JPH11298946A - 位置決めシステム - Google Patents

位置決めシステム

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Publication number
JPH11298946A
JPH11298946A JP10097910A JP9791098A JPH11298946A JP H11298946 A JPH11298946 A JP H11298946A JP 10097910 A JP10097910 A JP 10097910A JP 9791098 A JP9791098 A JP 9791098A JP H11298946 A JPH11298946 A JP H11298946A
Authority
JP
Japan
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electric field
mobile station
field strength
radio wave
base station
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP10097910A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Kamishima
博昭 神島
Shuji Tanabe
修二 田辺
Katsuhiko Kumamoto
勝彦 熊本
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LOCUS KK
Original Assignee
LOCUS KK
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Publication date
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Publication of JPH11298946A publication Critical patent/JPH11298946A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より信頼度の高い位置決めシステムを提供す
る。 【解決手段】 移動局7は、複数の基地局6について電
界強度を測定する。位置決めシステムにおいては、測定
された複数の基地局6についての電界強度と、各基地局
6の送信出力から、移動局7と各基地局6との距離を算
出し、移動局7の位置特定を行なう。なお、位置決めシ
ステムにおいては、移動局7により各基地局6の電界強
度を複数回ずつ測定される。そして、測定された電界強
度について基地局6ごとに平均値が求められ、求められ
た平均値のうち大きい順から所定個数の平均値が、移動
局7の位置特定に利用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、位置決めシステム
に関し、特に、複数の電波発生源について電波発生源ご
とに電界強度を測定する移動用端末機の位置決めシステ
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】この発明に興味のある位置決めシステム
としては、特開平9−172676号公報に開示され
た、PHS等の小ゾーン制の無線通信ネットワークを利
用した位置決めシステムがある。同公報に開示された位
置決めシステムにおいては、精度の高い位置検出を行な
うため電波の輻射パターンを採用することが考えられ
る。そのような小ゾーン制の無線ネットワークを図19
に示す。
【0003】図19において、固定または移動可能なセ
ンター局91が、移動中の移動局7と通話を行なう場
合、センター局91が接続されている交換局2から幹線
3および他の交換局4と別の幹線5を通じて基地局6の
半径ほぼ100mのセル8内に入っている移動局7と通
話を行なうことになる。なお、幹線3、5には中央制御
局51が接続されている。
【0004】PHSのシステムでは、PHSのデータベ
ースが存在し、センター局91が移動局7と通話する
と、移動局7が基地局6のセル8内にあることが中央制
御局51に設けられたデータベースに記憶される。ある
いは、移動局7が基地局6と通話するまでもなく、その
セル8の内部に入り込んだ瞬間に同様にデータベースに
記憶される。基地局6の位置は予めわかっているから、
この位置情報を利用することにより、その基地局6を中
心としたほぼ半径100mの円内に移動局7が存在して
いることがわかる。したがって、移動局7の場所を特定
することができる。
【0005】ある時点において移動局7をそのセル8内
に持っている基地局6を特定する情報をPHSのデータ
ベースが把握、保持しているので、純技術的に言ってセ
ンター局91はその情報の提供を受けることができる。
【0006】一方、センター局91においては、地図情
報をディスプレイ上に表示するシステムを保有してい
る。周知のとおり、今日では地図情報をディスプレイ上
に表示するシステムは車両のナビゲーションシステムの
例に見られるように、CD−ROMとして容易に入手可
能である。
【0007】センター局91におけるディスプレイのス
クリーン上の地図に、PHSのデータベースから提供を
受けた、移動局7をそのセル8内に持つ基地局6の位置
情報が表示される。基地局6はマーカー等で表示され、
そのマーカーを中心に半径100mの円を表示する。こ
の場合その円内に移動局が存在することを意味する。
【0008】図20にセンター局91の構成例を示す。
図20を参照して、この発明に係るセンター局91は、
パソコンまたはワークステーション12と、パソコンま
たはワークステーション12に接続されたディスプレイ
61およびキーボード11を含む。パソコンまたはワー
クステーション12には、センター用モデム13が接続
され、センター用モデム13を介して図19に示した交
換局2等の電話交換局に接続されている。
【0009】センター局91ではパソコンまたはワーク
ステーション12のディスプレイ61のスクリーンに映
し出された地図10の中に、移動局7をそのセル8の内
部に持つ基地局6を表わすマーカー9と、それを中心と
した半径約100mの円(セル8)が表示される(ただ
し、場合によっては円でないこともありうる)。この場
合、対象となる移動局7は、この円内にあることを示し
ている。もちろん、移動局7そのものを表示することは
できない。
【0010】図21はセンター局91の具体的構成を示
すブロック図である。図21を参照して、センター局9
1は、センター局91を構成する装置全体を制御するC
PU60と、CPU60に接続され、移動局7の位置を
地図上に表示するディスプレイ61と、センター局91
としての動作を規定するプログラム等を記憶するROM
62,RAM63と、外部機器とのインタフェイスとな
るI/Oインタフェイス64とを含む。
【0011】また、CPU60には、I/Oインタフェ
イス64を介して地図データを表示するためのCD−R
OM駆動装置65、PHSシステム用の交換局2へ接続
するための自動発呼装置66、必要に応じて自動発呼装
置66において発呼を行ない、移動局7の存在する基地
局6のデータを入手後直ちに回線を切断する回線切断ユ
ニット68が接続されている。回線切断ユニット68は
センター局用モデム13を介して上記したように交換局
2に接続されている。
【0012】なお、センター局91からキーボード11
を介して直接移動局7を指定する場合以外に、移動局7
の位置情報を問合せる加入者71からの回線もI/Oイ
ンタフェイス64を介して入力され、入力された加入者
が所定の正規の加入者であるか否かということは同じく
I/Oインタフェイス64に接続された加入者データベ
ース69を用いてチェックされる。
【0013】次に図19、20および21を参照して移
動局7の位置情報を探索するための信号を発信し、位置
情報を受けるための手順を以下に示す。まず、センター
局91においてキーボード11を操作して、パソコンま
たはワークステーション12を制御し、対象となる移動
局7のPHS電話番号をオートダイヤルする。すると、
図19に示すように、交換局2などを経由して移動局7
をそのセル8内に持つ基地局6を経て移動局7へ電話回
線が接続される。センター局91と移動局7との間に回
線接続がなされると、PHSのデータベースに当該基地
局6のコード番号が認識され記憶される。この認識、記
憶は一瞬のうちに行なわれるので、センター局91と移
動局7との回線は直ちに切断してよい。この基地局6の
位置情報は基地局6のコードまたは基地局6の緯度と経
度で表現され、PHSのデータベースから直ちにセンタ
ー局91にあるモデム13に送られ、パソコンまたはワ
ークステーション12に伝達される。
【0014】パソコンまたはワークステーション12で
は、内蔵のCD−ROM駆動装置65から予め地図情報
が送り出されており、それがディスプレイ61のスクリ
ーンに地図10として映し出されている。その地図10
上に、基地局6のコードまたは緯度、経度で表現された
位置情報を重ね合せれば、図20のように基地局6をマ
ーカー9で表示することができる。
【0015】前述のとおり、移動局7が基地局6のセル
8内に入り込むだけでデータベースに認識および記憶さ
れ、その情報がセンター局91に提供されることによ
り、移動局7が基地局6を中心とするほぼ半径100m
の円内に存在することが判明することになる。
【0016】さらに、上述の特開平9−172676号
公報では、このような位置決めシステムにおいて、移動
局7に、受信した信号に基づいて電界強度を測定する機
能を備えさせ、当該測定された電界強度と基地局6の送
信電力とから、基地局6と移動局7の距離を算出する技
術が開示されている。また、同公報では、移動局7に複
数の基地局6についての電界強度を測定させ、各基地局
6と移動局7との距離を算出することにより、より具体
的に移動局7の存在する位置を特定する技術が開示され
ている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の位置決
めシステムでは、移動局7の位置特定において、突発的
に、位置特定の結果に、大きな誤差を含むことがあっ
た。これは、移動局7が受信する基地局6からの信号に
基づいて測定される電界強度に、当該移動局7の近辺を
走行する車両等の影響から、突発的に誤差が含まれるに
も関わらず、当該測定された電界強度を、そのまま、移
動局7の位置特定に利用するからであったと考えられ
る。
【0018】本発明は、かかる実情に鑑み考え出された
ものであり、その目的は、より信頼度の高い位置決めシ
ステムを提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
かかる位置決めシステムは、複数の電波発生源につい
て、電波発生源ごとに、所定の回数ずつ電界強度を測定
する移動用端末機と、前記測定された電界強度の電波発
生源ごとの平均値を求め、前記平均値を大きいものから
所定個数だけ利用して、前記移動用端末機の位置特定を
行なう位置特定手段とを含むことを特徴とする。
【0020】請求項1に記載の発明によると、移動用端
末機により、電波発生源ごとに、所定の回数ずつ、電界
強度の測定が行なわれ、位置特定手段により、電波発生
源ごとに求められた電界強度の平均値のうち、大きい順
に所定個数の平均値が、移動用端末機の位置特定に利用
される。
【0021】これにより、移動用端末機の測定する電界
強度に突発的に誤差が含まれても、平均値が求められ、
その誤差が別の回に測定された電界強度によりカバーさ
れるため、より信頼度の高い位置決めシステムを提供す
ることができる。
【0022】請求項2に記載の発明にかかる位置決めシ
ステムは、複数の電波発生源について、電波発生源ごと
に、所定の回数ずつ電界強度を測定する移動用端末機
と、前記測定された電界強度の電波発生源ごとの平均値
と、電波発生源ごとに前記所定の回数の測定の中で電界
強度が得られた回数とを求め、前記電界強度の得られた
回数が多い順に所定個数の電波発生源についての前記平
均値を利用して、前記移動用端末機の位置特定を行なう
位置特定手段とを含むことを特徴とする。
【0023】請求項2に記載の発明によると、移動用端
末機により、電波発生源ごとに、所定の回数ずつ、電界
強度の測定が行なわれ、位置特定手段により、電波発生
源ごとに求められた電界強度の平均値のうち、移動用端
末機において電界強度の得られた回数の多い順に所定個
数の平均値が、移動用端末機の位置特定に利用される。
【0024】これにより、移動用端末機の測定する電界
強度に突発的に誤差が含まれても、平均値が求められ、
その誤差が別の回に測定された電界強度によりカバーさ
れ、さらに、より電界強度の測定された回数が多く移動
用端末機との位置的な相関が高いと考えられる電波発生
源についての電界強度が、優先的に移動用端末機の位置
特定に利用されるため、より信頼度の高い位置決めシス
テムを提供することができる。
【0025】請求項3に記載の発明にかかる位置決めシ
ステムは、請求項2に記載の発明にかかる位置決めシス
テムの構成に加えて、前記位置特定手段は、前記電界強
度の得られた回数が同じ場合は、より値の大きい前記平
均値を移動用端末機の位置特定に優先的に利用すること
を特徴とする。
【0026】請求項3に記載の発明によると、請求項2
に記載の発明による作用に加えて、位置特定手段によ
り、移動用端末機での所定回数の測定において、複数の
電波発生源について同じ回数だけ電界強度が得られた場
合、より電界強度の平均値の大きい電波発生源について
の平均値が、移動用端末機の位置特定に利用される。
【0027】これにより、請求項2に記載の発明による
効果に加えて、移動用端末機の位置特定に、より電波発
生源と相関の高い測定値を利用できるため、さらに信頼
度の高い位置決めシステムを提供することができる。
【0028】請求項4に記載の発明にかかる位置決めシ
ステムは、複数の電波発生源について、電界強度を測定
する移動用端末機と、前記測定された電界強度を利用し
て、前記移動用端末機の位置特定を行なう位置特定手段
とを含み、前記位置特定手段は、一様な電波伝播域にお
いて前記移動用端末機との距離が長くなるに従って前記
移動用端末機で測定される電界強度が高くなるような位
置にある電波発生源について測定された電界強度を除い
て、前記移動用端末機の位置特定を行なうことを特徴と
する。
【0029】請求項4に記載の発明によると、移動用端
末機との距離と移動用端末機で測定される電界強度との
関係が、一般の電波発生源と異なるような電波発生源に
ついて測定された電界強度は、移動用端末機の位置特定
に利用されなくなる。
【0030】これにより、たとえば、電波発生源が高層
ビルの屋上にある場合のように、移動用端末機が、電波
発生源の遠方にあるにも関わらず、近傍にあるように位
置特定されるような事態を回避することができる。した
がって、より信頼度が高い位置決めシステムを提供する
ことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面を参照して説明する。図1(A)はこの発明に係る位
置決めシステムを用いたセンター局1のブロック図であ
る。電子地図81aと基地局電界強度分布データベース
81bとが一体となった電界強度分布データベース81
を備える点が、従来のセンター局91(図21参照)と
異なる。基地局電界強度分布データベース81bのデー
タ内容を図1(B)に示す。図1(B)を参照して、基
地局電界強度分布データベースは、それぞれの基地局の
IDと、その位置を示す緯度経度情報と、後に説明する
その基地局周辺のメッシュごとの電界強度分布データと
を含む。それ以外の部分については従来と同様であるの
で、同一部分には同一符号を付してその説明は省略す
る。
【0032】移動用端末機(移動局7)は、複数の基地
局の識別情報IDと電界強度を検出し、センター局1に
その情報を送る。センター局1は、複数の基地局の識別
情報と電界強度から、予め求めておいた各基地局の電界
強度分布を用いて、各電界強度に対する移動用端末機の
存在し得る領域を求め、各領域の重なりから移動用端末
機の存在位置を検出する。
【0033】(1) 基地局周辺の電界強度分布の作成 次にセンター局1がどのように基地局6周辺の電界強度
分布を求めるかについて説明する。
【0034】図2は基地局6周辺の電界強度分布を求め
る場合のフローチャートである。図3〜図6は電界強度
分布を求めるステップを説明する図である。図2〜図6
を参照して、基地局6の電界強度分布の求め方について
説明する。
【0035】まず、図3に示すように、基地局6を中心
に、任意の大きさのメッシュを、電波伝播パターンの作
成のために必要な領域に定義する。ここで、このメッシ
ュは、後に電界強度分布を作成する際の単位となる。メ
ッシュの大きさとメッシュを定義する領域の大きさは、
精度とデータサイズの許容範囲内で定義する。
【0036】図3を参照して、基地局6を中心としてそ
の周囲にメッシュ101を形成する。そして、電子地図
81aを参照することにより、メッシュ101の形成さ
れた領域に具体的な電波の障害物となる建物の外形を建
物ポリゴン111として形成する(図2においてステッ
プS11、以下ステップを略す)。
【0037】次に区切られた各メッシュごとに、そのメ
ッシュの中心点が電子地図81a上の建物ポリゴン11
1内にある場合は電波伝播がないメッシュとする。ま
た、メッシュの中心点が建物ポリゴン111外にある場
合は、基地局6の中心点からメッシュの中心点を結ぶ線
分と建物ポリゴン111との交点を求める。交点がない
場合は電波伝播が良いメッシュAとし、交点がある場合
は電波伝播が悪いメッシュBとし、そして、中心点が建
物ポリゴン111内にあるものは電波伝播がないメッシ
ュCとする(図4参照)。ただし、図4においてBとし
て示す様に建物ポリゴン111との交点がある場合で
も、建物の高さが基地局6からメッシュの中心点までの
高さの変化より低い場合は、電波伝播が良いメッシュと
する(S12〜S15)。ここで建物の高さは電子地図
81a上の建物の階数情報等を使用して求める。この場
合の例を図5に示す。図5を参照して、たとえば基地局
6が建物112の上にある場合、基地局6とメッシュの
中心点115とを結ぶ高さの変化を示す直線116が、
メッシュの中心点115の直前にある建物117に交わ
らない場合は電波伝播の良いメッシュとなる。
【0038】次に、基地局の中心点と各メッシュの中心
点との距離をもとに、電界強度と電波伝播距離の関係式
を用いて、各メッシュの電界強度を求める(S16)。
各メッシュの電界強度を求めるには電界強度と電波伝播
距離の関係式を用いるが、当該関係式は、後述するよう
に、電波伝播の良否および基地局6の周辺の建物の状況
等を考慮して導き出されたものである。
【0039】次に、求められた各メッシュの電界強度に
基づいて基地局の電界強度分布を作成する(S17)。
この基地局の電界強度分布の一例を図6に示す。なお図
中の数字はdBμV/mの単位の電界強度を示し、ま
た、メッシュ内の太字は電波伝播の良いメッシュを、斜
体文字は電波伝播の悪いメッシュをそれぞれ示す。すべ
ての基地局について同様にして電界強度分布を求める。
そして、基地局6のIDを入力すれば、それによって検
索可能なデータベースを作成する。
【0040】なお、実際の移動局の位置特定を行なう場
合、各基地局について、移動局の測定する電界強度に基
づき、その移動局の存在する可能性のある領域が電波伝
播パターンとして示される。そして、CPU60は、指
定された基地局6の電界強度分布データベース81bか
ら検索し、任意の電界強度以上のメッシュの集合を任意
の電界強度における電波伝播パターンとすることができ
る。この例を、図7に示す。図中斜線を引いた部分が電
波伝播パターンとなる。ここでは、例として、電界強度
が20dBμV/mのときの電波伝播パターンを示す。
電界強度を所望の値に設定することによって、所望の強
度の電波伝播パターンが得られる。
【0041】次に、S16における各メッシュの電界強
度の求め方について説明する。まず、電波伝播の良いメ
ッシュについて、電界強度の求め方を説明する。
【0042】(2) 電波伝播の良いメッシュの電界強
度の求め方 電波伝播の良いメッシュとは、前述したように、図4に
おいて基地局6の中心点からメッシュの中心点を結ぶ線
分と建物ポリゴン111とに交点がないようなメッシュ
および図5において直線116が建物117に交わらな
いようなメッシュである。
【0043】移動局7がこのようなメッシュ内にある場
合には、基地局6の送信アンテナと受信アンテナである
移動局7のアンテナとが完全に「見通し」であるため、
両アンテナの間の空間は、周囲に何の障害物もない、い
わゆる自由空間にあるといえる。自由空間では、送信ア
ンテナから放射された電波は、図8に示すように球面状
に伝播する。
【0044】ここで、送信電力Pin[W]が送信アンテ
ナから放射された場合の、送信アンテナからの距離D
[m]の地点での、微小面積dS[m2 ]における受信
電力dPa[W]は、当該地点での電界強度をE[V/
m]とすると、式〈1〉で与えられる。なお、Z
0 [Ω]は、自由空間のインピーダンスである。
【0045】
【数1】
【0046】そして、この場合、dS[m2 ]の立体角
(dΩ[sr])を考えると、図8から、dS[m2
は、電波発生源を中心とした半径D[m]の球の表面の
一部分であると考えられる。したがって、dS[m2
とdΩ[sr]は、式〈2〉、および式〈2〉から導き
出される式〈3〉の関係にある。
【0047】
【数2】
【0048】そして、式〈1〉、〈3〉から、立体角あ
たりの受信電力(dPa/dΩ[W/sr])は式
〈4〉で与えられる。なお、πは円周率である。
【0049】
【数3】
【0050】式〈4〉の立体角あたりの受信電力は、立
体角あたりの放射電力とも考えられる。なお、立体角あ
たりの放射電力は、送信電力Pin[W]を4πで割った
ものに受信アンテナの利得Gを掛けたものと等しい。こ
のことから、式〈5〉が導かれる。
【0051】
【数4】
【0052】そして、式〈5〉に、Z0 =120π
[Ω]を代入すると、電界強度E[V/m]が、式
〈6〉により導かれる。
【0053】
【数5】
【0054】なお、式〈6〉における電界強度Eは、p
eak−to−peakの電界強度であるから、この実
効値Eeff [V/m]は、式〈7〉により導かれる。
【0055】
【数6】
【0056】上記の式〈7〉により、基地局6と距離D
[m]にある移動局7において測定されるべき電界強度
が導かれたように思われるが、本実施の形態では、測定
されるべき電界強度の算出に、さらに、基地局6から送
信された後、地面に反射して移動局7に届く場合の電波
の大地反射の影響を考慮している。
【0057】図9は、基地局6から放射された電波を、
移動局7のアンテナが、直接および大地に反射した後に
受信する状態を模式的に示す図である。なお、図9にお
いては、矢印は電波の流れを示し、両矢印は2点間の距
離を示す。また、図9では、r1 は基地局6から直接移
動局7のアンテナに届く電波の流れを、r2 は基地局6
から地面Qに届く電波の流れを、r3 はr2 の地面Qに
おける反射波の流れを、それぞれ示している。また、図
9では、基地局6のアンテナの高さをh1 [m]、移動
局7のアンテナの高さをh2 [m]、基地局6と移動局
7の地上距離をD[m]としている。また、基地局6の
アンテナの先端(T点)から水平に延びる線ra とr1
のなす角をθ1 、線ra とr2 のなす角をθ2 とする。
ここで、高さh2 は、通常、人が移動局7を通話等に使
用する状態での高さを意味する。
【0058】図9において、θ2 が0°に近い場合に
は、垂直偏波、水平偏波を問わず、反射波r3 について
の反射係数の絶対値は1に近く、位相角は180°に近
くなる。すなわち、θ2 が小さい場合には、r2 で示す
電波は、ほとんど全反射してr 3 となり、位相が反転す
ると考えられる。
【0059】したがって、θ2 が0°に近いと仮定する
と、図9におけるr3 は、基地局6のT点の地面Qに対
する鏡像点Xを仮に設けた場合、そこから放射される、
基地局6からの電波に対して位相角の180°進んだ電
波についての流れを示していると考えられる。以上のこ
とから、移動局7における電界強度は、直接波であるr
1 と反射波であるr3 による合成受信電界強度として考
える必要がある。そして、この合成受信電界強度E
a [V/m]は、式〈8〉により導かれる。
【0060】
【数7】
【0061】なお、式〈8〉では、r1 の長さをR
1 [m]、r2 とr3 を合わせた長さをR2 [m]、虚
数単位[(−1)1/2 ]をjとし、地面Qの反射係数を
以下のように表している。
【0062】
【数8】
【0063】また、式〈8〉において、kは、k=2π
/λにより定義されるもの(λ[m]は、基地局6から
放射される電波の波長)である。
【0064】ここで、h1 ,h2 ≪Dであれば、θ2
0°に近くなり、地面Qの反射係数は−1と近似でき
る。また、移動局7のアンテナの先端から水平に延びる
線rbとr1 のなす角をθ11、線rb とr3 のなす角を
θ22とすると、図9に示す状態では、次の式〈9〉〜
〈12〉の条件を満足すると考えられる。
【0065】
【数9】
【0066】式〈9〉〜〈12〉より、式〈8〉のEa
は、式〈13〉のように導くことができる。なお、式
〈13〉に含まれ、式〈14〉で定義されるFは、伝送
利得係数(path−gain−factor)とい
い、自由空間における電界強度に対してどれほど異なっ
ているかを表すものである。
【0067】
【数10】
【0068】ここで、R1 ,R2 をh1 ,h2 およびD
で表すために、ピタゴラスの定理から、図9を参照し
て、次の式〈15〉、〈16〉を導くことができる。
【0069】 R1 2 =D2 +(h1 −h2 2 …〈15〉 R2 2 =D2 +(h1 +h2 2 …〈16〉 そして、h1 ,h2 ≪dを考慮して、式〈15〉、〈1
6〉をR1 、R2 について解くと、R1 ,R2 はそれぞ
れ、以下の〈17〉−、〈17〉−のように近似値
として導かれる。
【0070】
【数11】
【0071】これにより、(R2 −R1 )は式〈18〉
によって導かれる。
【0072】
【数12】
【0073】式〈18〉を、式〈14〉に代入すると、
式〈19〉が導かれる。
【0074】
【数13】
【0075】ここで、新たな数、Lを式〈20〉に従っ
て定義すると、FはLと式〈19〉を用いて式〈21〉
のように表すことができる。
【0076】
【数14】
【0077】そして、大地反射を考慮した合成受信電界
強度Ea (μV/m)は、上述のE eff とFとを用い
て、Ea =Eeff ・Fとして求めることができる。つま
り、E a は、次の式〈22〉によって導くことができ
る。
【0078】
【数15】
【0079】そして、式〈22〉を整理すると、式〈2
3〉によってEa を導くことができる。
【0080】
【数16】
【0081】以上説明したように、本実施の形態では、
電波伝播の良いメッシュについて、式〈23〉に従う
と、基地局6と距離D[m]にある移動局7において測
定されるべき電界強度Ea [μV/m]が導かれる。な
お、Ea では、以上説明したように、移動局7が、基地
局6から直接受信する電波に加え、基地局6から放射さ
れてから地面に反射された後に受信する電波も考慮され
ている。
【0082】ここで、図10に、電波伝播の良い状態に
おいて移動局7によって測定された電界強度を、移動局
7と基地局6との距離D[m]に対してプロットした図
を示す。なお、図10のプロット図における実線は、上
記の式〈23〉を用いて算出された理論値である。ま
た、図10のプロット図の縦軸は、上述の電界強度(E
a )をdB表示している。つまり、図10における縦軸
の単位は、[dBμV/m]である。また、移動局7と
しては、PHSを使用している。
【0083】図10を参照して、本実施の形態に従って
得られた電界強度Ea は、実測値と近い値であると言え
る。つまり、本実施の形態の式〈23〉を用いると、実
測値に近い電界強度を算出することができる。
【0084】(3) 電波伝播の悪いメッシュの電界強
度の求め方 次に、電波伝播の悪いメッシュについて、電界強度の求
め方を説明する。なお、電波伝播の悪いメッシュとは、
前述したように、図4において、メッシュの中心点が建
物ポリゴン111内になく、基地局6の中心点からメッ
シュの中心点を結ぶ直線が建物ポリゴン111と交点が
あるようなメッシュである。なお、このようなメッシュ
であっても、図5を用いて説明したように、直線116
が建物117に交わらないようなメッシュは、電波伝播
の悪いメッシュではなく、電波伝播の良いメッシュとさ
れる。
【0085】移動局7が電波伝播の悪いメッシュ内にあ
る場合の例としては、移動局7が、市街地のビル街にあ
り、図11に示すように、基地局6から移動局7の電波
の進行方向において、移動局7の直前および直後に障害
物である建物150および建物160が存在する場合が
ある。ここで、基地局6から放射される電波の中で、移
動局7に向かうものを波r10とする。そして、移動局7
は、建物150の上端部で回折された波r10の回折波r
11と、波r10の回折波r12がさらに建物160の側端部
で反射された反射波r13の合成波を受信することにな
る。以下、この合成波の電界強度について説明する。
【0086】まず、合成波の電界強度Eb [μV/m]
は、回折波r11と反射波r13のそれぞれの電界強度Ed
[μV/m]とEr [μV/m]を用いて、次の式〈2
4〉で与えられる。
【0087】
【数17】
【0088】そして、Ed およびEr は、回折波r11
ついての変数vd と反射波r13についての変数vr を式
〈25〉、〈26〉のように定義すると、それぞれ式
〈27〉、〈28〉によって導くことができる。なお、
eff とは、上述の式〈7〉により導かれた電界強度の
実効値である。また、式〈25〉〜〈28〉において、
2 [m]は移動局7のアンテナの高さ、h3 [m]は
建物150の高さ、θ3[°]は波r10の建物150へ
の入射角、D1 [m]は基地局6から建物150の移動
局7に対向する側の端部までの距離、D2 [m]は波r
10の進行方向に対する建物150と建物160の距離つ
まり移動局7が存在する道の幅であり、D 3 [m]は波
10の進行方向に対する建物150から移動局7までの
距離、Lrは建物160についての回折波r12と反射波
13の振幅比による反射損失である。なお、式〈2
5〉、〈26〉は、それぞれ、式〈29〉、〈30〉の
条件に基づき、かつ、建物160の移動局7に対向する
面についての移動局7の鏡像体700を仮に設けること
により導かれている。
【0089】
【数18】
【0090】そして、さらに式〈27〉、〈28〉は、
それぞれ式〈31〉、〈32〉のような近似方程式に変
形することができる。
【0091】
【数19】
【0092】そして、式〈31〉、〈32〉を式〈2
4〉に代入することにより、式〈33〉に示すようにE
b を導くことができる。
【0093】
【数20】
【0094】つまり、式〈33〉を整理すると、式〈3
4〉が導かれ、Eb は式〈34〉により得ることができ
る。
【0095】
【数21】
【0096】図12に、図11を用いて説明したような
電波伝播の悪い状態において移動局7によって測定され
た電界強度を、移動局7と基地局6との距離D[m]に
対してプロットした図を示す。なお、図12における距
離Dとは、図11の(D1 +D3 )に対応する。また、
図12のプロット図における実線は、上記の式〈34〉
を用いて算出された理論値である。また、図12のプロ
ット図の縦軸は、上述の電界強度(Eb )をdB表示し
ている。また、移動局7としては、PHSを使用してい
る。
【0097】図12を参照して、本実施の形態に従って
得られた電界強度Eb は、実測値と近い値であると言え
る。つまり、本実施の形態の式〈34〉を用いると、実
測値に近い電界強度を算出することができる。
【0098】(4) 電波伝播パターンの重なりによる
移動局の位置特定 本実施の形態では、移動局において、複数の基地局につ
いての電界強度を測定し、測定された電界強度と各基地
局についての電界強度分布とから、各基地局についての
電波伝播パターンを作成する。そして、複数の基地局の
電波伝播パターンの重なりを、移動局の存在位置とす
る。
【0099】移動局において測定された電界強度から、
複数の基地局において電波伝播パターンを作成し、その
重なりを求める例を、図13〜図16を用いて説明す
る。図13〜図15は、それぞれ基地局6A〜6Cにつ
いて、電界強度が移動局で測定された値以上のメッシュ
を示す図、つまり、移動局で測定された値についての電
波伝播パターンである。そして、図16は、図13〜図
15の電波伝播パターンの重なりを示す図である。本実
施の形態では、移動局7が、基地局6A〜6Cのような
複数の基地局についての電界強度を測定することによ
り、図16に示すような当該複数の基地局の電波伝播パ
ターンの重なりを求め、この重なり部分を移動局の存在
位置として特定する。
【0100】(5) 電界強度の測定値の抽出方法 従来の位置決めシステムでは、移動局7において測定さ
れた、複数の基地局6についての電界強度の測定値を、
そのまま、移動局7の位置特定に用いていた。このよう
な場合、移動局7の近辺を走行する車両等によって移動
局7の測定値に大きな誤差が含まれることがあっても、
その誤差の含まれた測定値がそのまま用いられていたの
で、移動局7の位置特定においても大きな誤差が含まれ
ることがあった。
【0101】本実施の形態では、電界強度の測定値には
誤差が含まれることがあるということを前提にして、移
動局7の位置特定において、測定値をそのまま利用しな
いようにしている。具体的には、移動局7に、複数の基
地局6についての電界強度を複数回ずつ測定させ、そし
て、基地局6ごとに、測定値の平均値を算出し、その平
均値を位置特定に利用している。以下に、本実施の形態
における、電界強度の測定値の抽出方法について説明す
る。
【0102】まず、移動局7において複数の基地局6の
電界強度を複数回ずつ測定させることについて説明す
る。図17に、1台の移動局7が複数の基地局6に対し
て信号を送受信する際のタイミングチャートを示す。図
17を参照して、移動局は、基地局Aに対し送信信号9
01aを送信し、基地局Aから受信信号901bを受信
している。送信信号901aには、送信先である基地局
Aについての識別信号を含む通信制御にかかる部分と、
移動局が送り出す音声等の通話にかかる部分が含まれ
る。また、受信信号901bには、受信先である移動局
についての識別信号を含む通信制御にかかる部分と、移
動局に届けられる音声等の通話にかかる部分が含まれ
る。送信信号901aと受信信号901bの送受信に
は、あわせて5ミリ秒の時間が必要とされる。また、一
般に、移動局を用いて違和感なく会話を行なうには、移
動局は、1つの基地局と、おおよそ100ミリ秒ごと
に、信号の送受信を行なう必要がある。したがって、移
動局は、最大20個の基地局と、連続して、信号の送受
信を行なうことができる。
【0103】この場合、移動局は、100ミリ秒ごと
に、送信信号901a〜920aの送信および受信信号
901b〜920bの受信を、移動局A〜移動局Tの順
に行なう。なお、移動局が測定した各基地局の電界強度
は、送信信号901a〜920a内の通信制御にかかる
部分に含まれ、各基地局に送られる。そして、各基地局
は、移動局から送られてきた、当該移動局において測定
された当該基地局の電界強度を、当該移動局および当該
基地局を特定する情報とともに中央制御局51に送信す
る。
【0104】次に、具体的な測定値を示しながら、本実
施の形態における、電界強度の測定値の抽出方法につい
て説明する。
【0105】表1に、中央制御局51に送信されてく
る、移動局7が測定した、複数の基地局(基地局A〜基
地局K)についての電界強度の測定値の一例を示す。表
1は、移動局が、基地局A〜基地局Kの11個の基地局
について、順に、7回ずつの電界強度の測定を行なった
際の測定値である。つまり、各移動局は、100ミリ秒
ごとに、7回、各基地局の電界強度の測定値を送信した
ことになる。なお、表中に「−」とあるのは、移動局7
が、その時点では、当該基地局の電界強度を測定できな
かったことを意味している。また、表1には、各基地局
ごとに、7回の測定の中で電界強度の測定値が実際に得
られた回数(頻度)と、7回の測定における電界強度の
平均値と、7回の測定における電界強度の最大値を、あ
わせて示している。
【0106】
【表1】
【0107】表1を参照して、7回の電界強度の測定に
おいて、移動局は、基地局A〜基地局Kのすべてについ
て7回とも電界強度の測定値を得られた訳ではなかっ
た。しかし、7回の測定は、700ミリ秒内に行なわれ
ているため、このような測定における不安定さは、移動
局の位置の変化によるものとは考え難い。したがって、
表1に示すように、電界強度が測定できたりできなかっ
たりすることは、単なる移動局における測定の不正確さ
が原因となっていると考えられる。このような状況下で
は、移動局が測定するごとに、そのすべての測定値を、
移動局の位置特定に直接利用すると、位置特定を行なう
ごとに、その結果は、著しく異なり、位置決めシステム
の信頼度が低くなる。
【0108】一方、本実施の形態では、表1のように、
複数回測定した電界強度の平均値を算出し、その値の大
きい順等の条件によって、所定個数の基地局についての
平均値を、移動局の位置特定に利用する。つまり、本実
施の形態では、電界強度の測定値のすべてを、直接、移
動局の位置特定に利用するのではなく、所定の条件(平
均値の大きさ)で、その中から所定個数の基地局につい
ての平均値を選別し、その基地局についての測定値の平
均値を、移動局の位置特定に利用する。以下に、位置特
定に利用する測定値の抽出について、より具体的に説明
する。表2に、表1の各基地局を、電界強度の測定値に
ついて、平均値順、最大値順、測定できた頻度が
高い順であり頻度が同じ場合には平均値の大きい順、
測定できた頻度が高い順であり頻度が同じ場合には最大
値の大きい順に、順位の決定に用いられた平均値または
最大値とともに示している。そして、本実施の形態の位
置決めシステムでは、表2の、、のいずれかの順
に従って並べられた基地局についての電界強度の測定値
の平均値または最大値を、上位から順に所定個数だけ抽
出して、移動局の位置特定に利用している。すなわち、
本実施の形態では、少なくとも、測定値の平均値か頻度
を基準として、基地局を並べ、上位から順に所定個数の
基地局の平均値または最大値を抽出して、移動局の位置
特定に利用している。したがって、表2において、、
、の各順序で測定値の平均値または最大値を並べる
ことは、本実施の形態の実施例となり、の順序で測定
値の最大値を並べることは、前述の実施例に対する比較
例となる。なお、この場合の「所定個数」とは、たとえ
ば、3、5、または7とすることができるが、システム
における処理能力に応じて、適宜変更することができ
る。
【0109】
【表2】
【0110】表2ののように基地局についての平均値
の大きい順に所定個数の測定値を利用することにより、
突発的に測定値に誤差が含まれた場合にも、他の回の測
定値によりその誤差をカバーすることができる。このよ
うな態様で測定値を利用することによって、位置決めシ
ステムの信頼度を向上することができる。
【0111】表2のまたはのように電界強度の測定
が可能であった頻度の高い順に測定値の平均値または最
大値を利用することにより、或る基地局について、突発
的に、つまり少ない回数だけ、高い電界強度が測定され
た場合でも、当該基地局についての測定値は、移動局の
位置特定には利用されなくなる。このような態様で測定
値が利用されることによっても、位置決めシステムの信
頼度を向上することができる。
【0112】表3に、実際に、位置決めシステムにおい
て、移動局の位置特定を行なった場合の結果を示す。表
3において「実施例」とあるのは、本実施の形態に従っ
た測定値の利用態様で位置特定を行なった場合を示し、
具体的には、上記の表2ののように電界強度の測定が
可能であった頻度の高い順に、そして、頻度が同一であ
る場合には平均値が大きい順に、所定個数の基地局の電
界強度の測定値を利用した場合を示している。一方、表
3において「比較例」とあるのは、上記の表2ののよ
うに、測定値の最大値を大きい順に所定個数の基地局分
だけ利用して、移動局の位置特定を行なった場合を示し
ている。
【0113】また、表3の結果は、移動局の位置特定が
100回行なわれた際の結果である。そして、表3にお
いて「平均誤差」とは、位置決めシステムによって特定
された移動局の位置と、実際の移動局の位置との差(距
離)の100回の特定結果の平均である。また、「10
0m以下の割合」とは、特定された位置と実際の位置の
差が100m以内であった割合である。そして、「最大
誤差」とは、特定された位置と実際の位置の差の最大値
である。また、「利用局数」とは、位置特定において測
定値の平均値または最大値を利用した基地局の数であ
る。これは、前述の基地局についての「所定個数」に相
当するものである。
【0114】
【表3】
【0115】表3を参照して、実施例および比較例のい
ずれの場合であっても、利用局数が増加するに従って、
平均誤差および最大誤差の距離が短くなり、誤差が10
0m以下となる確率が高くなる傾向にある。そして、実
施例と比較例を比べると、実施例においては、利用局数
がいずれの場合であっても、平均誤差および最大誤差の
距離は比較例におけるそれらよりも短く、誤差が100
m以下となる確率も高くなっている。これにより、本実
施の形態に従って移動局の位置特定を行なうと、位置決
めシステムの信頼度が向上することが分かった。
【0116】なお、移動局が基地局の電界強度を測定す
る際に誤差を含む態様には、基地局自体の性質に起因す
るものもある。たとえば、基地局が、ビルの屋上等の、
極端に高い位置にある場合である。つまり、移動局にお
いて測定される電界強度は、基本的には、移動局が電波
伝播の良い場所にあっても、悪い場所にあっても、電波
伝播の特性が一様な領域では、基地局からの距離ととも
に低くなる傾向にある。これは、前述の式〈23〉、式
〈34〉からも理解されることである。しかし、基地局
がたとえば前述のように極端に高い位置にあると、電波
伝播が一様な領域であっても、図18に示すように移動
局と基地局の間の距離Dxが長くなるほど移動局で測定
される電界強度Exが高くなる領域(図中の領域x)が
発生する場合がある。
【0117】このような基地局は、PHS等の移動局
を、通常の通話目的で利用する場合には問題がないが、
移動局の測定した電界強度でその位置特定を行なうため
に利用する場合には問題がある。
【0118】そこで、本実施の形態に従った位置決めシ
ステムにおいては、所定の高さ以上の場所等、電波伝播
が一様な領域であっても移動局と基地局の間の距離が長
くなるほど移動局で測定される電界強度が高くなるよう
に基地局が設けられている場合には、移動局が測定した
当該基地局についての電界強度の測定値を除いて、移動
局の位置特定が行なわれるように構成されることが好ま
しい。
【0119】なお、前述の電波伝播の一様な領域とは、
移動局との距離が長くなるにつれて移動局で測定される
電界強度が低くなるような領域であり、たとえば、高層
ビル等の電波伝播の障害となるものが無いような領域で
ある。
【0120】また、上述の、電波伝播が一様な領域であ
っても移動局と基地局の間の距離が長くなるほど移動局
で測定される電界強度が高くなるように設けられた基地
局とは、所定の高さ以上の場所に設けられた基地局に限
定されるものではない。たとえば、地下に設けられた基
地局や周辺に電波伝播の障害となるものが存在する基地
局等もこれに該当すると考えられる。
【0121】(6) 電界強度の測定値の抽出方法の変
形例 以上説明した本実施の形態においては、移動局の測定し
た電界強度について、表1に示した頻度、平均値、最大
値を算出する際に、表1に示した各基地局についてのす
べての測定値を利用したが、本実施の形態は、これに限
定されるものではない。たとえば、各基地局について電
界強度の測定を行なった場合、頻度、平均値、最大値の
算出に用いるのは、各回の測定において電界強度の大き
い順に所定の局数、たとえば3局の基地局についてのみ
に限ることもできる。表1の測定結果を、このような測
定値の抽出方法のために処理した結果を表4に示す。な
お、ここでは、各回の測定において上位3局に入らなか
った基地局については、すべて、その測定値が得られな
かったものとして、測定値の欄に「−」を示している。
【0122】
【表4】
【0123】表4を参照して、基地局A〜基地局Kにつ
いての7回の測定結果において、各回、3局ずつの電界
強度のみが示されている。このように、予め各回の測定
について有効な基地局数を限定することにより、当該移
動局に電界強度を測定されるべき特性の強い基地局の測
定値のみを利用することができる。これにより、さら
に、誤差を含む電界強度の測定値を、移動局の位置特定
から排除することができ、より、位置決めシステムの信
頼度を高めることができる。
【0124】今回開示された実施の形態は、すべての点
で例示であって制限的なものではないと考えられるべき
である。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許
請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意
味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、この発明に係る位置決めシステムの
センター局の構成を示すブロック図であり、(B)は、
基地局電界強度分布データベースのデータ内容を示す図
である。
【図2】基地局を中心とした電界強度分布を作成する手
順を示すフローチャートである。
【図3】基地局を中心としたメッシュを示す概念図であ
る。
【図4】電波伝播の良いメッシュと悪いメッシュとない
メッシュとを示す模式図である。
【図5】建物の高さ方向を考慮したメッシュの判定方法
を示す図である。
【図6】基地局の電界強度分布を示す図である。
【図7】図6の電界強度分布において電界強度が20d
BμV/mのときの電波伝播パターンを示す図である。
【図8】送信アンテナから放射された電波が、自由空間
において伝播する状態を示す図である。
【図9】基地局から放射された電波を、移動局のアンテ
ナが、直接および大地に反射した後に受信する状態を模
式的に示す図である。
【図10】電波伝播の良い状態における電界強度の測定
値を、本実施の形態に従った理論値とともに示す図であ
る。
【図11】移動局が電波伝播の悪いメッシュ内にある場
合の移動局周辺の模式図である。
【図12】電波伝播の悪い状態における電界強度の測定
値を、本実施の形態に従った理論値とともに示す図であ
る。
【図13】電界強度分布を用いた位置特定の具体例を示
す図である。
【図14】電界強度分布を用いた位置特定の具体例を示
す図である。
【図15】電界強度分布を用いた位置特定の具体例を示
す図である。
【図16】電界強度分布を用いた位置特定の具体例を示
す図である。
【図17】1台の移動局が複数の基地局に対して信号を
送受信する際のタイミングチャートである。
【図18】基地局が極端に高い場所に設けられている場
合に移動局で測定される電界強度を、基地局と移動局の
距離に対して示す図である。
【図19】移動用端末機の位置決めシステムの全体構成
を示すブロック図である。
【図20】センター局の構成を示す図である。
【図21】センター局の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 センター局 2,4 交換局 3,5 幹線 6 基地局 7 移動局 81 電界強度分布データベース 81a 電子地図 81b 基地局電界強度分布データベース 101 電界強度分布のメッシュ 111 建物ポリゴン

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の電波発生源について、電波発生源
    ごとに、所定の回数ずつ電界強度を測定する移動用端末
    機と、 前記測定された電界強度の電波発生源ごとの平均値を求
    め、前記平均値を大きいものから所定個数だけ利用し
    て、前記移動用端末機の位置特定を行なう位置特定手段
    とを含む、位置決めシステム。
  2. 【請求項2】 複数の電波発生源について、電波発生源
    ごとに、所定の回数ずつ電界強度を測定する移動用端末
    機と、 前記測定された電界強度の電波発生源ごとの平均値と、
    電波発生源ごとに前記所定の回数の測定の中で電界強度
    が得られた回数とを求め、前記電界強度の得られた回数
    が多い順に所定個数の電波発生源についての前記平均値
    を利用して、前記移動用端末機の位置特定を行なう位置
    特定手段とを含む、位置決めシステム。
  3. 【請求項3】 前記位置特定手段は、前記電界強度の得
    られた回数が同じ場合は、より値の大きい前記平均値を
    移動用端末機の位置特定に優先的に利用する、請求項2
    に記載の位置決めシステム。
  4. 【請求項4】 複数の電波発生源について、電界強度を
    測定する移動用端末機と、 前記測定された電界強度を利用して、前記移動用端末機
    の位置特定を行なう位置特定手段とを含み、 前記位置特定手段は、一様な電波伝播域において前記移
    動用端末機との距離が長くなるに従って前記移動用端末
    機で測定される電界強度が高くなるような位置にある電
    波発生源について測定された電界強度を除いて、前記移
    動用端末機の位置特定を行なう、位置決めシステム。
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