JPH11308792A - 永久磁石式リラクタンス型回転電機 - Google Patents

永久磁石式リラクタンス型回転電機

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JPH11308792A
JPH11308792A JP10112354A JP11235498A JPH11308792A JP H11308792 A JPH11308792 A JP H11308792A JP 10112354 A JP10112354 A JP 10112354A JP 11235498 A JP11235498 A JP 11235498A JP H11308792 A JPH11308792 A JP H11308792A
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permanent magnet
magnetic
magnetic flux
rotor core
electric machine
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JP10112354A
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Kazuto Sakai
和人 堺
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、高出力で広範囲の可変速運転を行
うことを目的とする。 【解決手段】 回転子3は、凹部5に電機子コイル2に
よる磁束と逆方向の磁束を生じる永久磁石6を配設し、
この永久磁石6及び凸部4aを覆うように磁性リング7
を設けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規の磁極構成に
より、高出力で広範囲の可変速運転が可能な永久磁石を
複合した永久磁石式リラクタンス型回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のリラクタンス型回転電機の構成例
を図15を用いて説明する。リラクタンス型回転電機
は、固定子21には電機子コイル22を持ち、一方、回
転子23は磁界を形成するコイルが不要であり、回転子
23は凹部25及び凸部26のある回転子鉄心24のみ
で構成されている。28はシャフトである。このため、
リラクタンス型回転電機は構成が簡素であり、かつ安価
である。次に、出力の発生原理について述べる。リラク
タンス型回転電機は、回転子23に凹部25及び凸部2
6があることにより、凸部26で磁気抵抗が小となり、
凹部25では磁気抵抗が大となる。即ち、電機子コイル
22に電流を流すことにより凸部26と凹部25上の空
隙部分で蓄えられる磁気エネルギーが異なる。この回転
子23の位置に対する磁気エネルギーの変化により、出
力が発生する。凸部と凹部は幾何的でのみなく、磁気的
に凹凸を形成できる(磁気抵抗、磁束密度分布が回転子
の位置により異なる)形状であればよい。
【0003】また、他の高性能な回転電機として永久磁
石回転電機がある。この永久磁石回転電機では、電機子
はリラクタンス型回転電機と同じであるが、回転子は回
転子鉄心のほぼ全周にわたり永久磁石が配置されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のリラクタンス型
回転電機では、回転子鉄心表面の凹部及び凸部により磁
気抵抗が異なり、磁束密度も変化する。この変化により
回転子の位置に対する磁気エネルギーが変化して出力が
得られる。しかし、電機子コイルの電流が増加するとと
もに磁極となる回転子鉄心の凸部において局部的な磁気
飽和が拡大する。これにより、磁極間となる凹部の部分
に漏れる磁束が増加して、有効な磁束は減少して出力が
低下する。また磁気エネルギーから考えると、磁極であ
る凸部の磁気飽和で生じる漏れ磁束により、空隙磁束密
度の変化が緩やかになり、磁気エネルギー変化が小とな
る。このため、電機子コイルの電流に対して出力の増加
率が低下し、やがて出力は飽和する。
【0005】一方、永久磁石回転電機では、回転子鉄心
の表面に永久磁石を配置しているので、界磁に高エネル
ギーの永久磁石を適用することにより高磁界を空隙部分
に形成できるので小型、高出力が可能となる。しかし、
永久磁石の磁束は一定であるので高速回転時に電機子コ
イルに誘導される電圧は、その磁束に比例して大きくな
る。したがって、高速回転までの広範囲の可変速運転を
行う場合、界磁磁束を減らすことができないため、電源
電圧を一定とする規定速度の2倍以上の回転速度での定
出力運転は困難である。
【0006】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、
第1に高出力とすることができ、第2に安定した広範囲
の可変速運転を行うことができ、第3に機械的強度が強
く高速回転に十分に耐え得る回転子を持つ永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、電機子コイルを持つ固定子
と、円筒状の回転子鉄心の外周表面に凹部及び凸部が形
成された回転子とを備えた永久磁石式リラクタンス型回
転電機において、前記回転子は、前記凹部に前記電機子
コイルによる磁束と逆方向の磁束を生じる永久磁石を配
設してなることを要旨とする。この構成により、電機子
コイルの回転磁界により回転子の凸部に磁気誘導による
磁極が生じる。凹部(磁極間)内に、電機子コイルによ
る磁束と逆方向の磁束を生じる永久磁石を配設したこと
で、磁極間に侵入する電機子コイルによる磁束を反発
し、また磁極間の磁気抵抗が高くなる。この結果、磁極
間上の空隙磁束密度が低下し、回転子の位置に対する空
隙磁束密度の変化、即ち磁気エネルギーの変化が大とな
り、大きなトルクが発生して高出力が得られる。しか
し、永久磁石による鎖交磁束は少ないので、電機子コイ
ルの励磁電流成分の量を広く調整でき、端子電圧を幅広
く調整することができて、広範囲の可変速運転が可能と
なる。
【0008】請求項2記載の発明は、電機子コイルを持
つ固定子と、円筒状の回転子鉄心の外周表面に凹部及び
凸部が形成された回転子とを備えた永久磁石式リラクタ
ンス型回転電機において、前記回転子は、前記凹部に前
記電機子コイルによる磁束と逆方向の磁束を生じる永久
磁石を配設し、前記凸部の部分には半径方向に非磁性部
分となるスリットを設けてなることを要旨とする。この
構成により、磁極となる凸部の部分に非磁性部分となる
スリットを設けたことで、電機子コイルによる磁束は磁
極に沿った方向に流れるようになり、回転子の位置に対
する空隙磁束密度の変化、即ち磁気エネルギーの変化
が、より大きくなり、より高出力が得られる。
【0009】請求項3記載の発明は、電機子コイルを持
つ固定子と、円筒状の回転子鉄心の外周表面に凹部及び
凸部が形成された回転子とを備えた永久磁石式リラクタ
ンス型回転電機において、前記回転子は、前記凹部に前
記電機子コイルによる磁束と逆方向の磁束を生じる永久
磁石を配設し、前記凸部の部分の周方向中央部には半径
方向に非磁性部分となるスリットを設けてなることを要
旨とする。この構成により、磁極となる凸部の周方向中
央部に非磁性部分となるスリットを設けたことで、電機
子コイルによる磁束は、より一層磁極に沿った方向に流
れるようになり、回転子の位置に対する空隙磁束密度の
変化、即ち磁気エネルギーの変化が、より一層大きくな
り、より一層の高出力が得られる。
【0010】請求項4記載の発明は、上記請求項1,2
又は3記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機におい
て、前記永久磁石および前記凸部を覆うように磁性リン
グを具備することを要旨とする。この構成により、磁極
間に侵入する電機子コイルによる磁束を反発し、また磁
極間の磁気抵抗を高くする点においてより有効となる。
この結果、磁極間上の空隙磁束密度が低下し、回転子の
位置に対する空隙磁束密度の変化、即ち磁気エネルギー
の変化が大となり、大きなトルクが発生して高出力が得
られる。また、負荷時には、磁性リングで電機子コイル
による磁束が永久磁石による磁束と合成されるので磁性
リングが磁気飽和し、一部の永久磁石による磁束が電機
子コイルと鎖交し、この永久磁石による鎖交磁束に電機
子コイルの電流による鎖交磁束が加わって端子電圧が誘
導される。しかし、永久磁石による鎖交磁束は少ないの
で、電機子コイルの励磁電流成分の量を広く調整でき、
端子電圧を幅広く調整することができて、広範囲の可変
速運転が可能となる。
【0011】請求項5記載の発明は、上記請求項4記載
の永久磁石式リラクタンス型回転電機において、前記磁
性リングは、高強度の磁性材を用いて構成してなること
を要旨とする。この構成により、高強度の磁性リングで
永久磁石を強固に保持することで、高速回転時における
回転子の強度が向上する。
【0012】請求項6記載の発明は、上記請求項4記載
の永久磁石式リラクタンス型回転電機において、前記磁
性リングは、電磁鋼板を積層して構成してなることを要
旨とする。この構成により、磁性リングにおける回転軸
方向の電気抵抗が高くなり、回転子鉄心表面に生じる電
機子スロットの高調波渦電流が低減し、安定した回転が
得られる。
【0013】請求項7記載の発明は、上記請求項4又は
6記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機において、
前記回転子鉄心と前記磁性リングは一体とした形状の電
磁鋼板を積層して構成してなることを要旨とする。この
構成により、回転子鉄心における回転軸方向の電気抵抗
が高くなり、回転子鉄心表面に生じる電機子スロットの
高調波渦電流が低減して安定した回転が得られる。ま
た、回転子の組み立て容易性が得られる。
【0014】請求項8記載の発明は、上記請求項4乃至
7の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機
において、前記磁性リングの径方向の厚みを、前記永久
磁石の残留磁束密度に対する前記磁性リングの飽和磁束
密度の比と前記永久磁石の幅との積の1/4から1/2
としてなることを要旨とする。この構成により、例えば
希土類の永久磁石では、その残留磁束密度は約1Tであ
り、磁性リングの飽和磁束密度を2Tとすると、永久磁
石の残留磁束密度に対する磁性リングの飽和磁束密度の
比は1/2である。永久磁石の幅を、例えば24mmとす
ると、前記比と永久磁石の幅の積の1/4では3mm、1
/2では6mmとなる。即ち、磁性リングの径方向の厚み
をこの3mmから6mmの間に設定すると、磁性リングは、
永久磁石による磁束で磁気飽和し、その残りの半分以下
の永久磁石の磁束が電機子コイルと鎖交する。この結
果、永久磁石による電機子コイルへの誘導電圧を数分の
1に小さくできるので、電源電圧に対し余裕ができ、規
定速度の数倍以上の高速回転まで広範囲に可変速運転を
することが可能となる。
【0015】請求項9記載の発明は、上記請求項4乃至
7の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機
において、前記磁性リングの径方向の厚みを、前記永久
磁石の残留磁束密度に対する前記磁性リングの飽和磁束
密度の比と前記永久磁石の幅との積の1/2以上として
なることを要旨とする。この構成により、永久磁石の幅
を、永久磁石の残留磁束密度に対する磁性リングの飽和
速度密度の比と永久磁石の幅の積の1/2以上とする
と、磁性リングは永久磁石による磁束で磁気飽和せず、
永久磁石の磁束は回転子鉄心の中にほぼ閉じ込められ、
回転中の永久磁石の磁束による電機子コイルへの誘導電
圧は殆ど発生しない。この結果、前記と同様に電源電圧
に対し余裕ができ、規定速度の数倍以上の高速回転まで
広範囲に可変速運転をすることが可能となる。また、無
負荷状態であれば、高速回転中でも電機子コイルへの誘
導電圧は極めて小なので、回転電機と電気的に接続され
たインバータや他の機器の損傷を防止することが可能と
なる。
【0016】請求項10記載の発明は、上記請求項1乃
至9の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転電
機において、前記永久磁石は、直方体形状としてなるこ
とを要旨とする。この構成により、永久磁石は円弧がな
く平面のみとなるので、高出力で広範囲の可変速運転を
可能とするための永久磁石の加工が容易となる。
【0017】請求項11記載の発明は、上記請求項1乃
至10の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転
電機において、前記永久磁石は、前記回転子鉄心におけ
る凹部の一部分に配設してなることを要旨とする。この
構成により、少量の永久磁石で磁極間に侵入する電機子
コイルによる磁束を反発して回転子の位置に対する磁気
エネルギーの変化を大とし、高出力を得ることが可能と
なる。
【0018】請求項12記載の発明は、上記請求項1乃
至11の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転
電機において、前記永久磁石は、前記回転子鉄心におけ
る凹部の中央部分に配設してなることを要旨とする。こ
の構成により、少量の永久磁石で磁極間に侵入する電機
子コイルによる磁束を効果的に反発して回転子の位置に
対する磁気エネルギーの変化を、より大とし、より高出
力を得ることが可能となる。
【0019】請求項13記載の発明は、上記請求項1乃
至11の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転
電機において、前記永久磁石は、前記回転子鉄心におけ
る凹部の両端部分にのみ配設してなることを要旨とす
る。この構成により、少量の永久磁石で、凸部の磁極側
面から侵入する電機子コイルによる磁極間軸方向成分の
磁束を低減することができる。この結果、回転子の位置
に対する磁気エネルギーの変化を、より大にして、より
高出力を得ることが可能となる。
【0020】請求項14記載の発明は、上記請求項1乃
至13の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転
電機において、前記永久磁石は前記回転子鉄心における
凹部の一部分に配設し、前記永久磁石配設部分以外の凹
部部分は半径方向に深い空洞部としてなることを要旨と
する。この構成により、永久磁石配設部分以外の凹部部
分の磁気抵抗が高くなって電機子コイルによる磁束が通
り難くなり、回転子の位置に対する磁気エネルギーの変
化が、より大となって、より高出力を得ることが可能と
なる。
【0021】請求項15記載の発明は、上記請求項1乃
至14の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転
電機において、前記永久磁石は前記回転子鉄心における
凹部の一部分に配設し、前記永久磁石配設部分以外の凹
部部分は半径方向に深い空洞部とし、この空洞部に非磁
性材を充填してなることを要旨とする。この構成によ
り、前記請求項11記載の発明の作用とほぼ同様の作用
が得られる他に、磁極間の機械的強度を強くすることが
可能となる。
【0022】請求項16記載の発明は、上記請求項1乃
至14の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転
電機において、前記永久磁石は前記回転子鉄心における
凹部の一部分に配設し、前記永久磁石配設部分以外の凹
部部分は半径方向に深い空洞部とし、この空洞部に導電
性材料を充填してなることを要旨とする。この構成によ
り、前記請求項11記載の発明の作用とほぼ同様の作用
が得られる他に、空洞部に銅又はアルミニウム等の導電
性材料を充填することで、回転子が電機子コイルの回転
磁界に対して非同期時に、導電性材料に渦電流が生じて
回転子が同期に入ることができる。即ち、自己起動と安
定した回転が得られる。
【0023】請求項17記載の発明は、上記請求項4乃
至16の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転
電機において、前記回転子鉄心における前記磁性リング
に当たる部分に回転軸と同方向の孔を複数個周方向に並
列するように穿設し、前記各孔に導体を挿入してなるこ
とを要旨とする。この構成により、回転子が電機子コイ
ルの回転磁界に対して非同期時に導体に誘導電流が流れ
て回転子が同期に入ることができる。また、インバータ
駆動時の高調波電流による渦電流を吸収することができ
る。したがって自己起動と安定した回転が得られる。
【0024】請求項18記載の発明は、上記請求項1乃
至17の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転
電機において、前記回転子鉄心の磁極となる前記凸部の
幅を前記磁極ピッチの0.3〜0.6倍としてなること
を要旨とする。この構成により、磁極となる凸部の幅を
上記の比率に設定することで、回転子の位置に対する空
隙磁束密度の変化が効果的に大となって、一層の高出力
が得られる。
【0025】請求項19記載の発明は、上記請求項1乃
至18の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転
電機において、前記回転子鉄心の軸方向端部に、当該回
転子鉄心と磁気的に結合される磁性のエンドリングを配
置してなることを要旨とする。この構成により、電機子
コイルの電流により、永久磁石の磁化方向と逆方向の電
機子反作用磁界を与えたとき、永久磁石の磁束の一部は
軸方向を通り磁性のエンドリングを通って回転子で閉じ
た磁路を形成する。即ち、効果的に漏れ磁束を生じさせ
ることができて、電機子コイルとの鎖交磁束量を調整す
ることができる。したがって、電機子コイルの電流によ
り端子電圧を容易に調整することができて、広範囲の可
変速運転を容易に行うことが可能となる。
【0026】請求項20記載の発明は、上記請求項1乃
至19の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転
電機において、前記回転子鉄心の軸方向端部に磁性のエ
ンドリングを配置し、前記回転子鉄心と前記磁性のエン
ドリング間には軸方向に所定間隙長の空隙を設けてなる
ことを要旨とする。この構成により、回転子鉄心と磁性
のエンドリング間に所定間隙長の空隙を設けることで、
漏れ磁束と有効鎖交磁束量の割合を適切に調整すること
ができ、電機子コイルの電流により端子電圧を一層容易
に調整することができて、広範囲の可変速運転を一層容
易に行うことが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0028】図1乃至図3は、本発明の第1の実施の形
態を示す図である。まず、図1を用いて、本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機の構成を説明す
る。固定子1は、電機子コイル2を持ち、4極からなっ
ている。一方、回転子3は次のような特徴ある構成から
なっている。回転子鉄心4は、外周表面にそれぞれ4個
の凹部5及び凸部4aのある円筒形状のS45C軟鋼か
らなり、シャフト8で支持されている。各凸部4aは、
電機子コイル2の回転磁界による磁気誘導により磁極と
なる。また、各凹部5には、それぞれNdFeB系永久
磁石6が挿入され接着剤で固定されている。永久磁石6
は磁極間(凹部)の径方向中心軸と同方向に磁化されて
いる。そして、永久磁石6と回転子鉄心4の凸部4aの
外周には、珪素鋼板を積層した磁性リング7が挿入され
て配置されている。
【0029】次に、上述のように構成された永久磁石式
リラクタンス型回転電機の作用を説明する。図2は電機
子コイル2の電流による回転子鉄心4の磁極(凸部)軸
に沿った方向の成分の磁束を示しており、磁極部の鉄心
を磁路とするため、この方向の磁路では磁気抵抗が極め
て小であり、磁束が流れやすい磁気的構成になってい
る。
【0030】図3は電機子コイル2の電流による磁極間
(凹部)を中心とした径方向の軸に沿った方向の成分の
磁束を示している。この磁極間の磁束は磁極間の永久磁
石6を横断する磁路を形成するが、永久磁石6の比透磁
率がほぼ1であるので、永久磁石6の高磁気抵抗の作用
で電機子コイル2の電流による磁束は低下する。さら
に、磁極間の永久磁石6は、ほぼ磁極軸と同方向に磁化
されており、永久磁石6で発生した磁束は回転子3の外
周の磁性リング7を周方向に流れ、磁極部分を通り、自
己の反対の極に戻る磁気回路を形成する。また、永久磁
石6の一部の磁束は空隙を介して固定子1を通り、回転
子3の磁極、又は隣極の永久磁石6を通り、永久磁石6
に戻る磁路も形成する。この永久磁石6の磁束は電機子
コイル2の電流による磁極間中心軸方向成分の磁束と逆
方向に分布して、磁極間から侵入する電機子コイル2の
電流による磁束を反発する。又は、磁極間上の空隙部に
おいては、永久磁石6の磁束により電機子コイル2の電
流が作る空隙磁束密度が低下することになり、磁極上の
空隙磁束密度と比較して大きく変化することになる。即
ち、回転子3の位置に対する空隙磁束密度の変化が大と
なり、磁気エネルギー変化が大となる。永久磁石6によ
り等価的な磁気抵抗が変化して、高出力になると考える
ことができる。したがって、空隙磁束分布に凹凸ができ
るので磁気エネルギー変化により大きな出力を発生す
る。さらに、磁気エネルギー積の高い希土類永久磁石を
適用することにより、磁極間で形成する電機子コイル2
の電流の磁界よりも永久磁石6の逆方向の磁界が強くな
る。これにより、空隙磁束分布の凹凸が急激になり、出
力が増加する。
【0031】広範囲の可変速運転を得る端子電圧の調整
幅については、次のような作用となる。本実施の形態の
回転電機では、回転子3の凹部5にのみ永久磁石6があ
るので、回転子鉄心表面のほぼ全周に永久磁石が張り付
けられた従来の永久磁石回転電機よりも永久磁石の表面
積が狭くなり、永久磁石6による鎖交磁束量も少なくな
っている。さらに、無負荷状態では、永久磁石6のかな
りの磁束は磁性リング7を通り、漏れ磁束となる。した
がって、この状態では誘導電圧は極めて小にできるの
で、無負荷時の鉄損は少なくなる。また、電機子コイル
2が短絡したときにも過電流は小になる。負荷時には磁
性リング7部で電機子コイル2による磁束が永久磁石6
の磁束と合成するので磁性リング7部が磁気飽和し、一
部の永久磁石6の磁束が電機子コイル2と鎖交するよう
になる。この永久磁石6による鎖交磁束に、電機子コイ
ル2の電流(リラクタンスモータの励磁電流成分とトル
ク電流成分)による鎖交磁束が加わって、端子電圧を誘
導する。永久磁石6の鎖交磁束は少ないので、励磁電流
成分の量を広く調整できるので、端子電圧を幅広く調整
できる。即ち、定電圧電源で広範囲の可変速運転で可能
となる。また、強制的に制御で弱め界磁を行って電圧を
抑制していないので、高速回転時に制御が動作しなくな
っても過電圧が発生することはない。可変速運転により
高速回転時には永久磁石6の過大な遠心力が磁性リング
7にかかる。本実施の形態では、磁性リング7にSUS
630の磁性材料を適用する。SUS630の引っ張り
強度は1000N/mm2 以上あり高強度であるので回転
子3の機械的強度が増し、高速回転に耐え得る回転電機
を得ることができる。
【0032】図4には、本発明の第2の実施の形態を示
す。本実施の形態では、回転子鉄心4の凸部4aの部分
に磁極の特に中心軸に沿って非磁性部分となるスリット
9が設けられている。前述したように、電機子コイル2
の電流による磁束は磁極間(凹部)を殆ど通らずに磁極
部となる凸部4aの部分の回転子鉄心4を通るように分
布する。したがって、空隙磁束分布に凹凸ができるので
磁気エネルギー変化により大きなトルクを発生する。磁
極に非磁性層のスリット9があるため、電機子コイル2
の電流による磁束は磁極に沿った方向に流れるようにな
り、磁気的な凹凸の変化を大きくすることができる。さ
らに、永久磁石6に磁気エネルギー積の高い希土類永久
磁石を適用することにより、磁極間で形成する電機子コ
イル2の電流による磁界よりも永久磁石6の逆方向の磁
界が強くなる。したがって、空隙磁束分布の凹凸が急激
になり、出力が増加する。広範囲の可変速運転特性、温
度特性を含む耐減磁特性、機械的強度の向上について
は、前記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0033】本発明の第3の実施の形態を説明する。本
実施の形態では、上記第1、第2の実施の形態の構成に
おいて、凹部5及び凸部4aのある回転子鉄心4は軟鋼
を使用し、回転子鉄心4と永久磁石6の表面に配置され
る磁性リング7は珪素鋼板をシャフト8方向に積層して
構成している。電磁鋼板を積層することにより、シャフ
ト8方向の電気抵抗は高くなるので、回転子鉄心4の表
面に生じる電機子スロットの高調波渦電流を低減できて
安定した回転が得られる。
【0034】図5及び図6には、本発明の第4の実施の
形態を示す。本実施の形態では、上記第1〜第3の実施
の形態の構成において、凹部及び凸部のある回転子鉄心
4と空隙側の磁性リング7とが、一体とした形状で打ち
抜いた珪素鋼板を積層することにより構成されている。
珪素鋼板に凹部に相当する磁石形状の穴を打ち抜いて積
層し、その穴にて永久磁石6を挿入すればよいので、組
み立てが容易となる。回転子鉄心4及び磁性リング7を
一体として珪素鋼板を積層することにより、シャフト8
方向の電気抵抗が高くなるので、回転子鉄心4の表面に
生じる電機子スロットの高調波渦電流を、より一層低減
できて安定した回転が得られる。図6は、前記第2の実
施の形態の構成に本実施の形態を適用した場合の図であ
る。
【0035】本発明の第5の実施の形態を説明する。本
実施の形態では、上記第1〜第4の実施の形態の構成に
おいて、例えば、永久磁石6の幅を24mmとし、磁性リ
ング7の径方向厚みを6mmとする。また、磁性リング7
と回転子鉄心4は珪素鋼板を用いる。NdFeB永久磁
石6では磁気的に短絡状態では1〜1.2Tの磁束密度
を発生する。したがって、磁性リング7の磁束密度は2
〜2.4Tとなり磁性リング7はほぼ磁気飽和する。次
に、磁性リング7の厚みを3mmとしたときは、概略的に
磁性リング7が飽和するまでの磁束が流れるので半分の
磁束が磁性リング7に漏れて、残りの半分の磁束が電機
子コイル2と鎖交する。つまり、電機子コイル2への誘
導電圧を数分の1に小とできるので、永久磁石6の磁束
を直接に出力として取り出すことができ、永久磁石6の
磁束による誘導電圧は小なので、電源電圧に対し余裕が
でき、本実施の形態の回転電機は規定速度の数倍以上の
高速回転まで広範囲に可変速運転ができる。
【0036】本発明の第6の実施の形態を説明する。本
実施の形態では、前記第1〜第4の実施の形態の構成に
おいて、磁性リング7の径方向厚みを永久磁石6の幅の
1/4以上(磁性リング7の径方向厚みが、永久磁石6
の残留磁束密度に対する磁性リング7の飽和磁束密度の
比と永久磁石6の幅との積の1/2以上)とする。ま
た、磁性リング7と回転子鉄心4は珪素鋼板を使用し、
永久磁石6はNdFeB磁石を使用する。NdFeB永
久磁石6は磁気的に短絡状態では約1Tの磁束密度を発
生する。したがって、磁性リング7の厚みを永久磁石6
の幅の1/4のときに磁性リング7の磁束密度は2Tと
なり珪素鋼板の磁性リング7はほぼ磁気飽和する。これ
より、磁性リング7の厚みを1/4以上とすると、磁性
リング7は磁気飽和していないため、永久磁石6の磁束
は回転子鉄心4の中にほぼ閉じ込められ、回転中の永久
磁石6の磁束による誘導電圧は殆ど発生しない。即ち、
高速回転中でも誘導電圧が極めて小なので、本実施の形
態の回転電機と電気的に接続されたインバータや他の機
器の損傷を防止することができる。一方、負荷時には電
機子コイル2の電流による磁束が永久磁石6の磁束と合
成されるので、磁性リング7は磁気飽和して、永久磁石
6の磁束の一部が回転子3から外に現れて電機子コイル
2と鎖交する。この鎖交する永久磁石6の磁束は電機子
コイル2の電流との相互作用により回転電機の出力とな
る。
【0037】図7には、本発明の第7の実施の形態を示
す。本実施の形態では、上記第1〜第6の実施の形態に
おいて、凹部5をほぼ長方形状とし、この凹部5に直方
体形状の永久磁石6を配置して回転子3を構成してい
る。永久磁石6は円弧がなく、平面のみとなるので、永
久磁石6の加工が容易となる。
【0038】図8には、本発明の第8の実施の形態を示
す。本実施の形態では、上記第1〜第7の実施の形態に
おいて、回転子鉄心4における凹部5の一部分、特に中
央部分に永久磁石6を配置している。このような永久磁
石6の配置態様をとることにより、磁極間軸方向成分の
電機子コイル2の電流による磁束を、少量の永久磁石6
で効果的に反発できる。即ち、回転子3の位置に対する
磁気エネルギー変化を効果的に大きくして高出力にでき
る。
【0039】図9には、本発明の第9の実施の形態を示
す。本実施の形態では、前記第1〜第7の実施の形態に
おいて、回転子鉄心4における凹部5の両端部分にのみ
永久磁石6を配置して回転子3を構成している。磁極で
ある凸部4aの側面から侵入する電機子コイル2の電流
による磁極間軸方向成分の磁束を低減できる。即ち、回
転子3の位置に対する磁気エネルギー変化を効果的に大
きくして高出力にできる。また永久磁石6の使用量を少
なくできる。
【0040】図10には、本発明の第10の実施の形態
を示す。本実施の形態では、上記第8、第9の実施の形
態において、回転子鉄心4の凹部5の一部分に永久磁石
6を配置し、凹部5の永久磁石6のない残りの部分は半
径方向に深い空洞部5aとした鉄心で回転子3を構成し
ている。回転子鉄心4の凹部5の永久磁石6のない部分
には、永久磁石6の磁界が作用しないため、電機子コイ
ル2の電流による磁束が侵入しやすくなる。本実施の形
態では、永久磁石6のない部分は半径方向に深く空洞部
5aを設けているので、この部分の磁気抵抗は高くな
る。即ち、電機子コイル2の電流による磁束は通り難く
なり、回転子3の位置に対する磁気エネルギー変化が大
きくなり、高出力にできる。同時に永久磁石6の使用量
を少なくできる。図10(a)は、第8の実施の形態の
構成に本実施の形態を適用した場合、同図(b)は、第
9の実施の形態の構成に本実施の形態を適用した場合で
ある。
【0041】図11には、本発明の第11の実施の形態
を示す。本実施の形態では、上記第8〜第10の実施の
形態において、回転子鉄心4の凹部5の一部分に永久磁
石6を配置し、凹部5の永久磁石6のない残りの部分は
半径方向に深い空洞部とし、この空洞部にSUS304
で作られた非磁性部材12を挿入して回転子3を構成し
ている。図11(a)は、第8の実施の形態の構成に本
実施の形態を適用した場合、同図(b)は、第9の実施
の形態の構成に本実施の形態を適用した場合である。非
磁性材12を空洞部に設けることにより、磁極間の機械
的強度が強くなる。他の作用は第8〜第10の実施の形
態の場合と同様である。
【0042】本発明の第12の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、前記第8〜第10の実施の形態にお
いて、回転子鉄心4の凹部5の一部分に永久磁石6を配
置し、凹部5の永久磁石6のない残りの部分は半径方向
に深い空洞部とし、この空洞部に銅又はアルミニウム等
からなる導電性材料を充填して回転子3を構成してい
る。空洞部に導電性材料を配置することにより、回転子
が電機子コイル2の回転磁界に対して非同期時に導電性
材料に渦電流が生じて、回転子3が同期に入ることがで
きる。即ち、自己起動と安定した回転が得られる。
【0043】図12には、本発明の第13の実施の形態
を示す。本実施の形態では、上記第1〜第12の実施の
形態において、回転子鉄心4の空隙側にある磁性リング
7に当たる部分にシャフト8と同方向の孔を複数個周方
向に並列するように穿設し、各孔に銅のバー(導体)1
3を挿入して回転子3を構成している。回転子3が電機
子コイル2の回転磁界に対して非同期時に銅のバー13
には、誘導電流が流れて回転子3が同期に入ることがで
き、自己起動と安定した回転を得る作用がある。また、
インバータ駆動時の高調波電流により渦電流を吸収する
ことができる。
【0044】本発明の第14の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、前記第1〜第13の実施の形態にお
いて、回転子鉄心4における磁極(凸部分)の幅を磁極
ピッチ(1つの磁極中心から隣極の磁極中心までの距
離)の0.3〜0.6倍とする。磁極となる凸部4aの
幅をこの範囲の比率に設定すると、回転子位置に対する
空隙磁束密度分布の変化を効果的に大とできるので高出
力の回転電機が得られる。
【0045】図13には、本発明の第15の実施の形態
を示す。本実施の形態では、上記第1〜第14の実施の
形態において、回転子鉄心4のシャフト8方向端部に珪
素鋼板を積層した磁性のエンドリング10を配置して回
転子3を構成している。回転子鉄心4と磁性のエンドリ
ング10とは磁気的に結合している。電機子コイル2の
電流により、回転子鉄心4内の永久磁石6の磁化方向と
逆方向の電機子反作用磁界を与えたとき、永久磁石6の
磁束の一部はシャフト8方向を通り磁性のエンドリング
10を通って回転子3で閉じた磁路を形成する。即ち、
効果的に漏れ磁束を生じさせることができるので、電機
子コイル2との鎖交磁束量を調整でき、端子電圧を電機
子コイル2の電流により容易に調整できる。したがっ
て、広範囲の可変速運転を容易に行うことができる。
【0046】図14には、本発明の第16の実施の形態
を示す。本実施の形態では、前記第1〜第14の実施の
形態において、回転子鉄心4のシャフト8方向両端部
に、所定間隙長の空隙11をおいて磁性のエンドリング
10を配置し、回転子3を構成している。磁性のエンド
リング10はS45C等の軟鋼を用いている。電機子コ
イル2の電流により、回転子鉄心4内の永久磁石6の磁
化方向と逆方向の電機子反作用磁界を与えたとき、永久
磁石6の磁束の一部はシャフト8方向を通り磁性のエン
ドリング10を通って回転子3で閉じた磁路を形成す
る。即ち、効果的に漏れ磁束を生じさせることができる
ので、電機子コイル2との鎖交磁束量を調整でき、端子
電圧を電機子コイル2の電流により容易に調整できる。
漏れ磁束と有効磁束の割合は空隙11長で調整できる。
したがって、広範囲の可変速運転を一層容易に行うこと
ができる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、回転子は、凹部に電機子コイルによる磁束
と逆方向の磁束を生じる永久磁石を配設したため、磁極
間(凹部)上の空隙磁束密度が低下し、回転子の位置に
対する空隙磁束密度の変化、即ち磁気エネルギーの変化
が大となり、大きなトルクが発生して高出力とすること
ができる。また、電機子コイルの励磁電流成分の量を広
く調整でき、端子電圧を幅広く調整することができて、
広範囲の可変速運転を行うことができる。
【0048】請求項2記載の発明によれば、回転子は、
凹部に電機子コイルによる磁束と逆方向の磁束を生じる
永久磁石を配設し、凸部の部分には半径方向に非磁性部
分となるスリットを設けたため、磁極となる凸部の部分
に非磁性部分となるスリットを設けたことで、電機子コ
イルによる磁束は磁極に沿った方向に流れるようにな
り、回転子の位置に対する空隙磁束密度の変化、即ち磁
気エネルギーの変化が、より大きくなり、より高出力と
することができる。
【0049】請求項3記載の発明によれば、回転子は、
凹部に電機子コイルによる磁束と逆方向の磁束を生じる
永久磁石を配設し、凸部の部分の周方向中央部には半径
方向に非磁性部分となるスリットを設けたため、電機子
コイルによる磁束は、より一層磁極に沿った方向に流れ
るようになり、回転子の位置に対する空隙磁束密度の変
化、即ち磁気エネルギーの変化が、より一層大きくな
り、より一層の高出力とすることができる。
【0050】請求項4記載の発明によれば、前記永久磁
石および前記凸部を覆うように磁性リングを設けたた
め、磁極間上の空隙磁束密度の変化、即ち磁気エネルギ
ーの変化が大となり、大きなトルクが発生して高出力が
得られる。また、負荷時には、磁性リングが磁気飽和
し、永久磁石による電機子コイルと鎖交磁束は少なくな
るので、電機子コイルの励磁電流成分の量を広く調整で
き、端子電圧を幅広く調整することができて、広範囲の
可変速運転を行なうことができる。
【0051】請求項5記載の発明によれば、前記磁性リ
ングは、高強度の磁性材を用いて構成したため、高強度
の磁性リングで永久磁石を強固に保持することで、高速
回転時における回転子の機械的強度を向上させることが
できる。
【0052】請求項6記載の発明によれば、前記磁性リ
ングは、電磁鋼板を積層して構成したため、磁性リング
における回転軸方向の電気抵抗が高くなり、回転子鉄心
表面に生じる電機子スロットの高調波渦電流が低減して
安定した可変速運転を行うことができる。
【0053】請求項7記載の発明によれば、前記回転子
鉄心と前記磁性リングは一体とした形状の電磁鋼板を積
層して構成したため、回転子鉄心における回転軸方向の
電気抵抗が高くなり、回転子鉄心表面に生じる電機子ス
ロットの高調波渦電流が低減して安定した可変速運転を
行うことができる。また、回転子の容易組み立て性が得
られる。
【0054】請求項8記載の発明によれば、前記磁性リ
ングの径方向の厚みを、前記永久磁石の残留磁束密度に
対する前記磁性リングの飽和磁束密度の比と前記永久磁
石の幅との積の1/4から1/2としたため、永久磁石
による電機子コイルへの誘導電圧を小さくすることがで
きて、電源電圧に対し余裕ができ、規定速度の数倍以上
の高速回転まで広範囲に可変速運転を行うことができ
る。
【0055】請求項9記載の発明によれば、前記磁性リ
ングの径方向の厚みを、前記永久磁石の残留磁束密度に
対する前記磁性リングの飽和磁束密度の比と前記永久磁
石の幅との積の1/2以上としたため、回転中の永久磁
石の磁束による電機子コイルへの誘導電圧は殆ど発生し
ないので、電源電圧に対し一層の余裕ができ、規定速度
の数倍以上の高速回転まで広範囲に可変速運転を行うこ
とができる。また、無負荷状態であれば、高速回転中で
も電機子コイルへの誘導電圧は極めて小なので、回転電
機と電気的に接続されたインバータや他の機器の損傷を
防止することができる。
【0056】請求項10記載の発明によれば、前記永久
磁石は、直方体形状としたため、永久磁石は円弧がなく
平面のみとなり、高出力で広範囲の可変速運転を可能と
するための永久磁石の容易加工性が得られる。
【0057】請求項11記載の発明によれば、前記永久
磁石は、前記回転子鉄心における凹部の一部分に配設し
たため、少量の永久磁石で磁極間に侵入する電機子コイ
ルによる磁束を反発して回転子の位置に対する磁気エネ
ルギーの変化を大とし、高出力とすることができる。
【0058】請求項12記載の発明によれば、前記永久
磁石は、前記回転子鉄心における凹部の中央部分に配設
したため、少量の永久磁石で磁極間に侵入する電機子コ
イルによる磁束を効果的に反発して回転子の位置に対す
る磁気エネルギーの変化を、より大とし、より高出力と
することができる。
【0059】請求項13記載の発明によれば、前記永久
磁石は、前記回転子鉄心における凹部の両端部分にのみ
配設したため、少量の永久磁石で、凸部の磁極側面から
侵入する電機子コイルによる磁極間軸方向成分の磁束を
低減することができ、回転子の位置に対する磁気エネル
ギーの変化を、より大にして、より高出力とすることが
できる。
【0060】請求項14記載の発明によれば、前記永久
磁石は前記回転子鉄心における凹部の一部分に配設し、
前記永久磁石配設部分以外の凹部部分は半径方向に深い
空洞部としたため、少量の永久磁石の配設部分以外の凹
部部分の磁気抵抗が高くなって電機子コイルによる磁束
が通り難くなり、回転子の位置に対する磁気エネルギー
の変化が、より大となって、より高出力とすることがで
きる。
【0061】請求項15記載の発明によれば、前記永久
磁石は前記回転子鉄心における凹部の一部分に配設し、
前記永久磁石配設部分以外の凹部部分は半径方向に深い
空洞部とし、この空洞部に非磁性材を充填したため、前
記請求項11記載の発明の効果とほぼ同様の効果が得ら
れる他に、高速回転時における磁極間の機械的強度を向
上させることができる。
【0062】請求項16記載の発明によれば、前記永久
磁石は前記回転子鉄心における凹部の一部分に配設し、
前記永久磁石配設部分以外の凹部部分は半径方向に深い
空洞部とし、この空洞部に導電性材料を充填したため、
前記請求項11記載の発明の効果とほぼ同様の効果が得
られる他に、空洞部に銅又はアルミニウム等の導電性材
料を充填することで、回転子が電機子コイルの回転磁界
に対して非同期時に、導電性材料に渦電流が生じて回転
子が同期に入ることができる。即ち、自己起動と安定し
た可変速運転を行うことができる。
【0063】請求項17記載の発明によれば、前記回転
子鉄心における前記磁性リングに当たる部分に回転軸と
同方向の孔を複数個周方向に並列するように穿設し、前
記各孔に導体を挿入したため、回転子が電機子コイルの
回転磁界に対して非同期時に導体に誘導電流が流れて回
転子が同期に入ることができる。また、インバータ駆動
時の高調波電流による渦電流を吸収することができる。
したがって自己起動と安定した可変速運転を行うことが
できる。
【0064】請求項18記載の発明によれば、前記回転
子鉄心の磁極となる前記凸部の幅を前記磁極ピッチの
0.3〜0.6倍としたため、磁極となる凸部の幅を上
記の比率に設定することで、回転子の位置に対する空隙
磁束密度の変化を効果的に大とすることができて一層の
高出力とすることができる。
【0065】請求項19記載の発明によれば、前記回転
子鉄心の軸方向端部に、当該回転子鉄心と磁気的に結合
される磁性のエンドリングを配置したため、効果的に永
久磁石に漏れ磁束を生じさせることができて、電機子コ
イルとの鎖交磁束量を調整することができ、電機子コイ
ルの電流により端子電圧を容易に調整することができ
て、広範囲の可変速運転を容易に行うことができる。
【0066】請求項20記載の発明によれば、前記回転
子鉄心の軸方向端部に磁性のエンドリングを配置し、前
記回転子鉄心と前記磁性のエンドリング間には軸方向に
所定間隙長の空隙を設けたため、永久磁石による漏れ磁
束と電機子コイルに対する有効鎖交磁束量との割合を適
切に調整することができ、電機子コイルの電流により端
子電圧を一層容易に調整することができて、広範囲の可
変速運転を一層容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る永久磁石式リラクタンス型回転電
機の第1の実施の形態を示す径方向断面図である。
【図2】上記第1の実施の形態において電機子コイルの
電流による磁極軸方向成分の磁束の流れを示す径方向断
面図である。
【図3】上記第1の実施の形態において電機子コイルの
電流による磁極間の中心軸方向成分の磁束の流れを示す
径方向断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における回転子の径
方向断面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態を示す径方向断面図
である。
【図6】上記第4の実施の形態を前記第2の実施の形態
に適用した場合の回転子の径方向断面図である。
【図7】本発明の第7の実施の形態における回転子の径
方向断面図である。
【図8】本発明の第8の実施の形態における回転子の径
方向要部断面図である。
【図9】本発明の第9の実施の形態における回転子の径
方向要部断面図である。
【図10】本発明の第10の実施の形態における回転子
の径方向要部断面図である。
【図11】本発明の第11の実施の形態における回転子
の径方向要部断面図である。
【図12】本発明の第12の実施の形態における回転子
の径方向断面図である。
【図13】本発明の第15の実施の形態を示す軸方向要
部断面図である。
【図14】本発明の第16の実施の形態を示す軸方向要
部断面図である。
【図15】従来のリラクタンス型回転電機の径方向断面
図である。
【符号の説明】
1 固定子 2 電機子コイル 3 回転子 4 回転子鉄心 4a 凸部 5 凹部 5a 空洞部 6 永久磁石 7 磁性リング 9 スリット 10 磁性のエンドリング 11 空隙 12 非磁性材 13 銅のバー(導体)

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電機子コイルを持つ固定子と、円筒状の
    回転子鉄心の外周表面に凹部及び凸部が形成された回転
    子とを備えた永久磁石式リラクタンス型回転電機におい
    て、前記回転子は、前記凹部に前記電機子コイルによる
    磁束と逆方向の磁束を生じる永久磁石を配設してなるこ
    とを特徴とする永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  2. 【請求項2】 電機子コイルを持つ固定子と、円筒状の
    回転子鉄心の外周表面に凹部及び凸部が形成された回転
    子とを備えた永久磁石式リラクタンス型回転電機におい
    て、前記回転子は、前記凹部に前記電機子コイルによる
    磁束と逆方向の磁束を生じる永久磁石を配設し、前記凸
    部の部分には半径方向に非磁性部分となるスリットを設
    けてなることを特徴とする永久磁石式リラクタンス型回
    転電機。
  3. 【請求項3】 電機子コイルを持つ固定子と、円筒状の
    回転子鉄心の外周表面に凹部及び凸部が形成された回転
    子とを備えた永久磁石式リラクタンス型回転電機におい
    て、前記回転子は、前記凹部に前記電機子コイルによる
    磁束と逆方向の磁束を生じる永久磁石を配設し、前記凸
    部の部分の周方向中央部には半径方向に非磁性部分とな
    るスリットを設けてなることを特徴とする永久磁石式リ
    ラクタンス型回転電機。
  4. 【請求項4】 請求項1,2又は3記載の回転電機にお
    いて、前記永久磁石および前記凸部を覆うように磁性リ
    ングを具備することを特徴とする永久磁石式リラクタン
    ス型回転電機。
  5. 【請求項5】 前記磁性リングは、高強度の磁性材を用
    いて構成してなることを特徴とする請求項4記載の永久
    磁石式リラクタンス型回転電機。
  6. 【請求項6】 前記磁性リングは、電磁鋼板を積層して
    構成してなることを特徴とする請求項4記載の永久磁石
    式リラクタンス型回転電機。
  7. 【請求項7】 前記回転子鉄心と前記磁性リングは一体
    とした形状の電磁鋼板を積層して構成してなることを特
    徴とする請求項4又は6記載の永久磁石式リラクタンス
    型回転電機。
  8. 【請求項8】 前記磁性リングの径方向の厚みを、前記
    永久磁石の残留磁束密度に対する前記磁性リングの飽和
    磁束密度の比と前記永久磁石の幅との積の1/4から1
    /2としてなることを特徴とする請求項4乃至7の何れ
    かに記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  9. 【請求項9】 前記磁性リングの径方向の厚みを、前記
    永久磁石の残留磁束密度に対する前記磁性リングの飽和
    磁束密度の比と前記永久磁石の幅との積の1/2以上と
    してなることを特徴とする請求項4乃至7の何れかに記
    載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  10. 【請求項10】 前記永久磁石は、直方体形状としてな
    ることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の永
    久磁石式リラクタンス型回転電機。
  11. 【請求項11】 前記永久磁石は、前記回転子鉄心にお
    ける凹部の一部分に配設してなることを特徴とする請求
    項1乃至10の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス
    型回転電機。
  12. 【請求項12】 前記永久磁石は、前記回転子鉄心にお
    ける凹部の中央部分に配設してなることを特徴とする請
    求項1乃至11の何れかに記載の永久磁石式リラクタン
    ス型回転電機。
  13. 【請求項13】 前記永久磁石は、前記回転子鉄心にお
    ける凹部の両端部分にのみ配設してなることを特徴とす
    る請求項1乃至11の何れかに記載の永久磁石式リラク
    タンス型回転電機。
  14. 【請求項14】 前記永久磁石は前記回転子鉄心におけ
    る凹部の一部分に配設し、前記永久磁石配設部分以外の
    凹部部分は半径方向に深い空洞部としてなることを特徴
    とする請求項1乃至13の何れかに記載の永久磁石式リ
    ラクタンス型回転電機。
  15. 【請求項15】 前記永久磁石は前記回転子鉄心におけ
    る凹部の一部分に配設し、前記永久磁石配設部分以外の
    凹部部分は半径方向に深い空洞部とし、この空洞部に非
    磁性材を充填してなることを特徴とする請求項1乃至1
    4の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転電
    機。
  16. 【請求項16】 前記永久磁石は前記回転子鉄心におけ
    る凹部の一部分に配設し、前記永久磁石配設部分以外の
    凹部部分は半径方向に深い空洞部とし、この空洞部に導
    電性材料を充填してなることを特徴とする請求項1乃至
    14の何れかに記載の永久磁石式リラクタンス型回転電
    機。
  17. 【請求項17】 前記回転子鉄心における前記磁性リン
    グに当たる部分に回転軸と同方向の孔を複数個周方向に
    並列するように穿設し、前記各孔に導体を挿入してなる
    ことを特徴とする請求項4乃至16の何れかに記載の永
    久磁石式リラクタンス型回転電機。
  18. 【請求項18】 前記回転子鉄心の磁極となる前記凸部
    の幅を前記磁極ピッチの0.3〜0.6倍としてなるこ
    とを特徴とする請求項1乃至17の何れかに記載の永久
    磁石式リラクタンス型回転電機。
  19. 【請求項19】 前記回転子鉄心の軸方向端部に、当該
    回転子鉄心と磁気的に結合される磁性のエンドリングを
    配置してなることを特徴とする請求項1乃至18の何れ
    かに記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  20. 【請求項20】 前記回転子鉄心の軸方向端部に磁性の
    エンドリングを配置し、前記回転子鉄心と前記磁性のエ
    ンドリング間には軸方向に所定間隙長の空隙を設けてな
    ることを特徴とする請求項1乃至19の何れかに記載の
    永久磁石式リラクタンス型回転電機。
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