JPH1130746A - 光学系,その製造方法及び偏心誤差感度低減設計方法 - Google Patents

光学系,その製造方法及び偏心誤差感度低減設計方法

Info

Publication number
JPH1130746A
JPH1130746A JP18411497A JP18411497A JPH1130746A JP H1130746 A JPH1130746 A JP H1130746A JP 18411497 A JP18411497 A JP 18411497A JP 18411497 A JP18411497 A JP 18411497A JP H1130746 A JPH1130746 A JP H1130746A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
eccentric
aberration
group
design
optical system
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18411497A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Konno
賢治 金野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Minolta Co Ltd filed Critical Minolta Co Ltd
Priority to JP18411497A priority Critical patent/JPH1130746A/ja
Priority to US09/112,368 priority patent/US6081385A/en
Publication of JPH1130746A publication Critical patent/JPH1130746A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lenses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造誤差で発生する偏心収差を小さく抑え
て、良好な光学性能を有する光学系,その製造方法及び
偏心誤差感度低減設計方法を提供する。 【解決手段】 任意の光学系において、偏心誤差感度が
相対的に大きいために製造上問題となる群を特定する第
1段階,特定された群の偏心収差係数を用いて偏心収差
を計算し、得られた偏心収差と光線追跡により得られた
実際の偏心収差との比較を行う第2段階,偏心収差がよ
く一致すると判断した場合、偏心誤差感度を大きくする
主要因の3次収差係数を特定する第3段階,3次収差係
数を小さくする第4段階,全体性能が設計前状態と同程
度に維持されるように収差バランスを整える第5段階,
を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学系,その製造
方法及び偏心誤差感度低減設計方法に関するものであ
り、更に詳しくは、あらゆる光学系(例えばカメラの撮
影光学系)に対して適用可能な特長を備えた、偏心誤差
感度の小さい光学系,その製造方法及び偏心誤差感度低
減設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば光学系の製造において、光学系の
一部に平行偏心や傾き偏心等の偏心誤差が生じると、偏
心収差が発生する。この偏心収差の誤差感度は、光学系
の製造を困難にする一つの要因となる。従来、偏心誤差
感度の小さな光学系で一般的なものは、問題となるレン
ズ群のパワーを小さくすることによって、パワー比の分
の誤差感度を低減するものである。また、特開平8−2
20435号公報では、非球面の偏心に対する感度を低
減させるため、両非球面レンズの互いのレンズ面の相対
的な偏心により発生する像面傾斜が所定値以下となるよ
うに、非球面の基準曲率半径とデビエーションとの大小
関係を規定したズームレンズが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前者の光学系では、パ
ワーを大幅に変えることをしない限り、偏心誤差感度を
大幅に低減することができない。一方、後者のズームレ
ンズでは、両非球面レンズの互いのレンズ面の相対的な
偏心のみが規定されているが、誤差感度は非球面であれ
ば常に大きいわけではない。例えば、非球面であっても
曲率半径が大きくデビエーションの小さい面であれば、
偏心に対する誤差感度は小さく、逆に、球面であっても
曲率半径の小さい面であれば偏心に対する誤差感度は大
きい。したがって、両非球面レンズの偏心に対する誤差
感度のみを低減させても、光学系全体の偏心に対する誤
差感度を低減することができるわけではない。
【0004】本発明は、これらの点に鑑みてなされたも
のであって、偏心によって生じる偏心収差を解析するこ
とで偏心収差の成り立ちを明らかにし、製造誤差で発生
する偏心収差を小さく抑えて、良好な光学性能を有する
光学系,その製造方法及び偏心誤差感度低減設計方法を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明の光学系は、任意の光学系において、偏
心誤差感度が相対的に大きいために製造上問題となる、
少なくとも1つのレンズ面から成る群を特定する第1段
階と、該第1段階で特定された群の偏心収差係数を用い
て偏心収差を計算し、該計算によって得られた偏心収差
と実際の偏心収差との比較を行う第2段階と、該第2段
階での比較の結果、前記計算によって得られた偏心収差
と実際の偏心収差とがよく一致すると判断した場合、前
記偏心誤差感度を大きくする主要因となっている3次収
差係数を特定する第3段階と、該第3段階で特定された
3次収差係数を小さくする設計を行う第4段階と、全体
性能が前記第4段階での設計の前の状態と同程度に維持
されるように、前記第4段階での設計に伴って変動した
収差バランスを整える設計を行う第5段階と、によって
設計された構成となっている。
【0006】第2の発明の光学系は、上記第1の発明の
構成において、その光学系がズームレンズであって、前
記第1段階で特定される群が偏心誤差感度の最も大きな
ズーム群であることを特徴とする。
【0007】第3の発明の光学系は、上記第1の発明の
構成において、前記第2段階での比較の結果、前記計算
によって得られた偏心収差と実際の偏心収差とが大きく
異なると判断した場合、偏心状態での点像分布の大きさ
を極小化するように設計した構成となっている。
【0008】第4の発明の光学系は、上記第1の発明の
構成において、前記第4段階での設計が、前記第1段階
で特定された群又はその群よりも像側へのレンズの追加
であることを特徴とする。
【0009】第5の発明の光学系は、上記第1の発明の
構成において、前記第4段階での設計が、前記第1段階
で特定された群又はその群よりも像側への非球面の付加
であることを特徴とする。
【0010】第6の発明の光学系は、上記第1の発明の
構成において、前記第5段階での設計が、前記第1段階
で特定された群よりも物体側へのレンズの追加であるこ
とを特徴とする。
【0011】第7の発明の光学系は、上記第1の発明の
構成において、前記第5段階での設計が、前記第1段階
で特定された群よりも物体側への非球面の付加であるこ
とを特徴とする。
【0012】第8の発明の光学系は、上記第1の発明の
構成において、前記第4段階及び第5段階での設計が、
全系のパワー配置を変化させずに行われることを特徴と
する。
【0013】第9の発明の光学系の製造方法は、任意の
光学系において、偏心誤差感度が相対的に大きいために
製造上問題となる、少なくとも1つのレンズ面から成る
群を特定する第1段階と、該第1段階で特定された群の
偏心収差係数を用いて偏心収差を計算し、該計算によっ
て得られた偏心収差と実際の偏心収差との比較を行う第
2段階と、該第2段階での比較の結果、前記計算によっ
て得られた偏心収差と実際の偏心収差とがよく一致する
と判断した場合、前記偏心誤差感度を大きくする主要因
となっている3次収差係数を特定する第3段階と、該第
3段階で特定された3次収差係数を小さくする設計を行
う第4段階と、全体性能が前記第4段階での設計の前の
状態と同程度に維持されるように、前記第4段階での設
計に伴って変動した収差バランスを整える設計を行う第
5段階と、を有することを特徴とする。
【0014】第10の発明の光学系の製造方法は、上記
第9の発明の構成において、前記光学系がズームレンズ
であって、前記第1段階で特定される群が偏心誤差感度
の最も大きなズーム群であることを特徴とする。
【0015】第11の発明の光学系の製造方法は、上記
第9の発明の構成において、前記第2段階での比較の結
果、前記計算によって得られた偏心収差と実際の偏心収
差とが大きく異なると判断した場合、偏心状態での点像
分布の大きさを極小化するように設計を行うことを特徴
とする。
【0016】第12の発明の光学系の製造方法は、上記
第9の発明の構成において、前記第4段階での設計が、
前記第1段階で特定された群又はその群よりも像側への
レンズの追加であることを特徴とする。
【0017】第13の発明の光学系の製造方法は、上記
第9の発明の構成において、前記第4段階での設計が、
前記第1段階で特定された群又はその群よりも像側への
非球面の付加であることを特徴とする。
【0018】第14の発明の光学系の製造方法は、上記
第9の発明の構成において、前記第5段階での設計が、
前記第1段階で特定された群よりも物体側へのレンズの
追加であることを特徴とする。
【0019】第15の発明の光学系の製造方法は、上記
第9の発明の構成において、前記第5段階での設計が、
前記第1段階で特定された群よりも物体側への非球面の
付加であることを特徴とする。
【0020】第16の発明の光学系の製造方法は、上記
第9の発明の構成において、前記第4段階及び第5段階
での設計が、全系のパワー配置を変化させずに行われる
ことを特徴とする。
【0021】第17の発明の偏心誤差感度低減設計方法
は、任意の光学系において、偏心誤差感度が相対的に大
きいために製造上問題となる、少なくとも1つのレンズ
面から成る群を特定する第1段階と、該第1段階で特定
された群の偏心収差係数を用いて偏心収差を計算し、該
計算によって得られた偏心収差と実際の偏心収差との比
較を行う第2段階と、該第2段階での比較の結果、前記
計算によって得られた偏心収差と実際の偏心収差とがよ
く一致すると判断した場合、前記偏心誤差感度を大きく
する主要因となっている3次収差係数を特定する第3段
階と、該第3段階で特定された3次収差係数を小さくす
る設計を行う第4段階と、全体性能が前記第4段階での
設計の前の状態と同程度に維持されるように、前記第4
段階での設計に伴って変動した収差バランスを整える設
計を行う第5段階と、を有することを特徴とする。
【0022】第18の発明の偏心誤差感度低減設計方法
は、上記第17の発明の構成において、前記光学系がズ
ームレンズであって、前記第1段階で特定される群が偏
心誤差感度の最も大きなズーム群であることを特徴とす
る。
【0023】第19の発明の偏心誤差感度低減設計方法
は、上記第17の発明の構成において、前記第2段階で
の比較の結果、前記計算によって得られた偏心収差と実
際の偏心収差とが大きく異なると判断した場合、偏心状
態での点像分布の大きさを極小化するように設計を行う
ことを特徴とする。
【0024】第20の発明の偏心誤差感度低減設計方法
は、上記第17の発明の構成において、前記第4段階で
の設計が、前記第1段階で特定された群又はその群より
も像側へのレンズの追加であることを特徴とする。
【0025】第21の発明の偏心誤差感度低減設計方法
は、上記第17の発明の構成において、前記第4段階で
の設計が、前記第1段階で特定された群又はその群より
も像側への非球面の付加であることを特徴とする。
【0026】第22の発明の偏心誤差感度低減設計方法
は、上記第17の発明の構成において、前記第5段階で
の設計が、前記第1段階で特定された群よりも物体側へ
のレンズの追加であることを特徴とする。
【0027】第23の発明の偏心誤差感度低減設計方法
は、上記第17の発明の構成において、前記第5段階で
の設計が、前記第1段階で特定された群よりも物体側へ
の非球面の付加であることを特徴とする。
【0028】第24の発明の偏心誤差感度低減設計方法
は、上記第17の発明の構成において、前記第4段階及
び第5段階での設計が、全系のパワー配置を変化させず
に行われることを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施した光学系,
その製造方法及び偏心誤差感度低減設計方法を、図面を
参照しつつ説明する。まず、収差係数による偏心収差の
導出と収差係数から見た偏心収差の特性を説明する。
【0030】《収差係数による偏心収差の導出》光学系
の一部(例えば、面,レンズ,レンズ群)が、光軸に対し
て垂直方向に位置ズレを起こしたり傾いたりすると(す
なわち平行偏心や傾き偏心等の偏心誤差が発生した場
合)、その偏心によって光学性能が劣化する。これは、
偏心によって光学系に偏心収差が発生するからである。
この偏心収差の誤差感度は、光学系の製造を困難にする
一つの要因となる。偏心収差で主なものは、片ボケ収差
と軸上コマ収差である。
【0031】「片ボケ収差」とは、像面が光軸について
非対称になる現象である。つまり、偏心が発生すること
によって、正の画角と負の画角とで像面位置が異なって
しまう現象である。片ボケ収差は、通常、画面対角の7
割程度の画角の主光線の近軸像面位置での差の平均値で
評価される。一方、「軸上コマ収差」とは、軸上光束が
主光線に関して非対称になる現象である。回転対称であ
るべき光学系によれば、軸上の点像も通常回転対称とな
る。しかし、光学系の一部に偏心が発生すると、対称性
が崩れて像性能が大きく劣化してしまうのである。軸上
コマ収差は、通常、軸上有効径の7割程度の径の軸上の
上側ゾーナル光線(Upper)と下側ゾーナル光線(Lower)の
光線位置平均と軸上主光線位置との差で評価される。以
下に、偏心の存在する光学系の収差を検討し、収差係数
を用いて上記2つの偏心収差を導出する。
【0032】〈偏心の存在する光学系の3次の収差展開
式〉図1に、基本となる光学系と座標との関係を示す。
図1(A),(B)において、OSは物体平面、ISは像平面、P
S1は入射瞳面、PS2は射出瞳面、HS1は物体側主平面(H:
物体側主点)、HS2は像側主平面(H':像側主点)、SFは光
学系の前面、SRは光学系の後面、Nは物体空間における
屈折率、N'は像空間における屈折率である。
【0033】偏心が存在しないときの光学系の光軸を基
準軸AXとしてこれをX軸とし、これに垂直にY軸,Z軸をと
る。そして、物点OPの座標を(Y,Z)、入射瞳面PS1上の光
線の入射点の座標を(Y*,Z*)とし、これらに対応する像
空間の座標には「'」を付けて表す。ただし、像平面IS上
の光線の横収差を3次のベキ級数に展開するに当たって
は、物点OPと入射瞳面PS1上の光線の入射点の座標とし
て、次の極座標を用いて定義する。 tanω・cosφω≡Y/g$ …(1A) tanω・sinφω≡Z/g$ …(1B) R・cosφR≡(g$/g)・Y* …(2A) R・sinφR≡(g$/g)・Z* …(2B)
【0034】図1から分かるように、g,g$はそれぞれ
入射瞳面PS1,物体側主平面HS1から物体平面OSまでの距
離、ωは物点OPと物体側主点Hとを結ぶ直線が基準軸AX
となす角で、φωがそのアジムス角(azimuth)、また、R
は物体側主平面HS1上に換算した入射瞳半径でφRがその
アジムス角である。「'」は像空間を表し、「#」は軸外主光
線を表すので、αは近軸軸上マージナル光線の物体空間
における換算傾角、α#は近軸軸外主光線の物体空間に
おける換算傾角、α'は近軸軸上マージナル光線の像空
間における換算傾角、α'#は近軸軸外主光線の像空間に
おける換算傾角である。
【0035】光学系がk個のエレメントから成り立って
いるとして、偏心が存在するときの横収差をベキ級数に
展開すると、横収差ΔY',ΔZ'は以下の式(3A),(3B)に示
す形になる(β:横倍率)。球面収差,コマ収差,非点収
差,ペッツバール和及び歪曲収差にそれぞれ対応する3
次の収差係数はI,II,III,P及びVであり、指数μはエ
レメント番号であり、α'=α'k,α'#=α'#kである。な
お、総和記号Σを用いた表示は、以下の例に示すように
行うものとする(以下同様。)。
【0036】
【外1】
【0037】 ΔY'≡Y'-β・Y =-[1/(2・α')]・{(N・tanω)3・cosφω・(μ=1→k)ΣVμ +R・(N・tanω)2・[2・cos(φR-φω)・cosφω・(μ=1→k)ΣIIIμ +cosφR・(μ=1→k)Σ(IIIμ+Pμ)] +R2・(N・tanω)・[2・cosφR・cos(φR-φω)+cosφω]・(μ=1→k)ΣIIμ +R3・cosφR・(μ=1→k)ΣIμ} +{偏心による付加項(Y成分)} …(3A) ΔZ'≡Z'-β・Z =-[1/(2・α')]・{(N・tanω)3・sinφω・(μ=1→k)ΣVμ +R・(N・tanω)2・[2・cos(φR-φω)・sinφω・(μ=1→k)ΣIIIμ +sinφR・(μ=1→k)Σ(IIIμ+Pμ)] +R2・(N・tanω)・[2・sinφR・cos(φR-φω)+sinφω]・(μ=1→k)ΣIIμ +R3・sinφR・(μ=1→k)ΣIμ} +{偏心による付加項(Z成分)} …(3B)
【0038】これらの式(3A),(3B)において、
右辺の最初の{ }内は偏心の存在しないときの光学系本
来の収差を表す項であり、偏心が存在すると、偏心によ
って発生した収差項がそれに加わる形になる。光学系中
の任意のエレメント(単一面であっても複数面から成る
複合系であってもよい。)が偏心する場合、その偏心に
は、光学系の基準軸AXに対して垂直な方向に平行移動す
る「平行偏心」と、基準軸AXに対して傾く「傾き偏心」と、
がある。それらの影響は、いずれも上記式(3A),(3B)の
右辺最後の付加項として表される。
【0039】〈平行偏心収差係数の導出〉図2(A)は、
光学系中の任意のν番目のエレメント(以下「第νエレ
メント」といい、第νエレメントの光軸をAXνで表
す。)Dνが、光学系の基準軸AXに対して垂直なY方向
に、微小量Eνだけ平行偏心した状態を示している。こ
の平行偏心による収差係数の付加項ΔY(Eν),ΔZ(Eν)
は、以下の式(4A),(4B)で表される。 ΔY(Eν)=-[Eν/(2・α'k)]・{(ΔE)ν +(N・tanω)2・[(2+cos2φω)・(VE1)ν-(VE2)ν] +2・R・(N・tanω)・[(2・cos(φR-φω)+cos(φR+φω))・(IIIE)ν +cosφR・cosφω・(PE)ν] +R2・(2+cos2φR)・(IIE)ν} …(4A) ΔZ(Eν)=-[Eν/(2・α'k)]・{(N・tanω)2・sin2φω・(VE1)ν +2・R・(N・tanω)・[sin(φR+φω)・(IIIE)ν +sinφR・cosφω・(PE)ν] +R2・sin2φR・(IIE)ν} …(4B)
【0040】ただし、偏心収差係数は以下の式(4C)〜(4
H)で定義される。 (ΔE)ν=-2・(α'ν-αν) …(4C) (VE1)ν={[α'ν・(μ=ν+1→k)ΣVμ]-[αν・(μ=ν→k)ΣVμ]} -{[α'#ν・(μ=ν+1→k)ΣIIIμ]-[α#ν・(μ=ν→k)ΣIIIμ]} …(4D) (VE2)ν=[α'#ν・(μ=ν+1→k)ΣPμ]-[α#ν・(μ=ν→k)ΣPμ] …(4E) (IIIE)ν={[α'ν・(μ=ν+1→k)ΣIIIμ]-[αν・(μ=ν→k)ΣIIIμ]} -{[α'#ν・(μ=ν+1→k)ΣIIμ]-[α#ν・(μ=ν→k)ΣIIμ]} …( 4F) (PE)ν=[α'ν・(μ=ν+1→k)ΣPμ]-[αν・(μ=ν→k)ΣPμ] …(4G) (IIE)ν={[α'ν・(μ=ν+1→k)ΣIIμ]-[αν・(μ=ν→k)ΣIIμ]} -{[α'#ν・(μ=ν+1→k)ΣIμ]-[α#ν・(μ=ν→k)ΣIμ]} …(4H )
【0041】上記式(4C)〜(4H)の偏心収差係数は、偏心
による影響を表しており、それぞれ以下の内容の結像の
欠陥を代弁する働きをする。また、式(4A),(4B)から分
かるように、偏心量Eνは右辺全体にかかるので、偏心
によって発生する収差の量はEνに比例する。 (ΔE)ν:プリズム作用(像の横ずれ)。 (VE1)ν,(VE2)ν:回転非対称な歪曲。 (IIIE)ν,(PE)ν:回転非対称な非点収差,像面の傾
き。 (IIE)ν:軸上にも現れる回転非対称なコマ収差。
【0042】式(4A)〜(4H)は、第νエレメントDνのみ
が平行偏心した場合を示しているが、この第νエレメン
トDνが単一面から成るとすれば、複数の面i〜jが平行
偏心する場合(つまり、偏心するレンズ群が第i面から第
j面から成る場合)には、偏心する各面i〜jの偏心量Ei〜
Ejは等しいので、式:(ΔE)i〜j=(ν=i→j)Σ[-2・(α'
ν-αν)]で示すように、収差係数を和として扱うこと
ができる。そして、α'ν=αν+1より、式:(ΔE)i〜j
=-2・(α'j-αi)が得られる。
【0043】その他の収差係数についても、同様にΣの
途中の項が消える。例えばPEでは、 (PE)i〜j=(ν=i→j)Σ[α'ν・(μ=ν+1→k)ΣPμ-αν・(μ=ν→k)ΣPμ] =α'j・(μ=j+1→k)ΣPμ-αi・(μ=i→k)ΣPμ =(α'j-αi)・(μ=j+1→k)ΣPμ-αi・(μ=i→j)ΣPμ =(α'j-αi)・(P)R-αi・(P)D ここで、 (P)R=(μ=j+1→k)ΣPμ:偏心するレンズ群(以下「偏
心群」ともいう。)より像側に位置するすべてのレンズ
面から成る群(以下「像側群」ともいう。)の収差係数P
の和、 (P)D=(μ=i→j)ΣPμ :偏心群の収差係数Pの和 である。したがって、偏心収差係数のΣは、像側群の収
差係数の和{( )Rで表現する。}と、偏心群の収差係数の
和{( )Dで表現する。}と、で表すことができる。
【0044】[片ボケ収差]次に、片ボケ収差を説明す
る。式(4A),(4B)から、非点収差のメリディオナルは、
[ΔY'の(Rの1次項)φR=0]×g'$kであり、サジタルは
[ΔZ'の(Rの1次項)φR=π/2]×g'$kである。したがっ
て、メリディオナル片ボケΔMνは、以下の式(5A)で表
される。ここで、α'k=N'k/g'$k,φω=0より、式(5B)
が得られる。 ΔMν=-[Eν・g'$k/(2・α'k)]・2・(N・tanω)・[(2・cos(φω)+cos(φω))・(II IE)ν+cos(φω)・(PE)ν] …(5A) ΔMν=-Eν・(g'$k2/N'k)・(N・tanω)・[3・(IIIE)ν+(PE)ν] …(5B)
【0045】物点OPを無限遠とすると、g'$k→FL(FL:全
系の焦点距離),N・tanω=Y'/FL(Y':像高)なので、メリ
ディオナル片ボケΔM"νを表す式(5C)が得られる。同様
にして、サジタル片ボケΔS"νを表す式(5D)が得られ
る。 ΔM"ν=-Eν・FL・Y'・[3・(IIIE)ν+(PE)ν] …(5C) ΔS"ν=-Eν・FL・Y'・[(IIIE)ν+(PE)ν] …(5D)
【0046】以上は第ν面が偏心した場合であるが、レ
ンズ群(第i面から第j面で構成される)が偏心した場合に
はΣをとって、メリディオナル片ボケ(ΔM")i〜j,サジ
タル片ボケ(ΔS")i〜jを表す式(5E),(5F)が得られる。
ここで、偏心量をEとする。 (ΔM")i〜j=-E・FL・Y'・[3・(IIIE)i〜j+(PE)i〜j] …(5E) (ΔS")i〜j=-E・FL・Y'・[(IIIE)i〜j+(PE)i〜j] …(5F) ただし、ブロック(レンズ群)の偏心収差係数は、以下の
式(5G),(5H)でメリディオナル,サジタルのそれぞれに
ついて表される。 [3・(IIIE)i〜j+(PE)i〜j]=(α'j-αi)・[3・(III)R+(P)R]-αi・[3・(III)D+(P )D]-(α'#j-α#i)・[3・(II)R]+α#i・[3・(II)D] …(5G) [(IIIE)i〜j+(PE)i〜j]=(α'j-αi)・[(III)R+(P)R]-αi・[(III)D+(P)D]-( α'#j-α#i)・[(II)R]+α#i・[(II)D] …(5H)
【0047】[軸上コマ収差]次に、軸上コマ収差を説
明する。軸上コマ収差は、前述したように、軸上光のUp
perとLowerの主光線位置との差の平均値である。したが
って、偏心によるUpperのコマ(ΔYU)νとLowerのコマ
(ΔYL)νとから{(6A),(6B)}、式(6C)に示す軸上コマ収
差(AXCM)νが導かれる。 (ΔYU)ν=(ΔY)(ω=0,φR=0)-(ΔY)(ω=0,R=0) =-[Eν/(2・α'k)]・R2・3・(IIE)ν …(6A) (ΔYL)ν=(ΔY)(ω=0,φR=π)-(ΔY)(ω=0,R=0) =-[Eν/(2・α'k)]・R2・3・(IIE)ν …(6B) (AXCM)ν=[(ΔYU)ν+(ΔYL)ν]/2 =-[Eν/(2・α'k)]・R2・3・(IIE)ν …(6C)
【0048】物点を無限遠とすると、1/α'k→-FLとな
る。また、RとFNO(全系のFナンバー)との関係は、式:
R=[FL/(2・FNO)]×κ(ここで、κ:瞳分割比,通常は0.7
である。)で表される。したがって、軸上コマ収差(AXC
M")νは、式(6D)で表される。 (AXCM")ν=Eν・(3・κ2・FL3)/(8・FNO2)・(IIE)ν …(6D)
【0049】以上は第ν面が偏心した場合であるが、レ
ンズ群(第i面から第j面で構成される)が偏心した場合は
Σをとって、式(6E)が得られる。ただし、ブロックの偏
心収差係数は、式(6F)で表される。 (AXCM")i〜j=E・[(3・κ2・FL3)/(8・FNO2)]・(IIE)i〜j …(6E) (IIE)i〜j=(α'j-αi)・(II)R-αi・(II)D-(α'#j-α#i)・(I)R+α#i・(I)D …(6F)
【0050】〈傾き偏心収差係数の導出〉図2(B)は、
第νエレメントDνが、光学系の基準軸AXに対して点Cを
中心に角度ενだけ傾いた状態を示している。この傾き
偏心による収差係数の付加項ΔY(εν),ΔZ(εν)は、
以下の式(7A),(7B)で表される。なお、点Cから第νエレ
メントDνの入射瞳面PS1,物体面OS;それらに対応する
射出瞳面PS2,像面ISまでの距離を、それぞれpν,q
ν;p'ν,q'νとする。 ΔY(εν)=-[εν/(2・α'k)]・{(Δε)ν +(N・tanω)2・[(2+cos2φω)・(Vε1)ν-(Vε2)ν] +2・R・(N・tanω)・[(2・cos(φR-φω)+cos(φR+φω))・(IIIε)ν +cosφR・cosφω・(Pε)ν] +R2・(2+cos2φR)・(IIε)ν} …(7A) ΔZ(εν)=-[εν/(2・α'k)]・{(N・tanω)2・sin2φω・(Vε1)ν +2・R・(N・tanω)・[sin(φR+φω)・(IIIε)ν +sinφR・cosφω・(Pε)ν] +R2・sin2φR・(IIε)ν} …(7B)
【0051】ただし、偏心収差係数は以下の式(7C)〜(7
H)で定義される。 (Δε)ν=-2・(α'ν・q'ν-αν・qν) …(7C) (Vε1)ν={[α'ν・q'ν・(μ=ν+1→k)ΣVμ]-[αν・qν・(μ=ν→k)ΣVμ] } -{[α'#ν・p'ν・(μ=ν+1→k)ΣIIIμ]-[α#ν・pν・(μ=ν→k)Σ IIIμ]} +[(α'#ν/N'ν)-(α#ν/Nν)] …(7D) (Vε2)ν={[α'#ν・p'ν・(μ=ν+1→k)ΣPμ]-[α#ν・pν・(μ=ν→k)ΣP μ]} +[(α'#ν/N'ν)-(α#ν/Nν)] …(7E) (IIIε)ν={[α'ν・q'ν・(μ=ν+1→k)ΣIIIμ]-[αν・qν・(μ=ν→k)ΣII Iμ]} -{[α'#ν・p'ν・(μ=ν+1→k)ΣIIμ]-[α#ν・pν・(μ=ν→k)ΣI Iμ]} …(7F) (Pε)ν={[α'ν・q'ν・(μ=ν+1→k)ΣPμ]-[αν・qν・(μ=ν→k)ΣPμ] } +[(α'ν/N'ν)-(αν/Nν)] …(7G) (IIε)ν={[α'ν・q'ν・(μ=ν+1→k)ΣIIμ]-[αν・qν・(μ=ν→k)ΣII μ]} -{[α'#ν・p'ν・(μ=ν+1→k)ΣIμ]-[α#ν・pν・(μ=ν→k)ΣI μ]} …(7H)
【0052】傾き偏心の場合も、平行偏心の場合と同様
に、Σをとった場合について考える。偏心するレンズ群
を第i面から第j面とすると、例えば、Pεでは、 (Pε)i〜j=(ν=i→j)Σ{α'ν・q'ν・(μ=ν+1→k)ΣPμ-αν・qν・(μ=ν →k)ΣPμ]+[(α'ν/N'ν)-(αν/Nν)]} =α'j・q'j・(μ=j+1→k)ΣPμ-αi・qi・(μ=i→k)ΣPμ+(ν=i→j) Σ[(α'ν/N'ν)-(αν/Nν)] =(α'j・q'j-αi・qi)・(μ=j+1→k)ΣPμ-αi・qi・(μ=i→j)ΣPμ+[ (α'j/N'j)-(αi/Ni)] =(α'j・q'j-αi・qi)・(P)R-αi・qi・(P)D+[(α'j/N'j)-(αi/Ni)] ここで、 (P)R=(μ=j+1→k)ΣPμ:像側群の収差係数Pの和、 (P)D=(μ=i→j)ΣPμ :偏心群の収差係数Pの和 である。したがって、偏心収差係数のΣは、像側群の収
差係数の和と、偏心群の収差係数の和と、定数項と、で
表すことができる。
【0053】[片ボケ収差]片ボケ収差は、平行偏心の
場合と同様に行うと、メリディオナル片ボケ(ΔM")i〜
j,サジタル片ボケ(ΔS")i〜jを表す式(8A),(8B)で表さ
れる。ここで、偏心量をεとする。 (ΔM")i〜j=-ε・FL・Y'・[3・(IIIε)i〜j+(Pε)i〜j] …(8A) (ΔS")i〜j=-ε・FL・Y'・[(IIIε)i〜j+(Pε)i〜j] …(8B) ただし、ブロックの偏心収差係数は、以下の式(8C),(8
D)でメリディオナル,サジタルのそれぞれについて表さ
れる。 [3・(IIIε)i〜j+(Pε)i〜j]=(α'j・q'j-αi・qi)・[3・(III)R+(P)R]-αi・qi[ 3・(III)D+(P)D]-(α'#j・p'j-α#i・pi)・[3・(II)R]+α#i・pi[3・(II)D]+[(α'j/N'j )-(αi/Ni)] …(8C) [(IIIε)i〜j+(Pε)i〜j]=(α'j・q'j-αi・qi)・[(III)R+(P)R]-αi・qi[(III )D+(P)D]-(α'#j・p'j-α#i・pi)・[(II)R]+α#i・pi[(II)D]+[(α'j/N'j)-(αi/Ni) ] …(8D)
【0054】[軸上コマ収差]軸上コマも、平行偏心の
場合と同様に行うと、式(9A)で示すようになる。ただ
し、ブロックの偏心収差係数は式(9B)で表される。 (AXCM")i〜j=ε・[(3・κ2・FL3)/(8・FNO2)]・(IIE)i〜j …(9A) (IIε)i〜j=(α'j・q'j-αi・qi)・(II)R-αi・qi・(II)D-(α'#j・p'j-α#i・pi)・ (I)R+α#i・pi・(I)D …(9B)
【0055】《収差係数から見た偏心収差の特性》上述
したように偏心収差は3次の収差係数で表現されるが、
そこから分かる収差劣化の傾向と収差係数との関係を以
下に説明する。
【0056】〈偏心収差とスペック〉前述した『収差係
数による偏心収差の導出』から、偏心収差は一般に以下
の式(10A)で表すことができる。 [偏心収差]=[偏心量]×[スペックの項]×[偏心収差係数] …(10A)
【0057】したがって、以下の,に挙げるよう
に、偏心収差に対する敏感度は、スペックからある程度
理解可能である。 片ボケ収差は、焦点距離と像高に比例して大きくな
るので、焦点距離の大きな望遠レンズでは避けられな
い。また。レンズシャッターカメラと一眼レフカメラで
は、片ボケ収差を評価する像高が違うので、同じ焦点距
離では一眼レフカメラの方が、偏心収差に対する敏感度
は大きくなる。 軸上コマ収差は、焦点距離の3乗に比例し、Fナン
バー(FNO)の2乗に反比例する。したがって、一眼
レフカメラのようにズームでFナンバーがほぼ一定のも
のでは、軸上コマ収差が焦点距離の3乗に比例するた
め、焦点距離が伸びると急激に偏心収差に対する敏感度
が大きくなる。また。レンズシャッターカメラ用ズーム
レンズのように、焦点距離に応じてFナンバーが大きく
なるものは、焦点距離に比例して大きくなる。最近のレ
ンズシャッターカメラ用高倍率ズームでは、Fナンバー
は焦点距離ほど変化しないので、望遠になると急に偏心
収差に対する敏感度が大きくなる。
【0058】〈平行偏心収差の特性〉平行偏心収差係数
は、一般に以下の式(11A)のように表現することができ
る。 (偏心収差係数)i〜j=(α'j-αi)・(収差係数1の和)R -αi・(収差係数1の和)D -(α'#j-α#i)・(収差係数2の和)R +α#i・(収差係数2の和)D …(11A)
【0059】式(11A)において、第1項と第2項は(収差
係数1の和)、第3項と第4項は(収差係数2の和)であ
るが、具体的には、 (片ボケ収差の場合)… (収差係数1)=[非点収差係数(III)]+[ペッツバール和
(P)] (収差係数2)=[コマ収差係数(II)] (軸上コマ収差の場合)… (収差係数1)=[コマ収差係数(II)] (収差係数2)=[球面収差係数(I)] である。
【0060】上記のように、偏心収差係数{式(11A)}は
4つの項から成り立っている。以下に各項を説明する。 [第1項]…第1項の係数(α'j-αi)は、軸上のマージナ
ル光線が偏心群でどれほど曲げられるか、すなわち偏心
群のパワーを表している。特に、偏心群が最も物体側に
あるときにはパワーそのものであり、オーダー的には10
の-2乗程度とそう大きくない。 [第2項]…第2項の係数-αiは、偏心群に入射する軸上
光のマージナル光線の角度である。したがって、値はあ
まり大きくない。一般に、偏心群が物体側にあるほど小
さく、特に最も物体側にあるとき、この項は全く寄与し
ないのが特徴である。 [第3項]…第3項の係数-(α'#j-α#i)は、偏心群での
主光線の曲がり具合を表しており、一般的には偏心群が
絞りから離れるほど大きい。オーダーは10の-1〜1乗程
度である。 [第4項]…第4項の係数α#iは、偏心群に入射する主光
線の角度であり、初期値は-1である。値もあまり変化せ
ず、せいぜい-5程度までである。
【0061】(収差係数1)と(収差係数2)の大きさの関
係は、(収差係数1)の方が(収差係数2)に対して10の
1〜2乗程度大きい。また、(収差係数2)は、(収差係
数1)と比較して変化させ易い。以上のことを考慮に入
れると、一般的に、常に大きな値を持つのは第4項であ
る。他の項は、絞りの位置や偏心群のパワーによって影
響が大きくなったり小さくなったりする。したがって、
通常の光学系においては第4項を極小化するのが望まし
い。ただし、光学系の構成に応じて他の項を極小化する
のが望ましい場合もありうる。
【0062】〈傾き偏心収差の特性〉傾き偏心収差係数
は、一般に以下の式(12A)のように表現することができ
る。 (偏心収差係数)i〜j=(α'j・q'j-αi・qi)・(収差係数1の和)R -αi・qi・(収差係数1の和)D -(α'#j・p'j-α#i・pi)・(収差係数2の和)R +α#i・pi・(収差係数2の和)D +[(α'j/N'j)-(αi/Ni)](←定数項は片ボケの場合のみ ) …(12A)
【0063】傾き偏心収差係数は、その中に回転中心C
からの物体距離qや回転中心Cからの入射瞳位置pが入っ
ているために、このままでは計算が煩雑である。そこ
で、回転中心Cを偏心群の物体側面の面頂点とし、偏心
群の前後が空気であるとすると、以下のように置き換え
ることができる。 α'j・q'j=α'j・s'j+α'j・TD =hj+α'j・TD …(12B) αi・qi=hi …(12C) α'#j・p'j=h#j+α'#j・TD …(12D) α#i・pi=h#i …(12E) ただし、 hi :第i面での近軸軸上マージナル光線の高さ、 h#i :第i面での近軸軸外主光線の高さ、 hj :第j面での近軸軸上マージナル光線の高さ、 h#j :第j面での近軸軸外主光線の高さ、 TD :偏心群の芯厚(すなわち、第i面から第j面まで
の軸上面間隔) である。
【0064】上式(12B)〜(12E)を用いて、式(8C),(8D);
(9B)の傾き偏心収差係数をもう一度表現すると、次式(1
2F),(12G);(12H)のようになる。 (メリディオナル片ボケ収差) [3・(IIIε)i〜j+(Pε)i〜j]=(hj-hi+α'j・TD)・[3・(III)R+(P)R] -hi・[3・(III)D+(P)D] -(h#j-h#i+α'#j・TD)・[3・(II)R] +h#i・[3・(II)D] +(α'j-αi) …(12F) (サジタル片ボケ収差) [(IIIε)i〜j+(Pε)i〜j]=(hj-hi+α'j・TD)・[(III)R+(P)R] -hi・[(III)D+(P)D] -(h#j-h#i+α'#j・TD)・[(II)R] +h#i・[(II)D] +(α'j-αi) …(12G) (軸上コマ収差) (IIε)i〜j=(hj-hi+α'j・TD)・(II)R -hi(II)D -(h#j-h#i+α'#j・TD)・(I)R +h#i・(I)D …(12H)
【0065】結局、傾き偏心収差係数は、一般に以下の
式(13A)のように表現することができる。ただし、偏心
群の前後が空気で、偏心群の面頂点を中心に傾く場合で
ある。 (偏心収差係数)i〜j=(hj-hi+α'j・TD)・(収差係数1の和)R -hi・(収差係数1の和)D -(h#j-h#i+α'#j・TD)・(収差係数2の和)R -h#i・(収差係数2の和)D +(α'j-αi)(←定数項は片ボケの場合のみ) …(13A)
【0066】上記のように、傾き偏心収差係数は、軸上
コマ収差では4つの項から成り立っており、片ボケ収差
では5つの項から成り立っている。以下に各項を説明す
る。 [第1項]…初期値h1=1で変化は0.1〜3程度であるが、群
の中ではあまり変化しないので、hj-hiは0.1程度、芯厚
TDはレンズシャッターカメラでは1〜10、一眼レフカメ
ラでは5〜50程度である。α'jは10の-2乗程度である。 [第2項]…hiは0.1〜3程度である。 [第3項]…h#iはおおよそ絞りからの距離とみなせるの
で、h#j-h#i≒TDである。また、α'#jは初期値が1で10
の-1〜1乗程度である。 [第4項]…h#iはおおよそ絞りからの距離なので、最も
変化が大きく、1〜50程度である。 [第5項]…片ボケ収差のみにかかる項であり、3次収差
係数を含まない定数項である。値は10の-2乗程度であ
る。
【0067】また、収差係数の大きさの関係は、球面収
差係数(I)が1×10-4、コマ収差係数(II)が50×10-4、非
点収差係数(III)とペッツバール和(P)が500×10-4であ
る。以上のことを考慮に入れると、片ボケ収差では、第
1項,第2項,第5項が大きな値を持ち、第4項は絞り
の位置によっては非常に大きくなったり無視できたりす
る。特に、第5項が大きな値を持つのは、すべての収差
係数が0でも値を持つことを意味している。したがっ
て、傾き偏心と平行偏心の誤差感度を両方共低くするこ
との難しさが理解できる。また、軸上コマ収差では、第
3項と第4項が支配的になるが、第4項は絞り位置によ
って大きく変化する。以上のように、傾き偏心と平行偏
心とで支配的な項が異なっているため、一つの収差係数
を小さくすれば、両方の感度が小さくなるわけではない
ことが分かる。
【0068】《偏心収差の解析から導き出される望まし
い実施の形態》上述した偏心収差の導出等から分かるよ
うに、任意の光学系において、偏心誤差感度が相対的に
大きいために製造上問題となる、少なくとも1つのレン
ズ面から成る群(前記偏心群に相当し、例えばレンズ群
やレンズ面である。)に対し、偏心誤差感度を大きくす
る主要因となっている3次収差係数を小さくする設計を
行えば、その光学系での偏心による誤差感度が小さくな
る。本発明に係る光学系,その製造方法及び偏心誤差感
度低減設計方法は、この点に着目してなされたものであ
り、その特徴の一つは、以下に説明する5つの段階から
成る特徴的設計手法にある。
【0069】〈第1段階〉第1段階は、偏心誤差感度が
相対的に大きいために製造上問題となる、少なくとも1
つのレンズ面から成る群(以下「特定群」ともいう。)を
特定することを特徴とする(図3,#10)。具体的に
は、対象となる光学系の各要素,レンズブロック,レン
ズ,レンズ面に、実際に偏心(平行偏心と傾き偏心)が発
生した場合の偏心収差の発生の程度を、例えば光線追跡
によって調査する。そのときに注目すべき偏心収差は、
前述した「片ボケ収差」と「軸上コマ収差」である。
【0070】近年、光学系の分野ではズームレンズの設
計が活発に行われており、ズーム比の向上や小型化の技
術が数多く発表されている。しかし、ズーム比の向上や
小型化は、一般的に誤差感度を大きくする傾向にある。
高倍率化や小型化が進むと製造精度を向上させる必要が
あるが、現状では追いついていない。このため倍率や大
きさは製造の限界から決定されているが、市場の要求は
高倍率・小型のものを求める動きが大きいため、満足な
ズームレンズは提供されていない。
【0071】ズームレンズの場合、調心技術によって、
ズームブロックの中では、ある程度の偏心誤差感度が吸
収可能になってきている。しかし、ズーミングの間移動
するズームブロックでは、高精度の調心を行うことがで
きないのが現状である。この点で、本発明の特徴的設計
手法は、ズームレンズに好適である。ズームレンズに適
用した場合、ズームブロックを特定群とするのが好まし
く、更に好ましくは、特定群が偏心誤差感度の最も大き
なズーム群であるのが良い。
【0072】本発明に係る特徴的設計手法は、光学系の
ただ一つの要素の偏心誤差感度を低減するために留まら
ない。その設計手法を繰り返し用いることで、光学系の
すべての要素が製造誤差に対して十分許容できるくらい
小さな偏心誤差感度を有する構成とすることができる。
したがって、ズームブロックの偏心誤差感度の小さなズ
ーム光学系においては、対象となる要素はレンズ又はレ
ンズ面であることが望ましい。ズームブロック内の誤差
感度を低減することができれば、調心を行う必要がなく
なって、製造上有利になるからである。
【0073】対象となる光学系が単焦点レンズである場
合、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。 fL/ymax>3 …(1) ただし、 fL:全系の焦点距離、 ymax:画面対角長 である。
【0074】上記条件式(1)は、単焦点レンズの焦点距
離を表している。前述した偏心収差の導出から分かるよ
うに、誤差感度は焦点距離が大きくなるほど目立つよう
になる。したがって、あまりに短い焦点距離の光学系で
は、もともと誤差感度が小さいので、低減の必要性がな
い場合が多い。
【0075】〈第2段階〉第2段階は、前記第1段階で
特定された群(特定群)の偏心収差係数を用いて偏心収差
を計算し、その計算によって得られた偏心収差と、実際
の偏心収差(例えば、光線追跡で得られたもの)と、の比
較を行うことを特徴とする(図3,#20)。前述した偏
心収差の導出から分かるように、偏心収差係数は各収差
係数(3次収差係数)の1次結合で表される。通常の光学
系において、偏心収差係数から導出された偏心収差の値
と、光線追跡により得られた実際の偏心収差の値と、を
比較してみると非常によく一致する。これは、3次収差
係数から計算される収差が実際の収差と良く一致すると
いうことからも理解できる。しかし、光学系に多くの非
球面がある場合には、高次収差が過大に発生する場合が
あり、そのときは3次収差係数から計算される収差と実
際の収差とが一致しないことになる。当然、偏心収差係
数から導出される偏心収差と実際の偏心収差とで値が大
きく異なることになるため、解析的な設計を行うことが
難しくなる。
【0076】上記のように解析的な設計が困難なとき
(つまり、計算によって得られた偏心収差と実際の偏心
収差とが大きく異なると判断した場合)は、偏心状態で
の点像分布の大きさを極小化するように設計するのが望
ましい(図3,#60)。このように設計することによ
り、偏心収差を小さく抑えて、偏心誤差感度を低減する
ことができる。具体的には、弱くしたい偏心誤差感度の
部分を偏心させたポジションを実際に作り、追加ポジシ
ョンにし、通常状態のポジションに加えて、追加した偏
心ポジションにも設計のウエイトを加えて、偏心状態で
の点像を小さくする設計を行う。偏心状態のウエイトを
大きくすることで点像が小さくなり、かつ、通常状態の
性能も保持することができれば、偏心誤差感度を小さく
することができたことになる。できない場合には、非球
面,ズーム解,レンズ等の自由度を適当に付加すること
によって、偏心誤差感度低減の可能性を探せばよい。
【0077】〈第3段階〉第3段階は、前記第2段階で
の比較の結果、偏心収差係数を用いた計算によって得ら
れた偏心収差と光線追跡により得られた実際の偏心収差
とがよく一致すると判断した場合、偏心誤差感度を大き
くする主要因となっている3次収差係数を特定すること
を特徴とする(図3,#30)。偏心収差係数に支配的な
3次収差係数が偏心誤差感度を大きくする主要因となる
ので、特定群の偏心収差が偏心収差係数のどの項の影響
を最も受けているかを調べる。偏心収差係数の各項の値
(又は各項についての偏心収差)から、偏心収差係数に最
も支配的な項を特定する。その項が特定できれば、どの
3次収差係数が支配的であるかの特定は簡単に行うこと
ができる。特定する3次収差係数は、1つであっても2
つ以上であってもよい。特定される3次収差係数は、片
ボケ収差の場合、特定群のコマ収差係数(II)であること
が一般的であり、軸上コマ収差の場合、特定群の球面収
差(I)であることが一般的である。
【0078】〈第4段階〉第4段階は、前記第3段階で
特定された3次収差係数を小さくする設計を行うことを
特徴とする(図3,#40)。この第4段階は、第3段階
の解析の結果を受けて、具体的に設計を行う段階であ
る。第3段階で特定された3次収差係数が、対象となる
要素(特定群)の3次収差係数{( )D}である場合、第4段
階で3次収差係数を小さくしようとしても、特定群が小
さな3次収差係数を取り得ないことがある。その際に、
対象となる要素に自由度の付加を行うことで、所望の3
次収差係数を達成させることが望ましい。自由度の付加
とは、例えば、非球面の付加,レンズの追加である。
【0079】第3段階で特定された3次収差係数が、特
定群より像側に位置するすべてのレンズ面から成る群
(像側群)の3次収差係数{( )R}である場合、第4段階で
3次収差係数を小さくしようとしても、その像側群が小
さな3次収差係数を取り得ないことがある。その際、特
定群の像側(すなわち、像側群)に自由度の付加を行うこ
とで、所望の3次収差係数を達成させることが望まし
い。自由度の付加とは、例えば、非球面の付加,レンズ
の追加である。
【0080】〈第5段階〉第5段階は、全体性能が前記
第4段階での設計の前の状態(元の状態)と同程度に維持
されるように、第4段階での設計に伴って変動した収差
バランスを整える設計を行うことを特徴とする(図3,#
50)。第4段階で特定の要素(特定群や像側群)の3次
収差係数を大きく変動させたので、全体の3次収差係数
は大きな値になっている。そこで、第4段階で設計に用
いた要素以外を設計変数として、全体の3次収差係数を
小さくするように設計を行う。
【0081】第4段階で収差変動が大きすぎると、全体
収差を元の状態と同程度にすることが困難になる場合が
ある。その際に、特定群の物体側(例えば、物体側に位
置するレンズ群)に自由度の付加を行うことが望まし
い。自由度の付加とは、例えば、非球面の付加,レンズ
の追加である。前述した偏心収差の導出等から明らかな
ように、偏心誤差感度は、対象となる要素(特定群)の物
体側に位置するレンズ群の収差係数からは全く影響を受
けない。したがって、特定群の物体側に自由度を加えて
大きく収差係数を変動させても、特定群の偏心誤差感度
には影響無しに、全体性能を元の状態と同等にすること
ができる。
【0082】《本発明に係る偏心誤差感度低減設計と従
来の設計との違い》先に述べたように、従来も誤差感度
に関して設計が行われていなかったわけではなく、ある
程度の誤差感度低減は行われていた。その考え方は、誤
差感度の大きな部分のパワーを弱くすることで感度を小
さくするというものであって、結局、誤差感度を弱くす
ることは、光学系を大きくすることになっていた。本発
明に係る特徴的設計手法によれば、前述したように偏心
誤差感度を収差係数から解析することによって、同じパ
ワーであっても偏心誤差感度の小さな解の存在を明らか
にし、従来では性能やスペックを向上させるために用い
られてきた非球面等を偏心収差係数の絶対値を小さくす
るために導入することによって、偏心誤差感度を低減す
ることが可能である。図4に、偏心誤差感度を低減する
ための、本発明に係る特徴的設計手法と従来の設計手法
との違いについてのイメージ図を示す。
【0083】
【実施例】以下、本発明を実施したズームレンズの構成
を、コンストラクションデータ,収差図等を挙げて、更
に具体的に説明する。各実施例及び比較例のコンストラ
クションデータにおいて、ri(i=1,2,3,...)は物体側か
ら数えてi番目の面の曲率半径、di(i=1,2,3,...)は物体
側から数えてi番目の軸上面間隔を示しており、Ni(i=1,
2,3,...),νi(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の
レンズのd線に対する屈折率(Nd),アッベ数(νd)を
示している。また、コンストラクションデータ中、ズー
ミングにおいて変化する軸上面間隔(可変間隔)は、広角
端(短焦点距離端)[W]〜ミドル(中間焦点距離状態)[M]
〜望遠端(長焦点距離端)[T]での各群間の軸上間隔であ
る。各焦点距離状態[W],[M],[T]に対応する全系の
焦点距離f及びFナンバーFNOを併せて示す。
【0084】曲率半径riに*印が付された面は、非球面
で構成された面であることを示し、非球面の面形状を表
わす次の式(AS)で定義されるものとする。 X=(C・Y2)/{1+(1-ε・Y2・C2)1/2}+Σ(Ai・Yi) …(AS) ただし、式(AS)中、 X :光軸方向の基準面からの変位量、 Y :光軸に対して垂直な方向の高さ、 C :近軸曲率、 ε:2次曲面パラメータ、 Ai:i次の非球面係数 である。
【0085】
【0086】[第7面(r7)の非球面データ] ε= 1.0000 A4=-0.71639468×10-6 A6= 0.52909389×10-7 A8=-0.15444212×10-8 A10= 0.14666388×10-10 A12=-0.50346363×10-13
【0087】[第24面(r24)の非球面データ] ε= 1.0000 A4=-0.12662318×10-4 A6=-0.18371721×10-5 A8= 0.64823035×10-7 A10=-0.16739676×10-8 A12= 0.15325296×10-10
【0088】[第25面(r25)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.80098384×10-4 A6=-0.14551791×10-5 A8= 0.54084513×10-7 A10=-0.12612528×10-8 A12= 0.10743852×10-10
【0089】
【0090】[第7面(r7)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.13382026×10-4 A6= 0.98519488×10-7 A8=-0.20533289×10-8 A10= 0.14078856×10-10 A12=-0.28051717×10-13
【0091】[第21面(r21)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.56033831×10-4 A6= 0.20859596×10-6 A8=-0.89435819×10-9 A10=-0.32902126×10-10 A12= 0.14244659×10-11
【0092】[第24面(r24)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.24244833×10-5 A6=-0.18608783×10-5 A8= 0.65868793×10-7 A10=-0.15356660×10-8 A12= 0.15529677×10-10
【0093】[第25面(r25)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.52954566×10-4 A6=-0.15597732×10-5 A8= 0.56109687×10-7 A10=-0.13012153×10-8 A12= 0.13945660×10-10
【0094】
【0095】[第20面(r20)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.29375182×10-4 A6=-0.61263568×10-7 A8= 0.72651555×10-9 A10= 0.14884299×10-10 A12=-0.22214701×10-12
【0096】[第25面(r25)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.59719107×10-5 A6=-0.15750654×10-6 A8=-0.76280738×10-8 A10=-0.18941169×10-10 A12= 0.12179777×10-11 A14= 0.19818816×10-13 A16=-0.35165979×10-15
【0097】[第26面(r26)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.53641668×10-4 A6= 0.64473049×10-6 A8=-0.19461151×10-7 A10=-0.42546389×10-10 A12= 0.38972037×10-11 A14= 0.38043446×10-13 A16=-0.94934519×10-15
【0098】
【0099】[第7面(r7)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.44355027×10-5 A6= 0.37073814×10-7 A8=-0.14298960×10-8 A10= 0.13373838×10-10 A12=-0.41256179×10-13
【0100】[第21面(r21)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.10880422×10-4 A6= 0.87297423×10-7 A8=-0.46204110×10-9 A10=-0.16402917×10-10 A12= 0.30793032×10-12
【0101】[第24面(r24)の非球面データ] ε= 1.0000 A4=-0.69215309×10-5 A6=-0.18251333×10-5 A8= 0.65109565×10-7 A10=-0.16403658×10-8 A12= 0.15287778×10-10
【0102】[第25面(r25)の非球面データ] ε= 1.0000 A4= 0.69987925×10-4 A6=-0.15500116×10-5 A8= 0.53872257×10-7 A10=-0.12642621×10-8 A12= 0.11335431×10-10
【0103】図5〜図7は、上記実施例1〜実施例3の
ズームレンズにそれぞれ対応するレンズ構成図であり、
広角端[W]でのレンズ配置を示している。各レンズ構成
図中の矢印m1〜m5は、広角端[W]から望遠端[T]へ
のズーミングにおける第1群Gr1〜第5群Gr5の移
動をそれぞれ模式的に示している。また、各レンズ構成
図中、ri(i=1,2,3,...)が付された面は物体側から数え
てi番目の面(riに*印が付された面は非球面)であり、di
(i=1,2,3,...)が付された各群間の軸上面間隔は、物体
側から数えてi番目の軸上面間隔のうち、ズーミングに
おいて変化する可変間隔である。
【0104】図8〜図10は、実施例1〜実施例3にそ
れぞれ対応する収差図であり、各図中、[W]は広角端,
[M]はミドル,[T]は望遠端における諸収差(左から順
に、球面収差等,非点収差,歪曲;Y':像高)を示してい
る。また、各収差図中、実線(d)はd線に対する収差、
破線(SC)は正弦条件を表しており、破線(DM)と実線
(DS)は、メリディオナル面とサジタル面でのd線に対
する非点収差をそれぞれ表わしている。
【0105】《比較例から実施例1への偏心誤差感度低
減設計》先に述べたように、最近の技術では、ズーム群
内で偏心が発生した場合、ズームブロックで調心を行う
ことにより、偏心収差の発生を抑えることが可能になっ
ている。しかし、ズームブロックが傾いたり平行偏心を
起こしたりした場合、可動群であるズームブロックの偏
心を抑えることは難しい。そこで、ズームレンズ(比較
例)に対して前記偏心誤差感度低減設計を行う場合の例
を挙げて、第1〜第5段階の具体的構成を説明する。な
お、比較例(偏心誤差感度低減設計を行う前の状態)は、
物体側から順に、正のパワーを有する第1群Gr1と、
負のパワーを有する第2群Gr2と、正のパワーを有す
る第3群Gr3と、正のパワーを有する第4群Gr4
と、から成り、各群の間隔変化によってズーミングを行
う4群構成のズームレンズである。
【0106】〈第1段階〉まず、比較例の各ズームブロ
ックの偏心誤差感度を光線追跡により調べて、偏心誤差
感度が相対的に大きいために製造上問題となるズーム群
を特定した(図3,#10)。表1に、比較例の各ズーム
群が0.1mm平行偏心を起こした場合の望遠端[T]での偏
心収差(言い換えれば偏心誤差感度)を示す。表1中、D
M,DSはメリディオナル,サジタルの片ボケ収差、AXCM
は軸上コマ収差をそれぞれ表しており、片ボケ収差は像
高Y'=-14.4での値を示している。表1から、第3群Gr
3と第4群Gr4の偏心誤差感度が非常に大きいことが
分かる。そこで、第4群Gr4を偏心誤差感度を小さく
する群(ズームブロック)として特定した。
【0107】
【表1】
【0108】〈第2段階〉次に、比較例の特定群である
第4群Gr4の偏心誤差感度(偏心収差)を、偏心収差係
数から計算した(図3,#20)。表2に、第4群Gr4
とその像側群の3次収差係数を示す。左から順に、球面
収差係数(I),コマ収差係数(II),非点収差係数(III),
ペッツバール和(P),歪曲収差係数(V)である。第4群G
r4は最も像側のズーム群であるため、その像側群を有
していない。したがって、像側群の3次収差係数は全て
0である。表3に、[偏心量(0.1mm)]×[スペックの
項],各項についての[1次結合の係数]及び[偏心収差]
の計算結果を示す。偏心収差係数は特定群の3次収差係
数と像側群の3次収差係数との1次結合で表されるが、
その1次結合の係数が各項の右欄の[1次結合の係数]で
ある。また、表3中の第1項〜第4項は、[偏心収差係
数]の第1項〜第4項に相当しており、その合計が最終
的な[偏心収差]である。この合計値と実際の偏心収差
(表1)との比較を行った(図3,#20)。
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】〈第3段階〉2つの値を比較すると、偏心
収差係数を用いた計算により得られた値と実際の光線追
跡により得られた値とが非常によく一致していることが
分かった。したがって、3次収差係数で偏心収差をコン
トロールすることができることになる。仮に、2つの値
が大きくズレている場合、3次収差係数でコントロール
しても実際の収差が小さくならない可能性があるので、
その場合には偏心状態での点像を極小化する設計を行え
ばよい(図3,#60)。
【0112】表3から分かるように、軸上コマ収差(AXC
M)の合計のほとんどすべてが第4項の値によるものであ
る。軸上コマ収差の偏心収差係数の第4項は、偏心群
(特定群)の球面収差係数(I)Dに[1次結合の係数]がかか
ったものである{式(6F)参照。}。片ボケ収差も第4項が
支配的であり、片ボケ収差の偏心収差係数の第4項は、
偏心群(特定群)のコマ収差係数(II)Dに[1次結合の係
数]がかかったものである{式(5G)参照。}。したがっ
て、第4群Gr4の平行偏心による軸上コマ収差を小さ
くするには、第4群Gr4の球面収差係数(I)Dを小さく
すればよく、平行偏心による片ボケ収差を小さくするに
は、第4群Gr4のコマ収差係数(II)Dを小さくすれば
よいことが分かった(図3,#30)。
【0113】〈第4段階〉偏心誤差感度を大きくする主
要因となっている3次収差係数を、上記第3段階で特定
することができたので、これらを小さくする設計を行う
(図3,#40)。具体的には、第4群Gr4の球面収差
係数(I)Dとコマ収差係数(II)Dを小さくする。表4,表
5に、3次収差係数(I)D,(II)Dを小さくする設計を行っ
たときの3次収差係数,偏心収差等を、表2,表3と同
様に示す。表5から分かるように、第4群Gr4の球面
収差係数(I)Dとコマ収差係数(II)Dが小さくなること
で、軸上コマ収差と片ボケ収差が共に比較例と比べて格
段に小さくなっている。
【0114】
【表4】
【0115】
【表5】
【0116】〈第5段階〉上記のように第4群Gr4の
3次収差係数だけを変化させると、全体の3次収差係数
のバランスが崩れるため、偏心誤差感度は小さくなって
も、満足な光学性能を得ることができないといった問題
が生じる。そこで、変化させた第4群Gr4の3次収差
係数をそのままにして、全体の3次収差係数の和が小さ
くなるように設計を行った(図3,#50)。具体的に
は、第3群Gr3の3次収差係数を大幅に変化させるた
めに、第3群Gr3に非球面を追加して、すべてのズー
ム領域で満足な光学性能が得られるように設計を行っ
た。第1群Gr1〜第3群Gr3の3次収差係数を変化
させても、第4群Gr4の偏心収差には影響が及ばない
ので、満足な光学性能と、第4群Gr4の偏心誤差感度
低減と、を同時に達成することができた。
【0117】上記非球面を付加した設計後の状態が、上
記実施例1である。表6に、その設計後の実際の偏心収
差を、表1と同様に示す。表6から分かるように、意図
していた第4群Gr4の偏心誤差感度低減と共に、第3
群Gr3の偏心誤差感度も小さくなっている。表7に、
比較例と実施例1の各ズーム群の望遠端[T]での3次収
差係数の和を示す。全体の3次収差係数の大きさは共に
小さいが、第3群Gr3と第4群Gr4の3次収差係数
が、上述した設計後に小さくなっている点に特徴が見ら
れる。
【0118】
【表6】
【0119】
【表7】
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光学系に
よれば、偏心誤差感度が相対的に大きい特定群に対し、
偏心誤差感度を大きくする前記3次収差係数を小さく
し、さらに収差バランスを整えた構成になっているた
め、特定群が非球面等を含むか否かにかかわらず、特定
群の偏心収差の誤差感度が低減されて、良好な光学性能
が達成される。また、本発明の製造方法,偏心誤差感度
低減設計方法によれば、製造誤差で発生する偏心収差を
小さく抑えて、良好な光学性能を有する光学系を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学系と座標との関係及び収差係数を説明する
ための図。
【図2】偏心収差係数の導出を説明するための図。
【図3】本発明に係る偏心誤差感度低減設計の手順を示
すフローチャート。
【図4】本発明に係る偏心誤差感度低減設計と従来の設
計との違いを説明するためのイメージ図。
【図5】実施例1のレンズ構成図。
【図6】実施例2のレンズ構成図。
【図7】実施例3のレンズ構成図。
【図8】実施例1の収差図。
【図9】実施例2の収差図。
【図10】実施例3の収差図。
【符号の説明】
Gr1 …第1群 Gr2 …第2群 Gr3 …第3群 Gr4 …第4群 Gr5 …第5群 A …絞り

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 任意の光学系において、偏心誤差感度が
    相対的に大きいために製造上問題となる、少なくとも1
    つのレンズ面から成る群を特定する第1段階と、 該第1段階で特定された群の偏心収差係数を用いて偏心
    収差を計算し、該計算によって得られた偏心収差と実際
    の偏心収差との比較を行う第2段階と、 該第2段階での比較の結果、前記計算によって得られた
    偏心収差と実際の偏心収差とがよく一致すると判断した
    場合、前記偏心誤差感度を大きくする主要因となってい
    る3次収差係数を特定する第3段階と、 該第3段階で特定された3次収差係数を小さくする設計
    を行う第4段階と、 全体性能が前記第4段階での設計の前の状態と同程度に
    維持されるように、前記第4段階での設計に伴って変動
    した収差バランスを整える設計を行う第5段階と、 によって設計された光学系。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光学系がズームレンズで
    あって、前記第1段階で特定される群が偏心誤差感度の
    最も大きなズーム群であることを特徴とする光学系。
  3. 【請求項3】 前記第2段階での比較の結果、前記計算
    によって得られた偏心収差と実際の偏心収差とが大きく
    異なると判断した場合、偏心状態での点像分布の大きさ
    を極小化するように設計して成る請求項1記載の光学
    系。
  4. 【請求項4】 前記第4段階での設計が、前記第1段階
    で特定された群又はその群よりも像側へのレンズの追加
    であることを特徴とする請求項1記載の光学系。
  5. 【請求項5】 前記第4段階での設計が、前記第1段階
    で特定された群又はその群よりも像側への非球面の付加
    であることを特徴とする請求項1記載の光学系。
  6. 【請求項6】 前記第5段階での設計が、前記第1段階
    で特定された群よりも物体側へのレンズの追加であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光学系。
  7. 【請求項7】 前記第5段階での設計が、前記第1段階
    で特定された群よりも物体側への非球面の付加であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光学系。
  8. 【請求項8】 前記第4段階及び第5段階での設計が、
    全系のパワー配置を変化させずに行われることを特徴と
    する請求項1記載の光学系。
  9. 【請求項9】 任意の光学系において、偏心誤差感度が
    相対的に大きいために製造上問題となる、少なくとも1
    つのレンズ面から成る群を特定する第1段階と、 該第1段階で特定された群の偏心収差係数を用いて偏心
    収差を計算し、該計算によって得られた偏心収差と実際
    の偏心収差との比較を行う第2段階と、 該第2段階での比較の結果、前記計算によって得られた
    偏心収差と実際の偏心収差とがよく一致すると判断した
    場合、前記偏心誤差感度を大きくする主要因となってい
    る3次収差係数を特定する第3段階と、 該第3段階で特定された3次収差係数を小さくする設計
    を行う第4段階と、 全体性能が前記第4段階での設計の前の状態と同程度に
    維持されるように、前記第4段階での設計に伴って変動
    した収差バランスを整える設計を行う第5段階と、 を有することを特徴とする光学系の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記光学系がズームレンズであって、
    前記第1段階で特定される群が偏心誤差感度の最も大き
    なズーム群であることを特徴とする請求項9記載の光学
    系の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記第2段階での比較の結果、前記計
    算によって得られた偏心収差と実際の偏心収差とが大き
    く異なると判断した場合、偏心状態での点像分布の大き
    さを極小化するように設計を行うことを特徴とする請求
    項9記載の光学系の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第4段階での設計が、前記第1段
    階で特定された群又はその群よりも像側へのレンズの追
    加であることを特徴とする請求項9記載の光学系の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 前記第4段階での設計が、前記第1段
    階で特定された群又はその群よりも像側への非球面の付
    加であることを特徴とする請求項9記載の光学系の製造
    方法。
  14. 【請求項14】 前記第5段階での設計が、前記第1段
    階で特定された群よりも物体側へのレンズの追加である
    ことを特徴とする請求項9記載の光学系の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第5段階での設計が、前記第1段
    階で特定された群よりも物体側への非球面の付加である
    ことを特徴とする請求項9記載の光学系の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記第4段階及び第5段階での設計
    が、全系のパワー配置を変化させずに行われることを特
    徴とする請求項9記載の光学系の製造方法。
  17. 【請求項17】 任意の光学系において、偏心誤差感度
    が相対的に大きいために製造上問題となる、少なくとも
    1つのレンズ面から成る群を特定する第1段階と、 該第1段階で特定された群の偏心収差係数を用いて偏心
    収差を計算し、該計算によって得られた偏心収差と実際
    の偏心収差との比較を行う第2段階と、 該第2段階での比較の結果、前記計算によって得られた
    偏心収差と実際の偏心収差とがよく一致すると判断した
    場合、前記偏心誤差感度を大きくする主要因となってい
    る3次収差係数を特定する第3段階と、 該第3段階で特定された3次収差係数を小さくする設計
    を行う第4段階と、 全体性能が前記第4段階での設計の前の状態と同程度に
    維持されるように、前記第4段階での設計に伴って変動
    した収差バランスを整える設計を行う第5段階と、 を有することを特徴とする偏心誤差感度低減設計方法。
  18. 【請求項18】 前記光学系がズームレンズであって、
    前記第1段階で特定される群が偏心誤差感度の最も大き
    なズーム群であることを特徴とする請求項17記載の偏
    心誤差感度低減設計方法。
  19. 【請求項19】 前記第2段階での比較の結果、前記計
    算によって得られた偏心収差と実際の偏心収差とが大き
    く異なると判断した場合、偏心状態での点像分布の大き
    さを極小化するように設計を行うことを特徴とする請求
    項17記載の偏心誤差感度低減設計方法。
  20. 【請求項20】 前記第4段階での設計が、前記第1段
    階で特定された群又はその群よりも像側へのレンズの追
    加であることを特徴とする請求項17記載の偏心誤差感
    度低減設計方法。
  21. 【請求項21】 前記第4段階での設計が、前記第1段
    階で特定された群又はその群よりも像側への非球面の付
    加であることを特徴とする請求項17記載の偏心誤差感
    度低減設計方法。
  22. 【請求項22】 前記第5段階での設計が、前記第1段
    階で特定された群よりも物体側へのレンズの追加である
    ことを特徴とする請求項17記載の偏心誤差感度低減設
    計方法。
  23. 【請求項23】 前記第5段階での設計が、前記第1段
    階で特定された群よりも物体側への非球面の付加である
    ことを特徴とする請求項17記載の偏心誤差感度低減設
    計方法。
  24. 【請求項24】 前記第4段階及び第5段階での設計
    が、全系のパワー配置を変化させずに行われることを特
    徴とする請求項17記載の偏心誤差感度低減設計方法。
JP18411497A 1997-07-09 1997-07-09 光学系,その製造方法及び偏心誤差感度低減設計方法 Pending JPH1130746A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18411497A JPH1130746A (ja) 1997-07-09 1997-07-09 光学系,その製造方法及び偏心誤差感度低減設計方法
US09/112,368 US6081385A (en) 1997-07-09 1998-07-09 Optical system design and production method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18411497A JPH1130746A (ja) 1997-07-09 1997-07-09 光学系,その製造方法及び偏心誤差感度低減設計方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1130746A true JPH1130746A (ja) 1999-02-02

Family

ID=16147636

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18411497A Pending JPH1130746A (ja) 1997-07-09 1997-07-09 光学系,その製造方法及び偏心誤差感度低減設計方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1130746A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004097489A1 (ja) * 2003-04-25 2004-11-11 Olympus Corporation 光学系の設計方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004097489A1 (ja) * 2003-04-25 2004-11-11 Olympus Corporation 光学系の設計方法
JP2004325880A (ja) * 2003-04-25 2004-11-18 Olympus Corp 光学系の設計方法
US7478017B2 (en) 2003-04-25 2009-01-13 Olympus Corporation Method of designing optical system

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7508592B2 (en) Zoom lens system
JP5028776B2 (ja) ズームレンズ
JP3133435B2 (ja) ズームレンズ
US5724195A (en) Fast super wide-angle lens system
US20080100924A1 (en) High zoom ratio zoom lens system
JP3200925B2 (ja) 広画角を有するズームレンズ
JPH09265042A (ja) 手ぶれ補正機能付き撮影光学系
JPH0882769A (ja) 手ぶれ補正機能を有するズームレンズ
US5930052A (en) Zoom lens system
JP3365087B2 (ja) 手ぶれ補正機能を有する光学系
JPH0990220A (ja) ズームレンズ
JP3335302B2 (ja) 観察光学機器の防振光学系
KR20020062779A (ko) 줌 렌즈 시스템
JPH0519166A (ja) 広角ズームレンズ
JP3417192B2 (ja) 手ぶれ補正機能を有する光学系及びズームレンズ
US20100033840A1 (en) Zoom lens and optical apparatus equipped therewith
JP2004061681A (ja) ズームレンズ及びそれを有する光学機器
JPH10333037A (ja) ズームレンズ
JPH09230241A (ja) 手ぶれ補正機能を有するズームレンズ
JP3330660B2 (ja) 変倍ファインダー
JP2020042221A (ja) 広角レンズ系
US20030218799A1 (en) Zoom lens system
JP2828923B2 (ja) 高倍率のズームレンズ
JP7218813B2 (ja) 変倍光学系及び光学機器
JPH10333039A (ja) ズームレンズ