JP2013181210A - 金属帯コイルの焼鈍方法および焼鈍炉 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属帯をコイル状に巻いた金属帯コイルをインナーカバーで覆い、該インナーカバーからの輻射熱によって上記金属帯コイルを焼鈍するに際し、上記焼鈍の少なくとも加熱処理の前半は、上記金属帯コイル内周面への輻射熱を遮断する一方、冷却処理中は、該遮断を解放する。
【選択図】図3
Description
この方法は、金属帯をそのままの状態で熱処理する連続焼鈍に比べ、全体の厚みがより大きくなるコイル状態で焼鈍するため、内部に熱が浸透するまでに比較的長い時間を要する。そのため、必然的にコイル全体の温度が不均一となり、熱応力が発生する。
この熱応力はコイル端部の形状不良や幅方向中心の腹伸びなど様々な形状不良の原因となる。また、コイル半径方向の圧縮荷重により、金属帯が擦れて擦り傷が発生することもある。特に、高温での熱処理では上記したような問題が生じやすい。
まず、コイル炉床側では、自重が作用して端部が波打った形状となる。そのメカニズムは、以下のとおりである。
(1)加熱処理時はインナーカバーからの輻射熱を最も受けやすいコイルの外巻が、最も温度上昇が速く、従って、熱膨張するタイミングも最も早い。
(2)コイルは張力をかけてきつく巻き取っているため、帯同士の摩擦が働き、熱膨張した外巻につられて中巻、内巻が持ち上がる。すなわち、図1に示すように、コイル1は、図1(a)に示す状態から、図1(b)に示すような中巻、内巻が炉床2から持ち上がった状態になる。
(3)つまり、外巻がコイル全体を持ち上げることで、自重が炉床側外巻部に集中し形状不良となる。
(i)コイルの半径方向の温度分布について検討すると、コイル内周面はインナーカバー上面からの輻射熱を受けるため、コイル内巻の温度上昇はコイル外巻ほどではないが比較的速い。それに対して、コイル中巻きは輻射熱を受けないため、温度上昇は最も遅い。
(ii)従って、コイル中巻きは熱膨張するタイミングが最も遅くなる。
(iii)そのため、コイル内巻が熱膨張しようとしても、コイル中巻はまだ熱膨張していないため、コイル内巻の膨張を妨げることとなる。
(iv)かようにして、コイル半径方向に膨張できないコイル内巻には、コイル円周方向に非常に強い応力が発生し、場合によってはコイル中心部に向かって座屈するのである。
そのような方法として、例えば、特許文献1には、焼鈍炉の側壁に沿って高さ方向に複数設置したバーナーの出力を制御することにより、インナーカバーの高さ方向の温度分布を調整してインナーカバーからの輻射熱のバランスをとり、それによりコイルの高さ方向の温度分布を制御する技術が開示されている。
しかしながら、上述したようなバーナー出力制御では、インナーカバー上面の温度を低下させることは実質的に不可能であった。
すなわち、コイル焼鈍炉は加熱効率の観点から内部空間が狭い設計となっていることが多く、そのため、雰囲気ガスが速やかに拡散、混合するため、インナーカバー内に十分な温度勾配が生じにくい。また、内部空間が広い設計とした場合は、炉温の上昇に時間がかかるため生産効率の低下を招く。
しかしながら、最終的な金属帯形状への影響がより大きい冷却処理時に、断熱材3がコイル内周面4の熱放散を妨げてしまうこととなる。コイル内巻の熱収縮タイミングが遅れると、熱収縮の順序は外巻、中巻、内巻となるが、この場合、加熱時とは逆に外巻の熱収縮を中巻きが、中巻きの熱収縮を内巻が妨害する巻き締まりが生じ、様々な不良を招くこととなる。
すなわち、加熱処理時に輻射熱を遮断することのできる断熱材3は、冷却処理時には熱放散を妨げて悪影響を及ぼしてしまうのである。
1.金属帯をコイル状に巻いた金属帯コイルをインナーカバーで覆い、該インナーカバーからの輻射熱によって上記金属帯コイルを焼鈍するに際し、上記焼鈍の少なくとも加熱処理の前半は、上記金属帯コイル内周面への輻射熱を遮断する一方、冷却処理中は、該遮断を解放することを特徴とする金属帯コイルの焼鈍方法。
上記インナーカバーから上記金属帯コイル内周面に向かう輻射熱を遮断するための熱遮断材を、遮断位置と退避位置との間で移動可能に設置してなることを特徴とする焼鈍炉。
(第1実施態様)
まず、本発明に係る金属帯コイルの焼鈍方法の第1実施態様について、図3を用いて説明する。図3(a)は、本発明に係る金属帯コイルの焼鈍方法の第1実施態様に従い、輻射熱を遮断している状態を示す。図3(b)は、本発明に係る金属帯コイルの焼鈍方法の第1実施態様に従い、輻射熱の遮断を解放した状態を示す。
図中、1は金属帯コイル、5はパイプ状断熱材、6は支持部材をそれぞれ示す。なお、図2に示した構成と同一の構成は同一の符号を付して示す。
上記した輻射熱の遮断は、具体的には、図3(a)に示したように、パイプ状断熱材5を支持部材6によりコイル中央部空間へ挿入することによって行なう。
また、上記した輻射熱の遮断の解放は、パイプ状断熱材5を図3(b)に示したように床下に収納することによって行なう。なお、逆に上方へスライドさせるようにしても良い。
なお、輻射熱の遮断を解放するタイミングは、焼鈍の加熱処理終了時としても良いが、加熱処理の後半とすることが好ましい。特に好ましくは、目標温度に対して80〜85%の温度に達した時点である。輻射熱の遮断を解放するタイミングを加熱処理の後半とする理由は、加熱処理の後半になればコイル1の温度は設定炉温に漸近するように緩やかに上昇するようになるため、この時間帯はコイル1内の温度差が大きくなるおそれがないからであり、また、温度が上昇すると熱応力が緩和されやすいからでもある。
次に、本発明に係る金属帯コイルの焼鈍方法の第2実施態様について、図4を用いて説明する。図4(a)は、本発明に係る金属帯コイルの焼鈍方法の第2実施態様に従い、輻射熱を遮断している状態を示す。図4(b)は、本発明に係る金属帯コイルの焼鈍方法の第2実施態様に従い、輻射熱の遮断を解放した状態を示す。
図中、7は板状断熱材、8は支持部材、9はインナーカバー、10はスリットをそれぞれ示す。
また、上記した輻射熱の遮断を解放するためには、板状断熱材7を図4(b)に示したように炉壁側へスライドさせることが好ましい。また、これに代えて、図5に示すように、板状断熱材7を上下にスライドさせるようにしても良い。
また、図4に示したところにおいて、板状断熱材7の形状は特に限定されないが、コイル1に対称的な温度分布を生じさせる観点から、図示のような円板状とすることが最適である。円板状とした場合の直径は、コイル厚さをt(=コイル外径−コイル内径)とした場合、{コイル内径+(0.1〜0.6)t}とすることが好ましい。より好ましくは{コイル内径+(0.2〜0.4t)}である。
円板状とした場合の直径が(コイル内径+0.1t)未満だと熱遮断効果が十分でなく、一方(コイル内径+0.6t)を超えるとコイル1上面からコイル1内部への入熱が減少し、加熱処理に要する時間の延長を招いてしまうからである。
長さ3000 m、重量10 t の鉄板からなるコイルに対して実機による実験を行なった。
具体的には、焼鈍の加熱処理、均熱処理および冷却処理を図6に示すように順次行なった。加熱処理においては、炉温を620℃まで上昇させて、コイル断面中心(図3(a)にPで示す位置)に設置した熱電対の測定温度が600℃になった時点で加熱終了とした。その後、炉温を620℃で10時間維持(均熱処理)し、次いで冷却処理を開始した。冷却終了時間は上記熱電対の測定温度が100℃に低下した時間とした。
具体的条件を、表1にNo.1〜5で示す。
以上の各実機により上述した熱処理を行ない、コイルの欠陥(形状不良または擦り傷)発生長さ、ならびに加熱処理および冷却処理の所要時間を調査した。
その結果を表2に示す。
発明例1のNo.3では、欠陥発生長さは非常に短く、従来例に比べ10時間焼鈍時間は延びたものの、生産性は大きく改善された。発明例2のNo.4では、欠陥を完全に防止することができた。さらに、発明例3のNo.5では、欠陥の発生を完全に防止することができただけでなく、加熱処理時間を従来例と同等に維持することができた。
No.3とNo.4の比較から、パイプ状断熱材を用いるよりも、コイル内巻への輻射熱を完全に遮断できる板状断熱材を用いる方がより顕著な効果が得られることが分かる。また、No.2とNo.4の比較から、欠陥を低減するためには冷却処理中は輻射熱の遮断を解放することが重要であることが分かる。
以上の実施例により、本発明に従う金属帯コイルの焼鈍方法および焼鈍炉によれば、金属帯コイル内の温度分布を適正化して形状不良および擦り傷の発生を確実に防止できることが確認された。
2 炉床
3 断熱材
4 コイル内周面
5 パイプ状断熱材(熱遮断材)
6 支持部材
7 板状断熱材(熱遮断材)
8 支持部材
9 インナーカバー
10 スリット
Claims (4)
- 金属帯をコイル状に巻いた金属帯コイルをインナーカバーで覆い、該インナーカバーからの輻射熱によって上記金属帯コイルを焼鈍するに際し、上記焼鈍の少なくとも加熱処理の前半は、上記金属帯コイル内周面への輻射熱を遮断する一方、冷却処理中は、該遮断を解放することを特徴とする金属帯コイルの焼鈍方法。
- 金属帯をコイル状に巻いた金属帯コイルを覆うと共に、輻射熱を放射して該金属帯コイルを加熱処理するためのインナーカバーを備える焼鈍炉において、
上記インナーカバーから上記金属帯コイル内周面に向かう輻射熱を遮断するための熱遮断材を、遮断位置と退避位置との間で移動可能に設置してなることを特徴とする焼鈍炉。 - 前記熱遮断材が、コイル中央部空間への昇降移動可能なパイプ状断熱材であることを特徴とする請求項2に記載の焼鈍炉。
- 前記熱遮断材が、コイル中央部空間の上面への水平移動または上下移動可能な板状断熱材であることを特徴とする請求項2に記載の焼鈍炉。
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