JPH11319964A - プレスしわ抑制方法 - Google Patents
プレスしわ抑制方法Info
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- JPH11319964A JPH11319964A JP10129041A JP12904198A JPH11319964A JP H11319964 A JPH11319964 A JP H11319964A JP 10129041 A JP10129041 A JP 10129041A JP 12904198 A JP12904198 A JP 12904198A JP H11319964 A JPH11319964 A JP H11319964A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】素材をプレス成形するに先立ち、その素材に局
部的に設定された予定圧縮部位を圧縮加工してその予定
圧縮部位を加工硬化させる方法において、プレス成形時
に素材にしわが発生することを抑制する。 【解決手段】プレス成形に先立つ圧縮加工を、プレス成
形時に素材にしわが発生し易いしわ危険部位24の、そ
のしわを発生させる原因となる引張力の作用線上におい
て互いに隔たった一対の部位22,22に対して行う。
部的に設定された予定圧縮部位を圧縮加工してその予定
圧縮部位を加工硬化させる方法において、プレス成形時
に素材にしわが発生することを抑制する。 【解決手段】プレス成形に先立つ圧縮加工を、プレス成
形時に素材にしわが発生し易いしわ危険部位24の、そ
のしわを発生させる原因となる引張力の作用線上におい
て互いに隔たった一対の部位22,22に対して行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、素材のプレス成形
に先立ってその素材を局部的に圧縮加工して加工硬化さ
せる方法に関するものである。
に先立ってその素材を局部的に圧縮加工して加工硬化さ
せる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】その方法の一従来例が特開平8−117
879号公報に記載されている。これは、素材をプレス
成形するに先立ち、その素材のうちプレス成形時に割れ
が発生し易い部位を予定圧縮部位として、その表面に圧
縮工具をそれの平らな加工面において押圧することによ
り、その予定圧縮部位の表面を圧縮加工してその予定圧
縮部位を加工硬化させ、それにより、プレス成形時に素
材に割れが発生することを抑制する方法である。すなわ
ち、素材の材料的性質を加工硬化により局部的に向上さ
せることにより、プレス割れを抑制する方法なのであ
る。
879号公報に記載されている。これは、素材をプレス
成形するに先立ち、その素材のうちプレス成形時に割れ
が発生し易い部位を予定圧縮部位として、その表面に圧
縮工具をそれの平らな加工面において押圧することによ
り、その予定圧縮部位の表面を圧縮加工してその予定圧
縮部位を加工硬化させ、それにより、プレス成形時に素
材に割れが発生することを抑制する方法である。すなわ
ち、素材の材料的性質を加工硬化により局部的に向上さ
せることにより、プレス割れを抑制する方法なのであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび発明の効果】プレス成形時には素材の割れの他にし
わも問題になる。そこで、本発明者らはプレスしわとい
う問題を解決すべく研究を行い、その結果、予定圧縮部
位の選び方次第でプレスしわを抑制し得ることに気がつ
いた。そのような知見に基づき、本発明は、プレスしわ
を抑制し得る方法を提供することを課題としてなされた
ものである。その課題は、下記の本発明の各態様によっ
て解決される。なお、以下の説明において、本発明の各
態様を、それぞれに項番号を付して請求項と同じ形式で
記載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用するこ
との可能性を明示するためであるが、ここに記載された
組合せ以外の組合せを採用することを排除したり、ここ
に記載された特徴以外の特徴を組み合わせることを排除
するものではない。
よび発明の効果】プレス成形時には素材の割れの他にし
わも問題になる。そこで、本発明者らはプレスしわとい
う問題を解決すべく研究を行い、その結果、予定圧縮部
位の選び方次第でプレスしわを抑制し得ることに気がつ
いた。そのような知見に基づき、本発明は、プレスしわ
を抑制し得る方法を提供することを課題としてなされた
ものである。その課題は、下記の本発明の各態様によっ
て解決される。なお、以下の説明において、本発明の各
態様を、それぞれに項番号を付して請求項と同じ形式で
記載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用するこ
との可能性を明示するためであるが、ここに記載された
組合せ以外の組合せを採用することを排除したり、ここ
に記載された特徴以外の特徴を組み合わせることを排除
するものではない。
【0004】(1) 素材をプレス成形するに先立ち、その
素材に局部的に設定された予定圧縮部位を圧縮加工して
その予定圧縮部位を加工硬化させ、それにより、プレス
成形時に素材にしわが発生することを抑制することを特
徴とするプレスしわ抑制方法〔請求項1〕。この方法に
よれば、プレス成形に先立つ局部的な圧縮加工により、
プレス成形時のしわ発生が抑制できる。ここに「プレス
成形」には例えば、絞り加工,しごき加工,バルジ張出
し加工,フランジ加工,曲げ加工,ねじり加工等が含ま
れる。また「素材」には、板材のみならずブロック材も
含まれる。また「圧縮加工」の方法には、工具をそれの
加工面に形成された少なくとも一つの点状突起において
素材の表面に押圧する方式や、鋼球等、ショットを少な
くとも一つ、空気圧,遠心力等によって加速して素材の
表面に衝突させる方式(吹付け加工)がある。また「圧
縮加工」は例えば、素材の両面の一方にのみ塑性変形が
生じる一方、それに起因した塑性変形が他方には生じな
いように行うことができる。また「しわ」には例えば、
素材のうちプレス成形型による拘束を離れた部位に縮み
変形により生ずるボディしわ,素材のうちプレス成形型
により拘束されるフランジに縮み変形により生ずるフラ
ンジしわ等がある。 (2) 前記予定圧縮部位が、プレス成形時に前記素材にし
わが発生し易いしわ危険部位またはその近傍の、そのし
わを発生させる原因となる引張力の作用線上において互
いに隔たった一対の部位を含む(1) 項に記載のプレスし
わ抑制方法〔請求項2〕。本発明者らは、プレス成形に
先立ち、プレス成形時に素材にしわが発生し易いしわ危
険部位またはその近傍の、そのしわを発生させる原因と
なる引張力の作用線上において互いに隔たった一対の部
位を圧縮加工して加工硬化させれば、プレス成形時にお
けるしわ発生が効果的に抑制されることに気がついた。
このような知見に基づいて本項に記載の方法がなされた
のである。ここに「作用線」は、素材に引張力が集中荷
重として作用する場合には、その引張力の作用線が1本
の引張力作用線として認定されることになるが、分散荷
重として作用する場合には、引張力の作用線が無数本の
引張力作用線の集合として認定されることになり、後者
の場合、上記一対の部位が互いに隔たる引張力作用線
は、それら無数本の引張力作用線のいずれであってもよ
い。 (3) 前記一対の部位が、前記しわ危険部位上の、前記作
用線上において互いに最も隔たった2箇所に設定されて
いる(2) 項に記載のプレスしわ抑制方法。この方法によ
れば、プレス形成時のしわ発生がかなり良好に抑制され
る。 (4) 前記一対の部位が、前記しわ危険部位上の、前記作
用線上において互いに最も隔たった2箇所のすぐ内側の
2箇所に設定されている(2) 項に記載のプレスしわ抑制
方法。この方法によれば、プレス成形時のしわ発生が十
分に良好に抑制される。 (5) 前記一対の部位が、前記しわ危険部位上の、前記作
用線上において互いに最も隔たった2箇所より内側の2
箇所において、互いに隔たるように設定されている(2)
項に記載のプレスしわ抑制方法。この方法によれば、プ
レス成形時のしわ発生が十分に良好に抑制される。 (6) 前記一対の部位が、前記しわ危険部位上の、前記作
用線上において最も隔たった2箇所のすぐ外側の2箇所
に設定されている(2) 項に記載のプレスしわ抑制方法。
この方法によれば、プレス成形時のしわ発生が十分に良
好に抑制される。 (7) 前記一対の部位が、前記素材のうち前記しわ危険部
位でない部位上の、前記作用線上において互いに隔たっ
た2箇所に設定されている(2) 項に記載のプレスしわ抑
制方法。 この方法によれば、プレス成形時のしわ発生が十分に良
好に抑制される。(8) 前記圧縮加工が、前記予定圧縮部
位の表面に塑性変形により複数のディンプルが形成され
るように行われる(1) ないし(7) 項のいずれかに記載の
プレスしわ抑制方法〔請求項3〕。この方法によれば、
予定圧縮部位の表面全体を圧縮加工する場合におけるよ
り小さい力で圧縮加工を行い得る。 (9) 前記圧縮加工が、少なくとも一つの点状突起が形成
された加工面を有する圧縮工具を前記予定圧縮部位の表
面に押圧することにより行われる(8) 項に記載のプレス
しわ抑制方法。なお「点状突起」の形状には、角を有し
ない形状や、角を有する形状があり、また、角を有しな
い形状には、半球等があり、また、角を有する形状に
は、正多角錐,正多角錐台等がある。なお、この解釈は
他の項における「点状突起」についても妥当する。 (10)前記圧縮加工が、複数の点状突起が形成された加工
面を有する圧縮工具を前記予定圧縮部位の表面に押圧す
ることにより行われる(8) 項に記載のプレスしわ抑制方
法。この方法によれば、同じ圧縮工具に複数の点状突起
が形成されているため、同じ圧縮工具に点状突起が一つ
しか形成されていない場合に比較して、圧縮加工を能率
よく行うことが可能となる。 (11)前記素材が、板状を成すとともに、前記プレス成形
に先立ち、その素材より大きいプレス用鋼板が切断され
て製造されるものであり、前記圧縮加工が、その切断と
並行して行われる(1) ないし(10)項のいずれかに記載の
プレスしわ抑制方法。この方法によれば、圧縮加工と切
断とを互いに異なる時期に行う場合に比較して、それら
圧縮加工と切断とを行うのに必要な時間を短縮し得る。
素材に局部的に設定された予定圧縮部位を圧縮加工して
その予定圧縮部位を加工硬化させ、それにより、プレス
成形時に素材にしわが発生することを抑制することを特
徴とするプレスしわ抑制方法〔請求項1〕。この方法に
よれば、プレス成形に先立つ局部的な圧縮加工により、
プレス成形時のしわ発生が抑制できる。ここに「プレス
成形」には例えば、絞り加工,しごき加工,バルジ張出
し加工,フランジ加工,曲げ加工,ねじり加工等が含ま
れる。また「素材」には、板材のみならずブロック材も
含まれる。また「圧縮加工」の方法には、工具をそれの
加工面に形成された少なくとも一つの点状突起において
素材の表面に押圧する方式や、鋼球等、ショットを少な
くとも一つ、空気圧,遠心力等によって加速して素材の
表面に衝突させる方式(吹付け加工)がある。また「圧
縮加工」は例えば、素材の両面の一方にのみ塑性変形が
生じる一方、それに起因した塑性変形が他方には生じな
いように行うことができる。また「しわ」には例えば、
素材のうちプレス成形型による拘束を離れた部位に縮み
変形により生ずるボディしわ,素材のうちプレス成形型
により拘束されるフランジに縮み変形により生ずるフラ
ンジしわ等がある。 (2) 前記予定圧縮部位が、プレス成形時に前記素材にし
わが発生し易いしわ危険部位またはその近傍の、そのし
わを発生させる原因となる引張力の作用線上において互
いに隔たった一対の部位を含む(1) 項に記載のプレスし
わ抑制方法〔請求項2〕。本発明者らは、プレス成形に
先立ち、プレス成形時に素材にしわが発生し易いしわ危
険部位またはその近傍の、そのしわを発生させる原因と
なる引張力の作用線上において互いに隔たった一対の部
位を圧縮加工して加工硬化させれば、プレス成形時にお
けるしわ発生が効果的に抑制されることに気がついた。
このような知見に基づいて本項に記載の方法がなされた
のである。ここに「作用線」は、素材に引張力が集中荷
重として作用する場合には、その引張力の作用線が1本
の引張力作用線として認定されることになるが、分散荷
重として作用する場合には、引張力の作用線が無数本の
引張力作用線の集合として認定されることになり、後者
の場合、上記一対の部位が互いに隔たる引張力作用線
は、それら無数本の引張力作用線のいずれであってもよ
い。 (3) 前記一対の部位が、前記しわ危険部位上の、前記作
用線上において互いに最も隔たった2箇所に設定されて
いる(2) 項に記載のプレスしわ抑制方法。この方法によ
れば、プレス形成時のしわ発生がかなり良好に抑制され
る。 (4) 前記一対の部位が、前記しわ危険部位上の、前記作
用線上において互いに最も隔たった2箇所のすぐ内側の
2箇所に設定されている(2) 項に記載のプレスしわ抑制
方法。この方法によれば、プレス成形時のしわ発生が十
分に良好に抑制される。 (5) 前記一対の部位が、前記しわ危険部位上の、前記作
用線上において互いに最も隔たった2箇所より内側の2
箇所において、互いに隔たるように設定されている(2)
項に記載のプレスしわ抑制方法。この方法によれば、プ
レス成形時のしわ発生が十分に良好に抑制される。 (6) 前記一対の部位が、前記しわ危険部位上の、前記作
用線上において最も隔たった2箇所のすぐ外側の2箇所
に設定されている(2) 項に記載のプレスしわ抑制方法。
この方法によれば、プレス成形時のしわ発生が十分に良
好に抑制される。 (7) 前記一対の部位が、前記素材のうち前記しわ危険部
位でない部位上の、前記作用線上において互いに隔たっ
た2箇所に設定されている(2) 項に記載のプレスしわ抑
制方法。 この方法によれば、プレス成形時のしわ発生が十分に良
好に抑制される。(8) 前記圧縮加工が、前記予定圧縮部
位の表面に塑性変形により複数のディンプルが形成され
るように行われる(1) ないし(7) 項のいずれかに記載の
プレスしわ抑制方法〔請求項3〕。この方法によれば、
予定圧縮部位の表面全体を圧縮加工する場合におけるよ
り小さい力で圧縮加工を行い得る。 (9) 前記圧縮加工が、少なくとも一つの点状突起が形成
された加工面を有する圧縮工具を前記予定圧縮部位の表
面に押圧することにより行われる(8) 項に記載のプレス
しわ抑制方法。なお「点状突起」の形状には、角を有し
ない形状や、角を有する形状があり、また、角を有しな
い形状には、半球等があり、また、角を有する形状に
は、正多角錐,正多角錐台等がある。なお、この解釈は
他の項における「点状突起」についても妥当する。 (10)前記圧縮加工が、複数の点状突起が形成された加工
面を有する圧縮工具を前記予定圧縮部位の表面に押圧す
ることにより行われる(8) 項に記載のプレスしわ抑制方
法。この方法によれば、同じ圧縮工具に複数の点状突起
が形成されているため、同じ圧縮工具に点状突起が一つ
しか形成されていない場合に比較して、圧縮加工を能率
よく行うことが可能となる。 (11)前記素材が、板状を成すとともに、前記プレス成形
に先立ち、その素材より大きいプレス用鋼板が切断され
て製造されるものであり、前記圧縮加工が、その切断と
並行して行われる(1) ないし(10)項のいずれかに記載の
プレスしわ抑制方法。この方法によれば、圧縮加工と切
断とを互いに異なる時期に行う場合に比較して、それら
圧縮加工と切断とを行うのに必要な時間を短縮し得る。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0006】図1には、本発明の第1実施形態であるプ
レスしわ抑制方法を含むプレス加工方法の内容が経時的
に示されている。図示の例においては、プレス加工方法
が、板状の素材10を成形して、自動車の一部品である
製品20を製造するために行われる。
レスしわ抑制方法を含むプレス加工方法の内容が経時的
に示されている。図示の例においては、プレス加工方法
が、板状の素材10を成形して、自動車の一部品である
製品20を製造するために行われる。
【0007】具体的には、このプレス加工方法において
は、まず、素材10を得るために、図示しないプレス用
鋼板を適当なサイズに切断するためのせん断が行われ
る。次に、切断された素材10のうちの予定圧縮部位2
2に対してディンプル圧縮が行われる。予定圧縮部位2
2の表面に塑性変形により複数の圧痕部としての複数の
ディンプルが形成されるのである。本実施形態において
は、予定圧縮部位22が、プレス成形時に素材10にし
わが発生し易いしわ危険部位24においてそのしわを発
生させる原因となる引張力の作用線上において最も隔た
った一対の部位に設定されている。このように設定した
理由は後に詳述する。しわ危険部位24は例えば、素材
10のうちプレス成形時にしわが発生し易いボディ部ま
たはフランジ部に設定される。予定圧縮部位22は、そ
れに対してディンプル圧縮が行われることにより、加工
硬化が生じさせられたディンプル圧縮部位26となる。
ディンプル圧縮後に図示しないプレス成形型によりプレ
ス成形が行われる。すなわち、このプレス加工方法は、
せん断工程とプレスしわ抑制方法としてのディンプル圧
縮工程とプレス成形工程とを含むように構成されている
のである。
は、まず、素材10を得るために、図示しないプレス用
鋼板を適当なサイズに切断するためのせん断が行われ
る。次に、切断された素材10のうちの予定圧縮部位2
2に対してディンプル圧縮が行われる。予定圧縮部位2
2の表面に塑性変形により複数の圧痕部としての複数の
ディンプルが形成されるのである。本実施形態において
は、予定圧縮部位22が、プレス成形時に素材10にし
わが発生し易いしわ危険部位24においてそのしわを発
生させる原因となる引張力の作用線上において最も隔た
った一対の部位に設定されている。このように設定した
理由は後に詳述する。しわ危険部位24は例えば、素材
10のうちプレス成形時にしわが発生し易いボディ部ま
たはフランジ部に設定される。予定圧縮部位22は、そ
れに対してディンプル圧縮が行われることにより、加工
硬化が生じさせられたディンプル圧縮部位26となる。
ディンプル圧縮後に図示しないプレス成形型によりプレ
ス成形が行われる。すなわち、このプレス加工方法は、
せん断工程とプレスしわ抑制方法としてのディンプル圧
縮工程とプレス成形工程とを含むように構成されている
のである。
【0008】図2には、そのプレスしわ抑制方法を実施
するのに好適な圧縮加工装置30が示されている。この
圧縮加工装置30は基本的には、通常のプレス型(プレ
ス成形型を含む)と同じ構造を有している。具体的に
は、ラム32とボルスタ34とを備えていて、ラム32
には上型36、ボルスタ34には下型38がそれぞれ固
定されている。上型36には、圧縮加工により素材10
に複数のディンプルを形成するための圧縮工具40が取
り付けられている。また、上型36には、下型38との
衝撃を緩和するために、ウレタンゴム製のクッション4
4が設置されている。
するのに好適な圧縮加工装置30が示されている。この
圧縮加工装置30は基本的には、通常のプレス型(プレ
ス成形型を含む)と同じ構造を有している。具体的に
は、ラム32とボルスタ34とを備えていて、ラム32
には上型36、ボルスタ34には下型38がそれぞれ固
定されている。上型36には、圧縮加工により素材10
に複数のディンプルを形成するための圧縮工具40が取
り付けられている。また、上型36には、下型38との
衝撃を緩和するために、ウレタンゴム製のクッション4
4が設置されている。
【0009】圧縮工具40には図3に示すように、加工
面50が2つ形成されている。各加工面50には、各々
半球状を成す複数の点状突起52が一平面上において縦
横にほぼ等間隔で配置されている。点状突起52の半径
は例えば、約0.5mm〜約2.0mmの範囲内の値と
することができる。図4には、それら2つの加工面50
が素材10の2つの予定圧縮部位22の表面にそれぞれ
押圧されることにより、素材10の表面に複数のディン
プル54が配置されるパターンが概念的に示されてい
る。同図にはさらに、プレス成形時に2つの予定圧縮部
位22に、それらが相互に離間する方向に引張力が作用
する様子も概念的に示され、さらに、それら2つの予定
圧縮部位22が、しわ危険部位24上においてその引張
力作用線上において最も隔たった2点(後述のしわ発生
起点94,94)に設定されている様子も示されてい
る。
面50が2つ形成されている。各加工面50には、各々
半球状を成す複数の点状突起52が一平面上において縦
横にほぼ等間隔で配置されている。点状突起52の半径
は例えば、約0.5mm〜約2.0mmの範囲内の値と
することができる。図4には、それら2つの加工面50
が素材10の2つの予定圧縮部位22の表面にそれぞれ
押圧されることにより、素材10の表面に複数のディン
プル54が配置されるパターンが概念的に示されてい
る。同図にはさらに、プレス成形時に2つの予定圧縮部
位22に、それらが相互に離間する方向に引張力が作用
する様子も概念的に示され、さらに、それら2つの予定
圧縮部位22が、しわ危険部位24上においてその引張
力作用線上において最も隔たった2点(後述のしわ発生
起点94,94)に設定されている様子も示されてい
る。
【0010】図2に示すように、圧縮工具40は上型3
6に、加工面50が下型38を向く姿勢で取り付けられ
ている。一方、下型38にその加工面50に対向する位
置において当て具(バッキング部材)60が取り付けら
れている。当て具60は、圧縮工具40に対向する平ら
な当て面62を有している。当て具60はその当て面6
2において素材10を下方から支持しており、ラム32
が圧縮工具40が当て具60に接近するように駆動され
ることにより、それら圧縮工具40と当て具60とで素
材10を挟み、圧縮工具40が素材10に押圧され、そ
れにより、素材10がその板厚方向(素材10の表面と
交差する方向)に圧縮される。
6に、加工面50が下型38を向く姿勢で取り付けられ
ている。一方、下型38にその加工面50に対向する位
置において当て具(バッキング部材)60が取り付けら
れている。当て具60は、圧縮工具40に対向する平ら
な当て面62を有している。当て具60はその当て面6
2において素材10を下方から支持しており、ラム32
が圧縮工具40が当て具60に接近するように駆動され
ることにより、それら圧縮工具40と当て具60とで素
材10を挟み、圧縮工具40が素材10に押圧され、そ
れにより、素材10がその板厚方向(素材10の表面と
交差する方向)に圧縮される。
【0011】下型38には、当て具60から水平方向に
離れた位置において、素材10を下方から支持する複数
の支持部64が形成されている。素材10は、それら複
数の支持部64と上記当て具60とにより、下方から支
持されるとともに上下方向における位置が規制される。
下型38には、それの複数箇所においてゲージ68が取
り付けられている。複数のゲージ68は、素材10の水
平方向における位置を規制するために設けられている。
離れた位置において、素材10を下方から支持する複数
の支持部64が形成されている。素材10は、それら複
数の支持部64と上記当て具60とにより、下方から支
持されるとともに上下方向における位置が規制される。
下型38には、それの複数箇所においてゲージ68が取
り付けられている。複数のゲージ68は、素材10の水
平方向における位置を規制するために設けられている。
【0012】ところで、本発明者らは、予定圧縮部位2
2の位置とプレス成形時にしわが抑制される効果との関
係を把握するために実験を行った。
2の位置とプレス成形時にしわが抑制される効果との関
係を把握するために実験を行った。
【0013】図5には、その実験に用いられた試験片7
0が示されている。この試験片70は、冷間圧延鋼板
(SCGA相当)であり、板厚は0.65mmである。
この試験片70の形状および大きさは、一辺の長さが1
00mmである正方形とされている。試験片70につい
ては、それの2本の対角線の一方が引張力作用線とされ
ており、試験片70の4つの頂点部のうちその引張力作
用線上に位置する2つの頂点部が図示しないつかみ装置
によりつかまれる一対のつかみ部72とされている。各
つかみ部72の形状および大きさは、底辺が40mmで
ある直角二等辺三角形とされている。
0が示されている。この試験片70は、冷間圧延鋼板
(SCGA相当)であり、板厚は0.65mmである。
この試験片70の形状および大きさは、一辺の長さが1
00mmである正方形とされている。試験片70につい
ては、それの2本の対角線の一方が引張力作用線とされ
ており、試験片70の4つの頂点部のうちその引張力作
用線上に位置する2つの頂点部が図示しないつかみ装置
によりつかまれる一対のつかみ部72とされている。各
つかみ部72の形状および大きさは、底辺が40mmで
ある直角二等辺三角形とされている。
【0014】図6には、その実験に用いられた圧縮工具
80の形状が示されている。この圧縮工具80の形状
は、図2および図3に示す圧縮工具40と基本的には共
通するが、細部においては異なっている。具体的には、
圧縮工具80は、図6に示すように、加工面82を1つ
だけ備えている。実験においては、後述のように、試験
片70に予定圧縮部位が2つ設定される場合と、1つし
か設定されない場合とがあるが、2つ設定される場合に
は、それら2つの予定圧縮部位の圧縮加工が加工面82
により2回に分けて行われ、一方、1つしか設定されな
い場合にはもちろん、その予定圧縮部位の圧縮加工が加
工面82により1回だけ行われる。加工面82のうち、
上記引張力作用方向と平行な方向における両端部におい
て傾斜部84が設けられていて、圧縮加工の強さ(試験
片70の塑性変形量)が予定圧縮部位の境界を引張力作
用方向に通過する際に徐々に変化するようになってい
る。試験片70の材料的性質が予定圧縮部位の境界にお
いて急変すると、その境界において試験片70が破断し
易くなるからである。さらに、図7に示すように、加工
面82に、引張力作用方向と直角な方向に一定ピッチ
(3mm)で一列に並んだ複数の点状突起86から成る
突起列が複数、一定ピッチ(3mm)で、引張力作用方
向と平行な方向に並んでいるが、互いに隣接する突起列
間で位相が半ピッチ分(1.5mm)ずらされている。
複数の点状突起86を引張力作用方向において見た場合
に複数の点状突起86が互いに密に配置されるように
し、それにより、試験片70に、引張力作用方向に延び
る領域であって点状突起86が存在しないものができる
限り発生しないようになっている。
80の形状が示されている。この圧縮工具80の形状
は、図2および図3に示す圧縮工具40と基本的には共
通するが、細部においては異なっている。具体的には、
圧縮工具80は、図6に示すように、加工面82を1つ
だけ備えている。実験においては、後述のように、試験
片70に予定圧縮部位が2つ設定される場合と、1つし
か設定されない場合とがあるが、2つ設定される場合に
は、それら2つの予定圧縮部位の圧縮加工が加工面82
により2回に分けて行われ、一方、1つしか設定されな
い場合にはもちろん、その予定圧縮部位の圧縮加工が加
工面82により1回だけ行われる。加工面82のうち、
上記引張力作用方向と平行な方向における両端部におい
て傾斜部84が設けられていて、圧縮加工の強さ(試験
片70の塑性変形量)が予定圧縮部位の境界を引張力作
用方向に通過する際に徐々に変化するようになってい
る。試験片70の材料的性質が予定圧縮部位の境界にお
いて急変すると、その境界において試験片70が破断し
易くなるからである。さらに、図7に示すように、加工
面82に、引張力作用方向と直角な方向に一定ピッチ
(3mm)で一列に並んだ複数の点状突起86から成る
突起列が複数、一定ピッチ(3mm)で、引張力作用方
向と平行な方向に並んでいるが、互いに隣接する突起列
間で位相が半ピッチ分(1.5mm)ずらされている。
複数の点状突起86を引張力作用方向において見た場合
に複数の点状突起86が互いに密に配置されるように
し、それにより、試験片70に、引張力作用方向に延び
る領域であって点状突起86が存在しないものができる
限り発生しないようになっている。
【0015】試験片70は、そのような圧縮工具80に
より予定圧縮部位において圧縮加工され、予定圧縮部位
の表面に図8に示すよう、塑性変形により複数のディン
プル90が形成されるが、1つまたは2つの予定圧縮部
位が試験片70上に配置されるパターンは図9に示すよ
うに、5種類用意されている。
より予定圧縮部位において圧縮加工され、予定圧縮部位
の表面に図8に示すよう、塑性変形により複数のディン
プル90が形成されるが、1つまたは2つの予定圧縮部
位が試験片70上に配置されるパターンは図9に示すよ
うに、5種類用意されている。
【0016】パターン1は、同図の(a) に示すように、
2つの予定圧縮部位91,91が一対のしわ発生起点に
それぞれ配置されるものである。ここで、一対のしわ発
生起点の意味を説明すれば、図10の(a) に示すよう
に、圧縮加工を加えていない試験片70に上記のように
して引張力を作用させて試験片70に数%(約2〜4
%)の塑性引張ひずみを与えた場合には、試験片70の
表面に、同図の(b) に示すように、しわ92が発生する
ことになるが、このしわ92上の、引張力作用線上にお
いて互いに最も離間した一対の点が上記一対のしわ発生
起点94,94である。
2つの予定圧縮部位91,91が一対のしわ発生起点に
それぞれ配置されるものである。ここで、一対のしわ発
生起点の意味を説明すれば、図10の(a) に示すよう
に、圧縮加工を加えていない試験片70に上記のように
して引張力を作用させて試験片70に数%(約2〜4
%)の塑性引張ひずみを与えた場合には、試験片70の
表面に、同図の(b) に示すように、しわ92が発生する
ことになるが、このしわ92上の、引張力作用線上にお
いて互いに最も離間した一対の点が上記一対のしわ発生
起点94,94である。
【0017】パターン2は、図9の(b) に示すように、
2つの予定圧縮部位95,95が一対のしわ発生起点9
4,94の中間に配置されるとともに、引張力作用線上
において隙間を有して並んで配置されるものである。パ
ターン3は、同図の(c) に示すように、2つの予定圧縮
部位96,96が一対のしわ発生起点94,94の外側
に配置されるものである。パターン4は、同図の(d) に
示すように、2つの予定圧縮部位97,97が一対のし
わ発生起点94,94の中間に配置されるとともに、引
張力作用方向と直角な方向において隙間を有しないで並
んで配置されるものである。パターン5は、同図の(e)
に示すように、1つの予定圧縮部位98が一対のしわ発
生起点94,94の中間に配置されるものである。この
パターン5は、それにより形成される予定圧縮部位98
の全体長さがパターン4により形成される2つの予定圧
縮部位97,97の全体長さの半分となっており、結
局、パターン5は、試験片70が引張力により座屈する
中心点においてその座屈方向(引張力作用方向と直角な
方向)に短い予定圧縮部位を形成するパターンであり、
これに対して、パターン4は、試験片70の座屈中心点
においてその座屈方向に長い予定圧縮部位を形成するパ
ターンであると言うことができる。
2つの予定圧縮部位95,95が一対のしわ発生起点9
4,94の中間に配置されるとともに、引張力作用線上
において隙間を有して並んで配置されるものである。パ
ターン3は、同図の(c) に示すように、2つの予定圧縮
部位96,96が一対のしわ発生起点94,94の外側
に配置されるものである。パターン4は、同図の(d) に
示すように、2つの予定圧縮部位97,97が一対のし
わ発生起点94,94の中間に配置されるとともに、引
張力作用方向と直角な方向において隙間を有しないで並
んで配置されるものである。パターン5は、同図の(e)
に示すように、1つの予定圧縮部位98が一対のしわ発
生起点94,94の中間に配置されるものである。この
パターン5は、それにより形成される予定圧縮部位98
の全体長さがパターン4により形成される2つの予定圧
縮部位97,97の全体長さの半分となっており、結
局、パターン5は、試験片70が引張力により座屈する
中心点においてその座屈方向(引張力作用方向と直角な
方向)に短い予定圧縮部位を形成するパターンであり、
これに対して、パターン4は、試験片70の座屈中心点
においてその座屈方向に長い予定圧縮部位を形成するパ
ターンであると言うことができる。
【0018】複数のディンプル90が各パターンに従っ
て形成されるように複数の試験片70に対して複数種類
の圧縮加工を行った後、各試験片70に対して、試験片
70の一対のつかみ部72をつかんで試験片70の一対
角線の方向にのみ引っ張る一軸引張試験が行われ、その
際、試験片70が座屈した高さ(しわの高さ)が測定さ
れる。図11には、試験片70が座屈した部分の断面図
が示されている。この断面図は、試験片70の2本の対
角線のうち引張力作用線と一致しないものを通過する一
平面で試験片70を切断することによって得られるもの
である。座屈の高さhbは、同図に示すように、座屈に
より試験片70の表面に形成されたビード状の部分の高
さとして、測定器99により測定される。この測定器9
9は、一列に並んだ3つの接触子で試験片70の表面に
接触して座屈の高さhbを測定するものであるが、それ
ら3つの接触子のうち最も離れた2つの接触子の間隔I
が25mmと50mmとに変更可能とされており、その
間隔Iは上記ビード状の部分の大きさに応じて変更され
る。
て形成されるように複数の試験片70に対して複数種類
の圧縮加工を行った後、各試験片70に対して、試験片
70の一対のつかみ部72をつかんで試験片70の一対
角線の方向にのみ引っ張る一軸引張試験が行われ、その
際、試験片70が座屈した高さ(しわの高さ)が測定さ
れる。図11には、試験片70が座屈した部分の断面図
が示されている。この断面図は、試験片70の2本の対
角線のうち引張力作用線と一致しないものを通過する一
平面で試験片70を切断することによって得られるもの
である。座屈の高さhbは、同図に示すように、座屈に
より試験片70の表面に形成されたビード状の部分の高
さとして、測定器99により測定される。この測定器9
9は、一列に並んだ3つの接触子で試験片70の表面に
接触して座屈の高さhbを測定するものであるが、それ
ら3つの接触子のうち最も離れた2つの接触子の間隔I
が25mmと50mmとに変更可能とされており、その
間隔Iは上記ビード状の部分の大きさに応じて変更され
る。
【0019】図12には、その一軸引張試験の結果に基
づいて取得された引張ひずみと座屈の高さhbとの関係
が各パターン毎にグラフで示されている。ただし、パタ
ーン2ないし5については、試験片70の引張試験が2
0tonfで行われるのに対して、パターン1について
は、20tonfと25tonfとの双方で行われる。
同図のグラフから明らかなように、図13に示すよう
に、パターン1の下で試験片70の圧縮加工を行い、具
体的には、しわ危険部位100の引張力作用方向におけ
る両端点である一対のしわ発生起点94,94に設定さ
れた一対の予定圧縮部位91,91に対して圧縮工具8
0によりディンプル圧縮を行った場合には、その後に試
験片70を数%(約2〜4%)の塑性引張ひずみが生じ
るように引っ張っても、試験片70にしわが発生せずに
済む。
づいて取得された引張ひずみと座屈の高さhbとの関係
が各パターン毎にグラフで示されている。ただし、パタ
ーン2ないし5については、試験片70の引張試験が2
0tonfで行われるのに対して、パターン1について
は、20tonfと25tonfとの双方で行われる。
同図のグラフから明らかなように、図13に示すよう
に、パターン1の下で試験片70の圧縮加工を行い、具
体的には、しわ危険部位100の引張力作用方向におけ
る両端点である一対のしわ発生起点94,94に設定さ
れた一対の予定圧縮部位91,91に対して圧縮工具8
0によりディンプル圧縮を行った場合には、その後に試
験片70を数%(約2〜4%)の塑性引張ひずみが生じ
るように引っ張っても、試験片70にしわが発生せずに
済む。
【0020】図14には、図12のグラフに基づき、し
わが抑制される効果を各パターン毎に評価した結果が表
で示されている。この表から明らかなように、2つの予
定圧縮部位を一対のしわ発生起点94,94に配置した
パターン1を採用する場合に、しわ発生が最も良好に抑
制されており、一対のしわ発生起点94,94の直ぐ内
側または外側に配置したパターン2および3を採用する
場合には、しわ発生が良好に抑制されており、一対のし
わ発生起点94,94の中間に配置したパターン4およ
び5を採用した場合には、圧縮加工なしの場合より大き
なしわが発生した。
わが抑制される効果を各パターン毎に評価した結果が表
で示されている。この表から明らかなように、2つの予
定圧縮部位を一対のしわ発生起点94,94に配置した
パターン1を採用する場合に、しわ発生が最も良好に抑
制されており、一対のしわ発生起点94,94の直ぐ内
側または外側に配置したパターン2および3を採用する
場合には、しわ発生が良好に抑制されており、一対のし
わ発生起点94,94の中間に配置したパターン4およ
び5を採用した場合には、圧縮加工なしの場合より大き
なしわが発生した。
【0021】このような結果を踏まえて、本実施形態に
おいては、素材10の2つの予定圧縮部位22,22が
図1に示すように、各予定圧縮部位22の中心点がしわ
危険部位24の引張力作用方向における各端点に一致す
るように設定されているのであり、その結果、プレス成
形時にしわが素材10のしわ危険部位24において発生
せずに済む。
おいては、素材10の2つの予定圧縮部位22,22が
図1に示すように、各予定圧縮部位22の中心点がしわ
危険部位24の引張力作用方向における各端点に一致す
るように設定されているのであり、その結果、プレス成
形時にしわが素材10のしわ危険部位24において発生
せずに済む。
【0022】なお付言すれば、以上説明した実施形態に
おいては、圧縮工具40において複数の点状突起52が
配置されるパターンが、上記実験に用いた圧縮工具80
におけるパターンと異なるものとされているが、それと
同じものとすることが可能であるのはもちろんである。
おいては、圧縮工具40において複数の点状突起52が
配置されるパターンが、上記実験に用いた圧縮工具80
におけるパターンと異なるものとされているが、それと
同じものとすることが可能であるのはもちろんである。
【0023】次に、本発明の第2実施形態であるプレス
しわ抑制方法を説明する。ただし、本実施形態は、第1
実施形態と共通する要素が多いため、共通する要素につ
いては同一の符号を使用することによって詳細な説明を
省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
しわ抑制方法を説明する。ただし、本実施形態は、第1
実施形態と共通する要素が多いため、共通する要素につ
いては同一の符号を使用することによって詳細な説明を
省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
【0024】本実施形態であるプレスしわ抑制方法は、
ディンプル圧縮工程を構成するとともに、せん断工程お
よびプレス成形工程と共同してプレス加工方法を構成す
る。せん断工程においては、送り抜き型が使用され、プ
レス用鋼板が円筒状に巻かれたコイル材からプレス用鋼
板が巻ほどかれて素材10として送り抜き型に送られて
適当なサイズに切断される。その送り抜き型に圧縮加工
装置が装着されており、本実施形態においては、ディン
プル圧縮とせん断とが互いに並行して行われるようにな
っている。
ディンプル圧縮工程を構成するとともに、せん断工程お
よびプレス成形工程と共同してプレス加工方法を構成す
る。せん断工程においては、送り抜き型が使用され、プ
レス用鋼板が円筒状に巻かれたコイル材からプレス用鋼
板が巻ほどかれて素材10として送り抜き型に送られて
適当なサイズに切断される。その送り抜き型に圧縮加工
装置が装着されており、本実施形態においては、ディン
プル圧縮とせん断とが互いに並行して行われるようにな
っている。
【0025】図15には、その送り抜き型200が示さ
れている。この送り抜き型200は、第1実施形態にお
ける圧縮加工装置30と同様に、ラム32に固定された
上型202と、ボルスタ34に固定された下型204と
を互いに上下に対向する位置に備えている。送り抜き型
200はさらに、素材10が送られる経路上のうちの上
流位置において、素材10を下方から支持して案内する
ガイド206を備えている。さらに、送られる素材10
をそれの両側から小さい摩擦抵抗で支持して案内するガ
イドローラ208も備えている。上型202と下型20
4とには、素材10が送られる経路上のある位置におい
て、互いに共同して素材10をせん断するための一対の
切刃210,212がそれぞれ固定されている。送り抜
き型200にはさらに、一対の切刃210,212より
下流側の位置においてシュート216が設けられてい
る。このシュート216により、切断された素材10が
自重によって下方に滑り落ち、その後、図示しないプレ
ス成形型に供給される。また、送り抜き型200は、前
記圧縮加工装置30と同様に、上型202にクッション
218が装着されている。
れている。この送り抜き型200は、第1実施形態にお
ける圧縮加工装置30と同様に、ラム32に固定された
上型202と、ボルスタ34に固定された下型204と
を互いに上下に対向する位置に備えている。送り抜き型
200はさらに、素材10が送られる経路上のうちの上
流位置において、素材10を下方から支持して案内する
ガイド206を備えている。さらに、送られる素材10
をそれの両側から小さい摩擦抵抗で支持して案内するガ
イドローラ208も備えている。上型202と下型20
4とには、素材10が送られる経路上のある位置におい
て、互いに共同して素材10をせん断するための一対の
切刃210,212がそれぞれ固定されている。送り抜
き型200にはさらに、一対の切刃210,212より
下流側の位置においてシュート216が設けられてい
る。このシュート216により、切断された素材10が
自重によって下方に滑り落ち、その後、図示しないプレ
ス成形型に供給される。また、送り抜き型200は、前
記圧縮加工装置30と同様に、上型202にクッション
218が装着されている。
【0026】上型202には、圧縮工具40を駆動する
駆動装置220が設けられている。この駆動装置220
は、上型202またはラム32に固定の駆動源222を
備えている。駆動源222は例えば、エアシリンダ,油
圧シリンダ等、高圧の気体または液体により作動する圧
力作動装置である。駆動装置220はさらに、駆動源2
22により駆動される駆動部材224を備えている。駆
動部材224に圧縮工具40が固定されている。圧縮工
具40は第1実施形態におけると同じ形状を有するもの
とされている。駆動装置220は、圧縮工具40が素材
10に押圧される力を適正範囲に調整する押圧力調整装
置225も備えている。押圧力調整装置225は例え
ば、駆動源222としての圧力作動装置に接続された電
磁弁とその電磁弁を制御するコントローラとを含むよう
に構成される。
駆動装置220が設けられている。この駆動装置220
は、上型202またはラム32に固定の駆動源222を
備えている。駆動源222は例えば、エアシリンダ,油
圧シリンダ等、高圧の気体または液体により作動する圧
力作動装置である。駆動装置220はさらに、駆動源2
22により駆動される駆動部材224を備えている。駆
動部材224に圧縮工具40が固定されている。圧縮工
具40は第1実施形態におけると同じ形状を有するもの
とされている。駆動装置220は、圧縮工具40が素材
10に押圧される力を適正範囲に調整する押圧力調整装
置225も備えている。押圧力調整装置225は例え
ば、駆動源222としての圧力作動装置に接続された電
磁弁とその電磁弁を制御するコントローラとを含むよう
に構成される。
【0027】これに対して、下型204には、圧縮工具
40に対向する位置において、当て具226が固定され
ている。この当て具226は、素材10を下方から支持
するとともに、圧縮工具40からの力を受けて、圧縮工
具40と共同して素材10を圧縮するものである。
40に対向する位置において、当て具226が固定され
ている。この当て具226は、素材10を下方から支持
するとともに、圧縮工具40からの力を受けて、圧縮工
具40と共同して素材10を圧縮するものである。
【0028】圧縮工具40は駆動装置220なしで直接
に上型202またはラム32である固定部材に固定する
ことが可能である。しかし、圧縮工具40が素材10を
押圧する力に適正範囲があり、一方、その適正範囲が、
素材10をせん断する力の適正範囲と一致しない場合が
ある。そのような場合においても、せん断も圧縮も適正
な力で行い得るように、本実施形態においては、送り抜
き型200には、圧縮工具40が駆動装置220を介し
て固定部材に装着されているのである。
に上型202またはラム32である固定部材に固定する
ことが可能である。しかし、圧縮工具40が素材10を
押圧する力に適正範囲があり、一方、その適正範囲が、
素材10をせん断する力の適正範囲と一致しない場合が
ある。そのような場合においても、せん断も圧縮も適正
な力で行い得るように、本実施形態においては、送り抜
き型200には、圧縮工具40が駆動装置220を介し
て固定部材に装着されているのである。
【0029】以上、本発明の実施形態のいくつかを図面
に基づいて詳細に説明したが、それらの他にも、特許請
求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて
種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施すること
ができる。
に基づいて詳細に説明したが、それらの他にも、特許請
求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて
種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施すること
ができる。
【図1】本発明の第1実施形態であるプレスしわ抑制方
法を含むプレス加工方法の内容を経時的に示す図であ
る。
法を含むプレス加工方法の内容を経時的に示す図であ
る。
【図2】上記プレスしわ抑制方法を実施するのに好適な
圧縮加工装置を示す正面図である。
圧縮加工装置を示す正面図である。
【図3】図2における圧縮工具を示す斜視図である。
【図4】図3の圧縮工具により素材の表面に複数のディ
ンプルが形成される様子を示す平面図である。
ンプルが形成される様子を示す平面図である。
【図5】上記プレスしわ抑制方法の効果を確認するため
の引張試験に用いた試験片を示す平面図である。
の引張試験に用いた試験片を示す平面図である。
【図6】その試験片を圧縮加工するために用いた圧縮工
具を示す側面図および部分拡大斜視図である。
具を示す側面図および部分拡大斜視図である。
【図7】その圧縮工具の加工面に複数の点状突起が配置
されるパターンを示す平面図である。
されるパターンを示す平面図である。
【図8】その圧縮工具により試験片の表面に複数のディ
ンプルが形成される様子を示す平面図である。
ンプルが形成される様子を示す平面図である。
【図9】上記試験片に複数のディンプルが配置される5
種類のパターンを示す図である。
種類のパターンを示す図である。
【図10】しわ発生起点なる用語の定義を説明するため
の断面図である。
の断面図である。
【図11】素材における座屈の高さを測定する方法を説
明するための断面図である。
明するための断面図である。
【図12】上記引張試験の結果に基づいて取得されたひ
ずみと座屈の高さとの関係を示すグラフである。
ずみと座屈の高さとの関係を示すグラフである。
【図13】試験片の圧縮加工を適正なパターンで行った
後にその試験片を引っ張ってもしわが発生しない様子を
説明するための図である。
後にその試験片を引っ張ってもしわが発生しない様子を
説明するための図である。
【図14】上記引張試験の結果に基づいて取得された各
パターンとしわ抑制効果との関係を表形式で示す図であ
る。
パターンとしわ抑制効果との関係を表形式で示す図であ
る。
【図15】本発明の第2実施形態であるプレスしわ抑制
方法を実施するのに好適な圧縮加工装置を示す正面図で
ある。
方法を実施するのに好適な圧縮加工装置を示す正面図で
ある。
10 素材 20 製品 22,91,95,96,97,98 予定圧縮部位 24,100 しわ危険部位 26 ディンプル圧縮部位 30,280 圧縮加工装置 40 圧縮工具 50 加工面 52 点状突起 54,90 ディンプル 70 試験片
Claims (3)
- 【請求項1】素材をプレス成形するに先立ち、その素材
に局部的に設定された予定圧縮部位を圧縮加工してその
予定圧縮部位を加工硬化させ、それにより、プレス成形
時に素材にしわが発生することを抑制することを特徴と
するプレスしわ抑制方法。 - 【請求項2】前記予定圧縮部位が、プレス成形時に前記
素材にしわが発生し易いしわ危険部位またはその近傍
の、そのしわを発生させる原因となる引張力の作用線上
において互いに隔たった一対の部位を含む請求項1に記
載のプレスしわ抑制方法。 - 【請求項3】前記圧縮加工が、前記予定圧縮部位の表面
に塑性変形により複数のディンプルが形成されるように
行われる請求項1または2に記載のプレスしわ抑制方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10129041A JPH11319964A (ja) | 1998-05-12 | 1998-05-12 | プレスしわ抑制方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10129041A JPH11319964A (ja) | 1998-05-12 | 1998-05-12 | プレスしわ抑制方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11319964A true JPH11319964A (ja) | 1999-11-24 |
Family
ID=14999641
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10129041A Pending JPH11319964A (ja) | 1998-05-12 | 1998-05-12 | プレスしわ抑制方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11319964A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011180109A (ja) * | 2010-03-04 | 2011-09-15 | Kato Seisakusho:Kk | センサキャップの製造方法 |
JP2012121415A (ja) * | 2010-12-07 | 2012-06-28 | Toyota Motor Corp | 車両の骨格構造、骨格補強構造及びピラー構造 |
-
1998
- 1998-05-12 JP JP10129041A patent/JPH11319964A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011180109A (ja) * | 2010-03-04 | 2011-09-15 | Kato Seisakusho:Kk | センサキャップの製造方法 |
JP2012121415A (ja) * | 2010-12-07 | 2012-06-28 | Toyota Motor Corp | 車両の骨格構造、骨格補強構造及びピラー構造 |
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