JPH11318448A - 抗原、抗体およびそれを用いる免疫学的測定方法 - Google Patents

抗原、抗体およびそれを用いる免疫学的測定方法

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JPH11318448A
JPH11318448A JP10146588A JP14658898A JPH11318448A JP H11318448 A JPH11318448 A JP H11318448A JP 10146588 A JP10146588 A JP 10146588A JP 14658898 A JP14658898 A JP 14658898A JP H11318448 A JPH11318448 A JP H11318448A
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antibody
compound
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antigen
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JP10146588A
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English (en)
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Toshiyuki Sugiura
敏行 杉浦
Kinya Washizu
欣也 鷲津
Yuji Nakanishi
雄二 中西
Seigo Sawada
誠吾 沢田
Akito Mike
明人 三毛
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Yakult Honsha Co Ltd
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Yakult Honsha Co Ltd
Amano Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】免疫測定法による血液などの検査検体中の微量
成分の測定法を提供する。 【構成】一般式(I) 【化1】[式中、R1、R2、R3、R4、R5は、水素、水酸
基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基、ニトロ
基、ハロゲン、あるいはそれに類する基を示す。]で示
される化合物(以下、単に化合物(I)とも示す。)、
一般式(I)で表される化合物の抗体、その製法、およ
びそれを得るための新規な免疫原を提供する。また該抗
体を用いる上記化合物(I)の免疫学的測定方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般式(I)
【0002】
【化2】
【0003】[式中、R1、R2、R3、R4、R5は、水素、水
酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基、ニトロ
基、ハロゲン、あるいはそれに類する基を示す。]で示
される化合物(以下、単に化合物(I)とも示す。)、
一般式(I)で表される化合物の抗体、その製法、およ
びそれを得るための新規な免疫原を提供する。また該抗
体を用いる上記化合物(I)の免疫学的測定方法を提供
する。
【0004】
【従来の技術】近年、上記一般式(I)で表される化合
物が広域な癌に有用であるとの報告がなされている。代
表的な化合物としてはイリノテカンが知られ、小細胞肺
癌、非小細胞肺癌、子宮頚癌、卵巣癌、胃癌、結腸・直
腸癌、有棘細胞癌、悪性リンパ腫などに適用されてい
る。その生体内での代謝物であるR1がエチル基、R3が水
酸基である化合物がSN−38と呼ばれ、イリノテカンの活
性本体である。
【0005】しかし、骨髄機能抑制、高度な下痢などの
重篤な副作用が起こることがあるため頻回に血液検査、
肝機能検査、腎機能検査が必要であり、感染症、偽膜性
大腸炎、出血傾向及び肺臓炎の発現や増悪に十分注意す
る必要がある。
【0006】一般的に医薬品においてはその薬効と副作
用は表裏一体であり、特に抗癌剤においては抗癌作用の
発現と副作用の抑制をどのようにバランスさせるかとい
うことが非常に重要である。すなわち、薬効成分濃度を
如何にして生体内で過不足なくコントロールすることが
できるかが、副作用の発現を押さえつつ薬効を十分に発
揮させるために非常に重要である。そのためは薬効成分
の生体内での濃度を正確に且つ迅速に測定し、その結果
を基に投薬量を増減することができることが望ましい。
【0007】例えば、現在使用されている上記一般式
(I)で表される化合物の中において、SN−38に関して
はHPLCによる測定方法が報告されている。[J. of Chrom
atography B, 670巻, 309 - 316 (1995)、Jpn. J. Canc
er Res., 86巻, 101 - 110 (1995)、Cancer Res., 54
巻, 427 - 436 (1994)、Cancer Chemother Pharmacol.,
36巻, 176 - 179 (1995)]
【0008】しかしながら、これらの方法は前処理が必
要で、しかも測定にかなりの時間がかかるために、多数
の検体を測定することが困難であるばかりでなく、高価
なHPLCの装置が必要であり、検査コストが著しく高くな
るという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のHPLCによる測定
方法の問題点を解決するには、より簡便な測定系を開発
する必要がある。免疫測定法による血液などの検査検体
中の微量成分の測定は、簡便で且つ正確な測定が可能で
あり、様々な診断薬に応用されている。
【0010】一方、上記一般式(I)で表される化合物
は低分子であり、これに対して特異的な抗体を作製する
ことは通常困難である。すなわち、このような低分子
(ハプテン)はそのままでは免疫原性を持たないため、
通常ハプテンを高分子の免疫原性担体(キャリア)に結
合させた免疫原性コンジュゲートを調製し、これを動物
に免疫して抗体を作製する方法が取られている。
【0011】免疫原性コンジュゲートを作成するために
使用されるキャリアとしては、一般的にタンパク質、ポ
リペプチド、糖タンパク、合成高分子などが利用されて
いる。
【0012】ハプテンとキャリアとの結合は直接、又は
適当な架橋試薬を用いて行なわれ、ハプテン分子に含ま
れるアミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオール基な
どの活性基が利用されている。また、ハプテン分子に適
当な活性基が無いときは、それらを導入することも一般
的に行われている。
【0013】血清などの検査検体中には、上記一般式
(I)で表される化合物の代謝物などの構造類似体が、
当該化合物よりも高い濃度で存在することもあり、抗体
作製にあたってはこれら影響を受けないことが極めて重
要である。
【0014】本発明は、上記一般式(I)で表される化
合物を特異的に認識する抗体と、それを作製するための
方法を提供することにある。さらに、検査目的の検体中
の当該化合物を正確にしかも簡便に測定する方法をも提
供することにある。
【0015】検査目的の検体とは、上記一般式(I)で
表される化合物を含み当該化合物の濃度を測定したい対
象物であれば特に制限はなく、例えば血清、血漿、尿、
骨髄液や、これらに含まれる当該化合物濃度を測定し易
いように処理した処理液などが挙げられる。特に本発明
は、上記一般式(I)で表される化合物の代謝物などの
構造類似体の影響を受けずに、検査目的の検体中の当該
化合物濃度を正確に、そしてより簡単に測定する方法を
提供することを目的としている。又、これらの測定に有
用な免疫測定用の固相抗原又は標識抗原をも提供するこ
とも目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記一般式
(I)で表される化合物濃度を測定する方法として、免
疫学的測定法に着目し、この方法につき鋭意研究を行っ
た結果完成されたものである。すなわち本発明は一般式
(I)
【0017】
【化3】
【0018】[式中、R1、R2、R3、R4、R5は、水素、水
酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基、ニトロ
基、ハロゲン、あるいはそれに類する基を示す。]で示
される化合物を検出するための免疫測定法に使用され
る、使用特性の優れた抗原、抗体及び標識試薬の調製に
役立つハプテン誘導体を提供するものである。
【0019】本発明者らは上記一般式(I)で表される
化合物の免疫学的測定法につき種々研究を行った結果、
上記一般式(I)で表される化合物の誘導体にキャリア
であるタンパク質などを共有結合させることにより得ら
れる複合体が、免疫学的測定法における抗体を産生させ
るための好ましい免疫原となることを見い出した。該化
合物結合キャリア、または該化合物誘導体結合キャリア
を、免疫して得られたリンパ球とミエローマ細胞とを細
胞融合して得られたハイブリドーマ株を培養することに
よって、当該化合物或いは当該誘導体に対する抗体を得
ることができる。これらの化合物や誘導体の固相抗原と
抗体を用いた、あるいは標識されたこれらの化合物と抗
体を用いた競争的免疫学的測定法で、上記一般式(I)
で表される化合物を測定できることを見い出し、本発明
を完成させるに至った。即ち本発明は以下の通りであ
る。
【0020】第一の発明は、上記一般式(I)で表され
る化合物または上記一般式(I)で表される化合物の誘
導体に蛋白質などのキャリアを共有結合させることによ
り得られる複合体に関し、免疫測定における抗体を産生
させるための好ましい免疫原に関する。
【0021】第二の発明は、その当該複合体を免疫して
得られたリンパ球とミエローマ細胞とを細胞融合するこ
とによって得られたハイブリドーマ株に関する。
【0022】第三の発明は、前記ハイブリドーマ株を培
養することを特徴とする抗化合物抗体の製法に関する。
【0023】第四の発明は、化合物結合キャリア、また
は化合物誘導体結合キャリアを固相抗原とするスクリー
ニング法において、固相抗原への抗化合物抗体の結合が
当該化合物で阻害されることを特徴とするスクリーニン
グ法に関する。
【0024】第五の発明は、固相化した上記一般式
(I)で表される化合物または当該化合物の誘導体と、
前記抗体を用いることによる、あるいは標識化合物また
は標識化合物誘導体と、前記抗体を用いることによる、
上記一般式(I)で表される化合物の測定法に関する。
【0025】第六の発明は、固相化したまたは標識化し
た上記一般式(I)で表される化合物あるいは化合物誘
導体と、前記抗体とをキットの必須の構成試薬としてな
る事を特徴とした化合物(I)の酵素免疫測定用キット
に関する。
【0026】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、対象とする上記一般式(I)で表される化合物
のような低分子化合物はハプテンと呼ばれ、抗原性は有
するが免疫原性を持たない。このため、これらのハプテ
ンにつきその抗体を産生させるために、ハプテン中ある
いはその誘導体のアミノ基、カルボキシル基等と高分子
の免疫原性担体(キャリア)とを共有結合させたうえで
動物に免疫する。
【0027】キャリアとしては、タンパク質、ポリペプ
チド、糖タンパク、合成高分子などがあげられる。具体
的には、タンパク質としては、牛血清アルブミン、ヒト
血清アルブミン、卵白アルブミン、牛ガンマグロブリン
などが、ポリペプチドとしては、ポリリジンなどが、糖
タンパクとしては、リポポリサッカライド、キーホール
リンペットヘモシアニン(以下、KLHとする)などが、
合成高分子としては、ポリエチレンイミン、ポリアミド
アミンなどがそれぞれあげられる。本発明の免疫原にお
いてもこれらを利用することができるが特にこれらに限
定はされない。
【0028】ハプテンとキャリアを結合させる方法とし
ては、直接、又は適当な架橋試薬を用いて行なわれ、ハ
プテン分子に含まれるアミノ基、カルボキシル基、水酸
基、チオール基などの活性基が利用されている。上記一
般式(I)で表される化合物においては、E環のラクト
ン、水酸基の他に、R1、R2、R3、R4、R5や、その他の部
分の適当な活性基を用いることができ、或いは、上記一
般式(I)で表される化合物をアミド化、カルボキシル
化、チオール化、マレイミド化、スクシンイミド化等と
誘導体化する事ができるが、これらに限定されない。更
に、それらを直接、或いはスペーサーを用いてキャリア
と架橋することもできる。
【0029】例えば、誘導体化の方法、スペーサーの種
類、架橋方法としては「酵素免疫測定法」(第2版、石
川榮治他著、医学書院、1982年)、「蛋白質核酸酵素
別冊第31号 酵素免疫測定法」(北川常廣他、共立出
版、1987年)、「超高感度酵素免疫測定法」(石川榮治
著、学会出版センター、1993年)、「日本臨牀 第9
号」(日本臨牀社、1995年)等に記載されている公知の
方法を用いることができる。
【0030】更に、かかる免疫原を製造する方法として
は、例えば上記一般式(I)で表される化合物にアミノ
基やカルボキシル基を導入した後、グルタルアルデヒド
法やカルボジイミド法等で、当該化合物誘導体とキャリ
アとを共有結合せしめる方法が使用できる。
【0031】本発明で、上記一般式(I)で表される化
合物又は化合物誘導体をキャリアに結合させた免疫原を
免疫感作させる免疫動物は、例えば、マウス、ラット、
ハムスター、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、トリなどがあげら
れる。中でも、モノクローナル抗体を生産するには、マ
ウスの種類の中でも免疫グロブリンを産生しない腫瘍細
胞株の確立されているBALB/c系統が好ましい。
【0032】免疫感作は、免疫原をアジュバント等と混
合した後に、前記動物の1カ所以上の各部位に注射す
る。さらに同一又は異なる部位から、規則的或いは不規
則的間隔で注射を行う。しかる後に採血を行い、適当な
抗体価に達したことが測定されるまで調べ、確認されれ
ば、抗体産生細胞とミエローマ細胞、即ち腫瘍細胞と細
胞融合を行いハイブリドーマを形成させる。あるいは、
「細胞工学 vol.5 No.2 160〜165」(太田成尾、秀
潤社、1986年)等に記載されているように、脾臓細胞を
取り出し、免疫原を直接感作させるin vitro免疫法を用
いても良い。
【0033】目的のハイブリドーマは「蛋白質核酸酵素
別冊 第31号 酵素免疫測定法」(北川常廣他、共立
出版、1987年)、「細胞工学 別冊 抗ペプチド抗体実
験プロトコール」(大海忍他、秀潤社、1994年)等に記
載されている公知の方法で単離、保存できる。ハイブリ
ドーマは、in vitroで培養するか、または動物の体内で
腫瘍として増殖させることができ、これらの培養物から
モノクローナル抗体を得ることができる。
【0034】より具体的に記載すると、抗原を、等張緩
衝液或いは生理食塩水などに溶解して、マウスの場合1
匹当り1回に10〜300μgを投与する。通常免疫は数回に
分けて行ない、初回免疫は、アジュバンドと共に投与す
る。アジュバンドとしては、ミョウバン、結核死菌、核
酸等を常用する。
【0035】免疫は、2〜4週間隔で行ない、最終免疫
はアジュバンドを使用せず行なう。投与方法はマウスの
場合、腹腔、皮下等が一般的であり、静脈内投与等も行
なうことができる。最終免疫2〜4日後にリンパ節或い
は脾臓を摘出し、得られたリンパ球を増殖性の高い細胞
との細胞融合に供する。増殖性の高い細胞として、例え
ば、P3X63Ag8U.1(U1)、P3X63Ag8.653(653)、P3/NS1/1-A
g4-1(NS-1)、SP2/0-Ag14(SP2)等が挙げられる。細胞融
合は、例えば、[G.Galfre,Nature,266,550(1977)]に記
載の方法又はこれに準ずる方法によって行なうことがで
きる。この際、30〜50%ポリエチレングリコール(平均
分子量1,000〜4,000)を用いて30〜40℃の温度下、約1
〜3分間ほど反応させると好適である。なお、フィーダ
細胞としては、BALB/cマウスの胸腺細胞あるいはヒト・
インターロイキンVI等の細胞増殖促進成分等を用いるこ
とができる。
【0036】細胞融合によって得られた融合細胞は、目
的とするモノクローナル抗体を産生するクローンのスク
リーニングに供する。すなわち、当該細胞を、例えば、
マイクロプレート(96穴培養プレート等)中で培養し、
増殖の見られた穴の培養上清中の抗体価を、例えば酵素
抗体法(ELISA)等によって測定し、適切な抗体を産生
している穴を得る。このような穴から更に例えば一般に
よく用いられる限界稀釈法等によってクローニングを行
なってクローンを得る。
【0037】本発明の抗化合物抗体は、上記一般式
(I)で表される化合物と特異的に結合でき、加えて該
化合物の代謝物などの構造類似体に対しては交差反応性
を示さないという特性を持つものである。そのような特
性を有する抗化合物抗体としては、動物に免疫すること
により得られた血清、ハイブリドーマ株が産生するモノ
クローナル抗体などを挙げることができるが、好ましく
はモノクローナル抗体が良い。
【0038】抗化合物抗体産生ハイブリドーマのスクリ
ーニングは、例えば「蛋白質核酸酵素 別冊 第31号
酵素免疫測定法」(北川常廣他、共立出版、1987年)、
「細胞工学 別冊 抗ペプチド抗体実験プロトコール」
(大海忍他、秀潤社、1994年)等に記載されている公知
の方法で行うことができるが、本発明においては、化合
物(I)結合キャリア、または化合物(I)誘導体結合キ
ャリアを固相抗原とするスクリーニング法を用いること
ができる。
【0039】さらに、固相抗原への抗化合物(I)抗体
の結合が化合物(I)で阻害されることで、目的の抗化
合物(I)抗体産生ハイブリドーマを選択することがで
きる。
【0040】本発明の免疫測定法の固相抗原は、「蛋白
質核酸酵素 別冊 第31号 酵素免疫測定法」(北川常
廣他、共立出版、1987年)、「酵素免疫測定法」(第2
版、石川榮治他著、医学書院、1982年)、「超高感度酵
素免疫測定法」(石川榮治著、学会出版センター、1993
年)、「日本臨牀 第9号 特集エンザイムイムノアッ
セイ」(日本臨牀社、1995年)等に記載されている公知
の方法を用いて、化合物(I)または化合物(I)誘導体
をキャリアに結合させて調製し、それらは、固相に結合
させることができるので、固相抗原として使用できる。
あるいは、固相の持つ活性基に、公知の方法で直接結合
させても良い。
【0041】また、固相に用いる抗原は免疫に用いた免
疫原とは異なるキャリアの組み合わせのものを用いる事
が好ましい。これはキャリアに対する抗体の影響を受け
ないようにするためである。例えば、免疫原のキャリア
としてKLHを使用した場合、固相抗原には合成高分子等
をキャリアとしたものを用いる。しかしこの場合、化合
物(I)又はその誘導体構造以外の部分、あるいは化合
物(I)またはその誘導体とキャリアを結合させている
スペーサー部分に対する抗体も同時に測定されることに
なるので、上記の測定で抗体価の上昇が確認された場
合、固相に化合物(I)又はその誘導体を免疫原とは別
の架橋方法で結合したものを固相抗原として用いると良
い。これによって、化合物(I)に特異的な抗体を効率
的にスクリーニングすることができる。
【0042】抗化合物(I)抗体はそのまま用いても良
いが、ペプシンで消化して得られるF(ab')2、F(ab')2を
還元して得られたFab'、および抗体をパパインで消化し
て得られたFab等の、抗原に結合する抗体フラグメント
を抗体として用いても良い。さらに、抗体の可変部位で
ある化合物(I)の認識部位を持つものであればよい。
また、これらを、酵素、蛍光物質、ビオチン、ラジオア
イソトープ等で標識した標識抗体としても使用すること
ができる。
【0043】標識方法としては、「酵素免疫測定法」
(第2版、石川榮治他著、医学書院、1982年)、「蛋白
質核酸酵素 別冊 第31号 酵素免疫測定法」(北川常
廣他、共立出版、1987年)、「超高感度酵素免疫測定
法」(石川榮治著、学会出版センター、1993年)、「日
本臨牀 第9号 特集エンザイムイムノアッセイ」(日
本臨牀社、1995年)等に記載されている公知の方法を用
いることができる。
【0044】一般的に用いられる標識酵素の例を挙げれ
ば、β―ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファター
ゼ、リパーゼ、パーオキシダーゼ、グルコース−6−フ
ォスフェートデヒドロゲナーゼ等が使用できる。
【0045】本発明の免疫測定法の標識抗原は、化合物
(I)または化合物(I)誘導体を、酵素、蛍光色素、ビ
オチン類、アビジン類、ラジオアイソトープ等の標識物
質で標識して作製する。その際、抗原や免疫原と同様な
方法で標識物質と架橋しても良いが、免疫原とは別の架
橋方法で結合させたものを標識抗原として用いても良
い。
【0046】用いる酵素、蛍光試薬の種類や標識方法と
しては、「酵素免疫測定法」(第2版、石川榮治他著、
医学書院、1982年)、「蛋白質核酸酵素別冊第31号 酵
素免疫測定法」(北川常廣他、共立出版、1987年)、
「超好感度酵素免疫測定法」(石川榮治著、学会出版セ
ンター、1993年)、「日本臨牀 第9号 特集エンザイ
ムイムノアッセイ」(日本臨牀社、1995年)等に記載さ
れている公知の方法を用いることができる。
【0047】一般的に用いられる標識抗体作成に使用で
きる酵素と同様に、例えばβ―ガラクトシダーゼ、アル
カリフォスファターゼ、リパーゼ、パーオキシダーゼ、
グルコースー6−フォスフェートデヒドロゲナーゼ等が
使用できる。これらの利用によって、特異性の高い測定
が可能となる。
【0048】本発明の抗体及び標識体を用いて、酵素免
疫検定法(EIA)、放射線免疫検査法(RIA)などを行う
ことにより微量の化合物(I)を特異的に、かつ正確に
測定することが可能となった。
【0049】例えば、EIAとしては、「酵素免疫測定
法」(第2版、石川榮治他著、医学書院、1982年)、
「蛋白質核酸酵素 別冊 第31号 酵素免疫測定法」
(北川常廣他、共立出版、1987年)、「超高感度酵素免
疫測定法」(石川榮治著、学会出版センター、1993
年)、「日本臨牀 第9号」(日本臨牀社、1995年)等
に記載されている公知の方法を用いることができる。
【0050】より具体的に示すと、競合法による免疫測
定法では、一定量の抗体と検体との混合液を固相化抗原
と接触させて、抗原抗体反応を行わせ、固相抗原と検体
中の抗原とを競合させて抗体と結合させる。その後、固
相化抗原に結合した抗体量を測定し、既知量の抗原を含
む試料を用いて作製した検量線から検体中の抗原量を求
めることができる。
【0051】また、一定量の標識抗原と検体との混合液
を固相化抗体と接触させて、抗原抗体反応を行わせ、標
識抗原と検体中の抗原とを競合させて抗体と結合させ
る。その後、固相化抗体に結合した標識抗原量を測定
し、既知量の抗原を含む試料を用いて作製した検量線か
ら検体中の抗原量を求めることができる。
【0052】その他、抗原(標準サンプルまたは検体)
と一定量の抗体と抗原抗体反応を行わせ、次に抗原と結
合しなかった抗体を固相化抗原と抗原抗体反応を行わせ
る。固相化抗原に結合した抗体量を酵素標識抗体により
測定する。あるいは、標準サンプル又は検体中の抗原と
予め一定量の酵素標識抗体(以下標識抗体)とで抗原抗
体反応を行わせた後、抗原とは結合しないで残存した標
識抗体と固相化抗原とで抗原抗体反応を行わせて、固相
に結合した標識体の量を測定する。
【0053】標識体量の測定は、常法により行うことが
出来るが、いずれの場合も既知量の抗原を含む試料を用
いて作製した検量線から検体中の抗原量を算出すること
ができる。
【0054】一方、固相としては、シリコン、ナイロ
ン、プラスチック、ガラスからなるスティック、ビー
ス、磁性微粒子、マイクロプレートもしくは試験管など
が利用でき、「日本臨牀 第9号」(日本臨牀社、1995
年)等に記載されている公知の方法を用いることができ
る。
【0055】又、本発明の抗体は、競合法のみならず、
「酵素免疫測定法」(第2版、石川榮治他著、医学書
院、1982年)、「超高感度酵素免疫測定法」(石川榮治
著、学会出版センター、1993年)、「日本臨牀 第9
号」(日本臨牀社、1995年)に記載されているような凝
集法やイムノエンザイモメトリックアッセイ法やその他
の方法などにも利用することができる。
【0056】上記の方法で、抗化合物(I)抗体を含む
化合物(I)の免疫測定用試薬キットを作製することが
できる。以下、本発明を実施例によってさらに具体的に
説明するが、本発明は、これに限定されるものではな
い。
【0057】
【実施例】実施例1 カンプトテシン誘導体―蛋白質複
合体の調製 化合物(I)において、R1がエチル基、R3が水酸基であ
る化合物(II)を用いてハプテン抗原の作製を行った。
化合物(II)を20mgと、1,4−シクロヘキサンジアミン
6.5gを混合し、60℃で攪拌しながら3時間反応させ、化
合物(II)のアミノ化誘導体を作製した。反応液は、セ
ファデックスLHx 20を用いたカラムクロマトグラフィー
を行い、未反応の1,4−シクロヘキサンジアミンを除い
た。これに、あらかじめ水溶性カルボジイミド3.4mgで
活性化させた10mgのキーホールリンペットヘモシアニン
(KLH)を混合し、室温で4時間攪拌した。さらに5℃
で一晩放置し、透析により低分子を除去後、化合物(I
I)とKLHの複合体を得た。またKLHの代わりにガンマグ
ロブリンをキャリアーとして用いても、全く同様に合成
できた。
【0058】実施例2 カンプトテシン誘導体―合成高
分子複合体の調製 化合物(II)5mgを5mlのジメチルスルフォキシドに溶
解し、東京化成(株)製ポリエチレンイミン溶液(30%
溶液、平均分子量10,000)28.4μLを添加した。これを6
0℃で2時間反応させた後、透析により低分子を除き、
化合物(II)とポリエチレンイミンの複合体を得た。
【0059】実施例3 カンプトテシン誘導体―ポリア
ミン複合体の調製 アルドリッチ製スターバーストデンドリマー(ジェネレ
ーション4)(PAMAM4と略す)を100μLに、エピクロロ
ヒドリンを430μL添加し、40℃で30分反応させた。ここ
から、ジエチルエーテルで未反応のエピクロロヒドリン
を抽出除去した。これに、化合物(II)を10mg、ジメチ
ルスルフォキシドを2mL、6mol/L水酸化ナトリウム溶
液を100μL添加し、室温で一晩反応させた。反応液を透
析して低分子を除き、化合物(II)とスターバーストデ
ンドリマーの複合体を得た。
【0060】実施例4 抗化合物(II)抗体の作製 実施例1乃至3で得られた免疫原性コンジュゲートをPB
Sで希釈し1mg/mLとなるように調製した。これを、フロ
イントの完全アジュバント(Wako社製)と1:1で混合
してエマルジョンとし、これをマウス(BALB/c、5週
令、雌)腹腔内に注射し免疫感作した。マウスへの投与
量は、免疫原性コンジュゲート100〜200μL/匹であ
る。1ヶ月後に1回、フロイントの不完全アジュバント
(Wako社製)を用いて追加免疫を行った。追加免疫の抗
原量は100μg/匹とした。各追加免疫後1週間目に尾よ
り採血し、抗体価を測定した。
【0061】実施例5 抗体価の測定 96穴のEIA用プレート(Falcon製)に固相抗原として1
μg/mLの免疫原性コンジュゲートを含むPBS pH7.4を
各wellに100μL/wellずつ分注し、4℃で一晩インキュ
ベートした。ここで用いた免疫原性コンジュゲートはマ
ウスの免疫に用いたものとは異なるキャリアーを持つも
のである。
【0062】次に、上記の溶液を吸引除去した後、3%
ゼラチンを含むPBS pH7.4を200μL/well分注し、室温
にて2時間インキュベートしブロッキングをおこなっ
た。ただし、実施例2で作製した免疫原性コンジュゲー
トを固相とした時は、0.025%のポリアクリル酸のPBS溶
液でブロッキングを行った。
【0063】0.05% Tween20・PBS pH7.4(以後TPBSと
略す)にて3回洗浄した後、TPBSにて段階希釈したマウ
ス血清を30μL/well分注し、室温にて1時間インキュ
ベートした。
【0064】TPBSにて3回洗浄した後、TPBSにて2000倍
に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG(コスモ
バイオ社製、ヤギ由来)を2次抗体液として100μL/we
llずつ各wellに分注し、室温にて2時間インキュベート
した。インキュベート終了後、TPBSにて3回洗浄した。
下記に示す基質液を使用する直前に調製し、この溶液を
各wellに150μL添加し、室温で15分間インキュベート
し、反応させた。
【0065】基質液 50mLの50mmol/Lクエン酸ナトリ
ウムバッファーpH4.5に、オルトフェニレンジアミンを2
0mgと、過酸化水素水(34.5%溶液、関東化学(株)
製)を7μL混合して調製した。
【0066】3mol/L硫酸を50μL添加し反応を停止させ
た後、プレートリーダー(BioRad製)にて490nmの吸光
度を測定することにより、抗体価の上昇を確認した。オ
プティカルデンシティが1.0の時を、その抗体価が1.0と
して比較した。
【0067】さらに、本当に抗血清が目的の化合物(I
I)と結合しているか否かを確認するために、抗血清を
添加したときに、同時にTPBSにて段階希釈した化合物
(II)を添加し、競合させ、それで固相抗原への吸着が
阻害されることを確認する事により、より確実に判断す
ることが可能であった。
【0068】その結果、表1に示したように、特に本発
明の免疫原で免疫したマウスは、抗体価の上昇が確認さ
れ、さらに、化合物(II)の競合反応により、阻害され
ることを確認した。
【0069】
【表1】
【0070】実施例6 細胞融合 抗体価が確認されたマウスは、さらにフロイントの不完
全アジュバント(Wako社製)を用いて最終免疫を行なっ
た。最終免疫の抗原量は100μg/匹とした。
【0071】最終免疫より4日後に、マウスより脾臓を
取り出し、マウスミエローマ細胞(P3U1)とポリエチレ
ングリコールを用いて細胞融合を行った。この融合方法
の詳細および培養技術に関しては、[Shulman,M.,Wilde,
C.D.およびKohler,G.,Nature276-269(1978)]等に記載
されているような既知の方法を用いた。
【0072】実施例7 抗化合物(II)抗体産生ハイブ
リドーマのスクリーニング 融合した細胞(ハイブリドーマ)を希釈法により分離
し、さらに限界希釈法により抗体分泌クローンをサブク
ローン化した。抗化合物(II)抗体を産生していること
を確認するスクリーニング方法として、固相化した化合
物(II)に結合する培養液中の抗体を、ラベル化二次抗
体でディテクトする方法を用いた。本実施例では、実施
例1で免疫を行ったマウスより得たハイブリドーマの産
生するIgGについて説明する。
【0073】
【化4】
【0074】化合物(III)は、化合物(I)におい
て、R1がエチル基、R3がピペリジノピペリジノカルボニ
ルオキシ基である化合物であり、CPT―11と呼ばれてい
る。
【0075】化合物(II)を固相化するために、実施例
2で調製した、化合物(II)と高分子のコンジュゲート
を用いた。
【0076】実施例1乃至3で作製した免疫原性コンジ
ュゲートは、どれもEIA用プレートなどに吸着するた
め、これを固相化抗原とすることができる。すなわち、
96穴のEIA用プレート(Falcon製)に固相抗原として1
μg/mLの免疫原性コンジュゲートを含むPBS(pH7.4)
を各wellに100μL/wellずつ分注し、4℃で一晩インキ
ュベートした。ここで用いた免疫原性コンジュゲート
は、マウスの免疫に用いたものとは異なるスペーサー、
キャリアーを持ついずれかである。
【0077】例えば、化合物(II)―KLHコンジュゲー
ト(実施例1)で免疫したマウス由来の脾臓細胞より作
製したハイブリドーマの産生する抗体のスクリーニング
を行うときは、化合物(II)―ポリエチレンイミンコン
ジュゲート(実施例2)、あるいは化合物(II)―PAMA
M4コンジュゲート(実施例3)などを固相化して用い
た。
【0078】次に、上記の溶液を吸引除去した後、3%
ゼラチンを含むPBS(pH7.4)を200μL/well分注し、室
温にて2時間インキュベートしブロッキングをおこなっ
た。ただし、実施例2で作製した免疫原性コンジュゲー
トを固相とした時は、0.025% のポリアクリル酸のPBS溶
液でブロッキングを行った。
【0079】TPBSにて3回洗浄した後、TPBSにて段階希
釈した培養液を30μL/well分注し、さらに、TPBSにて
段階希釈した化合物(II)を30μL/well分注し、対照
としてはTPBSを30μL/well分注し、室温にて1時間イ
ンキュベートした。また、化合物(II)の構造類似体で
ある化合物(III)を、TPBSにて段階希釈し、化合物(I
I)の代わりに30μL/well分注し同様に行った。
【0080】TPBSにて3回洗浄した後、TPBSにて2000倍
に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG(コスモ
バイオ社製、ヤギ由来)またはTPBSにて5000倍に希釈し
たペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM(コスモバイオ社
製、ヤギ由来)を2次抗体液として100μL/wellずつ各
wellに分注し、室温にて2時間インキュベートした。イ
ンキュベート終了後、TPBSにて3回洗浄した。下記に示
す基質液を使用する直前に調製し、この溶液を各wellに
150μL添加し、室温で15分間インキュベートし、反応さ
せた。
【0081】基質液 50mLの50mmol/Lクエン酸ナト
リウムバッファーpH4.5に、オルトフェニレンジアミン
を20mgと、過酸化水素水(34.5%溶液、関東化学(株)
製)を7μL混合して調製した。
【0082】3mol/L硫酸を50μL添加し反応を停止さ
せた後、プレートリーダー (BioRad製)にて490nmの吸
光度を測定した。段階希釈した化合物(II)を競合させ
たときに、その値が化合物(II)の添加量に応じて低く
なっていて、かつ化合物(II)の10〜100倍濃度で段階
希釈した化合物(III)を競合させたときには化合物(I
I)と比較して阻害されないという培養液中のハイブリ
ドーマを選択し、その株のクローニングを行った。
【0083】実施例8 抗体の取得 得られた抗化合物(II)抗体産生ハイブリドーマのクロ
ーンを培養することにより、培養液中に抗化合物(II)
抗体(IgG)を分泌したので、培養液のpHを7.0〜7.5に
調整した後、プロテインG結合アフィニティー担体(フ
ァルマシア製)のカラムに供した。
【0084】目的の抗体を結合させた後、pH7.0のリン
酸緩衝液で非吸着部を洗浄した。pH2.7のグリシン緩衝
液で吸着部を溶出し、ただちにpH7.4のPBSに置換した。
緩衝液の置換は、MolcutL(ミリポア製)を用いた限外
濾過により行った。すなわち、溶出液をMolcutL中に入
れ加圧濾過後、PBSで洗浄加圧濾過を3回繰り返し、最
後にPBSで溶解し回収した。
【0085】実施例9 化合物(II)濃度の測定 検量線の作製 前述の実施例4にて得られた精製抗化合物(II)抗体を
用いた時の例を示す。実施例4の抗体を得るのに用いた
免疫原性コンジュゲートは、実施例1に示したものであ
るので、固相抗原としてはそれ以外のコンジュゲートを
用いた。
【0086】96穴のEIA用プレート(Falcon製)に固相
抗原として148ng/mLの化合物(II)-PAMAM4コンジュゲ
ート(実施例3)を含むPBS(pH7.4)を各wellに100μL
/wellずつ分注し、4℃で一晩インキュベートし固相化
した。
【0087】次に、上記の溶液を吸引除去した後、3%
ゼラチンを含むPBS(pH7.4)を200μL/well分注し、室
温にて2時間インキュベートしブロッキングをおこなっ
た。TPBSにて3回洗浄した後、TPBSにて段階希釈した化
合物(II)を30μL/well分注し、続いてその上に、TPB
Sにて100ng/mLに希釈した精製抗化合物(II)抗体溶液
を、30μL/well分注した。
【0088】対照としてはTPBSを30μL/well分注し、
室温にて1時間インキュベートした。TPBSにて3回洗浄
した後、TPBSにて2000倍に希釈したペルオキシダーゼ標
識抗マウスIgG(コスモバイオ社製、ヤギ由来)を2次
抗体液として100μL/wellずつ各wellに分注し、室温に
て2時間インキュベートした。
【0089】インキュベート終了後、TPBSにて3回洗浄
した。下記に示す基質液を使用する直前に調製し、この
溶液を各wellに150μL添加し、室温で20分間インキュヘ゛ートし、
反応させた。
【0090】基質液 50mLの50mmol/Lクエン酸ナト
リウムバッファーpH4.5に、オルトフェニレンジアミン
を20mgと、過酸化水素水(34.5%溶液、関東化学(株)
製)を7μL混合して調製した。
【0091】3mol/L硫酸を50μL添加し反応を停止さ
せた後、プレートリーダー (BioRad製)にて490nmの吸
光度を測定した。化合物(II)濃度を横軸に対数として
取り、吸光度を縦軸としたときのグラフを図1に示す。
【0092】図1から、本発明の抗化合物(II)抗体を
用いて,試料中の化合物(I)を、ng/mLオーダーで測
定できることがわかる。
【0093】実施例10 抗化合物(II)抗体による化合
物(II)と化合物(III)に対する特異性の比較 精製した抗化合物(II)抗体の特異性を、化合物(II)
とその構造類似体である化合物(III)で比較した。測
定方法は、化合物(II)-PAMAM4複合体、または化合物
(II)―ポリエチレンイミン複合体を、適当濃度で96穴
のEIAプレートに100μLずつ添加し、4℃で一晩インキ
ュベートした。
【0094】次に、上記の溶液を吸引除去した後、3%
ゼラチンを含むPBS(pH7.4)を200μL/well分注し、室
温にて2時間インキュベートしブロッキングを行った。
TPBSにて3回洗浄した後、TPBSにて段階希釈した抗化合
物(II)抗体30μL/wellと、段階希釈した化合物(I
I)または化合物(III)を30μL/well添加し競合さ
せ、37℃で1時間インキュベートし、TPBSにて3回洗浄
した。またコントロールは、化合物(II)または化合物
(III)の代わりにTPBSを30μL/well添加した。
【0095】ここで、化合物(II)または化合物(II
I)を同時に添加しないときは、抗化合物(II)抗体
は、固相抗原への結合が何者にも阻害されない。しか
し、化合物(II)または化合物(III)を添加したとき
は、抗化合物(II)抗体がそれらに結合することによ
り、固相抗原への結合が阻害される。さらに、化合物
(II)または化合物(III)の濃度が増加するに従い、
固相抗原への結合がより阻害される。 よって、添加さ
れる濃度と阻害率より、その親和性の差を見積もること
ができる
【0096】阻害率を見積もるために、競合剤添加時と
無添加時の、固相抗原へ結合する抗化合物(II)抗体の
差を測定した。TPBSにて2000倍に希釈したペルオキシダ
ーゼ標識抗マウスIgG(コスモバイオ社製、ヤギ由来)
を2次抗体液として100μL/wellずつ各wellに分注し、
室温にて2時間インキュベートした。
【0097】インキュベート終了後、TPBSにて3回洗浄
した。下記に示す基質液を使用する直前に調製し、この
溶液を各wellに150μL添加し、室温で15分間インキュベ
ートし、反応させた。
【0098】基質液 50mLの50mmol/Lクエン酸ナト
リウムバッファーpH4.5に、オルトフェニレンジアミン
を20mgと、過酸化水素水(34.5%溶液、関東化学(株)
製)を7μL混合して調製した。
【0099】3mol/L硫酸を50μL添加し反応を停止さ
せた後、プレートリーダー (BioRad製)にて490nmの吸
光度を測定した。競合剤無添加時の値を100とし、各濃
度の競合剤添加時の値を相対値で示す。これを横軸に競
合剤添加濃度を対数として取り、縦軸にその相対値をプ
ロットすると図2の様になる。
【0100】本測定条件下において抗化合物(II)抗体
は、化合物(II)に対する特異性が、その構造類似体で
ある化合物(III)と比較して1000倍以上高い。よって
図2から、抗化合物(II)抗体の化合物(II)への結合
は、化合物(II)の構造類似体である化合物(III)の
共存下でも殆ど影響されない事が示された。
【0101】その他にも骨格を同じとする構造類似体
で、R1がエチル基、R3がグルクロン酸である構造類似体
(グルクロン酸抱合体)、またはR1がエチル基、R3がア
ミノペンタエノイックアシッド−ピペリジノカルボニル
オキシ基である構造類似体(APC)、さらにはR1〜R5ま
でが水素であるカンプトテシンの3者においても、全く
同様に測定した結果、その特異性は化合物(II)と比較
して、1000倍以上悪かった。よって抗化合物(II)抗体
の化合物(II)への結合は、それら3種類の構造類似体
の共存下でも殆ど影響されないと言える。
【0102】これらより、本発明により作製した免疫原
性コンジュゲートを用いて得られた抗体は、その骨格を
同じとする構造類似体に殆ど影響されることなく、目的
のカンプトテシン誘導体(この実施例では化合物(II)
を示す)を極めて特異的に認識することが示された。
【0103】実施例11 カンプトテシン誘導体濃度測定
キット 本発明における抗体を用いて、カンプトテシン誘導体濃
度測定キットを作製することができる。また、抗化合物
(II)抗体をラベル化、または化合物(II)をラベル化
し、それらを用いてもカンプトテシン誘導体濃度測定キ
ットを作製することができる。
【0104】競合法でのカンプトテシン誘導体濃度測定
キット作製に必要なものの組み合わせとして、「化合物
(II)―キャリアー複合体」と、「抗化合物(II)抗
体」または「ラベル化抗化合物(II)抗体」を用いる方
法、また「抗化合物(II)抗体」または「ラベル化抗化
合物(II)抗体」と、「ラベル化化合物(II)」を用い
る方法がある。以下に、そのカンプトテシン誘導体濃度
測定キットの作成法の例を示すが、この実施例では抗化
合物(II)抗体も、化合物(II)もラベル化することな
しに組み立てた例である。
【0105】化合物(II)―PAMAM4複合体を、148ng/m
Lの濃度で96穴のEIAプレート(Falcon製)に100μLずつ
添加し、37℃で一晩インキュベートしたものを固相抗原
とした。ブロッキング試薬として3%ゼラチンを含むPB
SpH7.4を用い、上記の溶液を吸引除去した後、200μL/
well分注し、室温にて2時間インキュベートしブロッキ
ングを行う。次にTPBSにて3回洗浄し、これで準備が完
了する。
【0106】まず、標準曲線を作製するために、目的の
標準物質(化合物(II))を、TPBSにて、0〜10ng/mL
の間で何種類かに溶解する。これをそれぞれの濃度で、
30μL/well添加し、その上に100ng/mLの抗化合物(I
I)抗体を30μL/well添加する。37℃で1時間インキュ
ベートし、抗化合物(II)抗体に対して、固相の抗原と
後から添加した標準濃度の抗原を競合させる。TPBSにて
3回洗浄し、TPBSにて2000倍に希釈したペルオキシダー
ゼ標識抗マウスIgG(コスモバイオ社製、ヤギ由来)を
2次抗体液として100μL/wellずつ各wellに分注し、室
温にて2時間インキュベートする。 インキュベート終
了後、TPBSにて3回洗浄する。
【0107】下記に示す基質液を使用する直前に調製
し、この溶液を各wellに150μL添加し、室温で15分間イ
ンキュベートし、反応させる。
【0108】基質液 50mLの50mmol/Lクエン酸ナト
リウムバッファーpH4.5に、オルトフェニレンジアミン
を20mgと、過酸化水素水(34.5%溶液、関東化学(株)
製)を7μL混合して調製する。
【0109】3mol/L硫酸を50μL添加し反応を停止さ
せた後、プレートリーダー (BioRad製)にて490nmの吸
光度を測定する。競合剤無添加時の値を100とした時
の、各濃度の競合剤添加時の値を相対値で示し、横軸に
競合剤添加濃度を対数として取り、縦軸にその相対値を
プロットすると標準曲線が作製できる。
【0110】サンプル中の化合物(II)濃度を測定する
ためには、ブロッキング終了後のプレートに、目的のサ
ンプルを30μL/wellと、100ng/mLの抗化合物(II)抗
体を30μL/well添加する。後は標準曲線作製時と同様
に操作を行い、490nmの吸光度を測定する。化合物(I
I)濃度が0ng/mLの時を100としたときのサンプルの相
対値から、標準曲線よりその濃度を見積もることができ
る。
【0111】実施例12 キット使用による測定 サンプルとして既知の濃度の溶液を準備し、これが実施
例11記載のキットで測定できる事を確認した。
【0112】PBS pH7.4に適当濃度の化合物(II)と、
その数百倍量またはそれ以上の化合物(III)を添加し
たものをサンプルとし、実施例11に従い測定を行った。
【0113】表2に結果を示す。尚、化合物(II)濃度
の測定値は、調製化合物(II)濃度とほぼ同様な値を取
った。
【0114】
【表2】
【0115】本発明により得られたキットにより、数百
倍量またはそれ以上もの構造類似体である化合物(II
I)をサンプル中に混在させたにもかかわらず、化合物
(II)を特異的に測定できた。
【発明の効果】本発明により、カンプトテシン誘導体を
特異的に認識する抗体とそれを作製するための方法が得
られた。更に、検査検体中のカンプトテシン誘導体を正
確にしかも簡便に測定でき、特に、化合物(III)など
の構造類似体の影響を受けずに、目的のカンプトテシン
誘導体を正確にそしてより簡単に測定する方法を提供す
ることができた。又、本発明の測定に利用できる特異的
な構造の免疫測定用の固相抗原又は標識抗原が得られ
た。そして、これらを用いることにより、簡便なカンプ
トテシン誘導体の測定キットを作製することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例9の検量線を示す図である。
【図2】実施例10の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/535 G01N 33/577 B 33/577 C07D 491/22 // C07D 491/22 C12P 21/08 C12P 21/08 C12N 5/00 B (72)発明者 中西 雄二 愛知県西春日井郡西春町大字九之坪西城屋 敷51 天野製薬株式会社中央研究所内 (72)発明者 沢田 誠吾 東京都港区東新橋1−1−19 株式会社ヤ クルト本社内 (72)発明者 三毛 明人 東京都港区東新橋1−1−19 株式会社ヤ クルト本社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 [式中、R1、R2、R3、R4、R5は、水素、水酸基、アミノ
    基、カルボキシル基、アルキル基、ニトロ基、ハロゲ
    ン、あるいはそれに類する基を示す。]で示される化合
    物、または該化合物の誘導体とキャリアとを結合してな
    ることを特徴とする、該化合物に特異的な抗体を得るた
    めの免疫原。
  2. 【請求項2】請求項1記載の免疫原を動物に免疫して得
    られるリンパ球と、腫瘍細胞とを細胞融合することによ
    って得られるハイブリドーマ株。
  3. 【請求項3】請求項2記載のハイブリドーマ株を培養し
    て得られる一般式(I)で示される化合物に特異的な抗
    体、またはその抗原認識部位を持つことを特徴とする抗
    体類似体。
  4. 【請求項4】一般式(I)で示される化合物の生体内で
    の代謝産物または生体内で修飾された化合物に交差反応
    性を示さず、一般式(I)で示される化合物を特異的に
    認識する請求項3記載の抗体、またはその抗原認識部位
    を持つ抗体類似体。
  5. 【請求項5】固相抗原に請求項1記載の一般式(I)で
    示される化合物結合キャリア又は一般式(I)で示され
    る化合物誘導体結合キャリアを用い、抗体の免疫反応が
    一般式(I)で示される化合物によって阻害されること
    を利用する、一般式(I)で示される化合物に特異的な
    抗体のスクリーニング方法。
  6. 【請求項6】請求項1記載の一般式(I)で示される化
    合物を固相に結合させた固相化抗原、または請求項1記
    載の一般式(I)で示される化合物結合キャリア、或い
    は一般式(I)で示される化合物誘導体結合キャリアを
    固相に結合させた固相化抗原。
  7. 【請求項7】一般式(I)で示される化合物またはその
    誘導体と、標識とを結合させた構造を有することを特徴
    とする一般式(I)で示される化合物の免疫測定用標識
    抗原。
  8. 【請求項8】請求項3記載の抗体またはその抗体類似
    体、あるいは標識化された該抗体またはその該抗体類似
    体と、請求項6に記載の固相化抗原を用いることを特徴
    とする一般式(I)で示される化合物の免疫測定方法。
  9. 【請求項9】請求項3記載の抗体またはその抗体類似
    体、あるいは標識化された該抗体またはその該抗体類似
    体と、請求項7に記載の標識化された抗原とを用いるこ
    とを特徴とする一般式(I)で示される化合物の免疫測
    定方法。
  10. 【請求項10】請求項3記載の抗体またはその抗体類似
    体、あるいは標識化された該抗体またはその該抗体類似
    体と、請求項6記載の固相抗原を含む、一般式(I)で
    示される化合物の免疫測定用試薬キット。
  11. 【請求項11】請求項3記載の抗体またはその抗体類似
    体、あるいは標識化された該抗体またはその該抗体類似
    体と、請求項7記載の標識抗原を含む、一般式(I)で
    示される化合物の免疫測定用試薬キット。
JP10146588A 1998-05-11 1998-05-11 抗原、抗体およびそれを用いる免疫学的測定方法 Pending JPH11318448A (ja)

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JP10146588A Pending JPH11318448A (ja) 1998-05-11 1998-05-11 抗原、抗体およびそれを用いる免疫学的測定方法

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020101039A1 (ja) * 2018-11-16 2020-05-22 国立大学法人東北大学 血中ケモカインを用いた免疫チェックポイント阻害薬の治療効果判定

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WO2020101039A1 (ja) * 2018-11-16 2020-05-22 国立大学法人東北大学 血中ケモカインを用いた免疫チェックポイント阻害薬の治療効果判定

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