JPH11313695A - 光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製造方法 - Google Patents

光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製造方法

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JPH11313695A
JPH11313695A JP12486898A JP12486898A JPH11313695A JP H11313695 A JPH11313695 A JP H11313695A JP 12486898 A JP12486898 A JP 12486898A JP 12486898 A JP12486898 A JP 12486898A JP H11313695 A JPH11313695 A JP H11313695A
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JP
Japan
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trifluoro
methylpropionic acid
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hydroxy
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Withdrawn
Application number
JP12486898A
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English (en)
Inventor
Akira Horiguchi
晃 堀口
So Ikeda
創 池田
Kazuo Aisaka
和夫 相阪
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KH Neochem Co Ltd
Original Assignee
Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
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Publication date
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 容易かつ高収率、高光学純度でラセミ体の3,
3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導体から容
易に光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン
酸誘導体、更に光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロ
キシ-2-メチルプロピオン酸を得る。 【解決手段】 式(1)の3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプ
ロピオン酸誘導体のラセミ体を、生体触媒を用いて立体
選択的加水分解して式(2) の光学活性3,3,3-トリフルオ
ロ-2-メチルプロピオン酸誘導体又は式(3) の光学活性
3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン
酸を製造する方法を用いる(各式中、R1はアラルキル、
R2は水素原子又はアラルキル、*は不斉炭素を意味す
る)。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬等の中間体と
して有用な3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチル
プロピオン酸等の3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピ
オン酸誘導体の光学活性体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メ
チルプロピオン酸の光学活性体は、医薬等の中間体とし
て有用な化合物である。従来よりその製造方法として、
例えばラセミ体を光学活性α―フェニルエチルアミン等
とジアステレオマー塩を形成させ、優先晶出法で分割す
る方法(ジャーナル オブ メジシナル ケミストリー
第39巻 4592―4601頁 1996年、特開平5―28691
5、ジャーナル オブケミカル ソサエティー 2329〜
2332頁 1951年)が知られている。しかしながら、かか
るジアステレオマー塩による製造方法では、再結晶を繰
り返さなければ純度のよいものは得られず、効率に問題
がある。
【0003】また、WO−97/38124号には、下
記一般式(A)
【0004】
【化16】
【0005】で表される3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロ
キシ-2-メチルプロピオン酸誘導体において、R4が炭素
数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基ま
たはフェニル基を表す化合物を、市販のリパーゼを用い
た加水分解で光学分割を行う方法が記載されてる。しか
し、かかる方法では、光学純度は最高で94%e.e.で、そ
の際の収率も20%と効率的ではない。
【0006】さらには、上記文献には、上記一般式(A)
で表される3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチル
プロピオン酸誘導体の類縁体を用い、その三級水酸基を
アシル化し、酵素を用いた加水分解を利用した光学分割
とその後のしかるべき処理により、光学活性プロピオン
酸類を得る方法が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記課題に鑑み、本発
明は、容易かつ高収率、高光学純度でラセミ体の3,3,3-
トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導体から容易に
光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘
導体、特に光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-
2-メチルプロピオン酸、を得ることのできる方法を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記の1)〜9)を提供する。 1) 一般式(1)
【0009】
【化17】
【0010】(式(1)中、R1は置換もしくは非置換のア
ラルキルを表し、R2は水素原子又は置換もしくは非置
換のアラルキルを表す。*は不斉炭素を意味する。)で
表される3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘
導体のラセミ体を、生体触媒を用いて立体選択的加水分
解して、一般式(2)
【0011】
【化18】
【0012】(式(2)中、R1、R2および*は前記と同
義である。)で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2
-メチルプロピオン酸誘導体又は一般式(3)
【0013】
【化19】
【0014】(式(3)中、R2および*は前記と同義であ
る。)で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチ
ルプロピオン酸誘導体を製造する方法を含むことを特徴
とする一般式(3a)
【0015】
【化20】
【0016】(式(3a)中、*は前記と同義である。)で
表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-
メチルプロピオン酸の製造方法。
【0017】2) 一般式(1a)
【0018】
【化21】
【0019】(式(1a)中、R1および*は、前記と同義
である。)で表される3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプ
ロピオン酸誘導体のラセミ体を、生体触媒を用いて立体
選択的加水分解し、一般式(2a)
【0020】
【化22】
【0021】(式(2a)中、R1および*は前記と同義で
ある。)で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メ
チルプロピオン酸誘導体を得た後、さらに脱アラルキル
を行い、一般式(3a)で表される光学活性3,3,3-トリフル
オロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸を得ることを
特徴とする上記1)記載の方法。
【0022】3) 一般式(1b)
【0023】
【化23】
【0024】(式(1b)中、R1および*は前記と同義で
あり、R2bは置換もしくは非置換のアラルキルを表
す。)で表される3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピ
オン酸誘導体のラセミ体を、生体触媒を用いて立体選択
的加水分解し、一般式(2b)
【0025】
【化24】
【0026】(式(2b)中、R1および*は前記と同義で
あり、R2bは置換もしくは非置換のアラルキルを表
す。)で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチ
ルプロピオン酸誘導体を得た後、さらに脱アラルキルを
行い、一般式(3a)で表される光学活性3,3,3-トリフルオ
ロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸を得ることを特
徴とする上記1)記載の方法。
【0027】4) 一般式(3a)で表される光学活性3,3,3-
トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸が、
(S)−3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプ
ロピオン酸である上記2)又は3)記載の方法。
【0028】5) 上記一般式(1a)で表される3,3,3-トリ
フルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導体のラセミ体を、
生体触媒を用いて立体選択的加水分解し、一般式(3a)で
表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-
メチルプロピオン酸を得ることを特徴とする上記1)記載
の方法。
【0029】6) 上記一般式(1b)で表される3,3,3-トリ
フルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導体のラセミ体を、
生体触媒を用いて立体選択的加水分解し、一般式(3b)
【0030】
【化25】
【0031】(式(3b)中、R2bおよび*は前記と同義で
ある。)で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-1
チルプロピオン酸誘導体を得た後、さらに脱アラルキル
を行い、一般式(3a)で表される光学活性3,3,3-トリフル
オロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸を得ることを
特徴とする上記1)記載の製造方法。
【0032】7) 一般式(3a)で表される光学活性3,3,3-
トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸が、
(R)−3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプ
ロピオン酸である上記5)又は6)記載の方法。
【0033】8) 一般式(1) で表される3,3,3-トリフル
オロ-2-メチルプロピオン酸誘導体のラセミ体を、生体
触媒を用いて立体選択的加水分解することを特徴とする
一般式(2) で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-
メチルプロピオン酸誘導体又は一般式(3) で表される光
学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導
体の製造方法。
【0034】9) 一般式(1) で表される3,3,3-トリフル
オロ-2-メチルプロピオン酸誘導体。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる3,3,3-トリフ
ルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導体において、R1、R
2におけるアラルキル基としては、ベンジル、ナフチル
メチルまたはフェネチルなどが挙げられる。R1、R2
おいては、R1がベンジルでR2が水素原子であるか、ま
たはR1およびR2がともにベンジルであることが好まし
い。
【0036】アラルキルの置換基としては、同一または
異なって置換数1〜3の、ハロゲン原子、低級アルキル
等が挙げられる。低級アルキルとしては、直鎖または分
岐状の炭素数1〜6の、例えば、メチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブ
チル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げ
られる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、
ヨウ素等の各原子が挙げられる。
【0037】一般式(1a)で表される化合物は、3,3,3-ト
リフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸のラセ
ミ体をN,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒中、炭酸水素
ナトリウム、炭酸カリウム等の塩基存在下、1〜5当量
の臭化ベンジルや塩化ベンジル等のハロゲン化アラルキ
ルと0〜120℃、または溶媒の沸点の温度において、
1〜72時間反応させることにより得ることができる。
【0038】また、一般式(1b)で表される化合物は、3,
3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸
のラセミ体をジメトキシエタン等の溶媒中、水素化ナト
リウム等の塩基存在下、2〜5当量の臭化ベンジル等の
ハロゲン化アラルキルおよび0.1〜1当量のよう化テト
ラブチルアンモニウム等の触媒と、室温〜120℃、ま
たは溶媒の沸点の温度において、1〜72時間反応させる
ことにより得ることができる。
【0039】また、上記の反応後は、反応液を抽出、洗
浄、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、蒸留等の有
機化学における一般的な精製手法で処理して、化合物
(1) を精製してもよい。また、原料である3,3,3-トリフ
ルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸のラセミ体
は市販のものを購入することにより入手することができ
る。
【0040】生体触媒としては、立体選択的加水分解能
を有する微生物、加水分解酵素を用いることができ、具
体的には微生物の培養液、休止菌体等の微生物や加水分
解酵素を懸濁した緩衝液等の形態で用いられる。
【0041】酵素源となる微生物は、肉エキス、ペプト
ン、食塩、酵母エキス、オリーブオイル、大豆油等を含
有する培地に微生物の菌種を接種し、好気的条件下で培
養し、増殖させることができる。このようにして得られ
た微生物の培養液、該培養液から分離した微生物の懸濁
液、該培養液の処理物または微生物の処理物を生体触媒
として用いることができる。
【0042】培養液の処理物としては、培養液の濃縮
物、乾燥物、界面活性剤および/または有機溶剤添加
物、溶菌酵素処理物などが挙げられる。また、微生物の
処理物としては、微生物の乾燥物、界面活性剤および/
または有機溶媒添加物、溶菌酵素処理物、固定化微生物
あるいは微生物からの粗酵素、抽出酵素標品などが挙げ
られる。
【0043】微生物としては、化合物(1) を立体選択的
に加水分解する微生物が好ましく用いられ、その具体例
としては、Pseudomonas diminuta(ATCC-11568)、Brevib
acterium lines(ATCC-9172) 、Rhodococcus rhodochrou
s(ATCC-21197)等の菌類が挙げられる。加水分解酵素と
しては、化合物(1) を立体選択的に加水分解する酵素が
好ましく、その具体例としては、リポプロテインリパー
ゼ(特にPseudomonas由来のものが好ましい:協和メデ
ックス社製)、プロテアーゼ(ベーリンガーマンハイム
社製酵素CHIRAZYME P-2 )等を挙げることができる。該
酵素の使用量は、一般式(1) で表される化合物に対し
て、0.1〜100重量%であるのが好ましい。
【0044】一般式(1)で表される化合物のラセミ体の
立体選択的加水分解は、前記の生体触媒の存在下、水性
媒体中、撹拌または振とうすることにより行なわれる。
水性媒体としては、水、または水とエタノール、ジメチ
ルホルムアミド、アセトン等との混合物を使用すること
が出来る。
【0045】該加水分解反応は、10〜70℃、好まし
くは20〜40℃の温度で、pH5〜10で行なわれ
る。該加水分解反応は、前記の水性媒体中で行ってもよ
いが、加水分解によって生成する有機カルボン酸を中和
し、pHを一定に保つために緩衝液の使用が好ましく、
リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ほう酸、ほう砂な
どの無機塩の緩衝液、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリ
ウムなどの有機酸塩の緩衝液、トリス(ヒドロキシメチ
ル)アミノメタンなどの有機アミンと硫酸、塩酸など無
機酸の組み合わせを使用することが出来る。また、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基を併用しpHの
低下を防ぐことにより、収率を向上させることができ
る。
【0046】該加水分解反応を微生物の培養液中で行う
場合、基質である一般式(1)で表される化合物は、培養
液に対して、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜
25量%で用いられる。反応を緩衝液中、酵素源として
菌体を用いる場合は、基質である一般式(1)で表される
化合物に対し、1〜1000容量の培養液から集菌した微生
物を用いることができる。また、乾燥菌体を用いる場合
は、その使用量は一般式(1)で表される化合物に対し
て、0.1〜100重量%であるのが好ましい。該加水
分解反応は、反応温度、基質濃度、酵素量等によって異
なるが、通常1時間〜6日間で完了する。
【0047】該加水分解反応により、一般式(1)で表さ
れる化合物のラセミ体は、前記一般式(2)で表される光
学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導
体と前記一般式(3)で表される光学活性3,3,3-トリフル
オロ-2-メチルプロピオン酸誘導体とに光学分割され
る。
【0048】反応混合物からの一般式(2) で表される光
学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導
体と一般式(3) で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ
-2-メチルプロピオン酸誘導体との分離は、これらの化
合物の有機溶媒、塩基性水溶液への溶解性の差を利用し
て行われる。具体的には、反応混合物から一般式(2)で
表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピ
オン酸誘導体の単離精製は、塩基性水溶液による処理、
有機溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー等によって行
なうことが出来る。
【0049】一般式(2a)で表される光学活性3,3,3-トリ
フルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導体をメタノール、
エタノール、プロパノール、N,N―ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒に溶解し、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基を用い
て、エステルを加水分解することにより、一般式(3a)で
表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-
メチルプロピオン酸を得ることができる。
【0050】また、前記工程において反応終了後に反応
液を水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、
炭酸水素ナトリウム水溶液等の塩基性水溶液により処理
することにより、ベンジルアルコール等と分離する事が
でき、更にこの水溶液を塩酸、硫酸などの酸により酸性
にし、酢酸エチル、ジエチルエーテル等の有機溶媒で抽
出することにより高純度の一般式(3a)で表される光学活
性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオ
ン酸を得ることができる。
【0051】一般式(2b)で表される光学活性3,3,3-トリ
フルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導体において、(i)
2bがベンジル以外のアラルキルの場合(例えばフェネ
チル等)は、上記の工程と同様の処理によりエステルを
加水分解した後に、公知の方法で、例えば、シンセシス
(Synthesis) 249頁(1983)記載の方法に準じて、臭化水
素、三臭化ホウ素等を用いて、脱アラルキルを行う(ii)
2bがベンジルの場合は、上記の工程と同様の処理によ
りエステルを加水分解した後に、通常の接触還元等、例
えば、パラジウム−炭素触媒存在下、水素と反応させる
か、または、エステルの加水分解を行わずに前記のよう
に接触還元を行い、脱アラルキルを行うことにより、一
般式(3a)で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒ
ドロキシ-2-メチルプロピオン酸を得ることができる。
【0052】上記の操作において、R2bがベンジルの場
合が、脱アラルキルの容易さという点で好ましい。ま
た、R2bの脱アラルキルを行った後に、R1のエステル
の加水分解を行ってもよい。
【0053】また、該立体選択的加水分解反応で生成し
た一般式(3) で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2
-メチルプロピオン酸誘導体は、反応混合物を水酸化ナ
トリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナト
リウム水溶液等の塩基性水溶液に溶解させることによ
り、一般式(2) で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ
-2-メチルプロピオン酸誘導体、残存基質等の中性生成
物と分離することもできる。
【0054】さらに該塩基性水溶液を、塩酸、硫酸など
の酸により、酸性にし、酢酸エチル、ジエチルエーテル
等の有機溶媒で抽出することで、一般式(3a)で表される
光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプ
ロピオン酸または一般式(3b)で表される光学活性3,3,3-
トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導体を得ること
ができる。さらに、一般式(3b)で表される光学活性3,3,
3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導体は、前記
と同様の脱アラルキル工程を行うことにより、一般式(3
a)で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキ
シ-2-メチルプロピオン酸を得ることができる。
【0055】本発明の製造法で得られる光学活性3,3,3-
トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸は、
例えば、尿失禁治療薬として有用な化合物の中間体とし
て有用である(WO97/14672)。
【0056】光学純度、転換率は、例えば以下に示す条
件で分析することができる。 (HPLCによる転換率と光学純度の分析条件) 〔3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオ
ン酸ベンジルエステル〕 使用カラム:キラルセルOJ(ダイセル社製) 移動相:n-ヘキサン/2―プロパノール=50/1 流速:1ml/min 検出:UV吸収210nm カラム温度:35℃
【0057】 保持時間 ・(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエステ ル 9.5分 ・(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエステ ル 13分 ・ベンジルアルコール 16分 なお、転換率は、ベンジルアルコールと3,3,3-トリフル
オロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエス
テルのモル吸光係数が同じであることを検量線を作成し
て確認し、それに基づき決定することができる。
【0058】〔3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-
2-メチルプロピオン酸ベンジルエステル〕 使用カラム:キラルセルOD-H(ダイセル社製) 移動相:n-ヘキサン/2―プロパノール=40/1 流速:0.5 ml/min 検出:UV吸収210nm カラム温度:35℃
【0059】保持時間 ・(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-メチル
プロピオン酸ベンジルエステル 12.5分 ・(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-メチル
プロピオン酸ベンジルエステル 14分
【0060】〔3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-
2-メチルプロピオン酸〕上記化合物は、酢酸エチル-メ
タノールの混合溶媒に溶解しトリメチルシリルジアゾメ
タンで処理することにより3,3,3-トリフルオロ-2-ベン
ジルオキシ-2-メチルプロピオン酸メチルエステルに導
き分析した。 使用カラム:キラルセルOD-H(ダイセル社製) 移動相:n-ヘキサン/2-プロパノール=40/1 流速:0.5 ml/min 検出:UV吸収210nm カラム温度:室温
【0061】保持時間 ・(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-メチル
プロピオン酸メチルエステル 10.3分 ・(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-メチル
プロピオン酸メチルエステル 11.5分
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例により例証するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】実施例1 〔3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオ
ン酸ベンジルエステルのラセミ体の合成〕3,3,3-トリフ
ルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸2gをN,N-ジ
メチルホルムアミド10mlに溶解し、臭化ベンジル2mlと
炭酸水素ナトリウム2gを添加し、23℃で24時間攪拌し
た。反応液を酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水で洗
浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過濃縮を行っ
た。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘ
キサン:酢酸エチル)で精製し、3,3,3-トリフルオロ-2
-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエステルの
ラセミ体2.7gを得た。
【0064】この化合物は、以下に示す物性値を示し
た。1 H-NMR (300MHz,クロロホルム) δ: 1.60(3H, d, J =
0.92), 5.31(2H, s), 7.33-7.43(5H, m). IR νmax (cm-1) : 3494(m), 3096(w), 3072(w), 3040
(w), 3010(w), 2958(w),1743(s), 1608(w), 1588(w), 1
499(w), 1457(m), 1389(s), 1297(s), 1267(s),1170
(s), 1099(s), 1029(w), 1002(w), 963(m), 910(w), 87
9(w), 843(w), 825(w), 788(w), 750(m), 696(s). EI-MS (m/z) 248 (M+).
【0065】実施例2 〔(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロ
ピオン酸ベンジルエステルの製造〕 ・Pseudomonas diminuta(ATCC-11568)の培養 肉エキス0.7%、ペプトン1%、塩化ナトリウム0.3%、酵母
エキス0.5%、オリーブオイル0.5%を含む培地をpH7.0に
調整し、120℃の加圧水蒸気で20分間滅菌して培地を
調整した。この培地10mlを含む試験管にPseudomonas di
minuta(ATCC-11568)を接種し、28℃で24時間振とう培
養を行った。また、300ml三角フラスコに上記培地を50m
l加え、同様に滅菌した後、試験管で培養した培養液1ml
を接種し、ロータリーシャーカーで24時間培養すること
もできる。
【0066】・培養液での反応 上記で培養した培養液を0.5mlをエッペンドルフチュー
ブに移した。そこへ、上記実施例1で製造した3,3,3-ト
リフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸ベンジ
ルエステルのラセミ体5mgを添加して、28℃で20時間
振とう反応した。反応終了後反応液に飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液を0.5ml加え、ジエチルエーテル0.5mlで抽
出した。抽出液は、HPLCで分析した。その結果、回収率
42%で光学純度99.5%e.e.以上で(S)−3,3,3-トリフル
オロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエス
テルが得られた。上記の化合物は、プレパラティブなシ
リカゲル薄相クロマトグラフィーで単離精製した。本化
合物の1H-NMRは、上記とまったく同一のスペクトルが得
られた。 [α]D 22=−10.8°(c=0.57, メタノール).
【0067】実施例3 〔集菌菌体を用いた(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロ
キシ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエステルの合成〕
上記方法で培養したPseudomonas diminuta(ATCC-11568)
の培養液20mlを遠心分離により集菌し、20mlの0.1Mトリ
ス塩酸緩衝液pH 8.0に懸濁した。そこに上記実施例1で
製造した3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプ
ロピオン酸ベンジルエステルのラセミ体を500mg添加
し、28℃で18時間、反応を行った。反応液はセライト等
のろ過助剤を用いてろ過し、ろ液を酢酸エチルで抽出し
た。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、続いて飽
和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過
濃縮を行った。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(n-ヘキサン:酢酸エチル)で精製し、195.7mgの
油状物質を得た。1H-NMR、IRスペクトルは上記と同一
で、(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプ
ロピオン酸ベンジルエステルと決定した。収率39.1%。
光学純度98.8%e.e.。[α]D 23=−12.2°(c=1,メタノ
ール).
【0068】実施例4 〔乾燥菌体を用いた(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロ
キシ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエステルの合成〕
上記方法で培養したPseudomonas diminuta(ATCC-11568)
の培養液から遠心分離により集菌し、得られた菌体を凍
結乾燥した。0.1Mトリス塩酸緩衝液pH 8.0に得られた乾
燥菌体1.5mgを懸濁した。そこに上記実施例1で製造し
た3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオ
ン酸ベンジルエステルのラセミ体を5mg添加し、28℃で1
7時間反応を行った。反応結果はHPLCで分析した結果、
(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピ
オン酸ベンジルエステルの残存率37%(生体触媒処理前
のラセミ体中の(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-
2-メチルプロピオン酸ベンジルエステルを100 とす
る)、光学純度>99%e.e.であった。
【0069】実施例5 〔立体選択的加水分解能を有するプロテアーゼを用いた
(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピ
オン酸ベンジルエステルの合成〕上記実施例1で製造し
た3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオ
ン酸ベンジルエステルのラセミ体200mgを20mlの0.1
Mクエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液pH7.5に加
えた。そこにプロテアーゼ CHIRAZYME P-2 (ベーリン
ガーマンハイム社製)5mg を加え、25℃で40分攪拌し
た。反応結果はHPLCで分析した結果、(S)-3,3,3-トリフ
ルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエ
ステルの残存率26%(前記と同様に算出した)、光学純
度>99%e.e.であった。
【0070】実施例6 〔(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロ
ピオン酸の合成〕上記で得られた(S)-3,3,3-トリフルオ
ロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエステ
ル180mgをメタノール5mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム
水溶液を0.5ml添加し、室温で5時間攪拌した。反応終了
後、反応液を減圧濃縮し、残さに水を添加した。水層中
の中性部を酢酸エチルで洗浄し、水層を希塩酸で酸性に
し、再び酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナト
リウムで乾燥後、ろ過濃縮を行い、102.3mgの結晶性化
合物を得た。この物は既に報告されている(S)-3,3,3-ト
リフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸と同一
のスペクトルデータを示し、(S)-3,3,3-トリフルオロ-2
-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸と決定した。収率89
%。 [α]D 16=−16.8°(c= 6.42,メタノール).
【0071】実施例7 〔3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-メチルプロ
ピオン酸ベンジルエステルのラセミ体の合成〕乾燥した
容器内を水素化ナトリウム(60% in mineral oil)196mg
を乾燥DME(ジメトキシエタン)3mlで二回洗浄し
た。そこに乾燥DMEを10ml加え、反応容器を0℃近く
まで冷却した。そこに、3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロ
キシ-2-メチルプロピオン酸のラセミ体316mgを少しづつ
加え、30分攪拌した。その後臭化ベンジル1ml(1.44g)、
よう化テトラブチルアンモニウム80mgを加え昇温した。
10時間加熱還流した後、水10mlを加えて反応を停止し
た。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥さ
せ、ろ過し、溶媒を減圧留去した。残さをシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチル)で
精製し560mgの油状物質が得られた。この物は、以下の
スペクトルデータを示し、3,3,3-トリフルオロ-2-ベン
ジルオキシ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエステルの
ラセミ体と同定した。収率83%。
【0072】1H-NMR (300MHz,クロロホルム) δ: 1.69
(3H, s), 4.60(2H, s), 5.28(2H, s),7.3-7.7(10H, m). IR νmax (cm-1) : 3094(w), 3070(w), 3036(w), 2956
(w), 2888(w), 1749(s),1607(w), 1587(w), 1498(m), 1
455(m), 1383(m), 1304(m), 1266(s), 1164(s),1128
(s), 1101(s), 1027(m), 1003(w), 950(m), 905(w), 82
7(w), 786(w), 736(s), 696(s).
【0073】実施例8 〔光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-メ
チルプロピオン酸ベンジルエステルの合成〕上記実施例
7で製造した3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-
メチルプロピオン酸ベンジルエステルのラセミ体1.25g
を0.1Mカリウムリン酸緩衝液pH7.0とアセトンの10:1の
混合溶媒に加えた。そこにリポプロテインリパーゼ(協
和メデックス社製)400mgを加え、室温で120時間攪拌し
た。反応液をセライト(ろ過助剤)を用いてろ過した。
ろ液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でアルカリ性にし
た後、酢酸エチルで抽出した。有機層は飽和食塩水で洗
浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を
減圧留去した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(n-ヘキサン:酢酸エチル)で精製し556mgの油状
物質を得た。このものは、上記と同様のスペクトルデー
タを示し、(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-
2-メチルプロピオン酸ベンジルエステルと同定した。収
率45%。光学純度95%e.e.。
【0074】酢酸エチルで抽出した後の水層は、希塩酸
で酸性にし、再び酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和
食塩水で洗浄後、ろ過し、溶媒を減圧留去し結晶性化合
物を得た。この物は、以下のスペクトルデータを示し、
(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-メチルプ
ロピオン酸と同定した。収率45%。光学純度90%e.e.。
【0075】1H-NMR (300MHz,クロロホルム) δ: 1.77
(3H, s), 4.71(1H, d,J = 10.6), 4.73(1H, d, J = 10.
6 ), 7.31-7.39(5H, m). IR νmax (cm-1) : 3070(s), 3038(s), 2956(s), 2644
(m), 2540(m), 1756(s),1734(s), 1607(w), 1498(m), 1
457(m), 1392(m), 1303(m), 1267(m), 1194(m),1026
(w), 734(w), 696(w), 669(w). [α]D 18=+1.9°(c= 2.21,メタノール).
【0076】〔(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-
2-メチルプロピオン酸の合成〕上記で得られた光学活性
(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-メチルプ
ロピオン酸ベンジルエステル200mgを酢酸に溶解し、触
媒量の10%パラジウム-炭素を添加し、水素雰囲気下、45
℃で激しく攪拌した。反応終了後触媒をろ別し、ろ液を
減圧濃縮し、85mgの結晶性化合物を得た。この物は、既
に報告されている3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-
メチルプロピオン酸と同一のスペクトルデータを示し、
(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピ
オン酸と同定した。収率91%。 [α]D 23=−15.9°(c= 4.1, メタノール).
【0077】実施例9 〔(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-メチル
プロピオン酸ベンジルエステル〕N,N-ジメチルホルムア
ミド200mlに溶解した上記実施例7で製造した3,3,3-ト
リフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-メチルプロピオン酸ベ
ンジルエステルのラセミ体100mgを、メチルセルロース1
00を0.3%含む0.1Mカリウムリン酸緩衝液pH7.0に添加
し、さらにリポプロテインリパーゼ(協和メデックス社
製)60mgを添加した。反応液を25℃で145時間反応させ
た。反応終了後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液と少量の飽和食塩水を添加し、セライト等のろ過助剤
を用いてタンパク質成分をろ別した。ろ液を酢酸エチル
で抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで
乾燥、ろ過した。酢酸エチルを減圧で留去し、残さをシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸
エチル)で精製し28.9mgの油状物質を得た。この物は3,
3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-メチルプロピオ
ン酸ベンジルエステルと同一のスペクトルデータを示
し、(S)-3,3,3-トリフルオロ-2-ベンジルオキシ-2-メチ
ルプロピオン酸ベンジルエステルと同定した。収率28.9
%。光学純度99.8%e.e.。
【0078】実施例10 〔(R)-3,3,3- トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプ
ロピオン酸ベンジルエステルの製造〕 ・Brevibacterium lines(ATCC-9172)の培養 肉エキス0.7%、ペプトン1%、塩化ナトリウム0.3%、酵母
エキス0.5%、オリーブオイル0.5%を含む培地をpH7.0に
調整し、120℃の加圧水蒸気で20分間滅菌して培地を
調整した。この培地10mlを含む試験管にBrevibacterium
lines(ATCC-9172)を接種し、28℃で24時間振とう培
養を行った。
【0079】・培養液での反応 上記で培養した培養液0.5mlをエッペンドルフチューブ
に移した。そこへ、実施例1で合成した3,3,3-トリフル
オロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエス
テルのラセミ体5mgを添加して、28℃で20時間振とう
反応した。反応終了後反応液に飽和炭酸水素ナトリウム
水溶液を0.5ml 加え、ジエチルエーテル0.5mlで抽出し
た。抽出液は、HPLCで分析した。その結果、回収率74.7
%で光学純度21.8%e.e.で(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-
ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエステルが
得られた。
【0080】実施例11 〔(R)-3,3,3- トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプ
ロピオン酸ベンジルエステルの製造〕実施例10と同様
の方法で培養したRhodococcus rhodochrous(ATCC-2119
7)の培養液を0.5mlを用い、上記と同様に反応、抽出を
行い、HPLCで分析した。その結果、回収率45.8%で光学
純度43.7%e.e.で(R)-3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキ
シ-2-メチルプロピオン酸ベンジルエステルが得られ
た。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、容易かつ効率的に3,3,
3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸等
の3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導体の
光学活性体を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 67/48 C07C 67/48 69/675 69/675 69/734 69/734 Z // C07M 7:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式(1)中、R1は置換もしくは非置換のアラルキルを表
    し、R2は水素原子又は置換もしくは非置換のアラルキ
    ルを表す。*は不斉炭素を意味する。)で表される3,3,
    3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導体のラセミ
    体を、生体触媒を用いて立体選択的加水分解して、一般
    式(2) 【化2】 (式(2)中、R1、R2および*は前記と同義である。)
    で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロ
    ピオン酸誘導体又は一般式(3) 【化3】 (式(3)中、R2および*は前記と同義である。)で表さ
    れる光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン
    酸誘導体を製造する方法を含むことを特徴とする一般式
    (3a) 【化4】 (式(3a)中、*は前記と同義である。)で表される光学
    活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピ
    オン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 一般式(1a) 【化5】 (式(1a)中、R1および*は、前記と同義である。)で
    表される3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘
    導体のラセミ体を、生体触媒を用いて立体選択的加水分
    解し、一般式(2a) 【化6】 (式(2a)中、R1および*は前記と同義である。)で表
    される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオ
    ン酸誘導体を得た後、さらに脱アラルキルを行い、一般
    式(3a)で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒド
    ロキシ-2-メチルプロピオン酸を得ることを特徴とする
    請求項1記載の光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロ
    キシ-2-メチルプロピオン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(1b) 【化7】 (式(1b)中、R1および*は前記と同義であり、R2b
    置換もしくは非置換のアラルキルを表す。)で表される
    3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導体のラ
    セミ体を、生体触媒を用いて立体選択的加水分解し、一
    般式(2b) 【化8】 (式(2b)中、R1、R2bおよび*は前記と同義であ
    る。)で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチ
    ルプロピオン酸誘導体を得た後、さらに脱アラルキルを
    行い、一般式(3a)で表される光学活性3,3,3-トリフルオ
    ロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸を得ることを特
    徴とする請求項1記載の光学活性3,3,3-トリフルオロ-2
    -ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式(3a)で表される光学活性3,3,3-ト
    リフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸が、
    (S)−3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプ
    ロピオン酸である請求項2又は3記載の光学活性3,3,3-
    トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(1a) 【化9】 (式(1a)中、R1および*は前記と同義である。)で表
    される3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸誘導
    体のラセミ体を、生体触媒を用いて立体選択的加水分解
    し、一般式(3a)で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ
    -2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸を得ることを特徴
    とする請求項1記載の光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-
    ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸の製造方法。
  6. 【請求項6】 一般式(1b) 【化10】 (式(1b)中、R1、R2b及び*は前記と同義である。)
    で表される3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸
    誘導体のラセミ体を、生体触媒を用いて立体選択的加水
    分解し、一般式(3b) 【化11】 (式(3b)中、R2bおよび*は前記と同義である。)で表
    される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオ
    ン酸誘導体を得た後、さらに脱アラルキルを行い、一般
    式(3a)で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒド
    ロキシ-2-メチルプロピオン酸を得ることを特徴とする
    請求項1記載の光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロ
    キシ-2-メチルプロピオン酸の製造方法。
  7. 【請求項7】 一般式(3a)で表される光学活性3,3,3-ト
    リフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸が、
    (R)−3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプ
    ロピオン酸である請求項5又は6記載の光学活性3,3,3-
    トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 一般式(1) 【化12】 (式(1)中、R1、R2および*は前記と同義である。)
    で表される3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン酸
    誘導体のラセミ体を、生体触媒を用いて立体選択的加水
    分解することを特徴とする一般式(2) 【化13】 (式(2)中、R1、R2および*は前記と同義である。)
    で表される光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロ
    ピオン酸誘導体又は一般式(3) 【化14】 (式(3)中、R2および*は前記と同義である。)で表さ
    れる光学活性3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピオン
    酸誘導体の製造方法。
  9. 【請求項9】 一般式(1) 【化15】 (式(1) 中、R1、R2 および*は前記と同義であ
    る。)で表される3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピ
    オン酸誘導体。
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