JP2000239647A - ダイオキシン発生抑制材及びその製造方法、並びにこれを用いてなるダイオキシンの発生の抑制方法 - Google Patents

ダイオキシン発生抑制材及びその製造方法、並びにこれを用いてなるダイオキシンの発生の抑制方法

Info

Publication number
JP2000239647A
JP2000239647A JP11038900A JP3890099A JP2000239647A JP 2000239647 A JP2000239647 A JP 2000239647A JP 11038900 A JP11038900 A JP 11038900A JP 3890099 A JP3890099 A JP 3890099A JP 2000239647 A JP2000239647 A JP 2000239647A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dioxin generation
dioxin
dioxins
dolomite
suppressing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11038900A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhide Maeda
信秀 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MOCHISE DENKI KK
ZEOLITE KAGAKU SANGYO KK
Original Assignee
MOCHISE DENKI KK
ZEOLITE KAGAKU SANGYO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MOCHISE DENKI KK, ZEOLITE KAGAKU SANGYO KK filed Critical MOCHISE DENKI KK
Priority to JP11038900A priority Critical patent/JP2000239647A/ja
Publication of JP2000239647A publication Critical patent/JP2000239647A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価に安定して大量に入手できるものであっ
て、さらに簡便な手段によりダイオキシン類の発生を抑
制することのできる技術を提供する。 【解決手段】 廃棄物の焼却により発生するダイオキシ
ン類を抑制し得るダイオキシン発生抑制材であって、酸
化マグネシウムと炭酸カルシウムを主成分とする焼成ド
ロマイトおよびドロマイトよりなる群から選ばれてなる
少なくとも1種の主材と、結合剤とを含有する多孔質体
であることを特徴とするダイオキシン発生抑制材と、酸
化マグネシウムと炭酸カルシウムを主成分とする焼成ド
ロマイトおよびドロマイトよりなる群から選ばれてなる
少なくとも1種の主材と、揮散成分と、結合剤とを含む
原料を所定の比率で混合し、所定の形状に成形後、か焼
することを特徴とするダイオキシン発生抑制材の製造方
法がその技術である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃棄物の焼却の際
に発生するダイオキシン類を抑制し得る新規なダイオキ
シン発生抑制材及びその製造方法、並びにこれを用いて
なるダイオキシンの発生の抑制方法に関するものであ
る。より詳しくは、都市ごみなどの一般廃棄物や廃油、
廃プラスチック、汚泥などの工業廃材や農業用塩化ビニ
ル樹脂材、壁紙、建材、軟質レーザなどの農業・建築廃
材等の産業廃棄物の中に含まれている有機塩素化合物を
焼却処理する過程で発生していた有害なダイオキシン類
を極めて効率よくかつ効果的に抑制することのできるダ
イオキシン発生抑制材およびその製造方法並びにこれを
用いてなるダイオキシンの抑制方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】現在、全国各地に設置されている焼却炉
から発生されているダイオキシン類および焼却炉の灰分
にも相当量のダイオキシン類が含有しているのが現状で
ある。
【0003】ここで、一般に環境汚染物質として注目さ
れているダイオキシンとは、ポリ塩化ジベンゾパラジオ
キシン(PCDDs)のことで、置換している塩素分子の数と
場所によって75種類の同族体(異性体を含む)がある。
また通常このPCDDs と一緒に生成し、同じ様な化学構造
と性質を持つポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)も135
種類の同族体を持つ化合物群である。最近はダイオキシ
ン関連物質として、いろいろな塩素化合物が論議の対象
となっているが、その評価は必ずしも確定したものでは
なく、環境中で検出されるダイオキシン関連物質も、一
般に複雑な同族体の混合物であることから、本明細書で
は、環境汚染物質としてPCDDsとPCDFsの両者
(同族体を含む)をあわせてダイオキシン類とした。こ
れらの化合物は環境中で極めて安定で、生物に対する毒
性の強いものが多く、人類にとって全く有用性に欠ける
物質群であり、商業的な生産は行われていない。ダイオ
キシン類の生成は、各種の化学物質、たとえば塩化フェ
ノール等の防腐剤などの製造の際に、微量ではあるが不
純物として副生し、製品中に混入して市場に出回った
り、生産工場から環境へ直接排出物として放出されたり
する例がある。また、産業廃棄物の埋め立て処理などの
場合、不純物としてのダイオキシンが浸水などで漏出し
て地下水等を汚染する場合があるが、発生源として特に
重要なのは、発生量の大半を占める都市ごみの焼却のよ
うな熱化学反応による生成である。すなわち、近代化学
工業の発展とともに有機塩素化合物の使用が世界的に増
加し、これらの物質が老朽化等により処分され都市ゴミ
などの一般廃棄物として廃棄もしくは産業廃棄物として
分別廃棄され、その焼却の際にダイオキシン類を生成す
ることが問題とされるようになった。特に、我が国は国
土が狭く、埋め立て処理をする場所が少ないこともあっ
て、大半の一般廃棄物が焼却処理されており(例えば、
1994年の調べでは、我が国の都市ごみ焼却炉の数は
約2,000に近く、焼却される廃棄物の量も年間3,7
00万トンと他の国と比べてかなり多く、年々増加傾向
にある。)、ダイオキシン類の発生量の78〜88%が
都市固形廃棄物の焼却によるものであるとの報告があ
る。また、廃油、廃プラスチック、汚泥などの焼却処理
も広く行われているが、これらも含めて、焼却処理はダ
イオキシン類発生源として最も重要なものである。この
他にも、医療関係の廃棄物はふつう医療施設に設けられ
た小規模な焼却施設で焼却されるが、運転管理が十分に
行われているとはいえず、ダイオキシン類の生成量は都
市固形廃棄物と同じレベルであると考えられている。な
お、上記汚泥の焼却のうち、特にダイオキシン類の生成
に関与するものとして下水汚泥と製紙汚泥の焼却によっ
てもダイオキシン類が発生する。また、ペンタクロロフ
ェノール(PCP)で処理した木材あるいは廃材などの焼却
でもダイオキシン類が発生する。
【0004】次に、都市ごみの焼却のような熱化学反応
によるダイオキシン類の生成のメカニズムについてはい
ろいろな研究報告があるが、現在のところ、下記に示す
化学構造式(化1)を用いて表した「ごみ焼却などによ
る有機物からのダイオキシンの生成機構模式図」にまと
めたように、有機物の分解によって生じた塩化フェノー
ルや塩化ベンゼンのような小分子の化合物が高温で縮合
して生成する、および焼却によって生じた灰の表面の触
媒作用下で、炭素骨格と塩素から合成される(de novo合
成)との考え方が一般的である。
【0005】
【化1】
【0006】上述したような廃棄物の焼却の際に発生す
るダイオキシン類の排出抑制のためには、焼却対象とな
る廃棄物を減量することがまず第一であるが、廃棄物焼
却施設のダイオキシン排出抑制には、燃焼管理を含めた
完全燃焼により炉(ボイラ)からの生成を極力抑制し、
さらに各種技術の組み合わせによる排ガス処理系で対応
を図ることが重要との観点から開発が進められている。
【0007】このうち、完全燃焼を達成するには、高い
燃焼ガス温度、充分なガスの滞留時間と炉内での充分な
ガス攪拌・二次空気との混合が必要であり、このための
炉体技術とファジィ制御を組み合わせた自動燃焼制御が
実用化されている。しかしながら、高い燃焼ガス温度を
保持する必要があるため、ランニングコストや維持管理
費等が高くなり、また焼却炉の内壁の劣化がはやくなる
ため、より高温耐熱性に優れた耐火材を用いる必要があ
り、さらに炉体技術とファジィ制御を組み合わせた自動
燃焼制御は、これらを要しない既存焼却炉ないし小規模
な焼却施設では容易に対応できず、改修費用が高くなる
問題があり、約2,000に近くある都市ごみ焼却炉そ
の他の焼却施設にこうした設備を設けることは実際上困
難である。
【0008】また、排ガス処理系では、処理温度の低温
化、ダスト除去性能の向上、吸着作用の利用が図られて
おり、バグフィルタの低温化、粉末活性炭の噴霧、活性
炭系吸着塔による除去、触媒(チタン・バナジウム系、
貴金属系)によるダイオキシン類の分解除去、さらに化
学抑制材(トリエタノールアミン、過酸化水素水等)に
よる低減化技術が開発されている。しかしながら、バグ
フィルタの低温化、粉末活性炭の噴霧、活性炭系吸着塔
による除去方法は、ダイオキシン類の生成を抑制できる
ものではなく、活性炭は選択的にダイオキシン類を吸着
できるものではなく、ダイオキシン類以外の排気ガス中
の他の成分も吸着するため、その吸着寿命が短く、頻繁
に取り替える必要があり、また、回収したダイオキシン
類を吸着した活性炭を処分するには、別途分解し無害化
する処理施設が必要となる為、最終処理段階に至るまで
の工数が多くなり、またコスト高にもなる。また、触媒
(チタン・バナジウム系、貴金属系)によるダイオキシ
ン類の分解除去方法も、ダイオキシン類の生成を抑制で
きるものではなく、例えば、活性炭素繊維に数オングス
トロームの金(貴金属)や酸化鉄の粒子を均一に分散
(担持)した排ガスフィルターとする場合にダイオキシ
ン類を分解することができるとの報告があるが、金等の
貴金属触媒を使用するため必然的に高コスト化とならざ
るを得ず、既存焼却炉ないし小規模な焼却施設では容易
に対応できず、改修費用が高くなる問題があり、約2,
000に近くある都市ごみ焼却炉その他の焼却施設にこ
うした設備を設けることは実際上困難であるほか、耐久
性の見極めが今後の課題となっているなど実用化に向け
てクリアすべき課題もあり、実用化にはなお多くの時間
を要するものである。さらに化学抑制材(トリエタノー
ルアミン、過酸化水素水等)による低減化技術では、ダ
イオキシン類の生成の低減化が達成されるにとどまり、
十分にその発生を抑制できるものではなく、また、トリ
エタノールアミン、過酸化水素水等の化学抑制材も比較
的高価であり、またこれらの取り扱いや保管には相当の
注意を要するため、こうした化学物質に対する十分な知
識を有するものが当たらねばならず、約2,000に近
くある都市ごみ焼却炉その他の小規模な焼却施設を含む
焼却施設にこうした設備や専門家を配備して対応するこ
とは実際上困難であるほか、国内で年間に焼却される廃
棄物量3,700万トンの処理に必要な化学抑制材を供
給することも実際上困難なものである。
【0009】また、塩化水素の抑制剤としては、従来、
方解石(CaCO3 )が使われているが、焼却炉の場
合、一次燃焼室では反応効率が悪いため、二次燃焼室よ
り後の工程で使用されるのが通例であり、ダイオキシン
の発生を抑制する解決策になり得ていなかった。
【0010】一方、一般的に白雲石(ドロマイト;カル
シウムとマグネシウムの複合炭酸塩CaMg(CO3
2 またはこれを主成分とする岩石)は、採鉱作業後粉砕
工程などを経て農業などの土壌改良剤(苦土石灰肥料)
として使用されているほか、これをカ焼してドロマイト
プラスターとされたり、板硝子の原料、ドロマイトクリ
ンカーとして製鋼炉の内張り、炉床スタンプ等に利用さ
れているのが現状である。なお、ドロマイト鉱石や焼成
ドロマイトは、国内外で安価に産出し、また加工されて
おり、充分な供給能力を持つものであると言える。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、安価に安定して大量に入手できるものであって、さ
らに簡便な手法によりダイオキシン類の発生を抑制する
ことのできる技術を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく、ダイオキシン類の発生を抑制することので
きる技術に関し、鋭意検討した結果、ドロマイトおよび
焼成ドロマイトがダイオキシン類の発生を抑制し、また
発生したダイオキシン類を分解するのにも極めて有用で
あり、さらに焼結炉内の燃焼ガスによる上昇流に同伴さ
れて炉内から系外(大気中)に排気されてしまうことが
ない大きさを持つ造粒物として使用するのが、貯蔵運搬
性や取扱作業性にも優れ、また結合剤を用いることなく
水を用いて造粒することで、意外にも造粒物中のドロマ
イトおよび焼成ドロマイトとの接触効率を高くでき得る
ため、より有効で、かつ有用であることを見出し、本発
明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明の
目的は、下記(1)〜(17)に記載の新規なダイオキ
シン発生抑制材及びその製造方法、並びにこれを用いて
なるダイオキシンの発生の抑制方法により達成されるも
のである。
【0013】(1) 廃棄物の焼却ないし加熱処理によ
り発生するダイオキシン類を抑制し得るダイオキシン発
生抑制材であって、ドロマイトおよび該ドロマイトを焼
成してなる焼成ドロマイトよりなる群から選ばれてなる
少なくとも1種の主材を含有する造粒物であることを特
徴とするダイオキシン発生抑制材。
【0014】(2) 前記主材の含有量が、ダイオキシ
ン発生抑制材の総重量を基準として80〜95重量%で
あることを特徴とする上記(1)に記載のダイオキシン
発生抑制材。
【0015】(3) 前記造粒物が、酸化チタンおよび
酸化亜鉛の少なくとも1種の活性剤をさらに含むことを
特徴とする上記(1)または(2)に記載のダイオキシ
ン発生抑制材。
【0016】(4) 前記活性剤の含有量が、ダイオキ
シン発生抑制材の総重量を基準として5〜10重量%で
あることを特徴とする上記(3)に記載のダイオキシン
発生抑制材。
【0017】(5) 前記造粒物の粒度が、5〜15m
mであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれ
か1つに記載のダイオキシン発生抑制材。
【0018】(6) ドロマイトおよび該ドロマイトを
焼成してなる焼成ドロマイトよりなる群から選ばれてな
る少なくとも1種の主材成分を含む原料組成物と水とを
混合し、成形加工して造粒した後、か焼することを特徴
とする上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のダイ
オキシン発生抑制材の製造方法。
【0019】(7) 前記成形加工して造粒した後に、
乾燥し、その後にか焼することを特徴とする上記(6)
に記載のダイオキシン発生抑制材の製造方法。
【0020】(8) 前記主材の含有量が、原料組成物
の総重量を基準として80〜95重量%であることを特
徴とする上記(6)または(7)に記載のダイオキシン
発生抑制材の製造方法。
【0021】(9) 前記主材に使用する成分の粒度
が、5〜30μmの範囲であることを特徴とする上記
(6)〜(8)のいずれか1つに記載のダイオキシン発
生抑制材の製造方法。
【0022】(10) 前記原料組成物が、酸化チタン
および酸化亜鉛の少なくとも1種の活性剤をさらに含む
ことを特徴とする上記(6)〜(9)のいずれか1つに
記載のダイオキシン発生抑制材の製造方法。
【0023】(11) 前記活性剤の含有量が、原料の
総重量を基準として5〜10重量%であることを特徴と
する上記(6)〜(10)のいずれか1つに記載のダイ
オキシン発生抑制材の製造方法。
【0024】(12) 前記活性剤に使用する成分の粒
度が、5〜30μmの範囲であることを特徴とする上記
(6)〜(11)のいずれか1つに記載のダイオキシン
発生抑制材の製造方法。
【0025】(13) 前記水の配合量は、原料組成物
の総重量を100重量部とした場合に8〜20重量部の
範囲であることを特徴とす上記(6)〜(12)のいず
れか1つに記載のダイオキシン発生抑制材の製造方法。
【0026】(14) 前記乾燥温度が、65〜85℃
の範囲であることを特徴とする上記(7)〜(13)の
いずれか1つに記載のダイオキシン発生抑制材の製造方
法。
【0027】(15) 前記か焼温度が、600〜70
0℃の範囲であることを特徴とする上記(6)〜(1
4)のいずれか1つに記載のダイオキシン発生抑制材の
製造方法。
【0028】(16) 上記(1)〜(5)のいずれか
1つに記載のダイオキシン発生抑制材を、焼却炉ないし
加熱処理装置に添加および/または設置し、廃棄物の焼
却ないし加熱処理により発生するダイオキシン類を抑制
することを特徴とするダイオキシンの発生の抑制方法。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明のダイオキシン発生抑制材
は、廃棄物の焼却ないし加熱処理により発生するダイオ
キシン類を抑制し得るダイオキシン発生抑制材であっ
て、ドロマイトおよび該ドロマイトを焼成してなる焼成
ドロマイトよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種
の主材を含有する造粒物であることを特徴とするもので
あり、さらに前記造粒物が、酸化チタンおよび酸化亜鉛
の少なくとも1種の活性剤をさらに含むものが望まし
い。これにより、現在問題になっている塩化ビニル類等
を含有する廃棄物を焼却する場合に発生するダイオキシ
ン類およびその原料の1つである塩化水素等の塩素化合
物や塩素系ガスを分解・吸着することができるため、廃
棄物の焼却によりダイオキシン類が発生するのを抑制す
ることができ、さらに発生してしまったダイオキシン類
も十分に分解することができるものである。また、適当
な大きさを持つ造粒物とすることで、焼結炉内の燃焼ガ
スによる上昇流に同伴されて炉内から系外(大気中)に
排気されてしまうこともなく、貯蔵運搬性や取扱作業性
にも優れている。また、ドロマイト鉱石(ドロマイト鉱
石を焼成したもの)を適当な大きさに粉砕した粒状物を
用いる場合に比して、こうした鉱石を微粉化し、これを
適当な造粒技術により成形加工してなる造粒物(例え
ば、後述する製造技術のように、結合剤を用いることな
く水を用いて造粒した造粒物)の場合の方が、造粒物中
のドロマイトおよび焼成ドロマイトの接触面積を大きく
できるため、極めて優れたダイオキシン類の発生抑制能
を発現させることができるものである。
【0030】ここで、ドロマイトとは、別名、白雲石ま
たは苦灰石と呼ばれる、カルシウムとマグネシウムの複
合炭酸塩CaMg(CO3 2 またはこれを主成分とす
る岩石をいう。また、このドロマイトを加熱すると70
0〜800℃でMgCO3 分が分解してCO2 を放出
し、炭酸カルシウム(CaCO3 )と酸化マグネシウム
(MgO)の焼成物(以下、単に焼成ドロマイトAとも
いう)となり、さらに900〜950℃でCaCO3
分解してCO2 を放出し、酸化カルシウム(CaO)と
酸化マグネシウム(MgO)の焼成物(以下、単に焼成
ドロマイトBともいう)となる特性を有している。よっ
て、上記にいう焼成ドロマイトAは、酸化マグネシウム
と炭酸カルシウムを主成分とする焼成ドロマイトであ
り、上記にいう焼成ドロマイトBは、酸化マグネシウム
と酸化カルシウムを主成分とする焼成ドロマイトであ
る。また、単に焼成ドロマイトとした場合には、上記焼
成ドロマイトAおよびBの双方を含むものとする。
【0031】まず、本発明のダイオキシン発生抑制材中
の主材は、ドロマイトおよび該ドロマイトを焼成してな
る焼成ドロマイトよりなる群から選ばれてなる少なくと
も1種を必須成分とするものであって、いずれか一種を
単独で使用しても良いし、これらを適当に組み合わせて
併用したものであってもよい。これらを併用したものの
配合比率に関しては、特に制限されるものではなく、任
意の配合比率のものを用いることができる。これらを適
当に併用した場合、ドロマイの配合量としては、ダイオ
キシン発生抑制材の総重量を基準として0〜99重量
%、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは20
〜30重量%である。同様に、焼成ドロマイトAの配合
量としては、ダイオキシン発生抑制材の総重量を基準と
して0〜99重量%、好ましくは20〜85重量%、よ
り好ましくは30〜80重量%である。さらに、焼成ド
ロマイトBの配合量としては、ダイオキシン発生抑制材
の総重量を基準として0〜99重量%、好ましくは20
〜85重量%、より好ましくは30〜80重量%である
ことが望ましい。ただし、上記に示すドロマイ、焼成ド
ロマイトAおよび焼成ドロマイトBの配合量(配合比)
は、これらを適当に併用した場合であるため、少なくと
も2種以上を配合している必要があり(すなわち、単独
使用でなければ良く、3種全てを使用しなくても適当な
2種の組み合わせでも良いため、それぞれの配合量の下
限値を0重量%とした。)、かつこれらの配合量(配合
比)の総計は、如何なる組み合わせであっても決してダ
イオキシン発生抑制材の総重量を基準として100重量
%を超えてはならない。なお、焼成ドロマイトBは、ダ
イオキシン発生抑制効果以外に、ドロマイトや焼成ドロ
マイトAに比してより優れた抗菌・脱臭性能を有してい
ることから、ダイオキシン発生抑制材を廃棄物と共に炉
内に投入(添加)して使用する場合、焼却後のアッシュ
(灰分)に含まれることになる。そのため該アッシュ
は、抗菌、脱臭効果の発現により異臭問題などの環境問
題を引き起こすことがない。また、該アッシュ(灰分)
を回収し再利用(リサイクル)するような場合(例え
ば、焼き固めて歩道などの舗装タイル材などとするよう
な場合)に、リサイクル製品に対しても優れた抗菌性や
脱臭性を付与することができるものである。また、本発
明のダイオキシン発生抑制材は、焼却時にダイオキシン
発生抑制効果を発現し得る以外にも、発生したダイオキ
シン類に対して優れた分解能を発現し得るため、燃焼ガ
ス中のダイオキシン類及びアッシュ(灰分)中のダイオ
キシン類を効果的に分解(無害化)できる。したがっ
て、焼却後のアッシュを埋め立て処理やリサイクル処理
しても、二次的な環境汚染の問題を起こす心配がない。
【0032】上記主材の含有量は、特に制限されるもの
ではないが、ダイオキシン発生抑制材の総重量を基準と
して65〜100重量%、好ましくは75〜100重量
%、より好ましくは80〜95重量%、特に好ましくは
85〜90重量%である。主材の含有量が65重量%未
満の場合には、本発明の特有の効果であるところのダイ
オキシン類およびその原料の1つである塩化水素等の塩
素化合物や塩素系ガスを好適に分解・吸着し、廃棄物の
焼却によるダイオキシン類の発生を十分に抑制するのに
必要なダイオキシン発生抑制材の使用量が増加するため
不経済である(ただし、60重量%未満であっても本発
明の効果は十分に発現し得るものである)。一方、主材
の含有量は100重量%であってもよい。すなわち、ダ
イオキシン発生抑制材が主材成分のみで構成されていて
もよい。これは、一般的な造粒物は結合剤を用いて造粒
化することではじめて強度的に造粒構造を維持できる
が、本発明では、こうした結合剤を用いなくとも十分な
強度を持たせる事ができるものである。
【0033】また、本発明のダイオキシン発生抑制材中
には、ダイオキシン発生抑制材の機能として分解、吸着
力を付加し得る活性剤がさらに含まれていても良い。活
性剤としては、上記機能を十分に発現されるものであれ
ば、特に制限されるものではないが、酸化チタンおよび
酸化亜鉛の少なくとも1種を含むものが望ましい。
【0034】上記活性剤の含有量は、特に制限されるも
のではないが、ダイオキシン発生抑制材の総重量を基準
として1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、よ
り好ましくは5〜10重量%である。活性剤の含有量
が、1重量%未満の場合には、本来の活性剤の機能を十
分に発現させることができず、材料に十分な分解、吸着
力を付加し得る事ができず、添加するメリットが小さく
好ましくない。一方、活性剤の含有量が、20重量%を
超える場合には、必須成分の主材の含有量が相対的に低
下し、所期の効果を十分に発現させる事ができず、好ま
しくない。
【0035】また、本発明のダイオキシン発生抑制材
は、必要に応じて結合剤を添加しても良い。本発明に用
いる事のできる結合剤としては、特に制限されるもので
はなく、従来公知のものを利用することができ、具体的
にはシリカおよび/またはアルミナを主成分とする粘土
鉱物を含むものが望ましい。ただし、後述するように結
合剤を用いなくとも十分に造粒し得る製造技術を知得し
たため、特に必要がない限りダイオキシン発生抑制作用
を有しない結合剤は使用しなくてもよい。
【0036】上記結合剤の含有量は、特に制限されるも
のではないが、ダイオキシン発生抑制材の総重量を基準
として15重量%以下、好ましくは5〜10重量%であ
る。一方、結合剤の含有量が、15重量%を超える場合
には、既に本来の結合機能が十分に得られており、更な
る添加に見合う新たな効果が得られない反面、該結合剤
の含有量が過剰になることにより、本発明の特有の効果
を発現させることのできる主材等の含有量(含有比率)
が制限されるため好ましくない。なお、下限値は、結合
剤を用いなくとも(すなわち、結合剤の含有量が0重量
%であっても)造粒物としての形態をとどめるのに必要
な強度を得ることができるため特に規定していない。
【0037】また、本発明のダイオキシン発生抑制材中
には、使用用途に応じて、上記以外の他の添加剤が含ま
れていても良い。これらの添加剤の配合量も、それぞれ
の添加量は、各添加剤が有する機能が十分に発現し得る
範囲内で適宜決定すればよい。
【0038】さらに、本発明のダイオキシン発生抑制材
は、ダイオキシン類の分解能や吸着能を有する従来公知
の触媒(チタン・バナジウム系、貴金属系等)あるいは
ダイオキシン類に対する従来公知の化学抑制材(トリエ
タノールアミン、過酸化水素水等)等を併用若しくは1
成分として含有してもよい。
【0039】なお、本発明のダイオキシン発生抑制材の
構成成分ごとの配合量を上記に示したが、これら構成成
分の和は、如何なる組み合わせであれ、100重量%に
ならなければならないことはいうまでもない。
【0040】本発明のダイオキシン発生抑制材は、上記
構成成分を含有してなる造粒物である。ここで、「造
粒」とは、晶析、粒子の固化、錠剤化、ブリケッティン
グ、凝集、凝縮、溶融、鋳造、圧縮、押出し、焼結や団
塊化によって、小さな粒子から大きな粒子を成形するこ
とをいうものと定義されるものである。また、「粒子」
とは、観測可能な長さ、幅及び厚さを持つ小寸法の物体
をいうものと定義されるものである。よって、「造粒
物」は、上記造粒操作により得られたものである。した
がって、本発明で成形加工により得られる造粒物の形態
としては、特に制限されるものではなく、例えば、球
状、棒状(角柱状、円柱状)、円錐状、板状、円筒状、
楕円体状、ペレット状(直径または一辺が1〜30m
m、好ましくは2〜15mmぐらいの球形、円柱形また
は角柱形に造粒した成形材料)等の形態を挙げることが
できるが、これらに限定されるものではない。
【0041】また、上記造粒物の粒度としては、特に制
限されるものではなく、造粒物に成形加工することによ
って、微粉末では焼却時に発生する燃焼ガスの上昇流に
より巻き上げられてしまうが、適当な大きさの粒度に造
粒することで、こうした問題もなく、また作業性や取り
扱い性なども向上し、さらに同じ堆積のドロマイト鉱石
を用いる場合に比して、造粒物ではよりポーラスな状態
に成形加工できるため発生するダイオキシン類との接触
面積を大きくすることもできる。こうした作用効果が得
られる造粒物の粒度は、その形態によってことなるが、
直径または一辺が1〜30mm、好ましくは5〜15m
m、より好ましくは7〜10mm、特に好ましくは9〜
10mmである。
【0042】次に、本発明のダイオキシン発生抑制材の
使用形態は、ダイオキシン発生抑制材の存在下で、廃棄
物を焼却ないし加熱処理することを特徴とするものであ
る。すなわち、本発明のダイオキシン発生抑制材の使用
方法としては、廃棄物を焼却する際の熱化学反応により
発生するダイオキシン類を抑制することができるよう
に、焼却ないし加熱処理時にダイオキシン発生抑制材が
存在するようにしておけばよく、あらかじめダイオキシ
ン発生抑制材を廃棄物中に加えた後に焼却ないし加熱処
理してもよいし、あるいは廃棄物を焼却ないし加熱処理
する際にダイオキシン発生抑制材を適量ずつ適宜加えて
いってもよいし、双方を組み合わせて行ってもよい。さ
らに、焼却炉内部に予め設置しておいて焼却ないし加熱
処理してもよい。ここで、焼却ないし加熱処理としたの
は、従来より焼却処理されている有機塩素化合物を含有
する廃棄物のうち、PCB等の有機塩素化合物を含有の
廃油等の液状廃棄物においては、当該廃棄物に適合する
焼却炉によって焼却処理する以外に、本発明のダイオキ
シン発生抑制材の存在下で低温加熱処理することによっ
ても、PCB等の有機塩素化合物を分解し無害化できる
ことを新たに見出したことによる。すなわち、低温(例
えば、50〜60℃程度)での加熱処理により有害なダ
イオキシン類の合成に不可欠な塩素分を分解し除去でき
る。また、低温加熱処理された処理油に関しては、その
後、再利用可能は場合には精製してリサイクル製品とす
ることができ、また再利用できない場合であっても、ダ
イオキシン対策をとることなく焼却処理することができ
る。ただし、極微量のPCB等の有機塩素化合物が残っ
ていることがありうるため、焼却処理時にも本発明法を
更に適用することがより望ましい態様である。
【0043】また、本発明のダイオキシン発生抑制材が
適用できる廃棄物としては、通常の都市ゴミなどの一般
廃棄物、廃軟質レザー、廃紙壁、PCP等の有機塩素化
合物を含有する建材や木材等の建築廃材、廃農業用の硬
質ないし軟質の塩化ビニル樹脂材等の農業廃材、ポリ塩
化ビフェニル(PCB)などの有機塩素化合物を含有す
る汚染土壌や廃プラスチック等の固形廃棄物やPCBな
どの有機塩素化合物を含有する廃油や下水汚泥、製紙汚
泥等などの液状廃棄物などの工業廃材、さらには医療関
係の廃棄物などを含めた産業廃棄物など、ダイオキシン
類を発生する有機塩素化合物を含有する廃棄物すべてが
その対象となる。なお、有機塩素化合物としては、例え
ば、ポリ塩化ビニルを例にとれば、下記表1に示す用途
に用いられその後都市廃棄物中に混入されるものや、産
業廃棄物として別途回収されたもの全てがその対象とな
る。
【0044】
【表1】
【0045】次に、ダイオキシン類の発生を抑制するの
に必要なダイオキシン発生抑制材の量は、該ダイオキシ
ン類の発生抑制メカニズムが全て解明されておらず明確
に規定することはできないが、後述する実施例の結果か
ら明らかなようにダイオキシン発生抑制材では有害なダ
イオキシン類の合成に不可欠な塩素分の分解除去能をも
有していることから、少なくとも塩素分を全て除去でき
ればダイオキシン類の発生を抑制できるとの観点から、
以下に示す理論計算からその必要量を算出することがで
きる。すなわち、廃棄物中の有機塩素化合物(計算には
分子内の塩素含有比率の大きな塩化ビニル樹脂を用い
た)から発生する塩素分(塩化水素)をダイオキシン発
生抑制材で水と二酸化炭素と塩化物に分解(中和)する
ものとして以下のように算出した。1.塩化ビニル1モ
ル(62g)から熱分解によってHCl1モル(36
g)が発生する。塩化ビニル100gからはHClが5
8g発生することになる。
【0046】CH2 CHCl→(C2 2 )+HCl 2.CaCO3 あるいはMgCO3 1モルでHCl2モ
ルを中和する。
【0047】 2HCl+CaCO3 →CaCl2 +H2 O+CO2 2HCl+MgCO3 →MgCl2 +H2 O+CO2 3.焼成ドロマイトB中のCaO、MgOの存在比は以
下の通りである。
【0048】 上記モル比はCaO、MgOの分子量より求めている。
この比がそのまま白雲石(ドロマイト)中のCaCO3
とMgCO3 のモル比になるとする。4.上記3.の前
提から、CaCO3 1.18モルで、HCl2.36モ
ルが処理される。同様にMgCO3 0.85モルで、H
Cl1.7モルが処理される。5.塩化ビニル100g
から発生する塩化水素58g(1.61モル)を単独で
処理する場合、CaCO3 、MgCO3 はいずれも0.
805モル必要になるが、上記3.に示した存在比1.
18/0.85に分配すると0.47/0.34の比率
になる。CaCO3 の分子量100、MgCO3 の分子
量84をそれぞれ掛けると各々の重量がでる。すなわ
ち、 CaCO3 :0.47×100g=47g MgCO3 :0.34×84g=29g 合計76g よって、塩化ビニル樹脂100gを処理するには、ドロ
マイトが76g必要になる。
【0049】従って、都市ゴミのような一般廃棄物10
0トン当たり、通常、平均して5トン程度の有機塩素化
合物が混入されていることから、これを焼却した場合
に、ダイオキシン類の発生を抑制し無害化するのに必要
とされるダイオキシン発生抑制材は、およそ3.8トン
である。ただし、これは全量ドロマイトとした場合であ
って、焼成ドロマイトA、B、その他の成分(活性剤な
ど)を含む場合は、上記と同様の計算により必要となる
全体量を決定すればよい。この際、塩素化合物の混入率
や該塩素化合物の種類等によりその必要量が異なるほ
か、上記理論計算は塩素分除去機能のみで計算しており
他のダイオキシン類の発生抑制機能や分解能等は全く考
慮していないが、実際には、発生したダイオキシン類の
分解能などを有することが、例えば、ダイオキシン類に
より汚染されている土壌や焼却灰の無害化(すなわち、
ダイオキシン類の分解処理)にも有効であることなどか
ら確認されている(例えば、特願平11−16181号
参照)から、上記計算値に満たない量であっても十分に
その作用効果を発現する事ができる)ことから、通常、
都市ゴミのような一般廃棄物に混合して混焼する場合、
都市ゴミのような一般廃棄物100重量部に対して、1
〜30重量部、好ましくは5〜15重量部であるが、よ
り好ましくは上記理論計算から導き出された必要量をも
とにして、事前に小規模実験を行い、その必要量を決定
することがより望ましいといえる。
【0050】ダイオキシン発生抑制材の使用あるいは供
給のしかたとしては、特に制限されるものではなく、焼
却炉のタイプなどに応じて最適な使用の態様を採用すれ
ばよい。
【0051】(1)一般的な小・中型ゴミ焼却炉へのダ
イオキシン発生抑制材の適用例を以下に示す。本発明の
ダイオキシン発生抑制材の使用のしかたとしては、その
使用用途に応じて適宜選択されるものであり、以下に示
すものに限定されるものではない。
【0052】図1〜3に、一般的な小・中型ゴミ焼却炉
の概略図を示す。
【0053】図1に示すように、小・中型ゴミ焼却炉で
は、炉体101の天井面に被焼却物を燃焼させた時に発生
する燃焼ガスを排気する煙突102を立設し、炉体101の正
面には被焼却物を投入する被焼却物投入扉103を備え、
その下方に被焼却物が燃焼した後の灰を取り出す灰取出
扉104を備えている。炉体101の両側面には、炉外の空気
を取り入れるための吸気口105が形成されており、この
吸気口105には下方が開口している吸気管105aが接続し
ているため、炉外の空気はこの吸気管105aを通って吸
気口105から炉内に取り込まれるようになっている。さ
らに、被焼却物投入扉103から投入された被焼却物を燃
焼させた時に、吸気管105aの開口付近が高温となり危
険であるため、それを保護するためのカバー106が炉体1
01に固設されている。炉体101の内部の燃焼室101aに
は、図2及び図3に示すように、天井面に煙突102の排
気口102aが形成されている。また、炉体101の裏面に
は、常時閉弁状態で、万一、炉内空気が突発的に膨張し
た際に開弁して炉内空気を排出する防爆弁110が設けら
れている。この防爆弁110の下方には、後方から灰を取
り出す灰取出扉104’が設けられており、燃焼した被焼
却物の灰は、灰取出扉104、104’から取り出されること
となる。炉内下方には、ステンレス等の網体或いは複数
の貫通孔を設けた板体等で構成されて被焼却物を載置
し、焼却後の灰を下方へ落とすための炉床111を備えて
いる。排気口102aの下方には、コの字型の支持枠108が
溶接等により炉体101に固定されており、この支持枠108
の内周上に金属製網体109を載置している。この金属製
網体109は、ステンレスやチタン合金等の耐熱性の金属
線材で構成された矩形の網体である。支持枠108は、図
3に示すように、略コの字状の鉄板等を炉体101に溶接
等により固定したものであり、中央に開口部108aを有
している。この支持枠108の開口部108aを覆うようにし
て、金属製網体109が載置されており、被焼却物112の燃
焼により炉内が高温状態になると、金属製網体109が加
熱されて高温状態となる。被焼却物を燃焼した時に発生
する未燃ガスは、図4に矢印で示すように、炉内壁面に
沿って上昇して支持枠108に衝突し、金属製網体109の近
傍で対流する。これにより、燃焼室内での対流時間が長
くなり、加熱されて高温状態となっている金属製網体10
9に接触して2次燃焼するため、未燃ガスの発生を防ぐ
ようになっている。
【0054】上述したような一般的な小・中型ゴミ焼却
炉において、例えば、直径2〜15mmの球状形態の造
粒物であるダイオキシン発生抑制材107は、図3に示す
ように、例えば、被焼却物112にあらかじめ混入した後
に被焼却物投入扉103から投入した被焼却物112と共に燃
焼させてもよいし、まず、被焼却物投入扉103からダイ
オキシン発生抑制材107の一部を投入し、その後被焼却
物112を投入し、最後に残りのダイオキシン発生抑制材1
07を投入し、被焼却物112と共に燃焼させてもよい。こ
れにより、ダイオキシン類は、焼却によって生じた灰の
表面の触媒作用下で、炭素骨格と塩素から合成される(d
e novo合成、上記化1参照)ことからみて、焼却によっ
て生じた灰と同じ箇所に存在し得る(併存し得る)こと
ができるため、灰の表面の触媒作用を抑える事ができる
ため、最も有効かつ効果的にダイオキシン類の合成(発
生)を抑制することができるものであるといえる。ま
た、ここで発生したダイオキシン類が燃焼ガスと共に被
焼却物中を通り抜ける際に、ダイオキシン発生抑制材10
7と頻繁に接触し得る状態にあるため、被焼却物中を通
り抜けるまでにそのほとんど全てを速やかに分解するこ
ともできるのである。よって、焼却によって生じた灰分
中には、ダイオキシン類がほとんど存在しないようにで
きるため、該灰分の処理による二次汚染の問題もなく、
僅かに存在するダイオキシン類も該灰分側に残るダイオ
キシン発生抑制材107により、経時的に完全に分解され
無害化することができるものである。さらには、上記使
用方法とは別に(好ましくは併用して)、煙突102の途
中に適当な支持体(造粒物のダイオキシン発生抑制材10
7が落ちない網目を有する金属製網体)113上にダイオキ
シン発生抑制材107を設置しても良い。これにより、被
焼却物を燃焼した時に発生する燃焼ガスが煙突102内を
流通する際に、図に示すように煙突102内部で燃焼ガス
と効率よく接触させることができることから好ましいと
言える。このほかにも、焼却炉のタイプに応じて、燃焼
ガスと接触し得る位置であれば、例えば、炉上部に設け
る事もできるなど、特に制限されるものではなく、また
設置の方法も、着脱自在な形式が好ましいが、固定式で
あっても良いなど、その使用形態は特に制限されるもの
ではないといえる。
【0055】(2)一般的な大型炉(例えば、最近の都
市廃棄物焼却炉として代表的な移動格子焼却炉の1つで
ある水壁型燃焼炉)へのダイオキシン発生抑制材の適用
例を以下に示す。本発明のダイオキシン発生抑制材の使
用のしかたとしては、その使用用途に応じて適宜選択さ
れるものであり、以下に示すものに限定されるものでは
ない。
【0056】図4に、水蒸気の形で熱回収する最近の都
市廃棄物焼却炉として代表的な移動格子焼却炉の1つで
ある水壁型燃焼炉の概略図を示す。図4に示す燃焼炉
は、3つの主要な部分から構成されており、入口部(丸
数字の1〜4)は、燃焼部(丸数字の5〜9)に原料を
供給し、処理部(丸数字の10〜13)は固体と気体状
での焼却炉排出物を処理するものである。尚、図中の曲
がりくねった矢印(ないし実線)は、廃棄物が入口部か
ら燃焼部にいき、そこで固体と気体状排出物に分かれて
処理部に至る流れを表したものである。この格子炉で
は、一般に、炉へ供給される廃棄物は、最初に乾燥さ
れ、高温の燃焼ガスと耐火物の上張り炉面からの放射熱
とによって予熱される。廃棄物をさらに加熱して熱分解
し着火すると、熱分解によって生成する気体と残留固体
が同時に燃焼する。空気ジェットは上だき空気空間内の
混合や燃焼を促進・助長する。また、格子は、廃棄物を
支持し、開放口から下だき用空気を下方から送入し、廃
棄物の灰分を原料の落し樋から熱さましへ移動させると
ともに、送入された廃棄物を格子表面へ移動させるため
層を撹拌するものである。従って、例えば、図4に示す
ような水蒸気の形で熱回収する最近の都市廃棄物焼却炉
として代表的な移動格子焼却炉の1つである水壁型燃焼
炉の場合、開放置き場(丸数字1)の投入口より廃棄物
を廃棄物落し穴(丸数字2)に落とすときに、それに見
合うダイオキシン発生抑制材(例えば、直径または1辺
が5〜30mm、好ましくは10〜20mmのいわばペ
レット状の造粒物)を焼却炉に併設(外設、内設を問わ
ない)した貯蔵部等より均一に混ざるように供給しても
よいし、貯蔵部よりダイオキシン発生抑制材を振動供給
器(丸数字4)内に供給して該振動供給器(丸数字4)
内に充填用クレーン(丸数字3)で運ばれてくる廃棄物
と共に混合できるようにしても良いし、さらに貯蔵部よ
りダイオキシン発生抑制材を燃焼部の1つである乾燥格
子(丸数字5)、さらには燃焼格子(丸数字6)のエリ
アの乾燥廃棄物または燃焼中の廃棄物に散布等により供
給できるようにしても良い。
【0057】また、廃軟質レザー、廃紙壁等の建築廃材
や廃農業用ビニル(硬、軟)等の農業廃材などの産業廃
棄物の焼却の場合には、産業廃棄物焼却炉として、移動
格子系の焼却炉を用いて行うことができ、都市廃棄物焼
却炉と同じようにしてダイオキシン発生抑制材(例え
ば、直径または1辺が1〜30mm、好ましくは2〜1
5mmのいわばペレット状の造粒物)を供給することが
できる。さらに、ポリ塩化ビフェニル(PCB)等の有
機塩素化合物を含有する汚染土壌などの固形廃棄物やP
CB等の有機塩素化合物を含有する廃油や汚泥(下水汚
泥や製紙汚泥)などの液状廃棄物は、回転炉、多段火床
炉、流動層焼却炉などを用いて処理すればよく、ダイオ
キシン発生抑制材(例えば、直径または1辺が1〜30
mm、好ましくは2〜15mmのいわばペレット状の造
粒物)をあらかじめこれらの廃棄物に加えて使用するの
がよい。
【0058】更に、ポリ塩化ビフェニル(PCB)等の
有機塩素化合物を含有する汚染土壌などの固形廃棄物で
は、比較的粒度の小さいダイオキシン発生抑制材(例え
ば、直径または1辺が1〜30mm、好ましくは2〜1
5mmのいわばペレット状の造粒物)をさらにアルカリ
触媒若しくは炭素系触媒の存在下で焼却処理することが
望ましい。アルカリ触媒若しくは炭素系触媒の存在下で
行うことで、従来の焼却温度(1000℃程度)に比べ
て低温(300〜350℃)で処理することにより、目
的とするダイオキシン類の発生を抑制し、かつ土壌から
有害なポリ塩化ビフェニル(PCB)等の有機塩素化合
物を除去して無害化された処理土壌に再生することがで
きるものである。この場合にも、産業廃棄物焼却炉とし
て、移動格子系の焼却炉を用いて行うことができ、都市
廃棄物焼却炉と同じようにしてダイオキシン発生抑制材
を供給することができるが、好ましくは、回転炉、多段
火床炉、流動層焼却炉などを用いて処理すればよく、あ
らかじめこれらの廃棄物に加えて使用するのがよい。こ
こで用いることのできるアルカリ触媒としては、例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ムなどが挙げられ、炭素系触媒としては、例えば、活性
炭を用いることができる。こうした触媒の使用量として
は、固形廃棄物中の有機塩素化合物に対して3〜10重
量%の範囲であれば、所望の効果を発現することができ
る。さらに、PCB等の有機塩素化合物を含有する廃油
や汚泥(下水汚泥や製紙汚泥)などの液状廃棄物は、回
転炉、多段火床炉、流動層焼却炉などを用いて処理する
際に粒状物の形態のダイオキシン発生抑制材を適用する
ことができる以外に、反応槽のような低温加熱処理装置
を用いて加熱処理する際にも、粒状物の形態のダイオキ
シン発生抑制材を適用することができる。この場合に
も、反応槽などの液槽内に液状廃棄物と比較的粒度の小
さいダイオキシン発生抑制材(例えば、直径または1辺
が1〜15mm、好ましくは2〜10mmのいわばペレ
ット状の造粒物)を加えて撹拌するなどして均一に分散
しておくことが望ましい。
【0059】上記に説明したように、一般廃棄物用の大
型焼却炉に適用する場合、ダイオキシン発生抑制材を上
部から直接焼却部に加える場合には、造粒物が所定サイ
ズを有していることが望ましく、具体的には、平均粒度
が5〜30mm、好ましくは10〜20mmのものが適
している。これは、より微粉化した場合には、中・小型
焼却炉に比して、燃焼炉内の対流現象による舞い上げ力
が大きく、比較的小さな造粒物では、その自重による落
下エネルギーよりも舞い上げ力の方が大きく、燃焼中に
巻き上げられ、炉内上部に設けられている集塵器に捕集
されたり、排気フィルター等の目詰まりを生じさせる虞
れがあるためである。一方、より大きな粒度のものを用
いる場合には、焼却処理時にすばやく分散(拡散)する
ことができにくく、相対的に接触効率が低下するためで
ある。上記に規定する範囲の粒度にすることで、均一に
分散化させることができるので、焼却処理中に炉内で生
じた塩化フェノールや塩化ベンゼンのような小分子の化
合物、炭素骨格を持つ化合物、塩素分の化合物や塩素系
ガスなどとの接触面積(頻度)を増やすことができ、灰
の表面での触媒作用によりダイオキシン類を合成するの
を極めて効果的に防止することができるものである。
【0060】なお、本発明のダイオキシン発生抑制材に
おけるダイオキシン類の発生抑制作用(反応ないし触
媒)機序、すなわちダイオキシンの発生抑制メカニズム
に関しては、ドロマイトが有する特性が焼成することに
よって異なった特性を有する(すなわち、ドロマイトと
焼成ドロマイトの組成および特性として下記表2および
3に示す成分組成、pH、放射率、脱臭率、抗菌率、活
性率、分解率の値からも明らかなように変化する。)こ
とから、それぞれがダイオキシンの発生抑制にどのよう
に関与しているのかは明らかではないが、後述する実施
例において有害なダイオキシン類の発生が認められなか
ったことのほかに、実施例には開示していないが有害な
ダイオキシン類の生成に不可欠な塩素分(塩素系ガスの
1つである塩化水素)の排出も認められなかったことか
ら、本発明者は、塩素分及びダイオキシン類の双方に対
する作用(反応ないし触媒)機序が存在するものとみて
おり、ドロマイトや焼成ドロマイトの結晶化構造やその
組成中の炭酸基ないし炭酸塩等が複雑に関与していると
考える。すなわち、ドロマイトと焼成ドロマイトは、比
較的低い焼却温度下でもダイオキシン類およびその原料
の1つである塩化水素等の塩素化合物や塩素系ガスを分
解・吸着する機能を有する。これは、ドロマイトは、生
成時に炭酸が二次的に変質して生成されているので分解
・吸着力が大きいと考える。ただし、これらはあくまで
推察の域をでないが、産業廃棄物中に本発明のダイオキ
シン発生抑制材とは別にかなりの量の炭酸カルシウム
(炭酸塩ないし炭酸基)がもとから含有されている廃棄
物を、従来と同様に焼却処理しただけでは、ダイオキシ
ン類および塩素分の排出を抑制することができない反
面、本発明のダイオキシン発生抑制材(ドロマイトのよ
うに二次的に変質して生成されているものを含むもの)
を用いた場合には、ダイオキシン類および塩素分の発生
(排出)が抑制されていたことからみて、ただ単に炭酸
カルシウム(方解石等の鉱物を含む)が存在するだけで
は本発明の特有な効果が得られないことからみても、そ
のメカニズムは結晶化構造やその組成等により複雑かつ
複合的な機構となっているとも考えられることから、本
発明のダイオキシン発生抑制材の作用(反応ないし触
媒)機序の解明は、今後のより詳細な研究成果を待たね
ばならないと云える。なお、方解石とドロマイトは、成
分的にはよく似た岩石であるが、マグネシウム(炭酸
塩)が存在する点と、生成の成り立ちが大きく違ってお
り、ドロマイトの方解石のように一次鉱物として海水か
ら直接生成されるものではなく、一旦生成した炭酸塩が
長い歴史の中、熱や圧力等で二次的に変質して生成され
たものである。したがって、方解石を昇温加熱(900
℃程度)すると、酸化カルシウムに変化する。ドロマイ
ト(CaMg(CO3 2 )も同じように酸化カルシウ
ムと酸化マグネシウムに変化するが、一部炭酸基(Ca
Mg(CO3 2 )として濃縮されたようなかたちで残
っており、このMgを含む炭酸基が塩化水素に対して有
効的に働くことも考えられる。すなわち、CaMg(C
3 2 は、安定した物質で、水にも溶けにくいことか
ら、水蒸気の存在する燃焼室内でも反応が阻害されにく
いと推定される。さらに、共存するMgもアルカリ土類
金属の中でBeについで反応性に富む元素であるが、特
定する条件下で精製されたものは、燃焼室内で徐々に反
応し、継続して有効に塩化水素と反応して作用する結果
を得ることができるとも考えている。このことは、従来
技術で述べたように、方解石が1次燃焼室では反応効率
が悪く使用されていないのに対し、本発明のドロマイト
および/または焼成ドロマイト含有のダイオキシン発生
抑制材では、低温域から高温域まで優れた性能を有し、
ダイオキシン類の主要原因物質である塩化水素が発生す
る一次燃焼室で99%以上の抑制効果を発揮する事がで
きることによると考えている。
【0061】
【表2】
【0062】上記表2中の放射率(%)は、赤外法(分
光器;日本分光工業株式会社製)により仮想黒体と試料
(20×30×2mmの板状に加工したもの)の放射率
を比較することにより求めた。より詳しくは、試料の表
面温度を所定の温度(100℃)にし、仮想黒体との比
較放射率を計測し求めた。
【0063】上記表2中の脱臭率は(%)は、テドラー
バッグ内試料1g及び臭いガス600mlを投入し3時
間経過後のガス濃度の変化を測定し、下記式により脱臭
率を求めた。なお、ガス種には、アンモニア(アルカ
リ)、硫化水素(酸性)を使用した。尚、ガス濃度は、
アンモニアは、吸光光度法ないし電位差計を用い、硫化
水素は、ガスクロマトグラフ分析計ないし炎光光度検出
器を用いて行った。
【0064】脱臭率(%)=(ブランクガス濃度−試料ガ
ス濃度)/ブランクガス濃度×100 上記表2中の抗菌率(%)は、大腸菌に関しては、寒天
培地法を用いて行った。詳しくは、寒天培地上において
37℃、16時間培養した大腸菌を1エーゼ50mlの
減菌生理的食塩水に加えた。37℃で8時間振とう培養
後3本の試験管に菌液を10mlづつ、分注した。1つ
の試験管にはドロマイト試料(0.5g)をいれ、他の
1つの試験管には焼成ドロマイト試料(0.5g)をい
れ、もう1つは、対照として37℃で8時間振とう培養
を続行し3時間経過後に試験管内の大腸菌の菌数を測定
した。また、ブドウ上球菌に関しては、加圧密着法によ
り測定した。試料フィルム(ドロマイト添加品、焼成ド
ロマイト添加品、及び無添加品(ブランク)の3つ)上
に、当初、黄色ブドウ球菌数150000/mlとし
て、24時間経過後に試料フィルム上の黄色ブドウ球菌
の菌数を測定した。
【0065】上記表2中の活性率:αb(%)は、鉱物
・岩石(試料)の反応において、気体・溶質に対し強い
異相の能力を有し、エネルギーと時間との物質量(%)
で表示したものである。
【0066】上記表2中の分解率:αa(%)は、鉱物
・岩石(試料)の反応において、鉱物・溶岩における物
質の移動速度であり、数値的には、成分が展開中移動し
た距離と展開溶媒が移動した距離との比で表示したもの
である。
【0067】次に、上述してなるダイオキシン発生抑制
材の製造方法としては、特に制限されるものではない
が、以下に説明する製造方法が造粒物を成形する上で好
ましいものである。かかるダイオキシン発生抑制材の製
造方法は、ドロマイトおよび該ドロマイトを焼成してな
る焼成ドロマイトよりなる群から選ばれてなる少なくと
も1種の主材成分を含む原料組成物と水とを混合し、成
形加工して造粒した後、か焼することを特徴とするもの
であり、好ましくは前記成形加工して造粒した後に、乾
燥し、その後にか焼することを特徴とするものである。
【0068】本発明の製造方法では、既に説明したよう
に、無機微粒子粉末を造粒する場合に一般的に用いられ
る結合剤を用いなくとも、基本的には、ダイオキシン類
の発生抑制能を有する主材成分からなる原料組成物と水
とを混合し、成形加工して造粒した後、か焼すること
で、所望の造粒物を得ることができることを見出したも
のである。すなわち、該主材成分自体が水とのスラリー
化により適度な粘着性を持ち、かつか焼により十分な結
合作用を発現することができるものである。これによ
り、従来は、高性能でかつ高価な高温焼却炉で、高温焼
却処理しなければダイオキシン類を熱分解する事ができ
なかったのに対して、本発明の製造方法により、極めて
簡単で安価に造粒物としてのダイオキシン発生抑制材を
成形することができ、製造コストの低減が図れるほか、
こうした造粒物の製造方法では、造粒化したものから水
分が気化することである程度ポーラスな状態になること
から、ドロマイト構成よりも接触面積を大きくできダイ
オキシン除去能を高めることもできる言える。従って、
後述する実施例からも分かるように、極めて優れたダイ
オキシン類の発生抑制能および分解能を持たせることが
でき、従来の汎用焼却炉に得られたダイオキシン発生抑
制材を使用する、例えば、焼却炉内に被焼却物と共に投
入したり、焼却炉の煙突に内設するだけで、汎用焼却炉
で実現可能な低い焼却温度(ダイオキシンを熱分解する
温度に達しないレベル)でも、ダイオキシン類が発生す
るのを防止することができるという利点があるものであ
る。
【0069】ここで、上記原料組成物に対する水の配合
量は、結合剤の使用の有無によっても異なるが、原料組
成物の総重量を100重量部とした場合に5〜25重量
部、好ましくは8〜20重量部、より好ましくは8〜1
5重量部、特に好ましくは8〜10重量部の範囲であ
る。水の配合量が、5重量部未満の場合には、十分なス
ラリー化ができず、いわば、ぱさぱさの状態に留まるた
め、取り扱い生、成形加工性が十分に得られず、乾燥中
やか焼中に型くずれを起こす場合があるなど好ましくな
く、一方、25重量部を超える場合には、粘性が低く流
動性が高く成りすぎるため、成形加工性が得られず、所
望の形状に造粒することができず好ましくない。
【0070】次に、本発明の製造方法に用いることので
きる原料成分、すなわち、主材のほか、必要に応じて添
加される結合剤、活性剤および他の添加剤等に関して
は、既に説明したダイオキシン発生抑制材の各構成成分
と同様であり、重複することとなるため、ここではその
説明を省略する。また、これらの含有量についても、得
られるダイオキシン発生抑制材中の含有量となるよう
に、調整すればよい。ただし、ここで注意すべきは、原
料の総重量を基準としているため、後述するように揮散
成分を必要に応じて添加した場合には、かかる重量分を
考慮する必要がある。なお、これらの含有量が上記に規
定する範囲を外れる場合には、得られるダイオキシン発
生抑制材において、上記に説明したと同様の理由により
好ましくない場合があるが、既に説明しており重複する
こととなるため、ここではその説明を省略する。
【0071】まず、主材の含有量は、原料組成物の総重
量を基準として50〜100重量%、好ましくは75〜
100重量%、より好ましくは80〜95重量%、特に
好ましくは85〜90重量%である。主材の含有量が5
0重量%未満の場合には、成形加工性が悪く、所望の形
状を与える事ができなくなる場合があるなどの製造上の
問題もある。
【0072】また、活性剤の含有量は、原料の総重量を
基準として1〜20重量%、好ましくは3〜15重量
%、より好ましくは5〜10重量%である。
【0073】また、結合剤の含有量は、原料の総重量を
基準として15重量%以下、好ましくは5〜10重量%
である。結合剤の含有量が15重量%を超える場合に
は、成形加工性が悪く、所望の形状を与える事ができな
くなる場合があるなどの製造上の問題もある。
【0074】また、上記主材の粒度、すなわち、ドロマ
イトおよび/または焼成ドロマイトの粒度は、これら小
さな原料成分粒子を用いてより大きな粒子のダイオキシ
ン発生抑制材を造粒する事ができるに、所定の大きさに
微粉砕されているものを用いる事が望ましい。具体的に
は、主材の平均粒度は3〜50μm、好ましくは5〜3
5μm、より好ましくは5〜20μmのものが適してい
る。主材の平均粒度が3μm未満の場合には、比較的硬
いドロマイトでは、微粉化に要するコストがかかり、ま
た取り扱い時に粉塵が発生しやすいなど好ましくない。
一方、主材の平均粒度が50μmを超える場合には、粒
度調整コストがかさむほか、造粒物の成形加工性が悪
く、所望の形状を与える事ができなくなる場合があるな
ど好ましくない。なお、上記に規定するような粒度のド
ロマイトおよび/または焼成ドロマイトを得る製法とし
ては、特に制限されるものではなく、ドロマイトに関し
ては、例えば、鉱山より採鉱作業後、粉砕し、選別(ふ
るい分け)により所望の粒度のドロマイトを得ることが
できる。また、焼成ドロマイトAに関しては、例えば、
鉱山より採鉱作業後、所定サイズ(50ミクロン以下)
に粉砕したドロマイトを炉で700〜800℃に加熱し
て焼成した後、選別(ふるい分け)により所望の粒度の
焼成ドロマイトAを得ることができる。さらに、焼成ド
ロマイトBに関しては、例えば、鉱山より採鉱作業後、
所定サイズ(50ミクロン以下)に粉砕したドロマイト
を炉で900〜950℃に加熱して焼成した後、選別
(ふるい分け)により所望の粒度の焼成ドロマイトBを
得ることができる。
【0075】また、上記結合剤の粒度は、か焼して十分
な強度に仕上げる事ができるように他の成分同士を結合
する機能を果たすことができ、これら小さな原料成分粒
子からより大きな粒子の造粒物を成形する事ができるよ
うに、所定の大きさのものを用いる事が望ましい。具体
的には、結合剤の平均粒度は3〜50μm、好ましくは
5〜35μm、より好ましくは5〜20μmのものが適
している。結合剤の平均粒度が3μm未満の場合には、
取り扱い時に粉塵が発生しやすいなど好ましくない。一
方、結合剤の平均粒度が50μmを超える場合には、結
合剤本来の機能を十分に発現する事ができ難く、また粒
度調整コストがかさむほか、造粒物の成形加工性が悪
く、所望の形状を与える事ができなくなる場合があるな
ど好ましくない。
【0076】また、上記活性剤の粒度も、上記主材等と
の相互作用によりその機能をより活性化させることがで
き、これら小さな原料成分粒子からより大きな粒子の造
粒物を成形する事ができるように、所定の大きさのもの
を用いる事が望ましい。具体的には、活性剤の平均粒度
は3〜50μm、好ましくは5〜35μm、より好まし
くは5〜20μmのものが適している。活性剤の平均粒
度が3μm未満の場合には、微粉化に要するコストがか
かり、また取り扱い時に粉塵が発生しやすいなど好まし
くない。一方、活性剤の平均粒度が50μmを超える場
合には、相対的に比表面積が低下し、十分な活性機能を
発現させることが困難であり、また粒度調整コストがか
さむほか、造粒物の成形加工性が悪く、所望の形状を与
える事ができなくなる場合があるなど好ましくない。
【0077】さらに、本発明の製造方法では、必要に応
じて、原料にか焼温度下で蒸発ないし熱分解により気化
される水以外の揮散成分を用いてもよい。該揮散成分を
利用することにより、得られるダイオキシン発生抑制材
にダイオキシン類およびその原料の1つである塩化水素
等の塩素化合物や塩素系ガスを分解(吸着)することが
できる活性点を極めて有用かつ効果的に発現させること
ができ、ダイオキシン類の発生を抑制する上で、排ガス
成分とダイオキシン発生抑制材の活性点とが極めて効率
よく接触可能となり、非常に高い分解能(吸着能)を実
現できるためである。
【0078】上記揮散成分としては、か焼により得られ
るダイオキシン発生抑制材に上述したような機能を発現
させる事ができるものであれば特に制限されるものでは
なく、か焼する際に蒸発ないし熱分解により揮散する成
分として分離されるものであれば適宜利用する事ができ
る。特に水溶性のものを用いるのが水との混合により、
均一に混合できるため好ましいと言える。
【0079】上記揮散成分の含有量は、原料の総重量を
基準として0.1〜20重量%、好ましくは0.3〜2
0重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
揮散成分の含有量が0.1重量%未満の場合には、当該
成分がか焼することにより揮散することで形成される細
孔により、適当な細孔容積、比表面積、孔径ピークを持
たせることが困難となる場合がある。一方、揮散成分の
含有量が20重量%を超える場合には、当該成分がか焼
することにより揮散することで形成される細孔により、
適当な細孔容積、比表面積、孔径ピークを持たせること
が困難となるので好ましくない。また、気孔が多くなり
すぎるため、必要な強度を保持することが困難であるば
かりか、か焼時に大量のガスが発生するため、このガス
圧により材料が変形したり、クラックが生じ、ひどい場
合には破損する事があるなど好ましくない。
【0080】また、上記揮散成分の粒度は、ダイオキシ
ン発生抑制材の多孔質化に重要な影響を及ぼすることか
ら、所定の大きさのものを用いる事が望ましい。具体的
には、揮散成分の平均粒度は0.5〜100μm、好ま
しくは0.5〜5μmのものが適している。揮散成分の
平均粒度が0.5μm未満の場合には、当該成分がか焼
することにより揮散することで形成される細孔により、
適当な細孔容積、比表面積、孔径ピークを持たせること
が困難となるなど好ましくない。一方、揮散成分の平均
粒度が100μmを超える場合には、当該成分がか焼す
ることにより揮散することで形成される細孔により、適
当な細孔容積、比表面積、孔径ピークを持たせることが
困難となるほか、十分な強度を発現させることが困難で
あるなど好ましくない。
【0081】なお、本発明のダイオキシン発生抑制材の
製造に用いられる原料の構成成分ごとの含有量を示した
が、これら原料の構成成分の和は、如何なる組み合わせ
であれ、原料全体で100重量%にならなければならな
いことはいうまでもない。
【0082】次に、本発明の製造方法では、上記原料を
上記に規定する比率にて混合し、所定の形状に成形後、
か焼するものであるが、より好ましくは、前記成形加工
して造粒した後に、乾燥し、その後にか焼することが望
ましい。
【0083】ここで、水との混合条件および混合装置に
関しては、特に制限されるものではなく、従来公知の撹
拌ないし混合装置、例えば、水平円筒形混合機(内設羽
根付き)、V型混合機(撹拌羽根付き)、二重円錐型混
合機、リボン型混合機、単軸ロッドまたはピン付きロー
ター型混合機、複軸パドル型混合機(パグミル)、円錐
型スクリュー混合機、高速流動型混合機、回転円板型混
合機、マラー型混合機、気流撹拌型混合機、無撹拌型混
合機、双腕型捏和機、インターナルミキサー、3本ロー
ルミキサー、連続式マラー捏和機、コニーダー、ボテー
ター型捏和機、セルフクリーニング型捏和機等を適当に
利用して行うことができるものであるが、これらの代表
的な例示装置に限定されるものでないことは言うまでも
ない。原料と水との混合により、水と原料成分とが均一
に混合されていればよい。
【0084】次に、所定の形状に成形加工して造粒する
ための形成条件および成形(成型)装置に関しても、特
に制限されるものではなく、目的のダイオキシン発生抑
制材の造粒形態、例えば、球状等の定形形状の粒状物の
他にも不定形形状の粒状物の形態で、板状物(プレー
ト)やペレット等などの定型形状の形態等に応じて、従
来公知のセラミック加工等に使われる成形(成型)装
置、例えば、押出プレスなどにより材料を型から押し出
す押出成形法、材料を型に付着させる浸シ成型法、プレ
ス成形機、ホットプレスなどにより材料を型に入れ型打
ち成形やプレス成形(圧縮成形)を行う型打ち成型法、
スリップ鋳込等により材料を型に入れる鋳込成形法等を
適当に利用して行うことができるものであるが、球状等
の定形形状の粒状物や不定形形状の粒状物形態のものを
成形(造粒)する場合には、捏和装置を利用して、上記
混合操作と当該成形(造粒)操作を連続かつ一体的に処
理することが望ましい。本発明の製造方法では、上記成
形過程で十分に加圧成形する事が可能となる点で有利で
ある。すなわち、所望の強度になるように加圧成形して
も、該成形体中に存在する水分(揮散成分を含む)が、
乾燥・か焼時に蒸発(揮散)することで、多孔質化が容
易になされるためである。一方、水分(揮散成分を含
む)を利用しない場合には、多孔質状態に成形されるよ
うに加圧成形条件を厳密にコントロールする必要がある
が、この場合には、できあがった成形体が脆く取り扱い
が不便であるほか、か焼時にクラックや破損を生じる事
もあり、製造条件が難しく実用的でない。
【0085】次に、乾燥条件としては、成形加工により
得られた成形体中の水分がほぼ完全に取り除かれた状態
になる温度であればよい。具体的には、乾燥温度は、6
0〜95℃、好ましくは65〜85℃、より好ましくは
70〜80℃の範囲であり、乾燥時間は、1〜3時間、
好ましくは1.5〜2時間である。乾燥温度が60℃未
満の場合またはか焼時間が1時間未満の場合には、十分
な乾燥が行えず好ましくない。一方、乾燥温度が95℃
を超える場合または乾燥時間が3時間を超える場合に
は、既に十分な乾燥が行え手織、更なる乾燥に見合う効
果が得られないため不経済である。なお、乾燥後の水分
含有量は、2重量%以下、好ましくは1重量%未満とさ
れている事が望ましい。
【0086】また、か焼条件としては、成形加工により
得られた成形体中の水分が完全に取り除かれ、かつ主材
(さらには、結合剤)が十分に融着可能な状態になる温
度であって、主材の中の炭酸基が完全に分解されて焼成
ドロマイトBにか焼されることがない温度であればよ
い。具体的には、か焼温度は、500〜750℃、好ま
しくは500〜650℃の範囲であり、か焼時間は、1
〜3時間、好ましくは1〜2時間である。か焼温度が5
00℃未満の場合またはか焼時間が1時間未満の場合に
は、十分な強度(結合)が得られず好ましくない。一
方、か焼温度が750℃を超える場合またはか焼時間が
3時間を超える場合には、十分な強度(結合)は得られ
るが、主材(さらには活性剤等)の一部が酸化、分解さ
れて、炭酸基が失われたり、金属が溶融し、主材表面を
被覆してしまい活性点の減少するなど好ましくない。
【0087】また、か焼装置としては、特に制限される
ものではなく、従来公知の加熱装置の他に、加熱手段を
有する成形装置や混練装置等を適宜利用して行うことが
できる。
【0088】また、本発明のダイオキシンの発生の抑制
方法は、上記記載のダイオキシン発生抑制材を、焼却炉
(火葬場の火葬炉を含む)ないしPCB等の加熱処理装
置に使用して、廃棄物の焼却(被火葬物を火葬(荼毘)
に付する場合を含む)ないし加熱処理により発生するダ
イオキシン類を抑制することを特徴とするものである。
これら上記記載のダイオキシン発生抑制材を、焼却炉な
いしPCB等の加熱処理装置に使用する実施形態に関し
ては、既に上述したとおりであるため、簡単に説明すれ
ば、焼却炉内の排気ガス成分と接触可能な位置に設置
する、焼却炉にて焼却する被焼却物(廃棄物)と混焼
する、焼却炉の煙突などに設ける排気ガス中の有害物
質除去用のフィルターと組み合わせて用いる事ができる
ように、円筒状の上下開口部にフィルター材料を設け、
該円筒内部に充填するようにして利用することなどであ
る。
【0089】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
る。
【0090】実施例1 主材成分として、粒度5〜20μmのドロマイト粉体、
粒度5〜20μmの焼成ドロマイト(粒度5〜20μm
の焼成ドロマイトA粉体と、粒度5〜20μmの焼成ド
ロマイトB粉体とがそれぞれ同量含有されたものを使用
した)、並びに活性剤として、粒度5〜20μmの酸化
チタンを、それぞれ下記表3に示す配合量(比率)にて
均一に混合した。なお、混合には、リボンミキサーを使
用した。
【0091】
【表3】
【0092】ただし、上記表3において、本実施例に用
いたダイオキシン発生抑制材A、Bの各構成成分の配合
量(いずれの重量部で表す)に幅があるのは、実験ロッ
トごとに上記に示す範囲でバラツキがあるためである
(よって、以下に示すダイオキシン発生抑制材A、Bご
との実験結果は、それぞれの実験ロットの平均値を用い
たものである)。なお、各実験ロット毎に、採掘したド
ロマイトと焼成ドロマイトとの和を100重量部とし、
さらにこれらの主材100重量部に対する酸化チタンの
配合量を上記表3に示した。
【0093】次に、上記原料組成物100重量部に対し
て水10重量部を用いて、リボンミキサーにて均一に混
合し、成型機(オオタケセラム株式会社製)を用いて、
下記表4に示すそれぞれの形状に成形加工して造粒し、
乾燥器(ホソカワ株式会社製)を用いて、乾燥温度70
〜95℃で含水率が2重量%以下になるまで約2時間乾
燥を行った後、加熱炉(オオタケセラム株式会社製)を
用いて、か焼温度650℃で3時間か焼して、各造粒形
態のダイオキシン発生抑制材A、B(造粒物)を製造し
た。
【0094】
【表4】
【0095】得られたダイオキシン発生抑制材A、Bの
各造粒形態ごとに、その諸特性を測定した。得られた結
果を下記表5に示す。
【0096】
【表5】
【0097】上記表5中、放射率、脱臭率、抗菌率、活
性率及び分解率に関しては、表2において説明したと同
様にして行った。なお、ダイオキシン発生抑制材A、B
ごとの上記諸特性は、各造粒形態ことに得られた値の全
体の平均値を示す。
【0098】次に、一般的な汎用の小・中型ゴミ焼却炉
(用瀬電機株式会社製)で都市固形廃棄物100重量部
(100kg)(このうち塩化ビニルなどの有機塩素化
合物5kgを含有)と、本実施例で得られた球状の造粒
物であるダイオキシン抑制材AまたはBの10重量部を
各ロット毎に予め混合してから該焼却炉に投入し、炉内
温度650℃で焼却処理を行い、燃焼開始時から適当な
間隔毎に排気ガスを収集して、排ガス中のダイオキシン
類(PCDDs、PCDFs及びこれらの合計)の濃度
(毒性等価濃度)を測定した。また、上記被焼却物を完
全に焼却した後に、炉内の焼却灰についても、ダイオキ
シン類(PCDDs、PCDFs及びこれらの合計)の
濃度(毒性等価濃度)を測定した。それぞれの測定結果
(各ロットの平均値)を下記表6に示す。なお、排ガス
および灰(焼却灰)中のダイオキシン類の濃度(毒性等
価濃度)は、財団法人鳥取県保険事業団にそれぞれのサ
ンプルガス及び灰分を採取したものを持ち込み、排気ガ
スおよび灰中のダイオキシン類の濃度(毒性等価濃度)
に関しては、財団法人広島県環境保険協会にて分析した
結果である(以下同様)。
【0099】
【表6】
【0100】比較例1 実施例1で得られたダイオキシン抑制材A、Bを用いな
かった以外は、実施例1と同様にして焼却実験を行い、
燃焼開始時から適当な間隔毎に排ガスを収集して、排ガ
ス中のダイオキシン類(PCDDs、PCDFs及びこ
れらの合計)の濃度を測定した。また、上記被焼却物を
完全に焼却した後に、炉内の焼却灰についても、ダイオ
キシン類(PCDDs、PCDFs及びこれらの合計)
の濃度(毒性等価濃度)を測定した。それぞれの測定結
果を結果を下記表7に示す。
【0101】
【表7】
【0102】
【発明の効果】本発明の廃棄物の焼却ないし加熱処理に
より発生するダイオキシン類を抑制し得るダイオキシン
発生抑制材は、ドロマイトおよび該ドロマイトを焼成し
てなる焼成ドロマイトよりなる群から選ばれてなる少な
くとも1種の主材を含有する造粒物であるため、焼却時
に発生する灰の表面での触媒作用によって発生するダイ
オキシン類に対して、被焼却物と混合して混焼すること
で、焼却時に発生する炉内の排ガス(燃焼ガス)の上昇
流により舞い上げられることなく、ダイオキシン合成の
触媒作用を持つ灰分と常時均一に混在することができる
ため、優れたダイオキシン類の発生抑制効果を奏するこ
とはもとより、発生したダイオキシン類が灰分及び被焼
却物中を上方に移動する際に、ここに混在されているダ
イオキシン発生抑制材と極めて高頻度に接触し得るよう
にすることができるため、灰分及び被焼却物中でそのほ
とんどを分解することもでき、また煙突等に安定な形態
で内設できるめ、排ガスとして系外に排出される以前
に、好適にダイオキシン類を接触分解することもできる
など、その優れたダイオキシン類の分解効果をも十分に
発揮させることができる。これにより、従来、排ガス及
び灰分中の含有されていた高濃度のダイオキシン類を、
共に極めて低いレベルないし完全になくすまでに発生抑
制し、かつ分解する事ができるため、排ガスによる大気
汚染や周辺地域の土壌などの環境汚染の問題が全て解決
できるほか、灰分については、該灰分中に混在するダイ
オキシン発生抑制材の分解能により、灰分に僅かに残留
する極めて低濃度のダイオキシン類に関しても、比較的
短時間で(3〜6カ月程度で)その全てを分解し無害化
できるため、該灰分の埋め立て処理などによる二次的な
環境汚染の問題も、一気に解決することができる。ま
た、国内外の鉱山より極めて安価に安定して大量に入手
できるものであって、特別な成形加工を加えることな
く、極めて簡単な造粒技術により製品化できるため、極
めて経済性に優れている。また、ダイオキシン類の発生
抑制効果以外にも、塩素分の発生抑制効果をも十分に発
現することができることから、既存の塩素分除去フィル
ターを用いなくともよい。また、化学工場などの塩素除
去装置などへの利用も可能であり、その利用用途は、ダ
イオキシン類の発生抑制に限られず、より幅広い分野に
適用できうるものである。さらに、上記実施例の結果か
ら明らかなように、本発明のダイオキシン発生抑制材を
用いずにダイオキシン類を分解するための従来の大型焼
却炉による高温焼却処理に比べて、より低い炉内温度に
て焼却処理しても十分にその効果を発揮することができ
るため、ランニングコストや炉内耐火材の劣化を抑える
こともできるとする利点もある。さらに、大型炉の高温
焼却温度に比してより低い温度での焼却しかできず、こ
うした低い焼却温度(650℃程度)によってはダイオ
キシン類の発生を招くばかりで、なんら分解することが
できない従来の汎用の中・小型焼却炉にても、極めて有
効かつ効果的に利用できるため、既存の多くの中・小型
焼却炉にて、何等の改良を施さなくてもすぐに利用でき
る利点を持つとする利点もある。
【0103】さらに本発明のダイオキシン発生抑制材で
は、被焼却物と混合して混焼する場合には、これらの成
分が焼却後の灰分に含まれるため、上記表5に示すよう
に、優れた抗菌、脱臭効果等を発現させることができる
ため、埋め立て処理する場合でも当該効果により周辺環
境に与える悪臭などの悪影響を抑えることができ、また
一定時間経過させて完全に無害化した後に、再利用に供
する場合でも、抗菌、脱臭効果を発揮できるため、他の
リサイクル樹脂材と一緒に焼き固めて一般歩道などに敷
き詰める舗装タイル材などへの利用も図れる。
【0104】また、本発明のダイオキシン発生抑制材で
は、廃棄物を焼却ないし加熱処理する際にダイオキシン
発生抑制材を存在させるだけでよいため、極めて簡便な
手法により廃棄物の焼却の際のダイオキシン類の発生を
抑制できるものであり、わが国にある2000近い都市
廃棄物焼却炉全てで、何等の改良を加えなくても(ある
いは簡便な改良を加える程度で)直ちに対応できるた
め、その対応が急がれる3,700万トンにも及ぶ国内
で年間に焼却される都市廃棄物から排出されるダイオキ
シン類の環境汚染問題(ひいては環境汚染により引き起
こされる自体暴露や人体汚染の進行)を一気に解決する
ことのできる画期的なものである。さらに、本発明で
は、PCB等の有機塩素化合物を含有する汚染土壌等の
固形廃棄物や廃油等の液状廃棄物、廃プラスチック、下
水汚泥と製紙汚泥などの汚泥、ペンタクロロフェノール
(PCP)で処理した木材あるいは廃材などの産業廃棄物を
含む各種廃棄物の焼却処理にも広く適用できるほか、医
療関係の廃棄物等のように医療施設に設けられた小規模
な焼却施設で焼却される際にも十分適用できるものであ
り、その際の運転管理がたとえ十分でなく低い燃焼温度
による焼却であっても、その効果を遺憾なく発揮できる
極めて有効なものといえる。また、本発明では、ダイオ
キシン発生抑制材を存在させることで、低温加熱処理す
ることができるため、ダイオキシン類を合成するための
熱化学反応に必要な高温域まで加熱することなく廃棄物
中に含有されている有害な汚染物質を除去することがで
きるため、極めて有利なものである。さらに、必要に応
じてアルカリ触媒等を加えることでも、低温加熱処理す
ることができ廃棄物中に含有されている有害な汚染物質
を除去することができるため、極めて有利なものであ
る。また、本発明のダイオキシン発生抑制材を使用(被
焼却物に混合して混焼)してなる各種焼却炉から発生す
る灰分にも、なお僅かなダイオキシン類および多量の微
生物が生息している(具体的には、平均値で7.5〜
8.0×106 個/g)。しかしながら、本発明のダイ
オキシン発生抑制材を含む灰分は、ダイオキシン類の分
解能及び抗菌力を有しているもで、無害化でき、かつ微
生物も生息できないとする、利点を有している。
【0105】また、本発明の製造方法では、ドロマイト
および該ドロマイトを焼成してなる焼成ドロマイトより
なる群から選ばれてなる少なくとも1種の主材成分を含
む原料組成物と水とを混合し、成形加工して造粒した
後、か焼することで、従来の造粒物の製造方法では結合
剤を用いて造粒強度を持たせることなく、従来既知のセ
ラミック製造方法に準じて所望の強度を有する造粒物を
製造する事ができるため極めて有用である。また、ダイ
オキシン発生抑制能や分解能をもたない結合剤をもちい
なくてもよいため、主材の含有率を著しく高める事がで
きる(なんとなれば主材のみの造粒物も成形する事がで
きる)とする利点も有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のダイオキシン抑制材を用いてなる一
般的な小・中型ゴミ焼却炉の概略斜視図を示すものであ
る。
【図2】 図1の一般的な小・中型ゴミ焼却炉の左側面
概略図を示すものである。
【図3】 図1の一般的な小・中型ゴミ焼却炉の正面概
略図を示すものであって、廃棄物を焼却している際の様
子を表す図面である。
【図4】 水蒸気の形で熱回収する最近の都市廃棄物焼
却炉として代表的な移動格子焼却炉の1つである水壁型
燃焼炉の概略図を示す。燃焼炉は、3つの主要な部分か
ら構成されており、入口部(丸数字の1〜4)は、燃焼
部(丸数字の5〜9)に原料を供給し、処理部(丸数字
の10〜13)は固体と気体状での焼却炉排出物を処理
するものである。尚、図中の曲がりくねった矢印(ない
し実線)は、廃棄物が入口部から燃焼部にいき、そこで
固体と気体状排出物に分かれて処理部に至る流れを表し
たものである。
【符号の説明】
101…炉体、 102…煙突、102a
…排気口、 103…被焼却物投入扉、1
04、104’…灰取出扉、 105…吸気口、105a
…吸気管、 106…カバー、107…ダイ
オキシン発生抑制材、 107a,107b…吊設載置部
材、108…支持枠、 108a…開口
部、109…金属製網体、 110…防爆弁、
112…被焼却物。以下に示す図5中の符号(数字)は、
全て丸数字にて示している。 1…開放置場、 2…廃棄物落し穴、3
…充填用クレーン、 4…振動供給器、5…乾
燥格子、 6…燃焼格子、7…移動格
子、 8…燃え切り格子、9…ボイラー
部分、 10…焼却灰溝、11…焼却灰径
路、 12…電気集塵器、13…煙突。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D004 AA01 AA02 AA08 AA31 AA41 AA46 AB07 CA28 CA42 CB02 CC09 CC11 CC12 DA03 DA06 DA09 DA10 DA20

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃棄物の焼却ないし加熱処理により発生
    するダイオキシン類を抑制し得るダイオキシン発生抑制
    材であって、 ドロマイトおよび該ドロマイトを焼成してなる焼成ドロ
    マイトよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の主
    材を含有する造粒物であることを特徴とするダイオキシ
    ン発生抑制材。
  2. 【請求項2】 前記主材の含有量が、ダイオキシン発生
    抑制材の総重量を基準として80〜95重量%であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のダイオキシン発生抑制
    材。
  3. 【請求項3】 前記造粒物が、酸化チタンおよび酸化亜
    鉛の少なくとも1種の活性剤をさらに含むことを特徴と
    する請求項1または2に記載のダイオキシン発生抑制
    材。
  4. 【請求項4】 前記活性剤の含有量が、ダイオキシン発
    生抑制材の総重量を基準として5〜10重量%であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載のダイオキシン発生抑制
    材。
  5. 【請求項5】 前記造粒物の粒度が、5〜15mmであ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載
    のダイオキシン発生抑制材。
  6. 【請求項6】 ドロマイトおよび該ドロマイトを焼成し
    てなる焼成ドロマイトよりなる群から選ばれてなる少な
    くとも1種の主材成分を含む原料組成物と水とを混合
    し、成形加工して造粒した後、か焼することを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれか1項に記載のダイオキシン発
    生抑制材の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記成形加工して造粒した後に、乾燥
    し、その後にか焼することを特徴とする請求項6項に記
    載のダイオキシン発生抑制材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記主材の含有量が、原料組成物の総重
    量を基準として80〜95重量%であることを特徴とす
    る請求項6または7に記載のダイオキシン発生抑制材の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記主材に使用する成分の粒度が、5〜
    30μmの範囲であることを特徴とする請求項6〜8の
    いずれか1項に記載のダイオキシン発生抑制材の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記原料組成物が、酸化チタンおよび
    酸化亜鉛の少なくとも1種の活性剤をさらに含むことを
    特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のダイオ
    キシン発生抑制材の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記活性剤の含有量が、原料の総重量
    を基準として5〜10重量%であることを特徴とする請
    求項6〜10のいずれか1項に記載のダイオキシン発生
    抑制材の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記活性剤に使用する成分の粒度が、
    5〜30μmの範囲であることを特徴とする請求項6〜
    11のいずれか1項に記載のダイオキシン発生抑制材の
    製造方法。
  13. 【請求項13】 前記水の配合量は、原料組成物の総重
    量を100重量部とした場合に8〜20重量部の範囲で
    あることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に
    記載のダイオキシン発生抑制材の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記乾燥温度が、65〜85℃の範囲
    であることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項
    に記載のダイオキシン発生抑制材の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記か焼温度が、600〜700℃の
    範囲であることを特徴とする請求項6〜14のいずれか
    1項に記載のダイオキシン発生抑制材の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    ダイオキシン発生抑制材を、焼却炉ないし加熱処理装置
    に添加および/または設置し、廃棄物の焼却ないし加熱
    処理により発生するダイオキシン類を抑制することを特
    徴とするダイオキシンの発生の抑制方法。
JP11038900A 1999-02-17 1999-02-17 ダイオキシン発生抑制材及びその製造方法、並びにこれを用いてなるダイオキシンの発生の抑制方法 Withdrawn JP2000239647A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11038900A JP2000239647A (ja) 1999-02-17 1999-02-17 ダイオキシン発生抑制材及びその製造方法、並びにこれを用いてなるダイオキシンの発生の抑制方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11038900A JP2000239647A (ja) 1999-02-17 1999-02-17 ダイオキシン発生抑制材及びその製造方法、並びにこれを用いてなるダイオキシンの発生の抑制方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000239647A true JP2000239647A (ja) 2000-09-05

Family

ID=12538081

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11038900A Withdrawn JP2000239647A (ja) 1999-02-17 1999-02-17 ダイオキシン発生抑制材及びその製造方法、並びにこれを用いてなるダイオキシンの発生の抑制方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000239647A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016125046A (ja) * 2015-01-06 2016-07-11 株式会社ガイアテクノロジー ダイオキシン類生成抑制剤及びそれを用いた廃棄物の焼却処理方法。

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016125046A (ja) * 2015-01-06 2016-07-11 株式会社ガイアテクノロジー ダイオキシン類生成抑制剤及びそれを用いた廃棄物の焼却処理方法。

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Peng et al. Characterization of PCDD/Fs and heavy metal distribution from municipal solid waste incinerator fly ash sintering process
CN107159678B (zh) 铁矿烧结协同处理垃圾飞灰过程的二噁英控制方法
KR100187307B1 (ko) 폐기물 소각방법
Gianoncelli et al. Fly ash pollutants, treatment and recycling
JP4460387B2 (ja) 廃棄物及び汚染物質の減容・無害化処理方法及び装置
CN112777903B (zh) 一种市政污泥链辗悬浮干化清洁焚烧装备及焚烧方法
CN1772662A (zh) 一种在生产水泥的同时又处理污泥的方法
NL9202033A (nl) Werkwijze voor de behandeling van verbrandingsresiduen en de toepassing daarvan als adsorptiemiddel.
JP2001149776A (ja) ダイオキシン発生抑制材及びその製造方法、並びにこれを用いてなるダイオキシンの発生の抑制方法
CN103936311A (zh) 一种有机污染土与城市废弃物联合处理与水泥窑结合的方法
JP4040035B2 (ja) 下水汚泥の処理方法および装置
JP4219461B2 (ja) ダイオキシン類による汚染物の改良剤およびその用途
JP4150801B2 (ja) 焼却灰の無害化・再資源化のための処理方法および装置
JP2000239647A (ja) ダイオキシン発生抑制材及びその製造方法、並びにこれを用いてなるダイオキシンの発生の抑制方法
JP4150800B2 (ja) 低温度における焼却灰の無害化・再資源化のための処理方法および装置
JP2006207909A (ja) 廃棄物及び汚染物質の再資源化装置及びその方法
JP2008273749A (ja) 人工骨材とその製造方法
JP2000210556A (ja) ダイオキシン発生抑制材及びその製造方法、並びにこれを用いてなるダイオキシンの発生の抑制方法
JPH11128876A (ja) 使用済排ガス処理剤を含む焼却飛灰の処理方法
JPH11316005A (ja) ダイオキシン発生抑制剤およびその使用方法
JP2010247045A (ja) 焼却灰の触媒能と吸着能の賦活化方法
JP3108061B2 (ja) 焼却灰の処理方法及び処理装置
JP5116322B2 (ja) 有機汚染物質排出量低減方法
JP3963003B2 (ja) 低温度における焼却灰の重金属類及びダイオキシン類の処理方法
CN113649393B (zh) 一种烧结处理水洗飞灰过程二噁英的控制方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060509