JPH11310964A - 壁裏アンカー金具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 例えば建物インテリア壁面へ手摺りバーＢ等
を後付けするための壁裏アンカー金具において、互いに
平行に重ね合わせた一対のアンカー片Ａ／Ｂ ２／３
を、壁穴Ｈから挿入する場合、壁裏において両アンカー
片が正規の直角十字形に容易に、かつ確実に配置される
手段を提供する。 【解決手段】 このため、両アンカー片Ａ／Ｂ ２／３
間のアンカー軸４回りに、ねじりコイルばね７を配設
し、それぞれ両端部を直角十字形状とした両アンカー片
Ａ／Ｂの各１側縁部に係合させ、両アンカー片Ａ／Ｂの
相対角度をいかなる角度に拘束しても、その拘束を解除
すると自動的に９０°に復帰付勢するよう構成し、さら
に、十字形状態の両アンカー片Ａ／Ｂに、回転軸方向に
平行な直線状と成る位置の各小穴２ｂ／３ｂに挿通して
ナイロンコード吊ひも９を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、壁裏アンカー金具
に、また特に、建物の壁等のバー部材等を後付けするた
めの壁裏アンカー金具セットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、建物の完成後に、入居者の変
化や例えば居住者の老齢化等により、居室や廊下もしく
はトイレ、浴室等の壁面に手摺バー等を後付けしたい要
望があり、これらのバーには、比較的大きな力が作用す
る可能性があるため、安全性を確保する必要があると共
に、インテリアの当該壁面および壁面及び壁裏内だけで
これに対処する必要がある。

【０００３】また、この種の要望は、建物のインテリア
のみならず、外壁等にも手摺り等を付設したい場合があ
り、またインテリアの側壁面だけでなく天井壁面にもイ
ンテリアの仕切りの後設置等が必要となる事例もある。

【０００４】以上のような要望に対応するため、従来
は、例えば図３に、その一例の分解構成斜視図を示すよ
うなインテリア・バー後付け用の壁裏アンカー金具セッ
トが使用されている。

【０００５】（構成）図３において、３０は、その後付
け金具セットで、３１は、それぞれ一対の重畳可能のス
テンレス鋼板製の弯曲翼状のアンカー片Ａ／Ｂ ３２／
３３より成る壁裏アンカー対である。各アンカー片３２
／３３は、それぞれ中央部にねじ穴３２ａ／穴３３ａを
備え、その中央部は、セット時には互いに密着して直角
の十字形を形成するよう構成され、各アンカー片の両翼
部分には、それぞれ長手方向の補強リブが一体的に形成
されている。

【０００６】各アンカー片３２／３３の前記各中央凸部
には、それぞれ図示の対角点に各一対の小孔３４が穿設
され、例えばナイロンコード等の細くて丈夫な連結ひも
３５が図示の如く貫通され、その各先端部は、一括して
それぞれ壁穴Ｈ及び座金３６上の２小孔を挿通して壁面
外に導かれ、その先端部を結び目３５ａにより結合し
て、金具セット３０の各部が分離しないよう取扱うこと
ができる。

【０００７】一方、Ｂは、取付けねじ部を有する専用品
の手すり本体を示し、３７はその取付け用の内ねじを有
する袋ナット、３８は取付けボルトで、それぞればね座
金３９、ワッシャ４０及び、これらの抜け止め保持用ゴ
ムワッシャ４１を備えている。

【０００８】（後付け設定手順）図４に、図３に示した
アンカー金具セット３０の、壁裏への後付け手順を示す
概要図（ａ）〜（ｆ）を示し、その概要手順を説明す
る： （ａ）壁面への穴開け 適当なカッタ工具で、合板製等の所定壁面に例えば３０
〜５０mmφの穴Ｈを穿設する。

【０００９】（ｂ）アンカー対３１をセット 両アンカー片Ａ／Ｂ ３２／３３を、凸部を上にして重
ね合わせ、連結ひも３５を引張り気味にして、壁穴Ｈ内
に挿入する。

【００１０】（ｃ）アンカー展開・位置合わせ 座金３６を片手で押さえ、他方の手で連結ひも３５を外
方に引くと、両アンカー片３２／３３は、各対角小孔部
３４の連結ひも３５が直線状となるよう引張られて、互
いに回転して、直交する十字形となる。

【００１１】（ｄ）取付けボルト３８固定準備 ひも３５を強く引張ったまま、壁面に沿わせる。

【００１２】（ｅ）取付けボルト固定 取付けボルト３８を、ばね座金３９、ワッシャ４０、ゴ
ムワッシャ４１を、袋ナット３７を介して座金３６の穴
から差込んで、アンカー片Ａ３２の中央ねじ穴３２ａに
ねじ込み、ひも３５をカッタナイフ等により切断し、ア
ンカー片Ａ／Ｂ３２／３３が空回りしないよう、取付け
ボルト３８を手前に引き乍ら回転固定する。

【００１３】（ｆ）手すりバー固定 専用品の手すりバー本体Ｂを、袋ナット３７を回転して
本体Ｂのフランジを固定する。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような従来例にあっては、前記図４（ｃ）に示す工程に
おいて、両アンカー片３２／３３を、直角十字形に設定
するには、座金３６を片手で抑え乍ら、他の手で連結ひ
も３５を適切に引くことにより、ひもの張力により、両
アンカー片３２／３３を（ｂ）図の重ね状態から（ｃ）
図の直交十字形状に回転させるわけであるが、この場
合、その状態は座金３６に塞がれて、見難いため、操作
性が悪く、また、この種のアンカー機能として第１義的
に重要な直交十字形状配置の確認ができず、不確実のま
ま次工程に移行する怖れがあった。

【００１５】本発明は、以上のような局面にかんがみて
なされたもので、この種の両アンカー片の直交十字形配
置が極めて容易に自動的に確保される手段の提供を目的
としている。

【００１６】

【課題を解決するための手段】このため、本発明におい
ては、下記（１），（２）項のいずれかに示す壁裏アン
カー金具を提供することにより、前記目的を達成しよう
とするものである。

【００１７】（１）中心軸回りに重畳して相対回転し得
る一対の弯曲翼形の各アンカー片間に、前記相対回転角
度が９０°位置の時に両回転方向にそれぞれ付勢トルク
がゼロとなるねじりばね手段を介装すると共に、前記相
対回転角度が９０°の状態時に、前記各アンカー片の中
心付近の相互重畳部分上の、前記中心軸に平行な一直線
状の各小孔を挿通する吊ひも手段を備えたことを特徴と
する壁裏アンカー金具。

【００１８】（２）前記各アンカー片の一方を、前記中
心軸部にめねじ部を有するアンカー軸の一端部に固定
し、他の一方のアンカー片を前記軸回りに回転可能に配
設するとともに、前記両アンカー片間には、前記アンカ
ー軸回りに前記ねじりコイルばねと、前記吊りひもを挿
通したアンカー部材と、前記アンカー軸の他端部のおね
じ部に係合するめねじ部材と壁面の壁穴閉鎖用円板部と
を有する座金具と、前記円板部中央のボルト穴を挿通し
て、前記アンカー軸の中心軸めねじ部に係合するセット
ボルトと、より成ることを特徴とする前項（１）記載の
壁裏アンカー金具。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
複数の実施例に基づき、図面を参照して詳細に説明す
る。

【００２０】

【実施例】（実施例１）図１に本発明に係る第１の実施
例の壁裏アンカー金具セットの分解構成図を示す。
（ａ）は全体斜視図、（ｂ）は、（ａ）図のａ−ａ線矢
視図である。

【００２１】〈構成〉図１において、１は壁裏アンカー
（金具）対、２／３は、ステンレス鋼板製の一対の弯曲
翼形アンカー片Ａ／Ｂ、であり、それぞれアンカー軸４
用の中心穴２ａ，３ａを有し、それぞれ弯曲形の長手方
向には各一対の補強リブが一体的に形成されている。

【００２２】アンカー軸４は、アンカー片Ａ２の中心穴
２ａより大きい頭部４ａを有し全長に亘り、中心部に、
セットボルト６用のめねじ穴４ｂが設けられ、また頭部
４ａと反対端部には所定長の座金具５取付け用のおねじ
部４ｃが設けられている。

【００２３】アンカー軸４は、それぞれ各アンカー片Ａ
／Ｂ ２／３の各中心穴２ａ，３ａを貫通し、それぞれ
各部がばらばらにならぬようゴムリング８が圧装され
て、一体ユニット化されている。

【００２４】また、アンカー片４の頭部４ａには、不図
示の突起を有し、アンカー片Ａ２の中心穴２ａには、不
図示の突起受け凹所を有して、アンカー設定時には、ア
ンカー軸４はアンカー片Ａ２に対して相対回転を防止さ
れている。

【００２５】本発明実施例の特徴は、一対のアンカー片
Ａ／Ｂ ２／３間に、アンカー軸４回りにねじりコイル
ばね７を挿入し、それぞれの両端部を直角十字形状とし
た両アンカー片Ａ／Ｂ ２／３の各１側縁部に係合さ
せ、両アンカー片Ａ／Ｂの相対角度が０〜９０°のいか
なる角度に拘束しても、手を放すと自動的に実質的に９
０°に復帰付勢するよう構成すると共に、また、壁面部
の取付け穴Ｈに挿入時間の例えばナイロンコード等の丈
夫な吊ひも９を、両アンカー片Ａ／Ｂ ２／３が直角十
字形時にアンカー軸４の軸線方向に一直線となる位置の
各小穴２ｂ，３ｂに挿通して前方へ導く用に付随させた
ことにある。このユニットを“アンカー金具Ａ”と仮称
する。

【００２６】また、５は壁面に対する座金具で、壁面の
穴Ｈを防ぐための皿部の中心には、セットボルト６の挿
通用ボルト穴５ｂを有し、他の軸方向全長に亘って、ア
ンカー軸４のねじ部４ｃに係合するめねじ５ａが設けら
れている。この座金具５を“アンカー金具Ｂ”と仮称す
る。

【００２７】〈後付け設定手順〉次に、以上のような本
実施例構成における壁裏アンカー金具セットの壁面への
後付け設定手順の概要図を図２（ａ）〜（ｄ）に示す。
本図では、合板等の壁面の３０〜５０mmφの壁穴Ｈ明け
工程は省略して示す。

【００２８】（ａ）アンカー金具Ａ挿入 各アンカー片Ａ／Ｂ ２／３を、ねじりコイルばね７の
トルクに抗して相対的に０角度に重ねて頂部を上にして
重ねて握る。

【００２９】（ｂ）アンカー展開、位置決め 吊ひも９で支持し乍ら、アンカー金具Ａを壁穴Ｈに挿入
すると、両アンカー片Ａ／Ｂ ２／３は、その間のねじ
りコイルばねの付勢トルクにより自動的に正規の直角十
字形に復帰する。

【００３０】また、吊ひも９を引張ることにより、その
作用が援けられると共に、この正規位置からの回転が防
止されるので、操作性が良好でかつ確実に正規の十字形
が得られる。

【００３１】（ｃ）アンカー金具Ｂ取付け この状態で、吊ひも９を引張り乍ら、アンカー金具Ｂを
座金具５の回転とセットボルト６の回転とを利用して取
付ける。吊ひも９は、途中の適当な工程でカッタナイフ
等で切断する。

【００３２】（ｄ）セットボルトの除去 この取付け固定が終了したら、セットボルト６を引抜い
たアンカー設定を完了する。

【００３３】以降、図は省略するが、専用品の手すり本
体Ｂの取付けは、図３に示したように、セットボルト６
により袋ナット３７を取付けることにより、容易に実施
することができる。

【００３４】〈作用／効果〉以上のように、壁面に穿設
した壁穴Ｈに、アンカー対１を平行に重ねた状態のアン
カー金具Ａを、片手で掴み、他の片手で吊ひも９で保持
し乍ら貫通して、掴んだ手を放すと、自動的に正規の十
字形に復帰し、吊ひも９に張力を与えることにより、こ
の状態を不変にすることができるため、極めて操作性が
良く、アンカーの片の正規の十字姿勢を確保することが
できる。

【００３５】（他の実施例）なお、前記実施例１は、ア
ンカー金具Ａ，Ｂより成る壁裏アンカー金具を例えば建
物の垂直内壁または外壁に後付けする事例について説明
したが、本発明は、これのみに限定されるものでなく、
例えば天井壁面等に必要部材を後付けする事例にも利用
することもできる。

【００３６】また、本発明は、前記実施例１の構成のみ
に限定されるものでなく、例えば、従来例で説明した構
成の後付けアンカー金具の、各アンカー片Ａ／Ｂ ３２
／３３間に適当なねじりコイルばね７を追装した形式等
であっても有効である。

【００３７】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、壁裏アンカー金具を壁面に後付けする場合、一対の
アンカー片を極めて容易に確実に直角十字形状に配設す
ることができるため、作業性が良く、取付け不良を防止
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施例１の壁裏アンカー金具セットの分解構
成図、（ａ）は全体斜視図、（ｂ）はａ−ａ線矢視図

【図２】 実施例１の後付け手順を示す概要図

【図３】 従来の壁裏アンカー金具セットの一例の分解
構成斜視図

【図４】 図３従来例の後付け手順を示す概要図

【符号の説明】

１ 壁裏アンカー対 ２／３ アンカー片Ａ／Ｂ ４ アンカー軸 ５ 座金具 ６ セットボルト ７ ねじりコイルばね ８ ゴムリング ９ 吊ひも（ナイロンコード） Ｂ 手すり本体 Ｈ 壁穴

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心軸回りに重畳して相対回転し得る一
   対の弯曲翼形の各アンカー片間に、前記相対回転角度が
   ９０°位置の時に両回転方向にそれぞれ付勢トルクがゼ
   ロとなるねじりばね手段を介装すると共に、 前記相対回転角度が９０°の状態時に、前記各アンカー
   片の中心付近の相互重畳部分上の、前記中心軸に平行な
   一直線状の各小孔を挿通する吊ひも手段を備えたことを
   特徴とする壁裏アンカー金具。
2. 【請求項２】 前記各アンカー片の一方を、前記中心軸
   部にめねじ部を有するアンカー軸の一端部に固定し、他
   の一方のアンカー片を前記軸回りに回転可能に配設する
   とともに、前記両アンカー片間には、前記アンカー軸回
   りに前記ねじりコイルばねと、前記吊りひもを挿通した
   アンカー部材と、 前記アンカー軸の他端部のおねじ部に係合するめねじ部
   材と壁面の壁穴閉鎖用円板部とを有する座金具と、 前記円板部中央のボルト穴を挿通して、前記アンカー軸
   の中心軸めねじ部に係合するセットボルトと、より成る
   ことを特徴とする請求項１記載の壁裏アンカー金具。