JPH11315213A - 食品包装用フィルム及び包装済み食品 - Google Patents

食品包装用フィルム及び包装済み食品

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JPH11315213A
JPH11315213A JP10334711A JP33471198A JPH11315213A JP H11315213 A JPH11315213 A JP H11315213A JP 10334711 A JP10334711 A JP 10334711A JP 33471198 A JP33471198 A JP 33471198A JP H11315213 A JPH11315213 A JP H11315213A
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cyclodextrin
film
polymer
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packaging film
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バリヤー性に優れ、他の樹脂と混合したときに
適合性(相溶性)があり、透明性、加工性又は構造特性
が著しく低下することのない、シクロデキストリン誘導
体を含む食品包装用フィルム及び包装済み食品を提供す
る。 【解決手段】熱可塑性ポリマー及びフィルム内でシクロ
デキストリンと適合する置換基を有する分散シクロデキ
ストリン化合物を含む熱可塑性ウェッブで構成されるバ
リヤーフィルム化合物であり、その熱可塑性/シクロデ
キストリンフィルムは、フィルム材料に含まれる置換シ
クロデキストリンと浸透性物質との相互作用によって、
実質的なバリヤー特性を得ることができる。シクロデキ
ストリン分子上の置換基によってシクロデキストリンが
分散かつ安定性を持つようになり、その結果、押し出し
成形可能な熱可塑性物質が提供される。その様な材料
は、単層フィルムまたは多層積層フィルムとして用いら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、パッケージ材料と
して用いることができる、バリアー特性を有する熱可塑
性ポリマー組成物に関する。熱可塑性バリアー材料は、
バリヤー被膜、柔軟フィルム、半硬質シート又は硬質シ
ートや硬質構造体に形成されてもよい。熱可塑性バリア
ー材料はまた、そのバリヤー形成材料を一成分として含
み、熱可塑性フィルム形成材料の水性溶液、溶剤溶液ま
たは懸濁液から形成される被膜としてもよい。その様な
フィルムシートや被膜材料は、様々な浸透性物質(perme
ant)に対するバリヤーとして機能する。浸透性物質とし
ては例えば、水蒸気、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水
素類、脂肪族ハライド類、芳香族ハライド類、複素環族
炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、アミン類、
カルボン酸類、ケトン類、エーテル類、エステル類、硫
化物類、チオール類、モノマー類等の有機物や、異臭等
及び悪臭等が挙げられる。本発明の熱可塑性バリヤー組
成物は、従来の加工技術を用いて押し出し成形、積層成
形、注型成形等によって、有用なフィルム状、シート
状、構造体状、または成形体状等様々に形成することが
できる。さらに、単層、二重層、多層フィルムを、被
膜、印刷、またはエンボスして加工することが可能であ
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性組成物で作られた包装用フィル
ム材料、半硬質もしくは硬質シートまたは硬質構造物製
容器の開発は、非常に注目されてきた。その様な応用例
では、ポリマー組成物は様々な浸透性成分の侵入を防ぐ
バリヤー、つまりパッケージの内容物と浸透性物質との
接触を妨げるという役割を果たしている。バリヤー特性
の向上は、フィルム及び熱可塑性樹脂の製造者にとって
重要な目標である。
【0003】バリヤー特性は、その材料の構造と成分の
両方から生じる。例えば、構造体の順序、すなわち材料
の結晶性やアモルファス特性、層や保護被膜の存在等
が、バリヤー特性に影響を及ぼすことがある。多くの材
料のバリヤー特性は、液晶(liquid crystal)や自己配列
分子技術(self-ordring molecular technology)、例え
ばエチレンビニルアルコールフィルムのような材料を一
軸配向させたり、ナイロンフィルムを二軸配向させてさ
らに有用な構造体を得る技術を用いて向上させる事が可
能である。ポリマーの内部構造は、浸透性物質の浸透に
対する抵抗力を増加させるように、結晶又は配向させて
もよい。熱可塑性材料或るいはパッケージ被膜材料は、
浸透性物質がバリヤー表面に吸着しないようなものを選
んでもよい。また、浸透性物質がバリヤーを通過するこ
とを防止できるものを選んでもよい。フィックの法則(F
ich´s law)や非フィックの拡散に該当する浸透が既に
観察されている。一般的に、浸透は濃度及び温度に依存
する通過作用の一種である。
【0004】浸透プロセスは多段工程として表現され
る。まず、浸透性分子がポリマーと衝突してポリマー内
に吸収される。次に、浸透分子にはランダムな動きが起
こり、ポリマーマトリックス内を通り抜け(migration t
hrough)、最後に浸透分子がポリマーから脱離し、プロ
セスが終了する。このプロセスは、フィルムの外側とパ
ッケージ内部との間に存在する化学的濃度差を解消する
ために起こる。ある有機分子が包装フィルムに浸透する
時、二つの要素部分、拡散率、それにその分子のフィル
ムに対する溶解度が関与する。拡散率を調べれば、分子
がフィルムを通過する速度が分かる。その速度は、浸透
性分子がポリマーの中を移動しやすいかどうかに影響す
る。溶解度は、フィルム内を移動する位置にいるであろ
う浸透性分子の濃度の目安になる。拡散と溶解度は、バ
リヤーフィルムの性能の重要な目安になる。有機物蒸気
が包装フィルムに浸透して大量に移動するメカニズムは
2つある。それは、毛細管流(capillary flow)と活性化
拡散(activated diffusion)である。毛細管流には、ピ
ンホールや高多孔性媒体を通して小さい分子が浸透する
現象が含まれる。もちろんこの性質は、高バリヤーフィ
ルムにとって望ましいものではない。二番目の活性化拡
散と呼ばれる現象は、浸透分子が流入物表面で非多孔質
フィルムに効率良く吸収されて溶解し、濃度の勾配(高
濃度から低濃度まで)下でフィルムを通じて拡散し、低
濃度で流出物表面から放出されることを示す。非多孔質
ポリマーフィルムではそれゆえ、浸透分子の大量輸送は
3つのステップ、すなわち吸収、拡散及び脱離で構成さ
れる。吸収と脱離は、フィルム中の浸透分子の溶解度に
依存する。ポリマーが蒸気を吸収するプロセスは2つの
段階からなると考えられる。つまり、ポリマー表面の蒸
気を濃縮し、その濃縮された蒸気をポリマーに溶け込ま
せるのである。薄膜ポリマーフイルムにとっては、浸透
とは浸透濃度勾配下でフィルムを通過する物質の流れで
ある。浸透を促進する力は、フィルムの両側の浸透分子
の圧力差として付与される。複数の要素によって、浸透
性分子が薄いポリマーフィルムを通して浸透する能力が
決まる。その要素とは、例えば、大きさ、形、浸透性物
質の化学的性質、ポリマーの物理・化学的性質、それに
浸透性物質とポリマー間の相互作用である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明で用いられてい
る浸透性物質(透過性物質と同義)とは、実質的に検出
可能な濃度で大気中に存在し、周知のポリマー材料に通
過可能なものを示す。実に様々な浸透剤が知られてい
る。その様な浸透剤には、水蒸気、芳香族炭化水素類及
び脂肪族炭化水素類、モノマー成分類とその残基類、異
臭類、悪臭類、香水類、煙類、殺虫剤類、有毒物質類な
どが含まれる。典型的なバリヤー材料は、ポリマーの単
層、二層同時の押し出し又は積層によって作られたポリ
マーフィルム、被膜された単層、二重層、またはフィル
ム又はシートの片面或るいは両面に一回またはそれ以上
の回数コーティングされた多層フィルムから成る。
【0006】食品包装用として最も広く利用されている
二種類のバリヤーポリマーは、エチレンビニルアルコー
ル共重合体(EVOH)もしくはエチレンビニルアセテ
ート共重合体(EVA)、及びポリビニリデンクロライ
ド(PVDC)である。これ以外の有用な熱可塑性樹脂
は、例えば、エチレンアクリル酸、エチレンメタクリル
酸などを含むエチレンアクリル材料が挙げられる。この
ようなポリマーは商業的にも利用可能であり、ガス類、
香味類(flavors)、芳香類(aromas)、溶剤類及びほとん
どの化学物質類の浸透に幾らか抵抗性を持つ。PVDC
はまた、湿度の遮断に優れ、一方EVOHは加工性に優
れかつ再利用材料として実質的に使用することができ
る。EVOH共重合体樹脂は、様々なエチレン濃度を持
つグレードを有し、様々な用途に広く応用されている。
エチレン含量が減少すると、ガス類、香味類、及び溶剤
類に対するバリヤー特性が増加する。EVOH樹脂は、
支持層(structure layer)であるポリオレフィン、ナイ
ロン、又はポリエチレンテレフタレート(PET)と複
合押し出し成形品として一般的に用いられる。商業的に
は、非晶質ナイロン樹脂が単層ボトルやフィルム用に適
用するために改良されてきた。適度のバリヤーポリマー
材料、例えば単層ポリエチレンテレフタレート、ポリメ
チルペンテン又はポリビニルクロライドにも利用でき
る。
【0007】現在ではバリヤー特性の向上のための様々
な技術に関心が寄せられている。包装材料の物理的バリ
ヤーと、活性化学バリヤーもしくは密封包装材料として
併用することについての研究が活発になっている。中で
も注目されているのは、特定のコポリマーとターポリマ
ー材料の使用、特定のポリマーアロイの使用、シリカ金
属、有機金属などのバリヤー材料として改良された被膜
の使用といった利用である。
【0008】別の重要なバリヤー技術には、ポリマー化
された被膜またはバルクポリマー材料内に酸素吸収剤や
捕集剤を使用することが含まれる。鉄(ferrous)化合
物、粉体状酸化物、または金属プラチナのような金属還
元剤をバリヤー装置に導入しても良い。この様な装置に
よって、酸素をフィルム内で安定した酸化物に変え、捕
集する。非金属酸素捕集剤もまた改良が加えられ、金属
または金属的な味や臭いに関する問題を軽減するために
用いられる。この様な装置には、アスコルビン酸(ビタ
ミンC)及び塩類のような化合物が含まれる。最近の研
究では、酸素に対し親和性がある有機金属分子が導入さ
れている。その様な分子は、包装材料の内側または閉鎖
されたスペースから酸素を除去し、内側のポリマー化学
構造に酸素分子を吸収する。
【0009】パッケージング関係の科学技術者たちは、
より高いバリヤー特性を得るために、材料をブレンド
し、新しいポリマーフィルム、被膜フィルム、ポリマー
アロイなどを開発し続けてきた。この様な装置は実用性
の面ではある程度の成功を収めているが、バリヤー特性
を低コストで得るといった、数々の要素のために、実質
的には商業的成功を収めていない。
【0010】ポリマー材料のポリマーブレンドまたはコ
ンパウンドを探索する際に起こる一つの問題は、フィル
ムの物理的特性と関連がある。フィルムは、包装材料と
して利用するために、実質的なクリヤー度、引っ張り強
度、耐浸透性、引き裂き抵抗などを保たねばならない。
フィルム押し出し前に、好ましくない材料を熱可塑性物
質にブレンドすると、フィルムの特性が実質的に減少し
てしまう。ポリマーアロイ用の適合性ポリマー材料と、
ポリマー材料用の適合性添加物を見付け出すためには、
適合性を実験で証明せねばならず、理論付けが難しい。
しかしながら、従来のテスト方法を用いて、クリヤー
度、加工性や構造特性をほとんど損なわずにバリヤー特
性を向上させた化合物を示せば、適合性が証明される。
従って実際には、ポリマー材料に導入して、構造上の特
性を余り損なわずに優れたバリヤー特性を得られる包装
用熱可塑性物質を開発した事を示せばよいわけである。
【0011】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、バリヤー性に優れ、他の樹脂と混合したときに適合
性(相溶性)があり、透明性、加工性又は構造特性が著
しく低下することのない、シクロデキストリン誘導体を
含む食品包装用フィルム及び包装済み食品を提供するこ
とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の食品包装用フィルムは、改良されたバリヤ
ー特性を持つ熱可塑性フィルム組成物を含む食品包装用
フィルムであって、(a)熱可塑性ポリマー、及び
(b)ポリマーに均一に分散し、有効に浸透物質を吸収
する量のポリマー適合性シクロデキストリン誘導体を含
み、前記シクロデキストリンは、実質的に混在錯体化合
物を含まない熱可塑性フィルム組成物であることを特徴
とする。
【0013】前記フィルムにおいては、浸透性物質が残
留ポリマー揮発性物質を含んでいてもよい。前記包装す
べき食品は液状食品であってもよい。
【0014】また前記フィルムにおいては、熱可塑性ポ
リマーがアルファオレフィンを含むビニルポリマーであ
っても良い。また前記フィルムにおいては、熱可塑性ポ
リマーが、塩化ビニル又はビニリデンジクロライドを含
む塩素含有ビニルポリマーであっても良い。
【0015】また前記フィルムにおいては、熱可塑性ポ
リマーが、ポリ(ビニルクロライド−コ−ビニルアセテ
ート)又はポリ(ビニルクロライド−コ−ビニリデンジ
クロライド)であっても良い。
【0016】また前記フィルムにおいては、熱可塑性ポ
リマーが、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレン−コ
−ビニルアルコール)、又はポリ(エチレン−コ−メチ
ルアクリレート)であっても良い。
【0017】また前記フィルムにおいては、シクロデキ
ストリン誘導体が、β−シクロデキストリン誘導体を含
むことが好ましい。また前記フィルムにおいては、シク
ロデキストリン誘導体が、シクロデキストリン第一炭素
原子上に少なくとも一つの置換基を持っていても良い。
【0018】また前記フィルムにおいては、シクロデキ
ストリンがα−シクロデキストリン、β−シクロデキス
トリン、γ−シクロデキストリン又はそれらの混合物で
あっても良い。
【0019】また前記フィルムにおいては、熱可塑性ポ
リマーが、0.1〜5重量%のポリマー適合性シクロデ
キストリン誘導体を含むことが好ましい。また前記フィ
ルムにおいては、熱可塑性ポリマーが、ポリエステルで
あっても良い。ポリエステルはポリ(エチレン−コ−テ
レフタレート)を含む。
【0020】また前記フィルムにおいては、熱可塑性ポ
リマーが、ポリエチレンであっても良い。ポリエチレン
は高密度ポリエチレンを含む。次に本発明の包装済み食
品は、請求項1〜14のいずれか1項に記載の食品包装
用フィルムでパッケージングされたことを特徴とする。
【0021】本発明者らは既に、ポリマー中に分散した
適合性シクロデキストリン誘導体を有するバリヤー層を
形成することによって、透明性、加工性又は構造特性が
著しく低下することなく熱可塑性ポリマーのバリヤー特
性を向上させられることを見い出した。本発明者らは2
つの実施例を開発している。第1番目は、シクロデキス
トリン誘導体を含む熱可塑性物質技術を用いて作られた
バリヤーに関するものである。第2番目は、バリヤー層
を形成するためのシクロデキストリン誘導体と結合した
フィルム形成材料又はポリマー形成材料の溶液又は懸濁
液をキャスティングして得られる被膜である。シクロデ
キストリン誘導体は、適合性を有する置換基が無けれ
ば、バルク材料に十分適合することができず、その結
果、クリアーで有用なバリヤー層や包装材料ができな
い。適合性シクロデキストリン誘導体は、混在物錯体(i
nclusion complex)をほとんど含まない化合物である。
本発明で「混在物錯体をほとんど含まない」というの
は、フィルム内の分散シクロデキストリン誘導体の大部
分が、シクロデキストリン分子の内部に浸透性物質を持
たないシクロデキストリンリングを含むことを意味す
る。そのシクロデキストリン化合物は錯体なしで添加さ
れるが、ポリマー分解または塗料またはコーティング組
成物によって、製造工程中で幾らか合成が起こる。シク
ロデキストリンの内側の空洞部(internal cavity)は、
複合した分子によって塞がれていない状態を保つ。
【0022】シクロデキストリン誘導体は、ポリマー材
料と適合性を有するシクロデキストリン分子と結合した
置換基を持つ。シクロデキストリンは分子内に6以上の
グルコース部分を持つ環状デキストリン分子である。シ
クロデキストリンは、α−シクロデキストリン(αC
D)、β−シクロデキストリン(βCD)、γ−シクロ
デキストリン(γCD)、またはその混合物であること
が望ましい。本発明者らは、シクロデキストリン分子の
誘導化が、シクロデキストリン材料の形成に重要である
事を見い出した。クリヤー度、加工性や構造的特性また
はパッケージとしての特性を損なうことなく熱可塑性バ
ルクポリマー材料に効果的にブレンドすることができる
のである。シクロデキストリン分子の置換基は、その成
分、構造、極性がポリマーの成分、構造、極性と合うも
のが選ばれる。そうすることによって、シクロデキスト
リンがポリマー材料との間に十分な適合性を持つ。その
上、従来の熱可塑性物質製造技術によって、熱可塑性ポ
リマーにブレンドされ、フィルムまたは半硬質または硬
質シート又は他の硬質構造材料に形成される誘導シクロ
デキストリンが選ばれる。本発明者らはシクロデキスト
リン材料が、構造特性を実質的に減少させることなくそ
のような熱可塑性バリヤー構造を形成するのに使用でき
ることを発見した。そのフィルムによって汚染物質をポ
リマーマトリックス及び製品貯蔵から分離するための防
臭弁やバリヤーを提供し、環境を保護することが可能に
なる。包装フィルム材料の製造に用いられる熱可塑性ポ
リマーは精製プロセスから生じるモノマーを重合して得
られる典型的な製品である。重合化学工業で用いられる
精製流体は、いずれも残留モノマー、微量の精製炭化水
素、触媒及びポリマーマトリックスに含まれる不純物と
しての触媒副産物を含む。さらに、材料が製造後に包装
され、保存・使用される環境は、しばしばある程度の割
合の汚染物質を含み、その様な汚染物質はバリヤーフィ
ルムやバリヤーシートに浸透し、食物などの内容物を汚
染する。残留ポリマーの揮発物は、押し出し機を用いて
シクロデキストリンを溶融フィルムポリマーに分散させ
る事によって合成される。シクロデキストリン(CD)
と溶融ポリマーを押し出し機のバレル内で滞留又は混合
する時間は、残留ポリマー揮発物の合成より先になる。
ポリマーを通して拡散された環境汚染物質と共に、ポリ
マー内で分散した非複合シクロデキストリンが残留する
と考えられる。そのシクロデキストリンは、ポリマー分
子鎖間のみならずポリマー鎖間の空洞部に広く残留して
いる。浸透性物質が曲がりくねった通路上のポリマーを
通して分散しているので、非合成シクロデキストリンは
フィルム内に分散している時に浸透性物質の分子に複合
する事ができる。引き続きフィルムのシクロデキストリ
ン分子間で同じ浸透分子の合成や放出が可能である。換
言すれば、フィルムに拡散しているシクロデキストリン
は合成・放出を続けている。拡散率は、シクロデキスト
リンの存在によって生じる穴の数と大きさによって増加
し得る。その変性シクロデキストリンは、ポリマーと適
合し、フィルムのバリヤー特性に悪影響を及ぼさない大
きさと形などの化学特性を有する事が望ましい。
【0023】他の高バリヤー特性フィルム技術に対する
シクロデキストリンの利点は2つある。一つは、シクロ
デキストリンは全てのポリエチレン及びポリプロピレン
包装フィルムに固有の残留有機揮発性汚染物質と合成す
る事ができる。二つ目としては、シクロデキストリンは
浸透分子と合成するという独特の性能を呈する。これが
ないと、その浸透性物質はパッケージのフィルム添加改
良剤を通り抜け、製品の質と安全性を脅かすであろう。
【0024】包装フィルムは全て有機物蒸気を通すの
で、所定時間にフィルムに浸透した量を測定する事は特
定の包装フィルムの性能を知る上で重要である。上記の
浸透プロセスは、低水分活性食品(クラッカー類、クッ
キー類、シリアル類)の場合は速い。浸透プロセスは、
パッケージの外部の相対湿度と製品の貯蔵温度によって
速くも遅くもなる。パッケージ外部の相対湿度が上昇す
ると、パッケージの内外の気圧差が増す。気圧差がより
大きく、及び/又は温度が上昇すればそれだけ、有機性
浸透物質が速やかにフィルムに拡散する。今回の検討で
フィルムのサンプをのテストするために用いられた方法
では、テスト結果を早く出すために、最悪のケースの
(パッケージ外部の相対湿度が60%でパッケージ内部
の水の活性度は0.25であった)保存状態が用いられ
た。ここで用いられた有機浸透濃度は、包装材料に印刷
するために用いられているインク、ポリマーや紙または
ホイルのラミネートに用いられる添加物又はガソリン、
ディーゼル燃料、塗料溶剤、洗浄剤、合成香料、食品な
どに汚染されている食品から得られた。相対湿度、水分
活性及び浸透濃度が、現在産業的に利用される数々の高
バリヤーフィルムのテストに用いられている。そのテス
トによって、様々な高バリヤーフィルム間の性能の差を
効果的に証明する事ができる。高バリヤーフィルムの性
能の上で重要なテストパラメーターは4つである。第1
は、浸透剤がパッケージに拡散し始めるのに要する時
間、いわゆる「ラグタイム」である。第2は浸透剤がフ
ィルムに拡散する率、第3は所定時間内にフィルムを通
過する事のできる浸透剤の総量、そして4番目はバリヤ
ーが浸透剤の侵入に対しどれだけ有効かという事であ
る。
【0025】本発明者らはまた、本発明の熱可塑性材料
にシクロデキストリン誘導体を加えれば、表面張力、静
電特性といった特性を向上させる事ができる事を見い出
した。その様な特性があれば、このバリヤー材料を被膜
や印刷に適用しやすくなる。シクロデキストリン誘導体
材料は、様々な熱可塑性フィルム及びシートに添加する
事が可能である。
【0026】
【発明の実施の形態】(1)フィルム フィルム又はシートは、熱可塑性樹脂の補強されていな
い部分であり、幅や長さに比べ厚みが非常に少ない。一
般的なフィルムの厚さは0.25ミリメートル、一般に
は0.01〜20mmである。シートの場合、厚さは0.
25mm〜数センチメートル、典型的には0.3〜3m
mである。フィルム又はシートは、単独でも、または積
層、同時押し出し、又は被膜によって他のシート、ファ
ブリック(fablic)、構造ユニットと組み合わせて用いる
事もできる。本発明ではウェッブという語はフィルム、
シート、半硬質シートと硬質シート、及び形成後の硬質
ユニットを意味する。重要な特性とは、引っ張り強度、
伸び、剛性、引き裂き強度、及び耐久性(resistance)を
意味する。それ以外の特性としては、ヘイズ(haze:濁り
性)、透明性といった光学的特性が挙げられる。水の吸
収性及び水蒸気を含む各種浸透性物質の透過性のような
耐化学的抵抗性、導電率のような電気特性、縮み性、ク
ラッキング性、耐候性のような浸透特性も含まれる。
【0027】熱可塑性材料は、吹込熱可塑押し出し成形
(blow thermoplastic extrusion)、押し出し線形二軸配
向フィルム成形、及び溶融した熱可塑性樹脂、モノマー
またはポリマー(水性または有機溶剤)懸濁液からの注
型成形による方法などの様々なプロセスを用いてバリヤ
ーフィルムに形成される。これらの方法自体は、良く知
られている製造法である。バリヤーフィルム形成の成功
を導いたポリマー熱可塑性物質の特徴を以下に記す。熱
可塑性樹脂の製造に熟練した当業者であれば、熱可塑性
工程及び特別の最終使用目的に従って、分子量(熱可塑
性物質業界では分子量の目安としてメルトインデックス
が選択される。メルトインデックスとは分子量、密度、
及び結晶度に反比例している。)をコントロールする事
によってポリマー材料を調整する事は良く知られてい
る。吹込熱可塑押し出し成形用としては、ポリプロピレ
ン、ナイロン、ニトリル、PETG、それにポリカーボ
ネートが時々吹込フィルムを形成する目的で用いられて
いるけれども、ポリオレフィン(LDPE、LLDP
E、HDPE)が最もよく用いられる熱可塑性ポリマー
である。一般的なポリオレフィンのメルトインデックス
は0.2〜3グラム/10分、密度は約0.910〜約
0.940グラム/cc、そして分子量は約200,0
00〜500,000である。二軸配向フィルム押し出
しの場合、最も良く用いられるポリマーはオレフィン
系、主としてポリエチレンとポリプロピレン(メルトイ
ンデックスは約0.4〜4グラム/10分、分子量は約
200,000〜600,000)である。ポリエステ
ルとナイロンを用いても良い。注型成形用としては、溶
融された熱可塑性樹脂またはモノマー懸濁液が、典型的
にはポリエチレンやポリプロピレンから製造される。時
には、ナイロン、ポリエステル及びPVCも注型成形さ
れる。アクリル酸ウレタン及びPVDCを基本材料とす
る水系分散体のロールコーティング用としては、分散物
は被膜前に結晶度及び分子量が最大になるまで重合され
る。
【0028】様々な種類の熱可塑性材料がフィルム及び
シート製品形成に使用される。その様な材料の例として
挙げられるのは、ポリメチルメタクリレート、ポリ−n
−ブチル−アクリレート、ポリ(エチレン−コ−アクリ
ル酸)、ポリ(エチレン−コ−メタクリレート)等のよ
うなポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジェン−コ−ス
チレン)ポリマー、アクリル酸ポリマー;セルロースア
セテート、セルロースアセテートプロピオネート、セル
ロースアセテートブチレート及びセルローストリアセテ
ート等を含むセロファン、セルロース類;ポリテトラフ
ルオロエチレン(テフロン(デュポン社商標))、ポリ
(エチレン−コ−テトラフルオロエチレン)コポリマ
ー、(テトラフルオロエチレン−コ−プロピレン)コポ
リマー、ポリビニルフッ化ポリマー等を含むフッ素ポリ
マー;ナイロン6、ナイロン6,6等のようなポリアミド
類;ポリカーボネート;ポリ(エチレン−コ−テレフタ
レート)、ポリ(エチレン−コ−1,4−ナフタレンジ
カルボキシレート)、ポリ(ブチレン−コ−テレフタレ
ート)等のようなポリエステル;ポリイミド材料;低密
度ポリエチレンを含むポリエチレン材料;直鎖状低密度
ポリエチレン、高密度ポリエチレン、高分子量高密度ポ
リエチレン等;ポリプロピレン、二軸配向ポリプロピレ
ン;ポリスチレン、二軸配向ポリスチレン;ビニルフィ
ルム、例えばポリビニルクロライド、(ビニル−クロラ
イド−コ−ビニル−アセテート)コポリマー、ポリビニ
リデンクロライド、ポリビニルアルコール、(ビニル−
クロライド−コ−ビニリデン−ジクロライド)コポリマ
ー、特殊フィルム、例えばポリスルホン、ポリフェニレ
ンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、液晶ポリ
エステル、ポリエーテルケトン、ポリビニルブチラル等
である。
【0029】フィルム及びシートは通常、溶融押し出
し、カレンダリング、溶液キャスティング(注型)、及
び化学再生プロセスといった熱可塑性物質技術を用いて
製造される。多くの製造ステップでは、一軸又は二軸配
向処理がなされる。フィルム及びシートはほとんど、溶
融押し出し技術によって製造される。溶融押し出しで
は、材料は押し出し機内で融点より高温にまで加熱さ
れ、一般的な押し出し機(エクストルーダー)は、材料
供給部27、溶融域28及び押し出し部29を有する。
溶融物はスロットダイに導入されて側面が薄く平坦にな
り、急速に冷却されて固体になり、配向される。一般的
には、押し出し後の熱いポリマーフィルムは、ロールや
ドラムの上、または空気流によって急速に冷やされる。
最終的には、急冷槽を用いても良い。熱可塑性材料はま
た吹込まれる。図2においては、熱溶融ポリマーが環状
ダイ22からチューブフォーム21として押し出されて
いる。このチューブは空気によって膨脹し(エアー導入
口26参照)するが、その際、その直径は、望ましいフ
ィルム特性や実際の取り扱いを考慮の上決められる。熱
溶融したポリマーが環状ダイから出てくる時、押し出さ
れた熱いチューブが空気によって当初のダイの直径の
1.2〜4倍に膨脹される。同時に、冷却空気によって
(空気流供給口20参照)、中空で管状の断面部分21
を有して押し出される固体を形成するウェッブが冷やさ
れる。そのフィルムチューブはV字型のフレーム23内
で潰され、フレームの端部(ニップロール24)で挟ま
れて、このようにして形成された閉鎖域に空気を閉じ込
める。ロール24と25は、連続してダイから押し出さ
れるチューブから製造されるフィルムを引き取る。
【0030】本発明者らは、二軸配向フィルムの準備及
び吹込熱可塑性フィルムの製造に於いて、本発明のフィ
ルムにとって望ましい浸透性または浸透剤通過率を得る
上で、溶融温度とダイ温度が重要である事を見い出し
た。それによって、溶融破損を減少させ、フィルムの均
一性を向上させる(表面欠陥を抑える)ことができる。
図2によると、溶融域28での溶融物の温度は390−
420°F(198−216℃)、望ましくは395−
415°F(202−213℃)である。押し出しダイ
29の温度は400−435°F(204−224
℃)、望ましくは410−430°F(210−221
℃)である。押し出されたポリマーは循環水槽又は循環
空気を使って冷やされる。押し出し機は生産量にあわせ
て制御することができる。そうすることによって、生産
率が保たれる一方で、ポリマーが溶融し必要なダイ温度
が得られるまで十分加熱される。本発明のフィルムをこ
の様な温度で製造すれば、シクロデキストリン材料が熱
可塑性物質溶融物に十分適合性し、高温によって品質が
低下することがなく、クリアーで融和性があり、有用な
バリヤーフィルムが確実に製造される。
【0031】特殊な最終目的に合ったフィルムやシート
を製造するため、同時押し出しプロセスにおいて2つの
熱可塑性材料を合体させる事もしばしば行われる。溶融
物の1層またはそれ以上の層に存在する一つまたはそれ
以上のタイプのポリマーを、同時押し出しダイで同時に
押し出すと、両方の層からなる複数の特性を持つフィル
ムができる。異なるポリマーや異なる樹脂の層は、押し
出し前に溶融物中の材料をブレンドするかまたは異なる
熱可塑性物質を平行して押し出すことによって、組み合
わされる。溶融物はダイ上を積層状になって流れ、冷却
ドラム上に流れ込む。フィルムは従来の方法に従って処
理され、冷却後に配向する。フィルムには、酸化防止
剤、熱安定剤、UV安定剤、平滑剤、充填剤、凝集防止
剤(anti-block agents)のような添加物を加えても良
い。
【0032】本発明のバリヤー層は、フィルムを形成す
るポリマーとシクロデキストリン誘導体の水性分散液、
溶剤分散液、または溶液をキャスティングして製造する
ことができる。その際、水性または溶剤系の材料は、一
般に採用されている方法で形成してもよい。例えば、市
場で入手可能なポリマー、ポリマー分散液、ポリマー溶
液又はポリマーを用いてもよいし、一般的な水性又は溶
剤処理技術の双方を利用しても良い。シクロデキストリ
ン誘導体材料は水性又は溶剤系の分散液や溶液と合わせ
てフィルム形成または形成されたフィルムに被膜を行う
のに用いても良い。その様なバリヤー層やバリヤー被膜
は、ローラーコーティング、ドクターブレードコーティ
ング、スピンコーティングといった一般的な被膜形成技
術で形成しても良い。そのような被膜は先に表面に設け
たりまたは表面から除去しても良く、一般的には被膜は
熱可塑性または熱硬化性ポリマーウェッブ上に形成さ
れ、そこに保持されてパッケージングに用いられるポリ
マーウェッブ上のバリヤー層として機能する。通常の被
膜は、フィルムシートや他の構造層で用いられるのと同
じ熱可塑性ポリマーに、シクロデキストリン誘導体材料
の増量剤を加えてほぼ同様に用いて製造しても良い。フ
ィルム形成ポリマーとシクロデキストリン誘導体を用い
て形成されるバリヤー層やバリヤー被膜は、単層被膜層
としても、または多層被膜層として用いても良い。多層
被膜層はバリヤー層または被膜を支持フィルム又はシー
トの片面または両面に持ち、プリント層、クリヤー被膜
層といった、従来の包装、食品包装、消費財包装等、他
の被膜層とともに用いても良い。
【0033】(2)シクロデキストリン 本発明の熱可塑性フィルムは、ぶら下った部分(垂下部
分:pendent moieties)又は置換基を有するシクロデキ
ストリンを含み、それらの垂下部分又は置換基によっ
て、シクロデキストリン材料が熱可塑性ポリマーと適合
する。本発明において、適合性とは、シクロデキストリ
ン材料が溶融したポリマーに均一に分散し、浸透性物質
やポリマー不純物を捕集又は合成し、ポリマーフィルム
の特性を本質的に損ねる事なく残留することができる事
を意味する。よって適合性とは相溶性と同じ意味であ
る。適合性については、引っ張り強度、引き裂き強度と
いったポリマー特性、浸透性物質の浸透性または通過
率、表面の滑らかさ、クリヤー度等を調べると分かる。
非適合性誘導体を用いると、ポリマー特性がかなり減少
し、浸透性または透過率が非常に高くなり、きめが荒く
てクリヤー度の低いフィルムが出来上がる。質的な適合
性のスクリーニングは、小さなバッチ(100グラム〜
1キロの熱可塑性物質と置換済みのシクロデキストリ
ン)を準備することによって得られる。ブレンドされた
材料は製造温度で押し出し成形されて、直径約1〜5m
mの線状ストランド成形物となる。適合性のないシクロ
デキストリン材料は溶融物に均一に分散しないので、押
し出しヘッドから押し出されたばかりの透明な溶融ポリ
マーを観察することによりわかる。本発明者らは、その
非適合性シクロデキストリンが押し出し温度で劣化し、
押し出しの際に特有の「焦げた小麦粉」のような臭いを
発生することを見い出した。その上、非適合性シクロデ
キストリンは、押し出し成形物に、肉眼で観察できる程
度の実質的な溶融裂け目を引き起こすことを見つけた。
最終的には、その押し出し成形物は小さく切り分けら
れ、横に切断され、光学顕微鏡を用いて検査される。す
ると、熱可塑性物質マトリックスに含まれる非適合性の
シクロデキストリンがはっきり観察される。シクロデキ
ストリンは、α(1→4)リンケージで結合した6以上
のグルコピラノース(glucopyranose)ユニットから成る
環式オリゴ糖である。最高12のグルコース残基を持つ
シクロデキストリンが知られているが、6、7それに8
の残基を持つ3つの最も一般的な同族体(αシクロデキ
ストリン、βシクロデキストリン、γシクロデキストリ
ン)が用いられている。
【0034】シクロデキストリンは、高度に選択的な酵
素合成によって生産される。ドーナツ型環に配列した
6、7、又は8のグルコースモノマーから成り、それぞ
れα、β、またはγシクロデキストリンとして表される
(図1参照)。グルコースのモノマーを特殊な方法で結
合させると、そのシクロデキストリンは、内側に特定の
容量の中空があり、強固で、円錐台形の分子構造を持
つ。内部の空洞は親油性であり、それは換言すれば、外
部に比べ(水系では疎水性である)炭化水素材料を引き
付ける。これは、シクロデキストリンの主要な構造上の
特徴であり、それによって分子(例:芳香族類、アルコ
ール類、ハライド類及びハロゲン化水素類、カルボン酸
類とそのエステル類等)を合成させることができる。合
成分子は少なくとも部分的にシクロデキストリンの内部
の空洞にフィットする大きさにする必要がある。これに
より封入複合体となる。
【0035】表1にシクロデキストリンの一般的な特性
を示す。
【0036】
【表1】
【0037】オリゴ糖リングは、円環面の狭い端部に位
置する各グルコース残基の一次水酸基と共に、円錐台と
して円環面を形成する。二次グルコピラノース水酸基は
広い端部に位置する。親シクロデキストリン分子、それ
に有用な誘導体は以下の化学式(化1)によって表すこ
とができる(炭素環は従来のナンバリングを示す)。そ
の化学式では、空結合が環状分子のバランスを表す。
【0038】
【化1】
【0039】この式に於いて、R1とR2は、それぞれ一
次、二次のヒドロキシル基である。シクロデキストリン
分子は、グルコース部分の6ポジションで第一ヒドロキ
シル基と化学試薬が反応し、第二、第三のポジションの
第二ヒドロキシル基でも反応が起こる。シクロデキスト
リン分子が幾何学的形状をしていることと、リング置換
基の化学的性質により、全てのシロデキストリン分子が
同じように反応するのではない。しかしながら、注意深
く効率良く反応するよう条件を整えれば、シクロデキス
トリン分子が反応して、全部のヒドロキシル基が一つの
置換タイプで誘導されている誘導分子が得られる。その
誘導体は過置換シクロデキストリンである。選択された
置換基を持つシクロデキストリン、換言すれば一次ヒド
ロキシル基上でのみ置換されるか、選択的に一方または
両方の第二ヒドロキシル基上で置換されたものも、必要
であれば合成してもよい。2つまたは3つの異なる置換
基を持つ誘導分子の合成を続けても良い。これらの置換
基は、ランダムに位置しても、または特定のヒドロキシ
ル基に直結していてもよい。本発明では、シクロデキス
トリン分子は分子上に十分な熱可塑性適合置換基を含む
必要がある。そうすれば、そのシクロデキストリン材料
が熱可塑性物質に均一に分散し、クリヤーフィルム、シ
ートまたは固体構造物に形成された際に、ポリマーの物
理的特性を損なう事はない。
【0040】CDヒドロキシル基上に置換基を導入する
以外にも、他の分子の変性もできる。例えば他の炭水化
物分子をシクロデキストリン分子の環状骨格構造に導入
してもよい。一次ヒドロキシル基の代わりにSN2 置換
基を置換しても良く、誘導基等とさらに反応させるため
に酸化されたジアルデヒド基または酸基を形成するなど
しても良い。第二ヒドロキシル基は、反応後不飽和基を
残して除去してもよい。その不飽和基には、様々な周知
の反応剤を添加してもよく、そうすることによって二重
結合を付加したり架橋させて誘導分子を形成してもよ
い。
【0041】さらに、多糖類部分の一つまたはそれ以上
の環状酸素を開いて、反応サイトをつくってもよい。こ
の様な技術は、シクロデキストリン分子の上に適合性を
持つ置換基を導入する目的で利用してもよい。
【0042】熱可塑性ポリマーと適合性のある官能基を
有する誘導シクロデキストリン材料を製造するための好
ましい中間体には、シクロデキストリン分子の第一また
は第二ヒドロキシル基での反応が含まれる。本発明者ら
は、分子上の広い範囲の垂下置換部分が利用できる事を
見い出した。このような誘導シクロデキストリン分子に
は、アシル化シクロデキストリン、アルキル化シクロデ
キストリン、トシラート(tosylate)、メシラート(mesyl
ate)その他の関連スルホ誘導体のようなシクロデキスト
リンエステル類、ハイドロカルビル−アミノシクロデキ
ストリン、アルキルホスホノ及びアルキルホスファトシ
クロデキストリン、イミダゾイル置換シクロデキストリ
ン、ピリジン置換シクロデキストリン、ハイドロカルビ
ルサルファー含有官能基置換シクロデキストリン(hydro
carbyl sulpher containing functional group cyclode
xtrin)、ケイ素含有官能基置換シクロデキストリン、カ
ーボネイト(carbonate)塩及びカーボネイト置換シクロ
デキストリン、カルボン酸及び関連物質置換シクロデキ
ストリン等が含まれる。置換部分には、誘導材料に適合
性を付与する領域がなければならない。
【0043】適合官能基として用いられるアシル基に
は、アセチル、プロピオニル、ブチリル、トリフルオロ
アセチル、ベンゾイル、アクリロイルの他、良く知られ
た有機基が含まれる。その様な基をシクロデキストリン
分子の第一または第二リングヒドロキシ基に形成する
際、良く知られた反応が用いられる。アシル化反応は、
適度の酸無水物、酸クロライド、及び良く知られた合成
方法を用いて行われる。過アシル化シクロデキストリン
も製造することができる。さらに、他の官能基と置換さ
れた一つ以上の安定化された利用可能なヒドロキシル基
を部分的に置換してシクロデキストリンを製造してもよ
い。
【0044】シクロデキストリン材料はまた、アルキル
化シクロデキストリンを製造する目的でアルキル化剤と
反応させても良い。アルキル化基は十分な反応条件で利
用可能なヒドロキシル基をアルキル化剤と反応させて、
過アルキル化シクロデキストリンとしてもよい。さら
に、アルキル化剤によっては、反応条件で用いられてい
るシクロデキストリン分子、利用可能なヒドロキシル基
を全て置換していないシクロデキストリンを製造しても
よい。アルキル化シクロデキストリンの製造に有用なア
ルキル基の典型的な例として挙げられるのは、メチル、
プロピル、ベンジル、イソプロピル、ターシャリーブチ
ル、アリル、トリチル、アルキル−ベンジル等を含む一
般的なアルキル基である。その様なアルキル基は、従来
から知られている方法で製造してもよい。例えば、ヒド
ロキシル基を適度な条件下でアルキルハライド、または
アルキル硫酸塩反応物等のアルキル化剤と反応させるよ
うな従来の方法を用いて製造しても良い。
【0045】トシル(4−メチルベンゼンスルフォニ
ル)メシル(メタンスルフォニル)、またはその他の関
連アルキルまたはアシルスルフォニル形成試薬を、熱可
塑性樹脂に使用される適合シクロデキストリン分子を作
る目的で用いてもよい。
【0046】シクロデキストリン分子の第一−OH基は
第二のヒドロキシル基より速く反応する。しかしなが
ら、有用な組成物を形成するためには、分子は実質的に
はどの位置で置換されてもよい。
【0047】その様なスルホニル含有官能基は、シクロ
デキストリン分子のいずれかのグルコース部分の第一/
第二いずれのヒドロキシル基の誘導に用いてもよい。反
応は、スルホニルクロライド反応剤を用いて行うことが
できる。その反応剤は、第一もしくは第二ヒドロキシル
基と効率良く反応することができる。スルホニルクロラ
イドは、置換することを必要とする分子内の目標とする
ヒドロキシル基の数によって、適切なモル比で用いられ
る。対称(単一のスルホニル部分毎の置換化合物)又は
非対称(スルホニル誘導体を含む基の混合物で置換され
た第一と第二のヒドロキシル基)の双方を、公知の反応
条件を用いて用意してもよい。スルホニル基は、実験者
によって一般的に選ばれるアシル又はアルキル基を組み
合わせて用いても良い。最後に、モノ置換シクロデキス
トリンが製造されるにあたっては、リング中のシングル
グルコース部分に1〜3のスルホニル置換基を含むこと
ができる。シクロデキストリン分子のモノ置換以外の安
定な部分は、未反応のままである。
【0048】垂下部分熱可塑性ポリマーを含む部分を持
つシクロデキストリンのアミノ及び他のアジド(azido)
化合物誘導体を、本発明のシート、フィルムまたは容器
などに用いることができる。スルホニル誘導シクロデキ
ストリン分子は、アジ化物(azide)(N3 -1)イオンに
よるスルホネート基の求核置換反応を経由して、スルホ
ニル基置換シクロデキストリン分子からそのアミノ誘導
体にすることを利用して、生成することができる。この
アジド誘導体は実質的には還元によって置換アミノ化合
物に変性される。数多くのこれらのアジド、またはアミ
ノシクトデキストリン誘導体は製造されている。その様
な誘導体は、対称の位置に置換アミノ基を配置して製造
することができる(これらの誘導体は2以上のアミノ又
はアジド基を持ち、それらの基は対称の位置にシクロデ
キストリン骨格上に配置されているか、もしくは対称の
位置に置換したアミノまたはアジ化誘導シクロデキスト
リン分子として配置されている。窒素含有基を生じる求
核置換反応のために、6位の炭素原子の第一ヒドロキシ
ル基は、窒素含有基を最も導入しやすい位置にあること
になる。本発明で使用することができる窒素含有基は、
例えば、アセチルアミノ基(−NHAc)類、メチルア
ミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミ
ノ、イソプロピルアミノ、ヘキシルアミノト等及び他の
アルキルアミノ置換基を含むアルキルアミノ基類であ
る。前記のアミノ又はアルキルアミノ置換基は、さらに
窒素原子と反応する他の化合物と反応してさらにそのア
ミノ基を変性することができる。他の使用可能な窒素含
有置換物の例としては、ジアルキルアミノ、例えばジメ
チルアミノ、ジエチルアミノ、ピペリジノ、ピペリラジ
ノ、4級置換アルキル、またはアリルアンモニウムクロ
ライド置換物、シクロデキストリンのハロゲン誘導体
が、適合性誘導体で置換されるシクロデキストリン分子
の製造用の原料として製造されてもよい。その様な化合
物では、第一又は第二ヒドロキシル基がフルオロ、クロ
ロ、ブロモ、ヨード(iodo)のようなハロゲン基、または
他の置換基に置換される。ハロゲン置換が最も起こりや
すいのは、6位の第一ヒドロキシル基である。
【0049】ヒドロカルビル(hydrocarbyl)置換ホスホ
ノ又はヒドロカルビル置換ホスファト(phosphato)基
は、適合性誘導体をシクロデキストリン上に導入するの
に用いてもよい。シクロデキストリン分子の第一ヒドロ
キシル基は、アルキルホスファト、アリルホスファト基
で置換しても良い。第二ヒドロキシル基である2及び3
のヒドロキシル基は、アルキルホスファト基を用いて分
枝させることもできる。
【0050】シクロデキストリン分子は、複素環核を含
む垂下イミダゾル基、ヒスチジン、イミダゾル基、ピリ
ジノ及び置換ピリジノ基で置換することもできる。シク
ロデキストリン誘導体は、硫黄含有官能基で変性させ
て、適合置換物をシクロデキストリン上に導入させても
よい。上記のスルホニルアシル化された基以外にも、シ
クロデキストリンを変性する目的で、スルフヒドリル(s
ulfhydryl)化学に従ってつくられた硫黄含有基を用いて
もよい。その様な硫黄含有基には、例えば、メチルチオ
(−SMe)、プロピルチオ(−SPr)、t−ブチル
チオ(−S−C(CH3)3)、ヒドロキシエチルチオ(−
S−CH2CH2OH)、イミダゾリルメチルチオ、フェ
ニルチオ、置換フェニルチオ、アミノアルキルチオ等が
含まれる。上記のエーテルまたはチオエーテル化学に基
づいて、ヒドロキシルアルデヒドケトン又はカルボン酸
官能性を有する置換端部を持つシクロデキストリンを準
備しても良い。その様な基としては、例えば、ヒドロキ
シエチル、3−ヒドロキシプロピル、メチルオキシルエ
チル及び対応するオキシムアイソマー(oxeme isomer)、
カルビルメトキシ(−O−CH2−CO2H)、カルビル
メトキシメチルエステル(−O−CH2CO2−CH3
が挙げられる。シリコーン化学を用いて適合性官能基を
含むシクロデキストリン誘導体を形成しても良い。
【0051】シリコーン含有官能基を有するシクロデキ
ストリン誘導体を準備してもよい。シリコーン基とは慨
して、単一の置換ケイ素原子又は置換基を有する繰り返
しシリコーン−酸素骨格構造を示す。典型的には、シリ
コーン誘導体内のシリコーン原子の一定の特性を有する
比率分は、ヒドロカルビル(アルキルまたはアリル)置
換基を持つ。シリコーン置換材料は通常、熱や酸化に対
する安定性と化学的不活性度が増す。その上、そのシリ
コーン基の耐候性が増し、誘電強度が加わり、表面張力
が向上する。シリコーン基の分子構造は変性させてもよ
い。なぜなら、そのシリコーン基はシリコーン部分に一
つのケイ素原子または2〜20のケイ素原子を有する事
ができ、線状にも枝状にもなり、多数の繰り返しシリコ
ーン−酸素基を有し、さらに多様な官能基で置換する事
ができるからである。本発明の目的上、単純なシリコー
ン含有置換部は、トリメチルシリル、混合メチル−フェ
ニルシリル基などを含むのが望ましい。本発明者らは、
ある種のβCDとアセチル化及びヒドロキシルアルキル
誘導体が、インディアナ州ハモンドのアメリカンメイズ
−プロダクツ(American Maize-Products Co.)のコーン
プロセシング部門から入手可能であることを承知してい
る。
【0052】(3)パッケージ及び包装製品 適合性誘導シクロデキストリンを含む熱可塑性物質は、
様々な商品を包装するためのパッケージングフォーマッ
トに用いる事ができる。一般的な包装の概念が応用でき
る。例えば、製品(item)全体を包装してフィルムポーチ
やバッグ等としてもよい。加えて、硬質プラスチック容
器のファスナーとしてフィルムを用いる事もできる。そ
の場合の容器は、断面が長方形、円形、正方形などであ
っても良く、底が平らで上部が開いていてもよい。容器
及び熱可塑性ファスナーは、本発明の熱可塑性材料で製
造してもよい。加えて、本発明の熱可塑性物質は、ブリ
スタパック(blister)包装、クラムシェル(clam shell)
型封入具、浴槽、トレー等に用いてもよい。慨して、実
質的なバリヤー特性を持つ本発明の熱可塑性フィルムで
の包装を必要とする製品には2種類ある。まず、製品を
包装材料外部からの浸透源からの汚染から保護する事が
重要である。食料品は様々な汚染物質から保護しなけれ
ばならない。汚染物質とは、例えば、芳香族類・脂肪族
炭化水素類、フッ化水素類、インク類及びパッケージン
グの残留物類、輸送及びそれに準ずる内燃機関からの排
気ガス類、様々な消耗品類(香り付き紙製品、固形石
鹸、香り付き入浴用品、クリーナー、柔軟仕上げ剤、洗
剤、ドライブリーチ、殺菌剤等)に普通に使われる香料
類である。ほとんどの場合、食品は、外部からの汚染物
質からの保護を必要とする最もありふれた物質であり、
その他にも臭いに敏感な商品がある。また、その物の臭
いがパッケージからもれないようにバリヤー材料で包装
しなければならない場合も多い。様々な食品の臭いが様
々な包装材料を通過しやすい。その様な食品の臭いは虫
や病原菌を媒介する鼠や害虫を引き付け、顧客や従業員
に不快感を与えたり、包装された製品から重要な香りが
ほとんどなくなり、その商品価値が損なわれることにな
りかねない。しっかりしたバリヤーが必要な匂いのう
ち、重要なものは、コーヒーや調理済みシリアル、冷凍
ピザ、ココア他チョコレート製品、ドライミックスグレ
ービーやスープ、スナックフード(チップス、クラッカ
ー、ポップコーン等)、ベイクドフード、ドライペット
フード(キャットフード等)、バターやバター風味のノ
ート(notes)、肉製品、中でも、電子レンジ対応の紙包
みに入った電子レンジ用ポップコーンに用いられるバタ
ーやバター風味のノート、フルーツやナッツ等である。
【0053】上記で、シクロデキストリン誘導体の性質
や熱可塑性フィルム、フィルムの製造に関する詳細な説
明、及び適合性のある誘導体を供給するためのシクロデ
キストリンの製造方法に関して説明した。これによっ
て、バリヤー目的で熱可塑性フィルムに適合性シクロデ
キストリンを加えるといった技術に対する理解の基礎が
提供された。以下の例では、フィルムの製造方法及び浸
透データを記し、発明の理解をさらに深め、ベストモー
ドを示す。
【0054】シクロデキストリンの誘導体を製造しその
シクロデキストリンを熱可塑性フィルムに合成させる研
究によって、周知の様々な化学プロトコールを用いてシ
クロデキストリンを容易に誘導化させられる事がわかっ
た。シクロデキストリン材料は、熱可塑性材料に容易に
溶融ブレンドでき、その結果、熱可塑性物質中に均一に
分散したシクロデキストリン材料となり、透明性の高い
押し出し成形可能な熱可塑性材料となる。その上、本発
明者らはそのシクロデキストリン誘導体がありとあらゆ
る熱可塑性フィルムと結合できる事を見い出した。シク
ロデキストリン材料は、フィルムに幅広い濃度で添加す
ることができる。シクロデキストリン含有熱可塑性材料
は、ブローによって様々な厚みのフィルムに形成され、
溶融裂け目のないブローフリの状態で、フィルムやシー
ト等になる。実験によって、シクロデキストリン誘導体
技術によってバリヤー特性、すなわち芳香族炭化水素
類、脂肪族炭化水素類、エタノールや水蒸気の透過率が
低下した。また、シクロデキストリンを用いる事によっ
てフィルムの表面特性を向上させられる事も見い出し
た。フィルム表面の表面張力や表面電気特性もまた向上
した。それによって、本発明のフィルムは被膜、印刷、
ラミネーティング、ハンドリングなどの分野でより実用
的になった。最初の研究で、本発明者らはまた以下の事
を見い出した。 (1) 変性シクロデキストリンの中にはLLDPE樹脂と
適合性を持つものがあり、それはフィルム中に分散する
有機浸透物を減少させ、また残留LLDPE揮発汚染物
質の合成の向上に役立つ。 (2) 変性されていないβCDは、フィルムの透明性、熱
安定性、機械加工性、それにバリヤー特性に悪影響を及
ぼす。一方、選択された変性βCD(アセチル化及びト
リメチルシリルエーテル誘導体)は、透明度と熱安定性
に影響を及ぼさない。押し出し加工されたプラスチック
材料の機械加工性は、何らかの影響で表面が傷付き、そ
れによってフィルムの表面特性が損なわれる。 (3) 変性βCD成分(1重量%)を含むフィルムでは、
芳香族浸透物質が、72°F(22℃)で35%、10
5°F(40.5℃)で38%減少する。脂肪族浸透物
は72°F(22℃)で9%減少した。この実験では、
フィルムのテストのために最も不利なケースを想定した
保存条件を用いたが、そうでなければ結果は飛躍的に向
上していたであろう。 (4) 合成率は、芳香族浸透物質と脂肪族浸透物質とで異
なる。変性βCDを含むフィルムでは、脂肪族の物質
(印刷インク型の化合物)よりも芳香族物質(ガソリン
型の化合物)の化合率が高かった。反対に、フィルム被
膜では、芳香族化合物より脂肪族化合物の方が、合成の
結果がかなりよかった。 (5) βCD含有アクリル酸被膜は、脂肪族浸透物質を4
6%から88%、芳香族物質を29%減少させるという
素晴らしい性能を示した。
【0055】(4)品質的調整 最初に、本発明者らは4つの実験用テストフィルムを製
造した。これらのフィルムのうち3つは、増量剤の割合
が1%、3%及び5%(wt./wt.)のβ−シクロ
デキストリン(βCD)を含み、一方4番目は、同じ樹
脂と添加物のバッチからつくられたものであるが、βC
Dは含まれないコントロールフィルムであった。5%β
CDフィルムについて、テストフィルムにおける残留有
機物の合成を調べた。βCDが線状低密度ポリエチレン
(LLDPE)樹脂内の残留有機物を効率よく合成させ
ることが判明したが、それは樹脂と適合性を持たず、β
CD粒子集塊を形成した。
【0056】本発明者らは、9つの変性β−シクロデキ
ストリンと一つの粉砕β−シクロデキストリン(粒子径
5〜20ミクロン)について評価を行った。異なるシク
ロデキストリンの変性とは、アセチル化物、コハク酸オ
クタニル(octanyl succinate)、エトキシヘキシルグリ
シジルエーテル、4級アミン、3級アミン、カルボキシ
メチル、スクシニル化物(succinylated)、両性及びトリ
メチルシリルエーテルである。それぞれの実験用シクロ
デキストリン(1%増量wt/wt)は、リトルフォー
ド(Littleford)ミキサーを用いて低密度ポリエチレン
(LLDPE)と混合され、ツインスクリュー・ブラベ
ンダー(twin screw Brabender)押し出し機を用いて押し
出し成形された。
【0057】9つの変性シクロデキストリンと一つの粉
砕シクロデキストリンLLDPE異形材は、倍率50×
及び200×の光学顕微鏡で観察された。顕微鏡による
検査の結果は、LLDPE樹脂とシクロデキストリン間
の適合性を肉眼でチェックする際に利用された。テスト
された10のシクロデキストリン候補のうち3つ(アセ
チル化物、コハク酸オクタニル及びトリメチルシリルエ
ーテル)が、LLDPE樹脂と適合性を有することが肉
眼で確かめられた。
【0058】合成された残留フィルム揮発物は、5%C
Dフィルムサンプルと3つの押し出し成形された異形材
をテストするために、クライオトラッピング(cryotrapp
ingprocedure)工程を用いて測定された。3つの異形材
には、1%(wt/wt)のアセチル化βCD、コハク
酸オクタニルβCD、及びトリメチルシリルエーテルが
含まれていた。この方法が3つの別々のステップで構成
されている。初めの2つは同時に実施され、3つめは、
揮発性有機化合物を分離し検出する手助けとなる技術で
あるが、1つめと2つめの操作の後で実施される。最初
のステップでは、不活性で純粋な乾燥ガスが、サンプル
から揮発性物質を除去するために用いられる。ガス除去
ステップの間、サンプルは120℃に加熱される。サン
プルは分析に先だって、直ちに代用物(ベンゼン−d
6)で置き換えられる。ベンゼン−d6 は修復用の各テ
ストデータを訂正する内部QC代用物して作用する。2
つ目のステップでは、液体窒素トラップに含浸したヘッ
ドスペース瓶の中の除去ガスから、化合物を冷凍させる
ことによってサンプルから除去された揮発性物質を凝縮
する。ガス除去ステップの最後に、内標準(トルエンd
8)が直接ヘッドスペース瓶に注入され、すぐに瓶に蓋
がされる。方法及び装置のブランクは、サンプルで補わ
れ、汚染物質をモニターするためのサンプルと同様に処
理される。凝縮された有機成分はその後分離され、加熱
されたヘッドスペース高分解ガスクロマトグラフィー/
マススペクトロメトリー(HRGC/MS)によって定
性、定量分析される。残留揮発性物質の分析結果を以下
の表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】これらの予備的スクリーニングテストで
は、βCD誘導体が僅かな揮発性有機物を効率良く合成
させることが示された。その様な揮発性有機物は試作フ
ィルムの作成に用いられる低密度ポリエチレン樹脂に特
有のものである。5%βCD増量LLDPEフィルムで
は、有機揮発性物質の80%近くが合成された。しかし
ながら、βCDフィルム(1%と5%)の全てが変色
(ライトブラウン)し、異臭を発した。色と臭いの問題
は、CDの直接分解またはCDに含まれる不純物が原因
と考えられる。2つの臭い活性化合物(2−フルアデヒ
ド(2-furaldehyde)と2−フランメタノール(2-furanmen
thanol))が、吹込フィルムのサンプルに認められる。
【0061】3つの変性適合性CD候補(アセチル化
物、コハク酸オクタニル及びトリメチルシリルエーテ
ル)の中で、アセチル化物とトリメチルシリルエーテル
CDがLLDPE樹脂に特有の僅かな揮発性有機物の合
成に効果的である事が分かった。アセチル化物及びトリ
メチルシリルエーテル(TMSE)βCDを1%増量す
ると、残留LDPE有機揮発性物質の50%近くが合成
され、一方で残留コハク酸オクタニルはLLDPE樹脂
揮発性物質と合成しないことが示された。粉砕βCD
は、アセチル化βCDとTMSE変性βCDと比べ28
%非効率であることが分かった。
【0062】プラスチックパッケージング材料は全て、
自体が保護する食品とある程度相互作用する。プラスチ
ック食品パッケージングの相互作用の主なモードは、環
境から有機分子がポリマーフィルムを通ってパッケージ
のヘッドスペースに移動し、そこで食品に吸収される事
によって生じる。保存中のパッケージの有機分子が食品
中に移動又は通過する際、温度、保存期間のみならず、
湿度、有機分子のタイプや自身の濃度といった要因を含
む環境要素に左右される。移動は、質的(販売抵抗(con
sumer resistance))及び毒物的影響を及ぼす。パッケ
ージングフィルムテストの目的は、特定のバリヤーが、
包装された各種食品の質にどの様に影響するかを調べる
事である。低水分活性の食料品用の保存性テストを加速
してシュミレートする目的で、テストは温度72°F
(22℃)と105°F(40.5℃)及び相対湿度6
0%で行われた。これらの温度及び湿度の条件は、無調
整の倉庫、輸送機関や貯蔵庫内の条件に類似していると
思われる。
【0063】ポリマーが湿度に敏感であれば、特に低水
分活性食料品では、相対湿度がフィルムの性能に影響を
及ぼす事もあり得る。実際の最終使用状態ではパッケー
ジングフィルム内外の湿度が極端に異なるので、浸透装
置内の相対湿度はフィルムの両側でコントロールされ
た。環境の側、すなわちパッケージ外部では、相対湿度
60%に保たれ、サンプル側すなわち低水分活性製品が
入ったパッケージの内側では、0.25であった。
【0064】複数の浸透性物質を組み合わせて、CDの
機能と性能を調べるために用いた。物質を組み合わせる
方が現実的である。というのは、ガソリン(主として芳
香族炭化水素の混合物)や印刷インク溶剤(主として、
脂肪族炭化水素の混合物)は単一の化合物ではなく、化
合物を混合したものであるからである。
【0065】芳香族浸透性物質にはエタノール(20p
pm)、トルエン(3ppm)、p−キシレン(2pp
m)、o−キシレン(1ppm)、トリメチル−ベンゼ
ン(0.5ppm)、及びナフタレン(0.5ppm)が
含まれていた。脂肪族浸透性物質(各種化合物を20近
く含む市販の塗料溶剤ブレンド)は20ppmであっ
た。
【0066】図3の浸透テスト装置は、1200ml
(環境セル又は供給サイド)及び300nm(サンプル
セル又は浸透サイド)の空洞部を持つガラス製の浸透セ
ルもしくはフラスコで構成されている。
【0067】試験用フィルムの性能は、密閉浸透装置内
で計測された。フレームイオナイゼーションデテクター
(FID)によって操作された高分解ガスクロマトグラ
フ(HRGC)が、時間を関数とした累積浸透剤濃度の
変化を測定する目的で用いられた。サンプル側(食品
側)の化合物濃度は、各化合物のレスポンスファクター
から算出される。濃度は容積/容積を基にして、百万分
の一(ppm)表記されている。フィルムのサンプル側の累
積浸透物濃度は、時間を関数としてプロットされてい
る。
【0068】本発明者らは4つの実験用テストフィルム
を提案した。それらのうち3つはβCDを1%、3%、
及び5%(wt/wt)含み、4つめのフィルムは同じ
樹脂と添加物のバッチから作られるがβCDを含まな
い。
【0069】第2の実験技術は、2枚のコントロールフ
ィルムに挟まれたβCDがフィルムに浸透する有機蒸気
を合成させるかどうか調べるために実施された。実験
は、βCDを2枚のコントロールフィルム間で軽く拭き
取って行われた。
【0070】テストの結果、コントロールフィルムがβ
CD増量フィルムより性能が良いことが分かった。浸透
テストではまた、βCD増量率が上がる程フィルムのバ
リヤーとしての性能は低下することがわかった。βCD
を2枚のコントロールフィルムに挟んでのテスト結果か
ら、浸透性蒸気を減少させるという点では、βCDを含
む方が、βCD無しのコントロールサンプルの2倍有効
である事が分かった。この実験結果から、フィルムのバ
リヤー品質が、そのフィルムが製造過程でバリヤーとし
ての効果を損なわなければ、CDがフィルムに含まれる
浸透有機蒸気を合成させることが確かめられた。
【0071】1%TMSEβCDフィルムは、芳香族浸
透物質の除去に関して、1%アセチル化βCDフィルム
より僅かによい(24%と26%)。72°F(22
℃)でさらに変性CDを添加しても、質の向上は認めら
れない。
【0072】105°F(40.5℃)の芳香族浸透物
質では、1%TMSEβCDと1%アセチル化βCDの
両方が、72°F(22℃)での芳香族浸透物質の除去
より13%近く効率良くなる。1%TMSEβCDフィ
ルムはこの場合でも、芳香族浸透物質の除去に関して、
1%アセチル化βCDフィルムより僅かによい(36%
と31%)。
【0073】72°F(22℃)では、1%TMSEβ
CDは1%アセチル化βCDに比べ、脂肪族浸透物の除
去に関して当初はより効果的である。しかしテストの間
に、1%TMSEβCDはコントロールフィルムより悪
化し、一方の1%アセチル化βCDは脂肪族浸透物の6
%を除去するに過ぎない。
【0074】本発明者らは2つの実験用水性被膜溶液を
製造した。一方はヒドロキシエチルβCD(35重量
%)、他方はヒドロキシプロピルβCD(35重量%)
を含む。どちらにも、分子量約150,000(15重
量%の固形物)のポリアクリン酸エマルジョン(ポリサ
イエンシーズ(Polysciences, Inc.)の分散物を、フィル
ム形成添加物として含むアクリル酸エマルジョンを10
%含んでいた。これらの溶液は、2枚のLLDPEフィ
ルムを一緒に張り合わせてフィルムサンプルのハンドコ
ートテストを行う際に用いられた。2種類の異なる被膜
技術が用いられた。最初の技術では、2枚のフィルムサ
ンプルを極僅かに伸ばし、その後、ハンドローラーを使
って被膜を施し、フィルムを平らに伸ばしながら張り合
わせた。比較例1(Rev.1)のサンプルは貼り合わせるプ
ロセスで伸ばされていなかった。被膜されたサンプルは
全て最終的には、フィルムシート間の気泡を除去するた
め、真空積層プレスに設置した。フィルム被膜の厚さは
0.0005インチ(0.013mm)であった。これ
らのCD被膜フィルム及びヒドロキシルメチルセルロー
ス被膜コントロールフィルムが、次にテストされた。
【0075】ヒドロキシエチルβCD被膜による芳香族
物質及び脂肪族物質の蒸気の減少は、蒸気にさらしはじ
めてからの初めの数時間の方が著しく、テストのその後
の20時間では減少が緩やかになった。ヒドロキシエチ
ルβCD被膜によって、脂肪族物質蒸気の除去率が芳香
族物質蒸気より高くなった。これは、分子サイズの違い
に因る(つまり、脂肪族化合物が芳香族化合物より小さ
い)ものと考えられる。20時間に及ぶテストで、脂肪
族浸透性物質はコントロールに比べ46%減少した。芳
香族物質蒸気の減少は、17時間のテストで、コントロ
ールに比べ29%であった。
【0076】比較例1の被膜ヒドロキシエチルβCD
は、20時間のテストで、コントロールに比べ87%の
脂肪族浸透物を減少させている。別のヒドロキシエチル
βCD被膜フィルムに比べさらに41%の減少である
が、これがフィルムの被膜方法に起因するかどうかは定
かではない。
【0077】ヒドロキシエチルβCD被膜はヒドロキシ
プロピルβCD被膜に比べ、72°Fで僅かながら芳香
族浸透性物質の除去に優れる(29%と20%)。
【0078】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。 1.大規模なフィルム実験 (1)シクロデキストリン誘導体の製造
【0079】
【実施例1】第一−OH基上のシクロデキストリンにつ
き3.4のアセチル基を持つアセチル化ヒドロキシエー
テルβ−シクロデキストリンが得られた。
【0080】
【実施例2】[β−シクロデキストリンのトリメチルシ
リルエーテルの合成]4000ミリリットルの丸底フラ
スコと窒素雰囲気を備えた回転蒸発器に、1分につき1
00ミリリットルのN2 を導入し、3リットルのジメチ
ルホルムアミドを導入した。そのジメチルホルムアミド
に、750グラムのβ−シクロデキストリンを供給し
た。そのβ−シクロデキストリンを回転させ、60℃で
ジメチルホルムアミドに溶解させた。溶解後フラスコを
回転蒸発器から取り除き、内容物を18℃近くまで冷却
した。フラスコの中に、攪拌棒を備えた磁力攪拌機を設
置し、295ミリリットルのヘキサメチルジシリラジン
(hexamethyldisilylazine)(HMDS−ピアース・ケミ
カル(Pierce Chemical)No.84769)を加え、さ
らに注意深く97ミリリットルのトリメチルクロロシラ
ン(TMCS−ピアース・ケミカルNo.88531)
を加えた。トリメチルクロロシランを添加する際、まず
20ミリリットルを注意深く滴下し、反応が収まってか
ら次の20ミリリットルを滴下する、という作業を、滴
下が完了するまで繰り返した。TMCSの添加が終了
し、反応が収まってから、フラスコとその中身を回転蒸
発器に設置し、回転蒸発器を通る不活性窒素雰囲気の流
れを1分につきN2 100ミリリットルに保ったまま、
60℃まで加熱した。反応が4時間続いた後溶剤を除去
すると、308グラムの乾燥物質が残った。フラスコを
ふるいにかけてその物質を取り出し、脱イオン水で洗浄
してシリル化した製品を除去した。真空炉乾燥を行い
(0.3インチのHg(10kPa)で75℃)、パウ
ダー材料として保存し、次に熱可塑性材料と化合させる
までそのままにしておいた。続いてその材料を分光光度
分析で観察すると、β−シクロデキストリンにトリメチ
ルシリルエーテルが含まれ、その割合はβ−シクロデキ
ストリンの1分子につき1.7近くである事が分かっ
た。置換は普通、第一6−炭素原子上であると思われ
る。
【0081】
【実施例3】βCDの第一6−OH基上の分子につき
1.5のヒドロキシプロピル基を持つヒドロキシプロピ
ルβ−シクロデキストリンが得られた。
【0082】
【実施例4】βCDの第一6−OH基上の分子につき
1.5のヒドロキシエチル基を持つヒドロキシエチルβ
−シクロデキストリンが得られた。 (2)フィルムの形成 線状低密度ポリエチレン樹脂、βCD、及びβ−シクロ
デキストリンのアセチル化物またはトリメチルシリル誘
導体のような誘導βCDを用いて、一連のフィルムを作
成した。ポリマー粒子はパウダー状β−シクロデキスト
リンまたはβ−シクロデキストリン誘導体材料と、フル
オロポリマー潤滑剤(3M)及び酸化防止剤が均一に混
ざるように乾燥ブレンドされた。乾燥ブレンド材料は、
混合されてハーケ(Haake)装置90、3/4”円錐押し
出し機で、ペレット形に押し出し成型された。そうして
できたペレットは、フィルムに形成するために集められ
た。
【0083】表3に、通常のペレット押し出し成型条件
を示す。フィルムは図2の装置で吹き込み成形された。
図2は、ダイ22の出口から熱可塑性チューブ21を押
し出している状態を示す。チューブはダイ23で潰さ
れ、ローラー24によって層状のフィルム25となる。
押し出されたチューブ21は、エアーインレットチュー
ブ26を通して吹込まれる気圧下で空気によって膨脹さ
せられる。熱可塑性物質は、押し出し機内で溶融され
る。押し出し機の温度は、ミキシングゾーン27で計
る。溶融温度は溶融ゾーン28で、ダイ温度はダイ29
で計る。押し出し成型されたものは、クーリングリング
20からの空気吹込冷却流を用いて冷やされる。図2の
従来技術の概略は、キーフェル(Kiefel)吹き込みフィル
ム押し出し機の代表例で、ダイ直径が40mmであり、
実際に吹込フィルムの製造に用いられる。上記の方法に
従って作成したフィルムを表4〜5に示す。様々な環境
条件下で通過率のテストが行われた。環境テスト条件
を、以下の表6〜7に示す。
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】以上のテストの結果、本発明の熱可塑性フ
ィルムに本発明の適合性シクロデキストリン材料を加え
ると、様々な種類の浸透性物質の通過率が減少し、それ
によって、バリヤー特性が実質上向上する。通過率の向
上を示すデータを以下のデータ表8〜19に示す。
【0090】
【表8】
【0091】
【表9】
【0092】
【表10】
【0093】
【表11】
【0094】
【表12】
【0095】
【表13】
【0096】
【表14】
【0097】
【表15】
【0098】
【表16】
【0099】
【表17】
【0100】
【表18】
【0101】
【表19】
【0102】本発明者らは、ヒドロキシプロピルβCD
を含んだ一連の水性被膜を準備した。そのうちの一つ
は、10%アクリル酸エマルジョン(ポリサイエンシー
ズ社(Polysciences Inc.)より購入した、分子量が約1
50,000のポリアクリル酸ポリマー)であった。そ
の10%アクリル酸エマルジョンは、重量にして5%及
び10%のヒドロキシプロピルβCDを含む。これらの
溶液は、2枚のフィルムを貼り合わせして、テストフィ
ルムサンプルはハンド−コートで積層して用いた。被膜
は、0.5%のアセチル化βCD(ロール番号7)を含
む線状低密度ポリエチレンフィルムシート及び、2%の
アセチル化βCD(ロール番号8)を含む二番目のフィ
ルムシートに適用された。その際、ハンドローラーを用
い、その後フィルムを積層した。フィルムは積層作業中
に、伸ばされなかった。被膜されたサンプルは全て、フ
ィルムシート間の気泡を除去するために、真空ラミネー
ティングプレスに設置された。アクリル酸被膜の厚さは
約0.0002インチ(0.0051mm)であった。
ヒドロキシプロピルβCDを含まないアクリル酸コーテ
ッドコントロールが、同じ方法で準備された。その多層
構造は、テストセルの環境フラスコ側に面した0.5%
のアセチル化βCDフィルムと一緒にテストされた(図
3)。
【0103】二番目の被膜は、ダガックス・ラボラトリ
ーズ(Dagax Laboratories Inc.)から購入した塩化ビニ
リデンラテックス(PVDC、60wt−% 固形)か
ら製造された。そのPVDCラテックス被膜は、2つの
レベル(10重量%と20重量%)のヒドロキシプロピ
ルβCDを含む誘導シクロデキストリンを用いて製造さ
れた。これらの溶液は、2枚のフィルムを一緒に積層
し、線状低密度ポリエチレンテストフィルムサンプルを
ハンド−コートする際に用いられた。被膜は二枚のコン
トロールフィルムシート(1枚にロールされる)に適用
され、その際ハンドローラーを使って一緒に積層され
た。それらのフィルムは積層プロセス中は伸ばされなか
った。被膜されたサンプルは全て、フィルムシート間の
気泡を除去するために真空ラミネーティングプレスに入
れられた。PVDC被膜厚さは約0.0004インチ
(0.01mm)であった。PVDC被膜コントロール
が同じ方法で、ただしヒドロキシプロピルβCDを含ま
ずに準備された。
【0104】予備実施例の後に、透過率の向上を示すデ
ータを記す。このデータ作成にあたっては以下に示す一
般のテスト方法を用いた。方法の概要 この方法には、静的濃度勾配を用いて、食品包装フィル
ムに対する選択された有機分子の浸透性を測定する目的
で考え出された実験技術が含まれる。テストの方法論
は、加速保存テスト条件に似ている。すなわち、保存湿
度、製品の水分活性温度条件を様々に変化させ、浸透セ
ル内部でパッケージ外部の有機蒸気に類似するよう、テ
スト済みの食品で調べた有機濃度が用いられた。この方
法は、エタノール、トルエン、p−キシレン、o−キシ
レン、1,2,4−トリメチルベンゼン、ナフタレン、ナ
フサソルベント混合物等の化合物の測定を考慮してい
る。結果を表20に示す。
【0105】
【表20】
【0106】浸透性テスト化合物 通常の浸透性実験には3つのステップが含まれる。3つ
のステップとは、(a)計器感度検量、(b)通過・拡
散率を調べるためのフィルムテスト、及び(c)浸透実
験の質のコントロール、である。
【0107】フィルムのサンプルは、密閉容積浸透装置
内でテストされる。時間を関数として累積浸透剤濃度の
変化を計るために、フレームイオナイゼーションデテク
ター(FID)で操作する高分解ガスクロマトグラフ
(HRGC)が用いられた。
【0108】サンプル側及び環境側テスト化合物濃度
は、それぞれの化合物のレスポンスファクターまたは検
量線から算出される。浸透質量が必要とされる場合は、
その後特定の浸透セル用にそれぞれ濃度が容積訂正され
る。
【0109】累積浸透剤濃度は、フィルムの上流(環
境)と下流(サンプル)側に、時間の関数として示され
る。浸透剤の拡散率、通過率は、浸透線データから算出
される。1.0 測定装置及び試薬 1.1 測定装置 フレームイオン化検出器(flame ionization detector)
を備えたガスクロマトグラフ(HP 5880)、1ミ
リリットルサンプリングループとデータ積分器を備えた
6口加熱サンプリングバルブ。
【0110】DB−5、30M X 0.250mm I
D、1.0umdfのJ&W毛細管カラム。ガラス浸透
テストセルまたはフラスコ。約1200ml(環境セル
または供給側)と300ml(サンプルフラスコまたは
浸透側)の空洞部を有する2つのガラスフラスコ(図
3)。
【0111】浸透セルクランピングリング(2)。浸透
セルアルミニウムシールリング(2)。天然ゴム隔膜。
8mmOD標準壁又は9mmOD(オルドリッチ・ケミ
カルカンパニー(Aldrich Chemical Company)、ミルウォ
ーキー、ウィスコンシン)。
【0112】種々の実験用ガラスウエアと注入器。種々
の実験用備品。1.2 試薬 試薬水。重要な化学分析のMDLで影響が認められない
水。試薬水の精製には浄水装置が用いられる。水を使用
前に80容積%まで沸騰させ、蓋をし、室温まで冷却す
る。
【0113】貯蔵エタノール/芳香族標準溶液。1ml
の密封ガラスアンプル入りのエタノール(0.6030
グラム)、トルエン(0.1722グラム)、p−キシ
レン(0.1327グラム)、o−キシレン(0.06
66グラム)、トリメチルベンゼン(0.0375グラ
ム)及びナフタレン(0.0400グラム)パッケー
ジ。ナフサブレンドの基準は、市販の塗料溶剤ブレンド
で、約20の各種脂肪族炭化水素化合物を含む。これ
は、イリノイ州ウィーリングのサニーサイドコーポレー
ション(Sunnyside Corporation)消耗品部門より入手し
た。
【0114】トリトンX−100。ノニルフェノール非
イオン系界面活性剤(ロームアンドハース(Rohm and Ha
ss))。2.0 製造基準 2.1 浸透物質の作業基準 貯蔵してある浸透テスト基準溶液を用いた。これらの基
準は、正式な比較用化合物を重量で測定して準備する。
実際の重量と重量%を示す。
【0115】エタノール/芳香族の作業基準は、250
μlの貯蔵標準液を、0.1グラムの界面活性剤(トリ
トン(Triton)X−100)を含む100mlの試薬水に
注入したものを準備する。浸透貯蔵標準液を添加する前
に、トリトンX−100を試薬水に完全に溶かす事が大
切である。こうする事によって、そのテスト化合物が水
に確実に分散する。加えて、一定量物質(aliquot)を調
合するたびに、作業基準にしたがって徹底的に混合しな
ければならない。標準溶液作成用のメスフラスコに大き
な空間があると無駄が生じるので、無駄を最小限に抑え
るためには、頭部空間の無いクリンプ−トップ瓶に標準
液を移し替える方がよいかもしれない。
【0116】ナフサ混合体の標準溶液の準備にあたって
は、800μLの「正式な(neat)」ナフサ溶剤混合体
を、0.2グラムの界面活性剤(トリトンX−100)
を含む100ミリリットルの試薬水に注入する。
【0117】密封されていない貯蔵標準溶液は、短期間
保存するのであればガラスのスナップ−キャップ瓶から
クリンプ−トップ瓶に移す必要がある。その瓶は防爆用
冷蔵庫か冷凍庫で保管してもよい。
【0118】2.2 検量基準 検量基準の準備にあたっては、一定容積の作用基準をメ
スフラスコに加え、試薬水で希釈して少なくとも3つの
濃度レベルを設定する。基準のうち一つは、検出限度を
僅かに上回る濃度とする。他の濃度は、環境及びサンプ
ル側セルの予想検出濃度に対応している。3.0 サンプル作成 3.1 フィルムサンプル作成 図3の環境フラスコ(enviroment flask)とサンプルフラ
スコは、使用前に石鹸水で洗い、イオン分離水でよく濯
ぎ、オーブンで乾燥される。洗浄に引き続いて、各フラ
スコにゴムの隔膜が設置される。
【0119】そのフィルムテスト試料は、アルミニウム
シールリングの内径に合わせてテンプレートで切断され
る。フィルムテスト試料の直径は、切断された縁周辺の
拡散ロスを防ぐ上で重要である。フィルムサンプル、ア
ルミニウムシール及びフラスコは、図3に示すように組
み立てられるが、クランピングリングナットは締めてい
ない。
【0120】図3に示すテストセルを準備する。初め
に、サンプルフラスコ32と環境フラスコ31を乾燥圧
縮空気でフラッシングして、サンプル及び環境フラスコ
内の湿気を除去する。その際、サンプル装置33と環境
隔膜34に針で穴を開け、双方のフラスコに同時に流れ
る乾燥空気の流れの調節を目的とするアセンブリーに管
を付ける。クランプリング35はフラスコに緩めに締め
られており、それによってフィルム30のいずれかの側
にかかる圧力を抑える。両方のフラスコを約10分間空
気でフラッシングした後、針を取り外しクランプリング
をしっかり締め、2つのフラスコ間のフィルム30を封
入する。ガスを確実に封入するため、前面にゴムを貼っ
たアルミニウムスペーサー36a、36bを用いる。
【0121】サンプル側にはフラスコ容積300mlあ
たり2μLの水を注入する。サンプルフラスコの容積は
変化するので、水の量はその容積の変化に合わせて変え
られる。フラスコ容積300mlあたり2μLの水は、
73°Fで水の活性が0.25である製品に相当する。
次に、40μLの浸透エタノール/芳香族物質作用基準
もしくはセクション2.2に従って準備したナフサブレ
ンド標準溶液を、環境フラスコに注入する。これらの標
準溶液のいずれも、表Iの1200mlメスフラスコ内
の浸透性物質濃度(部あたり100万容積/容積)で、
相対湿度が72°F(22℃)で60%となる。それ以
外の湿度や浸透性物質濃度は、湿度を決定する湿度図表
や、ガスのロスを利用して浸透性物質濃度の計算を行う
テスト方法で採用される。時間を記録し、浸透セルを温
度調整オーブンに設置する。サンプルはGC作動時間に
合わせてずらしておく。それぞれ3つの浸透装置を準備
する。三重に分析を行って品質を管理する。
【0122】一定時間毎に、オーブンからグループのサ
ンプルを取り出す。初めに、1mlループで締めた加熱
6口サンプリングバルブを用いて、環境フラスコの分析
を行う。ループは1mlの環境側またはサンプル側の空
気でフラッシングされる。ループは毛細管カラム上に注
入される。注入後、GC/FID装置を手動でスタート
させる。一回の浸透実験のサンプル及び環境側から1m
lのサンプル注入が8回まで行われる。
【0123】サンプル側及び環境側のテスト化合物濃度
は、各化合物の検量線又はレスポンスファクターより算
出される(数式1又は3)。浸透質量が要求される場
合、その後、それぞれの特定の浸透フラスコのセットに
合わせて濃度を容積調整する。 4.0 サンプル分析 4.1 計器パラメーター 基準及びサンプルは、以下の方法パラメーターを用い
て、ガスクロマトグラフィーによって分析される。
【0124】カラム:J&Wカラム、DB−5、30
M、0.25mm ID、1 umdf キヤリヤー:水素 スプリットベント(split vent):9.4ml/分 注入口温度:105℃ フレーム検出器温度:200℃ オーブン温度1:75℃ プログラム速度1:15℃ オーブン温度2:125℃ プログラム速度2:20℃ 最終オーブン温度:200℃ 最終保持時間:2分 6口サンプリングバルブ温度は、105℃に設定されて
いる。
【0125】4.2 検量 以下の表21に示すテスト化合物の範囲で、基準を用い
て3点検量が作成される。
【0126】
【表21】
【0127】検量基準を作成する目的で、適量の作用基
準溶液をメスフラスコ内の試薬水の部分標準溶液(aliqu
ot)に添加する。4.2.1 検量線用標準溶液の第2希釈液 5対1希釈:5mlの標準溶液を25mlのメスフラス
コに入れ、ストッパーをし、フラスコを逆様にして混合
する。
【0128】2.5対1希釈:10mlの作用基準を2
5mlのメスフラスコに入れ、ストッパーをし、フラス
コを逆にして混合する。検量基準をそれぞれ分析し、化
合物ピークの検出面積と環境側セル内のテスト化合物の
濃度との比較を表にまとめ、その結果を、各化合物の検
量線の作成に用いる。ナフサソルベント混合物は、20
近くの各種脂肪族炭化水素化合物を有する市販の塗料溶
剤である。レスポンスと濃度の割合は、20種の各ピー
ク下での面積の合計で決定する。最小二乗法によって、
直線を検量線に合わせる。その後各化合物の検量線の傾
斜を計算して、不明の濃度を求める。検量線の代わり
に、平均レスポンスファクターを用いてもよい。
【0129】作用検量線またはレスポンスファクター
は、一つ以上の検量基準の計測し、作動日毎に調べる必
要がある。いずれの化合物でも、レスポンス変化が20
%を越えた場合、新しい検量基準を用いて検査を繰り返
さねばならない。それでも結果が一致しなければ、検量
線を新たに作成する必要がある。
【0130】4.3 検量線の分析と検出方法 標準サンプル 望ましいクロマトグラフィーの条件については既に記し
た。
【0131】上記の通り、装置を毎日検量する。スプリ
ットベントレイトをチェックして調整する。チェックに
あたっては、ソープフィルムフローメーターを用いる。
【0132】正確なデータを作成するために、サンプ
ル、検量基準、及び方法検出レベルサンプルを同一の条
件で分析しなければならない。検量基準及び検出方法の
サンプルは、環境フラスコ内のみで形成される。その
際、サンプルフラスコの代わりに、環境フランジの直径
に合う1/2インチのプラスチックディスクとアルミニ
ウムシートディスクを用いる。一つのシーリングリング
を、環境ガラスフランジ上にのせ、さらにその上にアル
ミニウムシートとプラスチックディスクをのせる。
【0133】環境フラスコを乾燥圧縮空気でフラッシン
グして、サンプル及び環境フラスコ内の湿気を除去す
る。その際、環境隔膜に針で穴を開け、フラスコを通る
乾燥空気の流れの調節を可能にするアセンブリーに管を
付ける。クランプリングはフラスコに緩めに締められて
おり、それによって圧力増加を抑制する。両方のフラス
コを約10分間空気でフラッシングした後、針を取り外
しクランプリングをしっかり締め、その際シールリング
に対してアルミニウムシートを封印する。
【0134】次に、40μLの浸透エタノール/芳香族
作用基準もしくは作用基準の第2希釈液を、環境フラス
コに注入する。または、40μLのナフサソルベントブ
レンドまたは標準溶液の第2希釈液を、環境フラスコに
注入する。時間を記録し、フラスコを温度調整オーブン
に設置する。
【0135】30分経過する毎に、環境サンプルがオー
ブンから取り出される。1mlループで合わせた加熱6
口サンプリングバルブを用いて、環境フラスコの分析を
行う。ループは1ml容積の環境側またはサンプル側の
空気でフラッシングされる。ループは毛細管カラム上に
注入される。注入後、GC/FID装置を手動でスター
トさせる。4.4 結果の計算 4.4.1 テスト化合物検出ファクター サンプル側及び環境側のテスト化合物濃度は、各化合物
の検量線傾斜又はレスポンスファクター(RF)より算
出される。浸透性物質の質量が必要であれば、その後、
それぞれの特定の浸透セルのセットに合わせて濃度を容
積調整する。
【0136】 化合物の濃度(ppm)=ピーク面積/検量線勾配 (1) 化合物特定RF=化合物の濃度(ppm)/ピーク面積 (2) 化合物の濃度(ppm)=ピーク面積×RF (3) 累積浸透剤質量は、フィルムの上流(環境)と下流(サ
ンプル)側に時間の関数として示されている。浸透面積
の拡散率、通過率は、透過線データより算出される。
【0137】4.4.2 透過率 浸透性物質がポリマーと相互作用しない時、浸透性係数
Rは通常、浸透性物質−ポリマー装置に特有のものであ
る。この場合、水素、窒素、酸素、二酸化炭素などの多
くのガスが多くのポリマーに浸透する。今回の方法で用
いられている浸透性物質テスト化合物のように、浸透性
物質がポリマーと相互に作用するのであれば、Pは一定
にはならず、圧力、フィルムの厚さ他の条件に左右され
るであろう。その様な場合、Pの値のみがそのポリマー
薄膜特有の浸透性を表すことにはならず、そのポリマー
の浸透性の全体的な分布を得るためには、考え付く限り
の変動要素に対するPの依存度を知る必要がある。これ
らのケースでは、特定の温度での浸透性物質の飽和蒸気
圧をフィルム全体に対して適用するのであれば、透過率
Qを事実上用いる事が多い。水や有機化合物に対するフ
ィルムの浸透性は、以下の方法で表される事が多い。
【0138】 P=[(浸透性物質量)(フィルム厚さ)]/[(面積)(時間)(フィルム 全体にかかる圧力降下)] (4) Q=[(浸透性物質量)(フィルム厚さ)]/[(面積)(時間)](5) この適用例では、Qは以下の数式(数1)で表される。
【0139】
【数1】
【0140】浸透係数を決定する際の主な変動要素の一
つが、フィルム全体にかかる圧力降下である。透過率Q
の範囲には浸透性物質の濃度も圧力も含まれていない。
そのため、QとPの相互関係を示すためには、計測条件
での蒸気圧か浸透性物質濃度を知る必要がある。
【0141】環境側からサンプル側にかけてのフィルム
全体にかかる圧力降下は、主として水蒸気圧によるもの
である。水の濃度や湿度は一定せず、有機化合物を分析
するたびに計測されるのではないので、薄膜全体にかか
る圧力は決まっていない。
【0142】これまでに挙げた様々な適合性シクロデキ
ストリン誘導体を含む熱可塑性フィルムの例から、本発
明が別々の様々な熱可塑性フィルムで実施可能な事が分
かる。その上、本発明においては、様々な種類の適合性
誘導シクロデキストリン材料を用いてもよい。すなわ
ち、本発明のフィルムは、様々なフィルム製造技術を用
いて製造する事が可能である。その様な技術としては、
例えば、有用なバリヤーの形成を目的とした押し出し成
形及び水性分散被膜が挙げられる。
【0143】上記の説明、置換シクロデキストリンの
例、押し出し成形された熱可塑性フィルム及びテストデ
ータは、本発明の技術的理解を助けるものである。
【0144】
【発明の効果】以上説明したとおり本発明は、バリヤー
性に優れ、他の樹脂と混合したときに適合性(相溶性)
があり、透明性、加工性又は構造特性が著しく低下する
ことのない、シクロデキストリン誘導体を含む食品包装
用フィルム及び包装済み食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 誘導無しのシクロデキストリン分子の大きさ
を表したものである。α、β、γの各デキストリンを示
している。
【図2】 表1に示すフィルムを形成するために用いら
れる押し出し機の概略図である。
【図3】 本発明のフィルムの浸透性を調べる際に用い
られたテスト装置を示す。
【符号の説明】
20 クーリングリング 21 チューブ 22 ダイ 23 環状ダイ 24 ローラー 25 フィルム 26 エアー導入口 27 ミキシングゾーン 28 溶融ゾーン 29 押し出し部 30 フィルム 31 環境フラスコ 32 サンプルフラスコ 33 サンプル装置 34 環境隔膜 35 クランプリング 36a,36b アルミニウムスペーサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 5/16 C08L 5/16 23/00 23/00 27/04 27/04 33/00 33/00

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 改良されたバリヤー特性を持つ熱可塑性
    フィルム組成物を含む食品包装用フィルムであって、
    (a)熱可塑性ポリマー、及び(b)ポリマーに均一に
    分散し、有効に浸透物質を吸収する量のポリマー適合性
    シクロデキストリン誘導体を含み、 前記シクロデキストリンは、実質的に混在錯体化合物を
    含まない熱可塑性フィルム組成物である食品包装用フィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 浸透性物質が残留ポリマー揮発性物質を
    含む請求項1に記載の食品包装用フィルム。
  3. 【請求項3】 食品が液状食品である請求項1に記載の
    食品包装用フィルム。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリマーが、塩化ビニル又はビ
    ニリデンジクロライドを含む塩素含有ビニルポリマーで
    ある請求項1に記載の食品包装用フィルム。
  5. 【請求項5】 熱可塑性ポリマーが、ポリ(ビニルクロ
    ライド−コ−ビニルアセテート)又はポリ(ビニルクロ
    ライド−コ−ビニリデンジクロライド)である請求項1
    に記載の食品包装用フィルム。
  6. 【請求項6】 熱可塑性ポリマーが、ポリビニルアルコ
    ール、ポリ(エチレン−コ−ビニルアルコール)、又は
    ポリ(エチレン−コ−メチルアクリレート)である請求
    項1に記載の食品包装用フィルム。
  7. 【請求項7】 シクロデキストリン誘導体が、β−シク
    ロデキストリン誘導体を含む請求項1に記載の食品包装
    用フィルム。
  8. 【請求項8】 シクロデキストリン誘導体が、シクロデ
    キストリン第一炭素原子上に少なくとも一つの置換基を
    持つ請求項1に記載の食品包装用フィルム。
  9. 【請求項9】 シクロデキストリンがα−シクロデキス
    トリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキスト
    リン又はそれらの混合物である請求項1に記載の食品包
    装用フィルム。
  10. 【請求項10】 熱可塑性ポリマーが、0.1〜5重量
    %のポリマー適合性シクロデキストリン誘導体を含む請
    求項1に記載の食品包装用フィルム。
  11. 【請求項11】 熱可塑性ポリマーが、ポリエステルで
    ある請求項1に記載の食品包装用フィルム。
  12. 【請求項12】 ポリエステルがポリ(エチレン−コ−
    テレフタレート)を含む請求項11に記載の食品包装用
    フィルム。
  13. 【請求項13】 熱可塑性ポリマーが、ポリエチレンで
    ある請求項1に記載の食品包装用フィルム。
  14. 【請求項14】 ポリエチレンが高密度ポリエチレンで
    ある請求項13に記載の食品包装用フィルム。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれか1項に記載
    の食品包装用フィルムでパッケージングされた包装済み
    食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003517975A (ja) * 1999-12-21 2003-06-03 パクティヴ・コーポレーション 隔壁特性を備えた再閉可能な包装材
JP2007119674A (ja) * 2005-10-31 2007-05-17 Daicel Chem Ind Ltd 水溶性助剤及びその用途
US7638179B2 (en) 2001-05-05 2009-12-29 Cellresin Technologies, Llc Sealing element for vessel or container closures having improved barrier properties
JP2020521026A (ja) * 2017-06-13 2020-07-16 バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ 臭気と曇りを抑えたポリオレフィン組成物

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