JPH11316005A - ダイオキシン発生抑制剤およびその使用方法 - Google Patents

ダイオキシン発生抑制剤およびその使用方法

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JPH11316005A
JPH11316005A JP10123697A JP12369798A JPH11316005A JP H11316005 A JPH11316005 A JP H11316005A JP 10123697 A JP10123697 A JP 10123697A JP 12369798 A JP12369798 A JP 12369798A JP H11316005 A JPH11316005 A JP H11316005A
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dioxin
dioxin generation
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Nobuhide Maeda
信秀 前田
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MOCHISE DENKI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価に安定して大量に入手できるものであっ
て、さらに簡便な手法によりダイオキシン類の発生を抑
制することのできる技術を提供する。 【解決手段】 廃棄物の焼却の際のダイオキシン類の発
生を抑制し得るダイオキシン発生抑制剤であって、酸化
マグネシウムと炭酸カルシウムを主成分とする焼成ドロ
マイトおよびドロマイトよりなる群から選ばれてなる少
なくとも1種を含み、好ましくはさらに酸化マグネシウ
ムと酸化カルシウムを主成分とする焼成ドロマイトをも
含むことを特徴とするダイオキシン発生抑制剤と、かか
るダイオキシン発生抑制剤の存在下で、廃棄物を焼却な
いし加熱処理することを特徴とするダイオキシン発生抑
制剤の使用方法とがその技術である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物の焼却の際
に発生するダイオキシン類を抑制し得る新規なダイオキ
シン発生抑制剤およびその使用方法に関するものであ
る。より詳しくは、都市ごみなどの一般廃棄物や廃油、
廃プラスチック、汚泥などの工業廃材や農業用塩化ビニ
ル樹脂材、壁紙、建材、軟質レーザなどの農業・建築廃
材等の産業廃棄物の中に含まれている有機塩素化合物を
焼却処理する過程で発生していた有害なダイオキシン類
を極めて効率よくかつ効果的に抑制することのできるダ
イオキシン発生抑制剤およびその使用方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に環境汚染物質として注目されてい
るダイオキシンとは、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン
(PCDDs)のことで、置換している塩素分子の数と場所に
よって75種類の同族体(異性体を含む)がある。また通
常このPCDDs と一緒に生成し、同じ様な化学構造と性質
を持つポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)も135種類の
同族体を持つ化合物群である。最近はダイオキシン関連
物質として、いろいろな塩素化合物が論議の対象となっ
ているが、その評価は必ずしも確定したものではなく、
環境中で検出されるダイオキシン関連物も、一般に複雑
な同族体の混合物であることから、本明細書では、環境
汚染物質としてPCDDsとPCDFsの両者(同族体
を含む)をあわせてダイオキシン類とした。これらの化
合物は環境中で極めて安定で、生物に対する毒性の強い
ものが多く、人類にとって全く有用性に欠ける物質群で
あり、商業的な生産は行われていない。ダイオキシン類
の生成は、各種の化学物質、たとえば塩化フェノール等
の防腐剤などの製造の際に、微量ではあるが不純物とし
て副生し、製品中に混入して市場に出回ったり、生産工
場から環境へ直接排出物として放出されたりする例があ
る。また、産業廃棄物の埋め立て処理などの場合、不純
物としてのダイオキシンが浸水などで漏出して地下水等
を汚染する場合があるが、発生源として特に重要なの
は、発生量の大半を占める都市ごみの焼却のような熱化
学反応による生成である。すなわち、近代化学工業の発
展とともに有機塩素化合物の使用が世界的に増加し、こ
れらの物質が老朽化等により処分され都市ゴミなどの一
般廃棄物として廃棄もしくは産業廃棄物として分別廃棄
され、その焼却の際にダイオキシン類を生成することが
問題とされるようになった。特に、我が国は国土が狭
く、埋め立て処理をする場所が少ないこともあって、大
半の一般廃棄物が焼却処理されており(例えば、199
4年の調べでは、我が国の都市ごみ焼却炉の数は約2,
000に近く、焼却される廃棄物の量も年間3,700
万トンと他の国と比べてかなり多く、年々増加傾向にあ
る。)、ダイオキシン類の発生量の78〜88%が都市
固形廃棄物の焼却によるものであるとの報告がある。ま
た、廃油、廃プラスチック、汚泥などの焼却処理も広く
行われているが、これらも含めて、焼却処理はダイオキ
シン類発生源として最も重要なものである。この他に
も、医療関係の廃棄物はふつう医療施設に設けられた小
規模な焼却施設で焼却されるが、運転管理が十分に行わ
れているとはいえず、ダイオキシン類の生成量は都市固
形廃棄物と同じレベルであると考えられている。なお、
上記汚泥の焼却のうち、特にダイオキシン類の生成に関
与するものとして下水汚泥と製紙汚泥の焼却によっても
ダイオキシン類が発生する。また、ペンタクロロフェノ
ール(PCP)で処理した木材あるいは廃材などの焼却でも
ダイオキシン類が発生する。
【0003】次に、都市ごみの焼却のような熱化学反応
によるダイオキシン類の生成のメカニズムについてはい
ろいろな研究報告があるが、現在のところ、下記に示す
化学構造式(化1)を用いて表した「ごみ焼却などによ
る有機物からのダイオキシンの生成機構模式図」をにま
とめたように、有機物の分解によって生じた塩化フェノ
ールや塩化ベンゼンのような小分子の化合物が高温で縮
合して生成する、および焼却によって生じた灰の表面の
触媒作用下で、炭素骨格と塩素から合成される(de novo
合成)との考え方が一般的である。
【0004】
【化1】
【0005】上述したような廃棄物の焼却の際に発生す
るダイオキシン類の排出抑制のためには、焼却対象とな
る廃棄物を減量することがまず第一であるが、廃棄物焼
却施設のダイオキシン排出抑制には、燃焼管理を含めた
完全燃焼により炉(ボイラ)からの生成を極力抑制し、
さらに各種技術の組み合わせによる排ガス処理系で対応
を図ることが重要との観点から開発が進められている。
【0006】このうち、完全燃焼を達成するには、高い
燃焼ガス温度、充分なガスの滞留時間と炉内での充分な
ガス攪拌・二次空気との混合が必要であり、このための
炉体技術とファジィ制御を組み合わせた自動燃焼制御が
実用化されている。しかしながら、高い燃焼ガス温度を
保持する必要があるため、ランニングコストや維持管理
費等が高くなり、また焼却炉の内壁の劣化がはやくなる
ため、より高温耐熱性に優れた耐火材を用いる必要があ
り、さらに炉体技術とファジィ制御を組み合わせた自動
燃焼制御は、これらを要しない既存焼却炉ないし小規模
な焼却施設では容易に対応できず、改修費用が高くなる
問題があり、約2,000に近くある都市ごみ焼却炉そ
の他の焼却施設にこうした設備を設けることは実際上困
難である。
【0007】また、排ガス処理系では、処理温度の低温
化、ダスト除去性能の向上、吸着作用の利用が図られて
おり、バグフィルタの低温化、粉末活性炭の噴霧、活性
炭系吸着塔による除去、触媒(チタン・バナジウム系、
貴金属系)によるダイオキシン類の分解除去、さらに化
学抑制剤(トリエタノールアミン、過酸化水素水等)に
よる低減化技術が開発されている。しかしながら、バグ
フィルタの低温化、粉末活性炭の噴霧、活性炭系吸着塔
による除去方法は、ダイオキシン類の生成を抑制できる
ものではなく、活性炭は選択的にダイオキシン類を吸着
できるものではなく、ダイオキシン類以外の排気ガス中
の他の成分も吸着するため、その吸着寿命が短く、頻繁
に取り替える必要があり、また、回収したダイオキシン
類を吸着した活性炭を処分するには、別途分解し無害化
する処理施設が必要となる為、最終処理段階に至るまで
の工数が多くなり、またコスト高にもなる。また、触媒
(チタン・バナジウム系、貴金属系)によるダイオキシ
ン類の分解除去方法も、ダイオキシン類の生成を抑制で
きるものではなく、例えば、活性炭素繊維に数オングス
トロームの金(貴金属)や酸化鉄の粒子を均一に分散
(担持)した排ガスフィルターとする場合にダイオキシ
ン類を分解することができるとの報告があるが、金等の
貴金属触媒を使用するため必然的に高コスト化とならざ
るを得ず、ので、既存焼却炉ないし小規模な焼却施設で
は容易に対応できず、改修費用が高くなる問題があり、
約2,000に近くある都市ごみ焼却炉その他の焼却施
設にこうした設備を設けることは実際上困難であるほ
か、耐久性の見極めが今後の課題となっているなど実用
化に向けてクリアすべき課題もあり、実用化にはなお多
くの時間を要するものである。さらに化学抑制剤(トリ
エタノールアミン、過酸化水素水等)による低減化技術
では、ダイオキシン類の生成の低減化が達成されるにと
どまり、十分にその発生を抑制できるものではなく、ま
た、トリエタノールアミン、過酸化水素水等の化学抑制
剤も比較的高価であり、またこれらの取り扱いや保管に
は想到の注意を要するため、こうした化学物質に対する
十分な知識を有するものが当たらねばならず、約2,0
00に近くある都市ごみ焼却炉その他の小規模な焼却施
設を含む焼却施設にこうした設備や専門家を配備して対
応することは実際上困難であるほか、国内で年間に焼却
される廃棄物量3,700万トンの処理に必要な化学抑
制剤を供給することも実際上困難なものである。
【0008】一方、一般的に白雲石(ドロマイト;カル
シウムとマグネシウムの複合炭酸塩CaMg(CO3
2 またはこれを主成分とする岩石)は、採鉱作業後粉砕
工程などを経て農業などの土壌改良剤(苦土石灰肥料)
として使用されているほか、これをカ焼してドロマイト
プラスターとされたり、板硝子の原料、ドロマイトクリ
ンカーとして製鋼炉の内張り、炉床スタンプ等に利用さ
れているのが現状である。なお、ドロマイト鉱石や焼成
ドロマイトは、国内外で安価に産出し、また加工されて
おり、充分な供給能力を持つものであると言える。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、安価に安定して大量に入手できるものであって、さ
らに簡便な手法によりダイオキシン類の発生を抑制する
ことのできる技術を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく、ダイオキシン類の発生を抑制することので
きる技術に関し、鋭意検討した結果、ドロマイトおよび
焼成ドロマイトの一部がダイオキシン類の発生を抑制す
るのに有用であることを見出し、本発明を完成するに至
ったものである。
【0011】すなわち、本発明の目的は、(1) 廃棄
物の焼却により発生するダイオキシン類を抑制し得るダ
イオキシン発生抑制剤であって、酸化マグネシウムと炭
酸カルシウムを主成分とする焼成ドロマイトおよびドロ
マイトよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種を含
むことを特徴とするダイオキシン発生抑制剤により達成
することができる。
【0012】また、本発明の目的は、(2) 上記
(1)に記載のダイオキシン発生抑制剤が、さらに酸化
マグネシウムと酸化カルシウムを主成分とする焼成ドロ
マイトを含むことを特徴とするダイオキシン発生抑制剤
によっても達成することができる。
【0013】また、本発明の目的は、(3) 上記
(1)または(2)に記載のダイオキシン発生抑制剤の
存在下で、廃棄物を焼却ないし加熱処理することを特徴
とするダイオキシン発生抑制剤の使用方法によっても達
成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のダイオキシン発生抑制剤
は、廃棄物の焼却により発生するダイオキシン類を抑制
し得るダイオキシン発生抑制剤であって、酸化マグネシ
ウムと炭酸カルシウムを主成分とする焼成ドロマイトお
よびドロマイトよりなる群から選ばれてなる少なくとも
1種を含むことを特徴とするものであり、好ましくは、
さらに酸化マグネシウムと酸化カルシウムを主成分とす
る焼成ドロマイトを含むものである。ここで、ドロマイ
トとは、別名、白雲石または苦灰石と呼ばれる、カルシ
ウムとマグネシウムの複合炭酸塩CaMg(CO3 2
またはこれを主成分とする岩石をいう。また、このドロ
マイトを加熱すると700〜800℃でMgCO3 分が
分解してCO2 を放出し、炭酸カルシウム(CaC
3 )と酸化マグネシウム(MgO)の焼成物(以下、
単に焼成ドロマイトAともいう)となり、さらに900
〜950℃でCaCO3 が分解してCO2 を放出し、酸
化カルシウム(CaO)と酸化マグネシウム(MgO)
の焼成物(以下、単に焼成ドロマイトBともいう)とな
る特性を有している。よって、酸化マグネシウムと炭酸
カルシウムを主成分とする焼成ドロマイトとは、上記に
いう焼成ドロマイトAを指し、酸化マグネシウムと酸化
カルシウムを主成分とする焼成ドロマイトとは、上記に
いう焼成ドロマイトBを指す。
【0015】まず、本発明のダイオキシン発生抑制剤の
必須成分であるドロマイトと焼成ドロマイトAは、いず
れか一方を単独で使用しても良いほか、これらを併用す
ることもできる。併用する場合の配合比率に関しては、
何ら制限されるものではなく、任意の配合比率で用いる
ことができる。
【0016】また、ドロマイトおよび焼成ドロマイトA
の粒度に関しては、特に制限されるものではなく、使用
に適した大きさを適宜選択することが望ましい。例え
ば、一般廃棄物用の焼却炉に適用する場合を例にとれ
ば、該ダイオキシン発生抑制剤を上部より直接焼却部に
加える場合には、所定サイズを有していることが望まし
く、具体的には、5〜30mm程度の破砕物が適してい
る。これは、より微粉化した場合には、燃焼炉内の対流
現象により舞い上げられ、有効にその機能を発現するこ
となく炉内の集塵器に捕集されたり、排気フィルター等
の目詰まりを生じさせる虞れがあるためである。一方、
より大きな破砕物を用いる場合には、焼却処理時にすば
やく細粒化し分散(拡散)することができにくいからで
ある。なお、ここでいう細粒化とは、ドロマイトおよび
焼成ドロマイトは、水を吸収することにより膨潤し簡単
に崩壊し細粒化していく特性を有しており、廃棄物に含
まれる水分や焼却処理中に添加される水により微細化し
ていくことをいう。なお、一般的には、ダイオキシン類
の発生抑制の効率化の観点からは粒度はより小さい方が
好ましく、具体的には30〜50μm程度の粉末状にす
ることが望ましい。すなわち、粉末状にすることによ
り、均一に分散化させることができ、かつ表面積を大き
くすることができるので、焼却処理中に炉内で生じた塩
化フェノールや塩化ベンゼンのような小分子の化合物、
炭素骨格を持つ化合物、塩素分の化合物や塩素系ガスな
どとの接触面積(頻度)を増やすことができるためであ
る。そのためには粉末状のドロマイトおよび焼成ドロマ
イトを含むダイオキシン発生抑制剤をあらかじめ廃棄物
に加えて混合したり、水と一緒に添加するのがより望ま
しいといえる。
【0017】なお、本発明のダイオキシン発生抑制剤の
作用(反応ないし触媒)機序、すなわちダイオキシンの
発生抑制メカニズムに関しては、ドロマイトが有する特
性が焼成することによって異なった特性を有する(すな
わち、ドロマイトと焼成ドロマイトの特性として下記表
1に示す表面積、pH、放射率、抗菌率、脱臭率、活性
率、分解率、比誘電率の値からも明らかなように著しく
変わる。)ことから、それぞれがダイオキシンの発生抑
制にどのように関与しているのかは明らかではないが、
後述する実施例において有害なダイオキシン類の発生が
認められなかったことのほかに、該ダイオキシン類の合
成に不可欠な塩素分(塩素系ガス)の排出も認められな
かったことから、本発明者は、少なくとも塩素分に対す
る作用(反応ないし触媒)機序が存在するものとみてお
り、ドロマイトや焼成ドロマイトAの組成中の炭酸基が
何らかのかたちで関与していると考える。ただし、これ
らはあくまで推察の域をでず、例えば、後述する実施例
4及び比較例4からも分かるように、産業廃棄物中に本
発明のダイオキシン発生抑制剤とは別にかなりの量の炭
酸カルシウムがもとから含有されている廃棄物を、従来
と同様に焼却処理しただけでは、ダイオキシン類および
塩素分の排出を抑制することができない反面、本発明の
ダイオキシン発生抑制剤を加えた場合には、ダイオキシ
ン類および塩素分の発生(排出)が抑制されていたこと
からみて、ただ単に炭酸カルシウムが存在するだけでは
本発明の特有な効果が得られないことからみても、その
メカニズムはより複雑かつ複合的な機構となっていると
も考えられることから、本発明のダイオキシン発生抑制
剤の作用(反応ないし触媒)機序の解明は、今後のより
詳細な研究成果を待たねばならないと云える。
【0018】
【表1】
【0019】なお、ドロマイトおよび焼成ドロマイトA
の製造方法としては、特に制限されるものではなく、ド
ロマイトに関しては、例えば、鉱山より採鉱作業後、粉
砕し、選別(ふるい分け)により所望の粒度のドロマイ
トを得ることができる。また、焼成ドロマイトAに関し
ては、例えば、鉱山より採鉱作業後、所定サイズ(50
ミクロン以下)に粉砕したドロマイトを炉で700〜8
00℃に加熱して焼成した後、選別(ふるい分け)によ
り所望の粒度の焼成ドロマイトAを得ることができる。
【0020】次に、本発明のダイオキシン発生抑制剤の
任意成分である焼成ドロマイトBは、ダイオキシン発生
抑制効果以外に、上記表1に示すようにドロマイトや焼
成ドロマイトAに比して優れた抗菌、脱臭性能を有して
いることから、焼却後のアッシュ(灰分)を処分した場
合に抗菌、脱臭効果の発現により異臭問題などの環境問
題を引き起こすことがない。また、該アッシュ(灰分)
を回収し再利用(リサイクル)するような場合(例え
ば、焼き固めて歩道などの舗装タイル材などとするよう
な場合)に、リサイクル製品に対しても優れた抗菌性や
脱臭性を付与することができるものである。
【0021】ダイオキシン発生抑制剤中の焼成ドロマイ
トBの配合比率は、特に制限されるものではなく、使用
用途に応じて適宜決定すればよい。
【0022】また、焼成ドロマイトBの粒度に関して
も、特に制限されるものではなく、使用に適した大きさ
を適宜選択することが望ましく、さらにダイオキシン発
生抑制剤全体としてほぼ同じ粒度に揃えることがその取
り扱いなどにも便利であり望ましいといえる。
【0023】焼成ドロマイトBの製造方法としては、特
に制限されるものではなく、例えば、鉱山より採鉱作業
後、所定サイズ(50ミクロン以下)に粉砕したドロマ
イトを炉で900〜950℃に加熱して焼成した後、選
別(ふるい分け)により所望の粒度の焼成ドロマイトB
を得ることができる。
【0024】さらに本発明のダイオキシン発生抑制剤に
は、他の任意成分として、亜鉛、チタン等の活性剤等を
添加してもよい。なお、添加量としては、所望の効果を
発現できる量であればよい。
【0025】また、本発明のダイオキシン発生抑制剤が
適用できる廃棄物としては、通常の都市ゴミなどの一般
廃棄物、廃軟質レザー、廃紙壁、PCP等の有機塩素化
合物を含有する建材や木材等の建築廃材、廃農業用の硬
質ないし軟質の塩化ビニル樹脂材等の農業廃材、ポリ塩
化ビフェニル(PCB)などの有機塩素化合物を含有す
る汚染土壌や廃プラスチック等の固形廃棄物やPCBな
どの有機塩素化合物を含有する廃油や下水汚泥と製紙汚
泥等の汚泥などの液状廃棄物などの工業廃材、さらには
医療関係の廃棄物などを含めた産業廃棄物など、ダイオ
キシン類を発生する有機塩素化合物を含有する廃棄物す
べてがその対象となる。なお、有機塩素化合物として
は、例えば、ポリ塩化ビニルを例にとれば、下記表2に
示す用途に用いられその後都市廃棄物中に混入されるも
のや、産業廃棄物として別途回収されたもの全てがその
対象となる。
【0026】
【表2】
【0027】次に、本発明のダイオキシン発生抑制剤の
使用方法は、上記ダイオキシン発生抑制剤の存在下で、
廃棄物を焼却ないし加熱処理することを特徴とするもの
である。すなわち、本発明のダイオキシン発生抑制剤の
使用方法としては、廃棄物を焼却する際の熱化学反応に
より発生するダイオキシン類を抑制することができるよ
うに、焼却ないし加熱処理時にダイオキシン発生抑制剤
が存在するようにしておけばよく、あらかじめダイオキ
シン発生抑制剤を廃棄物中に加えた後に焼却ないし加熱
処理してもよいし、あるいは廃棄物を焼却ないし加熱処
理する際にダイオキシン発生抑制剤を適量ずつ適宜加え
ていってもよいし、双方を組み合わせて行ってもよい。
ここで、焼却ないし加熱処理としたのは、従来より焼却
処理されている有機塩素化合物を含有する廃棄物のう
ち、PCB等の有機塩素化合物を含有の廃油等の液状廃
棄物においては、当該廃棄物に適合する焼却炉によって
焼却処理する以外に、本発明のダイオキシン発生抑制剤
の存在下で低温加熱処理することによっても、PCB等
の有機塩素化合物を分解し無害化できることを新たに見
出したことによる。すなわち、低温(例えば、50〜6
0℃程度)での加熱処理により有害なダイオキシン類の
合成に不可欠な塩素分を分解し除去できる。また、低温
加熱処理された処理油に関しては、その後、再利用可能
は場合には精製してリサイクル製品とすることができ、
また再利用できない場合であっても、ダイオキシン対策
をとることなく焼却処理することができる。ただし、極
微量のPCB等の有機塩素化合物が残っていることがあ
りうるため、焼却処理時にも本発明法を更に適用するこ
とがより望ましい態様である。
【0028】次に、ダイオキシン類の発生抑制するに必
要なダイオキシン発生抑制剤の量は、該ダイオキシン類
の発生抑制メカニズムが全て解明されておらず明確に規
定することはできないが、後述する実施例の結果から明
らかなようにダイオキシン発生抑制剤では有害なダイオ
キシン類の合成に不可欠な塩素分の分解除去能を有して
いることから、かかる塩素分を全て除去できればダイオ
キシン類の発生を抑制できるとの観点から、以下に示す
理論計算からその必要量を算出することができる。すな
わち、廃棄物中の有機塩素化合物(計算には分子内の塩
素含有比率の大きな塩化ビニル樹脂を用いた)から発生
する塩素分(塩化水素)をダイオキシン発生抑制剤で水
と二酸化炭素と塩化物に分解(中和)するものとして以
下のように算出した。
【0029】1.塩化ビニル1モル(62g)から熱分
解によってHCl1モル(36g)が発生する。塩化ビ
ニル100gからはHClが58g発生することにな
る。
【0030】CH2 CHCl→(C2 2 )+HCl 2.CaCO3 あるいはMgCO3 1モルでHCl2モ
ルを中和する。
【0031】 2HCl+CaCO3 →CaCl2 +H2 O+CO2 2HCl+MgCO3 →MgCl2 +H2 O+CO2 3.焼成ドロマイトB中のCaO、MgOの存在比は以
下の通りである。
【0032】 上記モル比はCaO、MgOの分子量より求めている。
この比がそのまま白雲石(ドロマイト)中のCaCO3
とMgCO3 のモル比になるとする。
【0033】4.上記3.の前提から、CaCO3 1.
18モルで、HCl2.36モルが処理される。同様に
MgCO3 0.85モルで、HCl1.7モルが処理さ
れる。
【0034】5.塩化ビニル100gから発生する塩化
水素58g(1.61モル)を単独で処理する場合、C
aCO3 、MgCO3 はいずれも0.805モル必要に
なるが、上記3.に示した存在比1.18/0.85に
分配すると0.47/0.34の比率になる。CaCO
3 の分子量100、MgCO3 の分子量84をそれぞれ
掛けると各々の重量がでる。すなわち、 CaCO3 :0.47×100g=47g MgCO3 :0.34×84g=29g 合計76g よって、塩化ビニル樹脂100gを処理するには、ドロ
マイトが76g必要になる。
【0035】従って、都市ゴミのような一般廃棄物10
0トン当たり、通常、平均して5トン程度の有機塩素化
合物が混入されていることから、これを焼却した場合
に、ダイオキシンの発生を抑制し無害化するのに必要と
されるダイオキシン発生抑制剤は、およそ3.8トンで
ある。ただし、これは全量ドロマイトとした場合であっ
て、焼成ドロマイトA、B、その他の成分を含む場合
は、上記と同様の計算により必要となる全体量を決定す
ればよい。この際、塩素化合物の混入率や該塩素化合物
の種類等によりその必要量が異なるほか、上記理論計算
は塩素分除去機能のみで計算しており他の発生抑制機能
は全く考慮していないので、好ましくは上記理論計算か
ら導き出された必要量をもとにして、事前に小規模実験
を行い、その必要量を決定することがより望ましいとい
える。
【0036】また、ダイオキシン発生抑制剤の供給(使
用)のしかたとしては、その使用用途に応じて適宜選択
されるものであり、焼却炉のタイプに応じて最適な方法
を採用すればよい。図1に、水蒸気の形で熱回収する最
近の都市廃棄物焼却炉として代表的な移動格子焼却炉の
1つである水壁型燃焼炉の概略図を示す。図1に示す燃
焼炉は、3つの主要な部分から構成されており、入口部
(丸数字の1〜4)は、燃焼部(丸数字の5〜9)に原
料を供給し、処理部(丸数字の10〜13)は固体と気
体状での焼却炉排出物を処理するものである。尚、図中
の曲がりくねった矢印(ないし実線)は、廃棄物が入口
部から燃焼部にいき、そこで固体と気体状排出物に分か
れて処理部に至る流れを表したものである。この格子炉
では、一般に、炉へ供給される廃棄物は、最初に乾燥さ
れ、高温の燃焼ガスと耐火物の上張り炉面からの放射熱
とによって予熱される。廃棄物をさらに加熱して熱分解
し着火すると、熱分解によって生成する気体と残留固体
が同時に燃焼する。空気ジェットは上だき空気空間内の
混合や燃焼を促進・助長する。また、格子は、廃棄物を
支持し、開放口から下だき用空気を下方から送入し、廃
棄物の灰分を原料の落し樋から熱さましへ移動させると
ともに、送入された廃棄物を格子表面へ移動させるため
層を撹拌するものである。従って、例えば、図1に示す
ような水蒸気の形で熱回収する最近の都市廃棄物焼却炉
として代表的な移動格子焼却炉の1つである水壁型燃焼
炉の場合、開放置き場(丸数字1)の投入口より廃棄物
を廃棄物落し穴(丸数字2)に落とすときに、それに見
合うダイオキシン発生抑制剤を焼却炉に併設(外設、内
設を問わない)した貯蔵部等より均一に混ざるように供
給してもよいし、貯蔵部よりダイオキシン発生抑制剤を
振動供給器(丸数字4)内に供給して該振動供給器(丸
数字4)内に充填用クレーン(丸数字3)で運ばれてく
る廃棄物と共に混合できるようにしても良いし、さらに
貯蔵部よりダイオキシン発生抑制剤を燃焼部の1つであ
る乾燥格子(丸数字5)、さらには燃焼格子(丸数字
6)のエリアの乾燥廃棄物または燃焼中の廃棄物に散布
等により供給できるようにしても良い。また、廃軟質レ
ザー、廃紙壁等の建築廃材や廃農業用ビニル(硬、軟)
等の農業廃材などの産業廃棄物の焼却の場合には、産業
廃棄物焼却炉として、移動格子系の焼却炉を用いて行う
ことができ、都市廃棄物焼却炉と同じようにしてダイオ
キシン発生抑制剤を供給することができる。さらに、ポ
リ塩化ビフェニル(PCB)等の有機塩素化合物を含有
する汚染土壌などの固形廃棄物やPCB等の有機塩素化
合物を含有する廃油や汚泥(下水汚泥や製紙汚泥)など
の液状廃棄物は、回転炉、多段火床炉、流動層焼却炉な
どを用いて処理すればよく、あらかじめこれらの廃棄物
に加えて使用するのがよい。この場合は、微粉末のもの
を用いることが望ましい。
【0037】更に、ポリ塩化ビフェニル(PCB)等の
有機塩素化合物を含有する汚染土壌などの固形廃棄物で
は、本発明のダイオキシン発生抑制剤の使用方法におい
て、さらにアルカリ触媒若しくは炭素系触媒の存在下で
焼却処理することが望ましい。アルカリ触媒若しくは炭
素系触媒の存在下で行うことで、従来の焼却温度(10
00℃程度)に比べて低温(300〜350℃)で処理
することにより、目的とするダイオキシン類の発生を抑
制し、かつ土壌から有害なポリ塩化ビフェニル(PC
B)等の有機塩素化合物を除去して無害化された処理土
壌に再生することができるものである。この場合にも、
産業廃棄物焼却炉として、移動格子系の焼却炉を用いて
行うことができ、都市廃棄物焼却炉と同じようにしてダ
イオキシン発生抑制剤を供給することができるが、好ま
しくは、回転炉、多段火床炉、流動層焼却炉などを用い
て処理すればよく、あらかじめこれらの廃棄物に加えて
使用するのがよい。この場合は、微粉末のものを用いる
ことが望ましい。本発明に用いることのできるアルカリ
触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化リチウムなどのが挙げられ、炭素系触媒と
しては、例えば、活性炭を用いることができる。こうし
た触媒の使用量としては、固形廃棄物中の有機塩素化合
物に対して3〜10重量%の範囲であれば、所望の効果
を発現することができる。
【0038】さらに、PCB等の有機塩素化合物を含有
する廃油や汚泥(下水汚泥や製紙汚泥)などの液状廃棄
物は、回転炉、多段火床炉、流動層焼却炉などを用いて
処理する際に本発明の使用方法を適用することができる
以外に、反応槽のような低温加熱処理装置を用いて加熱
処理する際に本発明の使用方法を適用することができる
ことは上述したとおりである。この場合にも、反応槽な
どの液槽内に液状廃棄物とダイオキシン発生抑制剤を加
えて撹拌するなどして均一に分散しておくことが望まし
い。この場合は、微粉末のものを用いることが望まし
い。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
る。
【0040】ダイオキシン類の発生を抑制するとした本
発明のダイオキシン発生抑制剤の特性を有効に利用する
目的から、本発明のダイオキシン発生抑制剤を用いてそ
の成果を確認した。各実施例で用いたダイオキシン発生
抑制剤の組成は下記表3のとおりである。
【0041】
【表3】
【0042】上記表3に示す各ダイオキシン発生抑制剤
は、上記した理論計算法に基づいて、塩素分(塩化水
素)を分解(中和)する炭酸基を有するドロマイト及び
焼成ドロマイトAの量を充分考慮して、各組成成分を混
合して組成の異なるダイオキシン発生抑制剤A、B、C
をそれぞれ作製した。なお、これらダイオキシン発生抑
制剤A、B、Cの特性を下記表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】上記表4に示す特性を有するダイオキシン
発生抑制剤A、B、Cを用いてダイオキシン類の発生抑
制効果を確認した。
【0045】実施例1 都市固形廃棄物100重量部に対して、あらかじめ粒
度5〜30mmのダイオキシン発生抑制剤A7.5重量
部加え混合したサンプル1、粒度5〜30mmのダイ
オキシン発生抑制剤B7.5重量部加え混合したサンプ
ル2および粒度5〜30mmのダイオキシン発生抑制
剤C7.5重量部加え混合したサンプル3を作った。各
サンプル毎に都市廃棄物焼成炉に投入し、300〜40
0℃で焼却処理を行い、燃焼開始時から適当な間隔毎に
排気ガスを収集して、排気ガス中のダイオキシン類(P
CDDsとPCDFs)および塩素分の濃度を測定し
た。各サンプル1〜3の全ての排気ガスからはダイオキ
シン類および塩素分のいずれも検出されなかった。
【0046】比較例1 都市固形廃棄物を都市廃棄物焼成炉に投入し、500〜
750℃で焼却処理を行い、燃焼開始時から適当な間隔
毎に排気ガスを収集して排気ガス中のダイオキシン類
(PCDDsとPCDFs)および塩素分の濃度を測定
した。収集した排気ガス(調査数5)からはダイオキシ
ン類が平均50ng-TEQ/m3 N、塩素分が平均8
0ppmの濃度で検出された。
【0047】実施例2 ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含有する汚染土壌10
0重量部(汚染度は、土壌1kgあたりPBC5g含
有)に対して、あらかじめ平均粒度50μmのダイオ
キシン発生抑制剤A10重量部加え混合したサンプル
1、平均粒度50μmのダイオキシン発生抑制剤B1
0重量部加え混合したサンプル2および平均粒度50
μmのダイオキシン発生抑制剤C10重量部加え混合し
たサンプル3を作った。各サンプルごとに産業廃棄物焼
成炉に投入し、350〜400℃で焼却処理を行い、燃
焼開始時から適当な間隔毎に排気ガスを収集して、排気
ガス中のダイオキシン類(PCDDsとPCDFs)お
よび塩素分の濃度を測定した。各サンプル1〜3の全て
の排気ガスからはダイオキシン類および塩素分のいずれ
も検出されなかった。さらに各サンプル1〜3の焼却後
の土壌中のPCB濃度を測定した。各サンプルの焼却土
壌中のPCB濃度は、検出限界である1%未満であり、
検出可能な範囲内ではPCBは検出されなかった(除去
率99%以上)。
【0048】比較例2 ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含有する汚染土壌(汚
染度は、土壌1kgあたりPBC5g含有)を産業廃棄
物焼成炉に投入し、1000℃で焼却処理を行い、燃焼
開始時から適当な間隔毎に排気ガスを収集して、排気ガ
ス中のダイオキシン類(PCDDsとPCDFs)およ
び塩素分の濃度を測定した。収集した排気ガス(調査数
3)からはダイオキシン類が平均45ng-TEQ/m
3 N、塩素分が平均75ppmの濃度で検出された。さ
らに焼却後の土壌中のPCB濃度を測定した。焼却土壌
中のPCB濃度は、検出限界である1%未満であり、検
出可能な範囲内ではPCBは検出されなかった(除去率
99%以上)。
【0049】実施例3 ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含有する汚染油100
l(汚染度=油100リットルあたりPBC500pp
m含有)に対して、あらかじめ平均粒度30μmのダ
イオキシン発生抑制剤A10g添加し撹拌混合したサン
プル1、平均粒度30μmのダイオキシン発生抑制剤
B10g添加し撹拌混合したサンプル2および平均粒
度30μmのダイオキシン発生抑制剤C10g添加し撹
拌混合したサンプル3を作った。各サンプルごとに反応
槽に投入し、50〜75℃で加熱処理を行い、加熱開始
時から適当な間隔毎に排気ガスを収集して、排気ガス中
のダイオキシン類(PCDDsとPCDFs)および塩
素分の濃度を測定した。各サンプル1〜3の全ての排気
ガスからはダイオキシン類および塩素分のいずれも検出
されなかった。さらに各サンプル1〜3の加熱処理後の
処理油中のPCB濃度を測定した。いずれのサンプルの
処理油からも検出限界である0.002ppm以上のP
CBは検出されなかった(PCB残留濃度0〜0.00
2ppm)。
【0050】比較例3 ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含有する汚染油1l
(汚染度=油1リットルあたりPBC500ppm含
有)を産業廃棄物焼成炉に投入し、600℃で焼却処理
を行い、焼却開始時から適当な間隔毎に排気ガスを収集
して、排気ガス中のダイオキシン類(PCDDsとPC
DFs)および塩素分の濃度を測定した。収集した排気
ガス(調査数2)からはダイオキシン類が平均50ng
-TEQ/m3N、塩素分が平均78ppmの濃度で検出
された。
【0051】実施例4 下記表5に示す配分の産業廃棄物100重量部に対し
て、あらかじめ粒度5〜30mmのダイオキシン発生
抑制剤A10重量部加え混合したサンプル1、粒度5
〜30mmのダイオキシン発生抑制剤B10重量部加え
混合したサンプル2および粒度5〜30mmのダイオ
キシン発生抑制剤C10重量部加え混合したサンプル3
を作った。各サンプル毎に産業廃棄物焼成炉に投入し、
350〜430℃で焼却処理を行い、焼却開始時から適
当な間隔毎に排気ガスを収集して、排気ガス中のダイオ
キシン類(PCDDsとPCDFs)および塩素分の濃
度を測定した。各サンプル1〜3の全ての排気ガスから
はダイオキシン類および塩素分のいずれも検出されなか
った。
【0052】
【表5】
【0053】比較例4 上記表5に示す配分の産業廃棄物を産業廃棄物焼成炉に
投入し、まず熱分解部にて450℃で加熱処理を行い、
続いて燃焼部にて1000℃で焼却処理を行い、加熱開
始時から適当な間隔毎に排気ガスを収集して、排気ガス
中のダイオキシン類(PCDDsとPCDFs)および
塩素分の濃度を測定した。収集した排気ガス(調査数
3)からはダイオキシン類が平均45ng-TEQ/m
3 N、塩素分が平均75ppmの濃度で検出された。
【0054】
【発明の効果】請求項1に記載のダイオキシン発生抑制
剤では、優れたダイオキシン類の発生抑制効果を奏する
ことはもとより、さらに、ドロマイトおよび/または焼
成ドロマイトAを含むものであればよいため、国内外の
鉱山より極めて安価に安定して大量に入手できるもので
あって、特別な加工を加えることなく簡単に製品化でき
るため、極めて経済性に優れている。また、上記実施例
の結果から明らかなように、ダイオキシン類の発生抑制
以外にも、塩素分の発生抑制効果をも十分に発現するこ
とができることから、既存の塩素分除去フィルターを用
いなくともよい。また、化学工場などの塩素除去装置な
どへの利用も可能であり、その利用用途は、ダイオキシ
ン類の発生抑制に限られず、より幅広い分野に適用でき
うるものである。さらに、上記実施例の結果から明らか
なように、本発明のダイオキシン発生抑制剤を用いない
従来の焼却処理に比べて、より低い燃焼温度にて焼却処
理しても十分にその効果を発揮することができるため、
ランニングコストや炉内耐火材の劣化を抑えることもで
きるとする利点もある。
【0055】請求項2に記載のダイオキシン発生抑制剤
では、上記に述べた請求項1に記載の発明に特有の作用
効果を奏するほかに、さらに焼成ドロマイトBを含むた
め、焼却後の灰分に優れた抗菌、脱臭効果を発現させる
ことができるため、埋め立て処理する場合でも当該効果
により周辺環境に与える悪臭などの悪影響を抑えること
ができ、また再利用に供する場合でも抗菌、脱臭効果を
発揮できるため、他のリサイクル樹脂材と一緒に焼き固
めて一般歩道などに敷き詰める舗装タイル材などへの利
用も図れる。
【0056】請求項3に記載のダイオキシン発生抑制剤
の使用方法では、廃棄物を焼却ないし加熱処理する際に
請求項1または2に記載のダイオキシン発生抑制剤を存
在させるだけでよいため、極めて簡便な手法により廃棄
物の焼却の際のダイオキシン類の発生を抑制できるもの
であり、わが国にある2000近い都市廃棄物焼却炉全
てに特に改良を加えなくとも直ちに対応できるため、そ
の対応が急がれる3,700万トンにも及ぶ国内で年間
に焼却される都市廃棄物から排出されるダイオキシン類
の環境汚染問題(ひいては環境汚染により引き起こされ
る自体暴露や人体汚染の進行)を一気に解決することの
できる画期的なものである。さらに、本発明の使用方法
は、PCB等の有機塩素化合物を含有する汚染土壌等の
固形廃棄物や廃油等の液状廃棄物、廃プラスチック、下
水汚泥と製紙汚泥などの汚泥、ペンタクロロフェノール
(PCP)で処理した木材あるいは廃材などの産業廃棄物を
含む各種廃棄物の焼却処理にも広く適用できるほか、医
療関係の廃棄物等のように医療施設に設けられた小規模
な焼却施設で焼却される際にも十分適用できるものであ
り、その際の運転管理がたとえ十分でなく低い燃焼温度
による焼却であっても、その効果を遺憾なく発揮できる
極めて有効なものといえる。また、本発明の使用方法で
は、ダイオキシン発生抑制剤を存在させることで、焼却
処理することなく低温加熱処理することができるため、
ダイオキシン類を合成するための熱化学反応に必要な高
温域まで加熱することなく廃棄物中に含有されている有
害な汚染物質を除去することができるため、極めて有利
なものである。本発明の使用方法では、さらに、必要に
応じてアルカリ触媒等を加えることでも、低温加熱処理
することができ廃棄物中に含有されている有害な汚染物
質を除去することができるため、極めて有利なものであ
る。また、各種焼却炉から発生する灰分には多量の微生
物が生息している(具体的には、平均値で7.5〜8.
0×106 個/g)。しかしながら、本発明のダイオキ
シン発生抑制剤の使用方法で使用する該ダイオキシン発
生抑制剤は、抗菌力を有しているもで、微生物は生息で
きないとする、利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 水蒸気の形で熱回収する最近の都市廃棄物焼
却炉として代表的な移動格子焼却炉の1つである水壁型
燃焼炉の概略図を示す。燃焼炉は、3つの主要な部分か
ら構成されており、入口部(丸数字の1〜4)は、燃焼
部(丸数字の5〜9)に原料を供給し、処理部(丸数字
の10〜13)は固体と気体状での焼却炉排出物を処理
するものである。尚、図中の曲がりくねった矢印(ない
し実線)は、廃棄物が入口部から燃焼部にいき、そこで
固体と気体状排出物に分かれて処理部に至る流れを表し
たものである。
【付号の説明】
以下に示す付号(数字)は、図中では、全て丸数字にて
示しているものである。 1…開放置場、 2…廃棄物落し穴、3
…充填用クレーン、 4…振動供給器、5…乾
燥格子、 6…燃焼格子、7…移動格
子、 8…燃え切り格子、9…ボイラー
部分、 10…焼却灰溝、11…焼却灰径路、
12…電気集塵器、13…煙突。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 信秀 東京都練馬区下石神井3−14−11

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃棄物の焼却の際のダイオキシン類の発
    生を抑制し得るダイオキシン発生抑制剤であって、 酸化マグネシウムと炭酸カルシウムを主成分とする焼成
    ドロマイトおよびドロマイトよりなる群から選ばれてな
    る少なくとも1種を含むことを特徴とするダイオキシン
    発生抑制剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のダイオキシン発生抑制
    剤が、さらに酸化マグネシウムと酸化カルシウムを主成
    分とする焼成ドロマイトを含むことを特徴とするダイオ
    キシン発生抑制剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のダイオキシン
    発生抑制剤の存在下で、廃棄物を焼却ないし加熱処理す
    ることを特徴とするダイオキシン発生抑制剤の使用方
    法。
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