JPH1130714A - 偏光板、楕円偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 入射光を散乱透過させる視野拡大フィルムを
用いずとも、視野角を拡大させることができる偏光板、
楕円偏光板及び液晶表示装置を得る。 【解決手段】 偏光素子１３の両面に、接着剤層１２及
び１４を介して保護フィルム１１及び１５が貼り合わさ
れてなる偏光板１０において、接着剤層１２及び１４の
少なくとも１層中に、該接着剤層１２または１４の接着
剤と異なる屈折率を有する透光性微粒子を５〜５０重量
％含有させたことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示に用いら
れる偏光板、及び楕円偏光板、並びにこれらを用いた液
晶表示装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、パーソナルコンピューターやワー
プロ、モニターといった大画面に液晶表示装置が用いら
れることが多くなってきている。表示方式としては、Ｔ
Ｎ（ツイステッドネマチック）液晶を用い、ＴＦＴ（薄
膜トランジスタ）により駆動させるＴＦＴ方式と、ＳＴ
Ｎ（スーパーツイステッドネマチック）液晶の複屈折を
利用したＳＴＮ方式に大別される。

【０００３】ＴＦＴ方式は、高コントラスト、高速応答
性、視野角の点で、ＳＴＮ方式より優れているが、生産
コストが高く、また絶対的な視野角が不十分である。Ｓ
ＴＮ方式は、ＳＴＮ液晶の複屈折性に基づく楕円偏光の
ため表示面が着色するという問題があり、位相差を補償
するため、偏光板に位相差板を粘着剤層を介して貼り合
わせられた楕円偏光板が一般的に用いられている。

【０００４】単純マトリックス方式であるＳＴＮ方式
は、アクティブマトリックス方式であるＴＦＴ方式に比
べ、コスト等のメリットを有するものの、複屈折モード
から生じる階調反転やコントラスト低下等の問題があ
り、また視野角特性もＴＦＴ方式より悪いという問題が
ある。このように、ＴＦＴ方式及びＳＴＮ方式は、それ
ぞれに長所及び欠点を有しているが、共に液晶表示装置
における共通の課題として、視野角の拡大が望まれてい
る。

【０００５】特公平７−１１４０１３号公報では、透明
樹脂マトリックス中に、該透明樹脂マトリックスとは異
なる屈折率を有する他の透明樹脂からなる粒子を分散さ
せた視野拡大フィルムを用い、これによって入射光を散
乱透過させることにより、視野角を拡大する方法が提案
されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな視野拡大フィルムを用いると、コスト面で好ましく
ないばかりでなく、液晶表示装置に、さらに視野拡大フ
ィルムを積層させることが必要となり、液晶表示装置の
薄さのメリットを損なうという問題があった。

【０００７】本発明の目的は、入射光を散乱透過させる
視野拡大フィルムを用いずとも、視野角を拡大させるこ
とができる偏光板、楕円偏光板及び液晶表示装置を提供
することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の偏光板は、偏光
素子の両面に接着剤層を介して保護フィルムが貼り合わ
されてなる偏光板であり、接着剤層の少なくとも１層中
に、該接着剤層の接着剤と異なる屈折率を有する透光性
微粒子を５〜５０重量％含有させたことを特徴とする偏
光板である。

【０００９】本発明の楕円偏光板は、上記本発明の偏光
板に粘着剤層を介して位相差板が貼り合わされてなるこ
とを特徴とする楕円偏光板である。本発明の液晶表示装
置は、上記本発明の偏光板または上記本発明の楕円偏光
板が、液晶パネルの観察者側に貼り合わされていること
を特徴とする液晶表示装置である。

【００１０】本発明において用いる偏光素子としては、
例えば、ポリビニルアルコールフィルム、部分ホルマー
ル化ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体ケン化フィルムのような親水性高分子フィ
ルムに、ヨウ素または二色性染料を吸着配向したフィル
ムなどが挙げられる。

【００１１】本発明の偏光板は、このような偏光素子の
両面に接着剤層を介して保護フィルムを貼り合わせるこ
とにより構成される。保護フィルムとしては、例えば、
ポリエステルフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリ
カーボネートフィルム、三酢酸セルロースフィルム等が
挙げられる。また接着剤層に用いる接着剤としては、ウ
レタン系、アクリル系、エポキシ系、シリコーン系等の
接着剤が挙げられる。

【００１２】本発明の偏光板においては、偏光素子の両
面に設けられる接着剤層の少なくとも１層中に、該接着
剤層の接着剤と異なる屈折率を有する透光性微粒子が５
〜５０重量％含有される。

【００１３】本発明において用いられる透光性微粒子
は、接着剤層の接着剤と異なる屈折率を有する。接着剤
と透光性微粒子の屈折率の差は、０．０５以上であるこ
とが好ましい。屈折率差が大きくなることにより、視野
拡大の効果がより大きくなる。

【００１４】本発明において用いられる透光性微粒子の
材質は、透光性を有し、マトリックスとなる接着剤と異
なる屈折率を有するものであれば特に限定されるもので
はなく、例えば、アクリル系、スチレン系、メラミン
系、シリコーン系、及びシリカ等の透光性微粒子が挙げ
られる。

【００１５】本発明において用いる透光性微粒子の平均
粒径は、特に限定されるものではないが、０．２〜５μ
ｍの範囲が好ましい。この範囲より小さい平均粒径の透
光性微粒子は製造が困難であり、また接着剤層中に均一
に分散させることが難しくなる。また透光性微粒子の平
均粒径が大きくなると、接着剤層の厚みが厚くなり、液
晶表示装置全体の厚さも厚くなるため好ましくない。

【００１６】また、透光性微粒子の粒径の変動係数（Ｃ
ｖ値：標準偏差を平均粒径で割った百分率）は、２〜４
０％の範囲内であることが好ましく、さらに好ましく
は、１０〜３０％の範囲内である。変動係数が小さすぎ
ると、分級能力の面で不利となり、またモアレ現象も発
生するおそれがある。また変動係数が大きすぎると、視
野拡大の効果が得られなくなり、また信頼性の面からも
好ましくない。

【００１７】本発明において、透光性微粒子は、接着剤
層中に５〜５０重量％、好ましくは、２０〜４０重量％
含有される。透光性微粒子の含有量が少なすぎると、光
を拡散する機能が不十分となり、視野角拡大の効果が十
分に得られない傾向にある。また透光性微粒子の含有量
が多すぎると、接着剤層の界面の面積が不十分となり、
偏光素子と保護フィルムの間の接着力が低下する傾向に
ある。

【００１８】本発明における好ましい実施形態のＴＦＴ
方式の液晶表示装置では、ガラスセルの観察者側に、粘
着剤層を介して偏光板が設けられる。粘着剤層として
は、一般に、透明性及び耐久性に優れたアクリル系粘着
剤が用いられることが多いが、特に限定されるものでは
ない。

【００１９】本発明における好ましい実施形態のＳＴＮ
方式の液晶表示装置では、ガラスセルの観察者側に、粘
着剤層を介して楕円偏光板が設けられる。楕円偏光板
は、偏光板と位相差補償フィルムを粘着剤層を介して貼
り合わせることにより構成される。本発明において用い
る位相差補償フィルムとしては、特に限定されるもので
はないが、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルフォン樹
脂、スチレン系樹脂等の非晶性の熱可塑性樹脂フィルム
またはシートを延伸したものを用いることができる。ま
た、偏光板と位相差補償フィルムを貼り合わせる粘着剤
層は、特に限定されるものではないが、一般に、透明性
及び耐久性に優れたアクリル系粘着剤が用いられる。

【００２０】作用 本発明によれば、偏光素子と保護フィルムの間に設けら
れる接着剤層の少なくとも１層中に、接着剤と異なる屈
折率を有する透光性微粒子が分散して含有される。これ
により、接着剤層を通過する光が散乱される。従って、
このような偏光板を液晶パネルの観察者側に設けた液晶
表示装置においては、光の散乱効果で、視野角特性を良
好にすることができる。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、本発明に従う実施例につい
て説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。

【００２２】図１は、本発明の偏光板の一実施例を示す
断面図である。図１において、偏光板１０は、粘着剤層
２を介して、液晶パネルのガラスセル１の上に設けられ
ている。偏光板１０は、偏光素子１３の両面に接着剤層
１２及び１４を介して保護フィルム１１及び１５を貼り
合わせることにより構成されている。接着剤層１２及び
１４には、それぞれ透光性微粒子が分散して含有されて
いる。

【００２３】図２は、本発明の楕円偏光板の一実施例を
示す断面図である。図２に示すように、楕円偏光板２０
は、偏光板１０の一方面に、粘着剤層２２を介して位相
差フィルム２１を貼り合わせることにより構成されてい
る。楕円偏光板２０は、位相差フィルム２１側におい
て、粘着剤層２を介して、液晶パネルのガラスセル１上
に設けられている。以上のような偏光板及び楕円偏光板
を、以下のようにして作製し、それぞれの視野角特性を
評価した。

【００２４】偏光板の作製 ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素濃度０．５
重量％、ヨウ化カリウム濃度２０重量％、及びホウ酸濃
度１０重量％に調整した水溶液中に浸漬し、５２℃で３
倍に均一に延伸し、水洗した後、風乾して厚さ２４μｍ
の偏光フィルムを得た。

【００２５】ウレタン系接着剤（商品名「タケラックＡ
−３１０」、武田薬品工業社製）１００重量部に、架橋
剤（商品名「Ａ−３」、武田薬品工業社製）を０．９重
量部添加することにより調製した接着剤（屈折率１．５
０）に、表１に示すような平均粒径を有する、ジビニル
ベンゼン系架橋重合体からなる透光性微粒子（屈折率
１．５７）を、表１に示すような配合量となるように添
加し、これを乾燥後の厚みが、表１に示すような厚みと
なるように、厚さ７５μｍの保護フィルムである三酢酸
セルロースフィルムに塗工した。乾燥後、これを上記偏
光フィルムにラミネートとし、図１に示すような偏光板
１０を得た。

【００２６】この偏光板１０に、アクリル系粘着剤を乾
燥後の厚さが２５μｍとなるように転写法で塗工し、偏
光板粘着シートを作製し、これをアルカリガラスセル１
（商品名「ＡＳＡＨＩ ＡＳ」、旭硝子社製）に貼り合
わせ、図１に示すような偏光板の評価サンプルを得た。

【００２７】楕円偏光板の作製 ポリカーボネートを延伸し、バレイ値が５６０ｎｍの位
相差板を作製した。透明なアクリル系粘着剤を、乾燥後
の厚さが２５μｍとなるように、厚さ３８μｍのセパレ
ーターに塗工し、転写法によって粘着剤層を上記位相差
板上に転写して位相差板粘着シートを得た。

【００２８】この位相差板粘着シートの非粘着剤側に、
上記偏光板を貼り合わせ、楕円偏光板（偏光板−位相差
板構成体）の粘着シートを得、これを上記と同様のアル
カリガラスセル１に貼り合わせ、図２に示すような楕円
偏光板構成体の評価サンプルを得た。

【００２９】以上のようにして得られた評価サンプルに
ついて、分光エリプソメーター（ニコン社製）を用い
て、ガラス面から０度入射（法線方向からの入射）した
ときの出射光の角度依存性を求めた。具体的には、０度
出射（平行透過）の光強度と、３０度方向出射の光強度
を測定し、その強度比を求めた。得られた結果を「透過
光強度比」として表１に示す。

【００３０】

【表１】

【００３１】表１に示す結果から明らかなように、本発
明に従う実施例１〜５の評価サンプルにおいては、いず
れも比較例１〜２の評価サンプルに比べ高い透過光強度
比が得られている。従って、優れた視野角特性が得られ
ていることがわかる。

【００３２】

【発明の効果】本発明によれば、接着剤層中に接着剤と
異なる屈折率を有する透光性微粒子を含有させることに
より、接着剤層に光拡散効果を付与し、これによって入
射光を散乱透過させている。従って、このような偏光板
及び楕円偏光板を用いることにより、ＴＦＴ方式及びＳ
ＴＮ方式の液晶表示装置において、別体の視野拡大フィ
ルムを用いずとも、視野角を拡大させることができ、視
野角特性を改善することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の偏光板の一実施例を示す断面図。

【図２】本発明の楕円偏光板の一実施例を示す断面図。

【符号の説明】

１…ガラスセル ２…粘着剤層 １０…偏光板 １１…保護フィルム層 １２…微粒子添加接着剤層 １３…染色ポリビニルアルコールフィルム層 １４…微粒子添加接着剤層 １５…保護フィルム層 ２１…位相差フィルム ２２…粘着剤層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 偏光素子の両面に接着剤層を介して保護
   フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、 接着剤層の少なくとも１層中に、該接着剤層の接着剤と
   異なる屈折率を有する透光性微粒子を５〜５０重量％含
   有させたことを特徴とする偏光板。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の偏光板に粘着剤層を介
   して位相差板が貼り合わされてなることを特徴とする楕
   円偏光板。
3. 【請求項３】 請求項１に記載の偏光板または請求項２
   に記載の楕円偏光板が液晶パネルの観察者側に貼り合わ
   されてなることを特徴とする液晶表示装置。