JP4147618B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動制御方式の車両用空調装置における吹出口モードの切替制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動制御方式の車両用空調装置では、特開昭56−86815号公報に記載されているように、車室内を設定温度に維持するために必要な目標吹出空気温度TAOを車両の熱負荷条件に基づいて算出し、車室内への実際の吹出空気温度が目標吹出空気温度TAOとなるように、温度調節手段(例えば、エアミックスドアや温水弁)の作動を制御している。
【0003】
上記の目標吹出空気温度TAOは周知のごとく下記数式1により算出される。
【0004】
【数1】
TAO=Kset *Tset −Kr *Tr −Kam*Tam−Ks *Ts +C
但し、Tr :内気温、Tam:外気温、Ts :車室内への日射量であり、Kset 、Kr 、Kam、Ks はそれぞれ温度設定ゲイン、内気温ゲイン、外気温ゲイン、日射量ゲインであり、Cは補正定数である。
【0005】
そして、乗員の頭部側へ空気を吹き出すフェイス(FACE)モード、乗員の足元部へ空気を吹き出すフット(FOOT)モード、および乗員の頭部側と乗員の足元部へ同時に空気を吹き出すバイレベル(B/L)モードの切替を、上記の目標吹出空気温度TAOに基づいて行っている。
すなわち、図10は上記TAOによる吹出口モードの切替制御の考え方を図示するもので、上記TAOが低温側から高温側へ移行するに従って、順次、吹出口モードをフェイス(FACE)モード→バイレベル(B/L)モード→フット(FOOT)モードと切り替えるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来装置によると、車両に対する熱負荷条件が同一であるならば、TAOが同一の値になるので、同一の吹出口モードになってしまう。しかしながら、車両の実際の環境条件の変化による乗員の温熱感(温度感覚)は熱負荷条件とは異なったものになるので、TAOによる一律的な吹出口モードの切替では乗員の空調フィーリングを悪化させる。
【0007】
これを図10により具体的に説明すると、図10(a)のように、外気温Tamが10°Cで、比較的高く、日射量が少ない場合と、図10(b)のように、外気温Tamが0°Cという低温時で、日射量が多い場合では、TAOが同一の値aとなり、いずれの場合も、フット(FOOT)モードを一律的に選択してしまう。
【0008】
ところが、後者の図10(b)の場合は、低外気温時であっても、上半身への日射により乗員は頭部側に温熱を感じるので、乗員の上半身へ冷風を欲するようになる。すなわち、図10(b)の場合は、空調フィーリング向上のために、吹出口モードとしてバイレベル(B/L)モードを選択することが望まれる。しかるに、従来装置ではこのような日射の有無を優先的に考慮した吹出口モードの切替制御を実施することができない。
【0009】
日射の他に、外気温の高低、暖房用熱交換器への温水温度の高低等も乗員の温熱感に大きな影響を与えるのであるが、従来装置では、やはり、これらの要素を優先的に考慮して吹出口モードの切替を行うことができなかった。
そこで、上記の不具合を解消するために、例えば、図11に示すように、吹出口モードとTAOとの切替特性のマップとして、日射無し(図11(a))と日射有り(図11(b))とに場合分けした、2つのマップを用意し、日射有りのときは、図11(b)に示すようにバイレベル(B/L)モードの切替点をTAOの高温側に移行させることが考えられる。同様に、外気温の高低、温水温度の高低等に対しても同様の手法で対応することが考えられる。
【0010】
しかし、上記の対応策では、吹出口モードの切替制御に対応するだけでも、他種類のマップを用意することになり、空調用電子制御装置における記憶部(ROM)の大容量化を招く。そのため、記憶部(ROM)の容量制限から上記の対応策を実施できない場合が生じる。
また、日射の有無、外気温の高低、温水温度の高低等の相互関係が乗員の温熱感にどのように影響するか定量的に分析し、その影響度に対応した吹出口モード切替の制御ロジックを考える必要があり、多大な開発工数を要することになる。
【0011】
本発明は上記点に鑑みて案出されたもので、使用者の温熱感に合致したきめ細かい吹出口モードの切替制御を実現することを目的とする。
また、本発明は吹出口モードの切替制御を行う空調用電子制御装置における記憶部の大容量化および開発工数の増大を抑制することを他の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
情報処理の一方式であるニューラルネットワークでは、その学習機能によって、ニューラルネットワーク内の各層のニューロン間の結合係数(シプナス荷重)を、所望の出力(教師データ)となるように、自動生成する特徴を持っている。そこで、本発明では、このニューラルネットワーク内のニューロン間の結合係数の自動生成機能に着目して、記憶部の大容量化や開発技術者の工数の増大を生じることなく、乗員の温熱感に合致したきめ細かい吹出口モードの切替制御ができるようにして、上記目的を達成しようとするものである。
【0013】
すなわち、請求項1に記載の発明では、空気と熱交換を行う熱交換器(4、5)を有する空気通路(2、2b、2c)と、
この空気通路(2、2b、2c)の下流側に設けられ、車室内の異なる方向へ空気を吹き出す複数の吹出口(8a、8b、9a〜9d)と、
この複数の吹出口(8a、8b、9a〜9d)の開閉を切り替える吹出口切替手段(11〜12b)と、
複数の吹出口(8a、8b、9a〜9d)から車室内へ吹き出す空気の温度を調節する温度調節手段(6、61、62)と、
車室内の温度を設定するための温度設定手段(21、21a、21b)と、
内気温を検出する内気温センサ(22)および外気温を検出する外気温センサ(23)と、
温度設定手段(21、21a、21b)による設定温度、および両センサ(22、23)により検出された温度情報を入力として、車室内への目標吹出温度を算出する目標吹出温度算出部(27〜29b)とを備え、
複数の吹出口として、車室内乗員の足元側に空気を吹き出すフット吹出口(8a、8b)、および車室内乗員の上半身側に空気を吹き出すフェイス吹出口(9a〜9d)を包含しており、
吹出口(8a、8b、9a〜9d)からの吹出空気温度が目標吹出温度となるように温度調節手段(6、61、62)を調節するとともに、
吹出口切替手段(11〜12b)を駆動制御して、フット吹出口(8a、8b)から空気を吹き出すフットモード、フェイス吹出口(9a〜9d)から空気を吹き出すフェイスモード、およびフット吹出口(8a、8b)とフェイス吹出口(9a〜9d)の両方から空気を吹き出すバイレベルモードを切り替える車両用空調装置において、
熱交換器(4、5)として、温水を熱源として空気を加熱する暖房用熱交換器(5)を包含しており、
温水の温度を検出する水温センサ(26)および室内への日射量を検出する日射センサ(24)と、
温度設定手段(21、21a、21b)による設定温度、内気温センサ(22)の検出内気温および外気温センサ(23)の検出外気温を入力として、ニューラルネットワーク(200)により仮の目標吹出温度(TAOB)を算出する仮目標温度算出部(27、27a、27b)と、
温度設定手段(21、21a、21b)による設定温度、内気温センサ(22)の検出内気温、外気温センサ(23)の検出外気温および日射センサ(24)の検出日射量を入力として、ニューラルネットワーク(300)により日射補正量(TAOS)を算出する日射補正量算出部(28、28a、28b)と、
仮の目標吹出温度(TAOB)および日射補正量(TAOS)に基づいて最終的な目標吹出温度(TAO)を算出する目標温度算出部(29、29a、29b)とを備え、
目標吹出温度算出部(27〜29b)は、仮目標温度算出部(27、27a、27b)と日射補正量算出部(28、28a、28b)と目標温度算出部(29、29a、29b)とにより構成され、
前記目標吹出温度は、目標温度算出部(29、29a、29b)から出力される目標吹出温度(TAO)であり、
さらに、目標吹出温度(TAO)、外気温センサ(22)の検出外気温、日射センサ(24)の検出日射量および水温センサ(26)の検出水温を入力として、ニューラルネットワーク(100)により吹出口モード信号を算出する吹出口モード算出部(31、31a、31b)備え、
この吹出口モード算出部(31、31a、31b)により算出した吹出口モード信号により吹出口切替手段(11〜12b)を駆動制御することを特徴としている。
【0014】
これによると、車両用空調装置における、車室内の異なる方向へ空気を吹き出す複数の吹出口のうち、いずれの吹出口から空気を吹き出すかという吹出口モードがニューラルネットワーク(100)により算出され、決定される。
ここで、ニューラルネットワークの特徴として、ある入力信号を与えたときに、その出力が、予め設定された所望の値(教師データ)になるように、ニューラルネットワーク内部の各層間の結合係数(シプナス荷重)を自動修正するという学習機能を備えているから、特定の入力条件での教師データを変更して、高速演算装置を用いて結合係数(シプナス荷重)の自動修正を予め行っておくことにより、特定の入力条件での出力変更を行うことができる。
【0015】
しかも、ニューラルネットワークでは、上記特定の入力条件での出力(教師データ)の変更を行っても、他の入力条件では、所望の出力値(教師データ)が維持されるように、結合係数全体の自動修正を行うから、上記特定の入力条件での出力変更が他の入力条件における出力に影響を与えない。
その結果、目標吹出温度と、室内乗員の温熱感に影響を及ぼす環境因子の検出情報との特定の組み合わせに基づいて所望の吹出口モードが得られるように、結合係数を修正しておくことができ、これにより、環境条件の変化に対応して、室内乗員の温熱感に適合した快適な吹出口モードを決定できる。
【0016】
さらに、有利なことには、結合係数の自動修正をニューラルネットワークの学習機能により自動的におこなうことができるから、開発技術者がある特定の入力条件のみで所望の出力が得られるような複雑な制御ロジックを考えなくてもよく、開発工数を大幅に低減できる。
また、ニューラルネットワークの採用により、他種類の制御マップ、複雑な制御ロジック等が不要になるため、空調用電子制御装置を構成するコンピュータの記憶装置(ROM)の容量を低減できるという利点もある。
【0017】
車室内乗員の温熱感に影響を及ぼす環境因子の検出情報として、請求項記載の発明では、外気温センサ(22)の検出外気温、日射センサ(24)の検出日射量および水温センサ(26)の検出水温を用いている。
これによれば、特に、室内乗員に対する日射量の影響を優先的に考慮して、吹出口モードの切替制御を行うことができる。また、暖房用熱交換器(5)を循環する温水の温度と、外気温(室外の温度とを用いることによって、特に、冬期の空調始動時における、温水温度の上昇過程において、温水の温度変化と外気温(室外温度の変化とに対応した、快適な吹出口モードを設定することができる。
【0018】
また、前記環境因子の検出情報としては、請求項2記載の発明のごとく、内気温(室内の温度)をさらに追加してもよい。これによれば、特に、日射量増加、車室内乗員数の増加等による室温上昇の影響を優先的に考慮して、吹出口モードの切替制御を行うことができる。
また、前記環境因子の検出情報としては、請求項3記載の発明のごとく、車室内乗員の皮膚温をさらに追加してもよい。これによれば、特に、日射量等による皮膚温の変化に対応した、快適な吹出口モードを設定することができる
【0020】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態による車両用空調装置の全体システム構成の概要を示すもので、車両用空調装置の空気流れの最上流側に内外気切替ドア1が配置されており、このドア1により外気と内気がエアダクト2内に切替導入される。
【0022】
エアダクト2は空調装置の空気通路を構成するもので、その内部には、上流側から下流側にかけて送風機3、エバポレータ4およびヒータコア5が配設されている。エバポレータ4は冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空気から吸熱して空気を冷却する冷房用熱交換器である。ヒータコア5は車両エンジン(図示せず)からの温水(エンジン冷却水)を熱源として空気を加熱する暖房用熱交換器である。
【0023】
ヒータコア5の上流側部位には温度調節手段としてエアミックスドア6が設けられており、ヒータコア5を通過する温風の風量とヒータコア5のバイパス通路7を流れる冷風の風量との割合をドア6により調整する。この冷温風の風量割合の調整により車室内への吹出空気温度を調節することができる。
エアダクト2の最下流側には、空調風を車両乗員の足元に向けて吹出すためのフット吹出口8a、8b、空調風を車両乗員の上半身に向けて吹出すためのセンタ・サイドの各フェイス吹出口9a〜9d、および空調風をフロントガラスに向けて吹出すためのデフロスタ吹出口10が設けられている。
【0024】
また、エアダクト2の最下流側には、上記吹出口8a、8b、9a〜9dおよび10を選択的に開閉するための吹出口切替ドア(吹出口切替手段)11〜13が設けられている。これらのドア11〜13の開閉状態を切替えることによって、フットモード、バイレベルモード、フェイスモード、デフモードなどの所定の吹出口モードを設定し得るようになっている。
【0025】
次に、上記した空調用機器を制御するための制御系を説明すると、内外気切替ドア1、エアミックスドア6、および吹出口切替ドア11〜13は、それぞれ、サーボモータ14〜18により駆動され、これらのサーボモータ14〜18の作動は空調用電子制御装置(以下、ECUという)19の出力により制御される。また、送風機3のモータ3aも、ECU19の出力によりモータ制御回路(モータ印加電圧制御回路)20を介して制御される。
【0026】
送風機3の送風量は、モータ制御回路20によりモータ印加電圧を調節してモータ回転数を変化することにより調節される。ECU19は周知のマイクロコンピュータとその周辺回路との組み合わせからなるものである。ECU19の入力として、車室内の設定温度Tset を設定する温度設定器(温度設定手段)21が設けられている。この温度設定器21は空調操作パネルに設けられ、手動操作される。
【0027】
また、温度情報検出手段として、車室内の内気温Trを検出する内気センサ22と車室外の外気温Tamを検出する外気センサ23が設けられ、さらに、車室内への日射量Tsを検出する日射センサ24、エバポレータ4の冷却温度(吹出空気温度)Teを検出するエバポレータ温度センサ25、およびヒータコア5に流入する温水の温度Twを検出する水温センサ26が設けられている。
【0028】
ECU19内のマイクロコンピュータにより実行される制御機能は、概略的には、図2に示すように区分することができ、仮の目標吹出温度TAOBを算出する仮目標温度算出部27は、図5に示すニューラルネットワーク200により構成されるもので、温度設定信号Tset 、内気温センサ信号Tr、および外気温センサ信号Tamを入力とし、ニューラルネットワーク200により仮の目標吹き出し温度TAOBを算出する。
【0029】
また、日射補正量TAOSを算出する日射補正量算出部28は、図6に示すニューラルネットワーク300により構成されるもので、温度設定信号Tset 、内気温センサ信号Tr、外気温センサ信号Tam、および日射センサ信号Tsを入力とし、ニューラルネットワーク300により日射補正量TAOSを算出する。そして、目標温度算出部29は、仮目標温度算出部27および日射補正量算出部28の出力に基づいて、最終的に目標吹出温度TAOを算出するものである。さらに、エアミックスドア開度算出部30は目標温度算出部29の出力TAOに基づいて、エアミックスドア開度SWを算出するものである。
【0030】
また、吹出口モード信号TMODEを算出する吹出口モード算出部31は、図3に示すニューラルネットワーク100により構成されるもので、目標温度算出部29からの目標吹出温度TAOと、車室内乗員の温熱感に影響を及ぼす環境因子の検出情報としての、日射センサ信号Ts、外気温センサ信号Tam、および水温センサ信号Twを入力とし、ニューラルネットワーク100により吹出口モード信号TMODEを算出するものである。
【0031】
また、風量算出部32は、図7に示すニューラルネットワーク400により構成されるもので、温度設定信号Tset 、内気温センサ信号Tr、外気温センサ信号Tam、および日射センサ信号Tsを入力とし、ニューラルネットワーク400により風量を決定する送風機電圧レベルTBLOを算出するものである。
次に、ニューラルネットワークの概要について説明すると、ニューラルネットワーク100〜400は基本的には同一構成であるので、図3のニューラルネットワーク100を例にとって説明する。ニューラルネットワークは、ある入力信号(図3の例では、TAO、Ts、Tam、Tw)を与えたときに、その出力が、予め設定された所望の値(教師データ)になるように、ニューラルネットワーク100内に設けられた入力層101、第1、第2の中間層102、103、出力層104内部の各ニューロン105間の結合係数(シプナス荷重)106を修正するという誤差逆伝播学習機能(バックプロパーゲーション機能)を備えた階層構造のネットワークである。
【0032】
そして、教師データを変更した場合は、再び、ある入力信号に対する出力が変更後の教師データとなるように、繰り返し「学習」させることにより、結合係数(シプナス荷重)106を修正する。つまり、多量のデータ(教師データ)からその相関関数(結合係数106)を自動生成する特徴を持っている。教師データは、実験等により求めた所望の値(入力信号に対する所望の出力値)を設定する。
【0033】
階層構造のニューラルネットワーク100において、同一層のニューロン105間では結合がなく、前後の各層のニューロン105でのみ結合されており、そして、各層のニューロン105間の結合係数106は、それぞれの結合の重み(強さ)の程度を表すものであって、結合の重みが大きいほど、前側の層のニューロン105の信号が振幅の大きい信号となって、後側の層のニューロン105に伝達される。
【0034】
なお、入出力値はセンサ信号等をそれぞれ0〜1に規格化(正規化)されたものであり、実際に出力された値は、0〜1から逆変換する作業が必要である。例えば、内気センサ22により検出される内気温Trの実際の検出範囲は、通常、0°C〜50°Cであり、この検出値を規格化部107で0〜1に割り当て、ニューラルネットワークの入力層101に入力する。出力層104からの出力結果も0〜1の値が出力されるので、図5〜7のニューラルネットワーク200〜400では出力変換部108において予め設定された変換マップによってセンサ信号等に対応する実際の値に逆変換される。但し、図3のニューラルネットワーク100では、出力が吹出口モード信号TMODEであるため、出力層104からの出力結果を逆変換する必要がなく、そのため、出力変換部108を設けていない。
【0035】
ところで、現状の車両用空調装置が直面する環境条件は様々であるため、この様々な環境条件に対応した所望の出力値(例えば、吹出口モード信号)である教師データは、数万点から数十万点以上にもおよび膨大な数となる。
そこで、ECU19の設計に際しては、車両搭載の前段階の処理として、専用の高速演算装置を用い、この高速演算装置により図3のニューラルネットワーク100による学習を行って、広範な入力信号の変化に対して出力が所望の教師データとなる結合係数106を算出する。そして、このように算出した結合係数106を、図2におけるECU19内の各算出部のニューラルネットワーク100、200、300、400に対応する記憶部(ROM)に記憶させておく。
【0036】
従って、車両搭載状態では、ECU19内の各算出部のニューラルネットワーク100〜400における各層のニューロン105間の結合係数106は、予め設定された所定値となっている。
そして、車両搭載状態では、ECU19内の各算出部のニューラルネットワーク100は、図4に示すように入力に対する出力を計算する。すなわち、各ニューロン105では、入力信号01 〜On のそれぞれに、対応する結合係数106(W1 〜Wn )を掛け合わせ、その値をシグモイド関数と呼ばれる関数に適用して出力を計算する。その計算結果を後続のニューロンの入力として出力する。これを繰り返すことで最終的な出力を得る。
【0037】
車両搭載状態のECU19内の各算出部のニューラルネットワーク100では、入力信号01 〜On の広範な変化に対して、その変化にそれぞれ対応して所望の出力値(教師信号)が得られるようにする結合係数106(W1 〜Wn )が予め設定してあるので、結合係数修正のための学習は不要であり、図4に示す計算を行うのみでよい。
【0038】
従って、図3に示す、吹出口モード算出部31のニューラルネットワーク100においては、入力信号(TAO、Ts、Tam、Tw)の変化に対応して、それぞれ、予め設定された所望の値(教師信号)を吹出口モード信号TMODE(=0〜1)として算出し、出力する。
また、図5に示す、仮目標温度算出部27のニューラルネットワーク200においては、入力信号(Tset 、Tr、Tam)の変化に対応して、それぞれ、予め設定された所望の値(教師信号)を仮の目標吹出温度TAOBとして算出し、出力する。
【0039】
また、図6に示す、日射補正量算出部28のニューラルネットワーク300においては、入力信号(Tset 、Tr、Tam、Ts)の変化に対応して、それぞれ、予め設定された所望の値(教師信号)を日射補正量TAOSとして算出し、出力する。
また、図7に示す、風量算出部32のニューラルネットワーク400においては、入力信号(Tset 、Tr、Tam、Ts)の変化に対応して、それぞれ、予め設定された所望の値(教師信号)を送風機電圧レベルTBLOとして算出し、出力する。
【0040】
そして、目標温度算出部29では、下記の数式2によって最終的な目標吹出温度TAOを算出する
【0041】
【数2】
TAO=TAOB−TAOS
次に、エアミックスドア開度算出部30では、目標温度算出部29の出力TAO、エバポレータ4の温度Te、およびヒータコア5の温水温度Twに基づいて、下記の数式3により、エアミックスドア開度SWを算出する。
【0042】
【数3】
SW(%)=(TAO−Te)/(Tw−Te)*100
次に、本実施形態による制御例を図8のフローチャートに沿って説明する。図8の制御ルーチンは、空調装置の始動を行う操作スイッチ信号によりスタートし、ステップ510で空調用ECU19をリセットし、ステップ520で内気温Tr、外気温Tam等の各種センサ22〜26の信号および温度設定器21の信号を読み込む。
【0043】
次に、ステップ530で、図5に示す仮目標温度ニューラルネットワーク200を用いて、仮目標温度TAOBを算出する。従って、ステップ530が図2の仮目標温度算出部27に相当する。
次に、ステップ540で、図6に示す日射補正量ニューラルネットワーク300を用いて、日射補正量TAOSを算出する。従って、ステップ540が図2の日射補正量算出部28に相当する。
【0044】
次に、ステップ550で、前述した数式1によって最終的な目標吹出温度TAOを算出する。従って、ステップ550が図2の目標温度算出部29に相当する。
次に、ステップ560では、前述した数式2によってエアミックスドア開度SWを算出する。従って、ステップ560が図2のエアミックスドア開度算出部30に相当する。
【0045】
次に、ステップ570では、図3に示す吹出口モードニューラルネットワーク100を用いて、吹出口モード信号TMODEを算出する。従って、ステップ570が図2の吹出口モード算出部31に相当する。なお、ステップ570における、吹出口モード信号TMODEの出力値は、目標吹出温度TAOが低温側から高温側へ移行するにつれて増大する特性を持っている。そして、吹出口モードニューラルネットワーク300の出力値TMODEに基づいて図9に示すようにフェイス(FACE)、バイレベル(B/L)、フット(FOOT)の各モードを決定する。
【0046】
次に、ステップ580では、図8に示す風量算出ニューラルネットワーク400を用いて、目標送風機電圧TBLOを算出する。従って、ステップ580が図2の風量算出部32に相当する。
次に、ステップ590〜610では、先で求めた目標値と一致するよう各々のアクチュエータ(図1のモータ14〜18)および送風機モータ印加電圧制御回路20を駆動、制御する。
【0047】
次に、本実施形態のごとくニューラルネットワーク100を用いて、吹出口モード信号TMODEを算出することによる特徴を具体的に説明する。
図12は吹出口モードニューラルネットワーク100における入力1〜入力4と出力(教師データ)TMODEとの関係を示す図表であり、入力1〜入力4がそれぞれTAO=48°C、Ts=1000W/m2 、Tam=0°C、Tw=80°Cのとき(すなわち、日射Tsが有り、かつ、外気温Tamが低いとき)、出力が0.95であると、図11(a)に示すように吹出口モードがフットモードとなり、乗員が頭部側に温熱感を感じる。
【0048】
そこで、上記の入力条件であるときの出力(教師データ)を、0.95から0.5に変更する。
ここで、ニューラルネットワークの特徴として、ある入力信号を与えたときに、その出力が、予め設定された所望の値(教師データ)になるように、ニューラルネットワーク内部の各層間の結合係数(シプナス荷重)106を自動修正するという学習機能を備えているから、上記特定の入力条件での教師データを変更して、高速演算装置を用いて結合係数(シプナス荷重)106の自動修正を予め行っておくことにより、上記出力の変更を行うことができる。
【0049】
上記出力の変更(TMODE=0.95→0.5への変更)によって、図11(b)に示すように、目標吹出温度TAOが同一値a(=48°C)であっても、吹出口モードがバイレベルモードとなり、乗員頭部側へ冷風を吹き出すことが可能となり、日射による乗員頭部の火照り感を緩和して乗員の空調フィーリングを改善できる。
【0050】
しかも、上記特定の入力条件での出力(教師データ)の変更を行っても、他の入力条件では、所望の出力値(教師データ)が維持されるように、結合係数106全体の自動修正を行うから、上記特定の入力条件での出力変更が他の入力条件における出力に影響を与えない。その結果、日射無しの条件では、図11(a)に示すフットモードを設定して、乗員足元への温風吹出により乗員足元部の暖房感を向上できる。
【0051】
さらに、有利なことには、結合係数106の自動修正をニューラルネットワークの学習機能により自動的におこなうことができるから、開発技術者がある特定の入力条件のみで所望の出力が得られるような複雑な制御ロジックを考えなくてもよく、開発工数を大幅に低減できる。
また、ニューラルネットワークの採用により、複雑な制御ロジックや多種類の制御マップが不要になるため、車載ECU19におけるROM容量を低減できるという利点もある。
【0052】
なお、図11(b)に示すように、低外気温時の日射有りの条件にてバイレベルモードを設定するときは、図11(c)に示すように、エアミックスドア開度に上限を設けること(ドア開度のリミッタ設定)が好ましい。
すなわち、図11(c)において、TAO=a以上となるバイレベルモード拡大域では、車室内への実際の吹出空気温度をエアミックスドア開度の上限設定(リミッタ設定)により所定温度に抑えて、フェイス吹出口9a〜9dから温風が吹き出すことを防止することが必要である。なお、図11(c)のバイレベルモードにおいて、bはフェイス吹出温度で、cはフット吹出温度である。
【0053】
次に、冬期の低外気温条件下で、車両エンジンを始動した直後に空調装置を始動する場合において、吹出口モードの切替制御を説明すると、車両エンジンの始動後、時間の経過とともにエンジン冷却水温(ヒータコア5への温水温度)が上昇していき、これに伴って、ヒータコア5の吹出空気温度、ひいては車室内への吹出温度が上昇する。その際、車室内への吹出風量も温水温度の上昇とともに上昇するように、送風機3のモータ印加電圧が調整される。
【0054】
このとき、車室内への吹出モードとしてフットモードに固定したままであると、乗員はその下半身から暖められていくので、乗員上半身まで暖まるのに非常に長い時間がかかることになる。その結果、乗員の手が特に冷たい場合が生じて、不快であるばかりでなく、運転者がハンドル操作をしずらいので、車両運転の安全性からも好ましくない。
【0055】
従って、車室内への吹出モードとして最初はフットモードで始動し、その後、温水温度の上昇に伴ってバイレベルモードを設定して、乗員の上半身側へもフェイス吹出口9a〜9dから温風を吹き出して、乗員の上半身側を早期に暖房することが望まれる。なお、低外気温時の空調始動時は最大暖房状態が設定され、エアミックスドア開度SWは最大開度(100%の開度)となり、ヒータコア5への通風路が全開となる。
【0056】
本発明者らは、冬期の低外気温条件下における空調装置始動時において、バイレベルモードを乗員が快適と感じる条件について実際に実験検討したところ、図13に示すように、バイレベルモードの快適域は外気温と温水温度と相関があり、外気温ごとにバイレベルモードが快適となる温水温度範囲が存在することが判明した。
【0057】
すなわち、図13の実験は、上記条件でのバイレベルモードを快適に感じるかどうか、複数人のモニターにより判定したものであり、外気温の低下に伴ってバイレベルモードを快適に感じる温水温度範囲が上昇することが分かる。なお、図13において、寒い領域と快適な領域との間、および快適な領域と暑い領域との間は、快適とも不快とも言えない中間領域である。また、車室内への実際の吹出空気温度は、ヒータコア5での温水と空気間の伝熱効率等から温水温度の概略90%程度の温度となる。
【0058】
上記の図13の実験結果を受けて、本実施形態では、図14に示すように、吹出口モードニューラルネットワーク100における入力1〜入力4と出力(教師データ)TMODEとの関係において、入力1〜入力3がそれぞれTAO=80°C、Ts=0W/m2 、Tam=−10°Cであるときに、入力4がTw=53°C〜62°Cの範囲内にあるときは、出力を0.95から0.5に変更する。従って、吹出口モードをフットモードからバイレベルモードに変更することができ、上記Twの範囲内において乗員の上半身側を早期に暖房して、空調フィーリングの改善、車両運転の安全性を向上できる。
【0059】
他の温水温度範囲では、出力を0.95に維持して、吹出口モードをフットモードに設定できるから、温水温度の低温側でのバイレベルモードによる足元部の寒さ、あるいは温水温度の高温側でのバイレベルモードによる顔部の火照り感を防止できる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、冬期の低外気温条件下における空調装置始動時において、所定の温水温度範囲にてバイレベルモードを設定しているが、日射等で内気温Trがある程度高くなっている場合には、バイレベルモードからフットモードに戻すタイミングを早くしないと、バイレベルモードによる顔部の火照り感が発生する。
【0060】
そこで、第2実施形態では、この点を考慮して、図15に示すように、吹出口モードニューラルネットワーク100の入力として内気温Trを追加し、この内気温Trの所定温度以上への上昇により、バイレベルモードからフットモードに戻すタイミングを早めて、顔部の火照り感の発生を未然に防止する。すなわち、同一の外気温であっても内気温Trが上昇すると、バイレベルモードからフットモードに復帰させる温水温度を低めに変更する。
【0061】
(第3実施形態)
第3実施形態は、上記第2実施形態と同一目的のものであって、図16に示すように、吹出口モードニューラルネットワーク100の入力として、上記内気温Trの代わりに、乗員の皮膚温を検出する皮膚温センサからの皮膚温信号Thを追加している。
【0062】
第3実施形態によると、日射等の影響で乗員の皮膚温が所定温度以上に上昇すると、バイレベルモードからフットモードに復帰させる温水温度を低めに変更することにより、バイレベルモードによる顔部の火照り感を防止できる。
(第4実施形態)
図17は第4実施形態を示すものであり、図3に示すように、吹出口モードニューラルネットワーク100の入力の1つとして外気温Tamを加えている場合に、外気温Tamの高低により吹出口モードの切替ポイントを変更している例である。すなわち、TAOの高温側領域(暖房側領域)では、高外気温時(Tam=10°C)に比して低外気温時(Tam=−10°C)の方が低いTAOで、バイレベルモードからフットモードへ切替えるようにして、フットモード域を拡大している。これにより、足元暖房を優先的に行って、低外気温時の暖房フィーリングを高めている。
【0063】
また、TAOの低温側領域(冷房側領域)では、低外気温時(Tam=10°C)に比して高外気温時(Tam=30°C)の方が高いTAOとなるまでフェイスモードを継続してフェイスモード域を拡大している。これにより、乗員の上半身への冷風吹出を優先的に行って、高外気温時の冷房フィーリングを高めている。
【0064】
(第5実施形態)
上記した第1〜第4実施形態では、図1に示すようにエアダクト2内に、各吹出口8a、8b、9a〜9d、10に向かって1つの空気通路を形成し、温度調節手段として1つのエアミックスドア6を配置する車両用空調装置について説明したが、第5実施形態では、図18に示すように、車室内の運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーンの温度を独立制御するようにした左右独立温度制御方式の車両用空調装置に本発明を適用している。
【0065】
第5実施形態では、エアダクト2内に、ヒータコア5の部位から下流側に向かって仕切壁2aが設置され、この仕切壁2aによってエアダクト2内の通路が運転席側通路2bと助手席側通路2cとに区分されている。
運転席側通路2bにおいてヒータコア5の上流側部位には運転席側エアミックスドア61が設けられており、運転席側通路2bにおいてヒータコア5を通過する温風の風量とヒータコア5をバイパスして流れる冷風の風量との割合をドア61により調整する。また、助手席側通路2cにおいてヒータコア5の上流側部位には助手席側エアミックスドア62が設けられており、助手席側通路2cにおいてヒータコア5を通過する温風の風量とヒータコア5をバイパス流れる冷風の風量との割合をドア62により調整する。
【0066】
運転席側通路2bの最下流側には運転席側のフット吹出口8aとフェイス吹出口9a、9bが設けられ、また、助手席側通路2cの最下流側には、助手席側のフット吹出口8bとフェイス吹出口9c、9dが設けられている。そして、運転席側のフット吹出口8aとフェイス吹出口9a、9bを選択的に開閉するための吹出口切替ドア11a、12aが設けられ、また、助手席側のフット吹出口8bとフェイス吹出口9c、9dを選択的に開閉するための吹出口切替ドア11b、12bが設けられている。なお、デフロスタ吹出口10およびその吹出口切替用ドア13は第1実施形態と同じである。
【0067】
上記した両エアミックスドア61、62は、それぞれ独立のサーボモータ15、15aにより駆動され、また、運転席側の吹出口切替ドア11a、12aと助手席側の吹出口切替ドア11b、12bは、それぞれ独立のサーボモータ160、170により駆動される。そして、吹出口切替ドア11a、12a、11b、12bの開閉状態を切替えることによって、フットモード、バイレベルモード、フェイスモードなどの所定の吹出口モードを各通路2b、2cごとに独立して設定し得る。
【0068】
また、ECU19の入力として、運転席側通路2bに対応された運転席側空調ゾーンの設定温度Tset(Dr) を設定する運転席側温度設定器(第1の温度設定手段)21aと、助手席側通路2cに対応された助手席側空調ゾーンの設定温度Tset(Pa) を設定する助手席側温度設定器(第2の温度設定手段)21bが独立に設けられている。
【0069】
また、運転席側空調ゾーンへの日射量TsDrを検出する運転席側日射センサ24aと、助手席側空調ゾーンへの日射量TsPaを検出する助手席側日射センサ24bが独立に設けられている。温度情報検出手段としての内気センサ22、外気センサ23、エバポレータ温度センサ25、および水温センサ26は第1実施形態と同じである。
【0070】
さらに、ECU23内のマイクロコンピュータにより実行される制御機能は、図19に示すように、運転席側Drと助手席側Paとでそれぞれ独立に発揮される。図2の制御機能部に対して添字aを付したものは運転席側Drであり、添字bを付したものは助手席側Paであり、風量を決定する送風機電圧TBLOについては、運転席側の送風機電圧TBLO(Dr)と助手席側の送風機電圧TBLO(Pa)を風量算出部32a、32bで算出した後に、風量算出部32cで送風機電圧TBLO(Dr)とTBLO(Pa)の平均値を算出して、これを風量を相当する最終的な送風機電圧TBLOとしている。
【0071】
そして、運転席側の吹出口モード信号TMODE(Dr)と助手席側の吹出口モード信号TMODE(Pa)をそれぞれ独立に算出する吹出口モード算出部31a、31bを独立に備えている。
この場合に、運転席側吹出口モード算出部31aおよび助手席側吹出口モード算出部31bを構成するニューラルネットワーク100では、前述の図3の入力の目標吹出温度TAOとして、運転席側目標吹出温度TAO(Dr)、または助手席側目標吹出温度TAO(Pa)を入力するとともに、日射量Tsとして、運転席側日射量TsDr、または、助手席側日射量TsPaを入力して、運転席側の吹出口モード信号TMODE(Dr)、または助手席側の吹出口モード信号TMODE(Pa)をそれぞれ独立に算出すればよい。
【0072】
なお、運転席側仮目標温度算出部27aおよび助手席側の仮目標温度算出部27bを構成するニューラルネットワーク200では、前述の図5の入力(Tset )として、運転席側空調ゾーンの設定温度Tset(Dr) または助手席側空調ゾーンの設定温度Tset(Pa) を入力するとともに、この両設定温度Tset(Dr) 、Tset(Pa) の差(ΔTset )を入力として追加する。この設定温度差ΔTset を入力として追加するのは、運転席側空調ゾーンと助手席側空調ゾーン間の温度干渉による各ゾーンの温度ずれを抑制するためである。
【0073】
また、第5実施形態のごとき左右独立温度制御方式の車両用空調装置において、吹出口モードは独立制御せずに、運転席側と助手席側とで同一にする場合もある。この場合は、図20に示すように、ニューラルネットワーク100の入力として、運転席側目標吹出温度TAO(Dr)と助手席側目標吹出温度TAO(Pa)との平均値TAOX、運転席側日射量TsDrと助手席側日射量Paとの平均値TsXを入力して、吹出口モード信号TMODEを算出すればよい。
【0074】
(他の実施形態)
▲1▼上述の各実施形態では、目標吹出温度及び風量(送風機電圧レベル)を各々のニューラルネットワーク200、300、400により算出する場合について説明したが、これらの目標吹出温度及び風量の算出には、ニューラルネットワークを使用せずに、周知の手法により算出するようにしてもよい。
【0075】
▲2▼上述の実施形態では、温度調整手段として、冷風と温風の風量割合を調整するエアミックスドア6、61、62を設ける場合について説明したが、温度調整手段としてエアミックスドア6、61、62の代わりに、ヒータコア5に流入する温水の流量もしくは温度を制御する温水弁を使用してもよい。
▲3▼上述の第5実施形態による左右独立温度制御方式の車両用空調装置において、図20に示す例では、吹出口モードニューラルネットワーク100の入力として、運転席側目標吹出温度TAO(Dr)と助手席側目標吹出温度TAO(Pa)との平均値TAOXを用いているが、運転席側目標吹出温度TAO(Dr)と助手席側目標吹出温度TAO(Pa)の重み付けを変更して、例えば、運転席側目標吹出温度TAO(Dr)と助手席側目標吹出温度TAO(Pa)の影響割合をいずれか一方:80%、他方:20%とした目標吹出温度TAOを入力してもよい。
【0076】
▲4▼空調ゾーンの温度を設定する温度設定器21、21a、21bとして、温度数字を示していない温感表示のもの(高低温の色分け表示等)であってもよいことは勿論である。
▲5▼最大暖房時の吹出温度に影響を与える環境因子として温水温度を検出しているが、温水温度とヒータコア5の表面温度とは密接な相関があるので、温水温度と同等の温度として、ヒータコア5の表面温度を検出してもよい。
【0077】
また、水温センサ26の代わりに、ヒータコア5の吹出空気温度を検出する温度センサを使用することもできる。
▲6▼本発明は、車両用空調装置に限定されることなく、吹出口モードの切替制御が必要な空調装置であれば、種々な用途のものに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す車両用空調装置の全体システムの説明図である。
【図2】図1の空調用電子制御装置における主要機能のブロック説明図である。
【図3】図2の吹出口モード算出部のニューラルネットワークの概略構成図である。
【図4】ニューラルネットワークの出力計算方法の説明図である。
【図5】図2の仮目標温度算出部のニューラルネットワークの概略構成図である。
【図6】図2の日射補正量算出部のニューラルネットワークの概略構成図である。
【図7】図2の風量算出部のニューラルネットワークの概略構成図である。
【図8】本発明の第1実施形態における制御フローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態における吹出口モード算出の特性図である。
【図10】従来技術の吹出口モード切替制御特性の説明図である。
【図11】従来技術および第1実施形態による吹出口モード切替制御特性の説明図である。
【図12】第1実施形態による入力条件と吹出口モード信号の出力との関係を示す図表である。
【図13】第1実施形態において、バイレベルモードの快適性と、外気温および温水温度との関係を示すグラフである。
【図14】第1実施形態による入力条件と吹出口モード信号の出力との関係を示す図表である。
【図15】第2実施形態による吹出口モード算出部のニューラルネットワークの概略構成図である。
【図16】第3実施形態による吹出口モード算出部のニューラルネットワークの概略構成図である。
【図17】第4実施形態による吹出口モードと目標吹出温度との関係を示す制御特性図である。
【図18】第5実施形態を示す車両用空調装置の全体システムの説明図である。
【図19】図18の空調用電子制御装置における主要機能のブロック説明図である。
【図20】第5実施形態による吹出口モード算出部のニューラルネットワークの1例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
2…エアダクト(空気通路)、2b…運転席側空気通路、
2c…運転席側空気通路、6、61、62…温度調節手段、
8a、8b、9a〜9d…吹出口、21、21a、21b…温度設定手段、
22、23…温度情報検出手段、31、31a、31b…吹出口モード算出部、100〜400…ニューラルネットワーク。

Claims (3)

  1. 空気と熱交換を行う熱交換器(4、5)を有する空気通路(2、2b、2c)と、
    この空気通路(2、2b、2c)の下流側に設けられ、車室内の異なる方向へ空気を吹き出す複数の吹出口(8a、8b、9a〜9d)と、
    この複数の吹出口(8a、8b、9a〜9d)の開閉を切り替える吹出口切替手段(11〜12b)と、
    前記吹出口(8a、8b、9a〜9d)から車室内へ吹き出す空気の温度を調節する温度調節手段(6、61、62)と、
    車室内の温度を設定するための温度設定手段(21、21a、21b)と、
    内気温を検出する内気温センサ(22)および外気温を検出する外気温センサ(23)と、
    前記温度設定手段(21、21a、21b)による設定温度、および前記両センサ(22、23)により検出された温度情報を入力として、車室内への目標吹出温度を算出する目標吹出温度算出部(27〜29b)とを備え、
    前記複数の吹出口として、車室内乗員の足元側に空気を吹き出すフット吹出口(8a、8b)、および車室内乗員の上半身側に空気を吹き出すフェイス吹出口(9a〜9d)を包含しており、
    前記吹出口(8a、8b、9a〜9d)からの吹出空気温度が前記目標吹出温度となるように前記温度調節手段(6、61、62)を調節するとともに、
    前記吹出口切替手段(11〜12b)を駆動制御して、前記フット吹出口(8a、8b)から空気を吹き出すフットモード、前記フェイス吹出口(9a〜9d)から空気を吹き出すフェイスモード、および前記フット吹出口(8a、8b)と前記フェイス吹出口(9a〜9d)の両方から空気を吹き出すバイレベルモードを切り替える車両用空調装置において、
    前記熱交換器(4、5)として、温水を熱源として空気を加熱する暖房用熱交換器(5)を包含しており、
    前記温水の温度を検出する水温センサ(26)および室内への日射量を検出する日射センサ(24)と
    前記温度設定手段(21、21a、21b)による設定温度、前記内気温センサ(22)の検出内気温および前記外気温センサ(23)の検出外気温を入力として、ニューラルネットワーク(200)により仮の目標吹出温度(TAOB)を算出する仮目標温度算出部(27、27a、27b)と、
    前記温度設定手段(21、21a、21b)による設定温度、前記内気温センサ(22)の検出内気温、前記外気温センサ(23)の検出外気温および前記日射センサ(24)の検出日射量を入力として、ニューラルネットワーク(300)により日射補正量(TAOS)を算出する日射補正量算出部(28、28a、28b)と、
    前記仮の目標吹出温度(TAOB)および前記日射補正量(TAOS)に基づいて最終的な目標吹出温度(TAO)を算出する目標温度算出部(29、29a、29b)とを備え、
    前記目標吹出温度算出部(27〜29b)は、前記仮目標温度算出部(27、27a、27b)と前記日射補正量算出部(28、28a、28b)と前記目標温度算出部(29、29a、29b)とにより構成され、
    前記目標吹出温度は、前記目標温度算出部(29、29a、29b)から出力される目標吹出温度(TAO)であり、
    さらに、前記目標吹出温度(TAO)、前記外気温センサ(22)の検出外気温、前記日射センサ(24)の検出日射量および前記水温センサ(26)の検出水温を入力として、ニューラルネットワーク(100)により吹出口モード信号を算出する吹出口モード算出部(31、31a、31b)備え、
    この吹出口モード算出部(31、31a、31b)により算出した吹出口モード信号により前記吹出口切替手段(11〜12b)を駆動制御することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記吹出口モード算出部(31、31a、31b)のニューラルネットワーク(100)の入力として、前記内気温センサ(22)の検出内気温がさらに入力されることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 室内使用者の皮膚温を検出する皮膚温センサを備え、前記吹出口モード算出部(31、31a、31b)のニューラルネットワーク(100)の入力として、前記皮膚温センサ(22)の検出皮膚温がさらに入力されることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
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