JP3540629B2 - 電気化学デバイス用電極の製造方法ならびに電気化学デバイス - Google Patents

電気化学デバイス用電極の製造方法ならびに電気化学デバイス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学デバイス用電極の製造方法と、この電極を用いた電気化学デバイス(電池、電気二重層キヤパシタ等)とに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯型のパーソナルコンピュータ、ビデオカメラ等に用いられる2次電池には、高エネルギー密度でしかも充放電サイクル寿命の長いことが求められる。2次電池としては、鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池などが利用されているが、さらに高エネルギー密度の2次電池としてリチウムイオン2次電池が実用化されている。
【0003】
従来、このような2次電池の電解質には液体電解質(電解液)が用いられるのが一般的であったが、電解質を固体状にできれば、液漏れの防止やシート構造化が可能となる。このため、固体電解質を利用する電池は、次世代タイプとして注目されている。特に、現在、携帯型のパーソナルコンピュータ等での利用が急速に広まっているリチウムイオン2次電池をシート化、積層小型化することができれば、さらに応用範囲が広がるものとして期待されている。
【0004】
固体電解質としては、セラミックス材料、高分子材料あるいはこれらを複合化した材料が提案されている。その中で、高分子物質に電解液を保持させることによりゲル化したゲル状電解質は、液体電解質の高導電率と高分子電解質の可塑性とを兼ね備えているため、有望視されている。ゲル状電解質を電池に利用することは、例えば米国特許第5,296,318号明細書に記載されている。この電池は、フッ化ビニリデン(VDF)と6フッ化プロピレン(HFP)との共重合体〔P(VDF−HFP)〕と、リチウム塩が溶解した電解質溶液とを含むものである。
【0005】
液体電解質を利用する電池は、一対の電極がセパレータを挟んで対向し、これらが電解液に浸った構造である。この場合の電極は、高分子物質からなるバインダ中に電極活物質や導電助剤を分散した構造とすることが一般的である。これに対し、ゲル状電解質を利用する電池では、液漏れを防ぐために、活物質を含有するゲル状電解質を電極として利用して、電解液が単独で存在しない構造とする場合が多い。
【0006】
しかし、ゲル状電解質を利用する電池は液体電解質を利用する電池に比べ、大電流放電が困難であるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、ゲル状電解質を用いた電気化学デバイスにおいて、大電流放電を可能にすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記(1)〜(4)の本発明により達成される。
(1) 高分子物質からなるバインダと、電極活物質とを含有し、前記高分子物質が、フッ素系高分子であって、電解液の保持によりゲル化するものであり、空孔が存在し、この空孔が占める容積比をαとし、前記空孔全体に対し径0.5μm 以下の空孔が占める容積比をβとしたとき、
α・β=0.25〜0.55
である電気化学デバイス用電極製造する方法であって、
前記バインダ、前記電極活物質、前記高分子物質を溶解可能な溶媒および多孔化剤を含有する高分子溶液を用いて電極形状の成形体を得る成形工程を有し、
前記多孔化剤として、前記高分子物質を溶解せず、かつ、前記高分子溶液に用いる溶媒よりも沸点が高く、かつ、その溶媒に対し相溶性を有する有機溶媒を用い、
前記成形体から前記多孔化剤の少なくとも一部を除去することにより前記空孔を形成する電気化学デバイス用電極の製造方法。
(2)
α=0.30〜0.55、
β=0.60〜1.00
である上記(1)の電気化学デバイス用電極の製造方法。
(3) 前記成形体をプレスする工程を有する上記(1)の電気化学デバイス用電極の製造方法。
(4) 上記(1)または(2)によって製造された電気化学デバイス用電極を有する電気化学デバイス。
【0009】
【発明の実施の形態】
電池の特性、特に放電特性を決定する要素としては、代表的に
1)セパレータ部分の抵抗、
2)セパレータと電極との界面の抵抗、
3)電極内部のイオン伝導度、
4)電極内部の電子伝導度、
5)電極と集電体との接触抵抗
が挙げられる。
【0010】
これらのうち、電極の構造にかかわるのは3)および4)である。電極反応は、電極内部の電解液、活物質および導電助剤で形成される三相界面で行われる。したがって、電極は、この三相界面における反応が効率よく進むような内部構造をもつ必要がある。具体的には、導電助剤が適当な電子伝導経路を形成すること、導電助剤が活物質と適切に接触し、電子の授受が可能であること、および、活物質に電解液が適切に接触していることが必須要件である。
【0011】
本発明者らは、ゲル状電解質を用いた場合の放電特性が液体電解質を用いた場合に比べ劣ることの原因が、最後に挙げた要件によるものであることを見いだした。すなわち、ゲル状電解質を含有する電極内では、電解液と活物質との適切な接触が難しく、結果として電極内部における電子およびイオンの伝導度が不十分となる。そこで本発明では、電極に用いるゲル状電解質内に、α・βが上記範囲内にある空孔を設けることにより、空孔内において電解液と活物質とが適切に接触できる構成とした。これにより、液体電解質を用いた電池と同等以上の放電特性を実現することが可能となった。
【0012】
また、本発明の製造方法では、電極の表面から内部に至るまで均一な空孔を形成することができるので、電極最奥部においても活物質と電解液とを適切に接触させることができる。そのため、電極を厚くした場合でも特性はほとんど低下しない。電極容積が一定である場合には、電極を厚くできれば電極の面積を減らすことができるので、電極を支持する集電体の面積も減らせる。したがって、電池全体に占める集電体の容積を減らすことができ、軽量化および高容量化が可能となる。
【0013】
また、本発明の製造方法では、空孔率によらず、電極の表面から内部に至るまで均一に空孔を形成することができる。例えば、電極を作製する際に常温ないし加熱下でプレスすることがあり、このプレスの際の圧力を制御することにより空孔率を調整することも可能であるが、この方法では、電極表面に近いほど空孔が少なくなってしまう。このため、セパレータとの界面付近における電極内のイオン伝導が阻害されてしまう。また、この方法では、空孔率を減少させることはできるが、空孔率を上げることはできない。
【0014】
なお、本発明は、ゲル状電解質を用いない電池の電極にも適用することが可能である。すなわち、電解液によってゲル化しない高分子物質をバインダとして含有する電極においても、バインダ内に上記空孔を設けることにより、放電特性を向上させることができる。
【0015】
ところで、米国特許第5,418,091号明細書には、高分子溶液に可塑剤を加え、これを基材に塗布後、溶媒を揮発させてフィルムを作製し、ここから可塑剤を抽出し、形成された空隙に電解液を含浸させてセパレータを作製することが記載されている。このセパレータの製造方法は、高分子溶液に可塑剤を加え、この可塑剤を抽出して形成した空隙に電解液を保持させる点で、本発明の電極の製造方法に類似する。しかし、同明細書には、可塑剤抽出によって、本発明におけるα、βに相当する空孔率を制御する旨の記載はない。
【0016】
また、特開平8−64200号公報には、電気化学的に酸化還元反応を示す高分子材料を有し、この高分子材料が可塑剤を含有する二次電池用電極が記載されている。この電極は、本発明において多孔化剤として使用し得る可塑剤を含有する点で本発明と類似する。しかし、同公報には、可塑剤を抽出除去して空孔を形成する旨の記載はない。
【0017】
以下、本発明について、具体的に説明する。
【0018】
本発明の電気化学デバイス用電極(以下、単に電極ともいう)は、高分子物質からなるバインダと、電極活物質とを含有し、必要に応じ、導電助剤を含有する。
【0019】
この電極中には空孔が存在する。電極中において前記空孔が占める容積比をαとし、前記空孔全体に対し径0.5μm以下の空孔が占める容積比をβとすると、
α・β=0.25〜0.55
であり、好ましくは
α・β=0.25〜0.42
である。α・βが小さすぎても大きすぎても放電特性の改善が不十分となる。また、α・βが大きすぎると、電極体積および電解液重量を大きくする必要が生じ、電池全体のエネルギー密度が低くなってしまう。
【0020】
本発明において、好ましくは
α=0.30〜0.55、
β=0.60〜1.00
であり、より好ましくは
α=0.40〜0.50、
β=0.70〜1.00
である。αが小さすぎると放電特性が不十分となりやすく、αが大きすぎると電極をフィルム状に成形することが難しくなる。一方、βが小さすぎると放電特性が不十分となりやすい。
【0021】
空孔径、αおよびβは、水銀圧入法を利用する水銀ポロシメータにより測定することができる。なお、本発明において空孔全体の容積とは、水銀ポロシメータにより測定された径0.001〜200μmの空孔の総容積とする。この範囲を外れる径の空孔は、本発明の効果に実質的に寄与しない。
【0022】
次に、本発明の電極の製造方法について説明する。
【0023】
この方法は、高分子物質からなるバインダ、電極活物質、上記高分子物質を溶解可能な溶媒および多孔化剤を含有する高分子溶液を用いて電極形状の成形体を得る成形工程と、この成形体から上記多孔化剤の少なくとも一部を除去することにより上記空孔を形成する空孔形成工程とを有する。また、上記成形体を常温ないし加熱下でプレスするプレス工程を設けてもよい。
【0024】
本発明では、空孔形成を、東レリサーチセンター調査研究部門から1997年1月1日に発行された書籍「微孔性ポリマーとその応用展開」に記載された方法にしたがって行う。具体的には、その第23ページに「2)抽出法」として記載された方法にしたがって行う。この抽出法とは、高分子物質の溶液または分散液中に、後工程で容易に抽出できるような添加剤を加えてフィルム状に成形した後、その添加剤を適当な方法で抽出除去して多孔化する方法である。
【0025】
上記書籍には、添加剤(多孔化剤)として各種塩類、シリカ・金属の微粉末、でんぷん、ワックスが挙げられているが、本発明では有機溶媒を多孔化剤として用いる。
【0027】
多孔化剤として用いる有機溶媒は、バインダの高分子物質を溶解せず、かつ、上記高分子溶液に用いる溶媒よりも沸点が高く、かつ、その溶媒に対し相溶性を有する有機溶媒である。このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ブチレン、ガソリン、ヘキサン、鉱油、エチレングリコールおよびグリセリンから少なくとも1種を選択することが好ましく、特にトルエンおよびキシレンから選択することが好ましい。これらの有機溶媒は、成形の際や、その後のプレス工程、集電体への熱圧着の際に自然に除去されるが、独立した乾燥工程を設けて除去を行ってもよい。
【0029】
多孔化剤の添加量は、溶媒を除く合剤に対し好ましくは20〜55体積%、より好ましくは30〜40体積%である。多孔化剤の添加量が少なすぎると、α・βを本発明範囲とすることが難しくなる。一方、多孔化剤の添加量が多すぎると、高分子溶液をフィルム状に形成することが難しくなる。
【0030】
バインダとして用いる高分子物質は、従来の電極に用いられているバインダから適宜選択すればよいが、好ましくはゲル状電解質に利用される高分子物質、すなわち、電解液の保持によりゲル化する高分子物質である。
【0032】
そして、ゲル状電解質として利用可能な高分子物質としては、
ポリフツ化ピニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデンーヘキサフルオロブロピレン共重合体、フツ化ピニリデンー塩化3フッ化エチレン(CTFE)共重合体〔P(VDF−CTFE)〕、フツ化ピニリデンーヘキサフルオロブロピレンフッ素ゴム、フッ化ピニリデンーテトラフルオロエチレンーヘキサフルオロブロピレンフツ素ゴム〔P(VDF−TFE−HFP)〕、フッ化ビニリデンーテトラフルオロエチレンーバーフルオロアルキルビニルエーテルフッ素ゴム等のフッ素系高分子
などが挙げられる。フッ化ピニリデン系ポリマーとしては、フッ化ピニリデンが50重量%以上、特に70重量%以上であるものが好ましく、特に、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロブロピレン(HFP)との共重合体、フッ化ピニリデンと塩化3フッ化エチレンとの共重合体〔P(VDF−CTFE)〕が好ましい。VDF−CTFE共重合体は、例えばセントラル硝子(株)から商品名「セフラルソフト(G150,G180)」として、日本ソルペイ(株)から商品名「ソレフ31508」等として販売されている。また、VDF−HFP共重合体は、エルフ・アトケム社から商品名「KynarFlex2750(VDF:HFP=85:15wt%」、「KynarFlex2801(VDF:HFP=90:10wt%)」等として、日本ソルベイ(株)から商品名「ソレフ11008」、「ソレフ11010」、「ソレフ21508」、「ソレフ21510」等として販売されている。
【0033】
高分子物質を溶解するための溶媒には、例えばアセトン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル等を用いることができる。
【0034】
リチウム2次電池とする場合の電極活物質としては、負極には、例えば炭素材料、リチウム金属、リチウム合金あるいは酸化物材料を用い、正極には、リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能なもの、例えば酸化物または炭素を用いればよい。電極活物質として用いる炭素材料は、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、天然あるいは人造の黒鉛、樹脂焼成炭素材料、カーボンブラック、炭素繊維などから適宜選択すればよい。これらは粉末として用いられる。リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物としては、リチウムを含む複合酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2、LiMn24、LiNiO2、LiV24などが挙げられる。この酸化物の粉末の平均粒子径は1〜40μm程度であることが好ましい。
【0035】
導電助剤としては、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、ニッケル、アルミ、銅、銀等が挙げられ、特に黒鉛が好ましい。
【0036】
電極組成は、正極では活物質:導電助剤:高分子物質=30〜90:3〜10:10〜70重量%の範囲が好ましく、負極では活物質:導電助剤:高分子物質=30〜90:0〜10:10〜70重量%の範囲が好ましい。
【0037】
成形方法は特に限定されない。例えば、フィルム状の成形体を製造する場合には、高分子溶液を基体上に塗布すればよい。この基体は平滑なものなら何でもよい。例えば、ポリエステルフィルム、ガラス、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等が挙げられる。高分子溶液を基体に塗布するための手段は特に限定されず、基体の材質や形状などに応じて適宜決定すればよいが、一般に、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等を利用すればよい。その後、溶媒を蒸発させて除去する。この溶媒の除去は、室温で行うこともできるが、加熱により行ってもよい。さらに、必要に応じ、平板プレス、カレンダーロール等によりプレスを行う。次いで、成形体を集電体に熱圧着し、電極とする。なお、高分子溶液を集電体に直接塗布することによってフィルム状成形体を得てもよい。その場合、集電体に塗布した後、プレスを行えばよい。
【0038】
成形体の厚さは、電極厚さが50〜400μm 程度となるように設定することが好ましい。
【0039】
集電体には、金属箔や金属メッシュ、パンチングメタルを利用する。集電体の構成材料としては、正極には例えばアルミニウムが、負極には例えば銅、ニッケルが使用される。
【0040】
成形体のプレスは、体積エネルギー密度の向上のために行う。プレスを行うと成形体中に占める空孔の体積比が減少するため、一般には放電特性は悪くなる。しかし、本発明の電極では、プレスによる空孔率の減少が少なく、プレスした場合でも放電特性の悪化は小さい。なお、プレスは、通常、多孔化剤を除去する前に行うことが好ましい。ただし、多孔化剤として例えばトルエン、キシレンなどの揮発しやすい物質を用いた場合、プレス時には多孔化剤がほとんど存在していないが、その状態でプレスを行っても空孔率の減少は少なく、放電特性の悪化は小さい。本発明においてプレスを行う場合、その条件は通常の電極の場合と同様とすればよい。例えば、温度は20〜250℃とし、加圧力は0.01〜1t/cm2とすればよい。なお、プレスの際に加熱すると、プレスの効果が増強される。プレス工程を独立して設けずに、集電体に熱圧着する際にプレスと同等の効果を与えることも可能である。
【0041】
本発明は、電池以外の電気化学デバイスとして、例えば電気二重層キャパシタにも適用できる。電気二重層キャパシタは、セパレータを挟んで一対の分極性電極が対向し、分極性電極およびセパレータの周辺部には絶縁性ガスケットが配置される。電気二重層キャパシタにおいて、本発明の電極は分極性電極に適用される。
【0042】
分極性電極では、活物質として活性炭等の多孔質材料を用いる。さらに、必要に応じ、導電性の高い物質を混合してもよい。分極性電極が接続する集電体は、金属板、金属メッシュ、導電性ゴム板などであってよく、また、アルミニウム、ニッケル等の金属の溶射によって形成してもよい。セパレータには、イオンを透過するもの、例えばポリプロピレン繊維不織布、ガラス繊維混抄不織布、ガラスマットフィルタなどを用いることができる。絶縁性ガスケットには、ポリプロピレン、ブチルゴム等の各種絶縁体を用いることができる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0044】
以下の電池サンプルを作製した。
【0045】
サンプル No. 1(比較例)
活物質:LiCoO2
導電助剤:アセチレンブラック、
高分子物質:PVDF[KynarFlex 2801(エルフ・アトケム社製)]、
(ポリフッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体)、
溶媒:アセトン
を重量比で、活物質:導電助剤:高分子物質:溶媒=8:1:1:15となるように混合して高分子溶液を調製し、これをフィルム状に成形して成形体を得た。この成形体を集電体に熱圧着し、正極とした。
【0046】
また、活物質を黒鉛とし、活物質:導電助剤:高分子物質:溶媒=8.5:0.5:1:15としたほかは正極の場合と同様にして、負極を作製した。
【0047】
次に、正極および負極をセパレータ(ヘキスト社製のセルガード)を介して積層し、両側をチタン板で挟んだ後、スプリングと共にコイン缶(CR2032型)に収容すると共に電解液を含浸させ、かしめることにより密封した。このようにして、液体電解質電池であるコイン型電池サンプルを得た。なお、電解液には、エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=1:2(体積比)である混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解したものを用いた。
【0048】
サンプル No. 2(比較例)
集電体に熱圧着する前に、正極のみプレスを行った。このプレスは、室温において0.7t/cm2の圧力で行った。なお、本明細書の実施例において、プレスはすべてこの条件で行った。そのほかは、サンプルNo.1と同様にしてコイン型電池サンプルを得た。
【0049】
サンプル No. 3(比較例)
集電体に熱圧着する前に、負極のみプレスを行った。そのほかは、サンプルNo.1と同様にしてコイン型電池サンプルを得た。
【0050】
サンプル No. 4〜6
高分子溶液に多孔化剤としてDBPを添加し、集電体に熱圧着した後にヘキサンによりDBPを抽出除去した。このほかはサンプルNo.1と同様にしてコイン型電池サンプルを作製した。
【0051】
サンプル No. 7〜9
上記サンプルNo.2と同様に正極に対しプレスを行ったほかはサンプルNo.4〜6と同様にしてコイン型電池サンプルを作製した。
【0052】
サンプル No. 10
セパレータとして微多孔質のPVDF(KynarFlex 2801)からなるものを用い、電極中の多孔化剤を抽出除去した後、セパレータと電極とを熱圧着し、固体電解質電池であるシート型電池を得た。そのほかの条件は、サンプルNo.9と同様とした。
【0053】
サンプル No. 11
高分子物質として熱可塑性フッ素樹脂[VDF−CTFE共重合体:商品名 セフラルソフト(セントラルガラス社製)]を用いた。この熱可塑性フッ素樹脂は、主鎖がフッ化ビニリデンと塩化フッ化エチレンとの共重合体からなり、側鎖がポリフッ化ビニリデンからなる構造のものである。このほかはサンプルNo.4〜6と同様にしてコイン型電池サンプルを作製した。
【0054】
サンプル No. 12
正極の多孔化剤としてトルエンを用い、多孔化剤の抽出工程を省いたほかはサンプルNo.4〜6と同様にしてコイン型電池サンプルを作製した。
【0055】
サンプル No. 13
正極の多孔化剤としてトルエンを用い、多孔化剤の抽出工程を省いたほかはサンプルNo.7〜9と同様にしてコイン型電池サンプルを作製した。
【0056】
サンプル No. 14
正極および負極の多孔化剤としてトルエンを用い、多孔化剤の抽出工程を省き、正極の熱プレスを行わなかったほかはサンプルNo.10と同様にしてシート型電池サンプルを作製した。
【0057】
評価
上記各サンプルについて、溶媒を除く合剤に対する多孔化剤の添加量、プレスの有無を表1に示す。
【0058】
また、各サンプルの電極について、径0.001〜200μmの空孔の容積比αと、そのうちで径0.5μm以下の空孔が占める容積比βと、α・βとを表1に示す。なお、αおよびβは、水銀ポロシメータにより測定した。
【0059】
上記各サンプルの放電特性について、以下の評価を行った。まず、0.5C相当電流で4.15Vまでの定電流定電圧充電を3.5時間行い、次いで、0.5C相当電流で2.8Vまでの定電流放電を行った。この充放電サイクルを10回繰り返し、後半5回の平均放電容量を0.5C放電容量とした。
【0060】
続いて、0.5C相当電流で4.15Vまでの定電流定電圧充電を3.5時間行い、次いで、2C相当電流で2.8Vまでの定電流放電を行った。この充放電サイクルを5回繰り返し、この5回の平均放電容量を2C放電容量とした。
【0061】
なお、0.5C相当電流や0.5C放電容量におけるCは、電池の全容量を放電するのに要する時間の逆数を意味する。すなわち、
C=1/放電時間(h)
である。したがって、0.5C相当電流とは、電池の全容量を2時間で完全に放電しきる電流値のことである。また、0.5C放電容量とは、放電が2時間で完了する容量を意味する。また、2C放電容量とは、放電が0.5時間で完了する容量を意味する。
【0062】
上記0.5C放電容量に対する上記2C放電容量を、2C容量保持率として表1に示す。この2C容量保持率が高ければ、実用的な大電流放電が可能である。
【0063】
【表1】
Figure 0003540629
【0064】
表1に示される結果から、本発明の効果が明らかである。
【0065】
すなわち、α・βが本発明で限定する範囲内にあるサンプルでは、2C容量保持率が高くなっており、大電流放電が可能であることがわかる。
【0066】
また、多孔化剤を添加し、かつ正極をプレスしたサンプルNo.7、8では、多孔化剤を添加しなかったサンプルNo.1よりも空孔率αが小さいにもかかわらず2C容量保持率が高くなっている。これに対し、正極をプレスしたが多孔化剤を添加しなかったサンプルNo.2では、微空孔の比率βは高くなっているが空孔率αが著しく低いため、2C容量保持率が低くなってしまっている。この結果から、プレスによって高エネルギー密度を実現し、かつ、大電流放電を可能とするために、本発明が極めて有効であることがわかる。
【0067】
また、表1から、本発明がコイン型電池およびシート型電池のいずれにおいても有効であることがわかる。
【0068】
表1に示すサンプルの一部について、正極中の空孔径の分布を求めた。その結果を図1および図2に示す。
【0069】
図1に示すグラフでは、サンプルNo.4〜6において多孔化剤の添加量を増やすにしたがって空孔径分布が小径側にシフトしている。この結果から、多孔化剤の添加量によって空孔径分布を容易に制御できることがわかる。
【0070】
また、図2に示すグラフにおいて、多孔化剤を添加しないでプレスを行った場合には、サンプルNo.1、3とサンプルNo.2との比較からわかるように空孔率が著しく減少してしまう。これに対し、多孔化剤を添加した場合には、プレスを行っても空孔率はそれほど減少しないことがわかる(サンプルNo.7〜9)。
【0071】
サンプルNo.2(比較例)およびサンプルNo.6の正極の走査型電子顕微鏡写真を、図3および図4にそれぞれ示す。これらの写真において、粒状のものは活物質である。また、黒色に見えるものは導電助剤であるアセチレンブラックである。そして、これらが分散しているマトリックスがPVDFである。図3では、径が比較的大きい空孔が認められる。これに対しサンプルNo.6では空孔が極めて小さいため、図4では空孔の存在はほとんどわからない。
【0072】
なお、上記実施例では多孔化剤としてDBPまたはトルエンを添加したが、これらに替えてキシレンまたはPMMAを添加した場合でも、上記実施例と同様な空孔の形成が可能であり、かつ、α・βに応じて2C容量保持率の向上が確認された。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、ゲル状電解質を用いた電気化学デバイスにおいて、大電流放電が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電極内の空孔径分布を示すグラフである。
【図2】電極内の空孔径分布を示すグラフである。
【図3】粒子構造を示す図面代用写真であって、従来の電極の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】粒子構造を示す図面代用写真であって、本発明の電極の走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (4)

  1. 高分子物質からなるバインダと、電極活物質とを含有し、前記高分子物質が、フッ素系高分子であって、電解液の保持によりゲル化するものであり、空孔が存在し、この空孔が占める容積比をαとし、前記空孔全体に対し径0.5μm 以下の空孔が占める容積比をβとしたとき、
    α・β=0.25〜0.55
    である電気化学デバイス用電極製造する方法であって、
    前記バインダ、前記電極活物質、前記高分子物質を溶解可能な溶媒および多孔化剤を含有する高分子溶液を用いて電極形状の成形体を得る成形工程を有し、
    前記多孔化剤として、前記高分子物質を溶解せず、かつ、前記高分子溶液に用いる溶媒よりも沸点が高く、かつ、その溶媒に対し相溶性を有する有機溶媒を用い、
    前記成形体から前記多孔化剤の少なくとも一部を除去することにより前記空孔を形成する電気化学デバイス用電極の製造方法。
  2. α=0.30〜0.55、
    β=0.60〜1.00
    である請求項1の電気化学デバイス用電極の製造方法。
  3. 前記成形体をプレスする工程を有する請求項1の電気化学デバイス用電極の製造方法。
  4. 請求項1または2によって製造された電気化学デバイス用電極を有する電気化学デバイス。
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