JPH11303776A - スクロール圧縮機およびそれを用いた冷凍サイクル - Google Patents

スクロール圧縮機およびそれを用いた冷凍サイクル

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JPH11303776A
JPH11303776A JP11096698A JP11096698A JPH11303776A JP H11303776 A JPH11303776 A JP H11303776A JP 11096698 A JP11096698 A JP 11096698A JP 11096698 A JP11096698 A JP 11096698A JP H11303776 A JPH11303776 A JP H11303776A
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scroll compressor
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Kazuo Sekigami
和夫 関上
Atsushi Shimada
敦 島田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】冷媒と冷凍機油との組み合わせが非相溶性でも
高信頼性化を可能にし、近年HCFC22の代替冷媒で
あるR410A冷媒を使用する場合でも従来レベルの密
閉容器で耐圧性が確保できるスクロール圧縮機を提供す
る。 【解決手段】密閉容器内に、電動機と該電動機にクラン
ク軸で連結された圧縮機構部とを収納したスクロール圧
縮機において、圧縮機構部の吸込室へは外部サイクルか
らの管路が密封装着され、吐出室からは密封装着された
管路が外部サイクルへ接続され、圧縮機構部および管路
以外の密閉容器内の圧力を、通常の安定運転中の吸込室
圧力に対して+0.2MPa〜+0.8MPaの範囲の
いずれかの圧力にほぼ一定に保つ制御弁を圧縮機構部に
装着するとともに、圧縮機構部からの吐出ガス中の冷凍
機油を分離し、分離した冷凍機油を吐出圧力より減圧し
て前記密閉容器内に戻す機構を密閉容器内に装着した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクロール圧縮機
およびそれを用いた冷凍サイクルに係り、特にHCFC
22代替冷媒として使用されるR410A(HFC12
5とHFC32の混合冷媒)などのように作動圧力が高
い状態で使用される場合に好適なスクロール圧縮機およ
びそれを用いた冷凍サイクルに関するもので、空気調和
機、冷凍機等に利用される。
【0002】
【従来の技術】近年、原理的に圧縮機の低振動化、静音
化に有利なスクロール圧縮機が空気調和機や冷凍機に採
用されてきている。さらに、高効率化に有利な技術とし
て、自転を阻止された状態で他方のスクロールに対して
旋回運動を行い圧縮作用をなす旋回スクロールの台板の
ラップを有する面の反対側の面に吸込圧と吐出圧の中間
的な圧力を作用させ、適切な押し付け力で互いに噛み合
うラップと台板との間の漏れを少なくするとともに、摩
擦による摺動ロスを低減できる技術が開発されており、
例えば、特公昭57−23793号公報、特開昭59−
60089号公報等に記載の技術が知られている。ま
た、空気調和機や冷凍機の運転条件の範囲を拡大するの
に必要な技術として、例えば特開昭61−89990号
公報記載の技術が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、いず
れも旋回スクロールの台板のラップを有する面の反対側
の面に背圧室を設け、該背圧室と圧縮室を連通するガス
通路を設けることにより吸込圧と吐出圧の中間的な圧力
を作用させる構造である。すなわち、特公昭57−23
793号公報および特開昭61−89990号公報記載
の技術では、旋回スクロールの台板のラップを有する面
の反対側の面に背圧室を設け、該背圧室と圧縮室を連通
するガス通路を旋回スクロールの台板に設けることによ
り吸込圧と吐出圧の中間的な圧力を作用させる構造であ
る。また、特開昭59−60089号公報記載の技術で
は、旋回スクロールと噛み合う固定スクロールの台板に
圧縮室と密閉空間を連通するガス通路を設けることによ
り、旋回スクロール台板の背面も吸込圧と吐出圧の中間
的な圧力を作用させる構造としている。
【0004】いずれの技術でも中間的な圧力は、スクロ
ール方式の圧縮機構の特質として、吸込圧に圧縮室と連
通するガス通路の位置により決定されるある倍率を掛け
た圧力になる。したがって、空気調和機や冷凍機の負荷
の軽い運転時に吸込圧と吐出圧が接近すると、中間的圧
力の上昇が大きすぎ、固定スクロールに旋回スクロール
を押し付けるための背圧は必要以上に大きくなり、摺動
ロスが大きくなることは否めない。
【0005】また、特開昭59−60089号公報記載
の技術では、旋回スクロール台板と固定スクロール台板
との摺動部を潤滑して圧縮室に入った冷凍機油は全て吐
出パイプから外部サイクルへ排出されてしまい性能上、
信頼性上なんらかの対策を必要とする。
【0006】さらに、特開昭61−89990号公報記
載の技術では、圧縮機構部から排出された冷凍機油は密
閉容器内で冷媒ガスと分離し、大部分は密閉容器内に戻
り、冷媒ガスが吐出パイプから外部サイクルへ排出され
る。しかし、密閉容器内は吐出圧力になるので、近年H
CFC22の代替冷媒として採用されようとしているR
410A冷媒では、作動圧力がHCFC22に比べ約
1.5倍になり高耐圧化構造にする必要がある。また液
冷媒が戻るような運転条件のときは、冷媒が冷凍機油に
大量に溶け込み潤滑油としての粘度が低下し信頼性的に
何らかの対策を必要とする。また、冷媒と冷凍機油は通
常の運転条件において相溶性(互いに溶けやすい性質)
を有する組合せに限られる。
【0007】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るためになされたもので、本発明の目的は、冷媒と冷凍
機油との組み合わせが相溶性、非相溶性のいずれでも高
信頼性化を可能にし、近年HCFC22の代替冷媒とし
て採用されようとしているR410A冷媒を使用する場
合でも従来レベルの密閉容器で耐圧性が確保できるスク
ロール圧縮機を提供することにある。また、本発明の他
の目的は、このようなスクロール圧縮機を搭載すること
により空気調和機、冷凍機等の高信頼性化を実現できる
冷凍サイクルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るスクロール圧縮機の基本的な第一の構
成は、密閉容器内に、電動機と該電動機にクランク軸で
連結された圧縮機構部とを収納するものであって、圧縮
機構部は、少なくとも、それぞれの台板上に直立する渦
巻状のラップを有する2つのスクロールが互いにラップ
を内側にして噛み合っており、一方のスクロールが自転
を阻止された状態で他方のスクロールに対して旋回運動
をなし、スクロールの最外周部に形成される吸込室から
順次ガスの体積を縮小させて圧縮作用を行い、内周部に
形成される吐出室から圧縮されたガスを吐出するスクロ
ール圧縮機において、前記吸込室へは外部サイクルから
の管路が密封装着され、前記吐出室からは密封装着され
た管路が外部サイクルへ接続され、前記圧縮機構部およ
び前記管路以外の密閉容器内の圧力を、通常の安定運転
中の吸込室圧力に対して+0.2MPa〜+0.8MP
aの範囲のいずれかの圧力にほぼ一定に保つ制御弁を前
記圧縮機構部に装着したものである。
【0009】また、上記目的を達成するために、本発明
に係るスクロール圧縮機のより具体的な第二の構成は、
密閉容器内に、電動機と該電動機にクランク軸で連結さ
れた圧縮機構部とを収納するものであって、圧縮機構部
は、少なくとも、それぞれの台板上に直立する渦巻状の
ラップを有する2つのスクロールが互いにラップを内側
にして噛み合っており、一方のスクロールが自転を阻止
された状態で他方のスクロールに対して旋回運動をな
し、スクロールの最外周部に形成される吸込室から順次
ガスの体積を縮小させて圧縮作用を行い、内周部に形成
される吐出室から圧縮されたガスを吐出するスクロール
圧縮機において、前記吸込室へは外部サイクルからの管
路が密封装着され、前記吐出室からは密封装着された管
路が外部サイクルへ接続され、前記圧縮機構部および前
記管路以外の密閉容器内の圧力を、通常の安定運転中の
吸込室圧力に対して+0.2MPa〜+0.8MPaの
範囲のいずれかの圧力にほぼ一定に保つ制御弁を前記圧
縮機構部に装着するとともに、前記圧縮機構部からの吐
出ガス中の冷凍機油を分離し、分離した冷凍機油を吐出
圧力より減圧して前記密閉容器内に戻す機構を前記密閉
容器内に設けたものである。
【0010】さらに、本発明に係るスクロール圧縮機を
用いた冷凍サイクルの構成は、密閉容器内に、電動機と
該電動機にクランク軸で連結された圧縮機構部とを収納
するもので、圧縮機構部は、少なくとも、それぞれの台
板上に直立する渦巻状のラップを有する2つのスクロー
ルが互いにラップを内側にして噛み合っており、一方の
スクロールが自転を阻止された状態で他方のスクロール
に対して旋回運動をなし、スクロールの最外周部に形成
される吸込室から順次ガスの体積を縮小させて圧縮作用
を行い、内周部に形成される吐出室から圧縮されたガス
を吐出するようにし、前記吸込室へは外部サイクルから
の管路が密封装着され、前記吐出室からは密封装着され
た管路が外部サイクルへ接続されてなるスクロール圧縮
機を用いた冷凍サイクルにおいて、前記スクロール圧縮
機の密閉容器内と、圧縮機構部の吸込室へ密封装着され
た外部管路内とを、吸込室圧力に対して+0.2MPa
〜+0.8MPaの範囲のいずれかの圧力にほぼ一定に
保つ制御弁を介して連通するとともに、前記密閉容器内
と、圧縮機構部の吐出室へ密封装着された外部管路内と
を、吐出室圧力より低く、かつ密閉容器内圧力より高く
設定できる減圧弁を介して連通したものである。
【0011】上記スクロール圧縮機を用いた冷凍サイク
ルの構成において、圧縮機構部の吐出室へ密封装着され
た外部管路に油分離器を設け、前記油分離器と密閉容器
内とを前記減圧弁を介して連通したことを特徴とする。
【0012】上記の技術的手段による働きは次のとおり
である。圧縮機が運転を開始すると、吐出パイプから冷
凍機油と冷媒ガスが排出される。冷凍機油と冷媒ガスは
分離部で分離され、冷媒ガスは冷凍サイクルへ送出さ
れ、冷凍機油は密閉容器内に戻り、密閉容器内の圧力を
上昇させる。圧力上昇に伴い旋回スクロール台板は固定
スクロール台板に押し付けられ漏れが少なく効率的な圧
縮ができるようになる。さらに圧力が上昇し吸込室圧力
に対して+0.2MPa〜+0.8MPaの範囲のいず
れかの圧力に達した状態で、密閉容器内と吸込室とが連
通する部位に配設された制御弁が作動し、必要量の冷媒
ガスが吸込ラインに戻され、密閉容器内は設定した圧力
に保たれる。
【0013】旋回スクロール台板は固定スクロール台板
に必要以上の押し付け力で押し付けられることがなく、
台板同士の摺動による摩擦ロスを低減できる。圧縮機構
部および管路以外の密閉容器内の圧力を、通常の安定運
転中の吸込室圧力に対して+0.2MPa〜+0.8M
Paの範囲のいずれかの圧力と限定した根拠を説明す
る。前記密閉容器内の圧力が、吸込室圧力に対して+
0.2MPaより低ければ、旋回スクロールと固定スク
ロールのスクロールラップの噛み合い部が離れて正規の
運転ができなくなる。また、前記密閉容器内の圧力が、
吸込室圧力に対して+0.8MPaを超えて強すぎる
と、旋回スクロールと固定スクロールとの台板同士の摺
動による摩擦力が増えて入力の増大を招く。
【0014】なお付記すれば、前記密閉容器内の圧力
が、吸込室圧力に対して+0.2MPa〜+0.8MP
aの範囲のいずれかの圧力と表現したのは、圧縮機構の
大きさや作動冷媒の種類によって最適値が存在するため
である。密閉容器内の圧力は吐出圧力より充分低いので
密閉容器耐圧仕様を軽減できる。また、密閉容器内に戻
される冷凍機油には冷媒が殆ど含まれていないので、冷
凍機油の粘度の低下がなく、摺動部潤滑性を損なうこと
がない。また非相溶性の冷媒と冷凍機油の組み合わせで
も差し支えない。外部サイクルへの冷凍機油の排出も少
なくできるので冷凍サイクルの効率向上が期待できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図1な
いし図3を参照して説明する。まず、第1の実施の形態
を図1ないし図2を参照して説明する。 〔実施の形態 1〕図1は、本発明の一実施形態に係る
スクロール圧縮機の縦断面図、図2は、図1の圧縮機構
部の要部拡大図である。図1,2に示すスクロール圧縮
機は、密閉容器1内の上部に圧縮機構部、下部に電動機
部が収納されており、密閉容器1内底部に冷凍機油の油
貯溜部14を備えている。
【0016】圧縮機構部は、それぞれの台板6a,7a
上に直立する渦巻状のラップ6b,7bを有し、それぞ
れのラップ6b,7bを噛みあわせて圧縮室を形成する
固定スクロール6および旋回スクロール7と、旋回スク
ロール7の自転を阻止し旋回運動させるための自転阻止
部材に係るオルダムリング8と、電動機の回転力を伝達
し旋回スクロール7を回転させるクランク軸4と、固定
スクロール6と結合し前記クランク軸4を回転させる軸
受5aを具備するフレーム5とを主要構成要素としてい
る。固定スクロール6の吸込口には外部冷凍サイクルと
連通する吸込管12が圧入により密封装着されている。
また、吐出室からは密封装着された吐出管13が外部冷
凍サイクルへ接続されている。
【0017】電動機部は、固定子2および回転子3から
なり、固定子2は密閉容器1内側に焼嵌めなどにより固
定されており、回転子3はクランク軸4に圧入などによ
り固定されている。さらに詳しく説明すれば、フレーム
5の外周部は密閉容器1内側に固定されており、クラン
ク軸4の回転を受ける軸受5aを具備している。クラン
ク軸4の偏心部4aには旋回スクロール7が回転自在に
取り付けられ、フレーム5に形成された溝と旋回スクロ
ール7の反ラツプ側の台板に形成された溝にオルダムリ
ング8が摺動自在に配設され旋回スクロール7は自転す
ることなく公転する。また、固定スクロール6はフレー
ム5にボルトにより締結されている。
【0018】密閉容器1内と吸込室との連通部には、制
御弁部を内蔵している。この制御弁部は、図2に詳細を
示すように、ばね10、弁板19、およびばね10の係
止部材18で構成されている。固定スクロール6の吐出
ポート9の上部には、吐出冷媒ガス中の冷凍機油を分離
する分離部が配設されている。この分離部は、図2に詳
細を示すように、固定スクロール6の台板6aの上部に
取り付けた外カバー11と、内カバー15と、これら外
カバー11,内カバー15間に介在する分離材17と、
分離された冷凍機油を密閉容器1内の油貯溜部14へ戻
すキャピラリチューブ16から構成されている。このキ
ャピラリチューブ16は、一端が外カバー11内の油分
離部に開口し該外カバー11の外周を取り巻くように設
けられた減圧用細径管である。
【0019】このような構成のスクロール圧縮機の作用
を説明する。外部冷凍サイクルからの冷媒ガスは、吸込
管12を通って圧縮機構部に吸い込まれる。一方、冷凍
機油は、密閉容器1の底部の油貯溜部14からクランク
軸4の回転に伴い遠心ポンプ作用や容積形ポンプ(図示
せず)等により吸い上げられフレーム5の軸受部5aお
よび旋回スクロール7の軸受部を潤滑し、旋回スクロー
ル7の台板7a下部に排出される。排出された冷凍機油
の大部分はフレーム5に設けられた油戻し孔22から油
貯溜部14へ戻るが、一部は密閉容器1内の圧力と吸込
圧力との差圧により固定スクロール6の台板6aと旋回
スクロール7の台板7aとの摺動部に侵入し、摺動部を
潤滑して圧縮室最外周部の吸込室に至る。
【0020】吸込室に至った冷媒ガスと冷凍機油とは、
旋回スクロール7の偏心回転(公転)によりスクロール
ラップ6b,7bの噛み合いで圧縮され吐出ポート9か
ら吐出される。吐出ポート9から吐出された冷媒ガスと
冷凍機油とは、さらに内カバー15に設けられた連通孔
15aから油分離部に導かれる。油分離部に導かれた冷
媒ガスと冷凍機油のうち、冷媒ガスは分離材17を通過
するが、冷凍機油の大部分は分離材17を通過できず、
減圧用細径管であるキャピラリチューブ16を通るとき
に、ある設定された密閉容器内圧力より若干高めの圧力
まで減圧されて密閉容器1内に排出され、油貯溜部14
に戻る。
【0021】密閉容器1内に排出された冷凍機油のため
密閉容器内圧力が上昇し、固定スクロール6の連通孔2
0を通して制御弁部の弁板19を押し下げる圧力がばね
10による押し上げ力より大きくなると開弁し、冷媒ガ
スはばね10の係止部材18に設けられた細孔21を通
って吸込室に吸収される。すなわち、ばね10による押
し上げ力の設定により密閉容器1内の圧力を選定でき
る。密閉容器1内の圧力は、圧縮機構部の大きさや運転
条件の範囲、作動ガスの種類などにより旋回スクロール
7と固定スクロール6の噛み合わせ部や台板部での漏れ
が少なく、かつ摺動ロスも大きくならないような圧力に
設定する。
【0022】本実施の形態によれば、例えば空気調和機
に用いた場合、作動ガスがHCFC22であれば、通常
吸込圧力は0.5MPa程度であり吐出圧力は2MPa
程度であるが、直接密閉容器内に吐出する高圧タイプの
スクロール圧縮機に比べ、密閉容器内の圧力を0.5+
0.8=1.3MPa以下にすることができる。また、
HCFC22の代替冷媒として採用されてきているオゾ
ン層を破壊しないR410A冷媒を使用した場合、吸込
圧力は0.8MPa程度であり吐出圧力は3MPa程度
であるが、密閉容器内の圧力を0.8+0.8=1.6
MPa以下にすることができるので、現状HCFC22
を作動冷媒とした高圧タイプのスクロール圧縮機と同等
以下の耐圧性でも対応できる効果を有する。
【0023】その上冷凍機油は冷媒の溶け込みが少ない
状態で摺動部に供給できるので、摺動部の信頼性の向上
を図ることができる。さらに、冷媒、冷凍機油が非相溶
性の組み合わせでも良い。しかして、代替冷媒であるR
410Aは、局圧潤滑性、すなわち局部的に接触しても
噛り付き難い性質を有する塩素を含まないものである
が、前述のように、冷媒の溶け込みが少ない状態で摺動
部に供給できる本実施形態は、代替冷媒R410Aを作
動冷媒として用いる空気調和機に使用する圧縮機摺動部
の信頼性向上における重要な効果となるものである。
【0024】〔実施の形態 2〕次に、本発明の第2の
実施形態について図3を参照して説明する。図3は、本
発明の他の実施の形態を示すソクロール圧縮機の縦断面
図である。図中、図1と同一符号のものは第1の実施の
形態と同等部であるから、一部の説明を簡略にする。第
2の実施の形態においても、作用,効果は第1の実施の
形態と同様であるが、第1の実施の形態では制御弁部と
油分離部を密閉容器の中に内蔵する構成としたのに対
し、第2の実施の形態では外部配管内に制御弁部と油分
離部を配設したものである。
【0025】図3に示すスクロール圧縮機は、密閉容器
1A内の上部に圧縮機構部、下部に電動機部が収納され
ており、密閉容器1A内底部に冷凍機油の油貯溜部14
を備えている。圧縮機構部は、固定スクロール6A、旋
回スクロール7、フレーム5、クランク軸4、オルダム
リング8を主要構成要素としている。固定スクロール6
Aの吸込口には外部冷凍サイクルと連通する吸込管12
Aが圧入により密封装着されている。また、吐出ポート
9Aには吐出管13Aが密封接続されている。
【0026】電動機部は、固定子2および回転子3から
なり、固定子2は密閉容器1内側に焼嵌めなどにより固
定されており、回転子3はクランク軸4に圧入などによ
り固定されている。さらに詳しく説明すれば、フレーム
5の外周部は密閉容器1A内側に固定されており、クラ
ンク軸4の回転を受ける軸受5aを具備している。クラ
ンク軸4の偏心部4aには旋回スクロール7が回転自在
に取り付けられ、フレーム5に形成された溝と旋回スク
ロール7の反ラツプ側の台板に形成された溝にオルダム
リング8が摺動自在に配設され旋回スクロール7は自転
することなく公転する。旋回スクロール7と噛み合って
圧縮室を形成する固定スクロール6Aはフレーム5にボ
ルトにより締結されている。
【0027】密閉容器1A内と吸込管12Aとをつなぐ
管路の一部に制御弁部27が配設されている。この制御
弁部27は、ばね24、弁座23、およびばね24の係
止部材25で構成されている。また、吐出配管13Aに
は、吐出冷媒ガス中の冷凍機油を分離する油分離部30
が配設されており、分離された油を密閉容器1A内へ戻
すための減圧弁31を介在させた油配管32を備えてい
る。
【0028】このような構成のスクロール圧縮機の作用
を説明する。外部冷凍サイクルからの冷媒ガスは、吸込
管12Aを通って圧縮機構部に吸い込まれる。一方、冷
凍機油は、密閉容器1Aの底部の油貯溜部14からクラ
ンク軸4の回転に伴い遠心ポンプ作用や容積形ポンプ
(図示せず)等により吸い上げられフレーム5の軸受部
5aおよび旋回スクロール7の軸受部を潤滑し、旋回ス
クロール7の台板下部に排出される。排出された冷凍機
油の大部分はフレーム5に設けられた油戻し孔22から
油貯溜部14へ戻るが、一部は密閉容器1A内の圧力と
吸込圧力との差圧により固定スクロール6Aの台板と旋
回スクロール7の台板との摺動部に侵入し、摺動部を潤
滑して圧縮室最外周部の吸込室に至る。
【0029】吸込室に至った冷媒ガスと冷凍機油とは、
旋回スクロール7の偏心回転(公転)により吐出ポート
9Aから吐出され、吐出管13Aからさらに油分離部3
0に至る。油分離部30に導かれた冷媒ガスと冷凍機油
のうち、冷媒ガスは冷凍サイクルへ送出され、冷凍機油
は減圧弁31により密閉容器内圧力より若干高めの圧力
まで減圧されて密閉容器1A内に排出され、油貯溜部1
4に戻る。
【0030】密閉容器1A内に排出された冷凍機油のた
め密閉容器1A内圧力が上昇し、制御弁部27の弁座2
3を押し上げる圧力がばね24による押し下げ力より大
きくなると開弁し、冷媒ガスはばね24の係止部材25
に設けられた細孔26を通って吸込管12Aに吸収され
る。すなわち、ばね24による押し上げ力の設定により
密閉容器1A内の圧力を選定できる。密閉容器1A内の
圧力は、圧縮機構部の大きさや運転条件の範囲、作動ガ
スの種類などにより旋回スクロール7と固定スクロール
6Aの噛み合わせ部や台板部での漏れが少なく、かつ摺
動ロスも大きくならないように設定することは第1の実
施の形態と同じであり、第1の実施の形態と同様な効果
が得られる。
【0031】上記の各実施の形態によれば、密閉容器内
の圧力は吐出圧力より充分低くできるので密閉容器耐圧
仕様を軽減できる。HCFC22の代替冷媒として採用
されようとしているR410A冷媒を使用する場合でも
従来レベルの密閉容器で耐圧性が確保できる。また、密
閉容器内に戻される冷凍機油には冷媒が殆ど含まれてい
ないので、冷凍機油の粘度の低下がなく、摺動部潤滑性
を損なうことがない。さらに、冷媒と冷凍機油が非相溶
性であっても差し支えなく、冷媒、冷凍機油の選択の裕
度が大きくなる。外部冷凍サイクルへの冷凍機油の排出
も少なくできるので冷凍サイクルの効率を向上できる。
【0032】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、冷媒と冷凍機油との組み合わせが相溶性、非相溶
性のいずれでも高信頼性化を可能にし、近年HCFC2
2の代替冷媒として採用されようとしているR410A
冷媒を使用する場合でも従来レベルの密閉容器で耐圧性
が確保できるスクロール圧縮機を提供することができ
る。また、本発明によれば、このようなスクロール圧縮
機を搭載することにより空気調和機、冷凍機等の高信頼
性化を実現できる冷凍サイクルを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の位置実施形態に係るスクロール圧縮機
の縦断面図である。
【図2】図1の圧縮機構部の要部拡大図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を示すスクロール圧縮
機の縦断面図である。
【符号の説明】
1,1A…密閉容器、4…クランク軸、5…フレーム、
6,6A…固定スクロール、7…旋回スクロール、8…
オルダムリング、9,9A…吐出ポート、10,24…
ばね、11…外カバー、12,12A…吸込管、13,
13A…吐出管、14…油貯溜部、15…内カバー、1
6…キャピラリチューブ、17…分離材、18,25…
ばね係止部材、19…弁板、20…連通孔、21,26
…細孔、23…弁座、30…油分離部、31…減圧弁。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉容器内に、電動機と該電動機にクラ
    ンク軸で連結された圧縮機構部とを収納するものであっ
    て、 圧縮機構部は、少なくとも、それぞれの台板上に直立す
    る渦巻状のラップを有する2つのスクロールが互いにラ
    ップを内側にして噛み合っており、一方のスクロールが
    自転を阻止された状態で他方のスクロールに対して旋回
    運動をなし、スクロールの最外周部に形成される吸込室
    から順次ガスの体積を縮小させて圧縮作用を行い、内周
    部に形成される吐出室から圧縮されたガスを吐出するス
    クロール圧縮機において、 前記吸込室へは外部サイクルからの管路が密封装着さ
    れ、前記吐出室からは密封装着された管路が外部サイク
    ルへ接続され、 前記圧縮機構部および前記管路以外の密閉容器内の圧力
    を、通常の安定運転中の吸込室圧力に対して+0.2M
    Pa〜+0.8MPaの範囲のいずれかの圧力にほぼ一
    定に保つ制御弁を前記圧縮機構部に装着したことを特徴
    とするスクロール圧縮機。
  2. 【請求項2】 密閉容器内に、電動機と該電動機にクラ
    ンク軸で連結された圧縮機構部とを収納するものであっ
    て、 圧縮機構部は、少なくとも、それぞれの台板上に直立す
    る渦巻状のラップを有する2つのスクロールが互いにラ
    ップを内側にして噛み合っており、一方のスクロールが
    自転を阻止された状態で他方のスクロールに対して旋回
    運動をなし、スクロールの最外周部に形成される吸込室
    から順次ガスの体積を縮小させて圧縮作用を行い、内周
    部に形成される吐出室から圧縮されたガスを吐出するス
    クロール圧縮機において、 前記吸込室へは外部サイクルからの管路が密封装着さ
    れ、前記吐出室からは密封装着された管路が外部サイク
    ルへ接続され、 前記圧縮機構部および前記管路以外の密閉容器内の圧力
    を、通常の安定運転中の吸込室圧力に対して+0.2M
    Pa〜+0.8MPaの範囲のいずれかの圧力にほぼ一
    定に保つ制御弁を前記圧縮機構部に装着するとともに、 前記圧縮機構部からの吐出ガス中の冷凍機油を分離し、
    分離した冷凍機油を吐出圧力より減圧して前記密閉容器
    内に戻す機構を前記密閉容器内に設けたことを特徴とす
    るスクロール圧縮機。
  3. 【請求項3】 作動冷媒として、同一の凝縮温度におけ
    る凝縮圧力がHCFC22冷媒の凝縮圧力以上となる代
    替冷媒を使用することを特徴とする請求項1または2記
    載のいずれかのスクロール圧縮機を用いた冷凍サイク
    ル。
  4. 【請求項4】 密閉容器内に、電動機と該電動機にクラ
    ンク軸で連結された圧縮機構部とを収納するもので、圧
    縮機構部は、少なくとも、それぞれの台板上に直立する
    渦巻状のラップを有する2つのスクロールが互いにラッ
    プを内側にして噛み合っており、一方のスクロールが自
    転を阻止された状態で他方のスクロールに対して旋回運
    動をなし、スクロールの最外周部に形成される吸込室か
    ら順次ガスの体積を縮小させて圧縮作用を行い、内周部
    に形成される吐出室から圧縮されたガスを吐出するよう
    にし、前記吸込室へは外部サイクルからの管路が密封装
    着され、前記吐出室からは密封装着された管路が外部サ
    イクルへ接続されてなるスクロール圧縮機を用いた冷凍
    サイクルにおいて、 前記スクロール圧縮機の密閉容器内と、圧縮機構部の吸
    込室へ密封装着された外部管路内とを、吸込室圧力に対
    して+0.2MPa〜+0.8MPaの範囲のいずれか
    の圧力にほぼ一定に保つ制御弁を介して連通するととも
    に、 前記密閉容器内と、圧縮機構部の吐出室へ密封装着され
    た外部管路内とを、吐出室圧力より低く、かつ密閉容器
    内圧力より高く設定できる減圧弁を介して連通したこと
    を特徴とするスクロール圧縮機を用いた冷凍サイクル。
  5. 【請求項5】 圧縮機構部の吐出室へ密封装着された外
    部管路に油分離器を設け、前記油分離器と密閉容器内と
    を前記減圧弁を介して連通したことを特徴とする請求項
    4記載のスクロール圧縮機を用いた冷凍サイクル。
  6. 【請求項6】 作動冷媒に対し非相溶性の冷凍機油を使
    用することを特徴とする請求項3ないし5記載のいずれ
    かのスクロール圧縮機を用いた冷凍サイクル。
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