JP3932947B2 - ロール表面手入れ装置及びロール表面手入れ方法 - Google Patents

ロール表面手入れ装置及びロール表面手入れ方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯状体の製造ラインのロール表面手入れ装置及び手入れ方法に関するものであり、特に熱処理炉内の帯状体の搬送ロール表面の手入れに好適なロール表面手入れ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板等の帯状体の製造ラインにおいては、帯状体の搬送ロールや方向転換用ロールとして、金属製、樹脂製、ゴム製等のロールが用いられている。これらのロール表面に異物が付着すると、帯状体とロールとの間に異物が噛み込まれ、帯状体の表面に押し疵が転写されて、品質欠陥の原因となる。
【0003】
例えば、冷延鋼板の製造においては、鋼板の機械的特性(強度,延性,加工性等)を得るために鋼板に熱処理を施す。連続焼鈍炉で鋼板の熱処理を行う場合、鋼板を高温の焼鈍炉内で搬送ロールを介して通板すると、搬送ロール表面に酸化物等の異物が付着堆積し、いわゆるピックアップを形成する。図8は、搬送ロールへ形成されたピックアップと、鋼板に発生した押疵の様子を示したものであるが、この搬送ロール11へ形成されたピックアップ21が通板する鋼板12の表面に押し込まれると、凹状の押疵22となり、鋼板品質に著しい悪影響を及ぼすことが知られている。
【0004】
従来から、このピックアップ防止対策について、様々な検討が行われてきた。例えば、搬送ロールへの異物付着防止対策としては、搬送ロールの材質、表面粗度或いは溶射等の表面処理など、搬送ロール自体に関する検討が数多く行われている。また、焼鈍炉内雰囲気からの対策も検討されており、特開平11−158559号公報などでは、ピックアップが発生しないような炉内雰囲気ガスの適性条件(露点等)が提案されている。
【0005】
しかし、これらの対策は主に鋼板に異物の発生原因(発生源)があることを前提とした対策であるが、炉壁が剥がれて飛来したり、生成原因が不明な異物が付着している場合もある。したがって、上記の対策により一定のピックアップ防止効果を得ることはできても、搬送ロールへの異物付着を完全に防止することは困難である。
【0006】
このため、搬送ロールへの異物付着を防止するのではなく、搬送ロールへ付着した異物を除去することにより、鋼板への押し疵を防止する方法も種々検討されている。このようなロールへ付着した異物をオンラインで機械的に除去する装置としては、ドクターブレードと称されている装置が一般的に知られている。特許第3231576号公報や、特開平10−193220号公報に記載されている装置がその一例である。これらの装置は、ブレード状の刃をロール表面に接触させ、ロール自身の回転によってブレード刃がロール表面を掻き、異物を除去するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
冷延鋼板製造における連続焼鈍ラインは、通常、数週間から数ヶ月間の連続操業を行い、その間は炉の停止・開放は行わない。したがって、炉内は長期間にわたり高温で維持されることとなり、炉内の場所や焼鈍する鋼板の種類によっては800℃以上で長時間維持される場合もある。
【0008】
ドクターブレードによりロール表面の異物を除去するためには、ブレード刃とロール表面が異物除去に理想的で安定な接触状態で保持されることが望ましい。しかし、ブレード刃やブレードの固定冶具、さらには架台などには、上記のような高温環境下で長時間曝されることにより、高温クリープ変形と呼ばれる熱変形が生じる。「熱ダレ」とも呼ばれるこれらの熱変形が重力方向や接触反力方向に生じることにより、ブレード刃とロール表面との接触状態は次第に理想的な状態ではなくなる。すなわち、「熱ダレ」によりブレード刃のロールへの接触状態が幅方向に不均一となり、また異物除去効果を発揮するのに十分なブレード刃の押し付け圧力が得られなくなる。さらに変形が進むと、ブレード刃がロール表面から浮き上がり、異物除去の機能を全く果たせなくなる。あるいは、ブレード刃が変形によりロール表面に対して立ってしまい、ロールを傷つける場合すらある。
【0009】
このため、ブレード刃や固定冶具などへ耐熱素材を採用する工夫もなされてきたが、金属材料である限り、いかなる耐熱材料を用いたとしても高温クリープ変形を完全に防止することはできない。あるいは、セラミック系材料を用いれば耐熱性もあり、クリープ変形も金属材料に比べて小さいが、剥離や割れなどが生じやすく、機械的特性が良くないという問題がある。さらに、上記の特許第3231576号公報や、特開平10−193220号公報に記載されている装置では、ロール表面への押し付け力を調整するための工夫が施されているが、ブレード刃自体がクリープ変形を起こしてしまっては、その効果は発揮できない。
【0010】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、鋼板の製造における連続焼鈍炉内のような長時間高温に曝される環境下で使用されるロールに対しても、異物の付着防止或いは異物の除去機能を長期間にわたり発揮することができるロール表面手入れ装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、高温環境下でも長期間にわたり効果的にロール表面手入れを行うことができる装置について、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果得られたものであり、以下のような特徴を有する。
【0012】
(1)表面手入れすべきロールに対向して、該ロールの軸線に沿って設けられる回転自在な支持軸と、該支持軸の長手方向に沿って設けられる弾性変形可能な薄肉部材からなり、前記ロールとの接触による弾性変形により薄肉部材の一部がロール面と圧接状態で面接触する異物掻取手段と、前記支持軸を回転駆動させる駆動手段とを備えるとともに、異物掻取手段を構成する薄肉部材が、支持軸の外側に適当な間隔をもって外装される薄肉筒体からなり、該薄肉筒体を前記支持軸に対して弾性変形可能な保持手段により保持したことを特徴とするロール表面手入れ装置。
【0015】
)異物掻取手段を構成する薄肉部材が、開孔を有することを特徴とする上記(1)に記載のロール表面手入れ装置。
【0016】
)異物掻取手段が支持軸の軸方向に複数個に分割されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のロール表面手入れ装置。
【0017】
)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のロール表面手入れ装置を用い、該ロール表面手入れ装置の異物掻取手段を連続的又は間欠的に表面手入れすべきロール表面に圧接状態で面接触させることを特徴とするロール表面手入れ方法。
【0018】
)表面手入れすべきロールが熱処理炉内の搬送ロールであることを特徴とする上記()に記載のロール表面手入れ方法。
【0019】
)帯状体の熱処理を行う帯状体の製造方法において、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のロール表面手入れ装置を帯状体の熱処理炉に設け、前記ロール表面手入れ装置により連続的又は間欠的に熱処理炉内の搬送ロールを手入れしつつ帯状体を前記搬送ロールにより熱処理炉内を搬送することを特徴とする帯状体の製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係るロール表面手入れ装置の一例を示す斜視図である。
【0021】
本実施形態のロール表面手入れ装置は、回転する支持軸1、該支持軸1に装着されるスリーブ2、該スリーブ2の外周に片側端部が固定された弾性変形可能な薄板材3、前記支持軸1を回転駆動させる駆動手段(図示せず)により構成されている。支持軸1とスリーブ2とは相対的に回転しないよう、キー等により固定されている。薄板材3は、異物掻取手段として、表面手入れすべき対象のロールと接触する部分であり、片側端部(基端部)がスリーブ2の外周へ固定され、反対側の端部をスリーブ2に対して外側へ向けて設けられている。この薄板材3としては金属薄板を用いるのが汎用的であり、その設置枚数は、スリーブ2の円周方向に1枚でも複数枚であってもよい。また、薄板材3は、図6に示すような開孔を有していることが望ましい。
【0022】
スリーブ2と薄板材3とは、異物掻取手段ユニットを構成する。そして、特に手入れ対象ロールがロールクラウンを有する場合等には、異物掻取手段ユニットが支持軸1の軸方向に複数に分割されていることが望ましい。
【0023】
なお、スリーブ2は軸方向に一体とし、薄板材3のみがスリーブ2の軸方向に分割されていてもよい。また、スリーブ2を不要或いは支持軸1と一体とし、薄板材3が支持軸1へ直接固定されていてもよい。
【0024】
次に、以上のように構成された本実施形態に係るロール表面手入れ装置の動作を、図2を用いて説明する。
【0025】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るロール表面手入れ装置によるロール表面手入れの状況説明図である。ロール表面手入れ装置の支持軸1は、本装置により表面手入れすべき対象である帯状体12を搬送する搬送ロール11の外周面に対向して、その軸線に沿って所定の間隔をおいて配置される。そして、異物掻取手段である薄板材3が搬送ロール11との接触により弾性変形し、搬送ロール11の外周面と圧接状態で面接触するようにする。
【0026】
図2において、帯状体12が本図に示す方向に搬送される際、搬送ロール11は矢印の方向に回転する。この回転方向を正転と定義するとき、ロール表面手入れ装置の支持軸1は、正転・逆転のいずれかの方向に回転させる。この支持軸1の回転は、支持軸1の一方向への変形を相殺するために与えるものであり、特に熱処理炉内において支持軸1が高温クリープ変形により重力方向あるいは接触反力方向へ変形することを抑制するためのものである。したがって、支持軸1の回転速度は低速で回転させれば十分であり、支持軸1の一方向への高温クリープ変形を抑制することができる。帯状体の搬送ロール11の回転による周速度は高速であるため、それに対して支持軸1を十分に低速で回転させれば、支持軸1の回転方向によらず、薄板材3は相対的に同じ向きで接触する。
【0027】
異物掻取手段である薄板材3は、弾性変形可能であるために搬送ロール11と圧接状態で面接触する。その際の接触力は、薄板材3の材質や板厚等により調整可能である。したがって、搬送ロール11の表面を効果的に研磨し、搬送ロール11の表面に付着した異物を除去し、あるいは異物の成長を妨げることができる。その際、薄板材3に図6に示すような開孔処理を施してあると、この開孔による異物の研削効果が得られ、ロール表面手入れ性能がより向上する。開孔部のパターンは特に限定されるものではなく、搬送ロール11の材質や異物付着状況などに応じて、適宜定めればよい。
【0028】
また、搬送ロール11は、通板性を確保する等の理由によりロールクラウンを付与されていたり、また熱処理炉等の搬送ロールであれば熱クラウンが発生する場合も多い。このような場合には、薄板材3が支持軸の軸方向に分割されていると、ロールクラウンがある場合でも、軸方向ほぼ均一にロール表面の手入れを行うことができる。
【0029】
[第2の実施形態]
図3は本発明の第2の実施形態に係るロール表面手入れ装置の一例を示す斜視図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0030】
本実施形態のロール表面手入れ装置は、支持軸1、該支持軸1に装着されるスリーブ2、該スリーブ2の外側に適当な間隔をもって外装される弾性変形可能な薄肉筒体4、前記スリーブ2へ前記薄肉筒体4を固定する円周方向に複数設けられた弾性変形可能な保持手段5、前記支持軸1を回転駆動させる駆動手段(図示せず)により構成されている。薄肉筒体4は、異物掻取手段として、手入れ対象のロールと接触する部分である。図3では弾性変形可能な保持手段5として板バネを用いた場合を示しているが、このように薄肉筒体4は弾性変形可能な保持手段5によりスリーブ2へ固定されているため、スリーブ2の外周面との間隔が円周方向で伸縮自在となっている。この薄肉筒体4としては金属薄肉円筒を用いるのが汎用的であり、また、薄肉筒体4は図6に示すような開孔を有していることが望ましい。
【0031】
スリーブ2と薄肉筒体4とは、異物掻取手段ユニットを構成する。そして、特に手入れ対象ロールがロールクラウンを有する場合等には、異物掻取手段ユニットが支持軸1の軸方向に複数に分割されていることが望ましい。
【0032】
なお、スリーブ2は軸方向に一体とし、薄肉筒体4及び保持手段5のみがスリーブ2の軸方向に分割されていてもよい。また、スリーブ2を不要或いは支持軸1と一体とし、薄肉筒体4が保持手段5を介して支持軸1へ固定されていてもよい。
【0033】
次に、以上のように構成された本実施形態に係るロール表面手入れ装置の動作を、図4を用いて説明する。
【0034】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るロール表面手入れ装置によるロール表面手入れの状況説明図であり、図2と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0035】
図4において、ロール表面手入れ装置の支持軸1は、異物掻取手段である薄肉筒体4が搬送ロール11との接触により弾性変形し、搬送ロール11の外周面と圧接状態で面接触するように設置される。ロール表面手入れ装置の支持軸1は、第1の実施形態と同様に、正転・逆転のいずれかの方向に低速で回転させる。
【0036】
異物掻取手段である薄肉筒体4は弾性変形可能であり、またスリーブ2へ固定された弾性変形可能な保持手段5により支えられているため、搬送ロール11と圧接状態で面接触する。その際の接触力は、薄肉筒体4の材質や板厚等、或いは弾性変形可能な保持手段5の弾性力や設置個数により調整可能である。したがって、搬送ロール11の表面を効果的に研磨し、搬送ロール11の表面に付着した異物を除去し、あるいは異物の成長を妨げる。その際、薄板材3に図6に示すような開孔処理を施してあると、ロール表面手入れ性能がより向上する。
【0037】
また、薄肉筒体4が支持軸1の軸方向に分割されていると、搬送ロール11にロールクラウンがある場合でも、軸方向ほぼ均一にロール表面の手入れを行うことができる。
【0038】
なお、[第1の実施形態]および[第2の実施形態]において、本発明のロール表面手入れ装置を高温の熱処理炉内で用いる場合であっても、支持軸1の材質は、耐熱性を有するSUS系の材料や耐熱鋼で十分である。仮に、炉内温度がその材料の耐熱温度を超えたとしても、支持軸1自体の回転によって、熱変形が相殺されるため、本装置のロール表面手入れ機能は損なわれない。また、薄板材3や薄肉筒体4には繰返しの弾性変形が加わることとなるが、SUSやインコネル等の通常入手できる耐熱金属材料を使用すれば十分である。なお、本発明のロール表面手入れ装置の使用条件によっては、例えばセラミックバネ等の他の素材を選択してもよい。
【0039】
また、これらの実施形態において、異物掻取手段である薄板材3や薄肉筒体4は、搬送ロール11の軸方向全長に渡り配置していたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。すなわち、これらの搬送ロール11の全長に対して常時ロール表面手入れをする必要がない場合には、図5に示すような装置構成としてもよい。本図において、薄板材3や薄肉筒体4を備えた異物掻取手段ユニット6は、搬送ロール11の軸方向の一部分を手入れするものであり、支持軸1へ軸方向に移動可能に設けられている。そして、常時あるいは必要に応じて異物掻取手段ユニット6を支持軸1の軸方向へ移動させながら、搬送ロール11の手入れを行うことができる。
【0040】
さらに、本発明の異物掻取手段は、図1に示した薄板材3や、図3に示した薄肉筒体4に限定されるものではない。すなわち、弾性変形可能な薄肉部材であって、表面手入れすべきロールとの接触により弾性変形し、この薄肉部材の一部がロール表面と圧接状態で面接触するような部材であればよい。図7はロール表面手入れ装置の他の実施形態の例を示したものであるが、(a)は薄肉筒体からなる薄肉部材7をスリーブ2の外周に複数設けたものであり、(b)は薄板材からなる薄肉部材7の両端部をスリーブ2の外周に固定したものである。本図に例示するように、薄肉部材7を様々な位置及び形状に取り付けた異物掻取手段が考えられる。
【0041】
また、これらの実施形態において、ロール表面の手入れは連続的に行ってもよいが、支持軸1を搬送ロール11に対して退避可能に設け、定期的にあるいはロールの異物付着状況を見ながら、間欠的にロール表面手入れを行ってもよい。
【0042】
【実施例】
本発明例1として図1に示した薄板材3を、また本発明例2として図3に示した薄肉筒体4を、それぞれ異物掻取手段とするロール表面手入れ装置を製作した。
【0043】
支持軸1及びスリーブ2はSUS製とし、薄板材3、薄肉筒体4及び弾性変形可能な保持手段5としての板バネは、板厚0.1mmのインコネル625を素材とした。なお、薄板材3及び薄肉筒体4には、図6(a)に示すような開孔処理を施した。孔の直径は2.5mmで、4mmピッチの千鳥配置とした。
【0044】
また、本発明例1,2ともに、異物掻取手段ユニット6は単体で幅50mmとした。この異物掻取手段ユニット6を支持軸1の軸方向に50個並べ、後述する手入れ対象ロールの幅2500mmの全幅を同時に手入れできるようにした。
【0045】
本発明例1の装置は、長さ80mmの薄板材3を、外径100mmのスリーブ2の円周方向に4枚取り付けた。
【0046】
本発明例2の装置は、外径100mmのスリーブ2を囲む直径180mmの薄肉筒体4を、スリーブ2の円周方向に4枚の板バネ(弾性変形可能な保持手段5)を介してスリーブ2に取り付けた。板バネの長さは80mmである。なお、板バネと薄肉筒体4との接合は、レーザースポット溶接とした。
【0047】
次に、これらのロール表面手入れ装置を冷延鋼板の連続焼鈍ラインへ適用し、焼鈍炉内の搬送ロールの手入れを行った。それぞれのロール表面手入れ装置の設置状況は、図2(本発明例1)及び図4(本発明例2)に示す通りである。ここで、支持軸1の軸中心と表面手入れすべき対象の搬送ロール11の外周面との距離は約80mmであり、本装置の異物掻取手段が適切な圧接力でハースロール表面に面接触するように定めた。本装置の駆動手段は焼鈍炉外に設置するため、炉には適切なシール軸受けを施した。
【0048】
本装置の支持軸1は高速回転させる必要がなく、重力方向の高温クリープ変形を相殺するのに十分な速度で回転させればよい。表面手入れすべき対象の搬送ロール11の回転速度は約80rpm(周速度約200mpm)と十分大きいため、本装置の回転方向はどちらでも良いが、本実施例では図2及び図4において矢印で示す回転方向に60rpm(周速度約34mpm)で一定とした。
【0049】
このように連続焼鈍炉内に設置した本装置を稼動させて、炉内搬送ロール表面の手入れを行った。なお、本装置の設置位置における炉内雰囲気温度は750〜850℃であった。
【0050】
本装置の稼動前後での搬送ロール11表面の異物付着状況を観察した結果、ロール軸方向中央付近の異物付着の多い場所での異物付着量が、手入れ前が約1.8個/cm2であったのに対し、手入れ後は本発明例1では0.20個/cm2、本発明例2では0.23個/cm2となった。また、このように搬送ロール11への異物付着量が激減したことにより、通板した鋼板に発生する押し疵も大幅に改善された。
【0051】
また、本装置を約1週間の長期に渡る連続使用しても、支持軸1が変形することはなかった。したがって、ライン停止をすることなく、長期間に渡るオンラインでのロール表面手入れが可能となった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、熱処理炉内のような長時間高温雰囲気に曝される環境下であっても、ロール表面への異物の付着防止或いは異物の除去機能を損なうことなく、長期間にわたりロール表面手入れを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係るロール表面手入れ装置の一例を示す斜視図
【図2】 本発明の第1の実施形態に係るロール表面手入れ装置によるロール表面手入れの説明図
【図3】 本発明の第2の実施形態に係るロール表面手入れ装置の一例を示す斜視図
【図4】 本発明の第2の実施形態に係るロール表面手入れ装置によるロール表面手入れの説明図
【図5】 本発明のロール表面手入れ装置の軸方向設置状況を示す説明図
【図6】 本発明の異物掻取手段の開孔処理の一例を示すパターン図
【図7】 本発明のロール表面手入れ装置の他の実施形態の例を示す説明図
【図8】 搬送ロールへ形成されたピックアップと、鋼板に発生した押し疵の説明図
【符号の説明】
1 支持軸
2 スリーブ
3 薄板材
4 薄肉筒体
5 弾性変形可能な保持手段
6 異物掻取手段ユニット
7 薄肉部材
11 搬送ロール(表面手入れ対象ロール)
12 帯状体(鋼板)
13 炉壁
21 ピックアップ(異物付着)
22 押疵

Claims (6)

  1. 表面手入れすべきロールに対向して、該ロールの軸線に沿って設けられる回転自在な支持軸と、該支持軸の長手方向に沿って設けられる弾性変形可能な薄肉部材からなり、前記ロールとの接触による弾性変形により薄肉部材の一部がロール面と圧接状態で面接触する異物掻取手段と、前記支持軸を回転駆動させる駆動手段とを備えるとともに、異物掻取手段を構成する薄肉部材が、支持軸の外側に適当な間隔をもって外装される薄肉筒体からなり、該薄肉筒体を前記支持軸に対して弾性変形可能な保持手段により保持したことを特徴とするロール表面手入れ装置。
  2. 異物掻取手段を構成する薄肉部材が、開孔を有することを特徴とする請求項1に記載のロール表面手入れ装置。
  3. 異物掻取手段が支持軸の軸方向に複数個に分割されていることを特徴とする請求項1または2に記載のロール表面手入れ装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のロール表面手入れ装置を用い、該ロール表面手入れ装置の異物掻取手段を連続的又は間欠的に表面手入れすべきロール表面に圧接状態で面接触させることを特徴とするロール表面手入れ方法。
  5. 表面手入れすべきロールが熱処理炉内の搬送ロールであることを特徴とする請求項に記載のロール表面手入れ方法。
  6. 帯状体の熱処理を行う帯状体の製造方法において、請求項1乃至3のいずれかに記載のロール表面手入れ装置を帯状体の熱処理炉に設け、前記ロール表面手入れ装置により連続的又は間欠的に熱処理炉内の搬送ロールを手入れしつつ帯状体を前記搬送ロールにより熱処理炉内を搬送することを特徴とする帯状体の製造方法。
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