JPH11311144A - ディーゼルエンジンの燃料噴射装置および制御装置 - Google Patents

ディーゼルエンジンの燃料噴射装置および制御装置

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JPH11311144A
JPH11311144A JP11670698A JP11670698A JPH11311144A JP H11311144 A JPH11311144 A JP H11311144A JP 11670698 A JP11670698 A JP 11670698A JP 11670698 A JP11670698 A JP 11670698A JP H11311144 A JPH11311144 A JP H11311144A
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JP
Japan
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nozzle
fuel
pressure
needle valve
spray
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JP11670698A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Uehara
哲也 上原
Atsushi Aoki
敦 青木
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 装置の小型化を図る。 【解決手段】 針弁16のリフトによりノズルシート部が
開いたときノズル先端の噴孔20から燃料噴射が行われる
ディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、燃料噴射
時の前記ノズルシート部上流(12)の燃料圧力を略一定に
保つことにより着火性の良い噴霧を供給する作動状態
と、同じく燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃料
圧力の時間的推移を略山型にすることにより着火性の悪
い噴霧を供給する作動状態とを選択的に切換可能に構成
する(31、32、33)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ディーゼルエン
ジンの燃料噴射装置および制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】蓄圧室式燃料噴射装置のインジェクタと
して、特開平9-158811号公報に示されるものがある。こ
のインジェクタの基本的な構成を図2を用いて説明す
る。
【0003】図2において蓄圧室の高圧燃料は供給通路
151からノズル室12に導かれるとともに、吸入オリフィ
ス18を経てノズルピストン13の上部の圧力室14にも導か
れる。
【0004】圧力室14をドレン側と接続する電磁弁15が
閉状態にあるとき、針弁16は着座している。この状態か
ら電磁弁15が開弁すると、放出オリフィス17を介して圧
力室14の圧力が低下し、このためノズル室12に作用する
燃料圧力で針弁16が上方にリフトし、燃料が噴射され
る。電磁弁15が閉弁すると、圧力室14に吸入オリフィス
18を介して高圧燃料が充填され、針弁12の受圧面積より
もその受圧面積を大きく設定したノズルピストン13によ
り、針弁16が押し下げられて着座し、燃料の噴射が停止
する。
【0005】リターンスプリング19はエンジン停止時等
にノズル室12の燃料が燃焼室内に漏れ出すことのないよ
うにするためのものであり、エンジン運転時には、針弁
16、ノズルピストン13にかかる油圧力により縮められ、
針弁16とノズルピストン13とが常に一体となって動く。
【0006】このようなインジェクタでは、圧力室14の
圧力とノズルピストン13の摺動部断面積の積である閉弁
方向の力と、ノズル室12の圧力と針弁16の受圧面積の積
である開弁方向の力のバランスにより、針弁16の動きが
決まる。この場合、ノズル室12は常に供給通路151を介
して蓄圧室と連通しているため、その圧力がほぼ一定で
あるのに対して、圧力室14の圧力は電磁弁15の開閉によ
り大きく変化する。ノズルピストン13の受ける油圧力
は、電磁弁15の開弁時に充填オリフィス18と放出オリフ
ィス17の各有効流路面積およびノズルピストン13の受圧
面積に、また電磁弁15の閉弁時に充填オリフィス18の有
効流路面積とノズルピストン13の受圧面積に影響され
る。これより、充填オリフィス18と放出オリフィス17の
各有効流路面積およびノズルピストン13径の3つのパラ
メータを変えることにより、針弁16の上昇、下降速度、
つまり噴射率を変えることができる。
【0007】噴射率は、噴射初期に着火遅れ期間中の噴
射量を減らすことに伴う燃焼騒音の低減とNOxの排出
抑制のため立ち上がりの勾配を緩く、また、噴射終期に
スモーク排出の抑制のため下降側の勾配を大きくするこ
とが一般的であることから(『内燃機関』Vol.31 No.39
3 1992.7 p.21〜p.29参照)、上記3つのパラメータの
マッチングにより、針弁16の上昇速度を遅く、下降速度
を速くしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】さて、噴霧の質が燃焼
状態に大きく影響することから、蓄圧室式燃料噴射装置
のインジェクタから噴射される噴霧が実際にどうなるか
を調べたところ、次のような知見を初めて得た。これを
説明すると、上記のインジェクタでは、針弁16の上昇速
度を遅くしているため、噴射初期は針弁リフトが低く、
燃料がノズルシート部の非常に狭いクリアランスを高速
で通過したあとにノズル噴孔に流入する。
【0009】図3にノズル先端部の断面図を示すと、こ
のタイプは、針弁16の着座時に針弁16のノズルシート部
16aにより噴孔20がふさがれる形状であることから、V
CO(Valve Covered Orifice)タイプといわれてい
る。
【0010】ここで、噴孔20の軸に垂直な断面内での燃
料流速分布をみてみると、理想的なノズルでは図4に示
すように、針弁16の中心軸に対し、左右対称な弱い流れ
が生じる。これは、ノズルシート部からまず噴孔20上部
に燃料が流入することに関連するためである。
【0011】しかしながら、実際のノズルにおいては、
針弁16に針弁摺動部のガタや製造精度の問題から若干の
偏心が生じてしまう。たとえば、図5(図3のA−A線
矢視図)に示したように左側への偏心が生じている場合
は、ノズルシート部に上下対称な右に向かう周方向流れ
(矢印で示す)が発生する。このような場合、流れの速
い部位に位置する噴孔である20aと20bの内部に図6(a)
(図5のB−B線矢視図)や図6(b)(図5のC−C線矢
視図)に示したように強力な旋回流が発生する。
【0012】こうした噴孔の軸に垂直な面での旋回流
は、針弁リフトが低いほうが、また、ノズル室圧が高い
ほうが強くなる。これはノズルシート部が狭く、ノズル
シート部の周方向の燃料流速が速くなるため、また、ノ
ズル室が高圧であるほうがノズルシート部の燃料流速が
速くなるためである。このように噴孔の軸に垂直な面で
の旋回流が大きいと、噴霧は、その噴射率の割には噴霧
円錐角が広く、ペネトレーションが弱く、また微粒化が
促進された噴霧(つまり着火性のよい噴霧)となる。こ
のような現象はVCOタイプのノズルで特に顕著であ
る。
【0013】こうした着火性のよい噴霧では、蒸発およ
び周囲空気との混合が促進されるため、従来からあるジ
ャーク式燃料噴射装置の噴霧(詳細は後述する)に比べ
着火遅れ期間が短くなる。したがって、燃焼初期の予混
合燃焼量が減り、燃焼騒音やNOxの排出が抑制される
というメリットがある。しかしながらその反面、高負荷
域等の空気過剰率が小さい運転域では、予混合燃焼割合
が減ることに加えて流動の弱い燃焼室中央付近に、初期
に噴射されたペネトレーションの弱い噴霧が残留してし
まうため、スモークの発生が多くなるというデメリット
がある。
【0014】これで、発明者の初めて得た知見の説明を
終える。
【0015】一方、ジャーク式燃料噴射装置は、プラン
ジャで燃料を急激に加圧し、発生させた圧力波を燃料噴
射管を通してノズル室に導き、ノズル室の燃料圧力を略
山型に推移させ、その圧力により、リターンスプリング
による針弁着座方向の力に逆らって針弁をリフトさせ、
燃料を噴射させるように構成される。このようなジャー
ク式燃料噴射装置では、噴射初期のノズル室圧が低いこ
と、また、針弁が急激にリフトするため、低針弁リフト
で燃料を噴射している期間が短いことから、高負荷域の
スモーク排出が少ない反面、燃焼騒音やNOx排出が多
いというデメリットがある。また、蓄圧式燃料噴射装置
で得られる噴霧に比べ、着火性が悪いため、特に冷機時
の失火を抑制するために冷機時の噴射時期をよりアドバ
ンスする必要があり、冷機時のNOx排出が多いという
デメリットもある。
【0016】このように、蓄圧式とジャーク式の各燃料
噴射装置にはそれぞれ一長一短があるので、要求の異な
る噴霧を得るためには、2つの燃料噴射装置を備えさ
せ、要求に応じて2つの燃料噴射装置のいずれかを選択
して用いることであるが、2つの燃料噴射装置を独立に
備えさせるのでは、コストアップとなるばかりか、装置
が大型化してしまう。
【0017】そこで本発明は、上記2つの燃料噴射装置
を独立に備えさせることなく、燃料噴射時のノズルシー
ト部上流の燃料圧力を略一定に保つことにより着火性の
良い噴霧を供給する作動状態と、同じく燃料噴射時のノ
ズルシート部上流の燃料圧力の時間的推移を略山型にす
ることにより着火性の悪い噴霧を供給する作動状態とを
切換可能に構成することにより、装置の小型化を図るこ
とを第1の目的とする。
【0018】また、着火性の良い噴霧と着火性の悪い噴
霧のいずれが要求されるかは、運転条件等により異なっ
てくる。
【0019】たとえば、高負荷域等の空気過剰率が小さ
い運転域においても着火性のよい噴霧を用いるときは、
スモークの発生が多くなる。
【0020】また、大量のEGRを行って酸素濃度を減
少させるとともに、着火遅れ期間中に燃料の噴射を終了
させることにより予混合燃焼を主体として低温で燃焼さ
せるようにした、低温予混合燃焼を行わせるものがある
(特開平7−4287号公報参照)。この低温予混合燃
焼を実現するためには、着火遅れ期間が適度に長いほう
が都合が良く、蓄圧室式燃料噴射装置により得られる着
火性のよい噴霧では、着火遅れ期間が短くなって着火遅
れ期間中に全ての燃料を噴射し終わることが困難となる
ため、低温予混合燃焼による排気微粒子とNOxの同時
低減が可能な運転域が狭くなってしまう。したがって、
このものでは、低温予混合燃焼域になると、着火性の悪
い噴霧のほうが好ましい。
【0021】そこで本発明は、噴霧の質に対する具体的
な要求に合わせて、着火性の良い噴霧を供給する作動状
態と着火性の悪い噴霧を供給する作動状態とを切換制御
することにより、〔1〕高負荷域ではスモークや排気微
粒子の排出を抑制し、〔2〕低温予混合燃焼を行うもの
については、低温予混合燃焼を行う領域を広げつつその
効果が最大限に発揮できるようにし、〔3〕エンジン冷
機時には失火抑制と燃焼騒音、NOx排出抑制との両立
をはかり、〔4〕始動時には始動時間の短縮を可能とす
ることなどを第2の目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、針弁リフ
トによりノズルシート部が開いたときノズル先端の噴孔
20から燃料噴射が行われるディーゼルエンジンの燃料噴
射装置において、燃料噴射時の前記ノズルシート部上流
の燃料圧力を略一定に保つことにより着火性の良い噴霧
を供給する作動状態と、同じく燃料噴射時の前記ノズル
シート部上流の燃料圧力の時間的推移を略山型にするこ
とにより着火性の悪い噴霧を供給する作動状態とを選択
的に切換可能に構成する。
【0023】第2の発明では、第1の発明において前記
ノズルが先端部に構成されるインジェクタ11が、針弁16
を着座方向に付勢するリターンスプリング19と、針弁16
をリフトさせる向きに作用する燃料圧力が導かれるノズ
ル室12と、針弁16を着座させる向きに作用する燃料圧力
が導かれる圧力室14とを備え、燃料噴射時のノズルシ
ート部上流の燃料圧力を略一定に保つ作動状態では、圧
力室14の圧力を低下させて針弁16をリフトさせることに
より、また、燃料噴射時のノズルシート部上流の燃料
圧力の時間的推移を略山型にする作動状態では、圧力室
14を低圧で保持しておき、ノズル室12に高圧の燃料を導
いて針弁16をリフトさせることにより、それぞれ燃料噴
射を行うようにした。
【0024】第3の発明では、第1の発明において前記
ノズルが先端部に構成されるインジェクタ11が、ノズル
シート部径より摺動部径のほうを大きくした針弁16と、
針弁16を着座方向に付勢するリターンスプリング19と、
針弁16をリフトさせる向きに作用する燃料圧力が導かれ
るノズル室12と、針弁16に連接しノズルボディとの間で
摺動しつつ針弁16と一体動するかまたは針弁16と一体に
形成されるとともに、針弁16とは反対側に針弁16の受圧
面積より大きな断面を有するノズルピストン13と、ノズ
ルピストン13の反対側に画成され燃料圧力の導かれる圧
力室14とを備え、燃料噴射時のノズルシート部上流の
燃料圧力を略一定に保つ作動状態では、圧力室14の圧力
とノズルピストン13の摺動部断面積の積である閉弁方向
の力と、ノズル室12の圧力と針弁16の受圧面積の積であ
る開弁方向の力のバランスにより、また、燃料噴射時
のノズルシート部上流の燃料圧力の時間的推移を略山型
にする作動状態では、リターンスプリング19による閉弁
方向の力と、ノズル室12の圧力と針弁16の受圧面積の積
である開弁方向の力のバランスにより、それぞれ針弁16
の動きが決まるようにした。
【0025】第4の発明では、第1から第3までのいず
れか一つの発明において前記ノズルが、針弁着座時に針
弁が噴孔入口を覆う形状である。
【0026】第5の発明は、図16に示すように針弁リ
フトによりノズルシート部が開いたとき噴孔から燃料噴
射が行われるノズル61と、燃料噴射時の前記ノズルシー
ト部上流の燃料圧力を略一定に保つことにより着火性の
良い噴霧を供給する作動状態と、同じく燃料噴射時の前
記ノズルシート部上流の燃料圧力の時間的推移を略山型
にすることにより着火性の悪い噴霧を供給する作動状態
とを選択的に切換可能に構成した手段62と、中回転から
高回転までの領域かつ高負荷域であるかまたはそれ以外
の領域であるかを判定する手段63と、中回転から高回転
までの領域かつ高負荷域であることが判定されたとき、
着火性の悪い噴霧を供給する作動状態を、また前記それ
以外の領域であることが判定されたとき、着火性の良い
噴霧を供給する作動状態をそれぞれ選択する手段64とを
設けた。
【0027】第6の発明は、図17に示すように針弁リ
フトによりノズルシート部が開いたとき噴孔から燃料噴
射が行われるノズル61と、燃料噴射時の前記ノズルシー
ト部上流の燃料圧力を略一定に保つことにより着火性の
良い噴霧を供給する作動状態と、同じく燃料噴射時の前
記ノズルシート部上流の燃料圧力の時間的推移を略山型
にすることにより着火性の悪い噴霧を供給する作動状態
とを選択的に切換可能に構成した手段62と、低回転域か
つ低負荷域であるかどうかを判定する手段71と、低回転
域かつ低負荷域であることが判定されたとき、着火性の
悪い噴霧を供給する作動状態を選択する手段72とを設け
た。
【0028】第7の発明では、第6の発明において極く
低回転域かつ極く低負荷域であることが判定されたと
き、着火性の良い噴霧を供給する作動状態を選択する。
【0029】第8の発明は、図18に示すように針弁リ
フトによりノズルシート部が開いたとき噴孔から燃料噴
射が行われるノズル61と、燃料噴射時の前記ノズルシー
ト部上流の燃料圧力を略一定に保つことにより着火性の
良い噴霧を供給する作動状態と、同じく燃料噴射時の前
記ノズルシート部上流の燃料圧力の時間的推移を略山型
にすることにより着火性の悪い噴霧を供給する作動状態
とを選択的に切換可能に構成した手段62と、エンジンの
空気過剰率を直接的または間接的に検出する手段81と、
この空気過剰率が所定値よりも低いかどうかを判定する
手段82と、空気過剰率が所定値よりも低いことが判定さ
れたとき、着火性の悪い噴霧を供給する作動状態を選択
する手段83とを設けた。
【0030】第9の発明は、図19に示すように針弁の
リフトによりノズルシート部が開いたとき噴孔から燃料
噴射が行われるノズル61と、燃料噴射時の前記ノズルシ
ート部上流の燃料圧力を略一定に保つことにより着火性
の良い噴霧を供給する作動状態と、同じく燃料噴射時の
前記ノズルシート部上流の燃料圧力の時間的推移を略山
型にすることにより着火性の悪い噴霧を供給する作動状
態とを選択的に切換可能に構成した手段62と、エンジン
の吸気酸素濃度を直接的または間接的に検出する手段91
と、この吸気酸素濃度が所定値以下であるかどうかを判
定する手段92と、吸気酸素濃度が所定値以下であること
が判定されたとき、着火性の悪い噴霧を供給する作動状
態を選択する手段93とを設けた。
【0031】第10の発明は、図20に示すように針弁
のリフトによりノズルシート部が開いたとき噴孔から燃
料噴射が行われるノズル61と、燃料噴射時の前記ノズル
シート部上流の燃料圧力を略一定に保つことにより着火
性の良い噴霧を供給する作動状態と、同じく燃料噴射時
の前記ノズルシート部上流の燃料圧力の時間的推移を略
山型にすることにより着火性の悪い噴霧を供給する作動
状態とを選択的に切換可能に構成した手段62と、一部の
運転条件において予混合燃焼を主体とした燃焼を行わせ
る手段101と、予混合燃焼を主体とした燃焼を行わせる
運転条件であるかどうかを判定する手段102と、予混合
燃焼を主体とした燃焼を行わせる運転条件であることが
判定されたとき、着火性の悪い噴霧を供給する作動状態
を選択する手段103とを設けた。
【0032】第11の発明は、図21に示すように針弁
のリフトによりノズルシート部が開いたとき噴孔から燃
料噴射が行われるノズル61と、燃料噴射時の前記ノズル
シート部上流の燃料圧力を略一定に保つことにより着火
性の良い噴霧を供給する作動状態と、同じく燃料噴射時
の前記ノズルシート部上流の燃料圧力の時間的推移を略
山型にすることにより着火性の悪い噴霧を供給する作動
状態とを選択的に切換可能に構成した手段62と、燃焼速
度を制御する手段111と、燃料の噴射時期を制御する手
段112と、一部の運転条件においてこれら制御手段を用
い燃焼速度を遅くするとともに、着火遅れ期間内に燃料
の噴射を終了させることにより低温予混合燃焼を行わせ
る手段113と、低温予混合燃焼を行わせる運転条件であ
るかどうかを判定する手段114と、低温予混合燃焼を行
わせる運転条件であることが判定されたとき、着火性の
悪い噴霧を供給する作動状態を選択する手段115とを設
けた。
【0033】第12の発明では、第11の発明において
燃焼速度を制御する手段が、EGR量を制御する手段で
ある。
【0034】第13の発明では、第5から第12までの
いずれか一つの発明においてエンジンが冷機状態にある
のか暖機完了状態にあるのかを判定し、エンジンの冷機
状態では、暖機完了状態より着火性の良い噴霧を供給す
る作動状態を選択する運転領域を広げる。
【0035】第14の発明では、第5から第13までの
いずれか一つの発明においてエンジン始動時に着火性の
良い噴霧を供給する作動状態を選択する。
【0036】第15の発明では、第5から第14までの
いずれか一つの発明において前記ノズルが先端部に構成
されるインジェクタ11が、針弁16を着座方向に付勢する
リターンスプリング19と、針弁16をリフトさせる向きに
作用する燃料圧力が導かれるノズル室12と、針弁16を着
座させる向きに作用する燃料圧力が導かれる圧力室14と
を備え、燃料噴射時のノズルシート部上流の燃料圧力
を略一定に保つ作動状態では、圧力室14の圧力を低下さ
せて針弁16をリフトさせることにより、また、燃料噴
射時のノズルシート部上流の燃料圧力の時間的推移を略
山型にする作動状態では、圧力室14を低圧で保持してお
き、ノズル室12に高圧の燃料を導いて針弁16をリフトさ
せることによりそれぞれ燃料噴射を行うようにした。
【0037】第16の発明では、第5から第14までの
いずれか一つの発明において前記ノズルが先端部に構成
されるインジェクタ11が、ノズルシート部径より摺動部
径のほうを大きくした針弁16と、針弁16を着座方向に付
勢するリターンスプリング19と、針弁16をリフトさせる
向きに作用する燃料圧力が導かれるノズル室12と、針弁
16に連接しノズルボディとの間で摺動しつつ針弁16と一
体動するかまたは針弁16と一体に形成されるとともに、
針弁16とは反対側に針弁16の受圧面積より大きな断面を
有するノズルピストン13と、ノズルピストン13の反対側
に画成され燃料圧力の導かれる圧力室14とを備え、燃
料噴射時のノズルシート部上流の燃料圧力を略一定に保
つ作動状態では、主に圧力室14の圧力とノズルピストン
13の摺動部断面積の積である閉弁方向の力と、ノズル室
12の圧力と針弁16の受圧面積の積である開弁方向の力の
バランスにより、また、燃料噴射時のノズルシート部
上流の燃料圧力の時間的推移を略山型にする作動状態で
は、リターンスプリング19による閉弁方向の力と、ノズ
ル室12の圧力と針弁16の受圧面積の積である開弁方向の
力のバランスにより、それぞれ針弁16の動きが決まるよ
うにした。
【0038】第17の発明では、第5から第16までの
いずれか一つの発明において前記ノズルが、針弁着座時
に針弁が噴孔入口を覆う形状である。
【0039】
【発明の効果】第1、第2、第3、第15、第16の各
発明では、蓄圧室式とジャーク式の2つの燃料噴射装置
を独立に備えさせなくとも、着火性の良い噴霧を供給す
る作動状態と、着火性の悪い噴霧を供給する作動状態と
を選択的に切換えることが可能となることから、蓄圧室
式とジャーク式の2つの燃料噴射装置を独立に備える場
合よりも、装置を小型化することができる。
【0040】第4、第17の各発明によれば、燃料噴射
時のノズルシート部上流の燃料圧力を略一定に保つ作動
状態で、サック付きのノズルを用いる場合よりも着火性
の良い噴霧が得られる。
【0041】第5の発明によれば、スモーク排出が問題
とならない領域でのNOx排出、燃焼騒音を最大限に抑
制しつつ、スモークの発生しやすい領域ではスモーク排
出を抑制でき、これによって、NOx、燃焼騒音、スモ
ークをより高いレベルでマッチングすることが可能とな
る。
【0042】低温予混合燃焼が可能な運転領域は、低回
転域かつ低負荷域であり、この領域で第6の発明によれ
ば着火性の悪い噴霧を供給するので、低温予混合燃焼に
よる排気微粒子、NOx、燃焼騒音の同時低減効果を高
めることができるとともに、低温予混合燃焼が可能な運
転域を広げることができる。また、一般のディーゼル燃
焼の場合にも、第6の発明によれば、NOx、スモーク
の同時低減の改善に有効な場合のある可能性がある。
【0043】第7の発明によれば、極く低回転域かつ極
く低負荷域での失火を抑制することができる。
【0044】第8の発明によれば、気圧や気温等の気象
条件の変化、あるいはエンジンの過渡状態での過給圧等
の変化に追従して、正確に空気過剰率を求めることがで
き、これによって気圧や気温等の気象条件が異なって
も、また過渡で過給圧が立ち上がる前であっても噴霧の
着火性を最適に制御することができる。
【0045】第9の発明によれば、過給圧、排気圧力、
空気量などの過渡時の変化や気象条件の変化に伴って吸
気酸素濃度が変化するときにも低温予混合燃焼域を精度
良く判断することができ、これによって、排気微粒子、
NOx、燃焼騒音の抑制を精度よく行うことができる。
【0046】第11の発明によれば、低温予混合燃焼に
よる排気微粒子、NOx、燃焼騒音の同時低減効果を高
めることができるとともに、低温予混合燃焼が可能な運
転域を広げることができる。第9の発明によっても、第
10の発明と同等の効果が得られる。
【0047】第13の発明によれば、エンジンの冷機時
であっても、噴射時期を大幅にアドバンスする等の対策
を適用せずに失火を抑制することができ、かつ着火性の
よい噴霧の供給により燃焼騒音やNOx排出も抑制でき
る。
【0048】第14の発明によれば、エンジン始動時間
を短縮することができるとともに、始動時の未燃HCの
排出も抑制することが可能となる。
【0049】
【発明の実施の形態】図1は燃料供給系統の構成、図2
はインジェクタの概略断面図を示すものである。燃料供
給ポンプ1はエンジン回転に同期して回転駆動されるカ
ム2により往復運動するプランジャ3を備え、プランジャ
3の往復運動に伴い、燃料は吸入通路4から吸入され、逆
止弁5、吐出通路6を経由して蓄圧室7に高圧状態で蓄え
られる。
【0050】吸入通路4にはプランジャ3の有効ストロー
ク制御弁8が設けられ、プランジャ3の圧縮行程で有効ス
トローク制御弁8が閉弁したときから燃料の圧送が開始
され、これに応じてポンプ吐出量が決まる。なお、蓄圧
室7には燃料圧力を検出する圧力センサ9が設けられる。
【0051】蓄圧室7の高圧燃料は供給通路10、インジ
ェクタ11の供給通路151を経てノズル室12に導かれると
ともに、吸入オリフィス18を経てノズルピストン13の上
部の圧力室14に導かれる。
【0052】第1の作動状態(燃料噴射時のノズルシー
ト部上流の燃料圧力を略一定に保つ作動状態)ではノズ
ルピストン13はリターンスプリング19とともに針弁16を
押し下げ、閉弁させているが、圧力室14をドレン側と接
続する電磁弁15が開弁すると、放出オリフィス17を介し
て圧力室14の圧力が低下し、このためノズル室12に作用
する燃料圧力がリターンスプリング19に抗して針弁16を
上方にリフトさせ、燃料が噴射される。電磁弁15が閉弁
すると、圧力室14に吸入オリフィス18を介して高圧燃料
が充填され、針弁12の受圧面積よりもその受圧面積を大
きく設定したノズルピストン13とリターンスプリング19
により、針弁16が押し下げられて着座し、燃料の噴射が
停止する。
【0053】したがって、電磁弁15への通電時期、期間
を制御することにより、燃料の噴射時期、噴射期間を自
由に制御することができる。
【0054】なお、本発明でのリターンスプリング19は
従来の蓄圧室式燃料噴射装置のインジェクタに使われる
リターンスプリングと同様、エンジン停止時の燃料漏れ
防止にも作用していることはもちろんであるが、それよ
りも、次の点が重要である。つまり、リターンスプリン
グ19は、後述するように、第2の作動状態(燃料噴射時
のノズルシート部上流の燃料圧力の時間的推移を略山型
にする作動状態)でノズル室12に加わる燃料圧力とバラ
ンスさせる力を発生させるためのものであり、従来のジ
ャーク式燃料噴射装置のインジェクタノズルのリターン
スプリングと同様の役目を担っている。
【0055】蓄圧室7の燃料圧力を調整するためにコン
トロールユニット22が備えられ、圧力センサ9により検
出された圧力に応じてコントロールユニット22からの信
号により有効ストローク制御弁8の開閉時期が制御さ
れ、燃料供給ポンプ1の吐出量を変化させる。
【0056】有効ストローク制御弁8は、燃料吸入時、
つまりプランジャ3が下降しているときは開き、燃料を
吐出する上昇時(圧縮行程)に必要なストロークだけ閉
じることにより、燃料の吐出量を制御する。蓄圧室7の
燃料圧力が目標値よりも下がれば、有効ストローク量を
大きくすることで圧力は回復し、逆に高いときは、有効
ストローク量を小さくすることで、圧力を低下させられ
る。
【0057】コントロールユニット22には、エンジン気
筒判別のためのセンサ23、エンジン回転数、クランク角
度を検出するためのセンサ24、アクセル開度を検出する
センサ25などからの信号が入力し、これらアクセル開度
とエンジン回転数に基づいて目標蓄圧室圧力、目標燃料
噴射量、目標噴射時期を検索し、これら目標とする燃料
噴射量、噴射時期となるように、電磁弁15の開閉時期を
決定するとともに、蓄圧室7の燃料圧力が目標圧力とな
るように有効ストローク制御弁8の開閉時期を制御す
る。
【0058】上記蓄圧室7をバイパスして通路31が設け
られ、このバイパス通路31の分岐部と合流部にコンロト
ールユニット22からの信号により駆動される一対の三方
電磁弁32、33が設けられる。これら電磁弁32、33は、蓄
圧室7を経る通路とバイパス通路31とを選択的に切換え
るためのもので、たとえば電磁弁32、33のOFF時に電
磁弁32上流の吐出通路6とインジェクタ11とを蓄圧室7を
経る通路を介して連通しており、電磁弁32、33がともに
ONにされたときには、バイパス通路31を介して電磁弁
32上流の吐出通路6とインジェクタ11とが連通する。た
だし、電磁弁32、33をONにするときは電磁弁15が常に
開いた状態に保たれる。
【0059】電磁弁32、33のOFF時にはバイパス通路
31、電磁弁32、33ともないのと同じ状態(つまり従来の
蓄圧式燃料噴射装置そのもの)になり、本状態で前述し
た第1の作動状態が実現され、蓄圧室式燃料噴射装置特
有の着火性のよい噴霧が得られる。
【0060】これに対して、電磁弁32、33のON時にな
ると、今度は蓄圧室7がないのと同じになって燃料供給
ポンプ1からの吐出燃料が直接インジェクタ11に導か
れ、しかも電磁弁15が常に開状態とされているので、圧
力室14が低圧状態となっている。この状態では前述した
第2の作動状態が実現されるわけである。したがって、
この状態で燃料供給ポンプ1で圧送を行うと、圧送に伴
う圧力波がバイパス通路31を介してノズル室12に伝わ
る。針弁16に加わる着座方向の力は、リターンスプリン
グ19によるものが主であり、圧力波の伝播によりノズル
室12の圧力は、時間に対し略山型の変化をすることか
ら、ノズル室圧が開弁圧以上に達した瞬間に針弁16がリ
フトし始め噴射が行われる。このような作動はジャーク
式燃料噴射装置と同様であり、したがって、ジャーク式
燃料噴射装置特有の着火性の悪い噴霧を得ることができ
る。
【0061】なお、着火性の悪い噴霧を選択するときの
燃料噴射量は、有効ストローク制御弁8により、有効圧
送ストロークを変えることにより行う。また、蓄圧室7
の入口には、蓄圧室内の燃料圧力の脈動を抑制するた
め、オリフィス34を設けている。
【0062】このように、本発明では、インジェクタ11
を、ノズルシート部径より摺動部径のほうを大きくした
針弁16、針弁16を着座方向に付勢するリターンスプリン
グ19、針弁16をリフトさせる向きに作用する燃料圧力が
導かれるノズル室12、針弁16に連接しノズルボディとの
間で摺動しつつ針弁16と一体動する(または針弁16と一
体に形成される)とともに、針弁16とは反対側に針弁16
の受圧面積より大きな断面を有するノズルピストン13、
このノズルピストン13の反対側に画成され燃料圧力の導
かれる圧力室14、この圧力室の燃料を逃がす手段とから
構成し、 燃料噴射時のノズルシート部上流の圧力を略一定の高
圧に保つ作動状態では、主に圧力室14の圧力とノズルピ
ストン13の摺動部断面積の積である閉弁方向の力と、ノ
ズル室12の圧力と針弁16の受圧面積の積である開弁方向
の力のバランスにより、また、 燃料噴射時のノズルシート部上流の圧力を低い状態か
ら略山型に変化させる作動状態では、リターンスプリン
グ19による閉弁方向の力と、ノズル室12の圧力と針弁16
の受圧面積の積である開弁方向の力のバランスにより、
それぞれ針弁16の動きが決まるようにしたので、着火性
の良い噴霧を供給する作動状態と、着火性の悪い噴霧を
供給する作動状態とを電磁弁32、33のON、OFFによ
り選択的に切換えることが可能となり、これによって上
記2つの燃料噴射装置を独立に備えさせる場合よりも、
装置を小型化することができる。
【0063】図1に示した構成の燃料噴射装置を用い
て、コントロールユニット22では、図7に示すように、
低負荷から中負荷までの領域では着火性のよい噴霧が、
また中回転から高回転までの領域かつ高負荷域になると
着火性の悪い噴霧が得られるように、一対の電磁弁32、
33をON、OFF制御する。スモーク排出が問題となら
ない領域では着火性の良い噴霧により燃焼騒音、NOx
排出を抑制しつつ、全開付近の領域になると着火性の悪
い噴霧に切換えてスモーク排出を抑制するのである。
【0064】このように、本発明の第1実施形態では、
エンジン回転数と燃料噴射量から定まる運転条件に応じ
て噴霧の着火性を切換制御するので、スモーク排出が問
題とならない領域でのNOx排出、燃焼騒音を最大限に
抑制しつつ、スモークの発生しやすい領域ではスモーク
排出を抑制でき、これによって、NOx、燃焼騒音、ス
モークをより高いレベルでマッチングすることが可能と
なる。
【0065】図8、図9は噴霧の着火性の切換制御に用
いる第2、第3の各実施形態のマップ特性図で、これら
2つの実施形態は低温予混合燃焼を行わせるものを前提
としている。
【0066】低温予混合燃焼を行わせる方法は、排気微
粒子のほかNOx、燃焼騒音を同時に抑制する手段とし
て公知であり(特開平7-4287号公報参照)、これは、排
気の一部を吸気に戻す、いわゆるEGRを行うことによ
り吸気中の酸素濃度を減らすほか、燃料噴射時期を圧縮
上死点近傍以降に設定して着火遅れ期間を長期化し、燃
料を着火遅れ期間中に噴射しきってしまうことにより実
現することができる。
【0067】ただし、高負荷域でこの低温予混合燃焼を
行おうとしても、空気過剰率が極端に小さくなり、酸素
不足により逆にスモークが発生してしまうこと、また、
燃料噴射量が多いため、着火遅れ期間中に燃料の噴射を
終了することが困難となることから、低温予混合燃焼が
可能な運転領域は、低回転域かつ低負荷域に限定され
る。
【0068】さて、低温予混合燃焼を実現するために
は、着火遅れ期間が適度に長いほうが都合が良く、着火
性のよい噴霧では、着火遅れ期間が短くなって着火遅れ
期間中に全ての燃料を噴射することが困難となるため、
低温予混合燃焼による排気微粒子とNOxの同時低減が
可能な運転域が狭くなってしまう。
【0069】そこで第2実施形態では、図8のように低
温予混合燃焼を行わせる領域(低回転域かつ低負荷域)
で着火性の悪い噴霧が得られるように、図1に示す一対
の電磁弁32、33をON、OFF制御する。噴霧の着火性
が悪いほうが着火遅れ期間が伸びるので、着火遅れ期間
中に大量の燃料を噴射でき、また、噴射された燃料の混
合、蒸発も促進されるので、低温予混合燃焼による排気
微粒子、NOx、燃焼騒音の同時低減効果が大きくな
り、低温予混合燃焼の実現可能な運転域が広くなる。
【0070】このように、第2実施形態では、低温予混
合燃焼を行わせる領域で着火性の悪い噴霧が得られるよ
うにしたので、低温予混合燃焼による排気微粒子、NO
x、燃焼騒音の同時低減効果を高めることができるとと
もに、低温予混合燃焼が可能な運転域を広げることが可
能となった。
【0071】一方、低温予混合燃焼の可能な運転域を、
高回転、高負荷側にシフトさせる方策の一つとして、筒
内の圧縮端温度を下げ、着火遅れの長期化と燃焼速度の
抑制を実現するため、エンジンの圧縮比を下げることが
有効であることが知られている(特開平8-254134号公
報)。
【0072】このため、低圧縮比のエンジンで低温予混
合燃焼を行わせる場合は、低温予混合燃焼域(ハッチン
グで示した領域)が、図9のように、高回転、高負荷側
にシフトするので、この領域では第2実施形態と同じに
着火性の悪い噴霧が得られるようにすることで、第2実
施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0073】しかしながら、低圧縮比のエンジンでは、
極く低回転域かつ極く低負荷域で失火が発生しやすくな
る。
【0074】そこで、第3実施形態では、低圧縮比化し
たために失火の生じるおそれのある運転域、つまり極く
低回転域かつ極く低負荷域になると、着火性のよい噴霧
が得られるように、図1に示す一対の電磁弁32、33をO
N、OFF制御するようにしたものである。
【0075】このように第3実施形態では、エンジンの
圧縮比を下げることにより、低温予混合燃焼が可能な領
域を高負荷側にシフトして、排気微粒子、NOxおよび
燃焼騒音の同時低減効果を高めることができるととも
に、低圧縮比化に伴う極く低回転域かつ極く低負荷域で
の失火を抑制することができる。
【0076】図10、図11は第4、第5の各実施形態
のフローチャートで、図10は第1実施形態の図7に、
また図11は第2実施形態の図8にそれぞれ対応する。
【0077】さて、図7ではエンジン回転数と燃料噴射
量(エンジン負荷相当)から中回転から高回転までの領
域かつ高負荷域であることを判定したとき、スモークが
発生する領域であると判断して着火性の悪い噴霧が得ら
れるようにしたが、スモークの発生する領域と回転数、
燃料噴射量から定まる運転域とは必ずしも対応するもの
でない。つまり、回転数、燃料噴射量が同一であっても
吸入空気の質量流量が変化する(たとえば気温や気圧の
変化により、また、定常と過渡で過給圧が異なることよ
り質量流量が変化する)ので、図7の特性をマッチング
したときの気温、気圧、過給圧を外れるときにも図7の
特性を用いたのでは、スモークが発生しないのに着火性
の悪い噴霧としたり、この逆にスモークが発生するのに
着火性の良い噴霧としたりする領域が生じる。
【0078】そこで第4実施形態では、スモークの発生
と空気過剰率λとの相関が非常に高く、λが小さいほど
スモーク排出が多くなることに着目し、空気過剰率が所
定値未満の場合をスモーク発生領域と判定させるように
したものである。
【0079】図10のフローチャートに基づいて詳細を
説明すると、これは一定時間毎に(あるいはエンジン回
転に同期して)実行する。
【0080】まずステップ1で、エンジン回転数Ne、
アクセル開度Acc、EGR弁リフトLegr、吸気圧力Pi
nt、排気圧力Pexh、吸入空気量Qairを読み込む。
【0081】ここで、EGR弁リフトLegr、吸気圧力
Pint、排気圧力Pexh、吸入空気量Qairはセンサ検出
値である。たとえば、図12に全体的な構成を示すと、
蓄圧室7の高圧燃料は、ディーゼルエンジン41の各気筒
に設けたインジェクタ11により気筒内に噴射される。吸
気マニホールド42に接続する吸気通路43には、排気通路
44から分岐したEGR通路45が接続し、その途中に介在
させたEGR弁46によりEGR量が、エンジン回転数と
アクセル開度に応じた最適値となるように制御される。
また、排気エネルギを利用して吸気を加圧するターボチ
ャージャ47が設けられている。この場合に、吸気通路43
に吸気圧センサ48を、排気通路44に排気圧センサ49を、
EGR弁46にリフトセンサ(図示しない)を、エアフィ
ルタ50の下流にエアフローメータ51を設けておく。
【0082】図10に戻り、ステップ2では、アクセル
開度Accとエンジン回転数Neより、所定のマップを検
索して目標燃料噴射量Qsを求める。
【0083】ステップ3では次のようにして空気過剰率
λを算出する。まず、EGR流量はEGR弁前後の差圧
の平方根とEGR弁の有効面積の積で求まることから、
【0084】
【数1】Qegr=f(Legr)×(Pexh−Pint)0・5 の式によりEGR流量Qegrを算出する。
【0085】ここで、数1式の右辺のf(Legr)はEG
R弁の有効面積を実験的に求めたもので、図10ステッ
プ3内に示したようにEGR弁リフトLegrの関数であ
り、予めコントロールユニット内に記憶させておく。
【0086】つぎに、EGRガス中の酸素濃度は排気中
の酸素濃度と同じであるため、
【0087】
【数2】 DO2egr=0.21−Cl×Qs/(Qair/Ne) ただし、0.21:空気の酸素濃度 Cl:単位あわせの定数 の式により求まる排気中の酸素濃度をEGRガス中の酸
素濃度DO2egrとして算出する。
【0088】ここで、数2式の右辺第2項は燃焼により
消費される酸素濃度であり、空気の酸素濃度(21%)
からこの値を差し引くことにより排気中の酸素濃度を算
出できるわけである。
【0089】次に、吸気は新気とEGRガスとが混合し
たものであるため、新気とEGRガスの混合した吸気中
の酸素量QO2を
【0090】
【数3】QO2=0.21×Qair+DO2egr×Qegr の式により算出する。
【0091】ここで、空気過剰率は1シリンダ、1サイ
クル(2回転)当たりの吸入酸素量/燃料噴射量である
((2×(QO2/Ne))/気筒数)/Qsに比例するの
で、
【0092】
【数4】λ=C2×(QO2/Ne)/Qs ただし、C2:比例定数 の式により空気過剰率λを算出できる。
【0093】このようにして求めた空気過剰率λと所定
値をステップ4において比較し、λが所定値以上のとき
はステップ5に進み、ノズル室圧が略一定の噴射モー
ド、すなわち着火性のよい噴霧が得られる作動状態で燃
料を噴射し、λが所定値よりも小さいときはノズル室圧
が時間に対し略山型になる噴射モード、すなわち着火性
の悪い噴霧が得られる作動状態で燃料を噴射する。
【0094】このように第5実施形態では、スモークの
発生と空気過剰率λとの相関が非常に高く、空気過剰率
λが小さいほどスモーク排出が多くなることに対応し、
エンジン回転数、目標燃料噴射量、EGR弁リフト、吸
気圧力、排気圧力、吸入空気量から空気過剰率を算出
し、この算出した空気過剰率に応じて噴霧の着火性を切
換制御するようにしたので、気圧や気温等の気象条件の
変化、あるいはエンジンの過渡状態での過給圧等の変化
に追従して、正確に空気過剰率λを求めることができ、
これによって気圧や気温等の気象条件が異なっても、ま
た過渡で過給圧が立ち上がる前であっても噴霧の着火性
を最適に制御することが可能となった。
【0095】一方、第2実施形態の図8ではエンジン回
転数と燃料噴射量から低温予混合燃焼を行わせる領域で
あることを判定したとき、着火性の悪い噴霧が得られる
ようにしているが、低温予混合燃焼が可能な領域と回転
数、燃料噴射量から定まる運転域とは必ずしも対応する
ものでない。つまり、回転数、燃料噴射量が同一であっ
ても吸気の酸素濃度が変化する(たとえば過給圧、排気
圧力、空気量などの過渡時の変化や気象条件の変化によ
り吸気酸素濃度が変化する)ので、過給圧、排気圧力、
空気量などの過渡時の変化や気象条件の変化により図8
の特性をマッチングしたときのEGR率の特性から外れ
ているときにも図8の特性を用いたのでは、低温予混合
燃焼が不可能であるのに着火性の悪い噴霧としたり、こ
の逆に低温予混合燃焼が可能であるのに着火性の良い噴
霧としたりする領域が生じる。
【0096】そこで第5実施形態では、吸気の酸素濃度
を算出し、この吸気酸素濃度から低温予混合燃焼を行わ
せる領域であるかどうかを判定させるようにしたもので
ある。
【0097】これを図11のフローチャートに基づいて
説明すると(図10と同一部分は同一のステップ番号を
つけている)、図10と異なる部分はステップ11、1
2のみであり、空気過剰率λが所定値よりも大きい場合
は、ステップ4よりステップ11に進み、吸気中の酸素
濃度DO2を、
【0098】
【数5】DO2=QO2/(Qair+Qegr) の式より算出し、この吸気酸素濃度DO2と所定値をス
テップ12で比較する。吸気酸素濃度DO2が所定値以
下であれば、低温予混合燃焼を行わせることが可能であ
ると判断し、ステップ6に進み、ノズル室圧が時間に対
し略山型になる噴射モード、すなわち着火性の悪い噴霧
が得られる作動状態で燃料を噴射し、DO2が所定値を
超えるときは、低温予混合燃焼を行わせることが不可能
な領域であると判断し、ノズル室圧が略一定の噴射モー
ド、すなわち着火性のよい噴霧が得られる作動状態で燃
料を噴射する。
【0099】このように第5実施形態では、低温予混合
燃焼をさせるためには、燃焼速度抑制のため、吸気中の
酸素濃度を所定値以下にする必要があることに対応し、
吸気中の酸素濃度から低温予混合燃焼を行わせることが
可能な領域かどうかを判定するようにしたので、過給
圧、排気圧力、空気量などの過渡時の変化や気象条件の
変化に伴って吸気酸素濃度が変化するときにも低温予混
合燃焼域を精度良く判断することができ、これによっ
て、排気微粒子、NOx、燃焼騒音の抑制を精度よく行
うことができる。
【0100】なお、第4、第5の各実施形態では、エン
ジン回転数、目標燃料噴射量、EGR弁リフト、吸気圧
力、排気圧力、吸入空気量を用いて空気過剰率λを算出
するようにしたが、λの算出方法はこれに限られるもの
でなく、たとえば〈1〉吸気圧センサと吸気温度センサ
を用いる方法、〈2〉排気通路中に設けた空燃比センサ
を用いる方法等でもよい。
【0101】これを説明しておくと、簡単のためEGR
を行わない場合で考える。このとき上記の数3式はQO
2=0.21×Qairとなることより、
【0102】
【数6】λ=C2×(QO2/Ne)/Qs=C3×
(Qair/Ne)/Qs ここで、〈1〉の場合であれば、エンジン回転数Neよ
り体積効率が定まり、この体積効率は吸気圧と吸気温度
の影響をほとんど受けない。したがって、体積効率と回
転数の関係を予め記憶させておき、その体積効率を吸気
圧と吸気温度で補正すれば充填効率を求めることができ
る。この充填効率はQair/Neに比例することから、
数6式を用いればλを求めることができる。
【0103】〈2〉の場合は、センサにより検出される
空燃比の逆数がλに比例するので、この関係を用いてλ
を求めることができる。
【0104】一方、EGRを行う場合は、〈1〉、
〈2〉の場合とも上記のようにLegr、Pexh、Pintか
らEGR流量を求めて補正する必要がある。
【0105】なお、第5実施形態では、EGR弁の流量
特性を固定関数としているため、EGR弁の流量バラツ
キや経時劣化に伴うEGR率の相違で吸気酸素濃度が変
化する場合には対応できない。しかしながら、この場合
には、排気の空燃比と吸気酸素濃度を各センサで直接測
定することで対応可能である。
【0106】次に、図13は第6実施形態のフローチャ
ートである。
【0107】第6実施形態は、図9の第3実施形態と同
じに低圧縮比のエンジンで低温予混合燃焼を行わせるも
のを前提とするもので、したがって、図14(B)に示
したように、失火しやすい極く低回転域かつ極く低負荷
域で着火性の良い噴霧を用いている。
【0108】ここで、図14(B)に示した特性(図9
に示した特性と同じ)は、エンジンの暖機完了状態に対
するものである。
【0109】さて、失火が生じやすくなる領域は、エン
ジンの冷機状態とエンジンの暖機完了状態とで異なり、
エンジンの冷機状態のほうが、負荷、回転数が増す側に
領域が広くなる。したがって、エンジンの冷機状態で
も、図14(B)に示した特性に基づいて噴霧の着火性
を制御したのでは、失火が生じてしまう領域が生じる。
そこで第6実施形態は、エンジンが冷機状態にあるのか
それとも暖機完了状態にあるのかをエンジンの冷却水温
から判断し、エンジンの冷機状態では、図14(A)に
示したように、失火抑制のため着火性のよい噴霧を供給
する領域を暖機完了状態よりも広げるようにしたもので
ある。
【0110】詳細にはまず、ステップ21で水温センサ
により検出される冷却水温Twを読み込み、この冷却水
温Twと所定値をステップ22において比較する。Tw
が所定値以下(エンジンが冷機状態にある)の場合は、
ステップ23で図14(A)に示すマップ1に基づい
て、またTwが所定値よりも高くなると(エンジンが暖
機完了状態にある)、ステップ24に進み、図14
(B)に示したマップ2に基づいて噴霧の着火性を制御
する。図示のようにマップ1では失火抑制のため着火性
の良い噴霧を用いる領域をマップ2よりも広げている。
【0111】このように、第6実施形態では、エンジン
が冷機状態にあるのか暖機完了状態にあるのかを判定
し、エンジンの冷機状態では、失火抑制のため着火性の
よい噴霧を供給する領域を暖機完了状態よりも広げるよ
うにしたので、エンジンの冷機時であっても、噴射時期
を大幅にアドバンスする等の対策を適用せずに失火を抑
制することができ、かつ着火性のよい噴霧の供給により
燃焼騒音やNOx排出も抑制できる。
【0112】ところで、エンジン始動時は着火性のよい
噴霧を用いることが望ましい。こうすることにより、エ
ンジン始動時間を短縮することができるとともに、始動
時の未燃HCの排出も抑制することが可能となる。
【0113】実施形態では、針弁着座時にノズル噴孔が
針弁で塞がれる、VCOタイプのノズルで説明したが、
図15に示すサック付きのノズル(サック室152を有す
る)でもかまわない。ただし、VCOタイプのノズルを
用いたほうが各実施形態において着火性の良い噴霧を供
給する場合の効果が大きくなることはいうまでもない。
これは、VCOタイプのノズルのほうが、サック付きの
ノズルに比べ、ノズル噴孔に対し垂直な面での速度ベク
トルが大きく、ノズル室圧が略一定の作動状態での噴霧
の着火性がより高くなるためである。
【0114】実施形態では、図1に示す構成により、着
火性の良い噴霧を供給する作動状態と着火性の悪い噴霧
を供給する作動状態とを選択的に切換える場合で説明し
たが、噴霧の着火性を切換えることが可能な燃料噴射装
置は、これに限られるものでなく、たとえばノズルの噴
孔径、針弁の最大リフトあるいは針弁の偏心量を選択的
に切換える構成のものでも可能であり、このような構成
の装置を用いても、着火性に応じた本発明の制御を適用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の燃料供給系統を示す構成
図。
【図2】燃料噴射インジェクタの概略断面図。
【図3】VCOタイプのノズルの先端部の断面図。
【図4】理想的ノズルの噴孔内における燃料流速分布を
示す図。
【図5】図2のA−A線矢視図。
【図6】図4のB−B線、C−C線の各矢視図。
【図7】噴霧の着火性の特性図。
【図8】第2実施形態の噴霧の着火性の特性図。
【図9】第3実施形態の噴霧の着火性の特性図。
【図10】第4実施形態の制御動作のフローチャート。
【図11】第5実施形態の制御動作のフローチャート。
【図12】第4、第5の各実施形態の全体構成を示す概
略構成図。
【図13】第6実施形態の制御動作のフローチャート。
【図14】第6実施形態の噴霧の着火性の特性図。
【図15】サック付きノズルの先端部の断面図。
【図16】第5の発明のクレーム対応図。
【図17】第6の発明のクレーム対応図。
【図18】第8の発明のクレーム対応図。
【図19】第9の発明のクレーム対応図。
【図20】第10の発明のクレーム対応図。
【図21】第11の発明のクレーム対応図。
【符号の説明】
1 燃料供給ポンプ 7 燃料蓄圧室 11 インジェクタ 12 ノズル室 13 ノズルピストン 14 圧力室 16 針弁 19 リターンスプリング 22 コントロールユニット 31 バイパス通路 32、33 三方電磁弁 37 EGR弁

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】針弁リフトによりノズルシート部が開いた
    ときノズル先端の噴孔から燃料噴射が行われるディーゼ
    ルエンジンの燃料噴射装置において、 燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃料圧力を略一
    定に保つことにより着火性の良い噴霧を供給する作動状
    態と、同じく燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃
    料圧力の時間的推移を略山型にすることにより着火性の
    悪い噴霧を供給する作動状態とを選択的に切換可能に構
    成することを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射
    装置。
  2. 【請求項2】前記ノズルが先端部に構成されるインジェ
    クタは、 針弁を着座方向に付勢するリターンスプリングと、 針弁をリフトさせる向きに作用する燃料圧力が導かれる
    ノズル室と、 針弁を着座させる向きに作用する燃料圧力が導かれる圧
    力室とを備え、 燃料噴射時のノズルシート部上流の燃料圧力を略一定
    に保つ作動状態では、圧力室14の圧力を低下させて針弁
    をリフトさせることにより、また、 燃料噴射時のノズルシート部上流の燃料圧力の時間的
    推移を略山型にする作動状態では、圧力室14を低圧で保
    持しておき、ノズル室に高圧の燃料を導いて針弁をリフ
    トさせることにより、それぞれ燃料噴射を行うようにし
    たことを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジ
    ンの燃料噴射装置。
  3. 【請求項3】前記ノズルが先端部に構成されるインジェ
    クタは、 ノズルシート部径より摺動部径のほうを大きくした針弁
    と、 針弁を着座方向に付勢するリターンスプリングと、 針弁をリフトさせる向きに作用する燃料圧力が導かれる
    ノズル室と、 針弁に連接しノズルボディとの間で摺動しつつ針弁と一
    体動するかまたは針弁と一体に形成されるとともに、針
    弁とは反対側に針弁の受圧面積より大きな断面を有する
    ノズルピストンと、 ノズルピストンの反対側に画成され燃料圧力の導かれる
    圧力室とを備え、 燃料噴射時のノズルシート部上流の燃料圧力を略一定
    に保つ作動状態では、圧力室の圧力とノズルピストンの
    摺動部断面積の積である閉弁方向の力と、ノズル室の圧
    力と針弁の受圧面積の積である開弁方向の力のバランス
    により、また、 燃料噴射時のノズルシート部上流の燃料圧力の時間的
    推移を略山型にする作動状態では、リターンスプリング
    による閉弁方向の力と、ノズル室の圧力と針弁の受圧面
    積の積である開弁方向の力のバランスにより、それぞれ
    針弁の動きが決まるようにしたことを特徴とする請求項
    1に記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
  4. 【請求項4】前記ノズルは、針弁着座時に針弁が噴孔入
    口を覆う形状であることを特徴とする請求項1から3ま
    でのいずれか一つに記載のディーゼルエンジンの燃料噴
    射装置。
  5. 【請求項5】針弁リフトによりノズルシート部が開いた
    とき噴孔から燃料噴射が行われるノズルと、 燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃料圧力を略一
    定に保つことにより着火性の良い噴霧を供給する作動状
    態と、同じく燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃
    料圧力の時間的推移を略山型にすることにより着火性の
    悪い噴霧を供給する作動状態とを選択的に切換可能に構
    成した手段と、 中回転から高回転までの領域かつ高負荷域であるかまた
    はそれ以外の領域であるかを判定する手段と、 中回転から高回転までの領域かつ高負荷域であることが
    判定されたとき、着火性の悪い噴霧を供給する作動状態
    を、また前記それ以外の領域であることが判定されたと
    き、着火性の良い噴霧を供給する作動状態をそれぞれ選
    択する手段とを設けたことを特徴とするディーゼルエン
    ジンの制御装置。
  6. 【請求項6】針弁リフトによりノズルシート部が開いた
    とき噴孔から燃料噴射が行われるノズルと、 燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃料圧力を略一
    定に保つことにより着火性の良い噴霧を供給する作動状
    態と、同じく燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃
    料圧力の時間的推移を略山型にすることにより着火性の
    悪い噴霧を供給する作動状態とを選択的に切換可能に構
    成した手段と、 低回転域かつ低負荷域であるかどうかを判定する手段
    と、 低回転域かつ低負荷域であることが判定されたとき、着
    火性の悪い噴霧を供給する作動状態を選択する手段とを
    設けたことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装
    置。
  7. 【請求項7】極く低回転域かつ極く低負荷域であること
    が判定されたとき、着火性の良い噴霧を供給する作動状
    態を選択することを特徴とする請求項5に記載のディー
    ゼルエンジンの制御装置。
  8. 【請求項8】針弁リフトによりノズルシート部が開いた
    とき噴孔から燃料噴射が行われるノズルと、 燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃料圧力を略一
    定に保つことにより着火性の良い噴霧を供給する作動状
    態と、同じく燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃
    料圧力の時間的推移を略山型にすることにより着火性の
    悪い噴霧を供給する作動状態とを選択的に切換可能に構
    成した手段と、 エンジンの空気過剰率を直接的または間接的に検出する
    手段と、 この空気過剰率が所定値よりも低いかどうかを判定する
    手段と、 空気過剰率が所定値よりも低いことが判定されたとき、
    着火性の悪い噴霧を供給する作動状態を選択する手段と
    を設けたことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装
    置。
  9. 【請求項9】針弁のリフトによりノズルシート部が開い
    たとき噴孔から燃料噴射が行われるノズルと、 燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃料圧力を略一
    定に保つことにより着火性の良い噴霧を供給する作動状
    態と、同じく燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃
    料圧力の時間的推移を略山型にすることにより着火性の
    悪い噴霧を供給する作動状態とを選択的に切換可能に構
    成した手段と、 エンジンの吸気酸素濃度を直接的または間接的に検出す
    る手段と、 この吸気酸素濃度が所定値以下であるかどうかを判定す
    る手段と、 吸気酸素濃度が所定値以下であることが判定されたと
    き、着火性の悪い噴霧を供給する作動状態を選択する手
    段とを設けたことを特徴とするディーゼルエンジンの制
    御装置。
  10. 【請求項10】針弁のリフトによりノズルシート部が開
    いたとき噴孔から燃料噴射が行われるノズルと、 燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃料圧力を略一
    定に保つことにより着火性の良い噴霧を供給する作動状
    態と、同じく燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃
    料圧力の時間的推移を略山型にすることにより着火性の
    悪い噴霧を供給する作動状態とを選択的に切換可能に構
    成した手段と、 一部の運転条件において予混合燃焼を主体とした燃焼を
    行わせる手段と、 予混合燃焼を主体とした燃焼を行わせる運転条件である
    かどうかを判定する手段と、 予混合燃焼を主体とした燃焼を行わせる運転条件である
    ことが判定されたとき、着火性の悪い噴霧を供給する作
    動状態を選択する手段とを設けたことを特徴とするディ
    ーゼルエンジンの制御装置。
  11. 【請求項11】針弁のリフトによりノズルシート部が開
    いたとき噴孔から燃料噴射が行われるノズルと、 燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃料圧力を略一
    定に保つことにより着火性の良い噴霧を供給する作動状
    態と、同じく燃料噴射時の前記ノズルシート部上流の燃
    料圧力の時間的推移を略山型にすることにより着火性の
    悪い噴霧を供給する作動状態とを選択的に切換可能に構
    成した手段と、 燃焼速度を制御する手段と、 燃料の噴射時期を制御する手段と、 一部の運転条件においてこれら制御手段を用い燃焼速度
    を遅くするとともに、着火遅れ期間内に燃料の噴射を終
    了させることにより低温予混合燃焼を行わせる手段と、 低温予混合燃焼を行わせる運転条件であるかどうかを判
    定する手段と、 低温予混合燃焼を行わせる運転条件であることが判定さ
    れたとき、着火性の悪い噴霧を供給する作動状態を選択
    する手段とを設けたことを特徴とするディーゼルエンジ
    ンの制御装置。
  12. 【請求項12】燃焼速度を制御する手段は、EGR量を
    制御する手段であることを特徴とする請求項11に記載
    のディーゼルエンジンの制御装置。
  13. 【請求項13】エンジンが冷機状態にあるのか暖機完了
    状態にあるのかを判定し、エンジンの冷機状態では、暖
    機完了状態より着火性の良い噴霧を供給する作動状態を
    選択する運転領域を広げることを特徴とする請求項5か
    ら12までのいずれか一つに記載のディーゼルエンジン
    の制御装置。
  14. 【請求項14】エンジン始動時に着火性の良い噴霧を供
    給する作動状態を選択することを特徴とする請求項5か
    ら13までのいずれか一つに記載のディーゼルエンジン
    の制御装置。
  15. 【請求項15】前記ノズルが先端部に構成されるインジ
    ェクタは、 針弁を着座方向に付勢するリターンスプリングと、 針弁をリフトさせる向きに作用する燃料圧力が導かれる
    ノズル室と、 針弁を着座させる向きに作用する燃料圧力が導かれる圧
    力室とを備え、 燃料噴射時のノズルシート部上流の燃料圧力を略一定
    に保つ作動状態では、圧力室14の圧力を低下させて針弁
    をリフトさせることにより、また、 燃料噴射時のノズルシート部上流の燃料圧力の時間的
    推移を略山型にする作動状態では、圧力室14を低圧で保
    持しておき、ノズル室に高圧の燃料を導いて針弁をリフ
    トさせることにより、それぞれ燃料噴射を行うようにし
    たことを特徴とする請求項5から14までのいずれか一
    つに記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
  16. 【請求項16】前記ノズルが先端部に構成されるインジ
    ェクタは、 ノズルシート部径より摺動部径のほうを大きくした針弁
    と、 針弁を着座方向に付勢するリターンスプリングと、 針弁をリフトさせる向きに作用する燃料圧力が導かれる
    ノズル室と、 針弁に連接しノズルボディとの間で摺動しつつ針弁と一
    体動するかまたは針弁と一体に形成されるとともに、針
    弁とは反対側に針弁の受圧面積より大きな断面を有する
    ノズルピストンと、 ノズルピストンの反対側に画成され燃料圧力の導かれる
    圧力室とを備え、 燃料噴射時のノズルシート部上流の燃料圧力を略一定
    に保つ作動状態では、主に圧力室の圧力とノズルピスト
    ンの摺動部断面積の積である閉弁方向の力と、ノズル室
    の圧力と針弁の受圧面積の積である開弁方向の力のバラ
    ンスにより、また、 燃料噴射時のノズルシート部上流の燃料圧力の時間的
    推移を略山型にする作動状態では、リターンスプリング
    による閉弁方向の力と、ノズル室の圧力と針弁の受圧面
    積の積である開弁方向の力のバランスにより、それぞれ
    針弁の動きが決まるようにしたことを特徴とする請求項
    5から14までのいずれか一つに記載のディーゼルエン
    ジンの制御装置。
  17. 【請求項17】前記ノズルは、針弁着座時に針弁が噴孔
    入口を覆う形状であることを特徴とする請求項5から1
    6までのいずれか一つに記載のディーゼルエンジンの制
    御装置。
JP11670698A 1998-04-27 1998-04-27 ディーゼルエンジンの燃料噴射装置および制御装置 Pending JPH11311144A (ja)

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