JPH11304607A - トルクセンサ - Google Patents

トルクセンサ

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JPH11304607A
JPH11304607A JP12165298A JP12165298A JPH11304607A JP H11304607 A JPH11304607 A JP H11304607A JP 12165298 A JP12165298 A JP 12165298A JP 12165298 A JP12165298 A JP 12165298A JP H11304607 A JPH11304607 A JP H11304607A
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coil
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Abstract

(57)【要約】 【課題】性能の大幅な低下等の不具合を招くことなく製
造コストを低減する。 【解決手段】同軸に且つ回転自在に配置された回転軸と
しての入力軸1及び出力軸2間を、トーションバー3を
介して連結し、入力軸1及び出力軸2は、いずれも導電
性の磁性体であるS25C或いはS35C等の一般の構
造用鋼で形成するとともに、無電解ニッケルメッキ処理
によって、その表面をNi−P合金からなる薄い皮膜で
被覆する。そして、入力軸1及び出力軸2に作用するト
ルクを、それらの間のトーションバー3の捩れを伴った
相対回転に伴うコイ10、11の誘導起電力の変化とし
て検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回転軸に発生す
るトルクを検出するトルクセンサに関し、特に、コスト
低減が図られるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来のトルクセンサとしては、例えば本
出願人が先に提案した特開平8−240491号公報に
開示されたものがある。即ち、かかる従来のトルクセン
サにあっては、同軸に配設された第1及び第2の回転軸
をトーションバーを介して連結するとともに、導電性で
且つ非磁性の材料からなる円筒部材を、第1の回転軸の
外周面を包囲するように第2の回転軸と回転方向に一体
とし、第1の回転軸の少なくとも円筒部材に包囲された
被包囲部を磁性材料で形成し、被包囲部に軸方向に延び
る溝を形成し、円筒部材には第1の回転軸との間の相対
回転位置に応じて前記溝との重なり具合が変化するよう
に窓を形成し、そして、円筒部材の前記窓が形成された
部分を包囲するようにコイルを配設し、そのコイルに起
電力を誘導させてこれを測定する起電力測定手段を設
け、その起電力測定手段の測定結果に基づいて第1及び
第2の回転軸に発生するトルクを検出するようになって
おり、そのような構成であるため、簡易な構造で高精度
のトルク検出が行え、しかも装置の小型化も図られる、
というものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上記公報に開
示された従来のトルクセンサによれば、上記のような構
成であるため高精度のトルク検出が行える等の顕著な効
果を奏することが出来るが、実際に生産することを考え
ると、下記のような解決すべき課題があった。
【0004】即ち、磁性体からなる回転軸の磁化は、そ
れが導電性材料の場合には表皮効果によって材料表面近
傍において生じるため、回転軸表面が酸化等によって変
化してしまうと、センサ特性が変化してしまうという不
具合がある。
【0005】一方、一般的に材料の表面の錆等を防止す
るためには、亜鉛メッキ処理、或いは亜鉛メッキ及びク
ロメート処理等の防錆処理が行われるのであるが、それ
による防錆のメカニズムは、自己(メッキ部分)の腐食
作用による素地の腐食防止である。従って、トルクセン
サの回転軸表面を亜鉛メッキ処理等により被覆したとし
ても、メッキ部分が腐食してしまえば、その腐食によっ
て薄くなった分、銅損が変化してしまう結果、回転軸自
体が腐食されなくても、コイルのインピーダンスが変化
してセンサ特性が変わってしまうのである。
【0006】このようなことから、回転軸を形成する磁
性体としては、表面に不動態が存在するフェライト系若
しくはマルテンサイト系ステンレス材を使用することに
なるのであるが、かかる材料は一般の構造用鋼に比較し
て高価であり、しかも切削加工及び塑性加工のいずれに
対しても難加工材であるため、製造コストが嵩んでしま
い、トルクセンサのコスト高の一因となっていた。
【0007】本発明は、このような従来の技術が有する
解決すべき課題に着目してなされたものであって、性能
の大幅な低下等の不具合を招くことなく、コスト低減が
図られるトルクセンサを提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、磁性体からなる二本の回転軸をトーショ
ンバーを介して同軸に連結するとともに、前記回転軸を
包囲するようにコイルを配設し、前記回転軸に作用する
トルクを、それら回転軸間の相対回転に伴う前記コイル
の誘導起電力の変化として検出するようになっているト
ルクセンサにおいて、前記回転軸をその表面が不動態と
なるように被覆した。
【0009】なお、その回転軸表面を被覆する処理とし
ては、無電解ニッケルメッキ処理が好適である。また、
そのメッキ処理により回転軸表面に形成される皮膜の厚
さは、その皮膜を構成する材料の磁束の浸透深さよりも
薄くすることが望ましい。
【0010】そして、回転軸を形成する磁性体材料とし
ては、加工性が良好な一般の構造用鋼(例えば、S25
C、S35C等)が好適であり、このような構造用鋼で
あっても、無電解ニッケルメッキ処理を施すことによ
り、その表面に不動態の皮膜を形成すれば、信頼性を損
なうことなく、低コストなトルクセンサとすることがで
きる。
【0011】ニッケル自身は強磁性体であるが、無電解
ニッケルメッキは、ニッケルとリンとの合金であり、通
常は非磁性体である(処理温度によっては、磁性を帯び
るようになる。)。従って、磁気シールドとなってしま
うが、そのメッキ皮膜の厚さを、表皮効果により決まる
磁束の浸透深さより薄くすれば、回転軸の自発磁化をメ
ッキ皮膜が大きく妨げられてセンサ感度が大幅に低下す
ることはない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1乃至図6は本発明の一実施
の形態を示す図であって、これは本発明に係るトルクセ
ンサを車両用の電動パワーステアリング装置に適用した
ものである。
【0013】先ず、構成を説明すると、車両の操舵系の
一部分の断面図である図1に示すように、同軸に且つ回
転自在に配置された回転軸としての入力軸1及び出力軸
2間が、トーションバー3を介して連結されている。
【0014】入力軸1及び出力軸2は、いずれも導電性
の磁性体であるS25C或いはS35C等の一般の構造
用鋼で形成されているとともに、無電解ニッケルメッキ
処理によって、その表面にNi−P合金からなる薄い皮
膜が形成されていて、これにより、入力軸1及び出力軸
2の腐食を防止している。
【0015】入力軸1の図示しない図1右端側には、ス
テアリングホイールが回転方向に一体に取り付けられて
おり、また、出力軸2の図示しない図1左端側には、例
えば公知のラックアンドピニオン式ステアリング装置を
構成するピニオン軸が連結されている。従って、操縦者
がステアリングホイールを操舵することによって発生し
た操舵力は、入力軸1,トーションバー3,出力軸2及
びラックアンドピニオン式ステアリング装置を介して、
図示しない転舵輪に伝達する。
【0016】また、出力軸2の入力軸1側端面には、ト
ーションバー3の挿入部からさらに径方向に延びた溝2
aが形成されていて、この溝2aには、入力軸1の出力
軸2側端面に形成された凸部1aが挿入されている。た
だし、溝2aの幅(周方向寸法)は、凸部1aの幅より
も若干広くなっていて、これにより、入力軸1及び出力
軸2間の所定範囲(例えば、±5度程度)以上の相対回
転を防止している。
【0017】なお、出力軸2には、図示しない電動モー
タの回転力が例えばウォームギア等を介して伝達される
ようになっている。つまり、電動モータへの駆動電流の
方向及び大きさを適宜制御することにより、出力軸2に
任意の方向及び大きさの操舵補助トルクが付与されるよ
うになっている。
【0018】一方、入力軸1の出力軸2に近接した部分
の外周面には、入力軸1と同軸の大径部1Aが形成され
ていて、この大径部1Aの外周面に近接してこれを包囲
するように、肉薄の円筒部材4が配設されている。
【0019】即ち、円筒部材4は、導電性で且つ非磁性
の材料(例えば、アルミニウム)から形成され、その図
1左方側端部内面には小径部4Aが形成されていて、そ
の小径部4Aが出力軸2に同軸に外嵌している。これに
より、円筒部材4は出力軸2と回転方向に一体となって
いる。
【0020】さらに、円筒部材4の大径部1Aを包囲す
る肉薄の部分のうち、小径部4Aから遠い側には、周方
向に等間隔離隔した長方形の複数(この実施の形態で
は、六つ)の窓4a,…,4aが形成され、小径部4A
に近い側には、窓4a,…,4aと位相が180度ずれ
るように周方向に等間隔離隔した長方形(窓4aと同形
状)の複数(この実施の形態では、六つ)の窓4b,
…,4bが形成されている。
【0021】より具体的には、窓4a,…,4aは、円
筒部材4の周面を周方向に12等分し、その12当分さ
れた領域を一つ置きに長方形に開口することにより形成
されており、窓4b,…,4bは、窓4a,…,4a同
士の間の開口していない部分に対応する部分を開口する
ことにより形成されている。
【0022】これに対し、入力軸1の円筒部材4で包囲
される大径部1Aのうち、窓4a,…,4aが形成され
た部分の内側には、周方向に等間隔離隔し間口が長方形
(窓4aと同形状)の軸方向に沿った複数(この実施の
形態では、六つ)の溝5a,…,5aが形成され、窓4
b,…,4bが形成された部分の内側には、溝5a,
…,5aと同相に周方向に等間隔離隔し間口が長方形
(溝5aと同形状)の軸方向に沿った複数(この実施の
形態では、六つ)の溝5b,…,5bが形成されてい
る。
【0023】ただし、入力軸1及び出力軸2間に相対回
転が生じていないとき(操舵トルクが零のとき)に、図
1のA−A線における入力軸1及び円筒部材4の断面図
である図2に示すように窓4a及び溝5aの位相が90
°ずれるように、円筒部材4及び溝5aは位置合わせを
されている。従って、図1のB−B線における入力軸1
及び円筒部材4の断面図である図3に示すように、操舵
トルクが零のときには、窓4b及び溝5bも位相が90
°ずれるようになるが、窓4aと4bとの間の位相が1
80度ずれているため、窓4a及び溝5aの重なり状態
と、窓4b及び溝5bの重なり状態とは、図2,図3及
び円筒部材4を固定した状態の入力軸1,出力軸2の正
面図である図4からも明らかなように、周方向で逆にな
っている。
【0024】そして、円筒部材4は、同一規格のコイル
10及び11が巻き付けられたボビン12を内周側に支
持する磁性材料からなるヨーク9で包囲されている。即
ち、コイル10及び11は、円筒部材4と同軸に配置さ
れていて、コイル10は窓4a,…,4aが形成された
部分を包囲するようにボビン12に巻き付けられ、コイ
ル11は窓4b,…,4bが形成された部分を包囲する
ようにボビン12に巻き付けられている。
【0025】コイル10及び11は、図示しないセンサ
ケースに収容されたモータ制御回路に接続されている。
モータ制御回路は、例えば図5に示すように、所定周波
数の交流電流をコイル10,11に供給する発振部21
と、コイル10の自己誘導起電力を整流及び平滑して出
力する整流・平滑回路22と、コイル11の自己誘導起
電力を整流及び平滑して出力する整流・平滑回路23
と、整流・平滑回路22の出力及び整流平滑回路23の
出力の差を増幅して出力する差動アンプ24A,24B
と、差動アンプ24Aの出力から高周波ノイズ成分を除
去するノイズ除去フィルタ25Aと、差動アンプ24B
の出力から高周波ノイズ成分を除去するノイズ除去フィ
ルタ25Bと、それらノイズ除去フィルタ25A,25
Bの出力の例えば平均値に基づいて入力軸1及び円筒部
材4の相対回転変位の方向及び大きさを演算しその結果
に例えば所定の比例定数を乗じて操舵系に発生している
操舵トルクを求めるトルク演算部26と、トルク演算部
26の演算結果に基づいて操舵トルクを軽減する操舵補
助トルクが発生するような駆動電流Iを電動モータに供
給するモータ駆動部27と、から構成されている。
【0026】次に、本実施の形態の動作を説明する。
今、操舵系が直進状態にあり、操舵トルクが零であるも
のとすると、入力軸1及び出力軸2間には相対回転は生
じない。従って、入力軸1と円筒部材4との間にも、相
対回転は生じない。
【0027】一方、ステアリングホイールを操舵して入
力軸1に回転力が生じると、その回転力は、トーション
バー3を介して出力軸2に伝達される。このとき、出力
軸2には、転舵輪及び路面間の摩擦力や出力軸2のステ
アリング装置のギアの噛み合い等の摩擦力に応じた抵抗
力が生じるため、入力軸1及び出力軸2間には、トーシ
ョンバー3が捩じれることによって出力軸2が遅れる相
対回転が発生し、入力軸1及び円筒部材4間にも相対回
転が生じる。
【0028】円筒部材4に窓がない状態では、円筒部材
4は導電性で且つ非磁性材料でなっているため、コイル
に交流電流を流してコイル内部に交番磁界を生じさせる
と、円筒部材4の外周面にコイル電流と反対方向の渦電
流が発生する。この渦電流による磁界とコイルによる磁
界とを重ね合わせると、円筒部材4の内側の磁界は相殺
される。
【0029】円筒部材4に窓4a,4bを設けた場合、
円筒部材4の外周面に生じた渦電流は窓4a,4bによ
って外周面を周回できないため、窓4a,4bの端面に
沿って円筒部材4の内周面側に回り込み、内周面をコイ
ル電流と同方向に流れ、また隣の窓4a,4bの端面に
沿って外周面側に戻るループを形成する。つまり、コイ
ルの内側に、渦電流のループを周方向に周期的(本実施
の形態では6等配)に配置した状態となる。コイル電流
と渦電流の作る磁界は重ね合わされ、円筒部材4の内外
に、周方向に周期的な強弱を有し、中心に向かうほど小
さくなる勾配を持った磁界が形成される。
【0030】周方向の磁界の強弱は、隣り合う渦電流の
影響を強く受ける窓4a,4bの中心部分で強く、そこ
から半周期(本実施の形態では30deg )ずれたところ
で弱い。円筒部材4の内側には磁性材料からなる入力軸
1が同軸に配設され、その入力軸1には溝5a,5bが
窓4a,4bと同じ周期をもって形成されている。磁界
中に置かれた磁性体は磁化して自発磁化(磁束)を発す
るが、その量は飽和に至るまでは磁界の強さに応じて大
きくなる。
【0031】このため、円筒部材4によって作られる周
方向に周期的な強弱と半径方向に勾配を持つ磁界によっ
て、入力軸1の自発磁化は、円筒部材4との相対的な位
相によって増減する。
【0032】自発磁化が最小となる位相は、窓4a,4
bの中心と溝5a,5bの中心とが一致した状態であ
り、自発磁化が最大となる位相は、そこから半周期ずれ
た位相となる。
【0033】自発磁化の増減に応じてコイルのインダク
タンスも増減する。その変化はほぼ正弦波となる。操舵
系にトルクが作用しない状態においては、自発磁化(イ
ンダクタンス)が最大となる位相に対して1/4周期ず
れた状態となっており、窓4aと窓4bとの位相は1/
2周期の位相差がある。
【0034】このため、操舵系のトルクにより円筒部材
4と入力軸1に位相差が生じると、二つのコイル10、
11のインダクタンスは一方は増加し、他方は同じ割合
で減少する。
【0035】従って、コイル10及び11の自己誘導起
電力の差を求める差動アンプ24A及び24Bの出力
は、図6に示すように、操舵トルクの方向及び大きさに
従ってリニアに変化するようになる。また、差動アンプ
24A及び24Bにおいて整流・平滑回路22,23の
差を求めているため、温度等による自己インダクタンス
の変化はキャンセルされる。
【0036】そして、トルク演算部26は、ノイズ除去
フィルタ25A,25Bを介して供給される差動アンプ
24A,24Bの出力の平均値を演算し、その値に例え
ば所定の比例定数を乗じて操舵トルクを求め、その結果
をモータ駆動部27に供給する。モータ駆動部27は、
操舵トルクの方向及び大きさに応じた駆動電流Iを電動
モータに供給する。
【0037】すると、電動モータには、操舵系に発生し
ている操舵トルクの方向及び大きさに応じた回転力が発
生し、その回転力がウォームギア等を介して出力軸2に
伝達されるから、出力軸2に操舵補助トルクが付与され
たことになり、操舵トルクが減少し、操縦者の負担が軽
減される。
【0038】そして、導電性で且つ非磁性の材料からな
る円筒部材4は、交番磁界と鎖交する場合には、うず電
流が発生して磁束を通し難くなるため、空気よりも更に
磁束を通し難い性質を有する。これに対し、磁性材料か
らなる入力軸1の大径部1Aは、磁束を通し易い(空気
よりも通し易い)。従って、大径部1A表面の露出割合
の変化は、コイル10,11の自己インダクタンスを急
峻に変化させることになるから、差動アンプ24A,2
4Bの出力を急峻にしてセンサ感度を上げることができ
る。逆に、センサ感度が従来のままでよければ、コイル
10,11の巻き数等を少なくしてコイル10,11を
小型化できる。
【0039】また、円筒部材4を通過する磁束は、うず
電流による表皮効果によって、コイル10,11に近い
表皮部分に集中することになる。ちなみに、コイル1
0,11に供給する交流電流の周波数をf、円筒部材4
をなす材料の透磁率をμ、その電気伝導率をσとすれ
ば、磁束が集中する表皮の厚さδは、下記の(1)式の
ようになる。
【0040】 δ={2/(2πf・σ・μ)}1/2 ……(1) つまり、円筒部材4の厚みは、上記(1)式で求められ
る厚さδ以上あればよいから、円筒部材4を含んだセン
サ部分の外径寸法を小さくできるし、円筒部材4が薄け
れば、センサの外形寸法を最小限に抑えることができる
ばかりか、コイル10,11と大径部1Aとの間の距離
を短くできるため、センサ感度をより向上させることが
できるという利点がある。
【0041】以上から、本実施の形態の構成であれば、
トルクセンサが配設される部分を従来に比べて小型化
(細く)できるという利点があり、本実施の形態のよう
にスペース的な余裕が小さい車両に適用される装置にと
っては特に有益である。
【0042】さらには、入力軸1及び出力軸2間の相対
回転変位を他の部材の直進運動に変換する機構が必要が
ないから、構造が簡易であるし、変換機構が不要な分、
精度が向上するという利点がある。
【0043】そして、本実施の形態では、入力軸1及び
出力軸2を、フェライト系若しくはマルテンサイト系ス
テンレス材に比べて安価で且つ加工性に優れた構造用鋼
で形成しているため、トルクセンサの低コスト化にとっ
て有利な構成となっている。また、それら入力軸1及び
出力軸2の表面を無電解ニッケルメッキ処理によってN
i−P合金で被覆しているため、入力軸1及び出力軸2
の腐食は十分に防止できる。
【0044】入力軸1及び出力軸2表面のメッキ皮膜の
厚さは、10μm〜20μm程度とすれば良い。これ
は、無電解ニッケルメッキ処理により形成されるNi−
P合金の磁束の浸透深さδは、その電気伝導率σ=4.
36×10-3(m)、比透磁率μS ≒1、コイル10、
11の発振周波数を8KHzとすれば、上記(1)式から
δ=4.36(mm)となり、メッキ皮膜の厚さはその
浸透深さより十分に薄くなって、構造用鋼単体での磁束
密度に対するメッキ皮膜を形成した入力軸1及び出力軸
2における磁束密度の減少は極めて小さくて済み、セン
サ感度の低下が実質的に生じないからである。
【0045】また、無電解ニッケルメッキによって形成
されるNi−P合金は、リン含有率が8%以上のものは
非晶質のため磁性がないが、純粋なニッケルは鉄と同様
に強い強磁性体であり、無電解ニッケルメッキも熱処理
温度250℃前後から磁性を帯びるようになることか
ら、そのような磁性を帯びるようにメッキ処理を施して
皮膜を形成すれば、構造用鋼単体の場合よりもセンサ感
度が向上するようにもなる。つまり、構造用鋼はその機
械的強度を上げるために炭素を大量に含んでいるが、炭
素には鉄の磁性を弱める働きがあるので、SUS材に比
べて、構造用鋼の比透磁率は小さく、その分センサ感度
が低下することになる。しかし、構造用鋼からなる入力
軸1及び出力軸2の表面を、上記のように磁性を帯びる
ニッケル合金で皮膜すれば、その皮膜内のニッケル成分
が、炭素による磁性低下分を補うようになるから、構造
用鋼単体の場合よりもセンサ感度が向上するのである。
【0046】さらに、ヨーク9等も、入力軸1及び出力
軸2と同様に、構造用鋼で形成するとともに、無電解ニ
ッケルメッキ処理によってその表面を皮膜することによ
り、性能低下を招くことなく、コスト低減に寄与できる
ようになる。その場合でも、上記のように磁性を帯びる
ニッケル合金で皮膜すれば、構造用鋼単体の場合よりも
センサ感度が向上するようになる。
【0047】なお、上記実施例では、信頼性を向上させ
るために、差動アンプ24A,24B及びノイズ除去フ
ィルタ25A,25Bを二系統設けているが、これは必
ずしも必要ではなく、個々の回路の信頼性が十分であれ
ば一系統であっもよいし、逆に三系統以上設けてもよ
い。
【0048】また、上記実施例では、本発明に係るトル
クセンサを、車両用の電動パワーステアリング装置に適
用した場合について説明したが、本発明の適用対象はこ
れに限定されるものではない。
【0049】そして、上記実施例では、コイル10,1
1の自己誘導起電力を測定する構成としているが、発振
コイルを設けることにより相互誘導起電力を測定する構
成としてもよい。或いは、差動を採ることなく、一つの
コイルの自己誘導起電力,相互誘導起電力に基づいてト
ルクを求めるようにしてもよい。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
磁性体からなる二本の回転軸をトーションバーを介して
同軸に連結するとともに、前記回転軸を包囲するように
コイルを配設し、前記回転軸に作用するトルクを、それ
ら回転軸間の相対回転に伴う前記コイルの誘導起電力の
変化として検出するようになっているトルクセンサにお
いて、前記回転軸をその表面が不動態となるように被覆
したため、センサ感度の大幅な低下等の不具合を招くこ
となく、その製造コストを低減できるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示す正断面図であ
る。
【図2】図1のA−A線における円筒部材の断面図であ
る。
【図3】図1のB−B線における円筒部材の断面図であ
る。
【図4】円筒部材を固定した状態の正面図である。
【図5】モータの制御回路の一例を示す回路図である。
【図6】操舵トルクと差動アンプの出力との関係を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 入力軸 1A 大径部 2 出力軸 3 トーションバー 4 円筒部材 4a,4b 窓 5a,5b,5c 溝 10,11 コイル 21 発振部 22,23 整流・平滑回路 24A,24B 差動アンプ 25A,25B ノイズ除去フィルタ 26 トルク演算部 27 モータ駆動回路

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性体からなる二本の回転軸をトーショ
    ンバーを介して同軸に連結するとともに、前記回転軸を
    包囲するようにコイルを配設し、前記回転軸に作用する
    トルクを、それら回転軸間の相対回転に伴う前記コイル
    の誘導起電力の変化として検出するようになっているト
    ルクセンサにおいて、前記回転軸をその表面が不動態と
    なるように被覆したことを特徴とするトルクセンサ。
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