JPH11307100A - 有機電解質電池 - Google Patents

有機電解質電池

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JPH11307100A
JPH11307100A JP10245643A JP24564398A JPH11307100A JP H11307100 A JPH11307100 A JP H11307100A JP 10245643 A JP10245643 A JP 10245643A JP 24564398 A JP24564398 A JP 24564398A JP H11307100 A JPH11307100 A JP H11307100A
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Makoto Tsutsue
誠 筒江
Kazunari Kinoshita
一成 木下
Akiko Ishida
明子 石田
Masaru Nishimura
賢 西村
Nobuo Eda
信夫 江田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極の多孔度を適切に規定することにより、
容量密度の大きいポリマー電解質電池を提供することを
目的とする。 【解決手段】 ポリマーを含む活物質混合物層と活物質
混合物層を支持する集電体からなる一対の電極、ポリマ
ーからなる多孔性のセパレータ、および前記電極および
セパレータに保持された有機電解液を具備する有機電解
質電池において、前記活物質混合物層の多孔度を30〜
60%とする。正極活物質混合物層の多孔度は40〜5
5%、負極活物質混合物層の多孔度は35〜45%の範
囲にあることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機電解質電池、
特に電極およびセパレータが有機電解液を吸収保持する
ポリマーを含み、熱融着により電極とセパレータを一体
化できる有機電解質二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話やノート型コンピュータ
ー等の携帯機器の普及に伴い、小型、軽量で、高エネル
ギー密度の二次電池が切望されている。このような要望
に応えるために、各種二次電池の開発が進められてい
る。リチウムを負極活物質とするリチウム二次電池は、
高エネルギー密度が期待できることから注目されてい
る。なかでも正極、負極およびセパレータにポリマーを
含み、このポリマーに有機電解液を吸収保持させた、い
わゆるポリマー電解質二次電池が注目されている。この
ポリマー電解質二次電池は、ポリマーとしてフッ化ビニ
リデンと六フッ化プロピレンの共重合体を用い、正極、
セパレータおよび負極を熱融着により一体化できること
から、薄型電池の実用化に最も近い電池系として注目さ
れている(特表平8−507407号公報)。
【0003】上記ポリマー電解質二次電池は、たとえ
ば、次のようにして製造される。まず、コバルト酸リチ
ウムや球状黒鉛粒子のような電極活物質粉末と導電剤粉
末の混合物に、ポリマーの有機溶媒溶液と造孔剤のフタ
ル酸ジ−n−ブチルを添加してペーストを調製する。こ
のペーストを集電体に塗着した後、乾燥し前記有機溶媒
を除去して電極シートを得る。こうして得られた正極シ
ートと負極シートとの間に、造孔剤を含むポリマーのシ
ートからなるセパレータシートを介在させ、加熱下で加
圧することにより熱融着一体化して電池素子シートを得
る。次いで、この電池素子シートをたとえば抽出溶媒の
ジエチルエーテル中に浸漬して造孔剤を抽出除去し電池
素子シートに多孔性を付与し、しかる後その細孔とポリ
マー自身に有機電解液を含浸させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにして得ら
れるポリマー電解質電池の容量密度は、電極中のポリマ
ーの配合割合および電極の多孔度に大きく左右される。
すなわち、電極中のポリマーの割合が高ければ活物質の
量が相対的に減少するし、ポリマーの割合が低ければ電
極強度が低下する。また、上記の電極材料のペーストを
集電体に塗着した後、圧延するなどにより電極材料の充
填密度を上げ、多孔度を小さくすれば、電極内へ十分な
電解液量が浸透せず、従って活物質が十分利用されなく
なる。反対に、電極材料の充填密度を下げて電極部分の
空間の総体積を増やし多孔度を大きくすれば、電極中に
十分な電解液が浸透する。従って、活物質の利用率は上
がるが、活物質の絶対量は低下する。本発明は、以上に
鑑み、電極の多孔度を適切に設定することにより、容量
密度の大きいポリマー電解質電池を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の有機電解質電池
は、有機電解液を吸収保持するポリマーを含む活物質混
合物層と活物質混合物層を支持する集電体からなる一対
の電極、有機電解液を吸収保持するポリマーからなる多
孔性のセパレータ、および前記電極およびセパレータに
吸収保持された有機電解液を具備し、前記活物質混合物
層の多孔度が30〜60%であることを特徴とする。こ
こにおいて、電極の活物質混合物層の多孔度は、正極で
は40〜55%、負極では35〜45%の範囲にあるこ
とが好ましい。前記活物質混合物層の多孔度は、(活物
質混合物層の空間部分の総体積)/(活物質混合物層の
総体積)×100(%)で表される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、活物質混合物層中のポ
リマーの割合を一定にした条件の下で、多孔度を最適化
することにより容量密度の大きいポリマー電解質電池を
提供する。本発明によるポリマー電解質電池の電極は、
以下のようにして作製することが好ましい。まず、電極
活物質と導電剤の粉末混合物に、ポリマーの有機溶媒溶
液および造孔剤を混合してペーストを調製する。このペ
ーストを集電体に塗着し乾燥した後、加圧ローラーによ
り圧延し、所定の寸法に切断して電極シートを得る。セ
パレータは、造孔剤を含むポリマーのシートで用意す
る。そして、このようにして得られた電極シートおよび
セパレータシートの状態で、または正極、負極およびセ
パレータを一体に熱融着して電池素子に組み立てた状態
において、造孔剤を抽出することによりポリマー部分を
多孔性にし、電解液を浸透させる細孔を多数形成する。
【0007】このような製造方法をとる際、電極の活物
質混合物層の多孔度は、前記の加圧ローラーによる圧延
の度合いにより調整するのが好ましい。活物質混合物層
の多孔度は、ポリマーに対する造孔剤の割合によっても
調整することができる。造孔剤によって定まる多孔度
は、電解液を浸透保持させるためのものであるから、活
物質に対するポリマー量が決まれば、ポリマーに対する
最適な造孔剤の割合は自ずから決まる。このように多孔
度を調整する方法として二つの方法が考えられる。すな
わち、加圧ローラーによる圧延度合いによって調整する
方法と、造孔剤の添加割合によって調整する方法であ
る。加圧ローラーによる圧延度合いを大きくすると、ポ
リマー粒子が変形したり潰されたりして、造孔剤が抜け
て形成される細孔の径は小さくなり、多孔度は小さくな
る。圧延度合いが小さいと、ポリマーは変形したり潰さ
れたりすることがなく、造孔剤が抜けて形成される細孔
は大きく、多孔度は大きくなる。一方、造孔剤の割合を
少なくすると、できる細孔は少なく多孔度は小さくな
り、造孔剤の割合を多くすると、できる細孔は多くなり
多孔度は大きくなる。実際には、圧延度合いと造孔剤の
割合とを調整することにより多孔度が決定される。いず
れの方法においても、多孔度が小さければ、電極中への
電解液の浸透が不十分となり放電容量、特に高率放電に
おける放電容量が低下する。一方、多孔度が大きけれ
ば、同一活物質量のときは電極が厚くなり、集電体から
の距離が遠くなり放電容量は低下し、また体積が大きく
なるので体積効率が低下する。また、同一厚みとすると
活物質量の比率が小さくなり、電池の絶対放電容量が小
さくなる。さらに、多孔度が大きすぎると、電極の機械
的強度は低下し、サイクル特性の低下を招く。
【0008】本発明は、ポリマー量と造孔剤の添加割合
が一定の条件の下で、活物質混合物層の圧延度合いを調
整することにより、造孔剤によって調整される細孔およ
び活物質混合物層の充填密度に左右される細孔の両者を
勘案して、活物質混合物層の最適な多孔度を見いだした
ことに基づくものである。本発明の電極およびセパレー
タに用いるポリマーは、フッ化ビニリデンと六フッ化プ
ロピレンとの共重合体、また造孔剤はフタル酸ージ−n
ーブチルがそれぞれ好適であるが、これらに限定される
ものではない。
【0009】正極活物質としては、LiCoO2、Li
NiO2、LiMn24など充放電によりリチウムイオ
ンを可逆的に出し入れできる化合物、特に遷移金属含有
リチウム酸化物が用いられる。また、負極活物質として
は、充放電によりリチウムイオンを可逆的に出し入れで
きる炭素材料、なかでも炭素質メソフェーズ粒体を炭素
化および黒鉛化して得られた球状黒鉛粒子が好適に用い
られる。正極の集電体には、アルミニウム、チタン、ス
テンレス鋼などの箔、穴あき板、ラス板、網体など、ま
た負極の集電体には、銅、ステンレス鋼などの箔、穴あ
き板、ラス板、網体などがそれぞれ用いられる。セルを
多層に積層する構成をとるときは、穴あき板などの多孔
板を用いるのが好ましい。有機電解液には、LiClO
4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3など溶質と
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメ
トキシエタンなどの有機溶媒との組み合わせなど、有機
電解質電池に用いるものとして知られているもののなか
から適宜選択して用いられる。
【0010】本発明の好適な実施形態において、ポリマ
ーはフッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合
体であり、電極の活物質混合物中にはカーボンブラック
などの炭素質導電剤を含み、活物質混合物中のポリマー
の割合は4〜16重量%である。正極活物質に上記のよ
うな酸化物を用いた場合、活物質混合物中のポリマーの
配合割合は5〜8重量%がより好ましい。一方、負極
は、前記のような球状黒鉛粒子を活物質に用いた場合、
活物質混合物中のポリマーの配合割合は9〜16重量%
がより好ましい。
【0011】
【実施例】以下、本発明をその実施例により詳細に説明
する。 《実施例1》フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンと
の共重合体(六フッ化プロピレンの比率:12重量%)
(以下、P(VDF−HFP)で表す。)100gをア
セトン500gに溶解し、その溶液にフタル酸ージ−n
ーブチル(以下、DBPで表す。)150gを添加して
混合溶液を得た。この溶液をガラス板上に塗布した後、
乾燥してアセトンを除去し、厚さ50μmのセパレータ
シートを得た。一方、P(VDF−HFP)90gをア
セトン1500gに溶解した溶液に、コバルト酸リチウ
ムLiCoO2900g、アセチレンブラック50g、
およびDBP135gを混合し、撹拌してペーストを調
製した。このペーストを集電体のアルミニウムのラス板
の片面に塗着し乾燥した後、ロールプレスにより圧延し
た。こうして厚さ100μmの正極シートを得た。
【0012】P(VDF−HFP)120gをアセトン
1000gに溶解した溶液に、炭素質メソフェーズ粒体
を炭素化および黒鉛化して得られた平均粒径6μmの球
状黒鉛粒子(大阪ガス製)750g、導電剤の黒鉛繊維
(大阪ガス製)60g、およびDBP180gを混合し
てペーストを得た。ここに用いた黒鉛繊維は、気相成長
法により得た炭素繊維を黒鉛化したものである。このペ
ーストを集電体の銅のラス板の両面に塗着し乾燥した
後、ロールプレスにより圧延した。こうして厚さ300
μmの負極シートを得た。なお、上記の正極および負極
の集電体は、あらかじめ表面に導電性炭素皮膜を形成し
たものを用いた。この導電性炭素皮膜は、ポリフッ化ビ
ニリデンのNーメチルピロリドン溶液にアセチレンブラ
ックを分散した分散液を集電体表面に塗布した後、乾燥
して形成した。
【0013】上記のようにして得た負極シートの両面
に、それぞれセパレータシートを介して正極シートを配
し、150℃に加熱された二本の加圧ローラー間をとお
して加圧することにより一体に熱融着して電池素子を得
た。この電池素子は、次にジエチルエーテル中に浸漬す
ることによりDBPを抽出除去し、ポリマー部分を多孔
性化した後、50℃で真空乾燥し、次いで電解液中に浸
漬して電極およびセパレータ中の細孔内およびポリマー
自身に電解液を含浸保持させた。電解液には、エチレン
カーボネートとエチルメチルカーボネートの体積比1:
3の混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムLiPF6を1
モル/lの割合で溶解したものである。このようにして
調製した電池素子を、絶縁性樹脂フィルムの中間にアル
ミニウムフィルムを配したラミネートフィルムで外装し
て厚さ0.6mm、大きさ40×60mmの電池を得
た。この電池の正極活物質混合物層の多孔度は45%、
負極のそれは40%であった。
【0014】次に、負極活物質混合物層の多孔度を40
%と一定にし、正極活物質混合物層の多孔度を変えた電
池を作製した。これらをA群電池という。また、正極活
物質混合物層の多孔度を45%と一定にし、負極活物質
混合物層の多孔度を変えた電池を作製した。これらをB
群電池という。これらの電池について特性を比較した結
果を以下に説明する。まず、A群電池を放電レート0.
2Cで終止電圧3.0Vまで放電して放電容量を求め
た。その結果を図1に示す。図1の横軸には、正極活物
質混合物層の多孔度を表している。同様にB群電池につ
いて試験した結果を図2に示す。これらの図から明らか
なように、同じ活物質量であるにもかかわらず電極活物
質層の多孔度によって放電容量が大きく変わることがわ
かる。正極および負極とも多孔度30〜60%の範囲に
おいてほぼ満足できる容量が得られる。さらにくわしく
見ると、正極では多孔度40〜55%において、また負
極では多孔度35〜45%において、それぞれ80mA
h(活物質利用率80%)以上を得ることができ、より
好ましい。
【0015】次に、A群電池については正極の多孔度が
25、45、および70%のもの、B群電池については
負極の多孔度が23、40、および52%のものをそれ
ぞれ放電レートを変えて放電した。図3に正極の多孔度
を変えた電池の放電レートと放電容量との関係を示す。
また、図4に負極の多孔度を変えた電池の放電レートと
放電容量との関係を示す。これらの図から、電極活物質
層の多孔度が適切でないと放電レートにかかわらず充填
された活物質に見合った放電容量が得られないことがわ
かる。
【0016】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、電極の
活物質混合物層の多孔度を適切に規定することにより、
容量密度の大きいポリマー電解質電池を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるポリマー電解質電池に
おいて、負極活物質層の多孔度を一定にした条件の下で
正極活物質層の多孔度を変えた場合の放電容量の変化を
示す図である。
【図2】正極活物質層の多孔度を一定にした条件の下で
負極活物質層の多孔度を変えた場合の放電容量の変化を
示す図である。
【図3】正極活物質層の多孔度を変えた電池の放電レー
トと放電容量との関係を示す図である。
【図4】負極活物質層の多孔度を変えた電池の放電レー
トと放電容量との関係を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01M 6/22 H01M 6/22 C (72)発明者 西村 賢 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 江田 信夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機電解液を吸収保持するポリマーを含
    む活物質混合物層と活物質混合物層を支持する集電体か
    らなる一対の電極、有機電解液を吸収保持するポリマー
    からなる多孔性のセパレータ、および前記電極およびセ
    パレータに吸収保持された有機電解液を具備し、前記活
    物質混合物層の多孔度が30〜60%であることを特徴
    とする有機電解質電池。
  2. 【請求項2】 有機電解液を吸収保持するポリマーおよ
    び遷移金属含有リチウム酸化物を含む活物質混合物層と
    活物質混合物層を支持する集電体からなる正極、有機電
    解液を吸収保持するポリマーおよび充放電によりリチウ
    ムイオンの出入りが可能な炭素材料を含む活物質混合物
    層と活物質混合物層を支持する集電体からなる負極、有
    機電解液を吸収保持するポリマーからなる多孔性のセパ
    レータ、並びに前記正極、負極、およびセパレータに吸
    収保持された有機電解液を具備し、正極の活物質混合物
    層の多孔度が40〜55%、負極の活物質混合物層の多
    孔度が35〜45%の範囲にある有機電解質電池。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002083589A (ja) * 2000-09-08 2002-03-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解質二次電池
WO2015150901A1 (en) * 2014-04-02 2015-10-08 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Nonaqueous electrolyte secondary battery
JP2017174664A (ja) * 2016-03-24 2017-09-28 トヨタ自動車株式会社 二次電池
CN113632284A (zh) * 2019-03-26 2021-11-09 3D电池有限公司 离子导电性组件及其制备方法

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