JPH11293348A - コイルのバッチ焼鈍方法 - Google Patents

コイルのバッチ焼鈍方法

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JPH11293348A
JPH11293348A JP11996598A JP11996598A JPH11293348A JP H11293348 A JPH11293348 A JP H11293348A JP 11996598 A JP11996598 A JP 11996598A JP 11996598 A JP11996598 A JP 11996598A JP H11293348 A JPH11293348 A JP H11293348A
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coil
stress
steel strip
batch annealing
slip
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Osamu Miyamae
収 宮前
Motoi Nishimura
基 西村
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼帯に発生する焼き付き疵とスリップ疵を共
に効果的に削減して鋼帯の製品歩留を向上することので
きるコイルのバッチ焼鈍方法を提供する。 【解決手段】 圧延処理された鋼帯11をリール12に
巻き取ってコイル13を形成し、コイル13を所定速度
で加熱冷却して、鋼帯11の歪み等の機械的性質を均一
化させるコイルのバッチ焼鈍方法において、鋼帯11に
作用するコイル半径方向の応力σr を、実験的にそれぞ
れ定められる焼き付き発生限界応力σy 以下でかつスリ
ップ発生限界応力σs 以上の範囲に設定して冷却を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧延、又は表面処
理された鋼帯を巻き取ってコイルを形成し、該コイルを
バッチ焼鈍して鋼帯の機械的性質を均一化させるための
コイルのバッチ焼鈍方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼帯が巻き付けられたコイルのバ
ッチ焼鈍においては、互いに接触する鋼帯間での焼き付
きによって焼き付き疵を生じさせたり、焼鈍後のコイル
搬送の際に巻き付けられた鋼帯の面が互いに滑ってスリ
ップ疵を生じさせたりして製品歩留を低下させる要因と
なっていた。このような鋼帯の表面欠陥を防止する方法
として、例えば特開平9−125134号公報には、
焼鈍前の鋼帯表面全体に焼き付き防止用の粉体粒子を静
電塗装したのち、鋼帯エッジ部に焼き付き防止液を噴霧
塗装してコイルに巻取り、焼鈍するコイル焼鈍時の焼き
付き防止方法が記載されている。また、特開平5−2
95453号公報にはタイトコイル(コイル)をダブル
インナーカバー型のバッチ焼鈍炉に装入して焼鈍を行う
コイルのバッチ焼鈍方法において、焼鈍における均熱終
了後の冷却速度を5.0〜15.0℃/hrとして、コ
イルの温度が再結晶温度になるまで徐冷するコイルのバ
ッチ焼鈍方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
特開平9−125134号公報に示される粉体粒子を鋼
帯表面に塗布させて焼き付きを防止する方法は、焼き付
き疵の発生を単に防止するものであって、鋼帯間の滑り
を防止するのに必要な締め付け応力を鋼帯に適正に付加
することはできず、スリップ疵に伴う製品歩留の低下を
図れないという問題があった。また、特開平5−29
5453号公報に示される均熱終了後の冷却速度を特定
範囲に制御して再結晶温度になるまで徐冷するコイルの
バッチ焼鈍方法では、鋼帯のリールへの巻き付け時に付
加される締め付け応力の効果、及び鋼帯に焼き付きや滑
りを生じさせる応力がその時点での温度に依存する効果
が適正に考慮されていないために、焼き付き疵とスリッ
プ疵の両者を効果的に抑制することが困難であるという
問題があった。本発明はこのような事情に鑑みてなされ
たもので、鋼帯に発生する焼き付き疵とスリップ疵を共
に効果的に削減して鋼帯の製品歩留を向上することので
きるコイルのバッチ焼鈍方法を提供することを目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載のコイルのバッチ焼鈍方法は、圧延処理された鋼帯
をリールに巻き取ってコイルを形成し、該コイルを所定
速度で加熱冷却して、該鋼帯の歪み等の機械的性質を均
一化させるコイルのバッチ焼鈍方法において、前記鋼帯
に作用するコイル半径方向の応力を、実験的にそれぞれ
定められる焼き付き発生限界応力以下でかつスリップ発
生限界応力以上の範囲に設定して冷却を行う。請求項2
記載のコイルのバッチ焼鈍方法は、請求項1記載のコイ
ルのバッチ焼鈍方法において、前記鋼帯の温度t(単
位:℃)における前記焼き付き発生限界応力σy (単
位:kg/mm2 )が−0.003t+3.75であ
り、前記スリップ発生限界応力σs (単位:kg/mm
2 )が0.1である。請求項3記載のコイルのバッチ焼
鈍方法は、請求項1又は2記載のコイルのバッチ焼鈍方
法において、前記コイル半径方向の応力を、前記コイル
のバッチ焼鈍を行ってから最終製品になるまでの間で切
り捨てられるコイルの巻き始めと巻き終わりとなる部分
を除いた範囲で前記焼き付き発生限界応力σy 以下とし
て、切り捨てられる前記部分を除く前記コイルを展開し
た際の下流側半分となる内巻き範囲では前記スリップ発
生限界応力σs 以上とする。
【0005】コイル半径方向の応力σr (正を圧縮応
力、負を引張応力として以下同様に定義する)とは、鋼
帯のリールへの巻き付けによって付加される巻き締め応
力σmとコイル半径rの方向の温度分布によって付加さ
れる熱応力σt との和(σr =σt +σm )である。熱
応力σt は、コイル半径rの方向の温度分布t(r)、
コイルの内外半径ri 、ro 、ヤング率E、線膨張率α
とすると式(1)により与えられる。なお、以下の第1
及び第2の積分範囲はそれぞれri 〜ro 、ri 〜rで
ある。 σt =−(αE/r2 )×(((r2 −ri 2 ) /(ro 2 −ri 2 ))×∫t(r)rdr−∫t(r)rdr) ・・・・・(1) 巻き締め応力σm は、鋼帯をリールに巻き取る時に付加
される巻取張力P(単位:kg/mm2 )とその時のコ
イル半径rによって決定される。例えば下式(2)によ
って表すことができる。但し下式の積分範囲はri 〜r
o であり、Aは実験的に求められる定数である。 σm =(∫(P/r)dr)×(1−exp(−A(r−ri ) /(ro −ri ))) ・・・・・(2) 焼き付き発生限界応力σy 、スリップ発生限界応力σs
とは、焼き付き疵及びスリップ疵を発生させる鋼帯の温
度tにおける限界応力としてそれぞれ決定することがで
きる。即ち、コイル半径方向の応力σr とその時点での
温度tとを設定してコイルの焼鈍を実験的に多数回行
い、この結果得られる冷却された鋼帯の表面状態を検
査、集計することによって決定できる。なお、焼き付き
発生限界応力σy に例えば1.0〜1.3の範囲の焼き
付き許容係数を乗じたものを焼き付き発生限界応力とし
て設定することも可能である。この場合には、軽度の焼
き付きが許容され、コイルの鋼帯間が軽度の焼き付きに
より部分的に固定されることになるので、コイル輸送時
の鋼帯間の滑りが防止でき、スリップ疵の発生を効果的
に抑制できる。コイルを展開したときの全長さを巻き始
め部分を含む外巻き半分と巻き終わり部分を含む内巻き
半分とに分けたときに、内巻き半分の領域にスリップ疵
が多発する。このため、内巻半分の領域内でしかも、最
終製品となる段階で切り捨てられる端の部分を除いた領
域で、コイル半径方向の応力をスリップ発生限界応力以
上とした。
【0006】本発明においては、この巻き締め応力σm
とバッチ焼鈍炉で付加される熱応力σt との和であるコ
イル半径方向の応力σr (=σt +σm )を、鋼帯をリ
ールに巻き取る時に付与される巻取り張力及び冷却条件
により調整して、コイル半径方向の応力σr を焼き付き
発生限界応力σy 以下でしかもスリップ発生限界応力σ
s 以上の範囲(σs ≦σr ≦σy )に調整して、焼鈍後
のコイルの鋼帯に生じる焼き付き疵とスリップ疵とを防
止するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに図1は本発明の一実施の形態
に係るコイルのバッチ焼鈍方法を適用する鋼帯処理設備
の説明図、図2(a)、(b)、(c)はそれぞれバッ
チ焼鈍炉におけるコイルの断面とコイル中の温度分布及
び応力分布の説明図、図3(a)、(b)はそれぞれコ
イル半径方向の最大応力及び最小応力と鋼帯の温度との
関係を示す図、図4はコイル半径方向位置と温度及び熱
応力との関係を示す図である。
【0008】本発明の一実施の形態に係るコイルのバッ
チ焼鈍方法を適用する鋼帯処理設備10は図1に示すよ
うに、所定の厚さと長さに圧延処理された鋼帯11の表
面を電解洗浄し、鋼帯11をリール12に巻取ってコイ
ル13を得るための電解洗浄装置14と、円筒状を呈す
るコイル13の軸心を垂直にして配置し、インナーカバ
ー15、炉カバー16を被せた状態でコイル13の焼鈍
処理を行うためのバッチ焼鈍炉17と、バッチ焼鈍され
たコイル13を再度巻き戻して調質圧延し、製品コイル
18を得るための調質圧延装置19とを有している。コ
イル13を形成する鋼帯11は、長さが約1500m、
厚みが約0.8mm、幅が約0.8mの低炭素鋼板であ
る。電解洗浄装置14は、鋼帯11を図示しない浸漬ロ
ールを介して水酸化ナトリウム溶液等の洗浄液中に連続
的に浸漬させ、鋼帯11に電圧を印加して表面に付着し
た油等の汚れを電解除去する装置である。ここで、最終
的に巻き締め応力σm が付加された状態でリール12に
鋼帯11が巻き取られて、コイル13が得られるように
なっている。
【0009】バッチ焼鈍炉17は、インナーカバー15
内に保持されたコイル13をガス加熱、あるいは電気抵
抗加熱等の手段により約700℃の所定温度に加熱して
焼鈍した後、所定の冷却速度で冷却する装置である。な
お、バッチ焼鈍炉17に装入されるコイル13は、予め
リール12を抜き取った後、コンベクタと呼ばれる載置
板20を介して2段に重ねて配置されるが、必要に応じ
て1段積みとしたり、3段以上に重ねて配置することも
できる。また、載置板20とコイル13の底面との間に
セラミックのファイバーからなる断熱材を配置して、上
下方向の断熱性を高めることによりコイル13の温度分
布を均一化させ、熱応力の発生を抑制させることもでき
る。調質圧延装置19は、調圧ロール21によって鋼帯
11に機械的に張力又は圧力を付加しながら展開して、
巻き取ることにより残留応力、歪みなどを除去して機械
的性質の均一化された製品コイル18を得るための装置
である。
【0010】続いて前記鋼帯処理設備10に適用する本
発明の一実施の形態に係るコイルのバッチ焼鈍方法につ
いて説明する。まず、鋼帯11は電解洗浄装置14で表
面の汚れが除去され、リール12で巻き取られる。この
時にコイル13に付加される巻き締め応力σm は前記
(2)式で与えられる。即ち、巻き締め応力σm を巻取
張力P及びコイル半径rの関数として決定することがで
きる。次に、この巻き締め応力σm が予め付加されたコ
イル13を図1に示すようにバッチ焼鈍炉17のインナ
ーカバー15内に2段重ねにして装入し、約700℃ま
で昇温し、所定の時間保持した後、所定の冷却条件で冷
却する。この冷却に伴ってコイル13の半径方向に図2
(b)に示すように温度分布t(r)が生じるために、
鋼帯11の各部分で前記式(1)で決定されるような熱
応力σt が発生することになる。本実施の形態において
は、前記巻き締め応力σm と前記熱応力σt との和であ
るコイル半径方向の応力σr が、予め設定される焼き付
き発生限界応力σy 以下で、しかもスリップ発生限界応
力σs 以上の範囲となるようにして冷却を行うものであ
る。この焼き付き発生限界応力σy (単位:kg/mm
2 )とスリップ発生限界応力σs (単位:kg/m
2 )はそれぞれ温度t(単位:℃)の関数として実験
的に定めることが可能であり、本実施の形態において
は、後述する実験結果に基づいてσy =−0.003t
+3.75、σs =0.1として設定している。
【0011】図3(a)は鋼帯11のバッチ焼鈍を行っ
てから最終製品になるまでの間で切り捨てられるコイル
の巻き始めと巻き終わりとなる部分を除いたL1 〜(L
−L1 )間の各任意位置での温度t及び応力σrmax(最
大の応力σr )との関係を、図3(b)は全体の長さが
Lであり、最終製品となる過程で切り捨てられる両端の
長さがそれぞれL1 である鋼帯11の内巻き側のL1
L/2間の任意位置での温度t及び応力σrmin(最小の
応力σr )との関係を設定してバッチ焼鈍を行って最終
的に得られる製品コイル18における焼き付き疵とスリ
ップ疵との発生状況を実験的に求めたグラフである。図
3(a)では、σy =−0.003t+3.75で表さ
れる直線Aの上側領域では焼き付き疵が発生し、図3
(b)のσs =0.1で表される直線Bの下側領域では
スリップ疵が発生することを示しており、実験を多数回
繰り返し行うことによってこのような各領域の範囲を確
定することが可能である。なお、図中の記号:○は、鋼
帯をリールに巻き取る時に付与される巻取り張力を3k
g/mm2 とし、冷却時に炉カバー16及びインナーカ
バー15を用いた時の例であり、記号:△は巻取り張力
を4kg/mm2 とし、冷却時に炉カバー16及びイン
ナーカバー15を用いた時の例を、また、記号:□は巻
取り張力を4kg/mm2 とし、冷却時にインナーカバ
ー15のみを用いた時の例を示している。図2(c)に
示すように前記コイル半径方向の応力σr が常時、L1
〜(L−L1 )の範囲ではσr ≦σy 、L1 〜L/2の
範囲ではσr ≧σs の関係を満たすように鋼帯をリール
に巻き取る時に付与される張力及び冷却条件を設定して
コイル13の冷却を行うことによって、焼き付き疵やス
リップ疵のない鋼帯11を有した製品コイル18の製造
が可能となる。本実施の形態では鋼帯をリールに巻き取
るときの張力及び炉カバー16の有無による冷却条件の
変更により熱応力を変化させコイル半径方向の応力σr
を調整することを可能にする。ここで、冷却条件の設定
とは、例えば、コイル13の内面におけるファンを用い
た強制冷却の実施や、載置板20に使用する材料及び形
状の選択、及びバッチ焼鈍炉17内の雰囲気温度の降下
速度調整等が該当する。このように、コイル半径方向の
応力σr が常時、L1 〜(L−L1 )の範囲ではσr
σy 、L1 〜L/2の範囲ではσr ≧σs の関係を満た
すような鋼帯をリールに巻き取る時に付与される張力及
び冷却条件を予め設定しておけば、以降はこの張力条件
に従って、バッチ焼鈍を行うことができる。
【0012】バッチ焼鈍炉17で熱処理されたコイル1
3は、調質圧延装置19で展開された後、製品コイル1
8となって再び巻き取られるが、この搬送の間で円筒形
のコイル13の軸が垂直方向から水平方向に倒されるた
めに、この間で鋼帯11間に滑りが生じ易くなる。しか
し、本実施の形態においては、予め所定範囲の応力σr
がコイル13に付与されており、また、必要に応じて適
度の焼き付き状態を保持させることもできるので、予期
しない過大な負荷が生じた場合にもこのような滑りが抑
制され、スリップ疵の発生を効果的に防止できる。
【0013】
【実施例】図4の上側はコイル13の半径方向及び高さ
方向の複数箇所に熱電対を配置して、冷却中のコイル1
3の各部での温度分布t(r)を測定した結果であり、
図4の下側は前記半径方向位置に対応する熱応力σt
計算結果を示している。なお、コイル13の内半径ri
は356mm、外半径roは約770mmであり、高さ
が約1800mmに形成されている。図4において、記
号:○はその軸が垂直となるように配置されたコイル1
3の上端から200mm下方位置での測定データを、記
号:△は高さの中間位置における測定データを、また記
号:□は下端から200mm上方位置での測定データが
示されている。ここでバッチ焼鈍炉17における消火
後、即ち焼鈍温度での保持終了後から4時間後のデータ
が示されている。図4に示されるように、熱応力σt
最大値は、コイルの外巻き付近に、最小値はコイルの内
巻き付近に発生することが分かる。上記付近のコイル半
径方向の応力σr を重点的に把握することによって、前
記焼き付き疵及びスリップ疵の鋼帯11への発生を効果
的に防止できる。このような実験の積み重ねによって、
コイル半径方向の応力σr (巻き締まり力)が最大とな
る位置はコイル13の外周面からコイル肉厚の約1/4
深さの位置であり、かつ載置されるコイル13の下面付
近であることが分かる。この位置は焼き付き疵の多発位
置と一致している。従って、焼き付き疵に限定すれば、
コイル半径方向の応力σr が最大となる位置、即ち前記
焼き付き疵の多発位置の温度を重点的に管理して、応力
σr が焼き付き発生限界応力σy 以下となるようにし
て、より効果的に焼き付き疵の発生を防止することも可
能である。
【0014】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。例えば、本実施の形態においては、焼き付
き発生限界応力σy 、及びスリップ発生限界応力σs
して特定の関係式を用いる場合について示したが、各発
生限界応力は必ずしもこれらの関係式のものに限定され
るものではない。また、焼き付き発生限界応力σy の値
を実際の値より大きめに設定しておくことにより、鋼帯
間の若干の焼き付きを許容させることも可能である。
【0015】
【発明の効果】請求項1〜3記載のコイルのバッチ焼鈍
方法においては、鋼帯に作用するコイル半径方向の応力
を、実験的にそれぞれ定められる焼き付き発生限界応力
以下でかつスリップ発生限界応力以上の範囲に設定して
冷却を行うので、焼き付き疵とスリップ疵の発生を効果
的に抑制することができ、鋼帯の製品歩留を向上させる
ことができる。特に、請求項2記載のコイルのバッチ焼
鈍方法においては、焼き付き発生限界応力、及びスリッ
プ発生限界応力を鋼帯の温度にかかる特定の関係式を用
いて冷却を行うので、焼き付き疵とスリップ疵との発生
をさらに効果的に抑止することができる。請求項3記載
のコイルのバッチ焼鈍方法においては、コイル半径方向
の応力を特定範囲の応力に限定しているので、無駄なく
効率的にコイルの製造管理を行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るコイルのバッチ焼
鈍方法を適用する鋼帯処理設備の説明図である。
【図2】(a)、(b)、(c)はそれぞれバッチ焼鈍
炉におけるコイルの断面斜視図とコイル中の温度分布及
び応力分布の説明図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれコイル半径方向の最
大応力及び最小応力と鋼帯の温度との関係を示す図であ
る。
【図4】コイル半径方向位置と温度及び熱応力との関係
を示す図である。
【符号の説明】
10 鋼帯処理設備 11 鋼帯 12 リール 13 コイル 14 電解洗浄装置 15 インナー
カバー 16 炉カバー 17 バッチ焼
鈍炉 18 製品コイル 19 調質圧延
装置 20 載置板 21 調圧ロー

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延処理された鋼帯をリールに巻き取っ
    てコイルを形成し、該コイルを所定速度で加熱冷却し
    て、該鋼帯の歪み等の機械的性質を均一化させるコイル
    のバッチ焼鈍方法において、 前記鋼帯に作用するコイル半径方向の応力を、実験的に
    それぞれ定められる焼き付き発生限界応力以下でかつス
    リップ発生限界応力以上の範囲に設定して冷却を行うこ
    とを特徴とするコイルのバッチ焼鈍方法。
  2. 【請求項2】 前記鋼帯の温度t(単位:℃)における
    前記焼き付き発生限界応力σy (単位:kg/mm2
    が−0.003t+3.75であり、前記スリップ発生
    限界応力σs (単位:kg/mm2 )が0.1である請
    求項1記載のコイルのバッチ焼鈍方法。
  3. 【請求項3】 前記コイル半径方向の応力を、前記コイ
    ルのバッチ焼鈍を行ってから最終製品になるまでの間で
    切り捨てられるコイルの巻き始めと巻き終わりとなる部
    分を除いた範囲で前記焼き付き発生限界応力σy 以下と
    して、切り捨てられる前記部分を除く前記コイルを展開
    した際の下流側半分となる内巻き範囲では前記スリップ
    発生限界応力σs 以上とする請求項1又は2記載のコイ
    ルのバッチ焼鈍方法。
JP11996598A 1998-04-13 1998-04-13 コイルのバッチ焼鈍方法 Withdrawn JPH11293348A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013100191A1 (ja) 2011-12-28 2013-07-04 Jfeスチール株式会社 コイル用バッチ焼鈍炉
JP2013181210A (ja) * 2012-03-01 2013-09-12 Jfe Steel Corp 金属帯コイルの焼鈍方法および焼鈍炉

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