JPH11308929A - 育苗容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 それぞれのポットに床材を入れて一株分の苗
を独立して育てると、ポット内で伸びた根が過度に巻い
て苗の生長が途中で停止したり、移植後に苗の生育がお
くれたりするおそれがある。また、苗が育たなかった床
材をポットから抜き取る作業がわずらわしい。 【解決手段】上が開放された筒状のポット１の側壁１ｂ
に上端に達するスリット１ａが設けられている育苗容
器。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、稲や野菜などの
苗を一株ごとに独立して育てる育苗容器に用いるもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】ポットの空胴部に床材（土・細断したピ
ートモス又はこれらの混合物など）を入れ、その上に稲
やたまねぎなどの種子を蒔き、覆土して定期的に潅水す
ると、種子が発芽してそのポットに一株分の苗が育つ。
育った苗をその根や床材とともにポットから抜き取っ
て、プラグ苗として圃場に移植するようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】苗が育つときに伸びた
根がポットの内壁に沿って発育し、過度の根巻きを生じ
て苗の成長が停止したり、移植後の活着や発育がおくれ
るおそれがあった。また、前後左右に並んだ複数のポッ
トを板に一体に設けてトレイとし、苗が育ったトレイを
苗植機に装着して機械移植を行うようなとき、苗が育た
なかったポットはその床材を抜き取り、別途育てた苗を
床材とともにそのあとに補充するが、苗が育たなかった
床材の抜き取りが困難であった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明は、上が開放された筒状のポット１の側壁
１ｂに上端に達するスリット１ａが設けられている育苗
容器とした。

【０００５】

【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施例を説明
する。前後左右に並んだ筒状の複数のポット１の下端を
板２に固定した形に、これらが樹脂で一体に成形されて
セルトレイ３となっている（図１）。４個のスリット１
ａがそれぞれのポット１の側壁１ｂに等間隔で設けられ
ている。それぞれのスリット１ａは、側壁１ｂの上端に
達している。排水孔１ｃがポット１の下面に設けられて
いる（図２）。

【０００６】それぞれのポット１の空胴内に、土、細断
したピートモス又はこれらの混合物などの床材４を詰
め、その上に稲、ねぎ、白菜などの種子を蒔き、これに
覆土し、所定の温度に保って一定の間隔で潅水を施す
と、種子から芽が出てそれぞれのポット１に一株分の苗
が育つ。このとき、種子からでた根の一部がポット１の
内壁に当ったのち、内壁に沿って回りながら伸び、スリ
ット１ａに達すると、空気や光に触れてその伸長が停止
（エアプルーニング）する。

【０００７】苗が所定の長さに伸びると、プラグ苗とし
て床材４とともにそれぞれのポット１から抜き取り、圃
場に移植する。種子が発芽しなかったポット１、苗が途
中で枯れたポット１など苗が育たなかったポット１につ
いては、鈎５の先を、スリット１ａを通して床材４に差
し込み（図２）、そのスリット１ａに沿って引き上げ
る。すると、その床材４がポット１から抜け出す。予備
のセルトレイ３で育てた苗を、その床材４とともに抜き
取って、空になった上記のポット１に補植する。 （１）ポット１の外形を裁頭円錐形に形成し、底無しに
作ると、複数のセルトレイ３を重ねたとき、下のポット
１が上のポット１内に入って薄く重なり、運搬や保管が
便利に行なわれる。このセルトレイ３は、それぞれのポ
ット１に床材４を詰めたのち、苗箱に入れて苗を育て
る。 （２）ポット１、板２または両者を可撓性のある材料で
構成すると、ポット１の上がたやすく横に開いて、プラ
グ苗の取出しが容易になる。 （３）板２を可撓性のある材料で構成し、苗植機に載せ
たセルトレイ３を、苗の取出時に中央部がそり上るよう
に曲げると、ポット１の上が横に開いてプラグ苗の取出
しが容易になる。 （４）板２の外周に側壁を上向き又は下向きに設けるこ
とができる。

【０００８】図３、図４には三角形のポットを備えたセ
ルトレイを示している。すなわち、一定の間隔で前後左
右に並んだ、上から見て（正）三角形をした筒状の複数
のポット６の上端（又は下端）を板７に固定した形に、
これらが樹脂で一体成形されてセルトレイ８となってい
る。それぞれのポット６は、上が開放されるとともに、
側壁６ｂの下端から内向きに止片９が突出して角が開い
ている。

【０００９】細断したピートモスを柱状に圧縮成形して
作ったタブレット１０をそれぞれのポット６の空胴に床
材として入れ、潅水して膨張させて用いる。すると、三
角形の空胴の角に、空気が流通する透間が縦方向に出来
る。この透間を空気が流通し、根の伸長が止められて過
度の根巻きが防止される。図５、図６のように、そのポ
ット６を、上から見て（正）四角形の筒状のポット６Ａ
に代えることが出来る。側壁６Ｂの下端から内向に突出
した止片９Ａでタブレット１０を受け止めると、それぞ
れの角に上記の同様の透間が出来、過度の根巻きが防止
される。

【００１０】そのタブレット１０をそれぞれのポット１
（６，６Ａ）に入れる供給器を図７、図８のように構成
することが出来る。すなわち、供給箱１１の底板１２に
丸い複数の落下孔１２ａがそれぞれのポット１と同じ間
隔で設けられ、案内筒１３がそれぞれの落下孔１２ａの
下に配置されている。それぞれ落下孔１２ａとほぼ同じ
径で同じ間隔の複数の保持孔１４ａを有する可動板１４
が底板１２の上に摺動するように取付けられ、ばね１５
で右に押されて保持孔１４ａが落下孔１２ａから外れて
いる。

【００１１】供給箱１１内のタブレット１０を、手やブ
ラシなどでそれぞれの保持孔１４ａに入れたのち、それ
ぞれの案内筒１３をポット１に差し込むようにして、供
給箱１１をセルトレイ３の上に位置させる。そののち、
ばね１５に抗して可動板１４を左に押し込む。すると、
保持孔１４ａが落下孔１２ａに重なって、保持孔１４ａ
内のタブレット１０が案内筒１３内を通ってそれぞれの
ポット１内に供給される。

【００１２】上記の供給機によると、案内筒１３でタブ
レット１０が確実にそれぞれのポット１内に供給でき
る。

【００１３】

【効果】以上のように、この発明によると、ポット１の
側壁にスリット１ａが設けられているので、このスリッ
ト１ａによって過度の根巻きが防止できる。また、その
スリット１ａが上に達しているので、苗が生育しなかっ
たとき、スリット１ａを通して鈎５その他を差し込んで
床材４を容易に取り出すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明を施したセルトレイの一部の斜面図

【図２】その一部の拡大した切断正面図

【図３】他のセルトレイの一部の平面図

【図４】その一部の拡大した切断正面図

【図５】他のセルトレイの一部の切断正面図

【図６】その平面図

【図７】タブレットの供給器の斜面図

【図８】その切断正面図

【符号の説明】

１ ポット １ａ スリット １ｂ 側壁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 哲也 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農機 株式会社技術部内 (72)発明者 福山 英昭 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農機 株式会社技術部内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上が開放された筒状のポット１の側壁１
   ｂに上端に達するスリット１ａが設けられている育苗容
   器。