JPH11314309A - 電気防食用被覆及び方法 - Google Patents

電気防食用被覆及び方法

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JPH11314309A
JPH11314309A JP12613998A JP12613998A JPH11314309A JP H11314309 A JPH11314309 A JP H11314309A JP 12613998 A JP12613998 A JP 12613998A JP 12613998 A JP12613998 A JP 12613998A JP H11314309 A JPH11314309 A JP H11314309A
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conductive resin
conductive
anticorrosion
air
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JP12613998A
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Ryosuke Wake
亮介 和氣
Takao Yamazaki
隆生 山崎
Toru Tsuru
徹 水流
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空気中での有効な電気防食用被覆の提供する
こと。 【解決手段】 空気中において、金属表面に絶縁性樹脂
層を、その上にカーボン粒子を含有する導電性樹脂層を
有し、前記導電性樹脂層が金属よりも高電位に保持され
ていることを特徴とする電気防食用被覆。好ましくは、
前記導電性樹脂層の体積抵抗率を相対湿度100%の空
気との平衡状態において1000Ω・cm以下に、前記
絶縁性樹脂層の厚みを1μm〜3mmに規定することが
好ましく。さらに、前記導電性樹脂層の上への上層樹脂
層の形成、並列または直列に抵抗を接続を適宜行うこ
と。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気防食及びその
方法に関する。さらに詳しくは、空気中における電気防
食及びその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気防食は、古くから知られている優れ
た防食方法であるが、防食したい金属素地に電流を流さ
なくてはならないため、防食電極と防食しようとする金
属との間を連続的に満たす導電性媒体(海水、導電性溶
液、湿潤土など)が必要であった。したがって、海水中
などの環境では一般的ではあるものの、導電性媒体がな
い空気中などの環境においては、電気防食は不可能であ
ると考えられ、金属の腐食速度が、電気防食を必要とす
るほどに速くないこともあり、ほとんど検討されてこな
かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】樹脂による金属の被覆
は、非常に重要な防錆方法であり、表面の性状や色彩の
選択の自由度が高いため広く用いられているが、被覆に
きずがついた場合にその部分が優先的に腐食され、樹脂
がふくれたり、また変色により外観を損ねるという大き
な欠点を有していた。従来はかかる欠点に対して、きず
のつきにくい樹脂被覆の開発、防錆顔料の混合、耐食性
に優れた鋼板との併用などの対策がとられてきたが結局
は、きずがついてしまった場合は塗装による補修が一般
的な対策であった。
【0004】発明者らは、金属が露出した部分のメイン
テナンスフリーにての防食対策として、電気防食を有効
に利用することを想到し鋭意検討を続けてきた。金属の
使用環境で、最も一般的なものは大気中である。空気の
湿度が低く、あるいは含塩粒子が飛来しない環境では塗
装欠陥部の腐食はあまり進行しない。しかし、空気中と
いえども、湿度が高く、あるいは含塩粒子の飛来が多く
なれば、当然腐食速度が上昇し、耐食性の成分添加のな
い材料において、上記のような被覆の欠陥が原因で金属
が直接空気に曝される環境においては腐食が問題とな
り、錆による着色や塗膜のふくれなど外観上のみでな
く、構造部材としての使用に支障を来すほどの腐食が進
行することもまれではない。
【0005】最近、親水性塗料を塗装した表面に電圧を
印加すると、湿度が高くなると電気防食がされるという
報告がある(北尾勝則ら/第43回腐食防食討論会C−
214)が、これは電源部と防食したい部分を含む塗膜
面全域に水膜・多量の付着塩がないと防食電位に到達し
ないために、使用環境に制限があり汎用性に著しく欠け
ていた。さらに、金属表面に親水性樹脂を一層のみしか
形成できず,その上に上塗り層や中間層を設けることが
原理的にできず構造が限定されるために、塗膜設計に制
限があった。発明者らは、上記のように被覆欠陥部を生
じても電気防食の効果により防食をおこない、腐食を最
小限にすることが可能な電気防食用被覆およびその特性
を十分に活かした電気防食方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような課
題に鑑み、空気中での有効な電気防食用被覆およびそれ
による電気防食方法を提供するものであって、その要旨
とするところは、 (1)空気中において、金属表面に絶縁性樹脂層を、そ
の上にカーボン粒子を含有する導電性樹脂層を有し、前
記導電性樹脂層が金属よりも高電位に保持されているこ
とを特徴とする電気防食用被覆。 (2)導電性樹脂層の体積抵抗率が、相対湿度100%
の空気との平衡状態において、1000Ω・cm以下で
あることを特徴とする前記(1)に記載の電気防食用被
覆。
【0007】(3)絶縁性樹脂層の厚さが、1μm〜3
mmであることを特徴とする前記(1)または(2)に
記載の電気防食用被覆。 (4)導電性樹脂層の上に、さらに上層樹脂層を有する
ことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載
の電気防食用被覆。 (5)空気中において、金属表面に絶縁性樹脂層を形成
し、その上にカーボン粒子を含有する導電性樹脂層を形
成した後、前記導電性樹脂層と金属との間に、導電性樹
脂層が陽極、金属が陰極となるように、電圧を印加する
ことを特徴とする電気防食方法。
【0008】(6)導電性樹脂層の体積抵抗率を、相対
湿度100%の空気との平衡状態において、1000Ω
・cm以下とすることを特徴とする前記(5)に記載の
電気防食方法。 (7)絶縁性樹脂層の厚さを、1μm〜3mmとするこ
とを特徴とする前記(5)または(6)に記載の電気防
食方法。
【0009】(8)導電性樹脂層の上に、さらに上層樹
脂層を形成することを特徴とする前記(5)〜(7)の
いずれかに記載の電気防食方法。 (9)電圧印加に際して、並列に抵抗を接続することを
特徴とする前記(5)〜(8)のいずれかに記載の電気
防食方法。 (10)電圧印加に際して、直列に抵抗を接続すること
を特徴とする前記(5)〜(8)のいずれかに記載の電
気防食方法、である。
【0010】
【発明の実施の形態】発明者らは鋭意研究の結果、図1
にその積層状態の一例の断面図を示したように、防食電
極として、カーボン粒子を分散させた導電性樹脂層3
を、金属素地1に絶縁樹脂層2を介して形成し、金属素
地が負極となるよう電気防食をする場合には、塗膜のき
ずによる金属素地露出部5においては、大気中でも十分
な防食電流6が得られ、大気中の湿度により変化する腐
食速度に応じた防食効果が得られることを見出した。
【0011】すなわち、図2に示すように、金属素地が
自然腐食するような高い湿度では、防食電流6が上昇し
て、電気防食効果による腐食防止が図れ、逆に、大気中
の湿気が低く、金属素地も自然腐食が進行しない条件と
なると、防食電流6も減少し電力がほとんど消費されな
い状態になる。したがって、湿度の変化の起こりやすい
空気中の環境、特に、高湿度になる可能性のある空気中
環境では、本発明は有効に適用できる。
【0012】また、本発明では塗膜がきずつき金属素地
露出部5において防食電流が選択的に流れるので、電気
防食の必要な度合いに応じて、それに十分な電流が流れ
ることになり局部的な塗装欠陥や腐食に有効に対応でき
る。また、塗装欠陥が生じて防食電流が流れるようにな
った部位でのみ電力が消費されるという意味からも電力
が節約でき、電気防食が必要な部分に、電気防食が必要
な時に、必要十分な防食電流が供給される。本発明が対
象とする素地金属は限定するものではないが、鉄など空
気中における腐食が問題となる金属に特に有効である。
また金属表面に、亜鉛、鉛、錫、アルミニウムなどから
なるめっき層や、クロムやリンを含む表面処理層が形成
されていても、本発明の方法を妨げるものではない。
【0013】本発明で、金属素地1に絶縁性樹脂層2を
介して形成され、防食電極として作用する導電性樹脂層
3は、カーボン粒子を含有する導電性樹脂からなる。こ
のようにすることによって、金属の腐食が進行しやすい
環境、すなわち湿度が高く、あるいは含塩粒子の飛来が
多い環境になると、樹脂被覆欠陥部断面に露出したカー
ボン粒子を介して、金属素地露出部5に防食電流が供給
され、電気防食がなされる。なお、発明者らの現在まで
の検討の結果、導電性粒子はカーボン粒子が最適であ
る。金属粉末は導電性があり樹脂に混合すれば導電性樹
脂とすることができるが、電気防食の開始とともに正極
反応によりイオン化し、消失するので、長期の使用に耐
えない。この点カーボンは消失することなく長期にわた
る電気防食を可能とする。
【0014】発明者らの検討の結果、該導電性樹脂層3
の体積抵抗率は、相対湿度100%の空気との平衡状態
において、1000Ω・cm以下であることが好まし
い。この値を超える抵抗率では十分な防食電流が得られ
ず、電気防食効果が十分でない。導電性樹脂層3の膜厚
は、薄すぎると図1に示す防食電流6の流れる断面積が
減少し防食電流が十分に得られないので、1μm以上で
あることが好ましい。反対に膜厚は0.5mmを超えて
も、膜厚の増大による防食電流の増大が期待できず、ま
た、厚すぎると膜全体が剥離しやすくなるので、膜厚の
上限値は0.5mmとすることが好ましい。
【0015】導電性樹脂層3の基剤となる樹脂は、有機
・無機の樹脂が利便性・経済性に優れ、またカーボン粒
子の混合も容易であることが望ましい。たとえば、エポ
キシ、ポリエステル、ウレタン、アルキッド、塩化ビニ
ル、アクリル、シリコン系の樹脂などが推奨される。こ
れに混合するカーボン粒子は、市販のものでよく、膜厚
程度の極端に大きな粒子がなければ使用可能であるが、
平均粒径が1μm内外の粒度分布の狭いものが好まし
い。混合は従来知られた方法、例えば電気伝導度に影響
を与えない程度の公知の分散剤の添加など、により十分
に分散され凝集がないように行う。
【0016】導電性樹脂層3中のカーボン粉末の含有率
は、上記抵抗率となるよう混合されるが、含有率が低す
ぎると十分な導電性は得られず、高すぎると脆くなり層
の形成が困難になる。概ね基剤樹脂の20〜98体積%
であるが、使用するカーボン粒子の性質により異なるの
で、使用する樹脂との組み合わせにおいて、体積抵抗率
および脆性などの材質が適当となるような混合率とす
る。絶縁樹性脂層2に用いる樹脂も、有機・無機の樹脂
が利便性・経済性に優れる、たとえば、エポキシ、ポリ
エステル、ウレタン、アルキッド、塩化ビニル、アクリ
ル、シリコン系樹脂などの使用が好ましい。絶縁性樹脂
層2の膜厚は、薄すぎると欠陥を生じやすく短絡して電
気防食ができないので、1μm以上、特に高湿度での使
用を考慮すると10μm以上とするのが好ましい。逆
に、厚すぎると防食電流が流れにくくなり防食効果が減
少するで上限は3mmとすることが好ましい。
【0017】導電性樹脂層3の上に、さらに上層樹脂層
4を形成すると、迷走電流を防止し、導電性樹脂層3を
保護し、また顔料などを混合することにより意匠性を高
めるなどの付加機能を付与することができる。防食電流
への影響は、使用環境や導電性樹脂層3および上層樹脂
層4の材質の組み合わせによるが、図1に示すように防
食電流6は導電性樹脂被覆の断面から金属素地に流れる
ので、あまり影響はない。樹脂の種類としてはエポキ
シ、ポリエステル、ウレタン、アルキッド、塩化ビニ
ル、アクリル、シリコン系樹脂及びフッ素樹脂など、お
よびそれらに顔料を混合したものなどである。
【0018】電源8から金属素地1と導電性樹脂層3に
電圧を印加するために接続する導線7は、電流を流せる
よう電気抵抗が低ければよいが、実用上、銅、アルミ、
普通鋼、ステンレス鋼などがよい。形状は線状、板状、
棒状、角状など用途に応じて選択できる。実用上は、絶
縁被覆した導線が望ましい。導線の本数、接続点数は限
定するものではないが、導電性塗膜全域に電流が均一に
流れるよう設定するのが望ましい。
【0019】導線7の接続方法としては、接続抵抗が小
さいほど良く、溶接、圧着、はんだづけ、ロウづけ、導
電性接着剤による接着などから適切な方法を選べばよい
が、金属素地上に導線を設置して絶縁性樹脂層を積層
し、さらにその上に導線を設置して導電性樹脂層を積層
する方法が作業性の観点からも好ましい。電源8は、直
流電源を使用する。防食電流は、防食面積にもよるが、
通常の腐食環境ではμA程度であり、電圧も特に高電圧
を必要としないので、市販の乾電池も使用可能である。
【0020】さらに、本発明の防食方法をより有効に動
作させるために抵抗9を接続すると効果的な場合があ
る。基本的に、直列接続(図3)は、高湿の高電流防食
状態においては、電気防食部への過負荷電圧を防止す
る。また、並列接続(図4)は、乾燥状態で防食電流が
ほとんど流れない状態において、電気防食部に電荷が貯
まって、電圧が上昇してしまうことを防止する。
【0021】電圧制御において、防食範囲を広げるため
に電圧を高くすると、金属素地でカソード反応が活発に
なり積層膜がカソード剥離を起こすことがある。これを
軽減するために抵抗を直列に接続すると、電流が過多に
流れる高湿大気環境環境において抵抗による電圧降下が
生じ、金属素地と導電性樹脂間の電圧が下がり、カソー
ド反応を抑制することができる。直列抵抗の抵抗値は、
上記目的からして電気防食部の内部抵抗と同程度を目安
とし、防食電流を必要以上に小さくしないようにする。
【0022】一方、電流制御を用いた場合、大気が乾燥
すると金属素地と導電性層間の抵抗が高くなり、電圧が
異常に高くなることがある。抵抗を並列に接続すると電
圧上昇を抑えることができ、低湿度条件での安定な電気
防食が可能となる。ただし、並列抵抗の抵抗値は十分に
大きくないと、電源の短絡に相当し、電力を無駄に消費
し、乾燥時の防食電流の低下による電力の節約という、
本発明の大きな特徴を損なう可能性があるので、十分な
注意が必要である。抵抗値は電流・電圧・電力が許容量
以下であれば特に限定するものではない。直列・並列お
よび抵抗値の選択は、防食能およびメンテナンス性が最
も効果的になるよう、防食対象物、大きさ、使用環境な
どによって、最適となるように選択する。
【0023】
【実施例】(実施例1)冷延鋼板の上に、絶縁樹脂層と
してエポキシ樹脂200μmを形成し、その上に導電性
樹脂層としてカーボン含有の塩化ビニル樹脂100μm
を形成した。導電性樹脂層と導線は導電性接着剤で接着
後エポキシ樹脂で固定し、鋼板と導線とははんだ付けで
接続した。そして鋼板と導電性樹脂層間に鋼板側がマイ
ナスとなるよう10Vの電圧を印加した。比較例として
冷延鋼板にエポキシ樹脂層を400μm形成したものを
準備した。この実施例と比較例の両者に十字に5cmカ
ットを入れ、温帯海岸地区(千葉県銚子)に1年間大気
暴露し、腐食状態を評価比較した。実施例と比較例の比
較より、本発明の防食効果が十分認められることがわか
った。
【0024】(実施例2)冷延鋼板の上に絶縁樹脂層と
してエポキシ樹脂200μmを形成し、その上に導電性
樹脂層としてカーボン含有の塩化ビニル樹脂100μm
を形成し、さらにその上に、上層樹脂層としてエポキシ
樹脂層100μmを形成した。導電性樹脂層と導線は導
電性接着剤で接着後エポキシ樹脂で固定し、鋼板と導線
とははんだ付けで接続した。そして鋼板と導電性樹脂層
間に鋼板側がマイナスとなるよう5Vの電圧を印加し
た。比較例として冷延鋼板にエポキシ樹脂層を500μ
m形成したものを準備した。この実施例と比較例の両者
に十字に5cmカットを入れ、温帯海岸地区(千葉県銚
子)に1年間大気暴露し、腐食状態を評価比較した。実
施例と比較例の比較より、本発明の防食効果が十分認め
られることがわかった。
【0025】(実施例3)冷延鋼板の上に、絶縁樹脂層
としてエポキシ樹脂200μmを形成し、その上に導電
性樹脂層としてカーボン含有の塩化ビニル樹脂100μ
mを形成した。導電性樹脂層と導線は導電性接着剤で接
着後エポキシ樹脂で固定し、鋼板と導線とははんだ付け
で接続した。そして鋼板と導電性樹脂層間に、5MΩの
直列抵抗を介して、鋼板側がマイナスとなるよう10V
の電圧を印加した。この実施例と実施例1の比較例の両
者に十字に5cmカットを入れ、温帯海岸地区(千葉県
銚子)に1年間大気暴露し、腐食状態を評価比較した。
実施例と比較例の比較より、本発明の防食効果が十分認
められることがわかった。また、抵抗の直列接続によ
り、電気防食樹脂層が保護され、樹脂層のふくれなどの
トラブルが大幅に減少した。
【0026】(実施例4)冷延鋼板の上に絶縁樹脂層と
してエポキシ樹脂200μmを形成し、その上に導電性
樹脂層としてカーボン含有の塩化ビニル樹脂100μm
を形成し、さらにその上に、上層樹脂層としてエポキシ
樹脂層100μmを形成した。導電性樹脂層と導線は導
電性接着剤で接着後エポキシ樹脂で固定し、鋼板と導線
とははんだ付けで接続した。そして鋼板と導電性樹脂層
間に、5MΩの直列抵抗を介して、鋼板側がマイナスと
なるよう10Vの電圧を印加した。この実施例と実施例
2の比較例の両者に十字に5cmカットを入れ、温帯海
岸地区(千葉県銚子)に1年間大気暴露し、腐食状態を
評価比較した。実施例と比較例の比較より、本発明の防
食効果が十分認められることがわかった。また、抵抗の
直列接続により、電気防食樹脂層が保護され、樹脂層の
ふくれなどのトラブルが大幅に減少した。
【0027】(実施例5)冷延鋼板の上に、絶縁樹脂層
としてエポキシ樹脂200μmを形成し、その上に導電
性樹脂層としてカーボン含有の塩化ビニル樹脂100μ
mを形成した。導電性樹脂層と導線は導電性接着剤で接
着後エポキシ樹脂で固定し、鋼板と導線とははんだ付け
で接続した。そして鋼板と導電性樹脂層間に、定電流電
源を、鋼板側がマイナスとなるよう接続するとともに、
電源と並列に1MΩの抵抗を接続し、10μAの定電流
を流した。この実施例と実施例1の比較例の両者に十字
に5cmカットを入れ、塩水噴霧を12時間、30%常
温乾燥を12時間繰返しを20回行い、腐食状態を評価
比較した。実施例と比較例の比較より、本発明の防食効
果が十分認められることがわかった。また、抵抗の並列
接続により、乾燥過程中の電圧上昇が抑えられ安定した
電気防食が可能であった。
【0028】(実施例6)冷延鋼板の上に絶縁樹脂層と
してエポキシ樹脂200μmを形成し、その上に導電性
樹脂層としてカーボン含有の塩化ビニル樹脂100μm
を形成し、さらにその上に、上層樹脂層としてエポキシ
樹脂層100μmを形成した。導電性樹脂層と導線は導
電性接着剤で接着後エポキシ樹脂で固定し、鋼板と導線
とははんだ付けで接続した。そして鋼板と導電性樹脂層
間に、定電流電源を、鋼板側がマイナスとなるよう接続
するとともに、電源と並列に1MΩの抵抗を接続し、1
0μAの定電流を流した。この実施例と実施例2の比較
例の両者に十字に5cmカットを入れ、塩水噴霧を12
時間、30%常温乾燥を12時間繰返しを20回行い、
腐食状態を評価比較した。実施例と比較例の比較より、
本発明の防食効果が十分認められることがわかった。ま
た、抵抗の並列接続により、乾燥過程中の電圧上昇が抑
えられ安定した電気防食が可能であった。
【0029】(実施例7)冷延鋼板の上に絶縁樹脂層と
してエポキシ樹脂を表1に示した膜厚にて形成し、その
上に導電性樹脂層としてカーボン含有の塩化ビニル樹脂
を表1に示した膜厚にて形成した。導電性樹脂層と導線
は導電性接着剤で接着後エポキシ樹脂で固定し、鋼板と
導線とははんだ付けで接続した。そして鋼板と導電性樹
脂層間に鋼板側がマイナスとなるよう5Vの電圧を印加
した。この樹脂被覆鋼板に幅1mmの被覆欠陥を形成
し、下記に説明する湿度変化環境を模した腐食サイクル
試験に供した。比較例は各実施例と樹脂膜厚などの条件
が全く同じ試料に電圧を印加しないものとした。
【0030】腐食サイクル試験は、塩水噴霧試験(SS
T)を1日行った後相対湿度55%で試験開始し、相対
湿度95%との間を12時間で1往復するサイクルを繰
り返す大気環境にて、12時間毎に相対湿度55%の時
の赤錆の発生状態を観察して、目視にて赤錆発生が認め
られた時点のサイクル繰り返し数を試験結果とした。表
1に示すように本願発明の電気防食用被覆は、比較例よ
りも長時間赤錆を発生させないが、特に各樹脂層の体積
抵抗率や膜厚を、本発明の好ましい範囲にしたものでは
電気防食効果が高く、実施例15、16、21、22の
ように100サイクル(50日)を経過しても全く赤錆
を発生しないものも観察された。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】以上、説明した通り、本発明は空気中で
の有効な電気防食用被覆およびその特性を十分発揮させ
る電気防食方法を提供できる。本発明によれば、電気防
食の必要な、含塩粒子が多い、もしくは高湿な条件では
防食電流が十分確保でき、反対に、含塩粒子が少ない、
もしくは乾燥した条件では防食電流が減少し電力を節約
できるために、長期間にわたり安定した、空気中におけ
る最適な電気防食が実現でき、金属露出部の腐食を防止
できる。したがって、本発明は工業的価値の極めて高い
発明であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気防食用被覆の積層状態の一例を示
す断面図である。
【図2】本発明の実施に際し、湿度に対する防食電流の
変化の典型例を示す図である。
【図3】抵抗を直列に接続した実施状況を示す回路図で
ある。
【図4】抵抗を並列に接続した実施状況を示す回路図で
ある。
【符号の説明】
1 金属素地 2 絶縁性樹脂層 3 導電性樹脂層 4 上層樹脂層 5 金属素地露出部 6 防食電流 7 導線 8 電源 9 抵抗 10 本発明の電気防食用被覆を有する金属板

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気中において、金属表面に絶縁性樹脂
    層を、その上にカーボン粒子を含有する導電性樹脂層を
    有し、前記導電性樹脂層が金属よりも高電位に保持され
    ていることを特徴とする電気防食用被覆。
  2. 【請求項2】 導電性樹脂層の体積抵抗率が、相対湿度
    100%の空気との平衡状態において、1000Ω・c
    m以下であることを特徴とする請求項1に記載の電気防
    食用被覆。
  3. 【請求項3】 絶縁性樹脂層の厚さが、1μm〜3mm
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気
    防食用被覆。
  4. 【請求項4】 導電性樹脂層の上に、さらに上層樹脂層
    を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の電気防食用被覆。
  5. 【請求項5】 空気中において、金属表面に絶縁性樹脂
    層を形成し、その上にカーボン粒子を含有する導電性樹
    脂層を形成した後、前記導電性樹脂層と金属との間に、
    導電性樹脂層が陽極、金属が陰極となるように、電圧を
    印加することを特徴とする電気防食方法。
  6. 【請求項6】 導電性樹脂層の体積抵抗率を、相対湿度
    100%の空気との平衡状態において、1000Ω・c
    m以下とすることを特徴とする請求項5に記載の電気防
    食方法。
  7. 【請求項7】 絶縁性樹脂層の厚さを、1μm〜3mm
    とすることを特徴とする請求項5または6に記載の電気
    防食方法。
  8. 【請求項8】 導電性樹脂層の上に、さらに上層樹脂層
    を形成することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに
    記載の電気防食方法。
  9. 【請求項9】 電圧印加に際して、並列に抵抗を接続す
    ることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の電
    気防食方法。
  10. 【請求項10】 電圧印加に際して、直列に抵抗を接続
    することを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の
    電気防食方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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