JPH11301293A - 車両のヨーモーメント制御装置 - Google Patents

車両のヨーモーメント制御装置

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JPH11301293A
JPH11301293A JP10659798A JP10659798A JPH11301293A JP H11301293 A JPH11301293 A JP H11301293A JP 10659798 A JP10659798 A JP 10659798A JP 10659798 A JP10659798 A JP 10659798A JP H11301293 A JPH11301293 A JP H11301293A
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torque
battery
vehicle
calculated
yaw moment
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JP10659798A
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English (en)
Inventor
Takayuki Katsuta
隆之 勝田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エネルギ消費を節約した上で、車両のヨーモ
ーメントを精度よく制御する。 【解決手段】 左右後輪RW1,RW2には、独立に駆
動可能な電動モータで構成したホイールモータ14,1
5が組み付けられている。マイクロコンピュータ30
は、センサ31〜37により検出された各種走行状態量
に応じて車両の目標ヨーモーメントを計算するととも
に、同モーメントに基づいて左右後輪RW1,RW2の
目標トルクを計算し、モータ制御回路14,15を制御
して同後輪RW1,RW2に目標トルクを付与する。こ
の目標トルクは駆動トルク及び回生トルクからなり、バ
ッテリ16から電力をホイールモータ14,15に付与
するばかりではなく、回生制動により発生したホイール
モータ14,15の電力をバッテリ16に戻す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左右輪にそれぞれ
組み付けられて、バッテリからの給電により同左右輪を
独立に駆動可能な一対の電動モータを有する車両のヨー
モーメント制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、特開平7−304346号公
報に示されているように、左右輪にそれぞれ油圧式のポ
ンプモータを組み付けるとともに、両ポンプモータにそ
れぞれアキュムレータを接続し、一方のポンプモータを
モータ状態に制御してアキュムレータに蓄圧された作動
油を同ポンプモータに供給することにより一方の車輪に
駆動力を付与し、かつ他方のポンプモータをポンプ状態
に制御して同ポンプモータからアキュムレータに作動油
を供給することにより他方の車輪に回生制動力を付与
し、エネルギ消費量を小さく抑えた上で、車両のヨーモ
ーメントを制御するようにしたヨーモーメント制御装置
は知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置にあっては、左右輪に駆動力及び回生制動力を付与す
るために油圧式のポンプモータを利用しており、同ポン
プモータによる駆動力及び回生制動力を高精度で制御す
ることは難しいので、車両のヨーモーメントを精度よく
制御することができなかった。
【0004】
【発明の概要】本発明は、上記問題に対処するためにな
されたもので、その目的は、車両のヨーモーメントを精
度良く制御する車両のヨーモーメント制御装置を提供す
ることにある。
【0005】上記目的を達成するために、本発明の構成
上の特徴は、左右輪にそれぞれ組み付けられて同左右輪
を独立に駆動可能な一対の電動モータと、電動モータに
接続されたバッテリと、車両の走行状態を検出する走行
状態検出手段と、前記検出された走行状態に応じて車両
の目標ヨーモーメントを計算するモーメント計算手段
と、前記計算された目標ヨーモーメントに基づいて同目
標ヨーモーメントを得るための左右輪の各トルクをそれ
ぞれ計算するトルク計算手段と、バッテリと一対の電動
モータとの間にそれぞれ接続されて前記計算された各ト
ルクに応じて一対の電動モータをそれぞれ制御するモー
タ制御回路とを備えたことにある。
【0006】上記のように構成した本発明においては、
モータ制御回路が電動モータを電気的に制御して、同電
動モータが左右輪のトルクを制御するので、同電動モー
タは精度良く左右輪のトルクを制御することができる。
その結果、車両のヨーモーメントが目標ヨーモーメント
に精度良く制御され、車両の操縦安定性が良好になる。
【0007】また、この場合、例えば、前記トルク計算
手段により計算される各トルクは、電動モータにとって
駆動トルク又は回生トルクであり、前記モータ制御回路
は、前記計算されたトルクが駆動トルクであるとき前記
電動モータを駆動制御し、かつ前記計算されたトルクが
回生トルクであるとき前記電動モータを回生制御するも
のである。なお、本明細書で使用する駆動トルクとはバ
ッテリから電動モータに給電して同電動モータにより車
輪を回転させるためのトルクを意味し、回生トルクとは
電動モータによって発電された電力をバッテリに給電し
て車輪を電動モータにより回生制動するトルクを意味す
る。したがって、バッテリに蓄積されている電力は放電
されるばかりではなく、充電をもされるので、バッテリ
の消費電力を小さく抑えることができる。
【0008】また、本発明の他の構成上の特徴は、前記
構成に、さらに、バッテリの蓄電状態を検出するバッテ
リ検出手段と、トルク計算手段により計算された各トル
クに基づいて同各トルクを得るための電動モータによる
消費エネルギ量又は回生エネルギ量を計算するエネルギ
計算手段と、前記計算された消費エネルギ量又は回生エ
ネルギ量と前記検出されたバッテリの蓄電状態とに基づ
いて前記計算された各トルクに応じた電動モータの制御
を行った場合にバッテリが過放電又は過充電になるかを
判定するバッテリ判定手段と、前記バッテリ判定手段に
よりバッテリが過放電又は過充電になると判定されたと
き前記電動モータを制御するための左右輪の各トルクを
修正するトルク修正手段とを設けたことにある。これに
よれば、バッテリの過放電(バッテリの蓄積電力が極め
て少なくなった状態)又は過充電(バッテリにこれ以上
電力を蓄積できない状態)を避けることができるので、
その後の車両のヨーモーメントの制御が確保され、又は
モータ制御回路の発熱を極力小さく抑えることができる
とともにバッテリの過充電による劣化を回避することも
できる。また、修正されたトルクによる左右輪のトルク
制御も確保されるので、車両の実ヨーモーメントを目標
ヨーモーメントに近づけることもできる。
【0009】また、本発明の他の特徴は、前記バッテリ
判定手段が、バッテリが過放電又は過充電になるかの判
定を、エネルギ計算手段により計算された消費エネルギ
量又は回生エネルギ量と、トルク計算手段によって計算
された左右輪の各トルクが駆動トルクであるか回生トル
クであるかの組合せに応じた異なる所定値との比較によ
り行う比較手段を含むように構成したことにある。これ
によれば、バッテリが過放電又は過充電になるかの判定
が種々の駆動及び回生制御状態に応じてなされるので、
左右輪のトルク制御後のバッテリの過放電又は過充電の
状態をより精度良く避けることができる。
【0010】また、本発明の他の構成上の特徴は、前述
の電動モータ、バッテリ、走行状態検出手段、モーメン
ト計算手段、トルク計算手段及びモータ制御回路に加え
て、アクセルペダルの踏み込み状態を検出するアクセル
検出手段を設けるとともに、前記トルク計算手段は、目
標ヨーモーメントに前記検出された踏み込み状態に応じ
たアクセル制御値を加味して左右輪の各トルクをそれぞ
れ計算するようにしたことにある。これによれば、上述
した車両の操縦安定性が良好になることに加えて、運転
者の意志による車両の加速が実現され、運転者は違和感
なく車両を操縦できる。
【0011】また、本発明の他の構成上の特徴は、前述
のトルク修正手段が、過放電判定手段によりバッテリが
過放電になると判定されたとき前記アクセル制御値を減
少させることにより電動モータを制御するための左右輪
の各トルクを修正するようにしたことにある。これによ
れば、車両の加速は鈍るものの、目標ヨーモーメントが
確実に得られ、車両の操縦安定性が確保される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
を用いて説明すると、図1は同実施形態に係るヨーモー
メント制御装置を搭載した車両を概略的に示している。
【0013】この車両は、主の駆動源であるエンジン1
1により駆動される左右前輪FW1,FW2と、車両の
ヨーモーメント等を修正するために補助的に駆動される
左右後輪RW1,RW2とを備えている。エンジン11
の出力はスロットルバルブ12の開度調整により制御さ
れるようになっており、このスロットルバルブ12の開
度は、アクセルペダル(図示しない)の踏み込み操作に
応じてエンジン制御回路13により制御される。左右後
輪RW1,RW2には電動モータで構成したホイールモ
ータ14,15がそれぞれ組み付けられており、同モー
タ14,15はバッテリ16により給電されてそれぞれ
独立して駆動されるようになっている。また、これらの
車輪FW1,FW2,RW1,RW2には、制動力を付
与するためのブレーキユニット17〜20がそれぞれ組
み付けられており、同ブレーキユニット17〜20はブ
レーキ制御回路21によって制御されるようになってい
る。
【0014】この車両はマイクロコンピュータ30も備
えており、マイクロコンピュータ30は、図2のフロー
チャートにより表されたメインプログラム(図3の目標
ヨーモーメント計算ルーチン及び図4のバッテリ判定ル
ーチンを含む)を所定の短時間毎に実行して、車両のヨ
ーモーメントを制御する。このマイクロコンピュータ3
0は、バッテリ16に接続されてバッテリ16の出力電
圧Eを入力するとともに、操舵角センサ31、車速セン
サ32、左後輪速度センサ33、右後輪速度センサ3
4、前後加速度センサ35、横加速度センサ36、ヨー
レートセンサ37及びアクセル開度センサ38からの各
検出信号も入力する。操舵角センサ31はハンドルの操
舵角δを検出し、車速センサ32は車速Vを検出し、左
右後輪速度センサ33,34は左右後輪RW1,RW2
の車輪速度VL,VRをそれぞれ検出し、前後及び横加
速度センサ35,36は車両の前後及び横加速度Gx,
Gyをそれぞれ検出し、ヨーレートセンサ37はヨーレ
ートYRを検出し、アクセル開度センサ38はアクセル
ペダルの踏み込み量に対応したアクセル開度θを検出す
る。なお、本実施形態においては、前記操舵角δ、車速
V、前後加速度Gx、横加速度Gy及びヨーレートYR
が車両の走行状態を表す物理量、特に旋回時における車
両の走行状態を表す物理量として検出される。
【0015】マイクロコンピュータ30には、ホイール
モータ14,15を制御するためのモータ制御回路4
1,42が接続されている。これらのモータ制御回路4
1,42は、バッテリ16と各ホイールモータ14,1
5との間にそれぞれ接続されていて、マイクロコンピュ
ータ40の指示によりホイールモータ14,15を駆動
制御するとともに回生制御する。具体的には、マイクロ
コンピュータ30から駆動トルクを表す制御信号が供給
された場合には、モータ制御回路41,42は、バッテ
リ16からホイールモータ14,15に給電することに
より同モータ14,15をそれぞれ回転させて、左右後
輪RW1,RW2をそれぞれ前記駆動トルクで前進側に
回転駆動する。また、マイクロコンピュータから回生ト
ルクを表す制御信号が供給された場合には、車両の前進
に伴う左右後輪RW1,RW2の回転すなわち左右前輪
FW1,FW2による同後輪RW1,RW2の回転に対
して前記回生トルクで制動力を付与するようにホイール
モータ14,15を制御して、同モータ14,15から
の電力をバッテリ16に戻す。
【0016】さらに、マイクロコンピュータ30には、
エンジン制御回路13及びブレーキ制御回路21も接続
されており、前記左右後輪RW1,RW2に対する駆動
又は回生制動の制御状態を両制御回路13,21に供給
する。これにより、エンジン制御回路13及びブレーキ
制御回路21は、前記駆動又は回生制動の制御状態を考
慮して、スロットルバルブ12の開度制御を行うととと
もに各車輪FW1,FW2,RW1,RW2に制動力を
付与することになる。
【0017】次に、上記のように構成した実施形態の動
作を説明すると、イグニッションスイッチ(図示しな
い)の投入後、マイクロコンピュータ30は図2のメイ
ンプログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行する。こ
のプログラムの実行はステップ100にて開始され、ス
テップ102にて、バッテリ16、操舵角センサ31、
車速センサ32、左後輪速度センサ33、右後輪速度セ
ンサ34、前後加速度センサ35、横加速度センサ3
6、ヨーレートセンサ37及びアクセル開度センサ38
から、バッテリ電圧E、操舵角δ、車速V、左後輪速度
VL,右後輪速度VR、前後加速度Gx、横加速度G
y、ヨーレートYR及びアクセル開度θをそれぞれ表す
各検出信号を入力する。
【0018】次に、ステップ104にて、アクセル開度
−加速度換算テーブルを参照することにより前記入力し
たアクセル開度θに対応した換算値を導出して、同換算
値を第1前進加速度換算値Ac1として設定する。このア
クセル開度−加速度換算テーブルはマイクロコンピュー
タ30に記憶されており、第1前進加速度換算値Ac1
は、図5に示すようにアクセル開度θの増加に従って非
線形で増加する特性を有する。
【0019】前記ステップ104の処理後、ステップ1
06にて、前記入力したアクセル開度θを時間微分して
アクセル開速度dθを計算し、アクセル開速度−加速度
換算テーブルを参照することにより前記計算したアクセ
ル開速度dθに対応した換算値を導出して、同換算値を
第2前進加速度換算値Ac2として設定する。このアクセ
ル開速度−加速度換算テーブルもマイクロコンピュータ
に記憶されており、第2前進加速度換算値Ac2は、図6
に示すようにアクセル開速度dθの増加に従って非線形
で増加する特性を有する。なお、このアクセル開速度d
θは、アクセルペダルの踏み増し側を正とし、踏み戻し
側を負とする。
【0020】次に、ステップ108にて、前記導出した
第1及び第2前進加速度換算値Ac1,Ac2を用いた下記
数1の演算の実行により、アクセルペダルの踏み込み操
作を車両の前進加速度に換算した前進加速度換算値Ac
を計算する。
【0021】
【数1】Ac=Ac1+Ac2 次に、ステップ110にて、前記計算した前進加速度換
算値Acと加速度補正値ΔAcを用いた下記数2の演算
の実行により、同前進加速度換算値Acを補正する。こ
の加速度補正値ΔAcは、図示しない初期設定処理又は
後述するステップ132の処理によりこのプログラムの
開始直後には「0」であり、後述するステップ128の
「バッテリ判定ルーチン」の実行後には同ルーチンで設
定された値である。
【0022】
【数2】Ac=Ac−ΔAc 次に、ステップ112にて「目標ヨーモーメント計算ル
ーチン」を実行する。このルーチンの実行は、図3に詳
細に示すように、ステップ200にて開始されて、ま
ず、ステップ202にて前記入力した操舵角δを用いた
下記数3の演算の実行により車両の目標旋回半径Rを計
算する。なお、下記数3中のWBはホイールベースであ
り、このヨーモーメント制御装置が搭載された車両によ
り定まる予め決められた値である。
【0023】
【数3】R=WB/tanδ 次に、ステップ204にて、前記計算した目標旋回半径
Rを用いるとともに、前記入力した横加速度Gy及び車
速Vを用いた下記数4の演算の実行により、車両の位置
する路面の摩擦係数μを計算する。
【0024】
【数4】μ=Gy・R/V2 次に、ステップ206にて前記入力した前後加速度Gx
及び横加速度Gyをそれぞれ用いた下記数5,6の演算
の実行により、前後荷重移動量ΔWx及び横荷重移動量
ΔWyを計算する。なお、下記数5,6中のMは車両重
量であり、Hpはピッチセンタ高さ(重心高さとピッチ
中心高さとの差)であり、Hrはロールセンタ高さ(重
心高さとロール中心高さの差)、Trはトレッドであ
り、これらのM,Hp,Hr,Trは、このヨーモーメ
ント制御装置が搭載された車両により定まる予め決めら
れた値である。
【0025】
【数5】ΔWx=M・Gx・Hp/WB
【0026】
【数6】ΔWy=M・Gy・Hr/Tr また、同ステップ206においては、前記数5,6の演
算の実行後、前記計算した前後荷重移動量ΔWx及び横
荷重移動量ΔWyを用いた下記数7,8の演算の実行に
より、左右後輪荷重Wrl,Wrrを計算する。なお、前記
数7,8中のMrは後輪一輪の重量であり、このヨーモ
ーメント制御装置が搭載された車両により定まる予め決
められた値である。
【0027】
【数7】Wrl=Mr+ΔWx/2+ΔWy/2
【0028】
【数8】Wrr=Mr+ΔWx/2−ΔWy/2 次に、ステップ208にて前記入力したヨーレートYR
を時間微分し、同微分したヨーレート微分値dYR及び
前記入力した横加速Gyを用いた下記数9の演算の実行
により、後輪軸合計横力Fyrを計算する。なお、下記
数9中のLaは車両前輪軸から重心までの水平距離であ
り、Iは車両のヨー慣性モーメントであり、このヨーモ
ーメント制御装置が搭載された車両により定まる予め決
められた値である。
【0029】
【数9】Fyr=(La・M・Gy+I・dYR)/WB また、同ステップ208においては、前記数9の演算の
実行後、前記計算した後輪軸合計横力Fyr及び前記ス
テップ206の処理により計算した左右後輪荷重Wrl,
Wrrを用いた下記数10,11の演算の実行により、左
右後輪横力Fyrl,Fyrrを計算する。
【0030】
【数10】Fyrl=Fyr・Wrl/{Wrl+Wrr}
【0031】
【数11】Fyrr=Fyr・Wrr/{Wrl+Wrr} 次に、ステップ210にて、前記計算した路面摩擦係数
μ及び左右後輪横力Wrl,Wrrを用いた下記数12〜1
4の演算の実行により後輪静的摩擦円半径Fsr及び左右
後輪動的摩擦円半径Fsrl,Fsrrを計算する。
【0032】
【数12】Fsr=Mr・μ
【0033】
【数13】Fsrl=Wrl・μ
【0034】
【数14】Fsrr=Wrr・μ 次に、ステップ212にて、前記計算した左右後輪横力
Fyrl,Fyrr、後輪静的摩擦円半径Fsr及び左右後輪動
的摩擦円半径Fsrl,Fsrrを用いた下記数15〜18の
演算の実行により、発生可能な左右後輪静的前後力Fxs
rl,Fxsrr及び左右後輪動的前後力Fxrl,Fxrrを計算
する。ここで、左右後輪静的前後力Fxsrl,Fxsrrと
は、車両の旋回に伴う荷重の移動を考慮しない左右後輪
RW1,RW2の発生可能な前後力を意味し、左右後輪
動的前後力Fxrl,Fxrrとは、車両の旋回に伴う荷重の
移動を考慮した左右後輪RW1,RW2の発生可能な前
後力を意味する。
【0035】
【数15】Fxsrl=(Fsr2−Fyrl1/2
【0036】
【数16】Fxsrr=(Fsr2−Fyrr2)1/2
【0037】
【数17】Fxrl=(Fsrl2−Fyrl2)1/2
【0038】
【数18】Fxrr=(Fsrr2−Fyrr2)1/2 次に、ステップ214にて、前記計算した左右後輪動的
前後力Fxrl,Fxrr及び左右後輪静的前後力Fxsrl,F
xsrrを用いた下記19,20の演算の実行により、左右
後輪前後力増分ΔFxrl,ΔFxrrを計算する。
【0039】
【数19】ΔFxrl=|Fxrl−Fxsrl|
【0040】
【数20】ΔFxrr=|Fxrr−Fxsrr| また、同ステップ214にて、前記計算した左右後輪前
後力増分ΔFxrl,ΔFxrrを用いた下記数21の演算の
実行により目標ヨーモーメントToを計算し、ステップ
216にてこの目標ヨーモーメント算出ルーチンの実行
を終了する。なお、この目標ヨーモーメントToは左回
転方向を正とし、右回転方向を負とする。
【0041】
【数21】To=(ΔFxrr−ΔFxrl)・Tr/2 ふたたび、メインプログラムの説明に戻ると、同プログ
ラムのステップ114にて、前記計算した目標ヨーモー
メントToを用いた下記数22,23の演算の実行によ
り、左右後輪目標トルクTLH,TRHを計算する。な
お、下記数22,23中のrはタイヤの正荷重半径であ
り、このヨーモーメント制御装置が搭載された車両によ
り定まる予め決められた値である。なお、左右後輪目標
トルクTLH,TRHは、正によりホイールモータ1
4,15の駆動力を左右後輪RW1,RW2に付与して
同後輪RW1,RW2を前進側に駆動するための駆動ト
ルクを表し、負によりホイールモータ14,15の回生
制動力を左右後輪RW1,RW2に付与して同後輪RW
1,RW2に制動力を付与するための回生トルクを表
す。また、このホイールモータ14,15による左右後
輪RW1,RW2の制動時には、ホイールモータ14,
15からの給電によりバッテリ16は充電される。
【0042】
【数22】TLH=−r・To/Tr
【0043】
【数23】TRH=r・To/Tr 次に、ステップ116にて、下記数24,25の演算に
より、前記ステップ110の処理により補正した前進加
速度換算値Acを前記計算した左右後輪目標トルクTL
H,TRHに加味する。
【0044】
【数24】TLH=TLH+Ac
【0045】
【数25】TRH=TRH+Ac そして、ステップ118にて、前記計算した左右後輪目
標トルクTLH,TRHの零補正を行う。この零補正
は、左右後輪目標トルクTLH,TRHの各絶対値|T
LH|,|TRH|と予め決めた小さな所定値Tminと
をそれぞれ比較し、前記各絶対値|TLH|,|TRH
|が所定値Tmin未満であれば(|TLH|<Tmin,|
TRH|<Tmin)、左右後輪目標トルクTLH,TR
Hをそれぞれ独立して「0」に設定する。前記各絶対値
|TLH|,|TRH|が所定値Tmin以上であれば
(|TLH|≧Tmin,|TRH|≧Tmin)、左右後輪
目標トルクTLH,TRHをそれぞれ独立してそのまま
の値に保つ。これにより、左右後輪目標トルクTLH,
TRHが絶対値の小さな値で変動しても、むやみにホイ
ールモータ14,15が駆動又は回生制御されなくな
る。
【0046】次に、ステップ120にて、左右後輪目標
トルクTLH,TRHとトルク補正値ΔTを用いた下記
数26,27の演算の実行により、左右後輪目標トルク
TLH,TRHをそれぞれ補正する。このトルク補正値
ΔTは、図示しない初期設定処理又は後述するステップ
132の処理によりこのプログラムの開始直後には
「0」であり、後述するステップ128の「バッテリ判
定ルーチン」の実行後には同ルーチンで設定された値で
ある。
【0047】
【数26】TLH=TLH+ΔT
【0048】
【数27】TRH=TRH+ΔT 次に、ステップ122にて、仕事率テーブルを参照する
ことにより、前記計算した左右後輪目標トルクTLH,
TRH及び前記入力した左右後輪速度VL,VRを用い
て、前記左右後輪目標トルクTLH,TRHをホイール
モータ14,15の各仕事率WLH,WRHに換算す
る。この仕事率テーブルはマイクロコンピュータに記憶
された3次元テーブルで構成されており、図7に示すよ
うに、左右後輪目標トルクTLH,TRHが正であれば
(各電動モータを駆動用として使用する場合)、各ホイ
ールモータ14,15の各仕事率WLH,WRHは、左
右後輪速度VL,VRが大きくなるに従って正の大きな
値になるとともに、同各目標トルクTLH,TRHが大
きくなるに従って正の大きな値となる。一方、左右後輪
目標トルクTLH,TRHが負であれば(各電動モータ
を回生制動用として使用する場合)、ホイールモータ1
4,15の各仕事率WLH,WRHは、左右後輪速度V
L,VRが大きくなるに従って絶対値の大きな負の値に
なるとともに、同各目標トルクTLH,TRHの各絶対
値|TLH|,|TRH|が大きくなるに従って絶対値
の大きな負の値となる。
【0049】次に、ステップ124にて、効率テーブル
を参照することにより、前記計算した仕事率WLHと前
記入力した車速Vとに対応した左後輪RW1に関する効
率βrlを導出するとともに、仕事率WRHと同入力した
車速Vとに対応した右後輪RW2に関する効率βrrを導
出する。この効率テーブルはマイクロコンピュータに記
憶された3次元テーブルで構成されており、図8に示す
ように、各仕事率WLH,WRHが正であれば(各電動
モータを駆動用として使用する場合)、効率βrl,βrr
は、車速Vが大きくなるに従って正の大きな値になると
ともに、各仕事率WLH,WRHが大きくなるに従って
正の小さな値となる。一方、各仕事率WLH,WRHが
負であれば(各電動モータを回生制動用として使用する
場合)、効率βrl,βrrは、車速Vが大きくなるに従っ
て正の大きな値になるとともに、同各仕事率WLH,W
RHの各絶対値|WLH|,|WRH|が大きくなるに
従って正の小さな値となる。これらの各効率βrl,βrr
の導出後、同ステップ124にて、各効率βrl,βrr及
び各仕事率WLH,WRHを用いた下記数28,29の
演算の実行により、ホイールモータ14,15の各消費
・回生エネルギ量QLH,QRHを計算する。
【0050】
【数28】QLH=βrl・WLH
【0051】
【数29】QRH=βrr・WRH そして、ステップ126にて、前記計算した各消費・蓄
積エネルギ量QLH,QRHを下記数30に従って合算
することにより、ホイールモータ14,15のエネルギ
総和ΣQを計算する。
【0052】
【数30】ΣQ=QLH+QRH 次に、ステップ128にて、バッテリ判定ルーチンを実
行する。このバッテリ判定ルーチンの詳細は図4に示さ
れており、同ルーチンの実行はステップ300にて開始
され、ステップ302にて、マイクロコンピュータ30
に記憶されたバッテリテーブルを参照することにより前
記入力したバッテリ電圧Eに対応した現在状態値BSを
導出する。この現在状態値BSは、バッテリ16の現在
の蓄電量を0〜100%で表すもので、図9に示すよう
にバッテリ電圧Eが増加するに従って増加する。
【0053】次に、ステップ304にて、前記ステップ
120の処理により補正した左右後輪目標トルクTL
H,TRHが駆動トルクであるか(TLH,TRHが正
であるか)、回生トルクであるか(TLH,TRHが負
であるか)の組合せ及び前記ステップ126の処理によ
り計算したエネルギ総和ΣQにより、目標トルクの組合
せパターンが下記A〜Gのいずれであるかを判定する。
【0054】A.左右後輪目標トルクTLH,TRHが
共に駆動トルクである。(TLH>0かつTRH>0) B.左右後輪目標トルクTLH,TRHの一方が駆動ト
ルクであり、他方が零である。(TLH>0かつTRH
=0、又はTRH>0かつTLH=0) C.左右後輪目標トルクTLH,TRHの一方が駆動ト
ルクであり、他方が回生トルクであり、かつエネルギ総
和ΣQが駆動側である。(TLH>0かつTRH<0か
つΣQ>0、又はTRH>0かつTLH<0かつΣQ>
0) D.左右後輪目標トルクTLH,TRHの一方が駆動ト
ルクであり、他方が回生トルクであり、かつエネルギ総
和ΣQが回生側である。(TLH>0かつTRH<0か
つΣQ<0、又はTRH>0かつTLH<0かつΣQ<
0) E.左右後輪目標トルクTLH,TRHの一方が回生ト
ルクであり、かつ他方が零である。(TLH<0かつT
RH=0、又はTRH<0かつTLH=0) F.左右後輪目標トルクTLH,TRHが共に回生トル
クである。(TLH<0かつTRH<0) G.左右後輪目標トルクTLH,TRHが共に零であ
る。(TLH=0かつTRH=0) このステップ304にて、目標トルクの組み合わせパタ
ーンがそれぞれA〜Fであれば、プログラムをステップ
306〜316にそれぞれ進める。ステップ306〜3
16においては、各パターン毎に予め決められた所定値
SCAo,SCBo,SCCo,SCDo,SCEo,
SCFoにバッテリ補正係数pをそれぞれ乗算して、前
記各パターン毎の判定値SCA(=p・SCAo),SC
B(=p・SCBo),SCC(=p・SCCo),SCD
(=p・SCDo),SCE(=p・SCEo),SCF(=
p・SCFo)を計算する。前記所定値SCAo,SCB
o,SCCo,SCDo,SCEo,SCFoは、バッ
テリ16の現在状態値BSが50%である状態で、前記
ステップ120の処理により補正した左右後輪目標トル
クTLH,TRHでホイールモータ14,15をそれぞ
れ駆動又は回生制御した場合に、バッテリ16が過放電
又は過充電になる限界値を前記目標トルクの組み合わせ
パターンA〜Fに応じて定めたものである(図10参
照)。なお、これらの限界値SCAo,SCBo,SC
Coは、SCAo>SCBo>SCCo>0の関係にあ
り、限界値SCDo,SCEo,SCFoは、0<SC
Do<SCEo<SCFoの関係にある。また、本実施
形態では現在状態値BSが50%である状態を基準に前
記限界値を定めるようにしたが、この基準としては他の
数字を用いることもでき、特にバッテリ16の理想的な
平行状態に対応した値にすることが望ましい。また、バ
ッテリ補正係数pは、マイクロコンピュータ30内の係
数テーブルに記憶されているもので、図11に示すよう
に、現在状態値BSから50%を減算した値の絶対値|
BS−50|が「0」から「50」に変化するに従って
「1.0」から「0.0」に変化するものである。
【0055】前記ステップ306〜316の処理後、ス
テップ318〜328にて、マイクロコンピュータ30
内に設けたエネルギ補正係数テーブルを参照することに
よりエネルギ総和ΣQに対応したエネルギ補正係数qを
導出し、同補正係数qを前記判定値SCA,SCB,S
CC,SCD,SCE,SCFにそれぞれ乗算すること
により同各判定値をq・SCA,q・SCB,q・SC
C,q・SCD,q・SCE,q・SCFに補正する。エ
ネルギ補正係数テーブルは、図12に示すように、エネ
ルギ総和ΣQqの絶対値|ΣQ|が「0」から増加する
に従って「1.0」から所定値まで徐々に減少する。
【0056】これらの各ステップ318〜328の処理
後、ステップ330〜334にてエネルギ総和ΣQが各
補正した判定値q・SCA,q・SCB,q・SCC以下
であるかを判定するとともに、ステップ336〜340
にて同エネルギ総和ΣQの絶対値|ΣQ|が各補正した
判定値q・SCD,q・SCE,q・SCF以下であるか
を判定する。これらのステップ330〜340にてそれ
ぞれ「YES」と判定されれば、ステップ354にてこ
の「バッテリ判定ルーチン」の実行を終了する。また、
目標トルクパターンがGパターンであれば(左右後輪目
標トルクTLH,TRHが共に零)、プログラムは前記
ステップ304の判定処理によりステップ354に進め
られて、この「バッテリ判定ルーチン」の実行を終了す
る。
【0057】この「バッテリ判定ルーチン」の終了後、
プログラムは「メインプログラム」のステップ130に
進められ、同ステップ130において、左右後輪目標ト
ルクTLH,TRHをモータ制御回路41,42にそれ
ぞれ出力する。そして、ステップ132にて、加速度補
正値ΔAc及びトルク補正値ΔTを「0」にそれぞれ初
期設定して、ステップ134にて「メインプログラム」
の実行を終了する。
【0058】モータ制御回路41は、左後輪目標トルク
TLHが駆動トルク(TLH>0)ならば、バッテリ1
6からホイールモータ14に電力を供給して、左後輪R
W1が車両の前進方向に左後輪目標トルクTLHで回転
駆動されるようにホイールモータ14を駆動制御する。
左後輪目標トルクTLHが回生トルク(TLH<0)な
らば、ホイールモータ14が左後輪RW1により回転駆
動され、同モータ14に発生した電力をバッテリ16に
戻して、同後輪RW1を左後輪目標トルクTLHで回生
制動するようにホイールモータ14を制御する。モータ
制御回路42も、右後輪目標トルクTRHが駆動トルク
(TRH>0)ならば、バッテリ16からホイールモー
タ15に電力を供給して、右後輪RW2が車両の前進方
向に右後輪目標トルクTRHで回転駆動されるようにホ
イールモータ15を駆動制御する。右後輪目標トルクT
RHが回生トルク(TRH<0)ならば、ホイールモー
タ15が右後輪RW2により回転駆動され、同モータ1
5に発生した電力をバッテリ16に戻して、同後輪RW
2を右後輪目標トルクTRHで回生制動するようにホイ
ールモータ15を制御する。また、左右後輪目標トルク
TLH,TRHが共に零であれば、モータ制御回路4
1,42は、ホイールモータ14,15を左右後輪RW
1,RW2から切り離して、同モータ14,15の駆動
及び回生制御を行わない。
【0059】このようなホイールモータ14,15の駆
動又は回生制御により、左右後輪RW1,RW2は左右
後輪目標トルクTLH,TRHで駆動又は制動され、バ
ッテリ16に蓄積されている電力は放電されるばかりで
はなく充電をもされるので、エネルギ消費を節約でき
る。この場合、ステップ112,114の処理により、
車両の走行状態、特に旋回状態に応じて車両の目標ヨー
モーメントToが決定されるとともに、同目標ヨーモー
メントToに基づいて左右後輪目標トルクTLH,TR
Hが計算され、またホイールモータ14,15は電気的
に制御されるので、車両の実ヨーモーメントを目標ヨー
モーメントToに高精度で制御でき、車両の操縦安定性
が良好になる。
【0060】また、ステップ104〜108,116の
処理により、左右後輪目標トルクTLH,TRHには、
アクセル開度θ及びアクセル開速度dθに応じた前進加
速度換算値Acも加味されるので、運転者の意志による
車両の加速が実現され、運転者は違和感なく車両を操縦
できる。
【0061】一方、前述した「バッテリ判定ルーチン」
のステップ330〜334(図4)にて「NO」と判定
されると、すなわちエネルギ総和ΣQが前記各補正した
判定値q・SCA,q・SCB,q・SCCよりも大きい
とき、ステップ342〜346にて、加速度補正値ΔA
cを予め決められた小さな所定値AcAo,AcBo,
AcCoにそれぞれ設定して、プログラムを「メインプ
ログラム」のステップ110(図2)に進める。なお、
これらの所定値AcAo,AcBo,AcCoは、Ac
Ao>AcBo>AcCo>0の関係にすることが望ま
しいが、全て正の同一値にしてもよい。ステップ110
においては、上述したように数2の演算の実行により、
ステップ104〜108の処理によって計算した前進加
速度換算値Acから加速度補正値ΔAcを減算して、ス
テップ112〜126の処理後、ステップ128にて
「バッテリ判定ルーチン」を実行する。
【0062】この「バッテリ判定ルーチン」のステップ
330〜334においては、ステップ112〜126の
処理によって新たに計算されたエネルギ総和ΣQと、ス
テップ306〜310,318〜322の処理によって
新たに計算するとともに補正した各判定値q・SCA,
q・SCB,q・SCCとをそれぞれ比較する。エネルギ
総和ΣQが前記補正した各判定値q・SCA,q・SC
B,q・SCC以下であれば、ステップ130の処理に
より、ホイールモータ14,15をステップ110〜1
20の処理によって新たに計算した左右後輪目標トルク
TLH,TRHに制御する。また、エネルギ総和ΣQが
前記補正した各判定値q・SCA,q・SCB,q・SC
Cよりも大きければ、ステップ342〜346にて加速
度補正値ΔAcを所定値AcAo,AcBo,AcCo
にそれぞれ再設定した後、前述のステップ110の処理
により前進加速度換算値Acを再度補正して、ステップ
112〜126の処理後にステップ128の「バッテリ
判定ルーチン」を実行する。このような処理は、エネル
ギ総和ΣQが前記補正した各判定値q・SCA,q・SC
B,q・SCC以下になるまで繰り返し行われ、エネル
ギ総和ΣQが同各判定値q・SCA,q・SCB,q・S
CC以下になった時点で、ホイールモータ14,15は
制御される。
【0063】また、前述した「バッテリ判定ルーチン」
のステップ336〜340(図4)にて「NO」と判定
されると、すなわちエネルギ総和ΣQの絶対値|ΣQ|
が前記各補正した判定値q・SCD,q・SCE,q・S
CFよりも大きいとき、ステップ348〜352にて、
トルク補正値ΔTを予め決められた小さな所定値TD
o,TEo,TFoにそれぞれ設定して、プログラムを
「メインプログラム」のステップ120(図2)に進め
る。なお、これらの所定値TDo,TEo,TFoは、
0<TDo<TEo<TFoの関係にすることが望まし
いが、全て正の同一値にしてもよい。ステップ120に
おいては、上述したように数26,27の演算の実行に
より、ステップ104〜118の処理によって計算した
左右後輪目標トルクTLH,TRHにトルク補正値ΔT
を加算して、ステップ122〜126の処理後、ステッ
プ128にて「バッテリ判定ルーチン」を実行する。な
お、この場合、前記トルク補正演算前のエネルギ総和Σ
Qは負であるので、エネルギ総和ΣQの絶対値|ΣQ|
は減少する方向に変化する。
【0064】この「バッテリ判定ルーチン」のステップ
336〜340においては、ステップ122〜126の
処理によって新たに計算されたエネルギ総和ΣQの絶対
値|ΣQ|と、ステップ312〜316,324〜32
8の処理によって新たに計算するとともに補正した各判
定値q・SCD,q・SCE,q・SCFとをそれぞれ比
較する。そして、この場合も、エネルギ総和ΣQの絶対
値|ΣQ|が前記補正した各判定値q・SCD,q・SC
E,q・SCF以下であれば、ステップ130の処理に
より、ホイールモータ14,15をステップ120の処
理によって補正した左右後輪目標トルクTLH,TRH
に制御する。また、エネルギ総和ΣQの絶対値|ΣQ|
が前記補正した各判定値q・SCD,q・SCE,q・S
CFよりも大きければ、ステップ348〜352にてト
ルク補正値ΔTを所定値TDo,TEo,TFoにそれ
ぞれ再設定した後、前述のステップ120の処理により
左右後輪目標トルクTLH,TRHを再度補正して、ス
テップ122〜126の処理後のステップ128にて
「バッテリ判定ルーチン」を実行する。このような処理
は、エネルギ総和ΣQの絶対値|ΣQ|が各判定値q・
SCD,q・SCE,q・SCF以下になるまで繰り返し
行われ、同絶対値|ΣQ|が各判定値q・SCD,q・S
CE,q・SCF以下になった時点で、ホイールモータ
14,15は制御される。
【0065】この場合、エネルギ総和ΣQは、ステップ
120の処理により最終的に決定した左右後輪目標トル
クTLH,TRHでホイールモータ14,15を制御し
た場合の消費エネルギ量を表しており、一方各補正した
判定値q・SCA〜q・SCFは、ステップ306〜32
8の処理によりバッテリ16の現在の蓄電状態から過放
電又は過充電になる前記消費エネルギ量に対応した限界
値を示している。したがって、ホイールモータ14,1
5を最終的に決定された左右後輪目標トルクTLH,T
RHに基づいて制御しても、バッテリ16の過放電又は
過充電を避けることができるので、その後の車両のヨー
モーメントの制御が確保され、又はモータ制御回路4
1,42の発熱を極力小さく抑えることができるととも
にバッテリ16の過充電による劣化を回避することがで
きる。また、修正された左右後輪目標トルクTLH,T
RHによる左右後輪RW1,RW2のトルク制御も確保
されるので、車両の実ヨーモーメントを目標ヨーモーメ
ントToに近づけることもできる。
【0066】また、ステップ330〜334にて「N
O」と判定された場合、すなわち左右後輪RW1,RW
2の駆動トルクを減少させる場合には、ステップ110
の処理によりアクセル換算値Acを減少させ、目標ヨー
モーメントToに関係しない部分で左右後輪目標トルク
TLH,TRHを変更するようにした。したがって、車
両の加速は鈍るものの、目標ヨーモーメントが確実に得
られ、車両の操縦安定性が確保される。
【0067】さらに、前記各判定値SCA〜SCFは、
ステップ306〜316の処理により、左右後輪目標ト
ルクTLH,TRHが駆動トルクであるか、回生トルク
であるかの組合せ及びエネルギ総和ΣQによる目標トル
クの組合せパターンA〜Fに応じて異ならせるようにし
た。したがって、バッテリ16が過放電になるか過充電
になるかの判定が種々の駆動及び回生制御状態に応じて
なされ、左右後輪RW1,RW2のトルク制御後のバッ
テリの過放電又は過充電の状態をより精度良く避けるこ
とができる。また、ステップ318〜328の処理によ
り、エネルギ総和ΣQの絶対値|ΣQ|が大きくなるに
従ってエネルギ補正値qを小さく設定して、ステップ3
30〜340にて比較される判定値q・SCA〜q・SC
Fが小さくなるようにしたので、エネルギ総和ΣQの絶
対値|ΣQ|が大きくなってその誤差が大きくなって
も、前記ホイールモータ14,15の制御により、バッ
テリ16が過放電状態になったり、過充電状態になった
りすることを確実に防止できる。
【0068】なお、上記実施形態においては、操舵角
δ、車速V、前後加速度Gx、横加速度Gy及びヨーレ
ートYRからなる車両の走行状態量に基づいて目標ヨー
モーメントToを計算し、これに基づいて左右後輪目標
トルクTLH,TRHを計算するようにしたが、前記走
行状態量の一部を省略したり、他の走行状態量を加味し
て、目標ヨーモーメントTo及び左右後輪目標トルクT
LH,TRHを計算するようにしてもよい。
【0069】また、上記実施形態においては、バッテリ
16の過充電及び過放電が予想される場合に左右後輪R
W1,RW2の目標トルクTLH,TRHを修正するよ
うにしたが、バッテリ16の過放電の場合にのみ前記目
標トルクTLH,TRHを修正するようにしてもよい。
【0070】また、上記実施形態においては、車両の目
標ヨーモーメントToに第1及び第2前後加速度換算値
Ac1,Ac2を加味するようにしたが、装置の簡素化
のために、第1及び第2前後加速度換算値Ac1,Ac
2のいずれか一方を目標ヨーモーメントToに加味した
り、第1及び第2前後加速度換算値Ac1,Ac2の両
方とも加味しないようにしてもよい。
【0071】また、上記実施形態においては、各判定値
SCA〜SCFを左右後輪目標トルクTLH,TRHの
各組み合わせ及びエネルギ総和総和ΣQに応じて異なる
値に設定するようにしたが、装置の簡単化のために各判
定値SCA〜SCFを同一値に設定するようにしてもよ
い。
【0072】さらに、上記作動説明においては、ホイー
ルモータ14,15の制御についてのみ説明したが、こ
のホイールモータ14,15の制御のために車両のヨー
モーメントが変化するので、この制御データ及び制御状
態を表すデータをエンジン制御回路13及びブレーキ制
御回路21に供給して、両回路13,21によるスロッ
トル開度及び制動力付与の制御に前記ヨーモーメント制
御に応じた修正を加えるようにするとよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るヨーモーメント制
御装置を搭載した車両の概略図である。
【図2】 図1のマイクロコンピュータにて実行される
メインプログラムのフローチャートである。
【図3】 図2の目標ヨーモーメント計算ルーチンの詳
細フローチャートである。
【図4】 図2のバッテリ判定ルーチンの詳細フローチ
ャートである。
【図5】 アクセル開度−加速度換算テーブルの特性図
である。
【図6】 アクセル開速度−加速度換算テーブルの特性
図である。
【図7】 仕事率テーブルの特性図である。
【図8】 効率テーブルの特性図である。
【図9】 バッテリテーブルの特性図である。
【図10】バッテリの過放電及び過充電に関する限界値
を説明するための特性図である。
【図11】バッテリ補正係数テーブルの特性図である。
【図12】エネルギ補正係数テーブルの特性図である。
【符号の説明】
FW1,FW2…前輪、RW1,RW2…後輪、14,
15…ホイールモータ、16…バッテリ、30…マイク
ロコンピュータ、31…操舵角センサ、32…車速セン
サ、33,34…左右後輪速度センサ、35…前後加速
度センサ、36…横加速度センサ、37…ヨーレートセ
ンサ、38…アクセル開度センサ、41,42…モータ
制御回路。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】左右輪にそれぞれ組み付けられて同左右輪
    を独立に駆動可能な一対の電動モータと、 前記電動モータに接続されたバッテリと、 車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、 前記検出された走行状態に応じて車両の目標ヨーモーメ
    ントを計算するモーメント計算手段と、 前記計算された目標ヨーモーメントに基づいて同目標ヨ
    ーモーメントを得るための前記左右輪の各トルクをそれ
    ぞれ計算するトルク計算手段と、 前記バッテリと前記一対の電動モータとの間にそれぞれ
    接続されて前記計算された各トルクに応じて前記一対の
    電動モータをそれぞれ制御するモータ制御回路とを備え
    たことを特徴とする車両のヨーモーメント制御装置。
  2. 【請求項2】前記請求項1に記載の車両のヨーモーメン
    ト制御装置において、 前記トルク計算手段により計算される各トルクは、前記
    電動モータにとって駆動トルク又は回生トルクであり、 前記モータ制御回路は、前記計算されたトルクが駆動ト
    ルクであるとき前記電動モータを駆動制御し、かつ前記
    計算されたトルクが回生トルクであるとき前記電動モー
    タを回生制御するものである車両のヨーモーメント制御
    装置。
  3. 【請求項3】前記請求項1又は2に記載の車両のヨーモ
    ーメント制御装置において、さらに、 バッテリの蓄電状態を検出するバッテリ検出手段と、 前記トルク計算手段により計算された各トルクに基づい
    て同各トルクを得るための前記電動モータによる消費エ
    ネルギ量又は回生エネルギ量を計算するエネルギ計算手
    段と、 前記計算された消費エネルギ量又は回生エネルギ量と前
    記検出されたバッテリの蓄電状態とに基づいて前記計算
    された各トルクに応じた電動モータの制御を行った場合
    に前記バッテリが過放電又は過充電になるかを判定する
    バッテリ判定手段と、 前記バッテリ判定手段によりバッテリが過放電又は過充
    電になると判定されたとき前記電動モータを制御するた
    めの左右輪の各トルクを修正するトルク修正手段とを設
    けたことを特徴とする車両のヨーモーメント制御装置。
  4. 【請求項4】前記請求項3に記載の前記バッテリ判定手
    段は、前記バッテリが過放電又は過充電になるかの判定
    を、前記エネルギ計算手段により計算された消費エネル
    ギ量又は回生エネルギ量と、前記トルク計算手段によっ
    て計算された左右輪の各トルクが駆動トルクであるか回
    生トルクであるかの組合せに応じた異なる所定値との比
    較により行う比較手段を含むことを特徴とする車両のヨ
    ーモーメント制御装置。
  5. 【請求項5】左右輪にそれぞれ組み付けられて同左右輪
    を独立に駆動可能な一対の電動モータと、 前記電動モータに接続されたバッテリと、 車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、 前記検出された走行状態に応じて車両の目標ヨーモーメ
    ントを計算するモーメント計算手段と、 アクセルペダルの踏み込み状態を検出するアクセル検出
    手段と、 前記計算された目標ヨーモーメントに前記検出された踏
    み込み状態に応じたアクセル制御値を加味して前記左右
    輪の各トルクをそれぞれ計算するトルク計算手段と、 前記バッテリと前記一対の電動モータとの間にそれぞれ
    接続されて前記計算された各トルクに応じて前記一対の
    電動モータをそれぞれ制御するモータ制御回路とを備え
    たことを特徴とする車両のヨーモーメント制御装置。
  6. 【請求項6】前記請求項5に記載の車両のヨーモーメン
    ト制御装置において、さらに、 バッテリの蓄電状態を検出するバッテリ検出手段と、 前記トルク計算手段により計算された各トルクに基づい
    て同各トルクを得るための前記電動モータによる消費エ
    ネルギ量又は回生エネルギ量を計算するエネルギ計算手
    段と、 前記計算された消費エネルギ量又は回生エネルギ量と前
    記検出されたバッテリの蓄電状態とに基づいて前記計算
    された各トルクに応じた電動モータの制御を行った場合
    に前記バッテリが過放電になるかを判定する過放電判定
    手段と、 前記過放電判定手段により前記バッテリが過放電になる
    と判定されたとき前記アクセル制御値を減少させること
    により前記電動モータを制御するための左右輪の各トル
    クを修正するトルク修正手段とを設けたことを特徴とす
    る車両のヨーモーメント制御装置。
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