JPH11305008A - 反射防止フィルム - Google Patents

反射防止フィルム

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JPH11305008A
JPH11305008A JP10112221A JP11222198A JPH11305008A JP H11305008 A JPH11305008 A JP H11305008A JP 10112221 A JP10112221 A JP 10112221A JP 11222198 A JP11222198 A JP 11222198A JP H11305008 A JPH11305008 A JP H11305008A
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伸二 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜剥離や黄変等の問題を引き起こすことな
く、長期間使用可能な反射防止フィルムを提供する。 【解決手段】 有機フィルム1の表面に、ハードコート
層2が設けられ、該ハードコート層2上に反射防止層3
が設けられている反射防止フィルム4。該反射防止フィ
ルム4の365nmにおける光線透過率が40%以下で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射防止フィルム
に係り、特に、耐候性、耐久性に優れ、表示板、ディス
プレイ、電光掲示板の表面材に貼着する反射防止フィル
ムとして好適な反射防止フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】表示板、ディスプレイ、電光掲示板等の
表面材では、外光や照明光、或いは、周囲の明るい風景
がその表面で反射して像が写ることにより、視認性が低
下する。このため、このような反射を低減するために、
表面材(外側のカバー材やフィルタの表面を含む)に、
微細な凹凸加工のアンチグレア処理を施したり、薄膜を
コーティングしたりすることにより、光の干渉で反射を
低減する反射防止処理が施される場合がある。これらの
反射防止処理は、表面材に直接施すと、コストアップを
招くことから、反射防止処理を施したフィルムを表面材
に貼着する方法が、近年多く採用されるようになってき
ている。
【0003】通常の場合、従来の反射防止フィルムは、
図2に示す如く、有機フィルムよりなるベースフィルム
1上にアクリル樹脂やシロキサン等よりなる硬い保護層
としてのハードコート層2が3〜20μm程度の厚さに
形成され、更にこの上にアンチグレア、反射防止膜等の
反射防止層3が形成された構造とされており、この反射
防止フィルム4は、ディスプレイ等の表面材5に接着剤
6で接着される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の反射防止フィル
ムでは、使用中の熱や湿度、その他の環境条件の影響を
受け易く、ベースフィルム1とハードコート層2との界
面で剥離が生じる場合がある。この場合には、当然、反
射防止層3も脱落してしまうため、反射防止フィルムと
しての機能を奏し得なくなる。
【0005】また、使用初期において、ベースフィルム
1とハードコート層2との密着性が良好な場合であって
も、特に、ベースフィルム1がPETフィルムであるよ
うな場合には、周囲環境の影響、特に直射日光やその他
の紫外線の影響でフィルムが劣化し、ハードコート層が
外力で容易に剥がれ落ちたり、紫外線による劣化でフィ
ルムが黄変し、各種表示板の表面材のカバーフィルムと
しては適用し得なくなる。
【0006】本発明は上記従来の問題点を解決し、耐候
性、耐久性に優れ、膜剥離や黄変等の問題を引き起こす
ことなく、長期間使用可能な反射防止フィルムを提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の反射防止フィル
ムは、有機フィルムの表面に、ハードコート層が設けら
れ、該ハードコート層上に反射防止層が設けられている
反射防止フィルムであって、該反射防止フィルムの36
5nmにおける光線透過率が40%以下であることを特
徴とする。
【0008】365nmにおける光線透過率が40%以
下の反射防止フィルムであれば、紫外線等の周囲環境に
大きな影響を及ぼされることなく、耐候性、耐久性に優
れるため、黄変や膜剥離の問題は防止される。
【0009】本発明の反射防止フィルムは、例えば下記
,又はの構成とすることができる。
【0010】 有機フィルムとハードコート層との間
に紫外線カット層を設ける。
【0011】 ハードコート層を紫外線カット層とす
る。
【0012】 反射防止層を紫外線カット層とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、本発明の
実施の形態を詳細に説明する。
【0014】図1(a)〜(c)は本発明の反射防止フ
ィルムの実施の形態を示す模式的な断面図である。
【0015】本発明の反射防止フィルムは、フィルムの
365nmの波長の光に対する光線透過率が40%以下
のものであるが、この光線透過率が40%を超えるもの
では、紫外線等による劣化の問題があり、黄変、膜剥離
が生じる。
【0016】この光線透過率は低い程好ましく、本発明
において、365nmにおける光線透過率は好ましくは
30%以下であり、350nmの波長の光に対する光線
透過率が20%以下、特に10%以下、とりわけ5%以
下であることが望ましい。
【0017】このような本発明の反射防止フィルムは、
例えば、下記,又はの構成とすることにより実現
することができる。
【0018】 図1(a)に示す如く、ベースフィル
ム1とハードコート層2との間に紫外線カット層7を介
在させた反射防止フィルム4A。 図1(b)に示す如く、ハードコート層自体を紫外
線カットハードコート層2Aとした反射防止フィルム4
B。 図1(c)に示す如く、反射防止層自体を紫外線カ
ット反射防止層3Bとした反射防止フィルム4C。
【0019】本発明において、ベースフィルム1となる
有機フィルムとしては、ポリエステル、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、アクリ
ル、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、トリア
セテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリウレタン、セロファン等、好ましくは
PET、PC、PMMAの透明フィルムが挙げられる。
【0020】有機フィルムの厚さは得られる反射防止フ
ィルムの用途による要求特性(例えば、強度、薄膜性)
等によって適宜決定されるが、通常の場合、1μm〜1
0mmの範囲とされる。
【0021】図1(a)に示す如く、紫外線カット層7
を形成する場合、この紫外線カット層7としては、アク
リル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹
脂等の適当なコーティング材に公知の紫外線吸収材を
0.05〜10重量%程度配合してベースフィルム1上
にコーティングすれば良い。このようにして形成される
紫外線カット層7の厚さは0.5〜20μm程度とする
のが好ましい。
【0022】ハードコート層2は、アクリル樹脂、シリ
コーン樹脂等の通常のハードコート材をコーティングす
ることにより形成することができる。ハードコート層自
体を紫外線カット性とする場合、紫外線カットハードコ
ート層2Aは、このようなハードコート材に公知の紫外
線吸収材を0.05〜5重量%程度配合してコーティン
グすることにより形成することができる。ハードコート
層2又は紫外線カットハードコート層2Aの厚さは1〜
20μm程度とするのが好ましい。
【0023】反射防止層2としては、次のような構成の
ものを用いることができる。
【0024】(a) 高屈折率透明薄膜を1層のみ設け
たもの (b) 中屈折率透明薄膜/高屈折率透明薄膜の順で1
層ずつ、合計2層に積層したもの (c) 中屈折率透明薄膜/低屈折率透明薄膜/高屈折
率透明薄膜の順で1層ずつ、合計3層に積層したもの (d) 高屈折率透明薄膜/低屈折率透明薄膜/高屈折
率透明薄膜/低屈折率透明薄膜の順で1層ずつ、合計4
層に積層したもの (e) 高屈折率透明薄膜/低屈折率透明薄膜/高屈折
率透明薄膜/低屈折率透明薄膜/高屈折率透明薄膜の順
で1層ずつ、合計5層に積層したもの ここで、高屈折ないし中屈折率透明薄膜としては、IT
O(スズインジウム酸化物)又はZnO、Alをドープ
したZnO、TiO2、SnO2、ZrO等の屈折率1.
8以上の薄膜を採用することができる。
【0025】また、低屈折ないし中屈折率透明薄膜とし
ては、SiO2、MgF2、Al23、アクリル樹脂、ウ
レタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の屈折率が
1.6以下の薄膜を採用することができる。
【0026】これら高屈折率透明薄膜、中屈折率透明薄
膜及び低屈折率透明薄膜の膜厚は、光の干渉で可視光領
域での反射率を下げることができるように、膜構成、膜
種、中心波長等により適宜決定される。
【0027】このような透明薄膜は、蒸着、スパッタリ
ング、イオンプレーティング、CVD、マイクログラビ
アコーティング、ダイレクトグラビアコーティング、ス
ロットダイコーティング法等により形成することができ
る。
【0028】特に、反射防止層自体を紫外線カット性と
するためには、高屈折率透明薄膜の材料として400n
m付近の光の通過性が高く、350nm付近及びそれ以
下の光の吸収が多い材料を用いるのが好ましく、このよ
うな材料としては、ITO、ZnO等が挙げられる。
【0029】なお、本発明の反射防止フィルムでは、反
射防止層3又は紫外線カット反射防止層3Aの上に更に
フッ素系有機薄膜等の防汚層を形成しても良く、この場
合、防汚層の材料としては、FEP(フルオロエチレン
−プロピレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオ
ロエチレン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエ
チレン共重合体)、PVF(ポリフッ化ビニル)、PV
DF(ポリフッ化ビリニデン)等が挙げられる。
【0030】このような本発明の反射防止フィルムは、
OA機器のPDPや液晶板の前面フィルタ等の各種表示
材の前面に貼着する反射防止フィルムとして極めて有用
であり、黄変や膜剥離の問題を生じることなく、長期に
亘り良好な反射防止機能を示す。
【0031】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。
【0032】実施例1 市販のPETフィルム(東レ社製「ルミラー#188」
厚さ188μm)の表面に、アクリル樹脂に紫外線吸収
剤(ムサシノガイギー社製「チタビンP」)を2.0重
量%混合したコーティング液をコーティングして厚さ2
μmの紫外線カット層を形成し、この上に市販のハード
コート材(JSR社製「Z7002」)をコーティング
して厚さ6μmのハードコート層を形成し、更にこの上
に下記4層積層構造の反射防止層を反応性スパッタ法に
より形成して本発明の反射防止フィルムを製造した。
【0033】[反射防止層構造] 1層目(反射防止層側) :TiO2、厚さ13nm 2層目 :SiO2、厚さ20nm 3層目 :TiO2、厚さ110nm 4層目 :SiO2、厚さ85nm この反射防止フィルムについて、日立自走式分光光度計
を用いて365nm及び350nmにおける光線透過率
を調べ、結果を表1に示した。
【0034】また、この反射防止フィルムについて、ス
ーパーUV耐光試験機(アイグラフィックス社製)で3
0時間の耐候劣化試験を行い、この試験前後での黄色度
(YI値:スガ試験機社製カラーコンピュータで測定)
と膜の密着度(JIS K−5400 ゴバン目テ−プ
試験(5×5)により測定)を調べ、結果を表1に示し
た。
【0035】実施例2 市販のPETフィルム「ルミラー#188」の表面に、
市販のハードコート材「Z7002」に紫外線吸収剤
「チタビンP」を0.5重量%混合したものをコーティ
ングして厚さ8μmの紫外線カットハードコート層を形
成し、この上に、実施例1と同様にして反射防止層を形
成して本発明の反射防止フィルムを製造した。
【0036】この反射防止フィルムについて、実施例1
と同様にして光線透過率及び耐候劣化試験前後の黄色度
と膜の密着度を調べ、結果を表1に示した。
【0037】実施例3 市販のハードコートPETフィルム(東レ社製「ルミラ
ーCOTO」厚さ188μm)の表面に下記4層積層構
造の紫外線カット反射防止層をスパッタ法により形成し
て本発明の反射防止フィルムを製造した。なお、ITO
の成膜には焼結ターゲット(三菱マテリアル社製)を用
い、純アルゴン中、0.2Paの圧力でスパッタ成膜し
た。
【0038】[紫外線カット反射防止層構造] 1層目(反射防止層側) :ITO 、厚さ15nm 2層目 :SiO2、厚さ20nm 3層目 :ITO 、厚さ125nm 4層目 :SiO2、厚さ85nm この反射防止フィルムについて、実施例1と同様にして
光線透過率及び耐候劣化試験前後の黄色度と膜の密着度
を調べ、結果を表1に示した。
【0039】比較例1 市販のハードコートPETフィルム「ルミラーCOT
O」の表面に、実施例1と同様にして反射防止層を形成
し、得られた反射防止フィルムについて、実施例1と同
様にして光線透過率及び耐候劣化試験前後の黄変度と膜
の密着度を調べ、結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】表1より、本発明の反射防止フィルムは、
耐候性に優れ、黄変、膜剥離が防止されることがわか
る。
【0042】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の反射防止フ
ィルムによれば、膜剥離や黄変等の問題を引き起こすこ
となく、長期間使用可能な反射防止フィルムを提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止フィルムの実施の形態を示す
断面図である。
【図2】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ベースフィルム 2 ハードコート層 2A 紫外線カットハードコート層 3 反射防止層 3A 紫外線カット反射防止層 4,4A,4B,4C 反射防止フィルム 5 表面材 6 接着剤 7 紫外線カット層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機フィルムの表面に、ハードコート層
    が設けられ、該ハードコート層上に反射防止層が設けら
    れている反射防止フィルムであって、該反射防止フィル
    ムの365nmにおける光線透過率が40%以下である
    ことを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1において、有機フィルムとハー
    ドコート層との間に紫外線カット層が設けられているこ
    とを特徴とする反射防止フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1において、ハードコート層が紫
    外線カット層であることを特徴とする反射防止フィル
    ム。
  4. 【請求項4】 請求項1において、反射防止層が紫外線
    カット層であることを特徴とする反射防止フィルム。
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