JPH11302299A - T細胞リセプターβ鎖定常領域ペプチド、該ペプチドの製造方法及び用途 - Google Patents

T細胞リセプターβ鎖定常領域ペプチド、該ペプチドの製造方法及び用途

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JPH11302299A
JPH11302299A JP10110607A JP11060798A JPH11302299A JP H11302299 A JPH11302299 A JP H11302299A JP 10110607 A JP10110607 A JP 10110607A JP 11060798 A JP11060798 A JP 11060798A JP H11302299 A JPH11302299 A JP H11302299A
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polypeptide
amino acid
acid sequence
seq
val
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JP10110607A
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Noriko Yuyama
則子 湯山
Toshibumi Mikoyama
俊文 三箇山
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Kirin Brewery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 T細胞リセプターβ鎖の定常領域の一部
または全部を実質的に含み、且つT細胞リセプターβ鎖
の他の領域を実質的に含有しない、免疫抑制作用を有す
るポリペプチド;前記のポリペプチドをコ−ドするDN
A;以下の式: R1−X−R2 (式中、R1は担体ポリペプチド、Xは蛋白質分解酵素
認識部位、そしてR2は前記のポリペプチドである)で
示される融合ポリペプチドをコ−ドする塩基配列を有す
るDNA;前記のDNAを担持した発現ベクタ−;前記
の発現ベクタ−で形質転換された宿主細胞;前記のポリ
ぺプチドの製造方法;および、前記のポリペプチドを有
効成分として含む医薬組成物。 【効果】 投与すべき患者の組織適合性抗原を考慮する
ことなく、抗原特異性を考慮する必要のない、免疫抑制
作用を持ったTCRβが提供された。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗原非特異的な免
疫抑制作用を有するT細胞リセプターβ鎖の定常領域ポ
リペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】T細胞リセプターβ鎖(以下、T細胞レ
セプターを「TCR」、T細胞レセプターβ鎖を「TC
Rβ」という)は、抗原を認識する特異的なアミノ酸配
列を持つ可変領域と、生物種ごとに固有のアミノ酸配列
を持つ定常領域からなる。これまでTCRの生物学的機
能としては、TCRα鎖(以下、「TCRα」という)
とTCRβ鎖(以下、「TCRβ」という)の可変領域
が、MHC分子上に提示された抗原を認識することによ
って、T細胞がその抗原に応答し、免疫反応の調節が行
われることであると考えられてきた。また、TCRα、
βを持つあらゆるT細胞において均一であるTCRβの
定常領域(以下、「Cβ」という)は、TCRα鎖の定
常領域(以下、「Cα」という)と会合することによっ
てTCRの構造を維持する機能を持つことと、細胞内へ
シグナルを伝達することがその役割と考えられてきた。
【0003】マウス及びヒトのTCRβのCβには、エ
キソンの違いから2種類の遺伝子が存在することがわか
っている。例えば、Hendrick et.al., Nature, 308: 14
9-153, 1984に記載されたマウスTCRβはCβ1(配
列番号1)であり、Chien et.al., Nature, 309: 322-3
26, 1984に記載されたマウスTCRβはCβ2(配列番
号2)である。同様なことは、ヒトTCRβのCβにも
言える。例えば、Ynagi, et. al., Nature, 308: 145-1
49, 1984に記載されたヒトTCRβはCβ1(配列番号
3)であり、Yoshikai et. al., Nature, 312: 521-52
4, 1984に記載されたヒトTCRβはCβ2(配列番号
4)である。
【0004】マウスTCRβのCβ1とCβ2のシーケ
ンスは、cDNAでは22ヌクレオチド、アミノ酸では4ア
ミノ酸しか違いがない。また、ヒトTCRβのCβ1と
Cβ2のシーケンスは、 cDNAでは16ヌクレオチド、
アミノ酸では5アミノ酸しか違いがなく、Cβ2の方が
2アミノ酸長いだけである。具体的にはマウスTCRβ
のCβでは配列番号1に記載された135Gln、161T
hr、164Val、170Argが配列番号2に記載された1
35His、161Gly、164Leu、170Lysに換わって
いて、ヒトTCRβのCβでは配列番号3に記載された
4Asn、5Lys、37Phe、136Val、177Pheが配列
番号4に記載された4Lys 、5Asn 、37Tyr、136G
lu、177Serに換わっていて、178Argと179Gly
が付加されている。ほとんどのアミノ酸の個々の変化が
大きくないため(例えば、マウスTCRβのCβの16
4Valと164Leuは、両者とも負荷をもたない極性アミ
ノ酸である)TCRβのCβタンパクとしての機能への
影響はほとんどみられないと考えられる(Gascoigne e
t. al., 310: 387-391, 1984)。
【0005】また、TCRβのCβは種間でも極めて高
い相同性を示す。例えば、マウスCβ2とヒトCβ2との
間の相同性は約80%(79%)であり(Morris M. et
al., Immunogenetics, 27, 174-179, 1988)、両者のア
ミノ酸配列は極めて類似している。一方、TCRと同様
に抗原に特異的に反応する構造を持ったイミュノグロブ
リン(抗体)は、TCR同様、可変領域と定常領域から
なり、B細胞表面にある抗体分子はTCRと類似した生
物学的機能を持っている。しかし抗体では、さらに可溶
性抗体が存在し、これはB細胞より分泌される。この場
合、抗原に結合する可変領域以外に、定常領域も重要な
生物学的機能を示す。すなわち、多くの細胞にはこの定
常領域の受容体があり、抗体が定常領域を介してそれら
の細胞に結合する事によって、抗体依存性の様々な免疫
応答を誘導する。
【0006】これまでTCRβの定常領域に対する受容
体の存在などは、何ら報告されていない。すなわち、可
溶性TCRβの定常領域が、生物学的な機能を持つこと
を予見させる現象は皆無であった。また、これまで、T
CRβの免疫抑制作用を示唆する報告は存在するが、こ
れらはいずれもTCRβの可変領域までを含む分子に関
するものであり、その作用は抗原特異的な免疫抑制反応
に関与している可能性が考えられている。例えば、マウ
スの実験的自己免疫性脳脊髄炎モデルにおいては、抗原
であるミエリン塩基性タンパクに特異的なTCRβの可
変領域ペプチドを免疫することで、この疾患の発症を抑
制したり(Vandenbark et al., Nature, 341 :541-544,
1989、及び、Howell et al., Science, 246 : 668-67
0, 1989)、あるいは時には増強したり(Desquenne-Cla
rk et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88 : 7219-7
223,1991)することが見出されている。
【0007】これらの結果が示していることは、TCR
βが抗原特異的な免疫調節に関わるものであり、この場
合当然、可変領域の構造がその機能を担っていると考え
られることである。なお、本件発明者らは、先にTCR
α定常領域につき免疫抑制作用を有することを発見し特
許出願を行なっているが(国際公開WO97/4341
1号;1997年11月20日)、TCRαとTCRβ
はいずれもT細胞レセプターの構成タンパク質で抗原特
異性に関わる分子である点で関連しているものの、TC
Rαとβは別のタンパク質であり、TCRαの定常領域
に免疫抑制作用があるとしても、TCRβの定常領域に
同様作用が期待できるとする合理的理由乃至示唆は全く
ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のTCRβを免疫
抑制用途に使用するという試みは、TCRβの可変領域
が関与した抗原特異的免疫作用を期待したものである
が、実際に臨床上実用化されたものはなく、また、抗原
特異的作用ゆえにそれを免疫抑制用途で使う場合にはそ
れぞれの免疫反応に関る抗原毎に特異的なTCRβを調
製し使用しなくてはならないという治療上の制約がある
と考えられる。従って、投与すべき患者の組織適合性抗
原を考慮することなく、抗原特異性を考慮する必要のな
い、免疫抑制作用を持ったTCRβの開発が望まれてい
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、抗原特異的な
作用に関わると考えられていたTCRβにつき、TCR
βの可変領域ではなく定常領域が抗原非特異的な免疫抑
制作用を示すということを初めて見出したことに基づく
ものである。
【0010】本発明は、T細胞リセプターβ鎖の定常領
域の一部または全部を実質的に含み、且つT細胞リセプ
ターβ鎖の他の領域を実質的に含有しない、免疫抑制作
用を有するポリペプチドを提供するものである。本明細
書において、「T細胞リセプターβ鎖の定常領域の一部
または全部を実質的に含む」とは、免疫抑制作用を有す
る限りにおいて、T細胞リセプターβ鎖の定常領域の一
部または全部、及び、それと同一ではないが約80%の
相同性を有するものを含むことを意味し、「T細胞リセ
プターβ鎖の他の領域を実質的に含有しない」とは、他
の領域を一切含有しないか、含有したとしても、免疫抑
制作用に影響を及ぼさず、且つ抗原特異的性質を示さな
い程度に含有することを意味する。なお、ここで、本発
明における「免疫抑制作用」とは、体液性免疫反応及び
細胞性免疫反応を抑制する作用であり、後述の実施例4
のA.乃至C.の試験方法にて確認できるものである。
【0011】また、本発明は、配列番号2のアミノ酸配
列の一部若しくは全部の配列、または該アミノ酸配列の
一部若しくは全部の配列において1以上のアミノ酸残基
が欠失、挿入及び/又は置換されたアミノ酸配列を有
し、且つ、免疫抑制作用を有するポリペプチドを提供す
る。前記のポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列
の1〜146位のアミノ酸配列、または該アミノ酸配列
において1以上のアミノ酸残基が欠失、挿入及び/又は
置換されたアミノ酸配列を有するものであるとよい。
【0012】また、本発明は、配列番号4のアミノ酸配
列の一部若しくは全部の配列、または該アミノ酸配列の
一部若しくは全部の配列において1以上のアミノ酸残基
が欠失、挿入及び/又は置換されたアミノ酸配列を有
し、且つ、免疫抑制作用を有するポリペプチドを提供す
る。前記のポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列
の1〜150位のアミノ酸配列、または該アミノ酸配列
において1以上のアミノ酸残基が欠失、挿入及び/又は
置換されたアミノ酸配列を有するものであってもよい。
さらにまた、本発明は、上記のポリペプチドをコードす
るDNAを提供する。
【0013】本発明はまた、以下の式: R1−X−R2 (式中、R1は担体ポリペプチド、Xは蛋白質分解酵素
認識部位、そしてR2は上記ポリペプチドである)で示
される融合ポリペプチドをコ−ドする塩基配列を有する
DNAを提供する。R1はカルモジュリンであってもよ
い。Xはトロンビンによって認識される部位であっても
よく、トロンビンによって認識される部位は、下記の配
列番号5のアミノ酸配列で示されてもよい。
【0014】Lys−Val−Pro−Arg−Gly
(配列番号5) 本発明は、上記のDNAを担持した発現ベクターおよび
該発現ベクターで形質転換された宿主細胞も提供する。
宿主細胞は原核細胞であってもよく、原核細胞は大腸菌
であってもよい。
【0015】本発明は、また、上記ポリペプチドの製造
方法であって、該ポリペプチドをコードする塩基配列を
有するDNAを担持した発現ベクタ−で形質転換された
宿主細胞を培養し、該ポリペプチドを単離することを特
徴とする、前記の製造方法も提供する。宿主細胞は原核
細胞であってもよく、原核細胞は大腸菌であってもよ
い。
【0016】本発明は、上記のポリペプチドの製造方法
であって、以下の式: R1−X−R2 (式中、R1は担体ポリペプチド、Xは蛋白質分解酵素
認識部位、そしてR2は上記ポリペプチドである)で示
される融合ポリペプチドをコ−ドする塩基配列を有する
DNAを担持した発現ベクターで形質転換された宿主細
胞を培養し、該融合ポリペプチドを発現させ、該融合ポ
リペプチドを蛋白質分解酵素で開裂処理し、R2で示さ
れるポリペプチドを単離することを特徴とする、前記の
製造方法も提供する。R1はカルモジュリンであっても
よい。Xはトロンビンによって認識される部位であって
もよく、トロンビンによって認識される部位は、下記の
配列番号5のアミノ酸配列で示されてもよい。
【0017】Lys−Val−Pro−Arg−Gly
(配列番号5) さらに、本発明は、上記のポリペプチドを有効成分とし
て含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、
免疫抑制剤、遅延型過敏反応抑制剤、抗体産生抑制剤、
アレルギー疾患の予防および/または治療剤、自己免疫
疾患の予防および/または治療剤、臓器移植時の拒絶反
応の抑制剤などであってもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明のポリペプチドは、少なく
とも免疫抑制作用に必須の領域またはその類縁体を含め
ばよく、例えば、Yoshikai et. al., Nature, 312: 521
-524, 1984やChien et. al., Nature, 309: 322-326, 1
984に記載のヒト、マウスを含む種々の生物のT細胞リ
セプターβ鎖の定常領域の全部、少なくとも免疫抑制作
用に必須の領域を含むその一部、これらのアミノ酸配列
の1以上のアミノ酸残基が、免疫抑制作用を有する限り
において、欠失、挿入および/または置換されているも
のを挙げることができる。本発明のポリペプチドには、
アミノ酸配列の1以上のアミノ酸残基が、欠失、挿入お
よび/または置換されていてもよい配列番号2または4
のアミノ酸配列を含むポリペプチドが含まれる。配列番
号2または配列番号4の置換されたアミノ酸配列の例と
して、例えば配列番号1または3のアミノ酸配列を含む
ポリペプチドが挙げられる。さらに好ましい形態とし
て、本発明のポリペプチドはTCRβのCβの細胞膜外
領域を含むとよい。その領域は、配列番号1及び2のア
ミノ酸配列では1から146位まで、配列番号3及び4
のアミノ酸配列では1から150位までに相当する。
【0019】本発明のポリペプチドは、後述するような
遺伝子組換え技術や、既知のアミノ酸配列に基づく化学
合成法などにより製造することができる。本発明ポリペ
プチドの免疫抑制作用は、抗原非特異的な作用である。
また、抗体産生という体液性免疫反応だけではなく、細
胞性免疫反応も抑制する。該ポリペプチドの抗原非特異
的な免疫抑制活性は、本願実施例に示すようなin vivo
で動物に投与した場合の免疫抑制作用の有無により容易
に判定できる。また、本発明ポリペプチドは、糖鎖を有
するものであってもよい。糖鎖付加された本発明ポリペ
プチドは、後述するように、例えば哺乳動物細胞や酵母
細胞などの糖蛋白質を産生する能力を有する宿主細胞を
用いた分泌発現による遺伝子組換え産物として製造し得
る。
【0020】本発明は、また、T細胞リセプターβ鎖の
定常領域の一部または全部を実質的に含み、且つT細胞
リセプターβ鎖の他の領域を実質的に含有しない、免疫
抑制作用を有するポリペプチドをコードするDNAを提
供する。本発明のDNAは、上述の本発明ポリペプチド
を遺伝子組換え技術により製造するために使用できる。
ここで、「コードする」とは、本発明ポリペプチドのア
ミノ酸配列情報がそのDNAの塩基配列上に暗号化され
ていることをいい、種々の宿主/ベクター系において直
接発現或は融合蛋白の形で細胞内或は分泌生産するため
の適切な他のアミノ酸配列をコードする塩基配列を適宜
付加して発現させれば、本発明ポリペプチドの製造が可
能となるものを意味する。直接発現法により本発明ポリ
ペプチドを分泌発現しようとする場合には、その宿主に
応じた既に知られている他の分泌蛋白のシグナルペプチ
ドをコードする塩基配列を、本発明ポリペプチドをコー
ドする塩基配列の上流に付加することにより行うことが
できる。また、宿主細胞内で発現させる場合には、本発
明ポリペプチドをコードする塩基配列の上流に翻訳開始
コドンを付加することにより行うことができる。これら
の技術は、いずれも遺伝子組換え技術分野の当業者には
周知の手法であり、適宜実施し得る。また、融合蛋白発
現における本発明DNAの具体的態様としては、以下の
式: R1−X−R2 (式中、R1は担体ポリペプチド、Xは蛋白質分解酵素
認識部位、そしてR2はT細胞リセプターβ鎖の定常領
域の一部または全部を実質的に含み、且つT細胞リセプ
ターβ鎖の他の領域を実質的に含有しない、免疫抑制作
用を有するポリペプチドである)で示される融合ポリペ
プチドをコ−ドする塩基配列を有するDNAが挙げられ
る。融合蛋白発現法において使用できる本発明DNAの
好ましい態様として、R1についてはカルモジュリン
が、また、Xについてはトロンビン認識部位配列(特に
好ましくはLys−Val−Pro−Arg−Glyの
配列)が挙げられるが(Ishii et al., J. Immunol. Me
thods, 186 : 27-36, 1995参照)、これに限定されるも
のではなく、周知の融合蛋白法による遺伝子組換え製造
技術(たとえば、特開昭54−145289号参照)を
用いることができる。
【0021】本発明DNAの作成は、cDNAライブラ
リーからのクローニングやDNA合成により、またはこ
れにより得られたDNAをオリゴヌクレオチド部位特異
的突然変異法やカセット変異法等の部位特異的突然変異
技術を用いて改変することにより、行うことができる。
TCRβ遺伝子及びその構造については、前述したよう
にヒト、マウスを含む種々の生物のものについて既に知
られているので、これら公知の塩基配列或はアミノ酸配
列情報に基づき、cDNAライブラリーからPCR法や
DNA合成技術等を用いてTCRβ定常領域をコードす
るDNAを適宜取得/作成することができる。
【0022】cDNAライブラリーから取得する方法に
ついては、例えばマウスのCβ領域の場合には、本願実
施例に開示しているように、公知のマウスT細胞株から
慣用の手法によりcDNAライブラリーを作成し、既に
知られているマウスTCRβのCβ領域の塩基配列に基
づき作成したプライマーを用いたPCR法により、該T
CRβcDNAを取得することができ、このcDNAを
鋳型としてマウスCβのC領域に対応するDNA断片を
増幅するようなプライマーを用いて再度PCR法を行
い、所望のDNA断片を得ることができる。また、後者
のプライマーをcDNAライブラリーに直接用いてPC
R法を行ない、所望のDNA断片を得ることもできる。
ヒトCβ領域の場合にも、公知のヒトT細胞株(Thomas
et. al, The Journal of Immunology, 92: 729-737, 1
992等)からcDNAを作成し、公知であるヒトTCR
βのCβ領域の塩基配列に基づき作成したプライマーを
用いて、前述マウスの場合と同様の手法により所望のD
NA断片を得ることができる。
【0023】DNA化学合成により取得する場合には、
例えばアルトンらの方法(特表昭59−501097)
によって、公知のCβのアミノ酸配列に基づき、必要で
あれば優先コドンの使用も考慮して、塩基配列をデザイ
ンし、Cβ領域をコードするDNA断片を得ることがで
きる。
【0024】また、公知の定常領域アミノ酸配列から1
以上のアミノ酸残基が欠失及び/又は置換されたアミノ
酸配列を有するポリペプチドについても、上述したTC
Rβ定常領域をコードするDNAを元にオリゴヌクレオ
チド部位特異的突然変異法やカセット変異法等の部位特
異的突然変異技術を用いて(例えば、D.F. Mark等, Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.81, p5662-5666, 198
4、 S. Inouye等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.
79, p3438-3441, 1982、 PCT WO85/00817、1985年2月2
8日公開、 R. P. Wharton等, Nature, Vol.316, p601-
605, Aug. 15, 1985等参照)、またDNAの化学合成に
より、そのような変異体ポリペプチドをコードするDN
Aを作成することができる。
【0025】また、本発明によれば、上記の本発明DN
Aを組み込んだ発現ベクター、該ベクターで形質転換さ
れた宿主細胞、該宿主細胞を培養し本発明ポリペプチド
を分離・精製する製造方法が提供される。この場合の宿
主細胞としては、原核生物(例えば細菌、好ましくは大
腸菌)、真核生物(例えば酵母、昆虫、あるいは哺乳動
物)細胞を用いることができる。哺乳動物細胞の例とし
ては、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(Chin
ese Hamster Ovary )細胞、X63.6.5.3. 細胞、C-127
細胞、BHK(Baby Hamster Kidney )細胞、ヒト由来
細胞(例えば、HeLa細胞)等があげられる。酵母の例と
しては、パン酵母(Saccharomyces cerevisiae)やメタ
ノール資化性酵母(Pichia pastoris )等があげられ
る。昆虫細胞の例としては、蚕培養細胞(例えば、Sf21
細胞)等があげられる。
【0026】これらの宿主細胞を形質転換させるために
用いられるベクターには、大腸菌用としてpKC30 (Shim
atake H. and M. Rosenberg 、Nature、 292、 128-13
2、1981)、pTrc99A (Amann E.ら、 Gene6、69、 301-
315、1988)等があげられる。哺乳動物細胞用としてはp
SV2-neo(Southern and Berg ; J. Mol. Appl. Gene
t.、 1、 327-341、1982)、pCAGGS(Niwaら; Gene、 1
08、 193-200、1991)、あるいはpcDL-SR α296 (Take
beら ; Mol. Cell. Biol. 、 8、 466-472、1988)等が
ある。酵母用としてはpG-1(Schena M. and Yamamoto
K.R.; Science、241、 965-967、1988)等がある。蚕細
胞用としては、組み換えウイルス作製用トランスファー
ベクターpAc373(Luckowら、Bio/Technology、 6、 47-
55、1988)等がある。
【0027】これらのベクターは必要に応じて複製起
点、選択マーカー、プロモーターを含み、さらに真核細
胞用のベクターには、必要に応じてRNAスプライス部
位、ポリアデニル化シグナル等が付加される。複製起点
として、哺乳動物細胞用ベクターには、SV40、アデノウ
イルス、ウシパピローマウイルス由来のもの等を用いる
ことができる。大腸菌用ベクターとしては、 ColE1、R
因子、F 因子由来のもの等を用いることができる。酵母
用としては2μmDNA、ARS1由来のもの等を用いるこ
とができる。
【0028】遺伝子発現用プロモーターとして哺乳動物
細胞用ベクターには、ウイルス由来であるレトロウイル
ス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、SV40由来の
もの等あるいは、染色体由来のもの(例えば、EF1-α)
等を用いることができる。大腸菌用ベクターとしてはバ
クテリオファージλ由来のものや、 trp、 lpp、 lac、
tac プロモーター等を用いることができる。パン酵母用
としては ADH、PHO5、GPD 、PGK 、MAF αプロモータ
ー、メタノール資化性酵母についてはAOX1プロモーター
等を用いることができる。蚕細胞用ベクターとしては核
多角体病ウイルス由来のもの等を用いることができる。
【0029】選択マーカーとして、哺乳動物細胞用ベク
ターには、ネオマイシン(neo )耐性遺伝子、チミジン
キナーゼ(TK)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)
遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトラ
ンスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子等を用いることができ
る。大腸菌用ベクターとしては、カナマイシン耐性遺伝
子、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺
伝子等を用いることができる。酵母用としてはLeu2、Tr
p1、Ura3遺伝子等を用いることができる。
【0030】以上の様な宿主−ベクター系を用いて本発
明ポリペプチドを得るためには、上記ベクターの適当な
部位に本発明DNAを組み込んだ組み換えDNA体によ
り、宿主細胞を形質転換させた後、得られた形質転換体
を培養し、さらに細胞内あるいは培養液から該ポリペプ
チドを分離・精製すればよい。また、本発明によれば、
上記の本発明DNAを組み込んだ発現ベクター、該ベク
ターで形質転換された宿主細胞、該宿主細胞を培養し本
発明ポリペプチドを分離・精製する製造方法が提供され
る。具体的な本発明ポリペプチドの製造方法としては、
次の態様が挙げられる。
【0031】宿主に応じた既に知られている他の分泌蛋
白のシグナルペプチドをコードする塩基配列を、本発明
ポリペプチドをコードする塩基配列の上流に付加する態
様の本発明DNAを用いて遺伝子組換えによる生産を行
なう場合には、培養液から該ポリペプチドを分離精製す
る。また、本発明ポリペプチドをコードする塩基配列の
上流に翻訳開始コドンを付加する態様の本発明DNAを
用いて遺伝子組換えによる生産を行なう場合には、宿主
細胞内に該ポリペプチドが生産されるので、細胞内から
該ポリペプチドを分離精製する。
【0032】融合蛋白発現法を用いた本発明ポリペプチ
ド製造方法の場合は、以下の式: R1−X−R2 (式中、R1は担体ポリペプチド、Xは蛋白質分解酵素
認識部位、そしてR2はT細胞リセプターβ鎖の定常領
域の一部または全部を実質的に含み、且つT細胞リセプ
ターβ鎖の他の領域を実質的に含有しない、免疫抑制作
用を有するポリペプチドである)で示される融合ポリペ
プチドをコードする塩基配列を有するDNAを担持した
発現ベクタ−で形質転換された宿主細胞を培養し、該融
合ポリペプチド発現させ、該融合ポリペプチドを蛋白質
分解酵素で開裂処理し、R2で示されるポリペプチドを
単離する。R1の担体ポリペプチドは、融合ポリペプチ
ドを封入体として、外質、外膜、または外部環境へと輸
送するように機能するものであってもよい。なお、R1
についてはカルモジュリンが、また、Xについてはトロ
ンビン認識部位配列(特に好ましくはLys−Val−
Pro−Arg−Glyの配列)が、それぞれ例として
挙げられるが、融合発現に関する本発明ポリペプチド製
造方法は、本発明DNAに関するところで既に述べたよ
うに、これに限定されるものではないことはいうまでも
ない。
【0033】本発明の製法における、発現産物(融合蛋
白発現法の場合は、開裂処理前及び/又は後の産物)の
分離精製については、一般にタンパク質の精製に用いる
工程(イオン交換クロマトグラフィー、レクチンアフィ
ニティークロマトグラフィー、色素吸着クロマトグラフ
ィー、疎水相互クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマト
グラフィー、逆相クロマトグラフィー、ヘパリンアフィ
ニティークロマトグラフィー、硫酸化ゲルクロマトグラ
フィー、ハイドロキシルアパタイトクロマトグラフィ
ー、金属キレーティングクロマトグラフィー、等電点ク
ロマトグラフィー、分取電気泳動法、および等電点電気
泳動法など)等慣用の精製手段を適宜組み合わせて用い
ることができるが、発現産物の安定化のため精製工程に
おいてグリセロールを加えることが好ましい。
【0034】また本発明は、本発明ポリペプチドを有効
成分として含む医薬組成物を提供する。その一態様とし
て免疫抑制剤が挙げられる。本発明の免疫抑制剤は、多
くの免疫疾患の治療に非常に有用である。ひとつの理由
は、可変領域を用いる場合、組織適合性抗原と完全に合
致するタイプのものを患者毎に選択しなければならない
のに対し、定常領域はすべてに共通であるためそのよう
な選択の必要なく用いることができる。
【0035】実施例で示すように、本発明ポリペプチド
は、アレルギー疾患発症の引き金となるイムノグロブリ
ンをクリアに抑制する。さらに重要なことは、すでに抗
原によってプライムされた状態のマウスに投与しても、
次の抗原チャレンジによる抗体産生の上昇も抑制する
し、また、on-going抗体産生の状態にあるものでも抑制
するということが示されていることである。これらの効
果を示す薬剤はこれまで、本願発明者らによるTCRα
定常領域ポリペプチド、及び、強い副作用が問題となっ
ているステロイド剤以外には見出されていない。また、
抗体産生抑制という体液性免疫反応抑制以外に、遅延型
過敏反応といった細胞性免疫も抑制する。
【0036】今日、体液性免疫と細胞性免疫の調節は、
二つのタイプのヘルパーT細胞(Th1とTh2)のバランス
によって制御されていると考えられるようになってきた
が、本発明ポリペプチドはいずれの免疫応答に対しても
抑制作用を示すことから、前述TCRα定常領域ポリペ
プチド同様に非常にユニークであり、多くの免疫疾患治
療に有効である可能性を示している。従って、本発明ポ
リペプチドを含有する免疫抑制剤は、抗原非特異的に強
力な抗体産生抑制、あるいは遅延型過敏反応抑制効果を
示すため、種々のアレルギー疾患、自己免疫疾患、ある
いは臓器移植時の拒絶反応等の抑制剤として用いること
ができる。
【0037】本発明の免疫抑制剤は、治療上有効量の本
発明のポリペプチドとともに、有用で好適な希釈剤、防
腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバントおよび/または
担体を含有してもよい。ここで「治療上有効量」という
用語は、指定の条件および投与法に対して治療効果を提
供する量を示す。このような製剤は、液体であるか、あ
るいは凍結乾燥またはさもなくば乾燥された剤形であっ
て、種々のpH、およびイオン強度から成る緩衝剤(例え
ばトリス- 塩酸、酢酸塩、燐酸塩)より選択した希釈
剤、表面に吸着しないようにするためのアルブミンまた
はゼラチンのような添加剤、界面活性剤(例えばTween
20、Tween 80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、可溶化剤
(例えばグリセロール、ポリエチレングリコール)、酸
化防止剤(例えばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリ
ウム)、防腐剤(例えばチメロサール、ベンジルアルコ
ール、パラベン)、賦形剤または等張化剤(例えばラク
トース、マンニトール)を配合した製剤が含まれる。ま
た、ポリペプチドに対するポリエチレングリコールのよ
うな重合体との共有結合、金属イオンとの錯体化、ある
いはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどのよ
うな重合化合物の粒状製剤中またはその表面上への、あ
るいはリポソーム、ミクロエマルジョン、ミセル、単層
または多層小胞、赤血球ゴースト、またはスフェロプラ
スト中への当該物質の取り込みを包含する。このような
組成物は、本発明ポリペプチドの物理的状態、溶解性、
安定性、in vivo 放出速度、in vivo クリアランスに影
響を及ぼすと思われるので、組成の選択は、本発明ポリ
ペプチドの有する物理的および化学的特性による。本発
明の免疫抑制剤の別の剤形としては、粒状形態、保護被
膜で被覆された形態、プロテアーゼ阻害剤または吸収促
進剤を配合した形態などが挙げられる。本発明の免疫抑
制剤は、非経口、経肺、経鼻、および経口を含めた種々
の投与経路で投与されうる。
【0038】本発明のポリペプチドを含有する免疫抑制
剤は、活性成分として通常1μg/kg体重〜2mg/
kg体重を、病状、性別及び投与経路等に応じて、一日
1乃至数回程度投与することができる。本発明を以下の
実施例によりさらに具体的に説明する。これらの実施例
は説明のためのものであり、本発明の範囲を限定するも
のではない。
【0039】
【実施例】〔実施例1〕マウスTCRβ-Cβ2の発現系の構
築 ピジョンチトクロームC特異的でH-2E拘束性をもつTCR
α及びβ鎖を発現するマウスヘルパーT細胞ハイブリド
ーマ株、2B4細胞が樹立されている(サメルソン( S
amelson )ら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A, 80: 69
72-6976, 1983)。この細胞のTCRβ cDNAの取得につい
てもすでに報告されている(チエン(Chien)ら、Nature,
309: 322-326, 1984)。マウス由来 TCRβのCβ2のDNA
フラグメントを取得するために、マウスTCRβ Cβ2の
細胞膜外領域をコードする塩基配列(配列番号6の1〜
438)を含みそれぞれ5’末端用に Bam HI 部位を含
有し、3’末端用に停止コドンと Xba I部位を含有する
DNAフラグメントを、2つのプライマーを使用するP
CRにより増幅した。これらのプライマーの配列は以下
の通りである。
【0040】 5’−GACGGATCCGAGGATCTGAGAAATGTGACT−3’(配列番
号8) 5’−TCCTCTAGATTACTACTCATAGAGGATGGT−3’(配列番
号9) 増幅した DNAフラグメントはアガロースゲル電気泳動に
より回収し、発現プラスミド pCF1 ベクター(J. Immuno
logical Methods 186: 27-36, 1995) 内にその特有の B
am HI 及び Xba I部位においてクローン化し、この新規
プラスミドを pCF1-TCRβ-Cβ2と命名した(図1)。な
お、pCF1ベクターは、trp プロモーター及び trpターミ
ネーターを保持し、プロモーターとターミネーターの間
にラットカルモジュリンとそれに続いてトロンビン認識
(切断)部位、Bam HI, Xba I, Not I制限酵素部位に所
望の蛋白の遺伝子を挿入すると融合蛋白を発現できるよ
うになっている。pCF1-TCRβ-Cβ2でコンピテントDH5
大腸菌細胞(ATCC No. 53868)を形質転換し、そのDNA
配列を確認した。さらに、コンピテント W3110大腸菌細
胞(ATCC No. 27325)を形質転換した。
【0041】〔実施例2〕 TCRβ-Cβ2産生大腸菌の培
養 実施例1に示したプラスミドを保持する W3110大腸菌
を、100 μg/mlのアンピシリンを含有する 50 mlのルリ
ア培地で一晩培養した。該接種源培養液を 0.8 %グルコ
ース、0.4 % カザミノ酸、100 μg/mlのアンピシリンか
らなる1LのM9培地に他の菌が入らないように移し、
3時間37℃で培養した。この最初の培養の終盤に最終
濃度 20 mMになるようにインドールアクリル酸を添加
し、該培養液をさらに5時間37℃で培養した。この発
現系において、カルモジュリンTCRβ-Cβ2の融合蛋白質
が可溶性で発現され、それらは全蛋白質の約 10 % であ
った。
【0042】〔実施例3〕大腸菌組換え TCRβ-Cβ2の
精製 1.実施例2で培養したそれぞれの細胞約0.5g を、
実施例2と同様に菌体を破砕し、それぞれの上清を回収
した。この融合タンパク質の発現量は、1L当たり約5
mgであった。さらに、80℃で10分間熱処理を行っ
た後、15000×g 、15分間遠心し、上清を回収し
た。 2.該上清画分を100倍量の2 mM グルタチオン(還
元型)及び0.2 mM グルタチオン(酸化型)を含有す
る50 mM トリス HCl緩衝液(pH8.0)で、4℃で一晩
透析した。このサンプル溶液を適当な混合液に添加し
て、該混合液中の最終濃度が2.5 mM CaCl2 となるよ
うにした。
【0043】3.該混合液を 50 mMトリスHCl 緩衝液
(pH8.0)、2.5 mM CaCl2で平衡化したフェニルセファ
ロース6サブカラム(ファルマシア、3×6cm)に4℃
でかけ、0.5 ml/分の流速で流した。同じ緩衝液でカラ
ムを洗浄した後、カルモジュリン-TCRβ-Cβ2融合タン
パク質を50 mM トリス HCl緩衝液(pH8.0)と5 mM E
DTA(pH8.0)で溶出した。SDS−PAGEにより、カ
ルモジュリン-TCRβ-Cβ2融合タンパク質の発現を確認
した。 4.該溶出画分を YM10 限外濾過膜にて10倍濃縮し、
50 mM トリスHCl 緩衝液(pH8.0)で平衡化した DEAE
トヨパールカラム(TOSHO、2×10cm)にかけ、0
から0.5 Mの NaCl の濃度勾配を用いて、カルモジュ
リン−TCRβ-Cβ2融合タンパク質を溶出させた。その結
果、カルモジュリン−TCRβ-Cβ2融合タンパク質は、約
300 mM NaCl濃度で溶出された。
【0044】5.該溶出画分を100倍量の50 mM ト
リス HCl緩衝液(pH8.0)で、4℃で一晩透析した。50
mL の透析した画分にグリセロールを最終10%濃度
に、ジチオスレイトール(以下、DTTと示す)を最終
2mM、NaClを100mM濃度になるまで添加し、1%
のトロンビン(シグマ)を加えて、25℃で6時間イン
キュベートして該融合タンパク質を消化した。
【0045】6.該混合液を MACROSEP 3K(FILTRON
)にて遠心濃縮し、TCRβ-Cβ2は、NAP(ファルマシ
ア)カラムにて10%グリセロール及び2mMDTTを含
有する50 mM トリス HCl緩衝液(pH8.0)に交換し
た。10%グリセロール及び2mMDTTを含有する50
mM トリス HCl緩衝液(pH8.0)で平衡化したDEAE-5PW
カラム(TOSOH、0.75×7.5 cm)に室温でかけた。この
カラムを1.0ml/分の流速で、10%グリセロール
及び2mMDTTを含有する50 mM トリス HCl緩衝液
(pH8.0)で洗浄後、0から0.5 Mの NaCl の濃度勾配
を用いて、TCRβ-Cβ2タンパク質を溶出させた。その
結果、TCRβ-Cβは約400 mM NaCl濃度で溶出され
た。精製された TCRβ-Cβ2のタンパク質量は1L当た
り約2 mg であった。TCRβ-Cβ2タンパク質は、安定化
させるため10%グリセロールを含有する PBSにて−8
0℃で保存した。この大腸菌内での組換えTCRβ-Cβ2タ
ンパク質を組換えTCRβ-Cβ(或いはrecCβと略す)と
命名した。
【0046】7.必要に応じてエンドトキシンを除去す
るため、精製サンプルに10分の1量のPyoSep C(ダイ
セル化学社製)を添加し、必要に応じて1〜12時間撹
拌後、上清を回収した。エンドトキシン量はリムラスES
-IIシングルテスト(和光純薬社製)またはエンドスペ
シーES6(生化学工業社製)で測定した。
【0047】〔実施例4〕組換え TCRβ-Cβの生物活性 A.組換え TCRβ-Cβの in vivo免疫抑制活性 1.recCβが in vivoで免疫応答を抑制するか否かを評
価するために、recCβタンパク質を、ハチ毒 PLA2 で免
疫感作したマウスに投与した。抗原としてハチ毒PLA2
のジニトロフェニル(以下、「DNP」と示す)誘導体を
標準操作により調製し、Balb/cマウスを、1mgの水酸
化アルミニウム(以下、「Alum」という)に吸着させた
DNP-PLA21μg の腹腔内注射により免疫感作した。recC
βを、-1、0、1に1回あたり5μg の投与量で腹腔
内注射し、コントロールマウスには10%グリセロール
を含有した PBSだけを投与した。免疫後2週間目に各マ
ウスから血清を採取し、抗 DNP-IgG1 をELISA (イワタ
ら, J. Immunol., 141: 3270-3277, 1988)により測定
した。下に示したように、recCβタンパク質は、顕著に
抗 DNP-IgG1 産生を抑制した。
【0048】 recCβによる Balb/c マウスの抗ハプテン抗体応答の抑制 試料 N 抗 DNP-IgG1 (μg/ml) PBS+10% glycerol 8 11.10±3.359 recCβ 8 0.100±0.071
【0049】B.組換え TCRβ-Cβの on-going 抗体産
生におけるin vivo 抑制活性 recCβが、on-going抗体産生も抑制するか否かを評価し
た。 Balb/c マウスを、1 mgの Alum に吸着させた DNP
-PLA2 1μg の腹腔内注射により免疫感作した。免疫
後、14日目に DNP抗原に特異的な IgG1を ELISA(イ
ワタら, J. Immunol., 141: 3270-3277, 1988)により
測定し、抗体価の上昇を確認後、recCβを16、17、
18日目に1回あたり5μg の投与量で腹腔内注射し、
コントロールマウスには10%グリセロールを含有した
PBSだけを投与した。28日目に各マウスから血清を採
取し、抗 DNP-IgG1 をELISA (イワタら, J. Immunol.,
141: 3270-3277, 1988)により測定した。下に示した
ように OVA特異的 IgG産生は抑制されており、recCβは
on-going 抗体産生も抑制することを示した。
【0050】 recCβによる on-going 抗体産生の抑制 試料 N 抗 DNP-IgG1 (μg/ml) PBS+10% glycerol 8 121.3±46.28 recCβ 8 69.50±15.91
【0051】C. 組換え TCRβ-Cβの自然発症型糖尿病
モデルマウスにおける抑制活性 本実施例は、recCβが自然発症型糖尿病反応を抑制する
ことを示すものである。日本クレア(株)より購入し
た、各群10匹の雌性 NOD/ShiJic マウスを使用した。
7週例より35週例までの間、recCβを5 mgの投与量で
週2回腹腔内注射し、コントロールマウスには10%グ
リセロールを含有した PBSだけを投与した。実験期間
中、Glucometer(マイルス三共)を用い週1回尾静脈か
ら得た血液の血糖値の測定を行った。2回連続して 200
mg/dl以上の血糖値を示した個体を糖尿病と判定した。
【0052】その結果、コントロールと比べて、糖尿病
発症率の抑制がみられた(図2)。前述recCβはTCRβ
由来であるが、TCRαの定常領域の組換えポリペプチド
recCα(前出の国際公開 WO97-43411号)についても同
様の試験を行ったところ、やはり投与した該組換えポリ
ペプチドは、抑制を示した。
【0053】〔実施例5〕大腸菌組換えヒトTCRβ-Cβ2
蛋白質(大腸菌組換えTCRβ-humanCβ)の発現系の構
築 スネイダー(Schneider)らによってヒトT cell lineで
あるJurkatが樹立されている(Schneider et., al., In
ternational Journal of Cancer,19: 621-626,1977)。
この細胞のTCRβ cDNAの取得についてもすでに報告され
ている(ヤナギ(Yanagi)ら、Proc. Nalt. Acad. Sci.
U.S.A.82: 3430-3434, 1985)。ヒト由来 TCRβの Cβ
2のDNAフラグメントを取得するために、ヒトTCRβの
Cβ2の細胞膜外領域をコードする塩基配列(配列番号
7)を含みそれぞれ5’末端用に Bam HI 部位を含有
し、3’末端用に停止コドンと Xba I部位を含有するD
NAフラグメントを、2つのプライマーを使用するPC
Rにより増幅する。これらのプライマーの配列は以下の
通りである。
【0054】 5’−GACGGATCCGAGGACCTGAA−3’(配列番号10) 5’−TCCTCTAGATTACTACTCATAGAGGATGGT−3’(配列番
号9) 増幅した DNAフラグメントはアガロースゲル電気泳動に
より回収し、発現プラスミド pCF1 ベクター(J. Immuno
logical Methods 186: 27-36, 1995) 内にその特有の B
am HI 及び Xba I部位においてクローン化し、この新規
プラスミドを pCF1-TCRβ-humanCβ2と命名する(図
3)。なお、pCF1ベクターは、trp プロモーター及び t
rpターミネーターを保持し、プロモーターとターミネー
ターの間にラットカルモジュリンとそれに続いてトロン
ビン認識(切断)部位、Bam HI, Xba I, Not I制限酵素
部位に所望の蛋白の遺伝子を挿入すると融合蛋白を発現
できるようになっている。pCF1-TCRβ-humanCβ2でコン
ピテントDH5 大腸菌細胞(ATCC No. 53868)を形質転換
し、そのDNA 配列を確認できる。さらに、コンピテント
W3110大腸菌細胞(ATCC No. 27325)を形質転換でき
る。
【0055】〔実施例6〕 大腸菌組換えTCRβ-humanC
βの発現 実施例5に示したプラスミドを保持する W3110大腸菌
を、100 μg/mlのアンピシリンを含有する 50 mlのルリ
ア培地で一晩培養する。該接種源培養液を 0.8 %グルコ
ース、0.4 % カザミノ酸、100 μg/mlのアンピシリンか
らなる1LのM9培地に他の菌が入らないように移し、
3時間37℃で培養する。この最初の培養の終盤に最終
濃度 20 mMになるようにインドールアクリル酸を添加
し、該培養液をさらに5時間37℃で培養する。この発
現系において、カルモジュリンとTCRβ-humanCβの融合
蛋白質が可溶性で発現される。実施例3に準じて、 TCR
β-humanCβタンパク質を精製することができる。
【0056】
【発明の効果】本発明により、投与すべき患者の組織適
合性抗原を考慮することなく、抗原特異性も考慮する必
要のない、免疫抑制作用を持ったTCRβが提供され
た。
【0057】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:173 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:ハツカネズミ(Mus) 配列: Glu Asp Leu Arg Asn Val Thr Pro Pro Lys Val Ser Leu Phe Glu Pro 1 5 10 15 Ser Lys Ala Glu Ile Ala Asn Lys Gln Lys Ala Thr Leu Val Cys Leu 20 25 30 Ala Arg Gly Phe Phe Pro Asp His Val Glu Leu Ser Trp Trp Val Asn 35 40 45 Gly Lys Glu Val His Ser Gly Val Ser Thr Asp Pro Gln Ala Tyr Lys 50 55 60 Glu Ser Asn Tyr Ser Tyr Cys Leu Ser Ser Arg Leu Arg Val Ser Ala 65 70 75 80 Thr Phe Trp His Asn Pro Arg Asn His Phe Arg Cys Gln Val Gln Phe 85 90 95 His Gly Leu Ser Glu Glu Asp Lys Trp Pro Glu Gly Ser Pro Lys Pro 100 105 110 Val Thr Gln Asn Ile Ser Ala Glu Ala Trp Gly Arg Ala Asp Cys Gly 115 120 125 Ile Thr Ser Ala Ser Tyr Gln Gln Gly Val Leu Ser Ala Thr Ile Leu 130 135 140 Tyr Glu Ile Leu Leu Gly Lys Ala Thr Leu Tyr Ala Val Leu Val Ser 145 150 155 160 Thr Leu Val Val Met Ala Met Val Lys Arg Lys Asn Ser 165 170
【0058】配列番号:2 配列の長さ:173 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:ハツカネズミ(Mus) 配列: Glu Asp Leu Arg Asn Val Thr Pro Pro Lys Val Ser Leu Phe Glu Pro 1 5 10 15 Ser Lys Ala Glu Ile Ala Asn Lys Gln Lys Ala Thr Leu Val Cys Leu 20 25 30 Ala Arg Gly Phe Phe Pro Asp His Val Glu Leu Ser Trp Trp Val Asn 35 40 45 Gly Lys Glu Val His Ser Gly Val Ser Thr Asp Pro Gln Ala Tyr Lys 50 55 60 Glu Ser Asn Tyr Ser Tyr Cys Leu Ser Ser Arg Leu Arg Val Ser Ala 65 70 75 80 Thr Phe Trp His Asn Pro Arg Asn His Phe Arg Cys Gln Val Gln Phe 85 90 95 His Gly Leu Ser Glu Glu Asp Lys Trp Pro Glu Gly Ser Pro Lys Pro 100 105 110 Val Thr Gln Asn Ile Ser Ala Glu Ala Trp Gly Arg Ala Asp Cys Gly 115 120 125 Ile Thr Ser Ala Ser Tyr His Gln Gly Val Leu Ser Ala Thr Ile Leu 130 135 140 Tyr Glu Ile Leu Leu Gly Lys Ala Thr Leu Tyr Ala Val Leu Val Ser 145 150 155 160 Gly Leu Val Leu Met Ala Met Val Lys Lys Lys Asn Ser 165 170
【0059】配列番号:3 配列の長さ:177 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:ヒト(Homo sapiens) 配列: Glu Asp Leu Asn Lys Val Phe Pro Pro Glu Val Ala Val Phe Glu Pro 1 5 10 15 Ser Glu Ala Glu Ile Ser His Thr Gln Lys Ala Thr Leu Val Cys Leu 20 25 30 Ala Thr Gly Phe Phe Pro Asp His Val Glu Leu Ser Trp Trp Val Asn 35 40 45 Gly Lys Glu Val His Ser Gly Val Ser Thr Asp Pro Gln Pro Leu Lys 50 55 60 Glu Gln Pro Ala Leu Asn Asp Ser Arg Tyr Cys Leu Ser Ser Arg Leu 65 70 75 80 Arg Val Ser Ala Thr Phe Trp Gln Asn Pro Arg Asn His Phe Arg Cys 85 90 95 Gln Val Gln Phe Tyr Gly Leu Ser Glu Asn Asp Glu Trp Thr Gln Asp 100 105 110 Arg Ala Lys Pro Val Thr Gln Ile Val Ser Ala Glu Ala Trp Gly Arg 115 120 125 Ala Asp Cys Gly Phe Thr Ser Val Ser Tyr Gln Gln Gly Val Leu Ser 130 135 140 Ala Thr Ile Leu Tyr Glu Ile Leu Leu Gly Lys Ala Thr Leu Tyr Ala 145 150 155 160 Val Leu Val Ser Ala Leu Val Leu Met Ala Met Val Lys Arg Lys Asp 165 170 175 Phe
【0060】配列番号:4 配列の長さ:179 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:ヒト(Homo sapiens) 配列: Glu Asp Leu Lys Asn Val Phe Pro Pro Glu Val Ala Val Phe Glu Pro 1 5 10 15 Ser Glu Ala Glu Ile Ser His Thr Gln Lys Ala Thr Leu Val Cys Leu 20 25 30 Ala Thr Gly Phe Tyr Pro Asp His Val Glu Leu Ser Trp Trp Val Asn 35 40 45 Gly Lys Glu Val His Ser Gly Val Ser Thr Asp Pro Gln Pro Leu Lys 50 55 60 Glu Gln Pro Ala Leu Asn Asp Ser Arg Tyr Cys Leu Ser Ser Arg Leu 65 70 75 80 Arg Val Ser Ala Thr Phe Trp Gln Asn Pro Arg Asn His Phe Arg Cys 85 90 95 Gln Val Gln Phe Tyr Gly Leu Ser Glu Asn Asp Glu Trp Thr Gln Asp 100 105 110 Arg Ala Lys Pro Val Thr Gln Ile Val Ser Ala Glu Ala Trp Gly Arg 115 120 125 Ala Asp Cys Gly Phe Thr Ser Glu Ser Tyr Gln Gln Gly Val Leu Ser 130 135 140 Ala Thr Ile Leu Tyr Glu Ile Leu Leu Gly Lys Ala Thr Leu Tyr Ala 145 150 155 160 Val Leu Val Ser Ala Leu Val Leu Met Ala Met Val Lys Arg Lys Asp 165 170 175 Ser Arg Gly
【0061】配列番号:5 配列の長さ:5 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【0062】配列番号:6 配列の長さ:438 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:ハツカネズミ(Mus) 配列: GAG GAT CTG AGA AAT GTG ACT CCA CCC AAG GTC TCC TTG TTT GAG CCA 48 Glu Asp Leu Arg Asn Val Thr Pro Pro Lys Val Ser Leu Phe Glu Pro 1 5 10 15 TCA AAA GCA GAG ATT GCA AAC AAA CAA AAG GCT ACC CTC GTG TGC TTG 96 Ser Lys Ala Glu Ile Ala Asn Lys Gln Lys Ala Thr Leu Val Cys Leu 20 25 30 GCC AGG GGC TTC TTC CCT GAC CAC GTG GAG CTG AGC TGG TGG GTG AAT 144 Ala Arg Gly Phe Phe Pro Asp His Val Glu Leu Ser Trp Trp Val Asn 35 40 45 GGC AAG GAG GTC CAC AGT GGG GTC AGC ACG GAC CCT CAG GCC TAC AAG 192 Gly Lys Glu Val His Ser Gly Val Ser Thr Asp Pro Gln Ala Tyr Lys 50 55 60 GAG AGC AAT TAT AGC TAC TGC CTG AGC AGC CGC CTG AGG GTC TCT GCT 240 Glu Ser Asn Tyr Ser Tyr Cys Leu Ser Ser Arg Leu Arg Val Ser Ala 65 70 75 80 ACC TTC TGG CAC AAT CCT CGA AAC CAC TTC CGC TGC CAA GTG CAG TTC 288 Thr Phe Trp His Asn Pro Arg Asn His Phe Arg Cys Gln Val Gln Phe 85 90 95 CAT GGG CTT TCA GAG GAG GAC AAG TGG CCA GAG GGC TCA CCC AAA CCT 336 His Gly Leu Ser Glu Glu Asp Lys Trp Pro Glu Gly Ser Pro Lys Pro 100 105 110 GTC ACA CAG AAC ATC AGT GCA GAG GCC TGG GGC CGA GCA GAC TGT GGA 384 Val Thr Gln Asn Ile Ser Ala Glu Ala Trp Gly Arg Ala Asp Cys Gly 115 120 125 ATC ACT TCA GCA TCC TAT CAT CAG GGG GTT CTG TCT GCA ACC ATC CTC 432 Ile Thr Ser Ala Ser Tyr His Gln Gly Val Leu Ser Ala Thr Ile Leu 130 135 140 TAT GAG 438 Tyr Glu 145
【0063】配列番号:7 配列の長さ:450 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 起源 生物名:ヒト(Homo Sapiens) 配列: GAG GAC CTG AAA AAC GTG TTC CCA CCC GAG GTC GCT GTG TTT GAG CCA 48 Glu Asp Leu Lys Asn Val Phe Pro Pro Glu Val Ala Val Phe Glu Pro 1 5 10 15 TCA GAA GCA GAG ATC TCC CAC ACC CAA AAG GCC ACA CTG GTG TGC CTG 96 Ser Glu Ala Glu Ile Ser His Thr Gln Lys Ala Thr Leu Val Cys Leu 20 25 30 GCC ACA GGC TTC TAC CCC GAC CAC GTG GAG CTG AGC TGG TGG GTG AAT 144 Ala Thr Gly Phe Tyr Pro Asp His Val Glu Leu Ser Trp Trp Val Asn 35 40 45 GGG AAG GAG GTG CAC AGT GGG GTC AGC ACA GAC CCG CAG CCC CTC AAG 192 Gly Lys Glu Val His Ser Gly Val Ser Thr Asp Pro Gln Pro Leu Lys 50 55 60 GAG CAG CCC GCC CTC AAT GAC TCC AGA TAC TGC CTG AGC AGC CGC CTG 240 Glu Gln Pro Ala Leu Asn Asp Ser Arg Tyr Cys Leu Ser Ser Arg Leu 65 70 75 80 AGG GTC TCG GCC ACC TTC TGG CAG AAC CCC CGC AAC CAC TTC CGC TGT 288 Arg Val Ser Ala Thr Phe Trp Gln Asn Pro Arg Asn His Phe Arg Cys 85 90 95 CAA GTC CAG TTC TAC GGG CTC TCG GAG AAT GAC GAG TGG ACC CAG GAT 336 Gln Val Gln Phe Tyr Gly Leu Ser Glu Asn Asp Glu Trp Thr Gln Asp 100 105 110 AGG GCC AAA CCT GTC ACC CAG ATC GTC AGC GCC GAG GCC TGG GGT AGA 384 Arg Ala Lys Pro Val Thr Gln Ile Val Ser Ala Glu Ala Trp Gly Arg 115 120 125 GCA GAC TGT GGC TTC ACC TCC GAG TCT TAC CAG CAA GGG GTG CTG TCT 432 Ala Asp Cys Gly Phe Thr Ser Glu Ser Tyr Gln Gln Gly Val Leu Ser 130 135 140 GCC ACC ATC CTC TAT GAG 450 Ala Thr Ile Leu Tyr Glu 145 150
【0064】配列番号:8 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列: GACGGATCCG AGGATCTGAG AAATGTGACT 30
【0065】配列番号:9 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列: TCCTCTAGAT TACTACTCAT AGAGGATGGT 30
【0066】配列番号:10 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列: GACGGATCCG AGGACCTGAA 20
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、プラスミド pCF1-TCRβ-Cβ2の制限酵
素地図を示す。
【図2】図2は、NODマウスの糖尿病自然発症に対す
るCα及びCβの作用を示す。
【図3】図3は、プラスミド pCF1-TCRβ-humanCβ2の
制限酵素地図を示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 1/21 A61K 37/02 ABC 15/09 ZNA ABF C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19)

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 T細胞リセプターβ鎖の定常領域の一部
    または全部を実質的に含み、且つT細胞リセプターβ鎖
    の他の領域を実質的に含有しない、免疫抑制作用を有す
    るポリペプチド。
  2. 【請求項2】 配列番号2のアミノ酸配列の一部若しく
    は全部の配列、または該アミノ酸配列の一部若しくは全
    部の配列において1以上のアミノ酸残基が欠失、挿入及
    び/又は置換されたアミノ酸配列を有し、且つ、免疫抑
    制作用を有するポリペプチド。
  3. 【請求項3】 配列番号2のアミノ酸配列の1〜146
    位のアミノ酸配列、または該アミノ酸配列において1以
    上のアミノ酸残基が欠失、挿入及び/又は置換されたア
    ミノ酸配列を有する請求項2記載のポリペプチド。
  4. 【請求項4】 配列番号4のアミノ酸配列の一部若しく
    は全部の配列、または該アミノ酸配列の一部若しくは全
    部の配列において1以上のアミノ酸残基が欠失、挿入及
    び/又は置換されたアミノ酸配列を有し、且つ、免疫抑
    制作用を有するポリペプチド。
  5. 【請求項5】 配列番号4のアミノ酸配列の1〜150
    位のアミノ酸配列、または該アミノ酸配列において1以
    上のアミノ酸残基が欠失、挿入及び/又は置換されたア
    ミノ酸配列を有する請求項4記載のポリペプチド。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のポリペ
    プチドをコ−ドするDNA。
  7. 【請求項7】 以下の式: R1−X−R2 (式中、R1は担体ポリペプチド、Xは蛋白質分解酵素
    認識部位、そしてR2は請求項1〜5のいずれかに記載
    のポリペプチドである)で示される融合ポリペプチドを
    コ−ドする塩基配列を有するDNA。
  8. 【請求項8】 R1がカルモジュリンである請求項7記
    載のDNA。
  9. 【請求項9】 Xがトロンビンによって認識される部位
    である請求項7記載のDNA。
  10. 【請求項10】 トロンビンによって認識される部位が
    下記の配列番号5のアミノ酸配列で示される請求項9記
    載のDNA。 Lys−Val−Pro−Arg−Gly(配列番号
    5)
  11. 【請求項11】 請求項6〜10のいずれかに記載のD
    NAを担持した発現ベクタ−。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の発現ベクタ−で形質
    転換された宿主細胞。
  13. 【請求項13】 宿主細胞が原核細胞である請求項12
    記載の宿主細胞。
  14. 【請求項14】 原核細胞が大腸菌である請求項13記
    載の宿主細胞。
  15. 【請求項15】 請求項1〜5のいずれかに記載のポリ
    ペプチドの製造方法であって、該ポリペプチドをコ−ド
    する塩基配列を有するDNAを担持した発現ベクタ−で
    形質転換された宿主細胞を培養し、該ポリペプチドを単
    離することを特徴とする、前記の製造方法。
  16. 【請求項16】 宿主細胞が原核細胞である請求項15
    記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 原核細胞が大腸菌である請求項16記
    載の製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項1〜5のいずれかに記載のポリ
    ペプチドの製造方法であって、以下の式: R1−X−R2 (式中、R1は担体ポリペプチド、Xは蛋白質分解酵素
    認識部位、そしてR2は請求項1〜5のいずれかに記載
    のポリペプチドである)で示される融合ポリペプチドを
    コ−ドする塩基配列を有するDNAを担持した発現ベク
    ターで形質転換された宿主細胞を培養し、該融合ポリペ
    プチドを発現させ、該融合ポリペプチドを蛋白質分解酵
    素で開裂処理し、R2で示されるポリペプチドを単離す
    ることを特徴とする、前記の製造方法。
  19. 【請求項19】 R1がカルモジュリンである請求項1
    8記載の製造方法。
  20. 【請求項20】 Xがトロンビンによって認識される部
    位であり、且つ蛋白質分解酵素としてトロンビンが用い
    られる請求項18記載の製造方法。
  21. 【請求項21】 トロンビンによって認識される部位が
    下記の配列番号5のアミノ酸配列で示される請求項20
    記載の製造方法。 Lys−Val−Pro−Arg−Gly (配列番号
    5)
  22. 【請求項22】 請求項1〜5のいずれかに記載のポリ
    ペプチドを有効成分として含む医薬組成物。
  23. 【請求項23】 免疫抑制剤である請求項22記載の医
    薬組成物。
  24. 【請求項24】 遅延型過敏反応抑制剤である請求項2
    3記載の医薬組成物。
  25. 【請求項25】 抗体産生抑制剤である請求項23記載
    の医薬組成物。
  26. 【請求項26】 アレルギー疾患の予防および/または
    治療剤である請求項23記載の医薬組成物。
  27. 【請求項27】 自己免疫疾患の予防及び/または治療
    剤である請求項23記載の医薬組成物。
  28. 【請求項28】 臓器移植時の拒絶反応の抑制剤である
    請求項23記載の医薬組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009508517A (ja) * 2005-09-22 2009-03-05 コーエン,イルン,アール T細胞受容体定常ドメインの免疫原性断片及びそれに由来するペプチド
WO2020138256A1 (ja) * 2018-12-27 2020-07-02 国立大学法人京都大学 T細胞受容体の改変体

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