JPH1129484A - 抗糖尿病剤 - Google Patents

抗糖尿病剤

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JPH1129484A
JPH1129484A JP19937097A JP19937097A JPH1129484A JP H1129484 A JPH1129484 A JP H1129484A JP 19937097 A JP19937097 A JP 19937097A JP 19937097 A JP19937097 A JP 19937097A JP H1129484 A JPH1129484 A JP H1129484A
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道夫 藤原
Seisuke Inada
勢介 稲田
Shigehiro Kaneko
栄浩 金子
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性が高く、血糖低下効果に優れた抗糖尿
病剤を提供する。 【解決手段】 キトサンオリゴ糖及びそれらの塩から選
ばれた少なくとも1種を抗糖尿病剤の有効成分とし、こ
れを食品、医薬品、飼料、餌料等に添加して摂取させ
る。この抗糖尿病剤は、インスリン非依存型糖尿病を発
症した動物に対して、血糖値を低下させて、症状を改善
する顕著な効果を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にインスリン非
依存型糖尿病の予防と改善に効果をもたらすキトサンオ
リゴ糖及びその塩から選ばれた少なくとも一種を有効成
分とする抗糖尿病剤に関する。
【0002】
【従来の技術】糖尿病は、慢性高血糖と、それに伴う毛
細血管障害に起因して引き起こされる各種合併症(網膜
症、神経障害、腎症、免疫不全等)とを総称したもの
で、国内だけでも約500万人もの患者がいると推定さ
れている。糖尿病には大別してインスリン依存型糖尿病
(Insulin Dependent Diabetes Mellitus:IDDM)
と、インスリン非依存型糖尿病(Non Insulin Dependen
t Diabetes Mellitus:NIDDM)がある。日本ではI
DDMが5%以下であるのに対し、NIDDMが95%
以上を占めていると言われている。特に肥満、過食、運
動不足、老化などの環境因子が関連するNIDDMは、
食生活の西洋化や高齢化が進む我が国では今後も増加傾
向にあるとみられている。
【0003】IDDMは、ウイルス感染や自己免疫機序
により膵臓のランゲルハンス島が炎症を起こし、その結
果インスリン産生細胞であるβ細胞が破壊されるためイ
ンスリンが分泌されなくなり、インスリン欠乏により発
症する。従って治療にはインスリンの投与が行われる。
【0004】一方、NIDDMでは、インスリンは分泌
されているものの、インスリンの細胞に対する作用が不
十分なため、細胞は血液中のブドウ糖を充分に取り込む
ことができず、高血糖が持続すると考えられている。従
って治療にはインスリンは必ずしも必要でなく、食事療
法や運動療法が中心となる。
【0005】高血糖が持続すると全身の毛細血管に障害
をきたすようになり、動脈硬化も進み心臓や脳の血管の
閉塞や下肢の壊そを起こすようになる。また、血糖が高
いと血中のブドウ糖がヘモグロビンや組織のタンパク質
に結合してその機能を障害したりもする。その結果とし
て網膜症、腎症、神経症、脳梗塞、心筋梗塞、白内障な
どの合併症が起こってくる。更に糖尿病では免疫力が低
下するため感染症にも罹りやすくなる。
【0006】いったん合併症が進行すると回復が極めて
困難になるため、糖尿病患者は症状のない段階で血糖値
を上げない様にコントロールすることが大事となる。そ
のため血糖降下剤をはじめとする様々な抗糖尿病剤がこ
れまで開発されてきている。例えば、天然物系では茶水
溶性多糖成分のテアラクトンを有効成分とする血糖値降
下剤(特開平4−124139)、バナバ葉の熱水抽出
画分を有効成分とする抗糖尿病剤(特開平7−2285
39)、センブリより抽出単離したキサントン類の血糖
降下薬(特開平7−206673)などがあり、化学合
成物ではモラノリンN−置換誘導体(特公昭59−43
949)、チアゾリジン化合物(特開平4−21097
7)、イミダゾリル基を有する縮合7員環系化合物(特
開平4−178381)などがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
化学合成品は、効果は高いものの副作用もあるため、長
期の投与には問題が多い。また、逆に天然抽出物物は、
安全性は高いものの充分な効果を示さないものが多かっ
た。
【0008】本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてな
されたものであり、その目的は安全性が高く、充分な血
糖低下効果をもつ抗糖尿病剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するため鋭意研究した結果、キトサンオリゴ糖及びそ
の塩をNIDDMを発症するマウスに投与すると、血糖
を効果的に低下させ、多食、多飲を抑制するなど糖尿病
を改善出来ることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0010】すなわち、本発明の抗糖尿病剤は、キトサ
ンオリゴ糖及びその塩から選ばれた少なくとも1種を有
効成分として含むことを特徴とする。
【0011】本発明の抗糖尿病剤は、後述する試験例に
示されるように、食欲中枢に異常があり過食により著し
い肥満を起こすマウスに対して、その血糖を低下させる
顕著な効果を発揮することが認められた。従って人間を
含めた動物に対して高血糖改善効果をもたらすことが期
待される。
【0012】また、本発明の抗糖尿病剤は、天然に豊富
に存在する多糖類を原料として得られるキトサンオリゴ
糖及びその塩を有効成分としているため、安全性が高く
しかも比較的簡単な工程で製造できるのでコスト的にも
有利である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において、キトサンオリゴ
糖及びその塩は、カニ、エビ等の甲殻類の殻等から常法
によって調製されるキチンを、化学的又は生化学的に処
理することによって得られる。例えば、キチンを熱濃ア
ルカリ処理してキトサンとした後、このキトサンを部分
加水分解することにより得ることができる。
【0014】この場合、キトサンの部分加水分解は、キ
トサンを塩酸、酢酸、蟻酸等の酸とともに加熱した後、
酸を除去するか、又は中和脱塩し、結晶化等により粉末
化する方法、あるいはキトサンを希酸に溶解後、キトサ
ナーゼ、D-グルコサミニダーゼ等のキトサン分解酵素を
作用させる方法等によって行うことができる。
【0015】これらの方法によって得られるキトサンオ
リゴ糖の重合度は通常2〜8糖程度の混合物である。本
発明においては、キトサンオリゴ糖を混合物の状態で使
用することも可能であるが、カラムクロマトグラフィー
や溶剤分画等の方法によって所望の重合度のものに分
画、精製してもよい。なお、キトサンオリゴ糖又はその
混合物は、各社から市販されており、例えば「COS-Y 」
(商品名、焼津水産化学工業株式会社製)などを用いる
ことができる。
【0016】また、本発明においてキトサンオリゴ糖の
塩としては、例えば塩酸塩や硫酸塩等の無機塩や酢酸
塩、乳酸塩、蟻酸塩等の有機酸塩等が好ましく用いられ
る。
【0017】本発明の抗糖尿病剤は、キトサンオリゴ糖
及びその塩から選ばれた少なくとも1種を有効成分とし
て含んでいればよく、キトサンオリゴ糖及びその塩とし
て直接摂取又は投与することもでき、また、食品、医薬
品、飼料、餌料等に添加、配合して用いることもでき
る。例えば医薬品として用いる場合、その投与方法も、
経口、静注、筋注等の各種の投与方法を採用することが
できる。なお、キトサンオリゴ糖及びその塩は容易に水
に溶解するので、添加、配合が容易である。
【0018】また、キトサンオリゴ糖及びその塩の動物
に対する投与量は、動物の種類、投与期間、配合する食
品、医薬品、飼料、餌料等の種類により異なるが、キト
サンオリゴ糖として、各々体重1kg 当たり、経口の場合
0.1 〜3,000mg 、静注の場合0.01〜1000mg、筋注の場合
0.01〜1000mgが好ましい。また、食品、飼料、餌料への
配合量としては0.01〜10重量%程度が好ましい。
【0019】なお、キトサンオリゴ糖の安全性について
は、既に確認されているところであるが、念のためラッ
トにおける経口投与での急性毒性試験結果を記載する
と、LD50>5g/kg以上であった。
【0020】
【実施例】
実施例1(キトサンオリゴ糖混合物の製造) カニ殻を起源とするキトサン100gに、12N 塩酸400ml を
加え、70℃湯浴中で2時間攪拌した後、水400ml を加え
て反応を終了させ、フィルター濾過により不要物を除去
した。次に活性炭10g を添加して1 時間攪拌した後、フ
ィルター濾過して活性炭を除去し、分離脱色液700ml を
得た。この分離脱色液を、塩酸を溜去させながら減圧濃
縮し、得られたシラップ状濃縮液にメタノール300ml を
加え、更にアセトン900 mlを添加して、結晶状沈殿物を
析出させた。この沈殿物をフィルター濾過により回収
し、真空乾燥してキトサンオリゴ糖混合物120gを得た。
【0021】このキトサンオリゴ糖混合物の糖組織は、
D−グルコサミン32重量%、キトビオース20重量%、キ
トトリオース14重量%、キトテトラオース14重量%、キ
トペンタオース10重量%、キトヘキサオース4重量%、
キトヘプタオース4重量%、キトオクタオース2重量%
であった。
【0022】実施例2(キトサンオリゴ糖酢酸塩混合物
の製造) カニ殻を起源とするキトサン250gに水5Lと氷酢酸90g を
加え、一晩攪拌して粘調な溶液を得た。このキトサン溶
液にバチラス・パミラス(Bacillus pumilus)起源のキ
トサナーゼ(明治製菓株式会社製)50mgを添加し、40℃
湯浴中で18時間攪拌した。反応終了後、80℃で10分間加
熱して酵素を失活させて、キトサンオリゴ糖溶液を得
た。次いでキトサンオリゴ糖溶液を噴霧乾燥してキトサ
ンオリゴ糖酢酸塩混合物210gを得た。
【0023】このキトサンオリゴ糖混合物の糖組織は、
キトビオース酢酸塩25重量%、キトトリオース酢酸塩24
重量%、キトテトラオース酢酸塩19重量%、キトペンタ
オース酢酸塩16重量%、キトヘキサオース酢酸塩8重量
%、キトヘプタオース酢酸塩5重量%、キトオクタオー
ス酢酸塩3重量%であった。
【0024】試験例1(NIDDM発症マウスへのキト
サン投与の影響) まず、比較のために、多糖類であるキトサンの糖尿病マ
ウスへの影響をみた。糖尿病のモデルマウスとして、C
57BL/KsJ db/dbマウス(以下、「dbマ
ウス」とする)を用いた。このマウスは、食欲中枢に異
常をきたしており、過食により早期から肥満を示し、高
血糖を伴うNIDDMを発症することが知られている。
【0025】このdbマウス(n=7)に、生後4週齢
から、キトサンを2%含有させた繁殖用飼料(商品名
「CE−2」、日本クレア製)を与え、対照群(n=
7)のdbマウスには、キトサンの含有されない同じ飼
料を与えて、血糖値を2週毎に、体重、飼料及び水の摂
取量を毎週測定した。なお、血糖値は、ヘキソキナーゼ
試験紙法(小野薬品製、商品名「タイテックス」を使
用)により測定した。
【0026】上記の結果として、図1に血糖値の推移
を、図2に体重の推移を、図3、図4に各々飼料、水摂
取量の推移を示した。この結果によると、血糖値、体重
及び水摂取量において、キトサン摂取群が対照群に比べ
て減少傾向を示したものの、統計的には有意差は認めら
れなかった。
【0027】試験例2(NIDDM発症マウスへのキト
サンオリゴ糖投与の影響) 生後8週齢のdbマウスに、前記と同じ繁殖用飼料(C
E−2)を与え、実施例2で調製したキトサンオリゴ糖
酢酸塩を0.5%及び0.05%含有する水を摂取させ
た。キトサンオリゴ糖摂取群(n=18)及び非摂取群
(n=21)とも生後30週齢まで維持し、血糖値を2
週毎に、体重、飼料及び水の摂取量を毎週測定した。
【0028】また、生後30週での膵臓の組織像を観察
した。図5に血糖値の推移を、図6に体重の推移を、図
7、図8に各々飼料、水摂取量の推移を示した。
【0029】これらの結果は、以下の通りであった。 (1)血糖値:キトサンオリゴ糖摂取群の血糖値は、図
5に示したように非摂取群の血糖値に比べて、生後12
週齢から30週齢まで有意に低く推移した(p<0.0
1)。特に生後18週齢までは、非摂取群の血糖値は上
昇傾向を示したのに対して、キトサンオリゴ糖摂取群の
血糖値は下降傾向を示した。
【0030】(2)体重:キトサンオリゴ糖摂取群の体
重は、図6に示したように生後22週齢までは低く推移
した。(生後11、12、15、16週齢で有意差あり
(p<0.05)。しかし、生後22週齢以後は、非摂
食群の体重は減少傾向を示したのに対して、キトサンオ
リゴ糖摂食群は増加傾向を示したので、生後30週齢で
の体重はほぼ同じであった。
【0031】(3)飼料、水摂取量:キトサンオリゴ糖
摂取群の飼料、水摂取量は生後9週齢から30週齢まで
非摂食群に比べて抑制された(図7,8参照)。特に水
摂取量は、顕著に抑制された。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の抗糖尿病
剤によれば、インスリン非依存型糖尿病を発症した動物
に対して、血糖値を低価させて、症状を改善する顕著な
効果を発揮する。したがって、特にインスリン非依存型
糖尿病に対する予防、改善効果が期待できる。また、天
然の多糖類であるキトサンオリゴ糖及びその塩から選ば
れた少なくとも一種を有効成分とするので、安全性が高
く、安価であり、水に容易に溶解するので、取扱いも容
易であり、食品、医薬品、飼料、餌料等に添加しやす
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】インスリン非依存型糖尿病発症マウスへのキト
サン投与の影響を調べた試験例1における血糖値の推移
を示す図表である。
【図2】同試験例1における体重の推移を示す図表であ
る。
【図3】同試験例1における飼料摂取量の推移を示す図
表である。
【図4】同試験例1における水摂取量の推移を示す図表
である。
【図5】インスリン非依存型糖尿病発症マウスへのキト
サンオリゴ糖投与の影響を調べた試験例2における血糖
値の推移を示す図表である。
【図6】同試験例2における体重の推移を示す図表であ
る。
【図7】同試験例2における飼料摂取量の推移を示す図
表である。
【図8】同試験例2における水分摂取量の推移を示す図
表である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年3月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】このdbマウス(n=7)に、生後4週齢
から、市販の繁殖用飼料(商品名「CE−2」、日本ク
レア製)にキトサンを2%含有させたものを与え、対照
群(n=7)のdbマウスには、キトサンの含有されな
い同じ飼料を与えて、血糖値を2週毎に、体重、飼料及
び水の摂取量を毎週測定した。なお、血糖値は、ヘキソ
キナーゼ試験紙法(小野薬品製、商品名「タイテック
ス」を使用)により測定した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】試験例2(NIDDM発症マウスへのキト
サンオリゴ糖投与の影響) 生後8週齢のdbマウスに、前記と同じ繁殖用飼料(C
E−2)を与え、実施例2で調製したキトサンオリゴ糖
酢酸塩を0.5%含有する水を摂取させた。キトサンオ
リゴ糖摂取群(n=18)及び非摂取群(n=21)と
も生後30週齢まで維持し、血糖値を2週毎に、体重、
飼料及び水の摂取量を毎週測定した。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キトサンオリゴ糖及びそれらの塩から選ば
    れた少なくとも1種を有効成分として含有することを特
    徴とする抗糖尿病剤。
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US09/353,050 US6242431B1 (en) 1997-04-15 1999-07-13 Method for treating liver dysfunction

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JP2004067575A (ja) * 2002-08-06 2004-03-04 Yaizu Suisankagaku Industry Co Ltd 糖尿病治療薬効果促進剤
CN112402444A (zh) * 2019-08-21 2021-02-26 天津大学 壳寡糖双胍衍生物在制备抑制肝损伤药物中的应用

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