JPH11297125A - 架橋ポリオレフィン絶縁体と組成物 - Google Patents

架橋ポリオレフィン絶縁体と組成物

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JPH11297125A
JPH11297125A JP10153498A JP10153498A JPH11297125A JP H11297125 A JPH11297125 A JP H11297125A JP 10153498 A JP10153498 A JP 10153498A JP 10153498 A JP10153498 A JP 10153498A JP H11297125 A JPH11297125 A JP H11297125A
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JP
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insulator
polyolefin
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cross
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JP10153498A
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Shiyouichiro Nakamura
詳一郎 中村
Toshiaki Mabuchi
利明 馬淵
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Fujikura Ltd
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Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機過酸化物系架橋剤で架橋されたポリオレ
フィン絶縁体における加熱時の水の発生が抑制され、電
気絶縁性の低下や水トリーの発生が防止された架橋ポリ
オレフィン絶縁体を得る。 【解決手段】 ポリオレフィンと有機過酸化物系架橋剤
と分子鎖の末端に少なくとも1個のアミノ基を有するア
ミノシラン化合物とを含み、前記のアミノシラン化合物
が、ポリオレフィン100重量部当り0.005重量部
ないし1.0重量部の範囲内で含まれている架橋性ポリ
オレフィン組成物を架橋する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架橋ポリオレフィ
ン絶縁電力ケーブルに用いられる架橋ポリオレフィン絶
縁体とその組成物に関するものであり、特に有機過酸化
物系架橋剤の分解残渣に起因する水の発生が抑制され、
加熱による電気絶縁性の低下や水トリーの発生が防止さ
れた電力ケーブル用の架橋ポリオレフィン絶縁体とその
製造に用いられる組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】最近は、架橋性ポリエチレンを絶縁体と
して用いる電力ケーブルが架橋ポリエチレン絶縁電力ケ
ーブルまたはCVケーブルと呼ばれ多く用いられてい
る。この絶縁体の架橋には普通、有機過酸化物系架橋剤
であるジクミルパーオキサイド(以下、「DCP」とい
う)が用いられる。このDCPで架橋された従来のポリ
エチレン絶縁体は、電力ケーブルの布設作業中の加熱や
実使用中の通電によるヒートサイクルなどによって絶縁
体内部に水が発生し、電気絶縁性が低下したり、いわゆ
る水トリーの生成を誘発するなどの不具合が生じること
が指摘されている(例えば特開平4−243306号公
報参照)。
【0003】この水は、絶縁体中でDCPが分解して生
成するものであることがわかっている。すなわち、架橋
に際してDCPは分解して、アセトフェノン、メタン、
クミルアルコールなどを生成する(一次分解反応)。こ
こに生成したクミルアルコールは、電力ケーブル製造後
も架橋性ポリエチレン絶縁体中に残留し、電力ケーブル
が加熱されると、式(I)に示す脱水反応を起こし、α
−メチルスチレンと共に水を生成する。以下、式(I)
に示す反応を二次分解反応という。
【0004】
【化1】
【0005】実際に、架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブ
ルは、製造時にも布設時にも、また実使用中にも加熱さ
れる機会が多い。例えば製造過程では生成するメタンを
除去するために加熱乾燥が行われる。また架線または布
設に際しては、接続や端末処理に当たってケーブルをリ
ールから巻き戻した後に癖取りと称して加熱によるアニ
ーリングが行われたり、またケーブルを接続する際に
は、露出した導体接続部に樹脂コンパウンドを被覆して
加熱硬化する、いわゆるインジェクションモールドジョ
イントなどの方法が行われる。更に、架線・布設後の実
使用中にも通電による導体の発熱によって絶縁体が加熱
される。これらのいずれの機会にも絶縁体中に水が発生
する可能性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この絶縁体中の水の発
生を防止する方法として、例えば、特開平4−3427
31号公報は、クミルアルコールの二次分解反応(I)
が抑制される75℃以下の温度に加熱して、予め絶縁体
中の水分含有量を低減し、あらためて85〜95℃に加
熱する方法を提案している。また、特開平4−3550
13は、架橋した絶縁体を加熱乾燥することによって、
水生成の原因物質であるDCPの分解残渣を揮散除去す
る方法を提案している。しかしこれらの方法は加熱乾燥
にきわめて長時間を要するので実用的でない。
【0007】加熱乾燥以外の方法としては、絶縁体中に
例えば脂肪酸アミド、イソシアン酸エステル、または脂
肪族アミンを老化防止剤として添加し、前記の二次分解
反応(I)を抑制する方法が提案されている(それぞれ
特開昭64−59704号公報、特開昭63−2897
15号公報、特開平1−101337号公報)。しか
し、これらの老化防止剤は、ブルーミングなどによって
比較的短期間に失効する場合もあり、またこれらを多量
に使用することは絶縁性能にも好ましくない影響を及ぼ
す。
【0008】本発明者らは先に、前記の問題について研
究の結果、クミルアルコールの熱分解には絶縁体中の酸
素濃度が関与していることを見いだし、絶縁体中の酸素
濃度を0.5容量%以下とした架橋性ポリエチレン絶縁
ケーブルを提案した(特願平5−291048号)。こ
のケーブルは、加熱による水の発生が良好に抑制される
ものではあるが、ケーブル布設後の実使用の期間中も長
期にわたって絶縁体中の酸素濃度を0.5容量%以下に
維持するために継続的な保守が必要であった。本発明は
前記の問題を解決するためになされたものであり、従っ
てその目的は、特別な保守を要せずに製造時から架線・
布設後の実使用中にも、長期にわたって水の発生が抑制
される電力ケーブル用の架橋ポリオレフィン絶縁体およ
びこれを製造するための組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、ポリオレ
フィンと有機過酸化物系架橋剤と分子鎖の末端に少なく
とも1個のアミノ基を有するアミノシラン化合物とを含
み、前記のアミノシラン化合物が、ポリオレフィン10
0重量部当り0.005重量部ないし1.0重量部の範
囲内で含まれた架橋性ポリオレフィン組成物を提供する
ことによって解決できる。以下、本発明の架橋性ポリオ
レフィン組成物を単に「本組成物」という。本組成物に
おいて、ポリオレフィンはポリエチレンであり、有機過
酸化物系架橋剤はDCPであることが好ましい。更に本
発明は、前記の本組成物を架橋して製せられた架橋ポリ
オレフィン絶縁体を提供する。以下、本発明の架橋ポリ
オレフィン絶縁体を単に「本絶縁体」という。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例により説明する。 (実施例1)ポリオレフィン100重量部と、有機過酸
化物系架橋剤2重量部と、酸化防止剤0.3重量部と、
アミノシラン化合物0.005重量部とを合わせて熱ロ
ール上で混練し、シート状に成形し、このシートをペレ
タイザーを用いてペレット化し、実施例1の本組成物を
製造した。次に前記のペレットを、200℃の熱プレス
中で熱圧を加えることによって、厚さ5mmのシート状
に成形するとともに架橋し、本絶縁体の試料を製造し
た。
【0011】前記の組成物において:ポリオレフィンと
しては、比重が0.92g/cm3 の低密度ポリエチレ
ン(LDPE)を用いた。有機過酸化物系架橋剤として
は、DCPを用いた。酸化防止剤としては、4,4’−
チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)を
用いた。またアミノシラン化合物としては、N−(2−
アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン(以下、「化合物A」という)を用いた。この化
合物Aは、分子鎖の末端に1個のアミノ基を有するアミ
ノシラン化合物である。
【0012】得られた本組成物のペレットと本絶縁体の
シート状試料について、下記の試験方法で試験したとこ
ろ、本組成物のペレットについては、長時間加温状態に
保持してもアミノシラン化合物のブルーミングが認めら
れなかった。また本絶縁体のシート状試料については、
180℃に2時間加熱した後にも水分の発生が僅少であ
り、化合物Aを含まない比較例の架橋絶縁体試料に比
べ、著しい改善が認められた。
【0013】前記の試験方法を以下に記す。 ブルーミング試験: 組成物のペレットを60℃のエア
・オーブン中に14日間保持し、取り出したペレットの
表面を溶剤で洗浄し、この洗浄液をフーリエ変換赤外分
光法で分析し、ペレットの表面にブルームしたアミノシ
ラン化合物の有無を判定した。 加熱後水分量試験: 架橋絶縁体のシート状試料をアル
ミニウム箔で包装し、180℃のエア・オーブン中に2
時間保持し、加熱後の架橋絶縁体試料に含まれる水分を
カールフィッシャー法により測定した。
【0014】(実施例2〜実施例4)実施例1と同様に
して、ただし化合物Aの添加量をLDPE100重量部
当たり0.1重量部〜1.0重量部の範囲内で変化させ
て本組成物および本絶縁体試料を製造した。各実施例に
おける化合物Aの添加量(LDPE100重量部当た
り)は、次の通りとした。 実施例2:0.1重量部 実施例3:0.5重量部 実施例4:1.0重量部
【0015】(実施例5)実施例1と同様にして、ただ
し化合物Aの代わりに、アミノシラン化合物として、3
−アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、「化合物
B」という)1.0重量部を用いて本組成物および本絶
縁体試料を製造した。
【0016】(比較例1)実施例1と同様にして、ただ
しアミノシラン化合物を添加せずに組成物および架橋絶
縁体試料を製造した。
【0017】実施例2〜実施例5、および比較例1の組
成物と架橋絶縁体試料について、実施例1の場合と同様
にしてブルーミング試験と加熱後水分量試験とを行い、
各組成物におけるブルーミング性および各絶縁体試料に
おける加熱後水分量を測定した。これらの結果を、実施
例1の結果とともに表1に示す。なお、いずれの絶縁体
試料においても、加熱前の含水量は、30ppm〜50
ppmの範囲内であった。
【0018】
【表1】
【0019】表1に示す結果から、実施例1〜実施例5
の絶縁体試料は、添加したアミノシラン化合物が化合物
A、化合物Bのいずれであっても、その添加量が0.0
05重量部〜1.0重量部の範囲内で、いずれもアミノ
シラン化合物を含まない比較例1の絶縁体試料より加熱
後水分量が大幅に抑制されていることがわかる。一般
に、絶縁体中の含水量は、約200ppm以下であれば
電気絶縁性の低下や水トリーの生成が実質的に起こらな
いことがわかっている。この観点から、前記実施例1〜
実施例5の絶縁体はいずれも、電力ケーブルの絶縁体と
して好適に使用できるものであることがわかる。また、
添加量が0.005重量部〜1.0重量部の範囲内で
は、アミノシラン化合物のブルーミングも起こらないの
で、効果を長期にわたって持続させることができる。
【0020】本組成物に用いることのできるアミノシラ
ン化合物は、分子鎖の末端に少なくとも1個のアミノ基
(−NH2 )を有するケイ素含有有機化合物であり、そ
の例としては、例えば下記の化合物を挙げることができ
る。 化合物A: N−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
ロピル(メチル)ジメトキシシラン H2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Si(CH3
(OCH32 化合物B: 3−アミノプロピルトリエトキシシラン H2NCH2CH2CH2Si(OC253 化合物C: N−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン H2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH33 化合物D: 3−アミノプロピル(メチル)ジエトキシ
シラン H2NCH2CH2CH2Si(CH3)(OC252 化合物E: 3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン H2N−CO−NHCH2CH2CH2Si(OC253 化合物F: 3−アミノプロピルトリス(2−メトキシ
−エトキシ−エトキシ)シラン H2NCH2CH2CH2Si(OC24OC24OC
33
【0021】本組成物におけるアミノシラン化合物の添
加量は、ポリオレフィン100重量部当り0.005重
量部ないし1.0重量部の範囲内とされる。0.005
重量部未満では絶縁体の加熱後水分量を低減する効果が
不十分であり、1.0重量部を越えるとブルーミングの
可能性が増大する。
【0022】本発明に用いるアミノシラン化合物が架橋
絶縁体の加熱後水分量を低減する理由については明かで
ないが、アミノシラン化合物は、有機過酸化物で架橋し
たポリオレフィン絶縁体を加熱した時に起こる前記の式
(I)に従う二次分解反応を抑制するものと考えられ
る。
【0023】本発明の組成物におけるポリオレフィンお
よび有機過酸化物系架橋剤は、それぞれポリエチレンお
よびDCPに限定されるものではない。これらは、一般
に電気絶縁体の分野で使用されるいずれのものであって
もよい。また、本発明の組成物および絶縁体は、ポリオ
レフィンと有機過酸化物系架橋剤と前記のアミノシラン
化合物に加えて、従来から知られている酸化防止剤、老
化防止剤、充填材、着色材などを含んでいてもよい。
【0024】
【発明の効果】本発明の架橋性ポリオレフィン組成物
は、ポリオレフィン及び有機過酸化物系架橋剤に加えて
分子鎖末端に少なくとも1個のアミノ基を有するアミノ
シラン化合物を所定範囲の割合で含むものであるので、
これを架橋して製せられた架橋ポリオレフィン絶縁体
は、加熱時の水の生成が抑制され、実質的に電気絶縁性
の低下や水トリーの発生が防止され、電力ケーブル用の
絶縁体としてきわめて有用なものとなる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィンと有機過酸化物系架橋剤
    と分子鎖の末端に少なくとも1個のアミノ基を有するア
    ミノシラン化合物とを含み、前記のアミノシラン化合物
    が、ポリオレフィン100重量部当り0.005重量部
    ないし1.0重量部の範囲内で含まれた架橋性ポリオレ
    フィン組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の架橋性ポリオレフィン
    組成物を架橋して製せられた架橋ポリオレフィン絶縁
    体。
JP10153498A 1998-04-13 1998-04-13 架橋ポリオレフィン絶縁体と組成物 Withdrawn JPH11297125A (ja)

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