JPH1129526A - アクリル酸エステル化合物およびその用途 - Google Patents

アクリル酸エステル化合物およびその用途

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JPH1129526A
JPH1129526A JP18244997A JP18244997A JPH1129526A JP H1129526 A JPH1129526 A JP H1129526A JP 18244997 A JP18244997 A JP 18244997A JP 18244997 A JP18244997 A JP 18244997A JP H1129526 A JPH1129526 A JP H1129526A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 一般式(1)で表されるアクリル酸エス
テル化合物、該アクリル酸エステル化合物を重合して得
られるポリマーおよび該ポリマーからなる光学部品。 (式中、R1 はアルキル基、アルケニル基またはアラル
キル基を表し、R2 は置換基を有していてもよい直鎖、
分岐または環状のアルキル基、置換基を有していてもよ
い直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、ニトロ基ある
いはハロゲン原子を表し、R3 およびR4 はそれぞれ独
立に水素原子またはメチル基を表し、mは0〜3の整数
を表し、nは0〜20の整数を表す) 【効果】 透明性、耐熱性等が良好で、且つ、低複屈折
性を有し、光学部品用として有用であるポリマーを提供
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル酸エステ
ル化合物、該化合物を重合して得られるポリマー、なら
びに、該ポリマーからなる光学部品に関する。本発明の
光学部品は、透明性、機械強度、耐熱性が良好であり、
且つ、低複屈折性を有しており、光ディスク基盤、ピッ
クアップレンズ、液晶セル用プラスチック基盤、プリズ
ム等として有用である。
【0002】
【従来の技術】無機ガラスは、透明性に優れ、光学異方
性が小さいなどの諸物性に優れていることから、透明性
材料として広い分野で使用されている。しかしながら、
重くて破損しやすいこと、生産性が悪い等の問題があ
り、近年、無機ガラスに代わる透明性ポリマーの開発が
盛んに行われている。透明性ポリマーとして、例えば、
ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等は、透
明性、機械物性(例えば、耐衝撃性など)に優れ、且
つ、加工性、成形性に優れることから、無機ガラスの代
替分野、例えば、自動車の透明部品やレンズ等に使用さ
れている。
【0003】一方、レーザー光を用いて、音声、画像、
文字等の情報を記録、再生する光ディスクは、近年、急
速に用途が拡大している。しかしながら、情報記録媒体
として使用される光ディスクにおいては、ディスク本体
をレーザー光線が通過するために透明であることは勿論
のこと、情報の読みとり誤差を少なくするために光学的
均質性が強く求められている。すなわち、例えば、従来
より公知のポリマー(例えば、ポリカーボネートなど)
を用いた場合には、ディスク基盤成形時の樹脂の冷却お
よび流動過程において生じた熱応力、分子配向、ガラス
転移点付近の容積変化等による残留応力が原因となり、
レーザー光線がディスク基盤を通過する際に複屈折が生
じる。この複屈折に起因する光学的不均一性が大きいこ
とは、例えば、記録された情報の読みとり誤りが生じる
など、光ディスク基盤等の光学部品にとっては致命的欠
陥となる。このような光ディスク基盤を初めとする光学
部品においては、より高度な光学特性、すなわち、低複
屈折性を有し、且つ、透明性、耐熱性等に優れた材料が
要求されている。
【0004】上述した問題を解決するための方法の一つ
として、スピロビインダノール単独またはスピロビイン
ダノールとビスフェノールAとの共重合型ポリカーボネ
ートのような、スピロ化合物を用いた低複屈折性ポリカ
ーボネートが開示されている(特開昭63−31423
5号公報)。しかしながら、前者のポリカーボネートは
低複屈折であるものの、透明性および機械強度が悪く、
実用的に問題を有しており、また後者のポリカーボネー
トはビスフェノールA成分の増加により、透明性および
機械強度は向上するものの、複屈折率が大きくなり、光
学部品としての使用範囲が限定されてしまう問題点があ
り、これらの相反する問題点を解決することが強く望ま
れていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の問題点を克服し、透明性、機械強度、耐熱性が良好で
あり、且つ、低複屈折性を有する光学部品を提供するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点に関して鋭意検討した結果、本発明に到達した。すな
わち、本発明は、一般式(1)(化2)で表されるアク
リル酸エステル化合物に関し、また、該アクリル酸エス
テル化合物を重合して得られるポリマー、ならびに該ポ
リマーからなる光学部品に関する。
【0007】
【化2】 (式中、R1 はアルキル基、アルケニル基またはアラル
キル基を表し、R2 は置換基を有していてもよい直鎖、
分岐または環状のアルキル基、置換基を有していてもよ
い直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、ニトロ基ある
いはハロゲン原子を表し、R3 およびR4 はそれぞれ独
立に水素原子またはメチル基を表し、mは0〜3の整数
を表し、nは0〜20の整数を表す)
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一般式(1)で表されるアクリル酸エステル化
合物において、R1 はアルキル基、アルケニル基または
アラルキル基を表し、好ましくは、炭素数1〜20のア
ルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数
7〜20のアラルキル基であり、より好ましくは、炭素
数1〜12の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数6〜
12のシクロアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル
基または炭素数6〜12のアラルキル基であり、さらに
好ましくは、炭素数1〜4の直鎖または分岐アルキル
基、シクロヘキシル基、アリル基またはベンジル基であ
り、該置換基R1 として、メチル基、アリル基またはベ
ンジル基は特に好ましい。
【0009】該置換基R1 としては、例えば、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert
−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エ
チルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−
ドデシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−ter
t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シク
ロオクチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシ
ルエチル基、アリル基、2−メチル−2−プロペニル
基、3,3−ジメチルプロペニル基、ベンジル基、4−
メチルベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メトキ
シベンジル基、2−フェニルエチル基などが例示され
る。
【0010】一般式(1)において、R2 は置換基を有
していてもよい直鎖、分岐または環状のアルキル基、置
換基を有していてもよい直鎖、分岐または環状のアルコ
キシ基、ニトロ基あるいはハロゲン原子を表し、好まし
くは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜
20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、置換基を有
していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、ニトロ
基またはハロゲン原子を表す。また、R2 のアルキル基
またはアルコキシ基中のアルキル基は置換基を有してい
てもよく、例えば、アルコキシ基、アルコキシアルコキ
シ基、シクロアルキル基、ヘテロ原子含有のシクロアル
キル基、シクロアルコキシ基、ヘテロ原子含有のシクロ
アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシアル
コキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
【0011】一般式(1)のR2 は、好ましくは、炭素
数1〜10の無置換の直鎖または分岐アルキル基、炭素
数1〜10の無置換の直鎖または分岐アルコキシ基ある
いは塩素原子であり、より好ましくは、メチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、
エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n
−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基
または塩素原子である。特に好ましくは、R2 はメチル
基または塩素原子である。
【0012】R2 の好ましい例としては、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチ
ル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘ
キシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシ
ル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基、シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基、4−tert−ブチ
ルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチ
ル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル
基、テトラヒドロフルフリル基、2−メトキシエチル
基、2−エトキシエチル基、2−n−ブトキシエチル
基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル
基、3−n−プロポキシプロピル基、3−n−ブトキシ
プロピル基、3−n−ヘキシルオキシプロピル基、2−
メトキシエトキシエチル基、2−エトキシエトキシエチ
ル基、2−フェノキシメチル基、2−フェノキシエトキ
シエチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3
−クロロプロピル基、2,2,2−トリクロロエチル
基、
【0013】メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ
基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ
基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−
ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシル基、n
−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシ
ルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−オクタデ
シルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシ
ルオキシ基、4−tert−ブチルシクロヘキシルオキ
シ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ
基、シクロヘキシルメトキシ基、シクロヘキシルエトキ
シ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ
基、2−n−ブトキシエトキシ基、3−メトキシプロポ
キシ基、3−エトキシプロポキシ基、3−n−プロポキ
シプロポキシ基、3−n−ブトキシプロポキシ基、3−
n−ヘキシルオキシプロポキシ基、2−メトキシエトキ
シエトキシ基、2−フェノキシメトキシ基、2−フェノ
キシエトキシエトキシ基、クロロメトキシ基、2−クロ
ロエトキシ基、3−クロロプロポキシ基、2,2,2−
トリクロロエトキシ基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0014】一般式(1)において、R3 およびR4
それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。一般式
(1)において、mは0〜3の整数であり、好ましく
は、0〜2の整数であり、整数0は特に好ましい。ま
た、一般式(1)において、nは0〜20の整数であ
り、好ましくは、0〜10の整数であり、寄り好ましく
は、0〜4の整数であり、さらに好ましくは、0〜2の
整数であり、整数0または1は特に好ましい。
【0015】一般式(1)で表される化合物において、
置換基R1 O−基の置換位置は4位、5位、6位または
7位であり、もう一方のアクリル酸エステル基を含む置
換基の置換位置は、4’位、5’位、6’位または7’
位である。これらの内、好ましいアクリル酸エステル化
合物は、一般式(1−a)〜(1−d)で表される化合
物であり、より好ましくは、一般式(1−a)、(1−
b)または(1−c)(化3)で表される化合物であ
り、これらの構造の内、一般式(1−a)で表される化
合物は特に好ましい。
【0016】
【化3】 (式中、R1 、R2 、mおよびnは前記に同じ) 一般式(1)で表されるアクリル酸エステル化合物の具
体例としては、下記の第1表(表1〜12)中に示され
た化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】
【表5】
【0022】
【表6】
【0023】
【表7】
【0024】
【表8】
【0025】
【表9】
【0026】
【表10】
【0027】
【表11】
【0028】
【表12】
【0029】本発明の一般式(1)で表されるアクリル
酸エステル化合物は、反応それ自体は公知の方法により
製造される。すなわち、代表的な方法としては、下記一
般式(2)(化4)で表されるヒドロキシ化合物と、下
記式(3)(化4)で表されるアクリル酸類またはその
酸ハロゲン化物(例えば、酸塩化物、酸臭化物など)と
を反応させることにより製造される。
【0030】
【化4】 (式中、R1 、R2 、R3 、mおよびnは前記に同じ)
【0031】原料となる一般式(2)で表されるヒドロ
キシ化合物は、反応それ自体は公知の方法により製造さ
れる。すなわち、下記一般式(4)(化5)で表される
スピロビインダノール誘導体を各種公知のアルキル化剤
(例えば、ハロゲン化アルキル類、パラトルエンスルホ
ン酸アルキルエステル類、リン酸アルキルエステル類な
ど)と作用させることにより、上記一般式(2)におい
てn=0の化合物は製造される。
【0032】
【化5】 (式中、R2 およびmは前記に同じ)
【0033】該化合物をエチレンオキサイド、プロピレ
ンオキサイド等のアルキレンオキサイド類、エチレンカ
ーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネ
ート類、2−ブロモエタノール、2−クロロエタノー
ル、2−ブロモ−1−プロパノール等のβ−ハロヒドリ
ン類と反応させることにより、上記一般式(2)におい
てn=1以上の化合物が好適に製造される。また、原料
となる一般式(2)で表されるヒドロキシ化合物は、反
応条件によっては、一般式(2)においてnが異なるヒ
ドロキシ化合物の混合物となることがあるが、本発明の
一般式(1)で表されるアクリル酸エステル化合物を重
合して得られるポリマーの原料として使用する場合、分
離を行うこと無く使用することができる。
【0034】以下に、本発明の一般式(1)で表される
アクリル酸エステル化合物の製造方法についてさらに詳
しく述べる。一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合
物と、一般式(3)で表されるアクリル酸類またはその
酸ハロゲン化物とを反応させる方法としては、公知の方
法、例えば、J.Org.Chem.,45,5364
(1980)、Eur.Polym.J.,19,39
9(1983)に記載の方法と同様の方法を用いること
ができる。例えば、撹拌下、一般式(2)で表されるヒ
ドロキシ化合物中に一般式(3)で表されるアクリル酸
類の酸ハロゲン化物を滴下する方法、あるいは、一般式
(2)で表されるヒドロキシ化合物と一般式(3)で表
されるアクリル酸類との脱水反応などの方法が挙げられ
る。
【0035】上記反応の際、一般式(2)で表されるヒ
ドロキシ化合物に対して作用させる一般式(3)で表さ
れるアクリル酸類またはその酸ハロゲン化物の使用量
は、特に制限するものではないが、通常、ヒドロキシ化
合物1モルに対して、0.5〜6モルであり、好ましく
は、1〜3モルであり、より好ましくは、1〜2モルで
ある。反応は、無溶媒で行なってもよく、あるいは反応
に対して不活性溶媒中で行なってもよい。かかる溶媒と
しては、例えば、n−ヘキサン、ベンゼンまたはトルエ
ン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン
またはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸
エチルまたは酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ジエチル
エーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエ
ーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化
炭素、1,2−ジクロロエタンまたはパークレン等のハ
ロゲン系溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は2種類
以上を併用しても差し支えない。反応温度は、特に制限
するものではないが、通常、0℃〜200℃の範囲であ
り、好ましくは0〜100℃である。反応時間は反応温
度等の条件により左右されるが、通常、数分から数十時
間である。
【0036】一般式(1)で表されるアクリル酸エステ
ル化合物を製造する際に、反応中の重合を防止するため
に、重合禁止剤を使用することは好ましいことであり、
好ましい重合禁止剤としては、例えば、メトキノン、ハ
イドロキノン、フェノチアジン等を例示することができ
る。重合禁止剤の使用量は特に制限はないが、反応原料
混合物に対して、通常、0.01〜5%であり、好まし
くは、0.05〜3%である。
【0037】一般式(2)で表されるヒドロキシ化合物
と一般式(3)で表されるアクリル酸類の酸ハロゲン化
物との反応により本発明のアクリル酸エステル化合物を
製造する際には、ハロゲン化水素(例えば、塩化水素な
ど)が副生するので、例えば、トリエチルアミン、ピリ
ジン、ジメチルアニリン等の有機塩基、あるいは、炭酸
水素ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム等
の無機塩基を脱ハロゲン化水素剤として使用してもよ
い。かかる脱ハロゲン化水素剤の使用量としては、特に
制限はないが、一般式(2)で表される化合物1モルに
対して、0.5〜6モルであり、好ましくは、1〜3モ
ルであり、より好ましくは、1〜2モルである。
【0038】一般式(2)で表されるヒドロキシ化合物
と一般式(3)で表されるアクリル酸類の脱水反応によ
り、本発明の一般式(1)で表されるアクリル酸エステ
ル化合物を製造する際に、公知の各種エステル化触媒を
用いることは好ましいことである。該触媒としては、例
えば、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸)、有機酸(例えば、
メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエン
スルホン酸)、ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素、三
塩化アルミニウム)等を挙げることができる。かかる触
媒の使用量は、特に制限するものではないが、通常、反
応原料混合物に対して、好ましくは、0.01〜50重
量%、好ましくは、0.1〜30重量%である。また反
応の進行を促進するため、副生した水を系外に除去する
ことは好ましいことであり、前記溶媒のうち水と共沸す
る溶媒(例えば、ベンゼン、トルエンなど)を用いた
り、モレキュラーシーブス等の脱水剤を用いることがで
きる。
【0039】反応終了後、生成した本発明の一般式
(1)で表されるアクリル酸エステル化合物は、公知の
後処理方法(例えば、中和、溶媒抽出、分液など)によ
り後処理されて単離される。また、さらに必要に応じ
て、公知の方法(例えば、再結晶、カラムクロマトグラ
フィー、活性炭処理など)により精製して、高純度の化
合物として単離することも可能である。原料となる一般
式(2)で表されるヒドロキシ化合物において、nが異
なるヒドロキシ化合物からなる混合物を用いると、一般
式(1)中のnが異なるアクリル酸エステル化合物の混
合物が製造されるが、勿論、該混合物も本発明のポリマ
ーあるいは光学部品の原料モノマーとして使用する上で
問題ない。
【0040】次に、本発明のアクリル酸エステル化合物
を重合して得られるポリマーについて詳述する。本発明
のポリマーは、一般式(1)で表されるアクリル酸エス
テル化合物を重合して得られるポリマーであり、一般式
(1)で表されるアクリル酸エステル化合物から誘導さ
れる下記式(1−A)(化6)で表される構造単位を必
須構造単位として含有するポリマーである。
【0041】
【化6】
【0042】本発明のポリマーは、一般式(1−A)で
表される構造単位以外の他の構造単位を含有していても
よい。この場合、ポリマーの全構造単位中に占める一般
式(1−A)で表される構造単位の含有量は、本発明の
所望の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、
好ましくは、5モル%以上であり、より好ましくは、1
0モル%以上であり、さらに好ましくは、20モル%以
上である。前記一般式(1−A)で表される構造単位以
外の他の構造単位としては、後で詳しく述べるが公知の
各種モノマー(例えば、不飽和脂肪酸エステル類、芳香
族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、不飽和二塩基
酸またはその誘導体、不飽和脂肪酸またはその誘導体等
など)から誘導される構造単位を挙げることができる。
一般式(1)で表されるアクリル酸エステル化合物を重
合して本発明のポリマーを製造する際には、一般式
(1)で表されるアクリル酸エステル化合物は1種類単
独を使用してもよく、あるいは、異なる2種類以上の該
アクリル酸エステル化合物を使用してもよい。
【0043】以下、本発明のポリマーを製造する方法に
ついてさらに詳しく述べる。本発明のポリマーを製造す
る際、一般式(1)で表されるアクリル酸エステル化合
物を重合する方法としては、特に限定はなく、公知の各
種重合方法、例えば、ラジカル重合、イオン重合、配位
重合、転位重合が適用できる。代表的には、本発明のポ
リマーは、一般式(1)で表されるアクリル酸エステル
化合物を、重合開始剤の存在下で塊状重合、溶液重合、
懸濁重合などの公知の方法により重合することにより製
造される。
【0044】かかる重合開始剤としては、例えば、ベン
ゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキ
サイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシヘキサヒドロフタレート、tert−ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ジ−ter
t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロ
ヘキサン、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ
−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、ter
t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物、ア
ゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトシキ−
2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキ
サノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のア
ゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水
溶性触媒、ならびに、過酸化物あるいは過硫酸塩と還元
剤との組み合わせによるレドックス触媒物等、ラジカル
重合に使用される公知の各種重合開始剤を挙げることが
できる。重合開始剤の使用量は、特に制限するものでは
ないが、通常、一般式(1)で表されるアクリル酸エス
テル化合物に対して0.001〜30重量%であり、好
ましくは0.01〜10重量%である。
【0045】重合の際には、分子量調節などの目的のた
めに必要に応じて重合調節剤、例えば、メルカプタン系
化合物、チオグリコール、四臭化炭素、α−メチルスチ
レンダイマーなどを添加してもよい。かかる重合調節剤
の使用量は、特に制限するものではないが、通常、一般
式(1)で表されるアクリル酸エステル化合物に対して
0.001〜10重量%であり、好ましくは0.001
〜1重量%である。重合温度は、特に制限するものでは
ないが、通常、0〜200℃であり、好ましくは50〜
120℃である。
【0046】本発明のポリマーを溶液重合により製造す
る際に使用する溶媒としては、重合反応に対して不活性
な溶媒であれば特に限定するものではないが、例えば、
ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジ
クロルエチレン等が例示される。本発明のポリマーを懸
濁重合により製造する際には、水性媒体中で行われ、懸
濁剤および必要に応じて懸濁助剤が使用される。かかる
懸濁剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチ
ルセルロース、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子、
リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性
無機化合物が挙げられる。かかる懸濁剤の使用量は、特
に制限はないが、通常、水溶性高分子の場合は一般式
(1)で表されるアクリル酸エステル化合物に対して、
0.001〜1重量%であり、難溶性無機化合物の場合
は一般式(1)で表されるアクリル酸エステル化合物に
対して、0.001〜1重量%である。懸濁助剤として
は、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等の陰
イオン界面活性剤を挙げることができ、懸濁剤として難
溶性無機物質を使用する場合には、該懸濁助剤を併用す
ることが好ましい。該懸濁剤の使用量は、一般式(1)
で表されるアクリル酸エステル化合物に対して、0.0
01〜0.02重量%である。
【0047】さらに、本発明のポリマーを製造する際
に、所望の効果を損なわない範囲において、一般式
(1)で表されるアクリル酸エステル化合物以外に該ア
クリル酸エステル誘導体と重合可能な各種公知のモノマ
ー(例えば、不飽和脂肪酸エステル類、芳香族ビニル化
合物、シアン化ビニル化合物、不飽和二塩基酸またはそ
の誘導体、不飽和脂肪酸またはその誘導体等など)を併
用してもよい。この場合、一般式(1)で表されるアク
リル酸エステル化合物と併用する各種公知のモノマーを
合わせた総重量における、一般式(1)で表されるアク
リル酸エステル化合物の含有量は、5重量%以上であ
り、好ましくは10重量%以上である。
【0048】一般式(1)で表されるアクリル酸エステ
ル化合物と併用し得るモノマーとしては、例えば、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキ
シル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸ボ
ルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸アダマン
チル、アクリル酸フルオロメチル、アクリル酸フルオロ
エチル、アクリル酸クロロエチル、アクリル酸ブロモエ
チル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フルオロベンジ
ル、アクリル酸クロロベンジル、アクリル酸ブロモベン
ジル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、アク
リル酸フルオロフェニル、アクリル酸クロロフェニル、
アクリル酸ブロモフェニル、アクリル酸グリシジル、ア
クリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ジエチレングリ
コールエステル、アクリル酸ポリエチレングリコールエ
ステル、アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル
類、アクリル酸シアノアルキルエステル類などのアクリ
ル酸エステル誘導体、
【0049】メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エ
チル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸2−エチ
ルヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアク
リル酸メチルシクロヘキシル、メタアクリル酸ボルニ
ル、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸アダ
マンチル、メタアクリル酸フルオロメチル、メタアクリ
ル酸フルオロエチル、メタアクリル酸クロロエチル、メ
タアクリル酸ブロモエチル、メタアクリル酸ベンジル、
メタアクリル酸フルオロベンジル、メタアクリル酸クロ
ロベンジル、メタアクリル酸ブロモベンジル、メタアク
リル酸フェニル、メタアクリル酸ナフチル、メタアクリ
ル酸フルオロフェニル、メタアクリル酸クロロフェニ
ル、メタアクリル酸ブロモフェニル、メタアクリル酸グ
リシジル、メタアクリル酸ヒドロキシエチル、メタアク
リル酸ジエチレングリコールエステル、メタアクリル酸
ポリエチレングリコールエステル、メタアクリル酸アル
キルアミノアルキルエステル類、メタアクリル酸シアノ
アルキルエステル類などのメタアクリル酸エステル誘導
体、α−フルオロアクリル酸エステル、α−クロロアク
リル酸エステル、α−シアノアクリル酸エステルなどの
α−置換アクリル酸エステル誘導体等で例示される不飽
和脂肪酸エステル類;
【0050】スチレン、α−メチルスチレン、α−エチ
ルスチレン、α−フルオロスチレン、α−クロロスチレ
ン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレ
ン、メチルスチレン、ブチルスチレン、メトキシスチレ
ン等で例示される芳香族ビニル化合物;アクリロニトリ
ル、メタアクリロニトリル等で例示されるシアノ化ビニ
ル化合物;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミ
ド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ド、N−メチルフェニルマレイミド、N−クロロフェニ
ルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−
カルボキシフェニルマレイミドなどのN−置換マレイミ
ド、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等で例示さ
れる不飽和二塩基酸およびその誘導体;
【0051】アクリルアミド、メタアクリルアミド、
N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルア
クリルアミドなどのアクリル酸アミド誘導体、N,N−
ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルメタア
クリルアミドなどのメタアクリル酸アミド誘導体、アク
リル酸カルシウム、アクリル酸バリウム、アクリル酸
鉛、アクリル酸スズ、アクリル酸亜鉛、メタアクリル酸
カルシウム、メタアクリル酸バリウム、メタアクリル酸
鉛、メタアクリル酸スズ、メタアクリル酸亜鉛などのア
クリル酸またはメタアクリル酸の金属塩、アクリル酸、
メタアクリル酸等で例示される不飽和脂肪酸およびその
誘導体などを挙げられる。
【0052】これらのモノマーの中でも、光学部品とし
ての使用する際の諸性能(例えば、複屈折性、耐熱性、
吸水性など)を考慮すると、アクリル酸エステル誘導
体、メタアクリル酸エステル誘導体の併用が好ましく、
メタアクリル酸アルキルエステル(例えば、メタアクリ
ル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブ
チル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリ
ル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸メチルシクロヘキ
シル、メタアクリル酸ボルニル、メタアクリル酸イソボ
ルニル、メタアクリル酸アダマンチル、メタアクリル酸
フルオロメチル、メタアクリル酸フルオロエチル、メタ
アクリル酸クロロエチル、メタアクリル酸ブロモエチル
など)が特に好ましい。
【0053】本発明のポリマーは、その重量平均分子量
については特に限定するものではないが、耐熱性、機械
物性等の観点から、重量平均分子量が10000〜20
00000であることが好ましく、より好ましくは、2
0000〜1000000である。本発明のポリマー
は、所望の効果を損なわない範囲で、他のポリマーと併
用して成形材料として使用されることも可能である。他
のポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、
ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエー
テルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、パ
ラオキシベンゾイル系ポリエステル、ポリアリーレー
ト、ポリスルフィド等が挙げられる。
【0054】また、本発明のポリマーに対して、該ポリ
マーの製造時または製造後に公知の方法で、顔料、染
料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、有
機ハロゲン化合物、アルカリ金属スルホン酸塩、ガラス
繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、硫酸バリウム、TiO
2 等の公知の添加剤を添加して使用してもよい。本発明
のポリマーは単独または他のポリマーと混合した状態
で、所望により上記の添加剤を添加して、成形材料とし
て機械部品、光ディスク等の情報記録媒体の基盤、カメ
ラや眼鏡のレンズ等の光学材料、ガラス代替の建材等に
成形される。
【0055】本発明のポリマーは熱可塑性であり、溶融
状態で射出成形、押出成形、ブロー成形、フィラー等へ
の含浸等が可能であり、さらには、圧縮成形、溶液キャ
スティングなど、各種公知の成形方法により容易に成形
可能である。本発明のポリマーからなる光学部品として
は、光ディスク基盤、光磁気ディスク基盤などの光記録
媒体基盤、ピックアップレンズなどの光学レンズ、液晶
セル用プラスチック基盤、プリズム等の各種光学部品を
挙げることができる。これらの光学部品は、上述したよ
うな従来より公知の各種成形方法(代表的には、射出成
形、射出圧縮成形など)により、好適に製造することが
できる、このようにして得られる本発明の光学部品は、
低複屈折性を有し、諸性能(例えば、光ディスクとして
の光記録特性、耐久性など)に優れており、非常に有用
である。
【0056】
【実施例】以下、参考製造例および実施例により本発明
を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの参考製造
例および実施例に限定されるものではない。 参考製造例1〔下記式(2−1)で表されるヒドロキシ
化合物の製造〕 反応容器に6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,
3’−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン61.
9g(0.20mol)、炭酸カリウム13.8g
(0.10mol)およびN,N,−ジメチルホルムア
ミド70gを装入した後、80℃で加熱、攪拌している
混合物に対して、パラトルエンスルホン酸メチル37.
3g(0.20mol)を30分かけて滴下した。さら
に10時間、加熱、攪拌を続けた後、反応混合物を水1
200gに排出して、析出した固体を濾過して集めた。
得られた粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにより精製して、目的の下記式(2−1)(化7)で
表される6−ヒドロキシ−6’−メトキシ−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン
25.8gを無色結晶として得た。 ・融点; 98〜99℃ ・FD−MS; 322(M+
【0057】
【化7】
【0058】参考製造例2〔下記式(2−2)で表され
るヒドロキシ化合物の製造〕 反応容器に6−ヒドロキシ−6’−メトキシ−3,3,
3’,3’−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン
322g(1.00mol)、エチレンカーボネート9
6.9g(1.10mol)、炭酸カリウム3.5g
(25mmol)および混合キシレン200gを装入
し、10時間加熱還流した。冷却後、生じた固体を濾取
し、メタノール−水混合系で再結晶して精製し、目的の
下記式(2−2)(化8)で表されるヒドロキシ化合物
330g(収率90%)を白色固体として得た。 ・FD−MS; 366(M+
【0059】
【化8】
【0060】実施例1〔式(1−1)で表されるアクリ
ル酸エステル化合物の製造〕 上記参考製造例1で合成した式(2−1)で表される化
合物32.2g(0.10mol)、トリエチルアミン
10.1g(0.10mol)、トルエン300gおよ
び重合禁止剤として4−メトキシフェノール0.01g
を、反応容器に装入して、得られた混合溶液に対して、
アクリル酸クロリド9.9g(0.10mol)を氷冷
下、30分かけて滴下した。さらに、25℃で6時間、
攪拌した後、反応溶液を濾過して副生したトリエチルア
ミン塩酸を除いた。濾液を3回水洗した後、溶媒を減圧
留去して目的とする式(1−1)(化9)で表される化
合物を無色の粘性のある液体として得た。 ・ 1H−NMR δ(CDCl3 );1.2〜1.5
(m,12H)、2.2〜2.4(m,4H)、3.6
(s,3H)、5.6〜7.4(m,9H) ・FD−MS; 376(M+
【0061】
【化9】
【0062】実施例2〔式(1−2)で表されるアクリ
ル酸エステル化合物の製造〕 実施例1において、アクリル酸クロリドを使用する代わ
りメタアクリル酸クロリドを使用する以外は実施例1に
記載の方法と同様にして、下記式(1−2)(化10)
で表される化合物を製造した。 ・ 1H−NMR δ(CDCl3 );1.2〜1.5
(m,12H)、2.0(s,3H)、2.2〜2.4
(m,4H)、3.6(s,3H)、5.6〜6.2
(m,2H)、6.2〜7.4(m,6H) ・FD−MS; 390(M+
【0063】
【化10】
【0064】実施例3〜実施例6 実施例1に記載の方法と同様な方法により、下記第2表
(表13)に示したアクリル酸エステル化合物を製造し
た。
【0065】
【表13】
【0066】以下の実施例において、上記実施例1〜実
施例6において製造した一般式(1)で表されるアクリ
ル酸エステル化合物を用いて重合を行い、本発明のポリ
マーを製造した。なお、実施例および比較例で製造した
ポリマーの分子量の測定は下記の方法により行った。 〔分子量の測定〕各ポリマーの0.2重量%クロロホル
ム溶液をGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグ
ラフィー)[昭和電工(株)製、Sysytem−1
1]により測定し、重量平均分子量(Mw)を求めた。
尚、測定値は標準ポリスチレン換算の値である。
【0067】実施例7〔式(1−1)で表されるアクリ
ル酸エステル化合物の重合〕 前記式(1−1)で表されるアクリル酸エステル化合物
300g、メタアクリル酸メチル700g、ラウロイル
パーオキサイド4.0g、n−オクチルメルカプタン
2.60gを混合溶解してモノマー溶液を得た。攪拌機
および冷却器を備えた5リットルセパラブルフラスコ
に、懸濁剤としてリン酸カルシウム10重量%懸濁液8
3g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.00
4g、硫酸ナトリウム1gおよび純水2400gを加え
て攪拌し、懸濁溶液とした。窒素雰囲気下、該懸濁溶液
に対して上記モノマー溶液を加え、攪拌回転数240r
pmにて65℃で4時間、反応させ、さらに98℃にて
2時間、反応させた。生成した微粒固体を水洗、脱水し
た後、乾燥して、目的とするポリマーを得た。重量平均
分子量は240000であった。走査熱量計(DSC−
3100、マックサイエンス社製)で、0℃から300
℃の温度範囲で示差熱分析を行ったところ、ガラス転移
温度(Tg)は150℃であった。
【0068】実施例8 実施例1において、モノマーとして式(1−1)で表さ
れるアクリル酸エステル化合物300gおよびメタアク
リル酸メチル700gを使用する代わりに、前記式(1
−2)で表されるアクリル酸エステル化合物1000g
を使用する以外は、実施例1に記載の方法に従って行
い、目的とするポリマーを得た。 重量平均分子量; 200000 実施例9〜12〔アクリル酸エステル化合物の重合〕 実施例1〜6で得られたアクリル酸エステル化合物およ
び公知の各種材料を用い、第3表(表14)に示す組成
(重量部)のモノマー混合物を得、実施例7に記載の方
法と同様な方法により、ポリマーの製造を行った。
【0069】
【表14】第3表
【0070】比較例1 実施例1において、モノマーとして式(1−1)で表さ
れるアクリル酸エステル化合物300gおよびメタアク
リル酸メチル700gを使用する代わりに、メタアクリ
ル酸メチル1000gを使用する以外は、実施例1に記
載の方法に従って重合して、メタアクリル酸メチルのポ
リマー(ポリメタアクリル酸メチル)を製造した。重量
平均分子量は240000であり、ガラス転移温度(T
g)は105℃であった。
【0071】比較例2 ビスフェノールAとホスゲンから、常法(界面重合法)
に従い、公知のポリカーボネートを製造した。すなわ
ち、内容量2リットルのバッフル付きフラスコに、格子
翼を備えた撹拌機、還流冷却管、ホスゲン吹き込み用浸
漬管を設けた。このフラスコに、114g(0.50モ
ル)のビスフェノールA、56g(1.40モル)の水
酸化ナトリウム、2.58gの4−tert−ブチルフェノ
ールおよび、600ミリリットルの脱イオン水を装入
し、水溶液を調製した。その後、該水溶液に600ミリ
リットルのジクロロメタンを添加し、2相混合物とし、
この2相混合物を撹拌しながら、該混合物に59.4g
(0.60モル)の塩化カルボニルを9.9g/分の供
給速度で供給した。塩化カルボニルの供給終了後、0.
08gのトリエチルアミンを反応混合物に添加し、さら
に90分間撹拌混合した。その後撹拌を停止し、反応混
合物を分液し、ジクロロメタン相を塩酸水溶液により中
和し、脱イオン水を使用して、水性洗浄液に電界質が実
質的に検出されなくなるまで洗浄した。その後、ジクロ
ロメタン相から、ジクロロメタンを蒸発留去することに
より、固体状態の芳香族ポリカーボネートを得た。重量
平均分子量は51000であった。
【0072】比較例3 特開昭63−314235号公報、実施例7に記載の方
法に従い、ビスフェノールAとスピロビインダノールと
の共重合ポリカーボネートを製造した。重量平均分子量
は44800であった。
【0073】各実施例および比較例で製造したポリマー
を用い、プレス成形して厚さ1.2mmの板状試験片を
作製し、この試験片について以下に示した項目の評価試
験を行った。結果を下記の第4表(表15)に示した。 〔評価方法〕 (1)外観:試験片の透明性、光学的面状態を目視観
察、評価した。 ○:ひび割れ、クラック、面荒れ等が無く、無色透明で
面状態の良いもの ×:ひび割れ、クラック、面荒れ等が観察されるもの (2)全光線透過率(以下、透過率と称する):AST
MD−1003法に従った。 (3)複屈折:エリプソメーターによって測定した。 (4)耐熱性:120℃で熱風乾燥基中に4時間放置し
た後、試験片を取り出して、肉眼で観察し評価した。 ○:成形物の着色、表面の歪、クラック等が無いもの ×:成形物の着色、表面の歪、クラック等が観察される
もの
【0074】
【表15】 第4表から明らかなように、本発明のポリマーを成形し
て得られる成形物(シート)は、透明性、耐熱性等が良
好で、且つ、低複屈折性を有していることが判る。
【0075】実施例13(光ディスクの作製および評
価) 実施例7で製造したポリマーを、ペレタイザー付き押出
機(シリンダー温度250℃)にてペレット状とした。
該ペレットを110℃にて4時間乾燥した後、280℃
にて射出成形を行った。すなわち、金型に鏡面を有する
スタンパーを装着して、外径130mm、厚さ1.2m
mの円盤状の成形物を得た。得られた基盤の中心部を内
径15mmとなるように打ち抜いてドーナツ状円盤とし
た。次に、アルミの真空蒸着を行い、片面に、厚み60
0オングストロームの反射層を設けた。得られた光ディ
スクの複屈折およびBER(ビットエラーレート)を測
定した。ビットエラーレートは、波長780nm、線速
2m/sec、0.8mWのレーザー光を用いて、記録
の読みとりのエラーの発生率を測定した。結果を下記の
第5表(表16)に示した。
【0076】実施例14〜18 実施例8〜実施例12で製造したポリマーを用いる以外
は、実施例13に記載の方法と同様な方法により、光デ
ィスクを作製して評価を行った。結果を下記の第5表に
示した。
【0077】比較例4 上記比較例2で製造したポリカーボネートを使用する以
外は、実施例13と同様な方法により光ディスクを製造
した。得られた光ディスクの複屈折およびBER(ビッ
トエラーレート)を測定した結果を、下記の第5表に示
した。
【0078】比較例5 上記比較例3で製造したポリカーボネートを使用する以
外は、上記実施例13と同様な方法により光ディスクを
製造した。得られた光ディスクの複屈折およびBER
(ビットエラーレート)を測定した結果を、以下の第5
表に示した。
【0079】
【表16】 第5表から明らかなように、本発明の光ディスクは複屈
折の低下により、既存のポリマー(ポリカーボネート)
を用いて得られる光ディスクと比較して、BERが向上
している。
【0080】実施例19(光磁気ディスクの製造および
記録特性の評価) 実施例7において得られたポリマーをペレタイザー付き
押出機(シリンダー温度250℃)にてペレット状とし
た。該ペレットを110℃にて4時間乾燥した後、射出
成形を行った。すなわち、金型に鏡面を有するスタンパ
ーを装着して、外径130mm、厚さ1.2mmの円盤
状の成形物を得た。得られた基盤上に、Tb23.5、Fe
64.2、Co12.3(原子%)の合金ターゲットを用いてス
パッタリング装置〔RFスパッタリング装置、日本真空
(株)製〕中で厚み1000オングストロームの光磁気
記録層を形成した。この記録膜上に、厚み1000オン
グストロームの無機ガラスの保護膜を、上記と同じスパ
ッタリング装置を用いて形成した。得られた光磁気ディ
スクの複屈折、CN比、BER(ビットエラーレート)
およびCN保持率率を測定した。尚、CN比は、書き込
みパワー7mW、読みとりパワー1mW、キャリア周波
数1MHz、分解能帯域幅30KHzで測定を行った。
CN保持率は、初期CN比に対する60℃、90%RH
条件下で30日経過後のCN比の低下度を百分率(%)
で示した。結果を下記の第6表(表17)に示した。
【0081】実施例20〜24 実施例8〜実施例12で製造したポリマーを使用する以
外は、上記実施例19と同様な方法により光磁気ディス
クを製造した。得られた各光磁気ディスクの複屈折、C
N比、BER(ビットエラーレート)およびCN変化率
を測定した結果を、以下の第6表に示した。
【0082】比較例6 比較例2で製造したポリマー(ポリカーボネート)を使
用する以外は、上記実施例と同様な方法により光磁気デ
ィスクを製造した。得られた光磁気ディスクの複屈折、
CN比、BER(ビットエラーレート)およびCN保持
率を測定した結果を、以下の第6表に示した。
【0083】比較例7 比較例3で製造したポリマー(ポリカーボネート)を使
用する以外は、上記実施例と同様な方法により光磁気デ
ィスクを製造した。得られた光磁気ディスクの複屈折、
CN比、BER(ビットエラーレート)およびCN保持
率を測定した結果を、以下の第6表に示した。
【0084】
【表17】 第6表から明らかなように、本発明のポリマーを用いて
得られる光磁気ディスクは複屈折の低下により、既存の
ポリマー(ポリカーボネート)より得られる光磁気ディ
スクと比較して、CN比およびBERが向上しており、
またCN保持率が改良されていることが判る。
【0085】
【発明の効果】本発明の一般式(1)で表されるアクリ
ル酸エステル化合物を重合して得られるポリマーは、従
来より知られているポリマー(例えば、ポリメチルメタ
アクリレート、ポリカーボネートなど)と比較して透明
性、耐熱性等が良好で、且つ、低複屈折性を有してお
り、光ディスク基盤、ピックアップレンズなどの光学部
品として非常に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 1/04 G02B 1/04 (72)発明者 詫摩 啓輔 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)(化1)で表されるア
    クリル酸エステル化合物。 【化1】 (式中、R1 はアルキル基、アルケニル基またはアラル
    キル基を表し、R2 は置換基を有していてもよい直鎖、
    分岐または環状のアルキル基、置換基を有していてもよ
    い直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、ニトロ基ある
    いはハロゲン原子を表し、R3 およびR4 はそれぞれ独
    立に水素原子またはメチル基を表し、mは0〜3の整数
    を表し、nは0〜20の整数を表す)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のアクリル酸エステル化合
    物を重合して得られるポリマー。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のポリマーからなる光学部
    品。
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