JPH11314751A - 長尺搬送物の転回装置 - Google Patents

長尺搬送物の転回装置

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JPH11314751A
JPH11314751A JP12086398A JP12086398A JPH11314751A JP H11314751 A JPH11314751 A JP H11314751A JP 12086398 A JP12086398 A JP 12086398A JP 12086398 A JP12086398 A JP 12086398A JP H11314751 A JPH11314751 A JP H11314751A
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roller
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Atsushi Hatanaka
淳 畠中
Kazuo Omori
和郎 大森
Ichiro Asahi
一郎 旭
Toshitane Matsukawa
敏胤 松川
Keishi Matsuda
惠嗣 松田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】構成を簡易にして、設備費を安価にしたい。 【解決手段】搬送ラインA〜Dから送り込まれてくるビ
レット2を受け取って下流側に送り込む複数の送り込み
ローラ3a〜3eを備え、その最下流側に配された送り
込みローラ3eのさらに下流側には、軸方向が転回後搬
送方向に直交する方向を向いた複数の払い出しローラ4
a〜4iを配設する。払い出しローラ4a〜4iは、最
下流の送り込みローラ3eに近接していて、その送り込
みローラ3eとは逆側端部の上方には、搬送ラインEに
沿って延びる薄板状部材からなるサイドガイド7を、送
り込みローラ3eから所定距離隔てて、その幅方向を鉛
直方向に向けて配設する。そして、サイドガイド7の送
り込みローラ3e側を向く面に近接して、軸方向を鉛直
方向に向け且つ転回後搬送方向に移動可能な4本のロー
ラ9a〜9eを、転回後搬送方向に沿って所定距離隔て
て配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば連続鋳造
工場や形鋼工場等においてビレット等の長尺物を搬送す
る際にそれを方向転換(転回)させるための転回装置で
あって、特に、装置構成が簡易で済むようにしたもので
ある。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の技術としては、例えば、
実公平7−434号公報、実公平7−20103号公
報、実開平6−54631号公報等に開示されたものが
ある。
【0003】これら公報に開示された従来の装置は、転
回後の長尺搬送物の搬送ラインを両側から挟み込むよう
に引き込みローラ及び押し戻しローラを備え、引き込み
ローラを転回前搬送方向に対応した回転方向に回転駆動
させる一方、それとは逆方向に押し戻しローラを回転駆
動させるようになっていて、それら引き込みローラ及び
押し戻しローラの互いに逆方向への回転を利用して長尺
搬送物を転回させるようになっていた。
【0004】なお、長尺搬送物の転回のきっかけは、押
し戻しローラの奥側に斜め後方を向くように配設された
ストッパを利用する構成(実公平7−434号公報)
や、引き込みローラ及び押し戻しローラ上に長尺搬送物
がきたときに、その長尺搬送物の尾端を、転回後搬送方
向下流側に移動させる構成(実公平7−20103号公
報)や、引き込みローラ及び押し戻しローラ上に長尺搬
送物がきたときに、その長尺搬送物の先端を転回後搬送
方向上流側に尾端を転回後搬送方向下流側にそれぞれ移
動させる構成(実開平6−54631号公報)が採用さ
れていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に開示された従来の技術は、引き込みローラの他に押
し戻しローラが必須の構成であるため、設備費が嵩んで
しまうという問題点を有している。また、押し戻しロー
ラ本体やそれを駆動させるための設備等を、転回後の長
尺搬送物の搬送ラインのさらに奥側に配設しなければな
らないため、その分、設備の設置範囲が広くなってしま
うという問題点もある。
【0006】なお、簡易な構成で長尺搬送物を方向転換
させる装置としては、例えば実開昭51−53674号
公報に開示されたものもあるが、構成が簡易である分、
きめ細かい制御は行えない。
【0007】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、簡易な
構成で済み、しかも高精度の転回制御が可能な長尺搬送
物の転回装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、端部を先頭にして搬送され
る長尺搬送物を転回させる装置であって、転回前の前記
長尺搬送物を受け取って転回前搬送方向の下流側に送り
込むように回転する複数の長尺の送り込みローラと、こ
れら送り込みローラのうちの最下流ローラのさらに下流
側に配設され転回後の前記長尺搬送物を受け取って転回
後搬送方向の下流側に払い出すように回転する複数の払
い出しローラと、前記送り込みローラの前記最下流ロー
ラから所定距離隔てるように前記払い出しローラよりも
高い位置に配設され且つ前記転回後搬送方向に沿って延
びるサイドガイドと、前記サイドガイドに達した前記長
尺搬送物の先端を前記転回後搬送方向の上流側又は下流
側に移動可能な先端部移動装置と、を備えた。
【0009】請求項2に係る発明は、上記請求項1に係
る発明である長尺搬送物の転回装置において、前記払い
出しローラを正逆両方向に回転駆動可能とし、前記長尺
搬送物の転回後搬送方向を、各長尺搬送物毎に選択可能
とした。
【0010】また、請求項3に係る発明は、上記請求項
1又は2に係る発明である長尺搬送物の転回装置におい
て、前記先端部移動装置による前記長尺搬送物の先端の
移動方向を、前記転回後搬送方向の上流側及び下流側の
間で選択可能とした。
【0011】そして、請求項4に係る発明は、上記請求
項1〜3に係る発明である長尺搬送物の転回装置におい
て、前記払い出しローラにより搬送される際の前記長尺
搬送物の底面の高さ方向位置である払い出し時高さを、
前記送り込みローラにより搬送される際の前記長尺搬送
物の底面の高さ方向位置である送り込み時高さよりも低
くし、前記先端部移動装置は、下端部が前記長尺搬送物
の先端部側面に当接してその先端部を前記転回後搬送方
向の下流側に移動させる可動部を有しており、そして、
前記長尺搬送物の高さ方向寸法をH、前記払い出し時高
さと前記送り込み時高さとの差をX、前記先端部移動装
置の前記可動部が前記長尺搬送物の先端部を移動させる
際のその可動部の先端と長尺搬送物の上面との間の鉛直
方向距離をY、前記先端部移動装置の前記可動部先端と
前記払い出し時高さとの間の鉛直方向距離をZとした場
合に、 X≧0.5 H Y≧0.5 H Z≧H という関係が成立するようにした。
【0012】さらに、請求項5に係る発明は、上記請求
項1〜3に係る発明である長尺搬送物の転回装置におい
て、前記先端部移動装置による前記長尺搬送物の先端の
前記転回後搬送方向の上流側又は下流側への移動距離
は、その長尺搬送物の長さ方向寸法の10%以上とし
た。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1乃至図3は本発明の第1の
実施の形態を示す図であって、図1は、本発明に係る転
回装置1の平面図である。
【0014】先ず、構成を説明すると、この転回装置1
は、長尺搬送物としてのビレット2の搬送方向を90度
変換させる装置であって、ビレット2は、図1下方から
上方に向かって搬送され、この転回装置1によって90
度転回された後に、図1左側に払い出されるようになっ
ている。なお、この例では、ビレット2の送り込み側の
搬送ラインは、矢印A〜Dで示すように4系統設けら
れ、ビレット2の送り出し側の搬送ラインは、矢印Eで
示すように1系統となっている。従って、各搬送ライン
A〜Dから順次ビレット2が送り込まれ、それら各ビレ
ット2がこの転回装置1において90度転回されて、搬
送ラインEに送り出されていくようになっている。この
例では、矢印A〜Dの向く方向が転回前搬送方向であ
り、矢印Eの向く方向が転回後搬送方向となる。
【0015】そして、転回装置1は、搬送ラインA〜D
から送り込まれてくるビレット2を受け取って、さらに
下流側に送り込む複数(この例では5本)の送り込みロ
ーラ3a〜3eを有している。これら送り込みローラ3
a〜3eは、長尺の駆動ローラであって、間隔をあけて
互いに平行に配設されている。また、これら送り込みロ
ーラ3a〜3eの長さ方向寸法は全て同じという訳では
なく、上流側のローラ3aの寸法が最も短く、下流側に
いくに従って徐々に長くなり、最下流側とその一つ手前
のローラ3e,3dが最も長くなっている。上流側の送
り込みローラの寸法を下流側の送り込みローラの寸法よ
りも短くしているのは、後述するビレット2の転回動作
における尾端の軌跡に合わせたからであって、これによ
り無駄に長いローラを使用せずに済むから、その分、コ
スト低減が図られる。
【0016】最下流側に配された送り込みローラ3eの
さらに下流側(図1上方)には、軸方向が転回後搬送方
向に直交する方向(つまり、図1上下方向)を向いた複
数の払い出しローラ4a〜4iが配設されている。
【0017】払い出しローラ4a〜4iは、そのうちの
一の払い出しローラ4dの正面図である図2に示すよう
に、最下流の送り込みローラ3eに近接している。具体
的には、払い出しローラ4a〜4iは、送り込みローラ
3a〜3eよりも大径のローラであって、その軸受5
a,5bのうちの一方を送り込みローラ3eの下側の空
間に配設することにより、払い出しローラ4a〜4iの
送り込みローラ3eへの近接を可能にするとともに、払
い出しローラ4a〜4iにより搬送される際のビレット
2の底面の高さ方向位置である払い出し時高さHout
が、送り込みローラ3a〜3eにより搬送される際のビ
レット2の底面の高さ方向位置である送り込み時高さH
inよりも、若干低い位置となるようにしている。
【0018】払い出しローラ4a〜4iの転回後搬送方
向の下流側には、それら払い出しローラ4a〜4iより
も小径の複数の搬送ローラ6(図1には、そのうちの一
つのみを示す)が配設されていて、これら搬送ローラ6
によって、ビレット2が搬送ラインEに沿ってさらに下
流側に搬送されるようになっている。
【0019】払い出しローラ4a〜4iの送り込みロー
ラ3eとは逆側端部の上方には、搬送ラインEに沿って
延びる薄板状部材からなるサイドガイド7が、送り込み
ローラ3eから所定距離隔てて、その幅方向を鉛直方向
に向けて配設され、また、送り込みローラ3a〜3eの
転回後搬送方向下流側を向く端部の上方には、転回前搬
送方向下流側に沿って延びる薄板状部材からなるサイド
ガイド8が、その幅方向を鉛直方向に向けて配設されて
いる。なお、サイドガイド8は、送り込みローラ3eを
超えた当たりで折れ曲がって、そこから転回後搬送方向
の下流側に沿って延びて、搬送ラインEを搬送されるビ
レット2をサイドガイド7とともに両側からガイドする
サイドガイド8aとなっている。
【0020】そして、サイドガイド7の送り込みローラ
3e側を向く面に近接して、軸方向を鉛直方向に向けた
可動部としての4本のローラ9a〜9dが、転回後搬送
方向に沿って所定距離隔てて配設されている。具体的に
は、ローラ9a〜9dは、図2に示すように、ベースプ
レート10の下面側に回転自在に支持されたローラであ
って、ベースプレート10は、図示しない油圧シリンダ
等で構成された駆動装置によって、転回後搬送方向に沿
って往復動可能となっている。また、各ローラ9a〜9
dの配設位置は、各搬送ラインA〜Dに沿って搬送され
て先端がサイドガイド7に達したときのビレット2の転
回後搬送方向上流側の側面に近接するような位置となっ
ている。なお、ローラ9a〜9dと、送り込みローラ3
eとの間の距離は、少なくとも、ビレット2の幅方向寸
法を超える寸法とする。これは、後述するように転回し
たビレット2が払い出しローラ4a〜4i上に確実に落
下できるようにするためである。
【0021】さらに、ベースプレート10の移動距離
は、この転回装置1で転回するビレット2の長さ方向寸
法の10%以上の距離としている。また、図示はしない
が、この転回装置1は、送り込みローラ3a〜3eによ
って送り込まれてきたビレット2の先端が、サイドガイ
ド7に達したことを検出するセンサを備えていて、その
センサの検出信号が、ベースプレート10の移動を制御
する図示しないコントローラに供給されるようになって
いる。ビレット2の先端がサイドガイド7に達したこと
を検出するセンサとしては、投受光式のセンサや、或い
は、ビレット2が高温である場合にはHMDも使用可能
である。そして、センサ出力を受けるコントローラは、
そのセンサ出力に基づいてビレット2の先端がサイドガ
イド7に達したことを確認したら、転回後搬送方向上流
側にあったベースプレート10を、ビレット2の長さ寸
法の10%以上の距離、転回後搬送方向下流側に移動さ
せるように、そのベースプレート10の駆動装置に制御
信号を出力するようになっている。その後、コントロー
ラは、搬送ラインA〜Dのいずれかを搬送されてきた次
のビレット2が送り込みローラ3aに受け渡されるより
も前に、ベースプレート10を転回後搬送方向上流側の
位置に戻るようにベースプレート10の駆動装置に制御
信号を出力するようになっている。
【0022】さらに、図2に示すように、ビレット2の
高さ方向寸法をH、払い出し時高さHout と送り込み時
高さHinとの差をX、ローラ9a〜9dがビレット2の
先端部側面に接してこれを移動させる際のそのローラ9
a〜9dの先端とビレット2の上面との間の鉛直方向距
離をY、ローラ9a〜9dの先端と前記払い出し時高さ
Hout との間の鉛直方向距離をZとした場合に、 X≧0.5 H ……(1) Y≧0.5 H ……(2) Z≧H ……(3) という関係が成立するように、各部材の寸法等を適宜設
定している。
【0023】次に、本実施の形態の動作を説明する。即
ち、搬送ラインA〜Dに沿って順次ビレット2がこの転
回装置1に送り込まれてくるのであるが、今、搬送ライ
ンDに沿って一つのビレット2が転回装置1に送り込ま
れてきたとする。すると、ビレット2は、送り込みロー
ラ3a〜3eによって転回前搬送方向に沿ってさらに下
流側に送り込まれ、その先端がサイドガイド7に達し、
その時点で転回前搬送方向への移動は阻止される。
【0024】ビレット2の先端がサイドガイド7に達す
ると、図示しないセンサによってそれが検出され、コン
トローラは、ベースプレート10を転回後搬送方向下流
側に移動させるように駆動装置を制御する。その結果、
各ローラ9a〜9dが、図1に破線矢印で示すように、
同時に転回後搬送方向下流側に向けて移動するのである
が、搬送ラインDの延長線の右側に位置していたローラ
9dが、ビレット2の先端部側面を押圧することになる
から、そのビレット2の先端は転回後搬送方向下流側に
移動することになる。
【0025】ここで、本発明者等が行った実験によれ
ば、ビレット2の先端を移動させた場合、ビレット2
は、その重心(従って、長さ方向の略々中央部)を中心
に転回するのに対し、ビレット2の尾端を左右方向に移
動させた場合、ビレット2は、その先端部を中心に転回
することが判った。このため、水平面内においてビレッ
ト2を同じ角度だけ傾けるためには、先端部を移動させ
る場合は、尾端部を移動させる場合に比べて半分の移動
量で済むのである。
【0026】そして、ローラ9dがビレット2の先端を
移動させた直後は、ビレット2は、図1に示す2aのよ
うな状態になるが、送り込みローラ3a〜3eによって
ビレット2aはさらに下流側に向かおうとする。しか
し、そのビレット2aの先端の移動はサイドガイド7に
よって阻止されているため、先端部を中心に尾端部が大
きく旋回するようにビレット2が転回するため、ビレッ
ト2の傾斜角は、図3に示す2b→2cというように徐
々に大きくなる。
【0027】また、このようなビレット2の傾斜動作
は、ローラ9d等によって強制的に与えらえるビレット
2の初期傾斜角度(図1のビレット2aの姿勢)がある
程度の大きさでなければ確実性に欠け、その最低限の角
度は、本発明者等の実験によれば、ビレット2の長さ寸
法と、初期傾斜角度を与えた際のビレット2aの先端部
及び尾端部間のずれ量との比(移動量比)が、20%以
上となる角度であることが判った。なお、よりスムーズ
な傾斜動作を実現するためには、上記移動量比を30%
以上とすることが望ましいのであるが、移動量比を大き
くするために、それだけベースプレート10のストロー
ク量を大きくしなければならないから、装置構成を簡易
にするためには、移動量比はせいぜい20〜30%の範
囲とすることが得策である。
【0028】一方、上述したように、本実施の形態のよ
うにビレット2の先端部をローラ9dで移動させる構成
であれば、ビレット2は重心を中心に転回するため、上
記移動量比を20〜30%とするためには、先端部の移
動量はその半分、つまりビレット2の長さ方向寸法の1
0〜15%とすればよいことになる。例えば、ビレット
2の全長が5mであれば、50cm〜75cm程度、先
端部を左右方向に移動させればよい。
【0029】また、ビレット2の先端を強制的に移動さ
せるためにそのビレット2の先端部側面に接触する部材
を、回転自在のローラ9a〜9dとしているため、転回
動作の途中や終わりのころに、ビレット2が長手方向に
移動しても、その移動はローラ9a〜9dの回転によっ
てスムーズに案内されるから、ビレット2やローラ9a
〜9dが損傷するような可能性を低減できるという利点
もある。なお、本実施の形態では、ローラ9a〜9dが
複数備えられているため、ビレット2の転回動作の終了
のころに、ビレット2が隣のローラに接触する可能性も
あるが、その場合にも回転自在のローラ9a〜9dであ
るため、ビレット2やローラ9a〜9dが損傷するよう
な可能性を低減できる。
【0030】図3に示すビレット2cは、送り込みロー
ラ3eの回転力によってさらに傾斜角度を大きくし、つ
いには送り込みローラ3eと平行になり、その姿勢で払
い出しローラ4a〜4i上に落下する。その後は、図3
に示すビレット2dのように搬送ラインEに沿って下流
側に移動していく。
【0031】さらに、本実施の形態の形態では、上記
(1)〜(3)式を満足するように各部の寸法を選定し
ているため、ローラ9a〜9dによってビレット2の先
端を確実に移動させることができ、また、ビレット2の
払い出しローラ4a〜4i上への落下距離を短くして、
その落下の際にビレット2が横転するようなことも防止
できる。
【0032】つまり、上記(1)式及び(3)式を満足
すれば、ビレット2が払い出しローラ4a〜4iとロー
ラ9a〜9dとの間に噛み込まれるようなことはない
し、また、上記(2)式を満足すれば、ローラ9a〜9
dの押圧によってビレット2が横に倒れてしまうような
ことがないから、ビレット2の先端を確実に左右方向に
移動させることができるのである。
【0033】そして、本実施の形態の構成であれば、ビ
レット2の転回を、送り込みローラ3a〜3eと、ロー
ラ9a〜9dと、サイドガイド7とによって実現するこ
とができるため、前述の公報の開示された従来の装置の
ように押し戻しローラを設ける必要がなく、その分、設
備費が安価で済み、設置のためのスペースも狭くできる
という利点がある。
【0034】ここで、本実施の形態では、ローラ9a〜
9d、ベースプレート10及び図示しない駆動装置によ
って、先端部移動装置が構成される。図4は本発明の第
2の実施の形態を示す図である。なお、上記第1の実施
の形態と同様の構成には、同じ符号を付し、その重複す
る説明は省略する。
【0035】即ち、本実施の形態でも、複数の長尺の送
り込みローラ3a〜3eと、複数の払い出しローラ4a
〜4kと、サイドガイド7とを備えているが、払い出し
ローラ4a〜4kを正逆両方向に回転駆動可能にその駆
動装置を構成していて、これにより、払い出し方向とし
て、搬送ラインEの他に、それと逆向きの搬送ラインF
をも選択できるようになっている。
【0036】また、上記第1の実施の形態におけるロー
ラ9a〜9dに代えて、ローラ11a及び11bが設け
られている。ローラ11a及び11bは、搬送ラインA
に沿って搬送されてサイドガイド7に端部が達したビレ
ット2の先端部の左右両側面に近接するような位置が初
期位置となるように、上記第1の実施の形態と同様のベ
ースプレートに取り付けられている。そして、ベースプ
レートは、左右両方向に移動可能となっている。このた
め、送り込みローラ3a〜3eによって送り込まれて先
端がサイドガイド7に達したビレット2の先端を、搬送
ラインEの下流側に移動させることもできるし、搬送ラ
インFの下流側に移動させることもできる。
【0037】このため、例えば、この転回装置1に送り
込まれる前にビレット2の品質を検査し、良品は、払い
出しローラ4a〜4kを正転させるとともにローラ11
a、11bを図4左方に移動させることにより、2a→
2b→2cと転回させて2dのように搬送ラインE側に
払い出し、不良品は、払い出しローラ4a〜4kを逆転
させるとともにローラ11a、11bを図4右方に移動
させることにより、2e→2f→2gと転回させて2h
のように搬送ラインF側に払い出す、というような払い
出し方向の選択が可能になる。
【0038】また、ビレット2を搬送ラインE側に払い
出すにしても、ローラ11a、11bの移動方向を例え
ば図4右方に移動させるように制御すれば、搬送ライン
Aでは先頭であったビレット2の端部を、搬送ラインE
では逆に尾端側にすることができるようになる。
【0039】つまり、ローラ11a、11bの移動方向
を、転回後搬送方向の上流側又は下流側の間で選択する
ことにより、ビレット2の先頭となる側を、この転回装
置1において入れ換えたり或いは入れ換えなかったりす
ることができる。このため、例えば圧延前に加熱された
ビレット2が、尾端部よりも先端部が先に加熱処理され
たために転回装置1に達した時点で先端部の温度が尾端
部よりも低下しているような場合には、ビレット2の先
頭となる側を入れ換えることにより高温の尾端側を先頭
にでき、圧延機に高温の端部側から送り込めるから、圧
延にとって有利となる。
【0040】その他の作用効果は上記第1の実施の形態
と同様である。なお、ビレット2の先頭となる側を転回
装置1において入れ換え可能にする構成は、上記第1の
実施の形態のような転回装置1にも採用可能である。つ
まり、ローラ9a〜9dの移動範囲を上記第1の実施の
形態よりも広くし、ビレット2の先端を左右いずれの方
向にも移動量比で10〜15%程度移動できるようにす
れば、ビレット2の先頭となる側を、転回装置1におい
て入れ換えたり或いは入れ換えなかったりすることがで
きるようになる。
【0041】また、上記各実施の形態では、先端部移動
装置として、ローラとベースプレートとを利用した構成
を採用しているが、これに限定されるものではなく、例
えば、回転移動する無端ベルトのような構成を採用する
ことも可能である。具体的には、上記各実施の形態で示
したローラ9a〜9d,11a及び11bの移動範囲と
同程度の範囲に渡るように、サイドガイド7に沿って無
端ベルトを配設し、その無端ベルトを常時所定の方向に
回転させるようにすれば、無端ベルトに達したビレット
2の先端を所望の方向に移動させることができるから、
上記各実施の形態と同様にビレット2に初期傾斜角を与
えることができ、ビレット2を転回することができるよ
うになる。また、このような構成であれば、ローラ9a
〜9dやローラ11a及び11bを利用した場合のよう
に、ビレット2の先端を移動させた後に戻す動作が不要
であるから、コントローラにおける制御が簡易になると
いう利点があるし、しかも、無端ベルトを常時回転させ
ておけば、ビレット2の端部がその無端ベルトに達した
ことを検出する必要がない(つまり、そのためのセンサ
が不要になる)から、コスト低減に寄与できるという利
点もある。
【0042】さらに、上記第1の実施の形態では、転回
前の搬送ラインA〜Dのそれぞれに対応してローラ9a
〜9dを設けているため、ベースプレート10の移動距
離が短くて済むという利点があるが、これに限定される
ものではなく、例えば移動距離が広い1本のローラで、
各搬送ラインA〜Dを搬送されてくる各ビレット2の先
端を移動させるような制御を実行するようにしてもよ
い。また、上記第1の実施の形態では、4本のローラ9
a〜9dを共通のベースプレート10によって同時に移
動させるようにしているが、それぞれのベースプレート
10を別体とすることにより、各ローラ9a〜9dを個
別に移動できるようにしてもよい。
【0043】そして、上記各実施の形態では、本発明に
係る転回装置を、ビレット2を転回するための装置を例
に説明したが、本発明の適用対象はこれに限定されるも
のではなく、ビレット2以外の長尺搬送物(例えば、形
鋼等)を転回する装置であってもよい。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る長尺
搬送物の転回装置によれば、複数の長尺の送り込みロー
ラと、サイドガイドと、先端部移動装置とを利用して長
尺搬送物を転回し、転回後の長尺搬送物は複数の払い出
しローラによって払い出すように構成したため、構成が
簡易で済み、設備費が安価になるという効果がある。
【0045】特に、請求項2に係る発明であれば、転回
後搬送方向を選択できるから、長尺搬送物の品質等に応
じてその搬送方向を異ならせることができるという効果
もある。
【0046】また、請求項3に係る発明であれば、転回
時に長尺搬送物の先頭となる端部を入れ換えたり又は入
れ換えなかったりできるから、よりきめ細かな転回制御
が可能になるという効果もある。
【0047】そして、請求項4や請求項5に係る発明で
あれば、より安定した転回制御が行えるという効果もあ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す転回装置の平面図であ
る。
【図2】一つの払い出しローラ及びその周辺の構成を示
す正面図である。
【図3】第1の実施の形態の動作を説明する転回装置の
平面図である。
【図4】第1の実施の形態を示す転回装置の平面図であ
る。
【符号の説明】
1 転回装置 2、2a〜2h ビレット(長尺搬送物) 3a〜3e 送り込みローラ 4a〜4k 払い出しローラ 7 サイドガイド 9a〜9d ローラ(可動部) 10 ベースプレート 11a、11b ローラ(可動部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 旭 一郎 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 松川 敏胤 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 松田 惠嗣 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 端部を先頭にして搬送される長尺搬送物
    を転回させる装置であって、 転回前の前記長尺搬送物を受け取って転回前搬送方向の
    下流側に送り込むように回転する複数の長尺の送り込み
    ローラと、 これら送り込みローラのうちの最下流ローラのさらに下
    流側に配設され転回後の前記長尺搬送物を受け取って転
    回後搬送方向の下流側に払い出すように回転する複数の
    払い出しローラと、 前記送り込みローラの前記最下流ローラから所定距離隔
    てるように前記払い出しローラよりも高い位置に配設さ
    れ且つ前記転回後搬送方向に沿って延びるサイドガイド
    と、 前記サイドガイドに達した前記長尺搬送物の先端を前記
    転回後搬送方向の上流側又は下流側に移動可能な先端部
    移動装置と、を備えたことを特徴とする長尺搬送物の転
    回装置。
  2. 【請求項2】 前記払い出しローラを正逆両方向に回転
    駆動可能とし、前記長尺搬送物の転回後搬送方向を、各
    長尺搬送物毎に選択可能とした請求項1記載の長尺搬送
    物の転回装置。
  3. 【請求項3】 前記先端部移動装置による前記長尺搬送
    物の先端の移動方向を、前記転回後搬送方向の上流側及
    び下流側の間で選択可能とした請求項1又は請求項2記
    載の長尺搬送物の転回装置。
  4. 【請求項4】 前記払い出しローラにより搬送される際
    の前記長尺搬送物の底面の高さ方向位置である払い出し
    時高さを、前記送り込みローラにより搬送される際の前
    記長尺搬送物の底面の高さ方向位置である送り込み時高
    さよりも低くし、 前記先端部移動装置は、下端部が前記長尺搬送物の先端
    部側面に当接してその先端部を前記転回後搬送方向の下
    流側に移動させる可動部を有しており、 そして、前記長尺搬送物の高さ方向寸法をH、前記払い
    出し時高さと前記送り込み時高さとの差をX、前記先端
    部移動装置の前記可動部が前記長尺搬送物の先端部を移
    動させる際のその可動部の先端と長尺搬送物の上面との
    間の鉛直方向距離をY、前記先端部移動装置の前記可動
    部先端と前記払い出し時高さとの間の鉛直方向距離をZ
    とした場合に、 X≧0.5 H Y≧0.5 H Z≧H という関係が成立するようにした請求項1乃至請求項3
    のいずれかに記載の長尺搬送物の転回装置。
  5. 【請求項5】 前記先端部移動装置による前記長尺搬送
    物の先端の前記転回後搬送方向の上流側又は下流側への
    移動距離は、その長尺搬送物の長さ方向寸法の10%以
    上である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の長尺
    搬送物の転回装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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