JPH11301238A - 空調装置 - Google Patents

空調装置

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JPH11301238A
JPH11301238A JP11243598A JP11243598A JPH11301238A JP H11301238 A JPH11301238 A JP H11301238A JP 11243598 A JP11243598 A JP 11243598A JP 11243598 A JP11243598 A JP 11243598A JP H11301238 A JPH11301238 A JP H11301238A
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temperature
air
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tao
neural network
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JP11243598A
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English (en)
Inventor
Katsuhiko Sagawa
克彦 寒川
Takamasa Kawai
孝昌 河合
Yuji Ito
裕司 伊藤
Yoshinori Isshi
好則 一志
Yuichi Kajino
祐一 梶野
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室内に設定された第1の空調ゾーンおよび第
2の空調ゾーンの温度を独立制御するようにした空調装
置において、第1の空調ゾーンと第2の空調ゾーン間で
の温度干渉を抑制して複数の空調ゾーンをより良好に独
立温度制御する。 【解決手段】 第1および第2の温度設定手段25、2
6による第1および第2の空調ゾーン毎の設定温度Tse
t(Dr) 、Tset(Pa) および温度情報検出手段27、28
により検出された室内温度Trおよび室外温度Tamを
含む温度情報を入力として、ニューラルネットワークに
より各空調ゾーン毎の第1および第2の目標吹出温度T
AO(Dr)、TAO(Pa)を算出して、第1および第2の温
度調節手段(9、10)を調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室内に設定された
第1の空調ゾーンおよび第2の空調ゾーンの温度を独立
制御するようにした空調装置に関するもので、例えば、
車室内の運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンの温
度を独立制御するようにした左右独立温度制御方式の車
両用空調装置に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】従来より、異なる2以上の空調ゾーンの
温度を独立制御するようにした空調装置としては車両用
空調装置の分野で種々提案されている。車室内の運転席
側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンの温度を独立制御す
る際に、2つの空調ゾーンの間には仕切りがないので、
常に、2つの空調ゾーンの間の温度干渉という難しい問
題が発生する。
【0003】そこで、本件出願人の出願に係る特開平7
−32854号公報では、左右独立温度制御方式の車両
用空調装置において、車室内の運転席側空調ゾーンと助
手席側空調ゾーンでそれぞれ所望の温度を実現するため
に、運転席側および助手席側の目標吹出温度を算出する
際に、運転席側と助手席側の設定温度差の演算項を、外
気温で決定される補正ゲインにより補正することを提案
している。
【0004】この従来技術では、外気温の影響を受けて
各空調ゾーンの実際の温度が初期の設定温度からずれる
ことを上記補正により抑制することを狙っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、2つの
空調ゾーンの間の温度干渉は、外気温や左右の設定温度
差のみで推測されるものではなく、実際には、その時々
の内気温、吹出温、風量等の様々な要因が絡み合ってい
るので、上記補正のみでは、左右の独立温度制御を良好
に行うことができない。
【0006】すなわち、図12(a)、(b)は本発明
者らが実験的に確認した左右独立温度特性を示すもの
で、図12(a)は、助手席Pa側の設定温度を25℃
一定にし、運転席Dr側の設定温度を22〜28℃まで
変更した場合の結果である。図12(b)は、その逆の
設定変更をした場合の結果である。図12(a)に示す
ように、Dr側の設定温度変更時は、Pa側の乗員周囲
温度がDr側の温度変更に引きずられるという現象(温
度干渉)が発生せず、Dr側、Pa側ともに、温度の制
御性に問題がない。
【0007】しかし、図12(b)に示すように、Pa
側の設定温度を変更した場合には、Pa側の設定温度
(Tset(Pa) )=28°Cのとき、Pa側の乗員周囲温
度がDr側の影響を受けて温度上昇分が僅少となり、2
5.5°C程度までしか上昇しない。この温度干渉をう
ち消すために、特開平7−32854号公報の従来技術
では、左右の設定温度差に補正ゲインを乗じた値を補正
値とし、目標吹出温度に加算するという方法を採ってお
り、この方法に適用した結果が図13である。図13
(b)に示すように、Pa側の設定温度変更時に、Tse
t(Pa) =28℃の条件では確かに制御特性が改良される
が、その反面、上記補正項の影響が他の条件に現れるよ
うになる。これは、補正項が左右の設定温度差に依存し
ているためである。
【0008】すなわち、特性を改良したい条件(Dr側
設定温度Tset(Dr) =25°C、Pa側設定温度Tset
(Pa) =28°C)と、現状特性を維持したい条件(Ts
et(Dr) =25°C、Tset(Pa) =22°C)との間に
は、設定温度差で見れば、全く同一(ともに3°C)で
あるため、他の条件にも補正が適用されることになる。
その結果、現状特性を維持したい条件(Tset(Dr) =2
5°C、Tset(Pa) =22°C)において、Pa側の乗
員周囲温度が図13(b)に示すように22°Cより低
下してしまうという不具合が生じる。
【0009】同様に、図13(a)に示すように、Dr
側の設定温度変更時に、Pa側の乗員周囲温度がDr側
の温度変更に引きずられて25°Cから変動してしまう
という不具合が生じる。図14(a)は、上記従来技術
における運転席側の補正ゲインKDrの特性を示してお
り、外気温がT1からT2に上昇すると、KDrがK1
からK2に向かって減少する特性であり、助手席側の補
正ゲインKPaの特性も同様である。そして、助手席側
の補正ゲインKPaを外気温=10°CにおいてK3か
らK4にもし変更すると、このKPa=K4は外気温=
10°Cである限り、他の条件でも一律に適用されるの
で、上記した図13に示す不具合が生じるのである。
【0010】従って、上記した不具合を解消するために
は、図15(a)に示すように、ある特定の条件での
み、補正ゲインKPaがK4に変更され、他の条件の時
には、補正ゲインKPaが変更されずに、K3に維持さ
れたままとする必要が生じる。換言すると、ある特定の
条件でのみ、補正ゲインが変更される制御ロジックを考
えなければならない。しかしながら、車両用の空調装置
が直面する環境条件は、外気温、日射量、車速等千差万
別であるので、これらの環境条件が温度制御特性に影響
を与える要因の相互関係を1つづつ明確に分析し、その
相互関係の影響度を定量化した上で、この影響度に対応
した吹出温度制御のロジックを考案することは、極めて
多大な工数が必要となり、実際上、極めて困難なことで
ある。
【0011】本発明は上記点に鑑みて案出されたもの
で、室内に設定された第1の空調ゾーンおよび第2の空
調ゾーンの温度を独立制御するようにした空調装置にお
いて、第1の空調ゾーンと第2の空調ゾーン間での温度
干渉を抑制して、複数の空調ゾーンの温度をより良好に
独立制御することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】情報処理の一方式である
ニューラルネットワークでは、その学習機能によって、
ニューラルネットワーク内の各層のニューロン間の結合
係数(シプナス荷重)を、所望の出力(教師データ)と
なるように、自動生成する特徴を持っている。そこで、
本発明では、このニューラルネットワーク内のニューロ
ン間の結合係数の自動生成機能に着目して、開発技術者
の工数を増大することなく、特定の環境条件のみにおい
て目標吹出温度の補正ができるようにして、上記目的を
達成しようとするものである。
【0013】すなわち、請求項1に記載の発明では、第
1および第2の温度設定手段(25、26)による第1
および第2の空調ゾーン毎の設定温度(Tset(Dr) 、T
set(Pa) )、および温度情報検出手段(27、28)に
より検出された室内温度(Tr)および室外温度(Ta
m)を含む温度情報を入力として、ニューラルネットワ
ーク(100、200)により各空調ゾーン毎の第1お
よび第2の目標吹出温度(TAO(Dr)、TAO(Pa))を
算出する第1の目標吹出温度算出部(33、35、4
1)および第2の目標吹出温度算出部(34、36、4
2)を備え、第1および第2の空調ゾーンに対応した各
空気通路(7、8)からの空調風の吹出温度がそれぞれ
第1および第2の目標吹出温度(TAO(Dr)、TAO(P
a))となるように第1および第2の温度調節手段(9、
10)を調節することを特徴としている。
【0014】これによると、各空調ゾーン毎の第1およ
び第2の目標吹出温度(TAO(Dr)、TAO(Pa))がニ
ューラルネットワーク(100、200)により算出さ
れる。ここで、ニューラルネットワークの特徴として、
ある入力信号を与えたときに、その出力が、予め設定さ
れた所望の値(教師データ)になるように、ニューラル
ネットワーク内部の各層間の結合係数(シプナス荷重)
を自動修正するという学習機能を備えているから、特定
の入力条件での教師データを変更して、高速演算装置を
用いて結合係数(シプナス荷重)の自動修正を予め行っ
ておくことにより、特定の入力条件での出力変更を行う
ことができる。
【0015】しかも、ニューラルネットワークでは、上
記特定の入力条件での出力(教師データ)の変更を行っ
ても、他の入力条件では、所望の出力値(教師データ)
が維持されるように、結合係数全体の自動修正を行うか
ら、上記特定の入力条件での出力変更が他の入力条件に
おける出力に影響を与えない。その結果、運転席側設定
温度Tset(Dr) 、および助手席側設定温度Tset(Pa)の
変更に対して、相互の温度干渉を抑制して、運転席側お
よび助手席側の乗員周囲温度を双方ともほぼ設定通りに
良好に独立制御することができる。
【0016】さらに、有利なことには、結合係数の自動
修正をニューラルネットワークの学習機能により自動的
におこなうことができるから、開発技術者がある特定の
入力条件のみで所望の出力が得られるような複雑な制御
ロジックを考えなくてもよく、開発工数を大幅に低減で
きる。また、ニューラルネットワークの採用により、複
雑な制御ロジックが不要になるため、空調用電子制御装
置を構成するコンピュータの記憶装置(ROM)の容量
を低減できるという利点もある。
【0017】なお、第1の目標吹出温度算出部(33、
35、41)および第2の目標吹出温度算出部(34、
36、42)に対して入力される、第1および第2の空
調ゾーン毎の設定温度(Tset(Dr) 、Tset(Pa) )と
は、各算出部に対応する空調ゾーンの設定温度Tset(D
r) またはTset(Pa) を必須とし、これに、両設定温度
の温度差(ΔTset )を組み合わせてもよいし、あるい
は第1および第2の空調ゾーン毎の設定温度Tset(Dr)
とTset(Pa) の両方を入力してもよい。
【0018】要は、各算出部に対応する空調ゾーンの設
定温度Tset(Dr) またはTset(Pa)を必須とし、併せ
て、反対側の空調ゾーンの設定温度による影響度を反映
した信号を入力して目標吹出温度を算出すればよい。次
に、請求項2記載の発明では、第1の目標吹出温度算出
部(33、35、41)および第2の目標吹出温度算出
部(34、36、42)に、それぞれ、設定温度(Tse
t(Dr) 、Tset(Pa) )および温度情報(Tr、Tam)
を入力としてニューラルネットワーク(100)により
各空調ゾーン毎の仮目標温度(TAOB(Dr)、TAOB
(Pa))を算出する仮目標温度算出部(33、34)と、
少なくとも日射量情報(TsDr、TsPa)を入力として
ニューラルネットワーク(200)により日射補正量
(TAOS(Dr)、TAOS(Pa))を算出する日射補正量
算出部(35、36)と、仮目標温度(TAOB(Dr)、
TAOB(Pa))と日射補正量(TAOS(Dr)、TAOS
(Pa))に基づいて各空調ゾーン毎の第1および第2の目
標吹出温度(TAO(Dr)、TAO(Pa))を算出する目標
温度算出部(41、42)とを備えていることを特徴と
している。
【0019】これによると、仮目標温度算出部(33、
34)のニューラルネットワーク(100)により仮目
標温度(TAOB(Dr)、TAOB(Pa))を算出するとと
もに、日射補正量算出部(35、36)のニューラルネ
ットワーク(200)により日射補正量(TAOS(D
r)、TAOS(Pa))を算出し、この仮目標温度と日射補
正量とに基づいて最終的に目標吹出温度TAOiを算出
しているから、仮目標温度ニューラルネットワーク(1
00)における入力数を日射量情報(TsDr、TsPa)
がない分だけ、少なくすることができる。これにより、
仮目標温度ニューラルネットワーク(100)における
中間層の数を減らすことができ、仮目標温度ニューラル
ネットワーク(100)の階層構造を簡素化できる。
【0020】また、請求項3記載の発明では、第1およ
び第2の温度設定手段(25、26)による第1および
第2の空調ゾーン毎の設定温度(Tset(Dr) 、Tset(P
a) )、および温度情報検出手段(27、28)により
検出された室内温度(Tr)および室外温度(Tam)
を含む温度情報を入力として、ファジィ制御システムに
より各空調ゾーン毎の第1および第2の目標吹出温度
(TAO(Dr)、TAO(Pa))を算出する第1の目標吹出
温度算出部(33、35、41)および第2の目標吹出
温度算出部(34、36、42)を備え、第1および第
2の空調ゾーンに対応した各空気通路(7、8)からの
空調風の吹出温度がそれぞれ第1および第2の目標吹出
温度(TAO(Dr)、TAO(Pa))となるように第1およ
び第2の温度調節手段(9、10)を調節することを特
徴としている。
【0021】これによると、各空調ゾーン毎の第1およ
び第2の目標吹出温度(TAO(Dr)、TAO(Pa))がフ
ァジィ制御システムにより算出される。ここで、ファジ
ィ制御システムにおいても、特定の入力条件下でのメン
バーシップ関数およびファジィルール表を変更すること
により、他の入力条件下での出力に影響を与えることな
く、特定の入力条件下でのみ、出力の変更を行うことが
可能となる。
【0022】従って、請求項1、2記載の発明によるニ
ューラルネットワークの場合と同様に、運転席側設定温
度Tset(Dr) 、および助手席側設定温度Tset(Pa) の変
更に対して、相互の温度干渉を抑制して、運転席側およ
び助手席側の乗員周囲温度を双方ともほぼ設定通りに良
好に独立制御することができる。また、請求項1ないし
3に記載の発明は、請求項4に記載のごとく、車室内の
運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンの温度を独立
に調節する車両用空調装置において好適に実施できる。
【0023】なお、上記各手段に付した括弧内の符号
は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を
示すものである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態
について説明する。図1は車室内の運転席側空調ゾーン
と助手席側空調ゾーンの温度を独立制御するようにした
左右独立温度制御方式の車両用空調装置の全体構成の概
要を示すもので、図1において、車両用空調装置の空気
流れの最上流側に内外気切替ドア1が配置されており、
このドア1により外気と内気がエアダクト2内に切替導
入される。
【0025】エアダクト2内には、上流側から下流側に
かけて送風機3、エバポレータ4およびヒータコア5が
配設されている。エバポレータ4は冷凍サイクルの冷媒
の蒸発潜熱を空気から吸熱して空気を冷却する冷房用熱
交換器である。ヒータコア5は車両エンジン(図示せ
ず)からの温水(エンジン冷却水)を熱源として空気を
加熱する暖房用熱交換器である。
【0026】ヒータコア5の部位から下流側に向かって
エアダクト2内には仕切壁6が設置され、この仕切壁6
によってエアダクト2内の通路が運転席側通路7と助手
席側通路8とに区分されている。運転席側通路7におい
てヒータコア5の上流側部位には運転席側エアミックス
ドア9が設けられており、運転席側通路7においてヒー
タコア5を通過する温風の風量とヒータコア5をバイパ
スして流れる冷風の風量との割合をドア9により調整す
る。また、助手席側通路8においてヒータコア5の上流
側部位には助手席側エアミックスドア10が設けられて
おり、助手席側通路8においてヒータコア5を通過する
温風の風量とヒータコア5をバイパス流れる冷風の風量
との割合をドア10により調整する。
【0027】運転席側通路7および助手席側通路8の最
下流側には、空調風を車両乗員の足元に向けて吹出すた
めのフット吹出口7a、8a、空調風を車両乗員の上半
身に向けて吹出すためのセンタ・サイドの各フェイス吹
出口7b、7c、8b、8c、および空調風をフロント
ガラスに向けて吹出すためのデフロスタ吹出口11がそ
れぞれ設けられている。
【0028】また、運転席側通路7および助手席側通路
8内には、上記吹出口7a〜7c、8a〜8cおよび1
1を選択的に開閉するための吹出口切替ドア12〜16
が設けられている。これらのドア12〜16の開閉状態
を切替えることによって、フットモード、バイレベルモ
ード、フェイスモードなどの所定の吹出口モードを各通
路7および8ごとに独立して設定し得るようになってい
る。
【0029】次に、上記した空調用機器を制御するため
の制御系を説明すると、内外気切替ドア1、運転席側エ
アミックスドア9、助手席側エアミックスドア10、お
よび吹出口切替ドア12〜16は、それぞれ、サーボモ
ータ17〜22により駆動され、これらのサーボモータ
17〜22の作動は空調用電子制御装置(以下、ECU
という)23の出力により制御される。また、送風機3
のモータ3aも、ECU23の出力により制御回路(モ
ータ印加電圧制御回路)24を介して制御される。EC
U23は周知のマイクロコンピュータとその周辺回路と
の組み合わせからなるものである。
【0030】ECU23の入力として、運転席側通路7
に対応する運転席側空調ゾーンの設定温度Tset(Dr) を
設定する運転席側温度設定器(第1の温度設定手段)2
5と、助手席側通路8に対応する助手席側空調ゾーンの
設定温度Tset(Pa) を設定する助手席側温度設定器(第
2の温度設定手段)26が独立に設けられている。ま
た、温度情報検出手段として、内気温Trを検出する内
気センサ27、外気温Tamを検出する外気センサ2
8、エバポレータ4の冷却温度(吹出空気温度)Teを
検出するエバポレータ温度センサ29、およびヒータコ
ア5に流入する温水の温度Twを検出する水温センサ3
0が設けられている。
【0031】さらに、運転席側空調ゾーンへの日射量T
sDrを検出する運転席側日射センサ31、および助手
席側空調ゾーンへの日射量TsPaを検出する助手席側
日射センサ32が設けられている。ECU23内のマイ
クロコンピュータにより実行される制御機能は、概略的
には、図2に示すように区分することができ、運転席側
の仮の目標吹出温度TAOB(Dr)を算出する第1の仮目
標温度算出部33と、助手席側の仮の目標吹出温度TA
OB(Pa)を算出する第2の仮目標温度算出部34とを備
えている。
【0032】第1の算出部33は、後述の図3に示すニ
ューラルネットワーク100により構成されるもので、
内気温センサ信号Tr、外気温センサ信号Tam、運転
席側温度設定器25からの温度設定信号Tset(Dr) 、お
よび左右の設定温度差ΔTset Drを入力とし、ニューラ
ルネットワーク100により運転席側の仮の目標吹き出
し温度TAOB(Dr)を算出する。
【0033】同様に、第2の算出部34も、図3に示す
ニューラルネットワーク100により構成されるもの
で、内気温センサ信号Tr、外気温センサ信号Tam、
助手席側温度設定器26からの温度設定信号Tset(Pa)
、および左右の設定温度差ΔTset Paを入力とし、ニ
ューラルネットワーク100により助手席側の仮の目標
吹き出し温度TAOB(Pa)を算出する。
【0034】また、運転席側の日射補正量TAOS(Dr)
を算出する第1の日射補正量算出部35と、助手席側の
日射補正量TAOS(Pa)を算出する第2の日射補正量算
出部36と、運転席側の吹出口モードTMODE(Dr)を
算出する第1の吹出口モード算出部37と、助手席側の
吹出口モードTMODE(Pa)を算出する第2の吹出口モ
ード算出部38と、運転席側の風量を決定する送風機電
圧レベルTBLO(Dr)を算出する第1の風量算出部39
と、助手席側の風量を決定する送風機電圧レベルTBL
O(Pa)を算出する第2の風量算出部40とを備えてい
る。
【0035】上記した第1、第2の日射補正量算出部3
5、36は、後述の図5に示すニューラルネットワーク
200により構成され、また、上記した第1、第2の吹
出口モード算出部37、38は後述の図7に示すニュー
ラルネットワーク300により構成され、また、上記し
た第1、第2の風量算出部39、40は後述の図8に示
すニューラルネットワーク400により構成されてい
る。
【0036】また、第1の仮目標温度算出部33および
第1の日射補正量算出部35の出力に基づいて、運転席
側の最終的な目標吹出温度TAO(Dr) を算出する第1
の目標温度算出部41と、第2の仮目標温度算出部34
および第2の日射補正量算出部36の出力に基づいて、
助手席側の最終的な目標吹出温度TAO(Pa) を算出す
る第2の目標温度算出部42とを備えている。
【0037】また、第1および第2の風量算出部39、
40が算出した送風機電圧レベルTBLO(Dr)、TBL
O(Pa)の平均値から最終的な風量に相当する送風機電圧
レベルTBLOを算出する風量算出部43を備えてい
る。さらに、第1の目標温度算出部41の出力TAO
(Dr) に基づいて、運転席側のエアミックスドア開度S
W(Dr) を算出する運転席側エアミックスドア開度算出
部44と、第2の目標温度算出部42の出力TAO(P
a) に基づいて、助手席側のエアミックスドア開度SW
(Pa) を算出する助手席側エアミックスドア開度算出部
45とを備えている。
【0038】次に、ニューラルネットワークの概要につ
いて説明すると、ニューラルネットワーク100〜40
0は基本的には同一構成であるので、図3のニューラル
ネットワーク100を例にとって説明する。ニューラル
ネットワークは、図3に示すように、ある入力信号(図
3の例では、Tseti、Tr、Tam、ΔTseti)を与え
たときに、その出力が、予め設定された所望の値(教師
データ)になるように、ニューラルネットワーク100
内に設けられた入力層101、第1、第2の中間層10
2、103、出力層104内部の各ニューロン105間
の結合係数(シプナス荷重)106を修正するという誤
差逆伝播学習機能(バックプロパーゲーション機能)を
備えた階層構造のネットワークである。
【0039】そして、教師データを変更した場合は、再
び、ある入力信号に対する出力が変更後の教師データと
なるように、繰り返し「学習」させることにより、結合
係数(シプナス荷重)106を修正する。つまり、多量
の所望データ(教師データ)からその相関関数(結合係
数106)を自動生成する特徴を持っている。教師デー
タは、実験等により求めた所望の値(入力信号に対する
所望の出力値)を設定する。
【0040】階層構造のニューラルネットワーク100
において、同一層のニューロン105間では結合がな
く、前後の各層のニューロン105でのみ結合されてお
り、そして、各層のニューロン105間の結合係数10
6は、それぞれの結合の重み(強さ)の程度を表すもの
であって、結合の重みが大きいほど、前側の層のニュー
ロン105の信号が振幅の大きい信号となって、後側の
層のニューロン105に伝達される。
【0041】なお、入出力値はセンサ信号等をそれぞれ
0〜1に規格化(正規化)されたものであり、実際に出
力された値は、0〜1から逆変換する作業が必要であ
る。例えば、内気センサ27により検出される内気温T
rの実際の検出範囲は、通常、0°C〜50°Cであ
り、この検出値を規格化部107で0〜1に割り当て、
ニューラルネットワークの入力層101に入力する。出
力層104からの出力結果も0〜1の値が出力されるた
め、出力変換部108において予め設定された変換マッ
プによってセンサ信号等に対応する実際の値に逆変換さ
れる。
【0042】ところで、現状の車両用空調装置が直面す
る環境条件は前述したごとく様々であるため、この様々
な環境条件に対応した所望の出力値(例えば、目標吹出
温度)である教師データは、数万点から数十万点以上に
もおよび膨大な数となる。そこで、ECU23の設計に
際しては、車両搭載の前段階の処理として、専用の高速
演算装置を用い、この高速演算装置により図3のニュー
ラルネットワーク100による学習を行って、広範な入
力信号の変化に対して出力値が所望の教師データとなる
結合係数106を算出する。そして、このように算出し
た結合係数106を、図2におけるECU23内の各算
出部のニューラルネットワーク100、200、30
0、400に対応する記憶部(ROM)に記憶させてお
く。
【0043】従って、車両搭載状態では、ECU23内
の各算出部のニューラルネットワーク100〜400に
おける各層のニューロン105間の結合係数106は、
予め設定された所定値となっている。そして、車両搭載
状態では、ECU23内の各算出部のニューラルネット
ワーク100は、図4に示すように入力に対する出力を
計算する。すなわち、各ニューロン105では、入力信
号01 〜On のそれぞれに、対応する結合係数106
(W1 〜Wn )を掛け合わせ、その値をシグモイド関数
と呼ばれる関数に適用して出力を計算する。その計算結
果を後続のニューロンの入力として出力する。これを各
層間で繰り返すことにより最終的な出力を得る。
【0044】車両搭載状態のECU23内の各算出部の
ニューラルネットワーク100では、入力信号01 〜O
n の広範な変化に対して、その変化にそれぞれ対応して
所望の出力(教師信号)が得られるようにする結合係数
106(W1 〜Wn )が予め設定してあるので、結合係
数修正のための学習は不要であり、図4に示す計算を行
うのみでよい。
【0045】従って、図3に示す第1、第2の仮目標温
度算出部33、34におけるニューラルネットワーク1
00においては、入力信号(Tseti、Tr、Tam、Δ
Tseti)の変化に対応して、それぞれ、予め設定された
所望の値(教師データ)を仮の目標吹出温度TAOBi
として算出し、出力する。なお、図3の添字iは運転席
Dr側または助手席Pa側のいずれか一方であることを
示しており、以下、添字iは同様の意味で用いている。
【0046】第1の仮目標温度算出部33のニューラル
ネットワーク100で算出された運転席側の仮の目標吹
出温度TAOB(Dr)は、運転席側の最終的な目標吹出温
度TAO(Dr) を算出する第1の目標温度算出部41に
加えられる。また、第2の仮目標温度算出部34のニュ
ーラルネットワーク100で算出された助手席側の仮の
目標吹出温度TAOB(Pa))は、助手席側の最終的な目
標吹出温度TAO(Pa)を算出する第2の目標温度算出部
42に加えられる。
【0047】一方、図5に示す第1、第2の日射補正量
算出部35、36におけるニューラルネットワーク20
0では、入力信号(Tseti、Tr、Tam、Tsi )の
変化に対応して、それぞれ、予め設定された所望の値
(教師データ)を日射補正量TAOSiとして算出し、
出力する。ここで、日射補正量TAOSiの具体的算出
方法の一例を図6により説明すると、図6の横軸は内気
温Trであり、図6(a)では、日射量Tsi =0の場
合に、設定温度Tseti、外気温Tamおよび水温Twが
すべての条件下で、日射補正量TAOSiを0とする特
性にすることを示している。
【0048】図6(b)では、日射量Tsi =1KW/
2 、設定温度Tseti=25°C、外気温Tam≦−1
0°Cの場合に、水温Twがすべての条件下で、日射補
正量TAOSiを内気温Tr=T3の時点から立ち上
げ、内気温Tr=T4の時点で日射補正量TAOSi=
Ta1に飽和させる特性にすることを示している。さら
に、図6(c)では、日射量Tsi =1KW/m2 、設
定温度Tseti=25°C、外気温Tam≧10°Cの場
合に、水温Twがすべての条件下で、日射補正量TAO
Siを内気温Tr=T1の時点から立ち上げ、内気温T
r=T2の時点で日射補正量TAOSi=Ta1に飽和
させる特性にすることを示している。ここで、内気温
は、T1<T2<T3<T4の関係にある。
【0049】なお、外気温Tamが−10°Cから10
°Cの間にある場合は、日射補正量TAOSiが立ち上
がる時点の内気温TrをT1とT3の中間的温度とし、
また、日射補正量TAOSiが飽和する時点の内気温T
rをT2とT4の中間的温度とすればよい。図6による
日射補正量TAOSiの特性の技術的意義は、内気温T
rの低い領域(冬期の暖房開始時のウオームアップ制御
領域)では、日射補正を行わずに、日射による内気温T
rの上昇を促進し、一方、内気温Trが所定温度以上に
上昇した後の高温領域では、日射補正を行って、日射の
影響による車室内温度制御の乱れを抑制しようというも
のである。
【0050】そして、第1、第2の目標温度算出部4
1、42では、下記の数式1によって最終的な目標吹出
温度TAOiを算出する
【0051】
【数1】TAOi=TAOBi−TAOS 次に、運転席側エアミックスドア開度算出部44と助手
席側エアミックスドア開度算出部45では、第1、第2
の目標温度算出部41、42の出力TAO(Dr) 、TA
O(Pa) 、エバポレータ4の温度Te、およびヒータコ
ア5の温水温度Twに基づいて、下記の数式2により、
運転席側のエアミックスドア開度SW(Dr) と助手席側
のエアミックスドア開度SW(Pa) を算出する。
【0052】
【数2】SWi(%)=(TAOi−Te)/(Tw−
Te)*100 また、図7に示す第1、第2の吹出口モード算出部3
7、38におけるニューラルネットワーク300では、
入力信号(TAOi、Tsi 、Tam、Tw)の変化に
対応して、それぞれ、予め設定れた所望の値(教師デー
タ)を運転席側の吹出口モード信号TMODE(Dr)、助
手席側の吹出口モード信号TMODE(Pa)として算出
し、出力する。
【0053】また、図8に示す第1および第2の風量算
出部39、40におけるニューラルネットワーク400
では、入力信号(Tseti、Tr、Tam、Tsi )の変
化に対応して、それぞれ、予め設定れた所望の値(教師
データ)を運転席側の目標送風機電圧TBLO(Dr)、助
手席側の目標送風機電圧TBLO(Pa)として算出し、出
力する。
【0054】次に、本実施形態による制御例を図9のフ
ローチャートに沿って説明する。図9の制御ルーチン
は、空調装置の始動を行う操作スイッチ信号によりスタ
ートし、ステップ510で空調用ECU23をリセット
し、ステップ520で内気温Tr、外気温Tam等の各
種センサ27〜32の信号および温度設定器25、26
の信号を読み込む。
【0055】次に、ステップ530で、図3に示す仮目
標温度ニューラルネットワーク100を用いて、仮目標
温度TAOBiを算出する。従って、ステップ530が
図2の第1、第2の仮目標温度算出部33、34に相当
する。次に、ステップ540で、図5に示す日射補正量
ニューラルネットワーク200を用いて、日射補正量T
AOSiを算出する。従って、ステップ540が図2の
第1、第2の日射補正量算出部35、36に相当する。
【0056】次に、ステップ550で、前述した数式1
によって最終的な目標吹出温度TAOiを算出する。従
って、ステップ550が図2の第1、第2の目標温度算
出部41、42に相当する。次に、ステップ560で
は、前述した数式2によってエアミックスドア開度SW
iを算出する。従って、ステップ560が図2の第1、
第2のエアミックスドア開度算出部44、45に相当す
る。
【0057】次に、ステップ570では、図7に示す吹
出口モードニューラルネットワーク300を用いて、吹
出口モードTMODEiを算出する。従って、ステップ
570が図2の第1、第2の吹出口モード算出部37、
38に相当する。なお、ステップ570における、吹出
口モードTMODEiの出力値は、目標吹出温度TAO
iが低温側から高温側へ移行するにつれて増大する特性
を持っている。そして、吹出口モードニューラルネット
ワーク300の出力値TMODEiに基づいて図10に
示すようにフェイス(FACE)、バイレベル(B/
L)、フット(FOOT)の各モードを決定する。
【0058】次に、ステップ580では、図8に示す風
量算出ニューラルネットワーク400を用いて、運転席
側の目標送風機電圧TBLO(Dr)、助手席側の目標送風
機電圧TBLO(Pa)を算出する。その後に、この左右の
目標送風機電圧TBLO(Dr)、TBLO(Pa)を平均する
ことにより、最終的に目標送風機電圧TBLOを得る。
従って、ステップ580が図2の風量算出部39、4
0、43に相当する。
【0059】次に、ステップ590〜610では、先で
求めた目標値と一致するよう各々のアクチュエータ(図
1のモータ17〜22)および送風機モータ印加電圧制
御回路24を駆動、制御する。次に、本実施形態のごと
く仮目標温度ニューラルネットワーク100および日射
補正量ニューラルネットワーク200を用いて、目標吹
出温度TAOiを算出することによる特徴を具体的に説
明する。
【0060】図11(c)は仮目標温度ニューラルネッ
トワーク100における入力1〜入力4と出力(教師デ
ータ)との関係を示す図表であり、入力1〜入力4がそ
れぞれ28°C、25°C、10°C、3°Cのとき、
出力が50°Cであると、従来技術の図12(b)の不
具合(Pa側乗員周囲温度=25.5°C)が生じる場
合には、出力(教師データ)を50°Cから35°Cに
変更する。
【0061】ここで、ニューラルネットワークの特徴と
して、ある入力信号を与えたときに、その出力が、予め
設定された所望の値(教師データ)になるように、ニュ
ーラルネットワーク内部の各層間の結合係数(シプナス
荷重)106を自動修正するという学習機能を備えてい
るから、上記特定の入力条件での教師データを変更し
て、高速演算装置を用いて結合係数(シプナス荷重)1
06の自動修正を予め行っておくことにより、上記出力
の変更を行うことができる。
【0062】上記出力の変更(50°C→35°Cへの
変更)によって、図11(b)に示すように、助手席側
設定温度Tset(Pa) =28°Cの際に、Pa側の乗員周
囲温度を設定通りの28°C近傍に制御できる。しか
も、上記特定の入力条件での出力(教師データ)の変更
を行っても、他の入力条件では、所望の出力値(教師デ
ータ)が維持されるように、結合係数106全体の自動
修正を行うから、上記特定の入力条件での出力変更が他
の入力条件における出力に影響を与えない。
【0063】その結果、図11(a)、(b)に示すよ
うに、運転席側設定温度Tset(Dr)、および助手席側設
定温度Tset(Pa) の変更に対して、相互の温度干渉を抑
制して、運転席側および助手席側の乗員周囲温度を双方
ともほぼ設定通りに良好に独立制御できる。さらに、有
利なことには、結合係数106の自動修正をニューラル
ネットワークの学習機能により自動的に行うことができ
るから、開発技術者がある特定の入力条件のみで所望の
出力が得られるような複雑な制御ロジックを考えなくて
もよく、開発工数を大幅に低減できる。
【0064】また、ニューラルネットワークの採用によ
り、複雑な制御ロジックが不要になるため、車載ECU
23におけるROM容量を低減できるという利点もあ
る。さらに、本実施形態によると、図3に示す仮目標温
度ニューラルネットワーク100を用いて、仮目標温度
TAOBiを算出するとともに、図5に示す日射補正量
ニューラルネットワーク200を用いて、日射補正量T
AOSiを算出し、この仮目標温度TAOBiと日射補
正量TAOSiとに基づいて前述した数式1によって最
終的に目標吹出温度TAOiを算出しているから、仮目
標温度ニューラルネットワーク100における入力数を
日射量信号Tsiがない分だけ、少なくすることができ
る。これにより、仮目標温度ニューラルネットワーク1
00における中間層の数を減らすことができ、仮目標温
度ニューラルネットワーク100の階層構造を簡素化で
きる。
【0065】但し、ニューラルネットワーク100の階
層構造簡素化を犠牲にして、仮目標温度ニューラルネッ
トワーク100と日射補正量ニューラルネットワーク2
00とを1つのニューラルネットワークに統合して、こ
の1つの統合ニューラルネットワークで、最終的な目標
吹出温度TAOiを直接算出するようにしてもよい。 (他の実施形態) 上述の実施形態では、仮目標温度ニューラルネットワ
ーク100において、仮目標温度TAOBiを算出する
場合に、その入力信号の1つとして、運転席側と助手席
側の設定温度差ΔTsetiを用いているが、このΔTseti
を用いる代わりに、運転席側仮目標温度TAOB(Dr)を
算出する場合は、入力信号として、運転席側設定温度T
set(Dr) とともに、助手席側設定温度Tset(Pa) を入力
するようにし、また、助手席側仮目標温度TAOB(Pa)
を算出する場合は、入力信号として、助手席側設定温度
Tset(Pa) とともに、運転席側設定温度Tset(Dr) を入
力するようにしても、同様の左右独立温度制御の特性を
得ることができる。
【0066】上述の実施形態では、運転席側通路7と
助手席側通路8で、それぞれ、所定の吹出口モードを独
立して設定する場合について説明したが、吹出口モード
を独立制御せずに運転席側と助手席側とで同一にしても
よい。この場合は、吹出口モードニューラルネットワー
ク300の入力として、運転席側目標吹出温度TAO(D
r)と助手席側目標吹出温度TAO(Pa)との平均値TAO
X、運転席側日射量TsDrと助手席側日射量Paとの平均
値TsXを入力して、吹出口モード信号TMODEを算
出すればよい。
【0067】吹出口モード及び風量(送風機電圧レベ
ル)を各々のニューラルネットワーク300、400に
より算出する場合について説明したが、これらの吹出口
モード及び風量の算出には、先に算出したTAOiに基
づいて周知の手法により算出するようにしてもよい。す
なわち、吹出口モード及び風量の算出にはニューラルネ
ットワークを適用しなくてもよい。
【0068】ニューラルネットワークにおける学習
は、前述のバックプロパーゲーション法に限らず、準ニ
ュートン法等の他の方法でもよい。 上述の実施形態では、ニューラルネットワーク100
〜400を適用して、空調制御のための各種演算処理を
行う場合について説明したが、ニューラルネットワーク
100〜400の代わりに、ファジィ制御システムを適
用することも可能である。
【0069】すなわち、ファジィ制御システムにおい
て、特定の入力条件下でのメンバーシップ関数およびフ
ァジィルール表を変更することにより、他の入力条件下
での出力に影響を与えることなく、特定の入力条件下で
のみ、出力の変更を行うことが可能となる。従って、上
述の実施形態によるニューラルネットワークを用いる場
合と同様に、図11(a)、(b)に示す左右の独立温
度制御特性を得ることができる。但し、ファジィ制御シ
ステムでは、上記メンバーシップ関数やファジィルール
表の変更を開発技術者が行わなければならないので、開
発工数の点では、ニューラルネットワークを用いる場合
より不利となる。
【0070】上述の実施形態では、車室内の左右の空
調ゾーンへの吹出空気温度を独立制御する温度調整手段
として、冷風と温風の風量割合を調整するエアミックス
ドア9、10を運転席側通路7および助手席側通路8に
それぞれ独立に設ける場合について説明したが、ヒータ
コア5を運転席側通路7および助手席側通路8にそれぞ
れ独立に設け、この運転席側通路7のヒータコア5に流
入する温水の流量もしくは温度を制御する温水弁、およ
び助手席側通路8のヒータコア5に流入する温水の流量
もしくは温度を制御する温水弁を独立に設け、この2つ
の温水弁の独立制御により車室内の左右の空調ゾーンへ
の吹出空気温度を独立制御するようにしてもよいことは
もちろんである。
【0071】本発明は、車両用空調装置に限定される
ことなく、複数の空調ゾーンへの吹出空気温度を独立制
御する必要のある空調装置全般に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両用空調装置の全
体システムの説明図である。
【図2】図1の空調用電子制御装置における主要機能の
ブロック説明図である。
【図3】図2における仮目標温度算出部のニューラルネ
ットワークの概略構成図である。
【図4】ニューラルネットワークの出力計算法の説明図
である。
【図5】図2における日射補正量算出部のニューラルネ
ットワークの概略構成図である。
【図6】図2における日射補正量算出部の特性説明図で
ある。
【図7】図2における吹出口モード算出部のニューラル
ネットワークの概略構成図である。
【図8】図2における風量算出部のニューラルネットワ
ークの概略構成図である。
【図9】本発明の一実施形態における制御フローチャー
トである。
【図10】本発明の一実施形態における吹出口モード算
出の特性図である。
【図11】本発明の一実施形態における運転席側および
助手席側乗員温度の制御特性説明図である。
【図12】従来装置における運転席側および助手席側乗
員温度の制御特性説明図である。
【図13】従来装置における運転席側および助手席側乗
員温度の制御特性説明図である。
【図14】従来装置における目標吹出温度の補正ゲイン
の設定方法の説明図である。
【図15】従来装置における望ましい補正ゲイン設定方
法の説明図である。
【符号の説明】
7、8…第1、第2の空気通路、9、10…第1、第2
の温度調節手段、25、26…第1、第2の温度設定手
段、27、28…温度情報検出手段、33、34…仮目
標温度算出部、35、36…日射補正量算出部、41、
42…目標温度算出部、100〜400…ニューラルネ
ットワーク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 一志 好則 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 梶野 祐一 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室内の第1の空調ゾーンおよび第2の空
    調ゾーンにそれぞれ対応して第1、第2の空気通路
    (7、8)を設け、この第1、第2の空気通路(7、
    8)にはそれぞれ独立に操作可能な第1および第2の温
    度調節手段(9、10)を備え、 前記第1、第2の空気通路(7、8)から吹き出す空調
    風により前記各空調ゾーンの温度を独立に調節するよう
    にした空調装置において、 前記第1および第2の空調ゾーンの温度を独立に設定す
    るための第1および第2の温度設定手段(25、26)
    と室内の温度(Tr)および室外の温度(Tam)を検
    出する温度情報検出手段(27、28)と、 前記第1および第2の温度設定手段(25、26)によ
    る前記第1および第2の空調ゾーン毎の設定温度(Tse
    t(Dr) 、Tset(Pa) )、および前記温度情報検出手段
    (27、28)により検出された温度情報(Tr、Ta
    m)を入力として、ニューラルネットワーク(100、
    200)により前記各空調ゾーン毎の第1および第2の
    目標吹出温度(TAO(Dr)、TAO(Pa))を算出する第
    1の目標吹出温度算出部(33、35、41)および第
    2の目標吹出温度算出部(34、36、42)とを備
    え、 前記第1および第2の空調ゾーンに対応した前記各空気
    通路(7、8)からの空調風の吹出温度がそれぞれ前記
    第1および第2の目標吹出温度(TAO(Dr)、TAO(P
    a))となるように前記第1および第2の温度調節手段
    (9、10)を調節することを特徴とする空調装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の目標吹出温度算出部(33、
    35、41)および前記第2の目標吹出温度算出部(3
    4、36、42)は、それぞれ、 前記設定温度(Tset(Dr) 、Tset(Pa) )および前記温
    度情報(Tr、Tam)を入力としてニューラルネット
    ワーク(100)により前記各空調ゾーン毎の仮目標温
    度(TAOB(Dr)、TAOB(Pa))を算出する仮目標温
    度算出部(33、34)と、 少なくとも日射量情報(TsDr、TsPa)を入力として
    ニューラルネットワーク(200)により日射補正量
    (TAOS(Dr)、TAOS(Pa))を算出する日射補正量
    算出部(35、36)と、 前記仮目標温度(TAOB(Dr)、TAOB(Pa))と前記
    日射補正量(TAOS(Dr)、TAOS(Pa))に基づいて
    前記各空調ゾーン毎の第1および第2の目標吹出温度
    (TAO(Dr)、TAO(Pa))を算出する目標温度算出部
    (41、42)とを備えていることを特徴とする請求項
    1に記載の空調装置。
  3. 【請求項3】 室内の第1の空調ゾーンおよび第2の空
    調ゾーンにそれぞれ対応して第1、第2の空気通路
    (7、8)を設け、この第1、第2の空気通路(7、
    8)にはそれぞれ独立に操作可能な第1および第2の温
    度調節手段(9、10)を備え、 前記第1、第2の空気通路(7、8)から吹き出す空調
    風により前記各空調ゾーンの温度を独立に調節するよう
    にした空調装置において、 前記第1および第2の空調ゾーンの温度を独立に設定す
    るための第1および第2の温度設定手段(25、26)
    と室内の温度(Tr)および室外の温度(Tam)を検
    出する温度情報検出手段(27、28)と、 前記第1および第2の温度設定手段(25、26)によ
    る前記第1および第2の空調ゾーン毎の設定温度(Tse
    t(Dr) 、Tset(Pa) )、および前記温度情報検出手段
    (27、28)により検出された温度情報(Tr、Ta
    m)を入力として、ファジィ制御システムにより前記各
    空調ゾーン毎の第1および第2の目標吹出温度(TAO
    (Dr)、TAO(Pa))を算出する第1の目標吹出温度算出
    部(33、35、41)および第2の目標吹出温度算出
    部(34、36、42)とを備え、 前記第1および第2の空調ゾーンに対応した前記各空気
    通路(7、8)からの空調風の吹出温度がそれぞれ前記
    第1および第2の目標吹出温度(TAO(Dr)、TAO(P
    a))となるように前記第1および第2の温度調節手段
    (9、10)を調節することを特徴とする空調装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1つに記載
    の空調装置を用いた車両用空調装置であって、 前記第1の空調ゾーンは車室内の運転席側空調ゾーンで
    あり、前記第2の空調ゾーンは車室内の助手席側空調ゾ
    ーンであり、 前記運転席側空調ゾーンの温度と前記助手席側空調ゾー
    ンの温度を前記第1および第2の温度調節手段(9、1
    0)により独立に調節することを特徴とする車両用空調
    装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005007929A (ja) * 2003-06-16 2005-01-13 Denso Corp 乗物用空調装置の制御適合情報の取得方法および取得装置

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JP2005007929A (ja) * 2003-06-16 2005-01-13 Denso Corp 乗物用空調装置の制御適合情報の取得方法および取得装置

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