが、極端
に小さくし過ぎると、アーム自身の重みにより重力に対
抗しきれなくなり、最悪の場合アーム23が落下してし
まうという事態が発生する。そのため、位置ループゲイ
ンの動作異常時設定値については、重力の影響分は最低
限補償しておく必要がある。この点を考慮したうえで、
位置ループゲインの動作異常時設定値は予め所定の値を
規定しておいてもよいが、所定の比率を予め規定してお
き、衝突時や溶着時には位置ループゲインの初期設定値
にこの予め規定しておいた比率を乗ずることにより、位
置ループゲインを変更するようにしてもよい。
【0040】具体的には、アーム先端にエンドエフェク
タとしての溶接ガン25を装着し、実際に衝突状態や溶
着状態を発生させることにより、アーム23が復元力に
より衝突位置や溶接点まで自然に引き戻され、かつ、重
力の影響によりアーム23が落下してしまうことがない
ような動作異常時設定値を実験的に求めるようにする。
あるいは、同様な実験を繰り返すことにより複数のデー
タが得られれば、動作異常時設定値の初期設定値に対す
る比率を求めることができるので、衝突時や溶着時には
位置ループゲインの初期設定値にこの比率を乗ずること
により、位置ループゲインを変更するようにする。
【0041】以上、産業用ロボットが溶接ロボットであ
る場合の実施形態について説明したが、本発明の技術は
その対象が溶接ロボット以外の場合でも容易に適用でき
る。例えば、産業用ロボットがハンドリングロボットで
ある場合には、作業点位置を上述の溶接点位置の代わり
に搬送対象物の把持位置とし、作業異常検出範囲を上述
の溶着検出範囲の代わりに把持不良検出範囲とし、作業
異常を上述の溶着の代わりに搬送対象物の把持不良とす
ればよい。これにより、ハンドリングロボットのエンド
エフェクタとしての把持部材が搬送対象物を把持した際
に、掴み不良を起こした場合や、搬送対象物が何らかの
要因でその載置位置から離反しなかった場合などに、ロ
ボットの駆動軸モータに過大な負荷がかかったときで
も、これを素早く検出できるものとなる。
【0042】
【発明の効果】請求項1にかかる発明によれば、各作業
点位置を基準にしたときの産業用ロボット本体の予め設
定された移動範囲内を作業異常検出範囲とし、一方、移
動範囲外を衝突検出範囲とし、予め産業用ロボットを作
業異常及び衝突の発生がない状態にて動作させ、このと
きの作業異常検出範囲と衝突検出範囲のそれぞれの区間
における外乱トルクの衝突成分の最大値を算出し、これ
ら最大値にそれぞれの区間毎に予め設定されたマージン
値をそれぞれ乗ずることにより、作業異常検出範囲及び
衝突検出範囲のそれぞれにおける前記規定値を自動的に
設定しておき、産業用ロボットが所定の作業を伴う動作
をしているときには、産業用ロボットが作業異常検出範
囲にあるときにおいては、外乱トルクの衝突成分が前記
作業異常検出範囲における規定値を超えたときに動作異
常を検出したものと判断し、一方、産業用ロボットが衝
突検出範囲にあるときにおいては、外乱トルクの衝突成
分が前記衝突検出範囲における規定値を超えたとき、ま
たは前記外乱トルクの衝突成分の変化量が予め設定され
た別の規定値を超えたときのいずれかの場合に、動作異
常を検出したものと判断するようにしたので、各駆動軸
毎に異なる動作異常の発生を検出するための適正な規定
値をそれぞれ一義的に選定することができるとともに、
アームの動作速度が速い状態で衝突が発生した場合にも
素早く衝突の発生を検出できるものとなった。そのた
め、迅速かつ信頼性の高い産業用ロボットの動作異常検
出を行えるものとなった。
【0043】また、請求項2にかかる発明によれば、請
求項1にかかる発明において、産業用ロボットを被溶接
物に対して所定の溶接作業を行う溶接ロボットとし、作
業点位置を溶接点位置とし、作業異常検出範囲を溶着検
出範囲とし、作業異常を溶接ロボットが具備する溶接ガ
ン電極と被溶接物との溶着とすることによって、溶接ロ
ボットに対して容易に展開できるものである。そのた
め、各駆動軸毎に異なる衝突及び溶着の発生を検出する
ための適正な規定値をそれぞれ一義的に選定することが
できるものとなる。
【0044】特に、請求項3にかかる発明のように、産
業用ロボットが溶接ロボットである場合において、溶着
検出範囲と衝突検出範囲のそれぞれの区間におけるマー
ジン値をともに1.5以上かつ2.5以下の範囲内で設
定するようにすれば、実際に衝突や溶着が発生していな
い状態において衝突や溶着の発生を検出することはな
く、さらに、衝突時の外乱トルクの衝突成分が小さい場
合にも衝突の発生を確実に検出できるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における溶接ロボットの動作
異常検出方法が適用される、溶接ロボットのサーボ系の
ブロック図である。
【図2】サーボモータ1、回転減速機22、及びアーム
23の関係を示す、ばね−質量系の概念図である。
【図3】溶接作業を伴わない動作形態における、衝突が
発生していない場合の外乱トルクの衝突成分の時間変化
を示すグラフである。
【図4】溶接作業を伴わない動作形態における、衝突発
生前後の外乱トルクの衝突成分の時間変化を示すグラフ
である。
【図5】本発明の溶接作業を伴わない動作形態におけ
る、衝突検出用の規定値の値を自動的に設定する方法の
一実施例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の溶接作業を伴わない動作形態におけ
る、衝突が発生していない場合の外乱トルクの衝突成分
の時間変化と最大値Tmax との関係を示すグラフであ
る。
【図7】本発明の溶接作業を伴わない動作形態におけ
る、衝突が発生している場合の外乱トルクの衝突成分の
時間変化と、最大値Tmax に所定のマージン値を乗ずる
ことにより得られた規定値との関係を示すグラフであ
る。
【図8】溶接ロボット21と被溶接物24上の各溶接ス
テップ2〜6の位置関係を示す図である。
【図9】溶接ロボット21における各溶接ステップ間の
アーム先端位置の移動形態を示す模式図である。
【図10】溶接作業を伴う動作形態における、衝突及び
溶着が発生していない場合の外乱トルクの衝突成分の時
間変化を示すグラフである。
【図11】溶接作業を伴う動作形態における、溶着発生
前後の外乱トルクの衝突成分の時間変化を示すグラフで
ある。
【図12】本発明の溶接作業を伴う動作形態における、
衝突検出用の規定値及び溶着検出用の規定値の各値を自
動的に設定する方法の一実施例を示すフローチャートで
ある。
【図13】本発明の溶接作業を伴う動作形態における、
溶着が発生している場合の外乱トルクの衝突成分の時間
変化と、溶着検出範囲内の最大値Tsmax に所定のマージ
ン値を乗ずることにより得られた溶着検出範囲の規定値
(検知レベルA)との関係を示すグラフである。
【図14】衝突検出のタイミングを示すグラフであり、
(a)図は外乱トルクの衝突成分の時間変化を示し、
(b)図は外乱トルクの衝突成分の変化量の時間変化を
示している。
【符号の説明】
1 駆動軸モータ(サーボモータ) 2 位置検出器(エンコーダ) 3 パワーアンプ 4 電流制御装置 5 速度制御装置 6 位置制御装置 7 動作異常検出装置 8 位置ループゲイン変更装置 9 指令位置変更装置 10 指令位置発生装置 11 位置フィードバック 12 速度フィードバック 13 電流フィードバック 14 位置偏差 15 速度指令 16 電流指令 17 電流検出器 21 産業用ロボット(溶接ロボット) 22 減速機 23 アーム 24 被溶接物 25 溶接ガン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】関節部を駆動する駆動軸モータが減速機を
    介してアームと連結される構造を有し、オブザーバを用
    いることにより前記駆動軸モータが受ける推定外乱トル
    クを算出し、該推定外乱トルクから既知の外乱トルクを
    差し引くことにより外乱トルクの衝突成分を算出し、該
    外乱トルクの衝突成分が予め設定された規定値を超えた
    ときに動作異常を検出したものと判断するようにした産
    業用ロボットの動作異常検出方法において、 各作業点位置を基準にしたときの産業用ロボット本体の
    予め設定された移動範囲内を作業異常検出範囲とし、一
    方、移動範囲外を衝突検出範囲とし、 予め産業用ロボットを作業異常及び衝突の発生がない状
    態にて動作させ、このときの前記作業異常検出範囲と前
    記衝突検出範囲のそれぞれの区間における外乱トルクの
    衝突成分の最大値を算出し、該それぞれの区間における
    外乱トルクの衝突成分の最大値にそれぞれの区間毎に予
    め設定されたマージン値をそれぞれ乗ずることにより、
    前記作業異常検出範囲及び衝突検出範囲のそれぞれにお
    ける前記規定値を自動的に設定しておき、 産業用ロボットが所定の作業を伴う動作をしているとき
    には、産業用ロボットが前記作業異常検出範囲にあると
    きにおいては外乱トルクの衝突成分が前記作業異常検出
    範囲における規定値を超えたときに動作異常を検出した
    ものと判断し、一方、産業用ロボットが前記衝突検出範
    囲にあるときにおいては、外乱トルクの衝突成分が前記
    衝突検出範囲における規定値を超えたとき、または前記
    外乱トルクの衝突成分の変化量が予め設定された別の規
    定値を超えたときのいずれかの場合に、動作異常を検出
    したものと判断するようにしたことを特徴とする産業用
    ロボットの動作異常検出方法。
  2. 【請求項2】前記産業用ロボットを被溶接物に対して所
    定の溶接作業を行う溶接ロボットとし、前記作業点位置
    を溶接点位置とし、前記作業異常検出範囲を溶着検出範
    囲とし、前記作業異常を溶接ロボットが具備する溶接ガ
    ン電極と被溶接物との溶着としたことを特徴とする請求
    項1に記載の産業用ロボットの動作異常検出方法。
  3. 【請求項3】前記溶着検出範囲と前記衝突検出範囲のそ
    れぞれの区間におけるマージン値をともに1.5以上か
    つ2.5以下の範囲内で設定するようにしたことを特徴
    とする請求項2に記載の産業用ロボットの動作異常検出
    方法。
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