JPH11293556A - 保温性一軸配向体、不織布および織布 - Google Patents

保温性一軸配向体、不織布および織布

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JPH11293556A
JPH11293556A JP11151298A JP11151298A JPH11293556A JP H11293556 A JPH11293556 A JP H11293556A JP 11151298 A JP11151298 A JP 11151298A JP 11151298 A JP11151298 A JP 11151298A JP H11293556 A JPH11293556 A JP H11293556A
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uniaxially oriented
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thermoplastic resin
film
nonwoven fabric
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JP11151298A
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Masato Kimura
正人 木村
Katsumi Yano
勝美 矢野
Mikio Uehara
実紀雄 上原
Takashi Onodera
貴史 小野寺
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着強度および引張強度等の機械強度が高
く、かつ保温性に優れ成形加工性が良好な一軸配向体、
不織布および織布を提供する。 【解決手段】 熱可塑性親水性樹脂を含有する熱可塑性
樹脂層(I)2の両側に、熱可塑性樹脂層(I)よりも低
い融点を有する接着層(II)3を付与してなる保温性一
軸配向体、および特定の上記一軸配向体1を用いて形成
した不織布または織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着強度および機
械的強度が高く、特に保温性に優れた一軸配向体、不織
布および織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系の積層体は、機械的強
度に優れているが保温性に乏しい。一方、保温性に優れ
た樹脂であるPVA(ポリビニルアルコール)の積層体
は強度が不十分である。ポリマーの保温性を向上させる
ために無機化合物を添加する方法があるが、十分な保温
性改良の効果を達成するためには、多量に添加すること
が必要であり、多くの場合、機械的強度の低下や加工性
不良等の問題を生ずる。保温性向上のために、吸水性樹
脂としてアクリル酸系のものを使用した場合には、この
樹脂がポリオレフィンと相溶せず、成形加工が困難であ
る。また、積層体の最外層に吸水性樹脂を使用する方法
があるが(特開昭63−283526号公報)、成形加
工時に装置からロール部等に吸水性樹脂が付着するた
め、表面から吸水性樹脂が剥離して脱落し、表面状態の
良好な積層体が得られない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、接着
強度および引張強度等の機械的強度が高く、特に保温性
に優れ成形加工性が良好な一軸配向体、不織布および織
布を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的に沿って一軸配向体、不織布および織布の保温性の向
上に関し検討した結果、一軸配向体を構成する多層フィ
ルムの熱可塑性樹脂層に改良を加えることにより、機械
的強度を保持し、かつ保温性および成形加工性に優れた
ものが得られることを見出して本発明を完成するに至っ
た。なお、本発明の記載において、「縦」とはフィルム
の流れの方向を、「横」とは流れに直角の方向をいう。
本発明の第1は、下記組成を有する熱可塑性樹脂層
(I)の両側に、熱可塑性樹脂層(I)の樹脂よりも低い
融点を有する接着層(II)を付与してなる保温性一軸配
向体に関するものである。 [熱可塑性樹脂層(I)の組成] 熱可塑性親水性樹脂(A)5〜50重量% オレフィン系重合体(B)95〜50重量%。 本発明の第2は、上記本発明の第1において、配向倍率
が1.1〜15である配向性一軸配向体に関する。本発
明の第3は、上記本発明の第1において、熱可塑性樹脂
層(I)の厚みが20〜100μmであり、接着層(I
I)の厚みが3〜60μmである配向性一軸配向体に関
する。本発明の第4は、上記本発明の第1において、熱
可塑性樹脂層(I)に、充填剤、顔料および耐候剤から
選ばれる少なくとも1種の添加剤を配合してなる配向性
一軸配向体に関する。本発明の第5は、上記本発明の第
1から第4のいずれかにおいて、一軸配向体が縦配向網
状フィルム(a)、横配向網状フィルム(b)、一軸配
向多層テープ(c)および一軸配向多層フィルム(d)
から選ばれる少なくとも1種である保温性一軸配向体に
関する。また、本発明の第6は、本発明の第5に記載し
た縦配向網状フィルム(a)、横配向網状フィルム
(b)および一軸配向多層テープ(c)から選ばれる同
種および/または異種の保温性一軸配向体の複数層を積
層してなる不織布に関するものである。本発明の第7
は、上記本発明の第6において、保温性一軸配向体を配
向軸が交差するように積層してなる不織布に関する。更
に、本発明の第8は、本発明の第5に記載した一軸配向
多層テープ(c)を織成してなる織布に関するものであ
る。本発明の第9は、上記発明の第6から第8のいずれ
かにおいて、熱可塑性親水性樹脂(A)に吸水させたこ
とを特徴とする不織布または織布に関する。
【0005】以下、本発明を更に説明する。まず、本発
明における熱可塑性樹脂層(I)の材料としては、熱可
塑性親水性樹脂(A)およびオレフィン系重合体(B)
からなる混合物が用いられる。上記熱可塑性親水性樹脂
(A)としては、ポリエチレンオキサイド(PEO)、
ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリ
ドン(PVP)等の酸素含有重合体(以下、単に「酸素
含有重合体」という)、酸素含有重合体の架橋生成物
(以下、単に「架橋生成物」という)、酸素含有重合体
と架橋生成物との混合物、酸素含有重合体とオレフィン
系熱可塑性樹脂との混合物、および架橋生成物とオレフ
ィン系熱可塑性樹脂との混合物などが用いられる。これ
らの樹脂の融点は40〜250℃であり、好ましくは5
0〜170℃である。上記の熱可塑性親水性樹脂(A)
を用いることによって、後に述べるように一軸配向体の
保温性を向上させることができる。
【0006】熱可塑性樹脂層(I)に用いる好ましいオ
レフィン系重合体(B)としては、高密度および中密度
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ
−4−メチルペンテン−1、ポリヘキセン−1等のα−
オレフィンの単独重合体、プロピレン−エチレン共重合
体等のα−オレフィン相互の共重合体等のポリオレフィ
ンの結晶性樹脂が挙げられる。
【0007】本発明で用いる熱可塑性樹脂層(I)の組
成は、熱可塑性親水性樹脂(A)5〜50重量%および
オレフィン系重合体(B)95〜50重量%である。熱
可塑性親水性樹脂の配合割合が5重量%未満では、保温
効果が改善されず、50重量%を超える場合には、一軸
延伸が不可能であり、一軸配向体を形成することができ
ない。なお、製造上の理由などから、熱可塑性樹脂層
(I)の樹脂混合物の融点と、接着層(II)の樹脂の融
点とは、5℃以上、特に10〜50℃の温度差を有する
ことが好ましい。
【0008】本発明における接着層(II)の材料として
は、前記熱可塑性樹脂層(I)のオレフィン系重合体
(B)として挙げたものを用いることができ、熱可塑性
樹脂層(I)の樹脂よりも低い融点を有するものであれ
ばいずれでもよい。特に好ましい接着層(II)の材料と
しては、(1)チーグラー型触媒を用いて重合した密度
0.86〜0.95g/cm3のエチレン単独重合体またはエ
チレン・α−オレフィン共重合体(B1)、(2)高圧ラ
ジカル重合による低密度ポリエチレン、エチレン・ビニ
ルエステル共重合体、またはエチレンとα,β−不飽和
カルボン酸もしくはその誘導体との共重合体(B2)お
よび(3)シングルサイト型触媒を用いて重合した密度
0.86〜0.95g/cm3のエチレン単独重合体またはエ
チレン・α−オレフィン共重合体(B3)から選ばれる少
なくとも1種のエチレン系重合体が挙げられる。
【0009】上記のチーグラー型触媒による重合体(B
1)において、エチレン・α−オレフィン共重合体として
は、炭素数3〜12の範囲のα−オレフィンをコモノマ
ーとするランダム共重合体またはブロック共重合体が挙
げられ、α−オレフィンとして具体的には、プロピレ
ン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−
1等が例示される。これらのコモノマーの含有量は3〜
30モル%の範囲である。高圧ラジカル重合による重合
体(B2)においては、エチレン・ビニルエステル共重合
体の例としてエチレン−酢酸ビニル共重合体が、またエ
チレンとα,β−不飽和カルボン酸もしくはその誘導体
との共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合
体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アク
リル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エス
テル共重合体等が挙げられる。また、シングルサイト型
触媒による重合体(B3)において、エチレン・α−オレ
フィン共重合体としては、炭素数3〜12の範囲のα−
オレフィンをコモノマーとするランダム共重合体または
ブロック共重合体が挙げられ、α−オレフィンとして具
体的には、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテ
ン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等が
例示される。これらのコモノマーの含有量は1〜30モ
ル%の範囲である。また分子量分布は狭く、Mw/Mn
は1.5〜5.0の範囲である。
【0010】本発明においては、熱可塑性樹脂層(I)
の両側に接着層(II)を付与した一軸配向体を用いる。
この一軸配向体は、上記熱可塑性樹脂層(I)および接
着層(II)を備えたものであれば、さらに他の樹脂層を
含むものであってもよい。熱可塑性親水性樹脂(A)を
含有する熱可塑性樹脂層(I)を芯層としてその両側に
接着層(II)を配することにより、親水性樹脂は積層体
の表面または裏面に露出しない。熱可塑性樹脂層(I)
が積層体の表面または裏面に露出していると、フィルム
成形および延伸の工程において著しい困難を生ずる。す
なわち、親水性樹脂(A)は、融点が約60℃であるた
め、フィルム成形時には装置のロール部に付着して作業
の支障となり、また80℃以上の温水中で延伸を行う場
合に温水中に溶出するなどの点で好ましくない。なお、
光線の透過および保温性に関しては、熱可塑性親水性樹
脂(A)を芯層および表面層のいずれに配合してもほぼ
同様の効果が得られる。
【0011】更に、熱可塑性親水性樹脂(A)に吸水さ
せることにより保温効果はさらに向上する。従って、熱
可塑性親水性樹脂(A)の吸水量を増大させるため、一
軸配向体を網状フィルムなどに形成し、熱可塑性樹脂層
(I)が積層体の断面から露出する状態で使用すること
が望ましい。本発明に用いる一軸配向体は、網状フィル
ムなどに形成した場合においても、表面または裏面に熱
可塑性樹脂層(I)が露出することはなく、従ってロー
ル部に付着するなど作業時の支障を招くことはない。
【0012】一軸配向体の製造法としては、まず熱可塑
性樹脂層(I)および接着層(II)の樹脂を多層インフ
レーション法、多層Tダイ法等により押出成形して、多
層フィルムを製造する。次いで、上記フィルムを延伸配
向することにより、一軸配向多層フィルム(d)が得ら
れる。配向倍率(延伸倍率)は1.1〜15であるが、
好ましくは多段で配向することが延伸むらを防止するた
めに望ましい。例えば、第1段で1.1〜8倍、好まし
くは5〜7倍に1次配向させ、更に第2段以降で、初期
寸法に対し延伸倍率5〜15、好ましくは6〜10で2
次、3次の配向を行う。上記一軸配向多層フィルムの延
伸倍率が1.1未満では、織布や不織布に用いたときの
機械的強度が十分でない。一方、延伸倍率が15を超え
る場合は、通常の方法で延伸させることが難しく、高価
な装置を必要とするなどの問題が生ずる。一軸配向多層
フィルム(d)としては、単一積層体のほかその複数層
を重ねた形態も用いることができる。重ねた形態にする
方法は、一軸配向多層フィルム(d)を作製した後にそ
の複数枚を積層してもよく、また前記多層フィルムを積
層した後に延伸配向を行ってもよい。なお、一軸配向多
層フィルム(d)は、後に述べるように、縦配向網状フ
ィルム(a)および一軸配向多層テープ(c)を目的と
する場合には中間製品として作製されるものである。
【0013】上記一軸配向多層フィルム(d)の熱可塑
性樹脂層(I)の厚みは20〜100μmの範囲であ
る。また、接着層(II)の厚みは、3〜60μmであれ
ば熱融着時の接着強度等の所要物性を満足する。
【0014】本発明の不織布または織布は、縦配向網状
フィルム(a)、横配向網状フィルム(b)および一軸
配向多層テープ(c)から選ばれる少なくとも1種の一
軸配向体を用いて形成される。以下、これらの特定の一
軸配向体の製造法について述べる。
【0015】まず、縦配向網状フィルム(a)は、熱可
塑性樹脂層(I)と接着層(II)とを用い前記の方法に
従って作製した一軸配向多層フィルム(d)に、縦方向
に千鳥掛けに、スプリッターを用いて割繊(スプリット
処理)するか、または熱刃によりスリット処理を施し、
必要により拡幅し熱固定して得られる。図1(イ)は、
縦配向網状フィルム(a)の一例の部分拡大斜視図であ
り、図1(ロ)は図(イ)の1a部の部分拡大斜視図で
ある。図において、縦配向網状フィルム1は、熱可塑性
樹脂層(I)2の両面に接着層(II)3を積層し、縦延
伸を行った後、スプリッターにより縦方向に割繊して拡
幅したものである。図中、4は幹繊維、5は枝繊維であ
る。
【0016】次に、横配向網状フィルム(b)は、熱可
塑性樹脂層(I)と接着層(II)とを用い押出成形して
得た多層フィルムに、横方向に千鳥掛けに、スプリッタ
ーを用いて割繊(スプリット処理)するか、または熱刃
等でスリット処理を施した後、横方向に延伸倍率1.1
〜15で延伸して得られる。好ましくは、多層フィルム
を縦方向に1.1〜3倍程度に圧延等で微配向した後、
熱刃で横方向に千鳥掛けにスリット処理を施し、横延伸
を行う。図2(イ)は、横配向網状フィルム(b)の一
例の部分拡大斜視図であり、図2(ロ)は図(イ)の6
a部の部分拡大斜視図である。横配向網状フィルム6
は、熱可塑性樹脂層(I)2の両面に接着層(II)3を
積層し、縦方向に微配向した後、熱刃で横方向に千鳥掛
けにスリット処理を行い、横延伸して若干拡幅したもの
である。
【0017】一軸配向多層テープ(c)は、熱可塑性樹
脂層(I)と接着層(II)とを用い押出成形して得た多
層フィルムを、裁断前および/または後に、縦または横
手方向に延伸倍率1.1〜15で一軸延伸したものであ
る。従って、前記一軸配向多層フィルム(d)を裁断す
ることにより一軸配向多層テープ(c)を得ることがで
きる。図3は、一軸配向多層テープ(c)の一例の部分
拡大斜視図である。一軸配向多層テープ7は、熱可塑性
樹脂層(I)2の両面に接着層(II)3を積層し、延伸
および裁断を行ったものである。
【0018】本発明の不織布または織布とは、前記縦配
向網状フィルム(a)、横配向網状フィルム(b)およ
び一軸配向多層テープ(c)から選ばれる少なくとも1
種の一軸配向体を複数枚積層したもの、特に配向軸が交
差するように経緯積層しまたは織成してなるものを含
む。更に、縦配向網状フィルム(a)および横配向網状
フィルム(b)は、それ自体で不織布として用いること
ができる。具体的な一軸配向体の組合せとしては、(1)
図4に示すように、縦配向網状フィルム(a)1を2枚
積層(a/a)した不織布A 8、(2)縦配向網状フィル
ム(a)と横配向網状フィルム(b)とを積層(a/
b)した不織布B、(3)図5に示すように、一軸配向多
層テープ(c)7を2組積層(c/c)した不織布C
9、(4)図6に示すように、一軸配向多層テープ(c)
7を織成した織布D 10が挙げられる。なお、更にこ
れらを複合した不織布も作製することができる。
【0019】本発明においては、前記一軸配向体の熱可
塑性樹脂層(I)に、カーボンブラック、炭酸カルシウ
ム、シリカ等の各種充填材、顔料および耐候剤を配合す
ることができる。更に、酸化防止剤、難燃剤、架橋剤、
発泡剤、着色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸
収剤、滑剤等の添加剤を配合してもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】特定組成の熱可塑性樹脂層(I)
の両側に、その樹脂よりも低い融点を有する接着層(I
I)を付与してなる一軸配向体、ならびに特定の上記一
軸配向体を用いて形成した不織布および織布を用いるこ
とにより、引張強度、接着強度等に優れ、特に保温性に
優れた各種材料を容易かつ高速に製造することができ
る。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 <試料> (1)樹脂の種類 熱可塑性樹脂層(I) ・熱可塑性親水性樹脂(A):非イオン活性剤型親水性
樹脂(商品名:アクアコーク、住友精化(株)製) ・オレフィン系重合体(B):高密度ポリエチレン(商
品名:ジェイレクスHD E710、日本ポリオレフィ
ン(株)製) 接着層(II) ・低密度ポリエチレン(商品名:ジェイレクスLD F
30EE、日本ポリオレフィン(株)製) (2)不織布および一軸配向多層フィルムの製造 熱可塑性樹脂層(I)を芯層とし、その両面に接着層(I
I)を配し、多層水冷インフレーション法により、厚み
が接着層25μm/芯層100μm/接着層25μmの
3層構造からなる、幅1mの多層フィルムを製造した。
次いで配向工程において、上記多層フィルムを走行させ
ながら、配向倍率8まで配向を行い、一軸配向多層フィ
ルム(d)を得た。上で得られた一軸配向多層フィルム
(d)の一部をスプリット工程に供給し、実公昭51−
38979号公報に示されている割繊具を回転させなが
らフィルムを当接して、長手方向に千鳥掛けにスプリッ
ト処理を施し、縦配向網状フィルム(a)を作製した。
次いで、拡幅工程において、上記縦配向網状フィルムを
横方向に2.5倍に拡幅し、積層工程において、上記拡
幅した縦配向網状フィルムを配向軸が交差するように経
緯積層し、接着温度120℃で熱融着し、不織布Aを作
製した。
【0022】<保温性の評価> (1)赤外線吸光度の測定による方法 農業用被覆材の保温性に関し、赤外線の吸光度を測定し
たときに1000cm-1近傍の波数に吸収を示す材料は保
温性に優れていることが知られている。これは、夜間に
地面や植物から放射される赤外線のスペクトルが、波数
1000cm-1の近傍に最も大きな強度を有することによ
るものと考えられる。本発明の評価においては、測定装
置としてFT−IR(商品名:JIR−3510、日本
電子(株)製)を用い、赤外線透過率を測定し、波数40
0〜2000cm-1の範囲の面積分率を求めて保温性を評
価した。 (2)保温性測定装置による方法 精密迅速熱物性測定装置(商品名:KES−F7 サー
モラボIIB型、カトーテック(株)製)を用いて保温率の
測定を行った。測定条件は以下の通りである。 ・ドライスペース法 ・試料:100×100mmの試料を、不織布の場合に
は3枚重ね、一軸配向多層フィルムの場合には1枚で測
定した。 ・BT板温度:30.0℃ ・ガードヒーター温度:30.2℃ ・室温:20.0℃ ・湿度:65.0%
【0023】<吸水率の測定方法> 25℃の水道水に24時間浸漬した試料の重量(W1
と同試料の浸漬前の重量(W0)を測定し、次式により
求めた。 吸水率(%)= (W1−W0)/W0×100
【0024】<実施例1、2;比較例1、2>表1に示
す割合で配合した組成物からなる熱可塑性樹脂層(I)
を用いて、前記の方法により製造した不織布Aについ
て、保温性の評価および引張強度の測定を行った。結果
を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1から判るように、熱可塑性樹脂層
(I)の成分として熱可塑性親水性樹脂(A)を使用す
ることにより、保温性が向上する。また、熱可塑性親水
性樹脂(A)の配合割合が5〜50重量%の範囲であれ
ば、強度の低下はほとんど生じないが、50重量%を超
える場合には一軸延伸が不可能となり不織布を製造する
ことができない。
【0027】図7に実施例1の不織布の赤外吸収スペク
トルを、図8に比較例1の不織布の赤外吸収スペクトル
を示す。実施例1のスペクトルには、波数1000cm-1
近傍に赤外線吸収のあることが確認され、比較例1に比
べて保温性が優れていることが判る。
【0028】次に、実施例1、2および比較例1の不織
布について、吸水率を求めた結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】更に、実施例1および比較例1の不織布に
ついて、吸水前後の保温性を測定した結果を表3に示
す。
【0031】
【表3】
【0032】表2から、熱可塑性樹脂層(I)に熱可塑
性親水性樹脂(A)を配合することにより吸水率は大き
くなることがわかる。また表3に示すように、吸水後に
おいては吸水前と比較して保温性が向上する。本発明に
おいては、吸水後においても網状フィルムの空隙が閉鎖
されることはなかった。
【0033】<実施例3;比較例3>表4に示す割合で
配合した組成物からなる熱可塑性樹脂層(I)を用い
て、前記の方法により製造した一軸配向多層フィルム
(d)について、保温性の評価および引張強度の測定を
行った。結果を表4に示す。表4からわかるように、熱
可塑性樹脂層(I)の成分として熱可塑性親水性樹脂
(A)を使用することにより、保温性が向上する。強度
の低下はほとんど生じない。
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】本発明の一軸配向体は、熱可塑性樹脂層
(I)を基体として接着層(II)を付与する際に、樹脂
層(I)に熱可塑性親水性樹脂を配合したことにより、
成形加工性が特に良好であり、引張強度や接着強度を保
持し、しかも保温性に優れている。またこれを用いて形
成した不織布および織布も同様に優れた性状を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(イ)は縦配向網状フィルム(a)の例の部
分拡大斜視図であり、図(ロ)は図(イ)の1a部の部
分拡大斜視図である。
【図2】図(イ)は横配向網状フィルム(b)の例の部
分拡大斜視図であり、図(ロ)は図(イ)の6a部の部
分拡大斜視図である。
【図3】一軸延伸多層テープ(c)の例の部分拡大斜視
図である。
【図4】不織布A(a/a)の部分平面図である。
【図5】不織布C(c/c)の部分平面図である。
【図6】織布Dの部分斜視図である。
【図7】実施例の不織布の赤外吸収スペクトルである。
【図8】比較例の不織布の赤外吸収スペクトルである。
【符号の説明】
1 縦配向網状フィルム(a) 2 熱可塑性樹脂層(I) 3 接着層(II) 4 幹繊維 5 枝繊維 6 横配向網状フィルム(b) 7 一軸配向多層テープ(c) 8 不織布A 9 不織布C 10 織布D

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記組成を有する熱可塑性樹脂層(I)
    の両側に、該熱可塑性樹脂層(I)の樹脂よりも低い融
    点を有する接着層(II)を付与してなる保温性一軸配向
    体、 [熱可塑性樹脂層(I)の組成] 熱可塑性親水性樹脂(A)5〜50重量% オレフィン系重合体(B)95〜50重量%。
  2. 【請求項2】 配向倍率が1.1〜15である請求項1
    に記載の保温性一軸配向体。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂層(I)の厚みが20
    〜100μmであり、接着層(II)の厚みが3〜60μ
    mである請求項1に記載の保温性一軸配向体。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂層(I)に、充填剤、
    顔料および耐候剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤
    を配合してなる請求項1に記載の保温性一軸配向体。
  5. 【請求項5】 縦配向網状フィルム(a)、横配向網状
    フィルム(b)、一軸配向多層テープ(c)および一軸
    配向多層フィルム(d)から選ばれる少なくとも1種で
    ある請求項1から4のいずれかに記載の保温性一軸配向
    体。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の縦配向網状フィルム
    (a)、横配向網状フィルム(b)および一軸配向多層
    テープ(c)から選ばれる同種または異種の保温性一軸
    配向体の複数層を積層してなる不織布。
  7. 【請求項7】 前記保温性一軸配向体を配向軸が交差す
    るように積層してなる請求項6に記載の不織布。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載の一軸配向多層テープ
    (c)を織成してなる織布。
  9. 【請求項9】 前記熱可塑性親水性樹脂(A)に吸水さ
    せたことを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載
    の不織布または織布。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007216849A (ja) * 2006-02-17 2007-08-30 Inoac Corp 車両用空調ダクト

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