JPH11307243A - 有機el表示装置及びその製造方法 - Google Patents

有機el表示装置及びその製造方法

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JPH11307243A
JPH11307243A JP10338530A JP33853098A JPH11307243A JP H11307243 A JPH11307243 A JP H11307243A JP 10338530 A JP10338530 A JP 10338530A JP 33853098 A JP33853098 A JP 33853098A JP H11307243 A JPH11307243 A JP H11307243A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光領域の割合が広く、かつ信頼性が高く、
大型基板の使用が可能で、1枚の基板中に多数のディス
プレイを配置して製造することができ、製造コスト化を
可能とした有機EL表示装置およびその製造方法を提供
する。 【解決手段】 配線電極11と、この配線電極11とコ
ンタクトホール13を介して接続されている第1の電極
3と、発光機能に関与する1種または2種以上の有機層
5と、第2の電極6とを有し、かつ電気的に独立に発光
させることが可能な有機EL素子構造を複数有し、隣接
する有機EL素子構造の境界には隣り合う有機EL素子
構造の少なくとも一方の電極を分離するための溝構造2
を有し、前記配線電極11は、少なくとも、隣接する第
1の電極3間であって画素として機能する発光領域以外
の領域に形成されている有機EL表示装置およびその製
造方法とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表示デバイス、光源
として利用される有機エレクトロ・ルミネッセンス表示
装置(以下、有機EL表示装置と略す)の製造方法と構
造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子を用いた表示デバイスは、
現在主流のフラットパネルディスプレイである液晶ディ
スプレイに対し以下のような優位性を持つ。
【0003】1)自発光であるために視野角が広い 2)2〜3ミリの薄さのディスプレイが容易に製造可能 3)偏光板を使わないことから発光色が自然 4)明暗のダイナミックレンジが広いため、表示が鮮明
で生々しい 5)広い温度範囲で動作 6)応答速度が液晶より3桁以上速いため容易に動画表
示が可能 このような優位性にも関わらず、なかなか市場へ出回ら
なかった。これは以下のような理由による。
【0004】一般的に、有機EL素子は、概略すると、
「透明導電膜」からなる電極、「発光層を含む有機
層」、「仕事関数が小さい金属または合金」からなる電
極、の3つの別々の機能を有する薄膜の積層から構成さ
れる。これら「発光層を含む有機層」や「仕事関数が小
さい金属または合金」が水分や酸素で劣化しやすいこ
と、「発光層を含む有機層」が溶媒に溶けやすく、ま
た、熱に弱いこと等の製造上の難題があった。言い換え
ると、水、有機溶媒、熱を用いる方法では「発光層を含
む有機層」、「仕事関数が小さい金属または合金」を成
膜した後で素子を分離、分割することは困難であったか
らである。つまり、現在、液晶で実現されているような
ディスプレイと同等なクラスの有機EL表示装置を製造
しようとした場合に、成熟した半導体製造技術や液晶デ
ィスプレイ製造技術がそのままでは適用できないという
ことになる。
【0005】そこで考え出されたのが、大気中に暴露す
ることなく第2の電極の分離を可能にする以下に示す複
数の技術であり、その技術によれば非常に信頼性の高い
有機ELディスプレイの製造が可能となった。
【0006】例を挙げると、特開平5−275172号
公報、同5−258859号公報、USP527638
0号、同5294869号に示された方法がある。これ
は、例えば、図32に示すように、分離させたい表示ラ
イン電極の間に、有機EL膜を構成する膜44の膜厚よ
り高い隔壁43を形成し、基板33平面と垂直ではない
方向より有機EL素子の材料41を真空蒸着することで
隔壁43の影になる部分には材料41が成膜されないこ
とを利用する方法であった。
【0007】しかし、この方法によれば、歩留まりよ
く、且つ、同じ幅の発光ラインを形成するためには、図
32に示したような絶縁ストリップ42(またはペデス
タル)と呼ばれる、隔壁43よりも幅の広い絶縁物42
を隔壁43の下に形成する必要があった。これは、真空
成膜方法では隔壁43の存在により隔壁43近傍で膜の
付着が妨害されるため、絶縁ストリップ42がない構造
では有機膜が薄くなる隔壁43付近において第1の電極
と第2の電極が短絡する場合があり、特に有機膜の膜厚
均一性を良くすることが難しくなる大型基板において、
歩留まりが非常に悪くなるためである。
【0008】また、逆に歩留まりを上げる目的で絶縁ス
トリップ42を形成すると、絶縁ストリップ42を形成
する領域分だけ発光ラインの幅が制限された。この絶縁
ストリップ42の幅は、例えば図33に示すように、金
属蒸着源31と基板33の角度と、基板33自体の大き
さによって設計される。すなわち、例えば図33に示す
ように、この絶縁ストリップ42の幅が狭いと、金属蒸
着源31から基板33に飛来する金属と隔壁43の角度
が小さくなる位置であるAにおいて、図34に示すよう
に問題なく成膜されているが、金属蒸着源31から基板
33に飛来する金属と隔壁43の角度が大きくなるB位
置において、図35に示すように、隔壁の影になる領域
が広くなってしまうため、発光領域が狭くなる問題が発
生し、発光ラインの幅が基板33の位置によって変わっ
てしまう。したがって、基板全域にわたって、発光ライ
ンの幅を揃えるためには、絶縁ストリップの幅を余裕
(マージン)を取って広くする必要がある。また、絶縁
ストリップと隔壁の位置あわせのマージンも、大型基板
上に一括露光方式の露光機を用いて表示装置を製造する
場合には最低でも3μm から5μm は必要である。しか
しながら、絶縁ストリップを広くすることは、まさしく
発光領域が減少することに他ならず、明るい表示をする
ためには不利になることは明らかである。
【0009】その他の方法として、特開平8−2629
98号公報、同8−264828号公報に示されてい
る、キャビティ構造、トレンチ構造、ウェル構造を用い
てそれらの構造の中に発光素子を形成し、各発光素子間
を分離する方法を用いても、同様の不都合が生じること
は明らかである。
【0010】また、特開平8−315981号公報、同
9−283280号公報、同9−161969号公報の
様に電極上に逆テーパー構造やオーバーハング構造、ア
ンダーカット構造をもつ絶縁壁を作る方法においても、
やはり歩留まりよく、且つ、同じ幅の発光ラインを形成
することを考えると現実的には同様に絶縁ストリップが
必要になる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、発光
領域の割合が広く、かつ信頼性が高く、大型基板の使用
が可能で、1枚の基板中に多数のディスプレイを配置し
て製造することができ、製造コストの低コスト化を可能
とした有機EL表示装置およびその製造方法を提供する
ことである。
【0012】
【課題を解決するための手段】隔壁構造、キャビティ構
造、トレンチ構造、ウェル構造、逆テーパー構造、オー
バーハング構造、アンダーカット構造等、従来提案され
てきた素子を分離するための構造体(以下、素子分離構
造体と記す)は、いずれにおいても、これらの素子分離
構造体が発光する素子の位置より成膜材料源寄りにあ
る。このため、高歩留まりで表示装置を製造する場合に
は素子分離構造体の高さと概ね同じ程度の幅のマージン
を絶縁ストリップに設けることが必要になる。しかしな
がら、大きなマージンを設けることは発光領域を狭くす
ることになるため、表示品質に影響がある。素子分離構
造体の高さを低くすることは「仕事関数の小さい金属電
極」が素子分離構造体を被覆する可能性を高くすること
になるため、素子の分離を難しくする事を意味し、した
がって、歩留まりが下がってしまう。
【0013】例えば、高さ4μm 、幅5μm の隔壁を設
けた場合には次のようになる。隔壁と絶縁ストリップの
位置あわせ誤差は一般的な一括露光方式の露光機を用い
た場合には5μm 程度であるので、マージンとして絶縁
ストリップの幅はやはり5μm 必要となる。また、基板
と垂直な方向に対して最大斜角45°から「発光層を含
む有機膜」が入射した場合には影になる部分を考慮する
と少なくとも隔壁の高さ4μm と同じマージンが必要と
なる。したがって、隔壁の両側を合計すると結果として
隔壁の幅と全マージンの合計23μm の幅の絶縁ストリ
ップが必要になる。
【0014】隣り合う透明導電膜間のギャップが5μm
であると仮定すれば、100μm ピッチに画素が並ぶ高
精細な単純マトリクス・ディスプレイの場合には(10
0−23)×(100−5)÷(100×100)=
0.7315となり、有効な発光領域が73%程度にな
ってしまうことになる。
【0015】問題の本質は、素子分離構造体が発光面よ
り成膜材料が飛来してくる方向側に大きく突出している
構造を有していることである。絶縁ストリップにマージ
ンを設けることなく、基板位置における発光領域の変化
を無くし、且つ、高い歩留まりを得ることが可能であれ
ば、発光領域を広くすることができ、結果として明るい
表示装置の製造が実現できる。
【0016】すなわち、上記目的は以下の構成により達
成される。 (1) 配線電極と、この配線電極とコンタクトホール
を介して接続されている第1の電極と、発光機能に関与
する1種または2種以上の有機層と、第2の電極とを有
し、かつ電気的に独立に発光させることが可能な有機E
L素子構造を複数有し、隣接する有機EL素子構造の境
界には隣り合う有機EL素子構造の少なくとも一方の電
極を分離するための溝構造を有し、前記配線電極は、少
なくとも、隣接する第1の電極間であって画素として機
能する発光領域以外の領域に形成されている有機EL表
示装置。 (2) 前記コンタクトホール上には第1の電極の一部
が成膜され、かつその上層の有機層との間には絶縁層が
形成されている上記(1)の有機EL表示装置。 (3) 前記コンタクトホールは、概ね多角形状を有す
る第1の電極の少なくとも1つの辺に接して配置され、
配線電極と電気的に接続されている上記(1)または
(2)の有機EL表示装置。 (4) 前記溝構造の深さは、有機層および第2の電極
層の合計膜厚の1/2〜20倍である上記(1)〜
(3)のいずれかの有機EL表示装置。 (5) 前記溝構造の少なくとも一方の開口部付近には
基板と概ね平行な方向であって、かつ溝構造の中央方向
に張り出したオーバーハング部が形成されている上記
(1)〜(4)のいずれかの有機EL表示装置。 (6) 前記オーバーハング部は、溝構造の両方の開口
部付近に形成されている上記(5)の有機EL表示装
置。 (7) 前記溝構造の底部には、基板面に対して垂直方
向に突出し、かつその高さが発光領域における第2の電
極層以下である立体構造物を有する上記(1)〜(6)
のいずれかの有機EL表示装置。 (8) 前記立体構造物は、溝構造の底部側より上端部
側の幅が大きい上記(7)の有機EL表示装置。 (9) 前記オーバハング部は、絶縁性材料により形成
され、かつこの一部が基板上、または下地層上に形成さ
れるとともに第1の電極の一部を覆うように形成されて
いる上記(5)〜(8)のいずれかの有機EL表示装
置。 (10) 前記オーバーハング部は、溝構造の開口端か
ら10nm〜5μm の高さに形成されている上記(5)〜
(9)のいずれかの有機EL表示装置。 (11) 前記基板上、または下地層上に形成されてい
るオーバーハング部は、その段差部分ないし端部が成膜
面に対して45度以下のテーパー角を有する上記(5)
〜(10)のいずれかの有機EL表示装置。 (12) 前記オーバーハング部は、少なくともその一
部の領域上に厚さ2μm 以下の導電膜が形成されている
上記(5)〜(11)のいずれかの有機EL表示装置。 (13) 絶縁基板上に配線電極を形成する工程と、配
線電極が形成された基板上に下地層を形成する工程と、
基板上に形成された下地層に溝構造を形成する工程と、
第1の電極を形成する工程と、少なくとも発光機能に関
与する有機層を形成する工程と、第2の電極を成膜する
工程とを有し、前記第2の電極を成膜するに際し、段差
被覆性の低い方法を用い、形成された溝構造部分で前記
第2の電極を分離する有機EL表示装置の製造方法。 (14) 前記コンタクトホール上には第1の電極の一
部を成膜し、かつその上層の有機層との間に絶縁層を形
成する上記(13)の有機EL表示装置の製造方法。 (15) 前記第1の電極と、有機層と、第2の電極
は、気相堆積法により形成される上記(13)または
(14)の有機EL表示装置の製造方法。 (16) 前記第2の電極は斜方蒸着により形成される
上記(13)〜(15)のいずれかの有機EL表示装置
の製造方法。 (17) 前記溝構造を形成する際、または溝構造を形
成した後、この溝構造の少なくとも一方の開口部付近に
基板と概ね平行な方向であって、かつ溝構造の中央方向
に張り出したオーバーハング部を形成する工程を有する
上記(13)〜(16)のいずれかの有機EL表示装置
の製造方法。 (18) 前記溝構造を形成するに際し、この溝構造の
底部から基板面に対して垂直方向に突出し、かつその高
さが発光領域における第2の電極層以下である立体構造
物を形成する上記(13)〜(17)のいずれかの有機
EL表示装置の製造方法。 (19) 前記オーバハング部を形成するに際し、絶縁
性材料を用い、かつその一部を基板上、または下地層上
に形成して第1の電極の一部を覆うように形成する上記
(17)または(18)の有機EL表示装置の製造方
法。
【0017】
【作用】本発明では、次のようにして問題解決を図っ
た。基本的な原理は、素子分離構造体を基板から高く突
出させないような構造にしたことである。すなわち、隣
り合う素子を分離する部分を溝構造で素子分離する素子
分離構造体、または、溝構造にさらに素子を分離しやす
くするための構造物を付加した素子分離構造体を形成す
ることで実現できる。より基板側に近く配置されている
第1の電極はこの溝を横切るように形成されるか、他の
導電膜を介して必要に応じて接続される。少なくとも溝
を横切っている部分は発光層または第2の電極と短絡し
ないように絶縁膜で覆われる。この様な構造を形成した
後に発光層を含む有機膜を成膜し、引き続き素子分離構
造体を完全には被覆できないような方法で第2の電極を
形成すればよい。
【0018】この方式によれば、発光領域はその概ねが
素子分離構造体より成膜材料源寄りに配置されているた
めに、素子分離構造体の影になる部分を考える必要がな
くなる。すなわち、素子分離構造体の高さや位置あわせ
マージンにより発光領域の面積が小さくなることが非常
に少なくなる。
【0019】前述の例と同様に、隣り合う透明導電膜間
のギャップが5μm 、溝の幅を5μm 、溝に対する絶縁
膜の形成マージンを溝の片側5μm とし、100μm ピ
ッチに画素が並ぶ高精細な単純マトリクス・ディスプレ
イを仮定すると、(100−15)×(100−5)÷
(100×100)=0.8075となり、有効な発光
領域が約7%増加することが分かる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の有機EL表示装置は、例
えば、図1,2に示すように、配線電極11と、この配
線電極とコンタクトホール13を介して接続されている
第1の電極3と、発光機能に関与する1種または2種以
上の有機層と、第2の電極とを有し、かつ電気的に独立
に発光させることが可能な有機EL素子構造を複数有
し、隣接する有機EL素子構造の境界には隣り合う有機
EL素子構造の少なくとも一方の電極を分離するための
溝構造2を有し、前記配線電極11は、少なくとも画素
として機能する発光領域15以外の領域に形成されてい
る。なお、図1は有機EL表示装置の一部平面図、図2
はそのA−A’断面矢視図である。図1,2において、
基板1上に配線電極11と下地層1bが形成され、さら
にその上に第1の電極3が形成されるとともに、画素
(発光領域)以外の部分に絶縁層4が形成されている。
これらの上にさらに形成される有機層および第2の電極
は省略している。
【0021】このように、配線電極を主に第1の電極の
各画素の島状パターンの間に配置することで発光を遮光
することがなくなり、開口率を向上させることができ
る。また、同様にコンタクトホールを第1の電極の各画
素の概ね多角形形状の少なくとも一辺に相当する位置に
配置することにより、配線電極をコンタクトホールの位
置まで引き延ばす必要がなくなるため、開口率の向上が
図れる。
【0022】本発明の目的は、隣り合う素子を分離する
部分を溝構造で素子分離する素子分離構造体、または、
溝構造にさらに素子を分離しやすくするための立体構造
物を付加した素子分離構造体を形成することで実現でき
る。
【0023】すなわち、素子分離構造体が素子成膜面、
ないし発光面より成膜材料が飛来してくる方向側に突出
することがなく、構造隔壁や絶縁ストリップが不要とな
り、有効発光領域を広くすることができる。
【0024】溝構造は、基板に直接形成してもよいし、
基板上に所定の膜厚の下地層を形成して、この下地層に
形成してもよい。溝構造の大きさは、素子の分離が可能
な大きさであれば特に限定されるものではなく、表示装
置の大きさ、あるいは分離しようとする有機EL素子の
大きさや、成膜する各層の膜厚、成膜方法等により適宜
決めればよい。具体的には、通常、幅:1〜20μm 、
特に5〜10μm 程度、深さ:有機層および第2の電極
層の合計膜厚の1/2〜20倍、特に2倍〜10倍程度
である。
【0025】この下地層としては、絶縁性を有し、エッ
チング処理が可能で、その上に成膜される第1の電極層
と干渉しないような材料を用いて形成することが好まし
い。溝構造を形成する下地層は感光性を有する絶縁性材
料を用いて形成しても良い。具体的には、ポリイミド、
アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂等の樹脂材料や、S
iO2 、SiNx 、SiON、Al23 、SOG(spi
n on glass)膜等の無機材料を挙げることができる。下
地層は、蒸着、スパッタ、塗布、印刷、スピンコートな
ど、使用する材料により公知の成膜手段から好適なもの
を選択して形成すればよい。
【0026】溝構造は、単なるU字状の凹部として形成
してもよいし、開口部付近に向けて広がった形状として
もよいし、逆に底部に向かって広がった形状としてもよ
い。このようなテーパ角としては、特に限定されるもの
ではないが、開口方向(基板と垂直方向)に対して、好
ましくは±30〜60度、特に±45度程度である。ま
た、開口部付近に基板と概ね平行な方向であって、溝構
造の中央方向に張り出したオーバーハングや、底部から
基板面と垂直な方向(上方)に向かって突出した構造物
を有していてもよい。
【0027】この素子分離構造体を持つ表示装置は例え
ば以下の様にして製造しうる。
【0028】まず、溝構造を有する基板を形成する。こ
れは次の様な方法がある。絶縁基板上に下地層を形成
し、フォトリソグラフィーにより下地層に溝を形成する
方法である。
【0029】下地層を形成する前に、第1の電極と接続
される配線電極を形成する。配線電極は、画素となる表
示領域以外の部分に形成される。画素以外の部分に配線
電極を形成することにより、基板側から発光を取り出す
際に配線電極が障害となることなく、効率よく光の取り
出しが行える。
【0030】配線電極を形成した後、下地層を形成し、
さらに溝構造を形成する。
【0031】次に、第1の電極を成膜する。第1の電極
は、隣接する素子が形成される領域に電気的に接続され
るように形成する。それには、先に下地層の下に形成し
た配線電極を介して接続されるようにすればよい。第1
の電極はフォトリソグラフィー法などを用いてパターニ
ングすればよい。
【0032】コンタクトホール部分に形成された第1の
電極を絶縁するために絶縁層を形成する。これは、この
コンタクトホール部分で第1の電極と第2の電極間の電
流リークが発生して不良になりやすいためであり、ま
た、コンタクトホール部分での発光は配線電極で遮光さ
れて外部に放出され難いため無駄になるからである。さ
らに、第1の電極の発光領域上に成膜された絶縁膜をフ
ォトリソグラフィー法などにより除去する。
【0033】以上の様な構造を形成した後に、発光層を
含む、少なくとも発光機能に関与する有機層を成膜す
る。引き続き、溝構造部分を完全には被覆できないよう
な方法で第2の電極を成膜する。溝構造部分を完全には
被覆できない方法としては、成膜粒子の飛来方向に対し
て、溝構造の開口方向(基板に垂直方向)がある程度の
角度を有するようにするとよい。より具体的には、蒸着
法やスパッタ法において、蒸発源やターゲットの中心と
基板の中心を結ぶ線に対して、基板面が90度以外の角
度を有するように傾斜させればよい。この場合、回り込
みの少ない斜方蒸着が特に好ましい。成膜粒子の飛来方
向と、溝構造の開口方向とを異なったものとすることに
より、成膜粒子の入射角によって溝構造内部に陰の部分
が形成され、この陰の部分が成膜されない領域となる。
溝構造の開口方向に対する成膜粒子の入射角は、好まし
くは10〜80度、より好ましくは60〜80度程度で
ある。
【0034】また、溝構造の開口部付近に溝構造の中央
方向に張り出したオーバーハングを設けたり、溝構造の
底部から突出した構造物を有する場合には成膜粒子の飛
来方向と、溝構造の開口方向とを同一としてもよい。
【0035】さらに、第2の電極層上に保護膜として水
分や酸素に対して安定な金属や絶縁膜を積層しても良
い。
【0036】この際に、基板に第2の電極材料が進入す
る角度が大きく異なっても、成膜領域が変化するのは溝
の中のみであり、実際の発光領域に関しては全く影響を
与えないことが分かる。つまり、大型基板を用いてディ
スプレイを製造しても、図33のA部、B部を示した、
従来例の図34に対する、図35のように、第2の電極
の成膜粒子41の入射角が異なり、発光領域が縮小する
ような現象が生じないため、本発明には非常に大きな利
点がある。
【0037】通常、第1の電極と第2の電極の少なくと
も一方は光透過性を有する膜を形成する。
【0038】発光層を含む有機層は真空成膜法でもスピ
ンコート法で形成しても構わない。ただし、スピンコー
ト法で形成する場合には溝構造が完全に埋め込まれてし
まわないような溝の深さにする必要がある。
【0039】下記の実施例2で示す様に、溝構造を第1
の電極を形成した後で形成することも可能である。この
場合、形成した溝から配線電極の表面が露出しないよう
な条件で溝構造を形成することが望ましい。配線電極
は、Al、Al合金等の安価で低抵抗な金属材料と、C
rや、TiN等の安定な導電体とを積層した構造とする
ことが望ましい。配線電極は、発光領域以外の部分に形
成することが好ましい。
【0040】下記の実施例3で示す様に、第2の電極の
補助配線を形成する場合には、絶縁層4を形成した後に
形成することが好ましい。この場合、形成された第2の
電極の補助配線は、有機層成膜時に段差被覆性が悪いた
め、完全には有機層で覆われることなく一部が露出し、
この上に第2の電極層を成膜すると、その露出部分で接
触・導通が図られることとなる。補助配線の構成材料
は、上記第1の電極の配線電極の場合と同様である。補
助配線は、発光領域以外の部分、特に前記絶縁層4の上
に形成することが好ましい。
【0041】次に、図を参照しつつ本発明の有機EL表
示装置についてより詳細に説明する。
【0042】図3は、本発明の有機EL表示装置の第1
の構成例を示す部分断面図である。図において、本発明
の有機EL表示装置は、ガラス等の基板上に形成された
下地層1aに矩形ないし断面U字状の溝構造が形成され
ている。第1の電極層3上には有機層5が成膜されてい
る。そして、有機層5の上には、成膜粒子7が矢印方向
から飛来した場合には、図示形状のように第2の電極層
6が形成される。そして、形成された第2の電極層6
は、溝構造2内部で成膜されない領域を有することとな
り、溝構造2を挟んで2つの素子が分離されることにな
る。
【0043】図4は、図3において、成膜粒子7の入射
角を変えた場合に、成膜される第2の電極層の状態を示
したものである。図から明らかなように、成膜粒子の入
射角を変えた場合でも、溝構造内部に形成される非成膜
領域の大きさが異なるだけで、他の部分には影響せず、
素子の発光領域を狭めることもないことがわかる。
【0044】図5は、本発明の有機EL表示装置の第2
の構成例を示す部分断面図である。この例では、溝構造
2の開口付近に基板と概ね平行な方向であって、溝構造
の中央方向に張り出したオーバーハング部8を有してい
る。また、溝構造2は、基板上の下地層1aの上に形成
している。このオーバハング部8は、溝構造2の開口部
の両側に張り出した庇状に形成されている。庇状のオー
バハングの膜厚としては、10nm〜5μm 程度が好まし
い。なお、溝構造2の内部には、有機層5や第2の電極
6の構成材料の一部が堆積するが、溝を挟んで電気的に
導通することはない。
【0045】オーバーハング部8は、例えば、次のよう
にして形成することができる。先ず、溝構造2の内部を
埋めるように、塗布、スピンコート等被覆性のよい手段
で第1の層を形成する。その場合の第1の層の材質とし
ては、ポリイミド、SOG膜等が好ましい。さらに、溝
構造2内部を残して第1の層を除去し、その上に開口部
21を残してオーバーハング8となる第2の層を形成
し、第1の層を除去することにより形成する。第2の層
の構成材料としては、レジスト、ポリイミド、アクリル
系樹脂、オレフィン系樹脂等の樹脂材料や、SiO2
SiNx 、SiON、Al23 、SOG(spin on gla
ss)膜等の無機材料が好ましい。その他の構成は図3と
同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を
省略する。
【0046】図6は、本発明の有機EL表示装置の第3
の構成例を示す部分断面図である。この例では、溝構造
2の開口付近に基板と概ね平行な方向で、溝構造の中央
方向に張り出したオーバーハング部8が形成され、その
張り出しが溝構造2の底部方向に向かって順次小さくな
るテーパー状に形成されている。テーパー状に形成する
ことにより、オーバーハング部8の強度が増し、その後
の工程、例えば、加熱、洗浄などの工程で、オーバーハ
ング部8が破壊され難くなる。
【0047】この例のオーバーハング部8は、例えば、
溝構造2の内部を埋めるように第1の層を形成し、その
上に開口部21を残して第2の層を形成し、エッチング
条件を適当に選択することにより第1の層の一部を除去
して形成することができる。その他の構成は図5と同様
であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略
する。
【0048】図7は、本発明の有機EL表示装置の第4
の構成例を示す部分断面図である。この例では、溝構造
2の開口付近に基板と概ね平行な方向であって、溝構造
の中央方向に張り出したオーバーハング部8が、溝構造
2の開口部の一方の側にのみ形成されている。そして、
この張り出しは、溝構造2の底部方向に向かって順次小
さくなるテーパー状に形成されている。その他の構成は
図6と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して
説明を省略する。
【0049】図8は、本発明の有機EL表示装置の第5
の構成例を示す部分断面図である。この例では、溝構造
2の底部から開口部方向に突出した構造物9を有してい
る。この構造物9は底部と開口部で同じ大きさとなるよ
うにしてもよく、開口部に向かって大きくなるように形
成しても、底部に向かって大きくなるように形成しても
よいが、素子分離の面では開口部に向かって大きくなる
ように形成することが好ましい。構造物9の高さは、素
子成膜面以下、特に基板上の発光領域となる部分に成膜
された第2の電極層の位置以下であることが好ましい。
構造物9の高さが高すぎると、溝構造位外の部位にも第
2の電極の非成膜領域が生じる等、不都合が生じてく
る。その他の構成は図3と同様であり、同一構成要素に
は同一符号を付して説明を省略する。また、構造物は溝
構造の底部側に基部を有し、開口部側に基板面と概ね平
行方向に張り出したり、幅が大きくなったりしているオ
ーバーハング部を有する構造としてもよい。
【0050】構造物の材質としては、前記下地層と同様
なものや、ネガ型感光性樹脂等が好ましい。また、基部
とオーバーハング部とを有する構造とする場合、基部に
はポリイミド、レジスト等が好ましく、オーバーハング
部にはレジスト、感光性ポリイミド等の感光性樹脂等が
好ましい。
【0051】次に、本発明の有機EL表示装置を構成す
る有機EL素子について説明する。
【0052】本発明における有機EL素子は、例えば、
図3に示したように基板1上に第1の電極としてITO
等のホール注入電極3と、1種以上の発光機能に関与す
る有機層5と、第2の電極として電子注入電極6とを有
する。有機層は、それぞれ、ホール注入輸送層、発光
層、電子注入輸送層を有する構成としてもよい。あるい
は、この逆の積層としてもよい。
【0053】また、例えば基板上にITO等の第1のホ
ール注入電極と、第1のホール注入層と、第1の発光層
と、第1の電子注入層と、第1の電子注入電極とを順次
形成し、その上に第2の電子注入層と、第2の発光層
と、第2のホール注入層と、第2のホール注入電極とを
順次形成し、さらにその上に、第3のホール注入層と、
第3の発光層と、第3の電子注入層と、第2の電子注入
電極とを順次形成した構成としてもよい。
【0054】あるいは、基板上に第1の電子注入電極
と、第1の電子注入層と、第1の発光層と、第1のホー
ル注入層と、第1のホール注入電極とを順次形成し、そ
の上に第2のホール注入層と、第2の発光層と、第2の
電子注入層と、第2の電子注入電極とを形成し、さらに
その上に、第3の電子注入層と、第3の発光層と、第3
のホール注入層と、第2のホール注入電極を有する構成
としてもよい。この場合、電子注入電極等は光透過性を
確保するため、膜厚を100nm以下とすることが好まし
い。上記複数の発光層を有する構成は、フルカラー発光
や白色発光に適している。
【0055】ホール注入電極は、通常基板側の第1の電
極として形成され、発光した光を取り出す構成であるた
め、透明ないし半透明な電極が好ましい。透明電極とし
ては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO(亜
鉛ドープ酸化インジウム)、ZnO、SnO2 、In2
3 等が挙げられるが、好ましくはITO(錫ドープ酸
化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)
が好ましい。ITOは、通常In2 3 とSnOとを化
学量論組成で含有するが、O量は多少これから偏倚して
いてもよい。
【0056】ホール注入電極の厚さは、ホール注入を十
分行える一定以上の厚さを有すれば良く、好ましくは1
0〜500nm、さらには30〜300nmの範囲が好まし
い。また、その上限は特に制限はないが、あまり厚いと
剥離、加工性の悪化、応力による障害、光透過性の低下
や、表面の粗さによるリーク等の問題が生じてくる。逆
に厚さが薄すぎると、製造時の膜強度やホール輸送能
力、抵抗値の点で問題がある。
【0057】このホール注入電極層は蒸着法等によって
も形成できるが、好ましくはスパッタ法により形成する
ことが好ましい。
【0058】電子注入電極としては、低仕事関数の物質
が好ましく、例えば、K、Li、Na、Mg、La、C
e、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Z
n、Zr等の金属元素単体、または安定性を向上させる
ためにそれらを含む2成分、3成分の合金系を用いるこ
とが好ましい。合金系としては、例えばAg・Mg(A
g:1〜20at%)、Al・Li(Li:0.3〜14
at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)、Al・
Ca(Ca:5〜20at%)等が好ましい。また、これ
らの酸化物を、電気伝導率の良好な補助電極と組み合わ
せて形成してもよい。なお、電子注入電極は蒸着法やス
パッタ法で形成することが可能である。
【0059】電子注入電極薄膜の厚さは、電子注入を十
分行える一定以上の厚さとすれば良く、0.1nm以上、
好ましくは1nm以上とすればよい。また、その上限値に
は特に制限はないが、通常膜厚は1〜500nm程度とす
ればよい。電子注入電極の上には、さらに補助電極を設
けてもよい。
【0060】補助電極の厚さは、電子注入効率を確保
し、水分や酸素あるいは有機溶媒の進入を防止するた
め、一定以上の厚さとすればよく、好ましくは50nm以
上、さらには100nm以上、特に100〜1000nmの
範囲が好ましい。補助電極層が薄すぎると、その効果が
得られず、また、補助電極層の段差被覆性が低くなって
しまい、端子電極との接続が十分ではなくなる。一方、
補助電極層が厚すぎると、補助電極層の応力が大きくな
るため、ダークスポットの成長速度が速くなってしま
う。
【0061】電子注入電極と補助電極とを併せた全体の
厚さとしては、特に制限はないが、通常100〜100
0nm程度とすればよい。
【0062】電極成膜後に、前記補助電極に加えて、S
iOX 等の無機材料、テフロン、塩素を含むフッ化炭素
重合体等の有機材料等を用いた保護膜を形成してもよ
い。保護膜は透明でも不透明であってもよく、保護膜の
厚さは50〜1200nm程度とする。保護膜は、前記の
反応性スパッタ法の他に、一般的なスパッタ法、蒸着
法、PECVD法等により形成すればよい。
【0063】さらに、素子の有機層や電極の酸化を防ぐ
ために、素子上に封止層を形成することが好ましい。封
止層は、湿気の侵入を防ぐために、接着性樹脂層を用い
て、封止板を接着し密封する。封止ガスは、Ar、H
e、N2 等の不活性ガス等が好ましい。また、この封止
ガスの水分含有量は、100 ppm以下、より好ましくは
10 ppm以下、特には1 ppm以下であることが好まし
い。この水分含有量に下限値は特にないが、通常0.1
ppm程度である。
【0064】封止板の材料としては、好ましくは平板状
であって、ガラスや石英、樹脂等の透明ないし半透明材
料が挙げられるが、特にガラスが好ましい。このような
ガラス材として、コストの面からアルカリガラスが好ま
しいが、この他、ソーダ石灰ガラス、鉛アルカリガラ
ス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカ
ガラス等のガラス組成のものも好ましい。特に、ソーダ
ガラスで、表面処理の無いガラス材が安価に使用でき、
好ましい。封止板としては、ガラス板以外にも、金属
板、プラスチック板等を用いることもできる。
【0065】封止板は、スペーサーを用いて高さを調整
し、所望の高さに保持してもよい。スペーサーの材料と
しては、樹脂ビーズ、シリカビーズ、ガラスビーズ、ガ
ラスファイバー等が挙げられ、特にガラスビーズ等が好
ましい。スペーサーは、通常、粒径の揃った粒状物であ
るが、その形状は特に限定されるものではなく、スペー
サーとしての機能に支障のないものであれば種々の形状
であってもよい。その大きさとしては、円換算の直径が
1〜20μm 、より好ましくは1〜10μm 、特に2〜
8μm が好ましい。このような直径のものは、粒長10
0μm 以下程度であることが好ましく、その下限は特に
規制されるものではないが、通常直径と同程度以上であ
る。
【0066】なお、封止板に凹部を形成した場合には、
スペーサーは使用しても、使用しなくてもよい。使用す
る場合の好ましい大きさとしては、前記範囲でよいが、
特に2〜8μm の範囲が好ましい。
【0067】スペーサーは、予め封止用接着剤中に混入
されていても、接着時に混入してもよい。封止用接着剤
中におけるスペーサーの含有量は、好ましくは0.01
〜30wt%、より好ましくは0.1〜5wt%である。
【0068】接着剤としては、安定した接着強度が保
て、気密性が良好なものであれば特に限定されるもので
はないが、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ
樹脂接着剤を用いることが好ましい。
【0069】基板材料としては特に限定するものではな
く、積層する有機EL構造体の電極の材質等により適宜
決めることができ、例えば、Al等の金属材料や、ガラ
ス、石英や樹脂等の透明ないし半透明材料、あるいは不
透明であってもよく、この場合はガラス等のほか、アル
ミナ等のセラミックス、ステンレス等の金属シートに表
面酸化などの絶縁処理を施したもの、フェノール樹脂等
の熱硬化性樹脂、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂な
どを用いることができる。
【0070】次に、有機EL素子に設けられる有機物層
について述べる。
【0071】発光層は、ホール(正孔)および電子の注
入機能、それらの輸送機能、ホールと電子の再結合によ
り励起子を生成させる機能を有する。発光層には、比較
的電子的にニュートラルな化合物を用いることが好まし
い。
【0072】ホール注入輸送層は、ホール注入電極から
のホールの注入を容易にする機能、ホールを安定に輸送
する機能および電子を妨げる機能を有するものであり、
電子注入輸送層は、電子注入電極からの電子の注入を容
易にする機能、電子を安定に輸送する機能およびホール
を妨げる機能を有するものである。これらの層は、発光
層に注入されるホールや電子を増大・閉じこめさせ、再
結合領域を最適化させ、発光効率を改善する。
【0073】発光層の厚さ、ホール注入輸送層の厚さお
よび電子注入輸送層の厚さは、特に制限されるものでは
なく、形成方法によっても異なるが、通常5〜500nm
程度、特に10〜300nmとすることが好ましい。
【0074】ホール注入輸送層の厚さおよび電子注入輸
送層の厚さは、再結合・発光領域の設計によるが、発光
層の厚さと同程度または1/10〜10倍程度とすれば
よい。ホールまたは電子の各々の注入層と輸送層とを分
ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は1nm以上とす
るのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上
限は、通常、注入層で500nm程度、輸送層で500nm
程度である。このような膜厚については、注入輸送層を
2層設けるときも同じである。
【0075】発光層には発光機能を有する化合物である
蛍光性物質が用いられる。このような蛍光性物質として
は、例えば、特開昭63−264692号公報に開示さ
れているような化合物、例えばキナクリドン、ルブレ
ン、スチリル系色素等の化合物から選択される少なくと
も1種が挙げられる。また、トリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム等の8−キノリノールないしその誘導
体を配位子とする金属錯体色素などのキノリン誘導体、
テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ペリレン、
コロネン、12−フタロペリノン誘導体等が挙げられ
る。さらには、特開平8−12600号公報(特願平6
−110569号)に記載のフェニルアントラセン誘導
体、特開平8−12969号公報(特願平6−1144
56号)に記載のテトラアリールエテン誘導体等を用い
ることができる。
【0076】また、それ自体で発光が可能なホスト物質
と組み合わせて使用することが好ましく、ドーパントと
しての使用が好ましい。このような場合の発光層におけ
る化合物の含有量は0.01〜10wt% 、さらには0.
1〜5wt% であることが好ましい。ホスト物質と組み合
わせて使用することによって、ホスト物質の発光波長特
性を変化させることができ、長波長に移行した発光が可
能になるとともに、素子の発光効率や安定性が向上す
る。
【0077】ホスト物質としては、キノリノラト錯体が
好ましく、さらには8−キノリノールまたはその誘導体
を配位子とするアルミニウム錯体が好ましい。このよう
なアルミニウム錯体としては、特開昭63−26469
2号、特開平3−255190号、特開平5−7073
3号、特開平5−258859号、特開平6−2158
74号等に開示されているものを挙げることができる。
【0078】具体的には、まず、トリス(8−キノリノ
ラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネ
シウム、ビス(ベンゾ{f}−8−キノリノラト)亜
鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ムオキシド、トリス(8−キノリノラト)インジウム、
トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウ
ム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−
8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−
キノリノラト)カルシウム、5,7−ジクロル−8−キ
ノリノラトアルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−
8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム、ポリ[亜
鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メ
タン]等がある。
【0079】また、8−キノリノールまたはその誘導体
のほかに他の配位子を有するアルミニウム錯体であって
もよく、このようなものとしては、ビス(2−メチル−
8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム(III)
、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−
クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−
8−キノリノラト)(メタークレゾラト)アルミニウム
(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ
−クレゾラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル
−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)
アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノ
ラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(II
I) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−
フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−
メチル−8−キノリノラト)(2,3−ジメチルフェノ
ラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キ
ノリノラト)(2,6−ジメチルフェノラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)
(3,4−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメ
チルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチ
ル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフ
ェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8
−キノリノラト)(2,6−ジフェニルフェノラト)ア
ルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラ
ト)(2,4,6−トリフェニルフェノラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)
(2,3,6−トリメチルフェノラト)アルミニウム(I
II) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,
3,5,6−テトラメチルフェノラト)アルミニウム(I
II) 、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(1−ナ
フトラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−8
−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(II
I) 、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)
(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(パラ−
フェニルフェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,
4−ジメチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフ
ェノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチ
ル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラ
ト)アルミニウム(III) 、ビス(2,4−ジメチル−8
−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラ
ト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4−エチ
ル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニ
ウム(III) 、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キ
ノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウ
ム(III) 、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリ
ノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III) 、
ビス(2−メチル−6−トリフルオロメチル−8−キノ
リノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III) 等が
ある。
【0080】このほか、ビス(2−メチル−8−キノリ
ノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−ビス(2−
メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス
(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム
(III) −μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キ
ノリノラト)アルミニウム(III) 、ビス(4−エチル−
2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −
μ−オキソ−ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノ
リノラト)アルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−4
−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オ
キソ−ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)
アルミニウム(III) 、ビス(5−シアノ−2−メチル−
8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ−オキソ−
ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)ア
ルミニウム(III) 、ビス(2−メチル−5−トリフルオ
ロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III) −μ
−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル
−8−キノリノラト)アルミニウム(III) 等であっても
よい。
【0081】このほかのホスト物質としては、特開平8
−12600号公報(特願平6−110569号)に記
載のフェニルアントラセン誘導体や特開平8−1296
9号公報(特願平6−114456号)に記載のテトラ
アリールエテン誘導体なども好ましい。
【0082】発光層は電子注入輸送層を兼ねたものであ
ってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム等を使用することが好ましい。これら
の蛍光性物質を蒸着すればよい。
【0083】また、発光層は、必要に応じて、少なくと
も1種のホール注入輸送性化合物と少なくとも1種の電
子注入輸送性化合物との混合層とすることも好ましく、
さらにはこの混合層中にドーパントを含有させることが
好ましい。このような混合層における化合物の含有量
は、0.01〜20wt% 、さらには0.1〜15wt% と
することが好ましい。
【0084】混合層では、キャリアのホッピング伝導パ
スができるため、各キャリアは極性的に有利な物質中を
移動し、逆の極性のキャリア注入は起こりにくくなるた
め、有機化合物がダメージを受けにくくなり、素子寿命
がのびるという利点がある。また、前述のドーパントを
このような混合層に含有させることにより、混合層自体
のもつ発光波長特性を変化させることができ、発光波長
を長波長に移行させることができるとともに、発光強度
を高め、素子の安定性を向上させることもできる。
【0085】混合層に用いられるホール注入輸送性化合
物および電子注入輸送性化合物は、各々、後述のホール
注入輸送層用の化合物および電子注入輸送層用の化合物
の中から選択すればよい。なかでも、ホール注入輸送層
用の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン誘導体、
例えばホール輸送材料であるトリフェニルジアミン誘導
体、さらにはスチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を持
つアミン誘導体を用いるのが好ましい。
【0086】電子注入輸送性の化合物としては、キノリ
ン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体
を配位子とする金属錯体、特にトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム(Alq3 )を用いることが好まし
い。また、上記のフェニルアントラセン誘導体、テトラ
アリールエテン誘導体を用いるのも好ましい。
【0087】この場合の混合比は、それぞれのキャリア
移動度とキャリア濃度によるが、一般的には、ホール注
入輸送性化合物の化合物/電子注入輸送機能を有する化
合物の重量比が、1/99〜99/1、さらに好ましく
は10/90〜90/10、特に好ましくは20/80
〜80/20程度となるようにすることが好ましい。
【0088】また、混合層の厚さは、分子層一層に相当
する厚み以上で、有機化合物層の膜厚未満とすることが
好ましい。具体的には1〜85nmとすることが好まし
く、さらには5〜60nm、特には5〜50nmとすること
が好ましい。
【0089】また、混合層の形成方法としては、異なる
蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸
発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同
じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもでき
る。混合層は化合物同士が均一に混合している方が好ま
しいが、場合によっては、化合物が島状に存在するもの
であってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質
を蒸着するか、あるいは、樹脂バインダー中に分散させ
てコーティングすることにより、発光層を所定の厚さに
形成する。
【0090】また、ホール注入輸送層には、例えば、特
開昭63−295695号公報、特開平2−19169
4号公報、特開平3−792号公報、特開平5−234
681号公報、特開平5−239455号公報、特開平
5−299174号公報、特開平7−126225号公
報、特開平7−126226号公報、特開平8−100
172号公報、EP0650955A1等に記載されて
いる各種有機化合物を用いることができる。例えば、テ
トラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミン
ないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級ア
ミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリア
ゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有する
オキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン等である。こ
れらの化合物は、1種のみを用いても、2種以上を併用
してもよい。2種以上を併用するときは、別層にして積
層したり、混合したりすればよい。
【0091】ホール注入輸送層をホール注入層とホール
輸送層とに分けて設層する場合は、ホール注入輸送層用
の化合物のなかから好ましい組合せを選択して用いるこ
とができる。このとき、ホール注入電極(ITO等)側
からイオン化ポテンシャルの小さい化合物の順に積層す
ることが好ましい。また、ホール注入電極表面には薄膜
性の良好な化合物を用いることが好ましい。このような
積層順については、ホール注入輸送層を2層以上設ける
ときも同様である。このような積層順とすることによっ
て、駆動電圧が低下し、電流リークの発生やダークスポ
ットの発生・成長を防ぐことができる。また、素子化す
る場合、蒸着を用いているので1〜10nm程度の薄い膜
も均一かつピンホールフリーとすることができるため、
ホール注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、可視部
に吸収をもつような化合物を用いても、発光色の色調変
化や再吸収による効率の低下を防ぐことができる。ホー
ル注入輸送層は、発光層等と同様に上記の化合物を蒸着
することにより形成することができる。
【0092】また、必要に応じて設けられる電子注入輸
送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム
(Alq3 )等の8−キノリノールまたはその誘導体を
配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキ
サジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導
体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニ
ルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等を用い
ることができる。電子注入輸送層は発光層を兼ねたもの
であってもよく、このような場合はトリス(8−キノリ
ノラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。電
子注入輸送層の形成は、発光層と同様に、蒸着等によれ
ばよい。
【0093】電子注入輸送層を電子注入層と電子輸送層
とに分けて積層する場合には、電子注入輸送層用の化合
物の中から好ましい組み合わせを選択して用いることが
できる。このとき、電子注入電極側から電子親和力の値
の大きい化合物の順に積層することが好ましい。このよ
うな積層順については、電子注入輸送層を2層以上設け
るときも同様である。
【0094】上記有機層中、ホール注入輸送層や、電子
注入輸送層等を無機材料により形成してもよい。
【0095】ホール注入輸送層、発光層および電子注入
輸送層の形成には、均質な薄膜が形成できることから、
真空蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法を用い
た場合、アモルファス状態または結晶粒径が0.2μm
、特に0.1μm 以下の均質な薄膜が得られる。結晶
粒径が0.2μm 、特に0.1μm を超えていると、不
均一な発光となり、素子の駆動電圧を高くしなければな
らなくなり、ホールの注入効率も著しく低下する。
【0096】真空蒸着の条件は特に限定されないが、1
-4Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/
sec 程度とすることが好ましい。また、真空中で連続し
て各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形
成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げる
ため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低く
したり、ダークスポットの発生・成長を抑制したりする
ことができる。
【0097】これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場
合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化
合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着する
ことが好ましい。
【0098】基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む
色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコン
トロールしてもよい。この場合、下地層はこれらの機能
膜とは別に形成される。
【0099】色フィルター膜には、液晶ディスプレイ等
で用いられているカラーフィルターを用いれば良いが、
有機EL素子の発光する光に合わせてカラーフィルター
の特性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すれば
よい。
【0100】また、EL素子材料や蛍光変換層が光吸収
するような短波長の外光をカットできるカラーフィルタ
ーを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向
上する。
【0101】また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用
いてカラーフィルターの代わりにしても良い。
【0102】蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を
吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させること
で、発光色の色変換を行うものであるが、組成として
は、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の三つから形成
される。
【0103】蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高
いものを用いれば良く、EL発光波長域に吸収が強いこ
とが望ましい。実際には、レーザー色素などが適してお
り、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン
系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロシアニ
ン等も含む)ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素
系化合物・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・ク
マリン系化合物等を用いればよい。
【0104】バインダーは、基本的に蛍光を消光しない
ような材料を選べば良く、フォトリソグラフィー・印刷
等で微細なパターニングが出来るようなものが好まし
い。また、ITO、IZOの成膜時にダメージを受けな
いような材料が好ましい。
【0105】光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りな
い場合に用いるが、必要のない場合は用いなくても良
い。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しな
いような材料を選べば良い。
【0106】有機EL素子は、直流駆動やパルス駆動さ
れ、また交流駆動も可能である。印加電圧は、通常、2
〜30V 程度である。
【0107】
【実施例】次に実施例を示し、本発明をより具体的に説
明する。 〔実施例1〕図9に示すように、ガラス基板上に配線電
極としてAl(11b)/Cr(11a)をスパッタ法
でそれぞれ300nm、200nmの膜厚に連続成膜した。
さらに、フォトリソグラフィーにより図9に示すような
配線電極パターンを形成した。なお、図9において、
(A)は平面図、(B)は(A)の断面A−A’矢視図
である(以下図12まで同様)。
【0108】次いで、図10に示すように、溝を形成す
るための下地層1b(絶縁膜)としてSOG膜を1.5
μm の膜厚に成膜した。フォトリソグラフィーにより、
後に形成するITO透明導電膜と配線電極とを接続する
ためのコンタクトホール13を形成した。このとき同時
に溝2も形成した。このエッチングは、Cr(11a)
表面が露出するようにドライエッチングを行い、溝部分
のむき出しになった配線電極11の側面にSOGを残す
ようにした(図示せず)。
【0109】次に、図11に示すように、第1の電極層
3としてITO(錫ドープ酸化インジウム)をスパッタ
法で100nm成膜し、島状にパターニングし、画素電極
(第1の電極)3とした。この例では、縦の列のグルー
プの画素電極は、1本の配線電極11を介してそれぞれ
接続され、電気的に導通している。
【0110】次いで、図12に示すように、ポリイミド
12を塗布し、現像液でエッチングできるようにするた
めに、半硬化状態になる温度(100〜150℃)で処
理した。さらに、図13に示すように、フォトレジスト
13を用い、溝を埋めるようにパターニングした。な
お、図13は、図12のC−C’断面矢視図である。
【0111】引き続き図14に示すように、レジスト1
4を塗布し、庇が形成されるようにパターニングした。
この際、ポリイミド12が一部だけエッチングされ、基
板側にやや残るような現像時間で処理することで、図1
5に示すような形状とすることができた。なお、図15
は、図14のC−C’断面矢視図である。
【0112】次いで、図16に示すように、発光層を含
む有機層5を蒸着法にて成膜した。まず、ホール注入層
およびホール輸送層としN,N´−ビス(m−メチルフ
ェニル)−N,N´−ジフェニル−1,1´−ビフェニ
ル−4,4´−ジアミン(N,N'-bis(m-methyl pheny
l)-N,N'-diphenyl-1,1'-biphenyl-4,4'-diamine以下T
PDと略す)を、発光層兼電子輸送層としてトリス(8
−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(tris (8-hydro
xyquinoline)以下Alq3 と略す)を基板を回転させ
ながら成膜した。膜厚はそれぞれ、50nm、50nmにし
た。
【0113】さらに、真空を破らずに連続して第2の電
極6としてMg/Ag合金(重量比10:1)を蒸着し
た。膜厚は200nmにした。第2の電極6の成膜は溝部
分を完全に覆わないように基板を回転させずに溝の延び
る方向と概ね垂直な方向から斜方蒸着した。
【0114】本発明はその趣旨から明らかなようにこの
実験例で用いた有機EL素子構成膜及びその積層順序に
限るものではなく、ホール注入層、発光層、第2の電極
に他の材料を用いてもよく、さらにホール注入層、電子
輸送層、電子注入層などを形成し多層構造としても良
い。言い換えると成膜される材料の種類、構造によらず
適用できる。さらに、PPV(poly phenylene vinylen
e)等の塗布する事により膜を形成することができる有
機発光材料においては、材料の流動性から埋められて溝
の深さが浅くなるが、充分な深さの溝を形成すれば適用
可能である。一般的にはこの塗布型の材料の膜厚は10
0nm前後であるため、500nm以上の溝の深さがあれば
十分である。
【0115】〔実施例2〕実施例1においてポリイミド
12による溝埋めの後に、SiO2 をスパッタ法を用い
て100nm成膜し、引き続き第2の電極6の補助電極1
5としてAlを1500nm成膜した。レジストでパター
ンを形成して、Alを45℃に加熱したリン酸、硝酸、
酢酸混合液でエッチングした。この際に十分にエッチン
グ時間を長くし、レジストパターン14より片側2μm
小さくなるようにした。さらに、ドライエッチングによ
り、SiO2 をエッチングし、引き続きアッシングを行
うことで実施例1と同様のアンダーカット付きの溝を形
成した。こうして、図17に示すように、自己整合的に
レジスト14のパターンよりひとまわり小さいAlの補
助電極15パターンが形成された。
【0116】さらに、やはり実施例1と同様に、発光層
を含む有機層5を形成し、第2の電極6を70nm、スパ
ッタ法で成膜した。図17に示すように、レジスト14
上に形成された補助電極15は90°に近い段差に形成
されたため、有機層5は被覆しきれず、結果として、補
助電極15と第2の電極6は電気的に導通した。
【0117】第2の電極6の膜厚が薄く、充分低抵抗に
ならないにも関わらず、補助電極15が電圧降下を防い
だため、画面全体にわたってムラの少ない表示が可能に
なった。
【0118】〔実施例3〕この例では、配線電極の作成
条件は、実施例1と同様であるため省略する。ただし、
溝部分に形成された配線電極は、2〜3μm の太さのパ
ターンとした。また、図では、溝部分に着目して示し
た。
【0119】図18に示すように、ガラス基板1上に、
2μm 厚の黄色カラーフィルター12dを塗布し、溝構
造2が形成されるようにパターニングした。次いで、図
19に示すように、第1の電極3として、ITOを成膜
後パターニングした。
【0120】次に、図20に示すように、構造物基部9
aとして、ポリイミドを1μm 塗布し、120℃で1時
間乾燥し、さらに、図21に示すように、構造物オーバ
ーハング部9bとして、ネガレジストを1μm 塗布し、
乾燥した。基板1側から露光すれば、溝構造2の部分の
みが露光されるため、現像すると図22のような溝構造
2の中にオーバーハング部9bを有する素子分離の構造
物9が形成された。この際、迷光を利用し、配線電極上
のネガレジストも感光するように充分な量の光で露光す
ることが望ましい。なお、この例では基板1の裏面側か
ら露光した例を示したが、膜面(表面)側から露光する
ことも可能である。
【0121】〔実施例4〕実施例3と同様にポリイミド
の塗布までを行い、さらに実施例1のように溝部分にの
みポリイミドを残した。この残したポリイミドが現像液
に溶けないように200℃でさらに硬化させた。次に、
ポジレジストを塗布し、乾燥させた。溝構造2を覆うよ
うなマスクで露光した後に、やはり裏面から露光し、現
像した。図23に示すように、溝構造2のテーパー部分
が紫外光を遮蔽するため、オーバーハング部8を有する
溝構造2が形成された。
【0122】〔実施例5〕この実施例では対角2.5イ
ンチ、ドット数640×480のディスプレイを作製し
た例を示す。1ドットのサイズは80μm ×80μm と
非常に小さく、基板上の素子成膜面より突出した素子分
離構造を用いると有効発光領域が非常に小さくなってし
まう。こうした高精細さが要求される場合に、本発明は
非常に有効である。
【0123】まず、図24に示すように、清浄な透明ガ
ラス基板上にAl−Sc(11c)を1.5μm 、Cr
(11a)を0.2μm 連続成膜し、ドライエッチング
法でパターニングし、配線電極11を形成した。なお、
図24において、(A)は平面図、(B)は断面B−
B’矢視図である(以下図27まで同様)。
【0124】さらに、図25に示すように、下地層1c
として透明度の高い感光性アクリル樹脂を厚さ3μm の
膜厚に形成した。この下地層1cにはコンタクトホール
13が形成されており、次に形成される第1の電極層3
と配線電極11が接続される構造になっている。
【0125】次に、図26に示すように、第1の電極3
として、実施例1と同様にITOを成膜した。ITOは
前述のようにコンタクトホール13を介して配線電極1
1と接続されるように配置した。また、それぞれの画素
のITOは、図26(A)に示すように、島状にパター
ニングした。
【0126】さらに、図27,図28に示すように、絶
縁層4としてSiO2 をスパッタ法で300nm成膜し、
コンタクトホール部と、溝を形成したい部分の両側に残
るようにパターニングした。なお、図28は図27
(A)の断面C−C’矢視図である。SiO2 のエッチ
ングはドライエッチング法で行い、図27,図28に示
すように、パターン端が10〜30°のテーパー角にな
るようにエッチングした。エッチング条件は、RFパワ
ー2 W/cm2 、CF4 /O2 =80/20sccm、ガス圧
100 mTorr(13.3Pa)、で行い、2分間処理した。
画素部分にはITOの表面と、アクリル樹脂膜の表面が
露出した。
【0127】引き続き、真空を破らずに、RFパワー2
W/cm2 、O2 =100sccm、ガス圧500 mTorr(6
6.7Pa)で、2分間アッシングした。この際、フォト
レジストとともに、図29に示すように露出した下地層
1cもアッシングされ、溝が形成されるのみならず、絶
縁層4の下にアンダーカットを有する溝構造2が形成さ
れた。このようにアンダーカットを形成することでこの
後成膜される第2の電極材料や配線材料の基板への入射
方向によらず、隣り合う第2の電極6同士を電気的に分
離することが可能になった。また、ここではITOの段
差部におけるリーク不良を減らすため、ITOの段差部
を絶縁層4で被覆する構造を同時に取った。こうするこ
とで新たに絶縁膜でITO段差部を覆う工程を設ける必
要が無くなった。
【0128】白色発光化のために発光素子は以下のよう
な材料を成膜することで形成した。この実施例では黄色
発光と、青色発光するEL材料を用いた。
【0129】ホール注入層としてポリ(チオフェン−
2,5ージイル)を10nmの厚さに、ホール輸送層兼黄
色発光層としてTPDにルブレンを1wt%の割合でド
ープしたものを共蒸着で5nm成膜した。ルブレンの濃度
は0.1〜10wt%程度が好ましく、この濃度で高効率
で発光する。濃度は発光色の色バランスより決定すれば
よく、この後成膜する青色発光層の光強度と波長スペク
トルにより左右される。さらに青色発光層として4,4
‘−ビス[(1,1,2−トリフェニル)エテニル]ビ
フェニルを50nm、電子輸送層としてAlq3 を10nm
成膜し、有機層5とした。
【0130】次いで、第2の電極6としてAl・Li合
金及びAlをスパッタ法で真空を破らずに成膜した。図
30に示すように、スパッタ法のように比較的段差被覆
性の良い方法を用いても、溝構造2にアンダーカットを
形成した場合には第2の電極6を分離することができ
た。
【0131】最後に乾燥N2 雰囲気中でガラス板を貼り
合わせて封止し、ディスプレイパネルが完成した。
【0132】こうして製造されたディスプレイは表示が
明るく、また、真空を破らずに成膜したため、信頼性が
高いことが確認された。この構造、及び方法によれば、
ストライプ状に第2の電極を分離することができるばか
りでなく、曲がりくねった構造の第2の電極でも分離可
能である。
【0133】〔実施例6〕実施例5において、SiO2
の絶縁層4を形成した後、引き続き第2の電極の補助電
極15としてAlを1500nm成膜した。レジストをパ
ターンを形成して、Alを45℃に加熱したリン酸、硝
酸、酢酸混合液でエッチングした。この際に十分にエッ
チング時間を長くし、レジストパターンより片側2μm
小さくなるようにした。実施例5と同様にSiO2 をエ
ッチングし、アッシングによりアンダーカット付きの溝
2を形成した。こうして、図31に示すように、自己整
合的にSiO2 のパターンよりひとまわり小さいAlの
補助電極15パターンが形成された。
【0134】さらに、やはり実施例5と同様に、発光層
を含む有機層5を形成し、第2の電極6を70nm、スパ
ッタ法で成膜した。図31に示すように、絶縁層(Si
2)4上に形成された補助電極15は90°に近い段
差に形成されたため、有機層5は被覆しきれず、結果と
して、補助電極15と第2の電極6は電気的に導通し
た。
【0135】第2の電極6の膜厚が薄く、充分低抵抗に
ならないにも関わらず、補助電極15が電圧降下を防い
だため、画面全体にわたってムラの少ない表示が可能に
なった。
【0136】上記の各実施例から明らかなように、本発
明により、発光面積が広く、信頼性の高い有機EL表示
装置の製造が可能になった。また、特に実施例5に示し
たように製造工程を減らす事ができ、コストダウンが可
能になった。
【0137】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、発光領域
の割合が広く、かつ信頼性が高く、大型基板の使用が可
能で、1枚の基板中に多数のディスプレイを配置して製
造することができ、製造コストの低コスト化を可能とし
た有機EL表示装置およびその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL表示装置の基本構成例を示し
た、平面図である。
【図2】図1の断面A−A’矢視図である。
【図3】本発明の有機EL表示装置の第1の構成例を示
した、部分断面図である。
【図4】図1において、成膜粒子の基板への入射方向が
変わった場合の第2の電極の成膜状態を示した図であ
る。
【図5】本発明の有機EL表示装置の第2の構成例を示
した、部分断面図である。
【図6】本発明の有機EL表示装置の第3の構成例を示
した、部分断面図である。
【図7】本発明の有機EL表示装置の第4の構成例を示
した、部分断面図である。
【図8】本発明の有機EL表示装置の第5の構成例を示
した、部分断面図である。
【図9】(A)は本発明の実施例1の製造工程を示した
平面図、(B)はそのB−B’断面矢視図である。
【図10】(A)は本発明の実施例1の製造工程を示し
た平面図、(B)はそのB−B’断面矢視図である。
【図11】(A)は本発明の実施例1の製造工程を示し
た平面図、(B)はそのB−B’断面矢視図である。
【図12】(A)は本発明の実施例1の製造工程を示し
た平面図、(B)はそのB−B’断面矢視図である。
【図13】本発明の実施例1の製造工程を示した図12
におけるC−C’断面矢視図である。
【図14】本発明の実施例1の製造工程を示した平面図
である。
【図15】本発明の実施例1の製造工程を示した図14
のC−C’断面矢視図である。
【図16】本発明の実施例1製造工程を示した断面図で
ある。
【図17】本発明の実施例2の製造工程を示した断面図
である。
【図18】本発明の実施例3の製造工程を示した断面図
である。
【図19】本発明の実施例3の製造工程を示した断面図
である。
【図20】本発明の実施例3の製造工程を示した断面図
である。
【図21】本発明の実施例3の製造工程を示した断面図
である。
【図22】本発明の実施例3の製造工程を示した断面図
である。
【図23】本発明の実施例4の製造工程を示した断面図
である。
【図24】(A)は本発明の実施例5の製造工程を示し
た平面図、(B)はそのB−B’断面矢視図である。
【図25】(A)は本発明の実施例5の製造工程を示し
た平面図、(B)はそのB−B’断面矢視図である。
【図26】(A)は本発明の実施例5の製造工程を示し
た平面図、(B)はそのB−B’断面矢視図である。
【図27】(A)は本発明の実施例5の製造工程を示し
た平面図、(B)はそのB−B’断面矢視図である。
【図28】本発明の実施例5の製造工程を示した図27
におけるC−C’断面矢視図である。
【図29】本発明の実施例5の製造工程を示した断面図
である。
【図30】本発明の実施例5の製造工程を示した断面図
である。
【図31】本発明の実施例6の製造工程を示した断面図
である。
【図32】従来の隔壁を有する有機ELディスプレイの
製造方法を示した部分断面図である。
【図33】従来の斜方蒸着の様子を示した概略図であ
る。
【図34】図34A部における成膜状態を示した部分断
面図である。
【図35】図34B部における成膜状態を示した部分断
面図である。
【符号の説明】
1 基板 1a、1b、1c 下地層 2 溝構造 3 第1の電極 4 絶縁層 5 有機層 6 第2の電極 7 成膜粒子 11 配線電極 13 コンタクトホール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H05B 33/26 H05B 33/26 Z

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配線電極と、この配線電極とコンタクト
    ホールを介して接続されている第1の電極と、発光機能
    に関与する1種または2種以上の有機層と、第2の電極
    とを有し、かつ電気的に独立に発光させることが可能な
    有機EL素子構造を複数有し、 隣接する有機EL素子構造の境界には隣り合う有機EL
    素子構造の少なくとも一方の電極を分離するための溝構
    造を有し、 前記配線電極は、少なくとも、隣接する第1の電極間で
    あって画素として機能する発光領域以外の領域に形成さ
    れている有機EL表示装置。
  2. 【請求項2】 前記コンタクトホール上には第1の電極
    の一部が成膜され、かつその上層の有機層との間には絶
    縁層が形成されている請求項1の有機EL表示装置。
  3. 【請求項3】 前記コンタクトホールは、概ね多角形状
    を有する第1の電極の少なくとも1つの辺に接して配置
    され、配線電極と電気的に接続されている請求項1また
    は2の有機EL表示装置。
  4. 【請求項4】 前記溝構造の深さは、有機層および第2
    の電極層の合計膜厚の1/2〜20倍である請求項1〜
    3のいずれかの有機EL表示装置。
  5. 【請求項5】 前記溝構造の少なくとも一方の開口部付
    近には基板と概ね平行な方向であって、かつ溝構造の中
    央方向に張り出したオーバーハング部が形成されている
    請求項1〜4のいずれかの有機EL表示装置。
  6. 【請求項6】 前記オーバーハング部は、溝構造の両方
    の開口部付近に形成されている請求項5の有機EL表示
    装置。
  7. 【請求項7】 前記溝構造の底部には、基板面に対して
    垂直方向に突出し、かつその高さが発光領域における第
    2の電極層以下である立体構造物を有する請求項1〜6
    のいずれかの有機EL表示装置。
  8. 【請求項8】 前記立体構造物は、溝構造の底部側より
    上端部側の幅が大きい請求項7の有機EL表示装置。
  9. 【請求項9】 前記オーバハング部は、絶縁性材料によ
    り形成され、かつこの一部が基板上、または下地層上に
    形成されるとともに第1の電極の一部を覆うように形成
    されている請求項5〜8のいずれかの有機EL表示装
    置。
  10. 【請求項10】 前記オーバーハング部は、溝構造の開
    口端から10nm〜5μm の高さに形成されている請求項
    5〜9のいずれかの有機EL表示装置。
  11. 【請求項11】 前記基板上、または下地層上に形成さ
    れているオーバーハング部は、その段差部分ないし端部
    が成膜面に対して45度以下のテーパー角を有する請求
    項5〜10のいずれかの有機EL表示装置。
  12. 【請求項12】 前記オーバーハング部は、少なくとも
    その一部の領域上に厚さ2μm 以下の導電膜が形成され
    ている請求項5〜11のいずれかの有機EL表示装置。
  13. 【請求項13】 絶縁基板上に配線電極を形成する工程
    と、 配線電極が形成された基板上に下地層を形成する工程
    と、 基板上に形成された下地層に溝構造を形成する工程と、 第1の電極を形成する工程と、 少なくとも発光機能に関与する有機層を形成する工程
    と、 第2の電極を成膜する工程とを有し、 前記第2の電極を成膜するに際し、段差被覆性の低い方
    法を用い、形成された溝構造部分で前記第2の電極を分
    離する有機EL表示装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記コンタクトホール上に第1の電極
    の一部を成膜し、かつその上層の有機層との間に絶縁層
    を形成する請求項13の有機EL表示装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第1の電極と、有機層と、第2の
    電極は、気相堆積法により形成される請求項13または
    14の有機EL表示装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記第2の電極は斜方蒸着により形成
    される請求項13〜15のいずれかの有機EL表示装置
    の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記溝構造を形成する際、または溝構
    造を形成した後、この溝構造の少なくとも一方の開口部
    付近に基板と概ね平行な方向であって、かつ溝構造の中
    央方向に張り出したオーバーハング部を形成する工程を
    有する請求項13〜16のいずれかの有機EL表示装置
    の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記溝構造を形成するに際し、この溝
    構造の底部から基板面に対して垂直方向に突出し、かつ
    その高さが発光領域における第2の電極層以下である立
    体構造物を形成する請求項13〜17のいずれかの有機
    EL表示装置の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記オーバハング部を形成するに際
    し、絶縁性材料を用い、かつその一部を基板上、または
    下地層上に形成して第1の電極の一部を覆うように形成
    する請求項17または18の有機EL表示装置の製造方
    法。
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