JPH11294085A - セグメント等の接合具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 楔体を先端方向へ確実にかつ均一に付勢し
て、接合棒との接合を強固にかつ安定して行わせ、セグ
メント同士を確実にかつ容易に接合させる。 【解決手段】 接合具１は、先細り状スリーブ２と、接
合棒の挿入固定孔Ｈを形成して環状に配置されスリーブ
２内に装入された複数の楔体３と、挿入固定孔Ｈが縮径
するように楔体３をスリーブ２の小径の先端側に付勢し
て設けられた断面円形の弾性を有する樹脂から形成され
た付勢ばね４とを主体とし、楔体３と付勢ばね４との間
に平板状のリテーナ６を設けた構成となっている。楔体
３の後端部を、リテーナ６へ向かって湾曲する湾曲部３
ａとし、後端部における外周面を、挿入固定孔Ｈを形成
する内周面と略平行なストレート部３ｂとして、楔体３
のリテーナ６との接触抵抗を低減させて、半径方向への
移動を円滑にする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、セグメント等の接
合に接合棒と組み合わせて用いられ、それぞれのセグメ
ント同士を接合する接合具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、多数のセグメントでトンネル壁
体を構築する場合、従来においては、セグメントの接合
面に孔部を有する継手を埋め込んでおき、セグメントの
接合面どうしを互いに当接させてそれらの孔部にボルト
を挿通させ、このボルトにナットを螺着することにより
多数のセグメントどうしを順次接合して構築している。

【０００３】しかしながら、上記の接合方式では、セグ
メント接合面の継手に形成された孔部にボルトを挿通さ
せ、そのボルトにナットを螺着して締め付けなければな
らず、操作がきわめて煩雑で手間がかかる。

【０００４】そこで、図２に示す接合具が提案された。
この新しい接合具２１は、先細り状のスリーブ２２と、
互いの中心部に接合棒３０の挿入固定孔Ｈを形成して環
状に配置されるとともに外周面をスリーブ２２の内周面
に触れさせてスリーブ２２の長手方向に移動自在にスリ
ーブ２２内に装入された複数の楔体２３と、挿入固定孔
Ｈが縮径するように楔体２３をスリーブ２２の小径の先
端側に付勢してスリーブ２２の大径の根端部に設けられ
た板ばね２４とを備える。符号２５はスリーブ２２の根
端部に設けられた底板である。

【０００５】この接合具２１はセグメントＳの接合面に
埋め込まれて用いられ、また接合棒３０は他のセグメン
トＳに埋設されたインサートナット３１に螺着して用い
られる。

【０００６】接合具２１の作用を説明すると、セグメン
トＳ，Ｓどうしの接合に際して、接合棒３０をスリーブ
２２に押し込むと、楔体２３が板ばね２４を圧縮して後
退し、挿入固定孔Ｈを拡径させて挿入固定孔Ｈへの接合
棒３０の挿入を自由にする。そして、挿入固定孔Ｈに接
合棒３０が挿入され終ると、楔体２３が板ばね２４の作
用によりスリーブ２２の先端側に押し動かされて縮径
し、接合棒３０をくわえて固定する。

【０００７】楔体２３は、接合棒３０の引抜き移動に対
して縮径し、その固定力を増すので、接合棒３０を楔体
２３から引き抜くことができず、したがってセグメント
Ｓ，Ｓどうしが一体に接合されることとなる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記構造の
接合具２１にあっては、楔体２３が半径方向外方へ移動
することにより、接合棒３０が楔体２３の内周面からな
る挿入固定孔Ｈに挿入され、また、板ばね２４の付勢力
によって楔体２３が半径方向内方へ押圧されて接合棒３
０をくわえるようになっている。したがって、これら楔
体２３の半径方向への移動が円滑に行われないと、接合
棒３０の挿入が困難となってしまったり、あるいは板ば
ね２４の付勢力による楔体２３の内周側への押圧力が低
減して十分な接合強度が確保されなくなる恐れがあっ
た。

【０００９】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、楔体の半径方向への移動が円滑に行なわれて接合棒
を良好に挿入することができ、また、接合棒への楔体の
押圧力を確実に確保して、十分な接合強度を得ることが
可能なセグメント等の接合具を提供することを目的とし
ている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１記載のセグメント等の接合具は、先細り
状のスリーブと、互いの中心部に接合棒の挿入固定孔を
形成して環状に配置されるとともに外周面をスリーブの
内周面に触れさせてスリーブの長手方向に移動自在にス
リーブ内に装入された複数の楔体と、上記挿入固定孔が
縮径するように上記楔体をスリーブの小径の先端側に付
勢してスリーブの大径の根端部に設けられた付勢ばねと
を有してなり、前記楔体と前記付勢ばねとの間には、平
板状に形成されたリテーナが設けられ、前記楔体の後端
部は、前記リテーナ方向へ向かって湾曲されていること
を特徴としている。つまり、楔体の後端部が、リテーナ
方向へ向かって湾曲した湾曲部とされているので、リテ
ーナとの接触抵抗が低減され、楔体の半径方向への移動
が円滑にされる。

【００１１】請求項２記載のセグメント等の接合具は、
前記楔体の後端側の外周面が、前記挿入固定孔を形成す
る内周面と略平行のストレート部とされていることを特
徴としている。つまり、楔体の後端部側の外周面をスト
レート部とすることにより、楔体の後端部における半径
方向の幅寸法が小さくされ、これにより、湾曲部の曲率
が小さくされて、楔体とリテーナとの接触抵抗がさらに
低減され、しかも、楔体の外周面とスリーブの内周面と
の接触面積が低減されてこれら楔体の外周面とスリーブ
の内周面との接触抵抗も低減される。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態のセグ
メント等の接合具を図面を参照して説明する。図１は本
発明に係るセグメント等の接合具１である。接合具１は
図２の接合具２１と基本的な構造が同じであり、断面円
形の先細り状スリーブ２と、互いに中心部に接合棒３０
の挿入固定孔Ｈを形成して環状に配置されるとともに外
周面をスリーブ２の内周面に触れさせてスリーブ２の長
手方向に移動自在にスリーブ２内に装入された複数の楔
体３と、挿入固定孔Ｈが縮径するように楔体３をスリー
ブ２の小径の先端側に付勢してスリーブ２の大径の根端
部に設けられた筒状の付勢ばね４とを有している。

【００１３】また、この接合具１には、楔体３と付勢ば
ね４との間に、リテーナ６が設けられている。このリテ
ーナ６は、平板状に形成された金属板からなるもので、
楔体３よりも硬質金属材料から形成されている。

【００１４】付勢ばね４は、弾性を有するウレタンやゴ
ム或いはそれらと同等材料で製造されたもので、断面円
形に形成されている。そして、この付勢ばね４は、折曲
部２ａによってスリーブ２の根端面に固定されたケース
７内に収められている。ケース７の底部中央には突部７
ａが形成されていてケース７の強度を強めるとともに、
付勢ばね４に形成された中心孔４ａに嵌め込まれて付勢
ばね４を所定位置に位置決めしている。なお、付勢ばね
４は、必要に応じてその両面をケース７とリテーナ６に
接着剤で接着する場合もある。また、楔体３の内周面及
び接合棒３０の外周面の両方あるいはいずれか一方に
は、相互に噛合して挿入固定孔Ｈからの接合棒３０の引
抜きを困難なものとする、例えば、鋸歯状の歯が必要に
応じて形成される。

【００１５】上記構造の接合具１を構成する楔体３は、
それぞれの後端部が、リテーナ６方向へ向かって湾曲さ
れた湾曲部３ａとされており、また、楔体３の後端側の
外周面には、挿入固定孔Ｈを形成する内周面と略平行の
ストレート部３ｂとされている。

【００１６】そして、上記接合具１によれば、接合棒３
０をスリーブ２に押し込むと、楔体３がリテーナ６を介
して付勢ばね４を圧縮して後退する。そして、この挿入
固定孔Ｈに接合棒３０が挿入されると、楔体３がリテー
ナ６を介して付勢ばね４の付勢力によりスリーブ２の先
端側に押し動かされて縮径し、接合棒３０をくわえて固
定する。

【００１７】ここで、楔体３は、平板状に形成されしか
も楔体３よりも硬いリテーナ６を介して付勢ばね４を圧
縮する構造とされ、さらに、これら楔体３の後端部が、
リテーナ６方向へ向かって湾曲した湾曲部３ａとされて
いるので、接合棒３０の挿入時には、楔体３は、リテー
ナ６の表面を極めて円滑に滑って半径方向外方へ移動
し、これにより、挿入固定孔Ｈが容易に拡径され挿入固
定孔Ｈへの接合棒３０の挿入力が低減される。また、接
合棒３０の挿入後は、リテーナ６を介して楔体３が均一
に付勢されて半径方向内方へ移動され、しかもリテーナ
６の表面を円滑に滑るので、挿入固定孔Ｈが確実に縮径
され、接合棒３０を安定して確実にくわえ込んで固定す
る。

【００１８】また、楔体３の後端部側の外周面がストレ
ート部３ｂとされていることにより、楔体３の後端部に
おける半径方向の幅寸法が小さくされ、これにより、湾
曲部３ａの曲率が小さくされて、楔体３とリテーナ６と
の接触抵抗がさらに低減され、しかも、楔体３の外周面
とスリーブ２の内周面との接触面積が低減されてこれら
楔体３の外周面とスリーブ２の内周面との接触抵抗も低
減され、これにより、楔体３の半径方向への移動をさら
に円滑にすることができる。

【００１９】なお、楔体３の個数は、通常、３個か４個
とされるが、これよりも多くても或いは少なくても実施
可能である。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るセグ
メント等の接合具によれば、下記の効果を得ることがで
きる。請求項１記載のセグメント等の接合具によれば、
楔体の後端部が、リテーナ方向へ向かって湾曲した湾曲
部とされているので、リテーナとの接触抵抗を低減さ
せ、楔体の半径方向への移動を円滑にさせることができ
る。これにより、接合棒の挿入時には、楔体は、リテー
ナの表面を極めて円滑に滑って半径方向外方へ移動し、
挿入固定孔が容易に拡径され挿入固定孔への接合棒の挿
入力が低減される。また、接合棒の挿入後は、リテーナ
を介して楔体が均一に付勢されて半径方向内方へ移動さ
れ、しかもリテーナの表面を円滑に滑るので、挿入固定
孔を確実に縮径させ、接合棒を安定して確実にくわえ込
んで固定させることができる。

【００２１】請求項２記載のセグメント等の接合具によ
れば、楔体の後端部側の外周面がストレート部とされて
いることにより、楔体の後端部における半径方向の幅寸
法が小さくされ、これにより、湾曲部の曲率が小さくさ
れて、楔体とリテーナとの接触抵抗がさらに低減され、
しかも、楔体の外周面とスリーブの内周面との接触面積
が低減されてこれら楔体の外周面とスリーブの内周面と
の接触抵抗も低減され、これにより、楔体の半径方向へ
の移動をさらに円滑にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施の形態のセグメント等の接合具
の構成及び構造を説明する接合具の断面図である。

【図２】 従来の接合具の断面図である。

【符号の説明】

１ 接合具 ２ スリーブ ３ 楔体 ４ 付勢ばね ６ リテーナ ３ａ 湾曲部 ３ｂ ストレート部 Ｈ 挿入固定孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仲野 明彦 東京都千代田区神田司町２丁目３番地 株 式会社大林組東京本社内 (72)発明者 武田 厚 東京都千代田区神田司町２丁目３番地 株 式会社大林組東京本社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 先細り状のスリーブと、互いの中心部に
   接合棒の挿入固定孔を形成して環状に配置されるととも
   に外周面をスリーブの内周面に触れさせてスリーブの長
   手方向に移動自在にスリーブ内に装入された複数の楔体
   と、上記挿入固定孔が縮径するように上記楔体をスリー
   ブの小径の先端側に付勢してスリーブの大径の根端部に
   設けられた付勢ばねとを有してなり、 前記楔体と前記付勢ばねとの間には、平板状に形成され
   たリテーナが設けられ、 前記楔体の後端部は、前記リテーナ方向へ向かって湾曲
   されていることを特徴とするセグメント等の接合具。
2. 【請求項２】 前記楔体は、その後端側の外周面が、前
   記挿入固定孔を形成する内周面と略平行のストレート部
   とされていることを特徴とする請求項１記載のセグメン
   ト等の接合具。