JPH11292860A - トリアミン系化合物及びその製造方法 - Google Patents

トリアミン系化合物及びその製造方法

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JPH11292860A
JPH11292860A JP10090021A JP9002198A JPH11292860A JP H11292860 A JPH11292860 A JP H11292860A JP 10090021 A JP10090021 A JP 10090021A JP 9002198 A JP9002198 A JP 9002198A JP H11292860 A JPH11292860 A JP H11292860A
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JP10090021A
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Yukichi Murata
勇吉 村田
Kyoko Endo
恭子 遠藤
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 特に有機電界発光素子用の正孔輸送材及び発
光材として有用な新規トリアミン系化合物及びその製造
方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I)で表されるトリアミン
系化合物。 (式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を
表し、各々同一でも異なっていてもよい) 本発明のトリアミン系化合物は下記一般式(II) で表さ
れるアミノ化合物を、下記一般式(III)で表される化合
物と反応させることにより製造される。 Ar−Y
(III) (式中、Arは上記(I)と同じ意味を表し、Yはハロ
ゲン原子を表す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真用感光体、
有機電界発光素子用などに有用な新規なトリアミン系化
合物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アミン系化合物については電子写
真用感光体用又は有機電界発光素子用の正孔輸送材、有
機電界発光素子用又は樹脂着色用の発光材などとして種
々の構造の化合物が検討されている。従来報告されてい
る正孔輸送材又は発光材としては、例えば、特開平6−
1972に、モノアミンであるN,N,N−トリフェニ
ルアミン誘導体が記載されている。また、ジアミン化合
物としては、、ビスジピリジルアミノビフェニル系化合
物(特開平5−320634)、4,4′−ビス〔N−
(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニルで
代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合
芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン化合物(特
開平5−234681)、フルオレン基で3級アミンが
連結された化合物(特開平5−25473)、フェノキ
サジン構造を有する芳香族ジアミン化合物(特開平7−
138562)等が知られており、特開平5−2394
55には、下記に示した構造のアリール置換アミノ基が
アリーレン基で連結されたトリアミン化合物(特開平5
−239455)が開示されている。
【0003】
【化6】
【0004】また、ディスプレイアンドイメージング1
997,Vol5,pp.307−315には、下記に
示すようなトリフェニルアミン多量体が開示されてい
る。
【0005】
【化7】
【0006】更に、代表的な正孔輸送材として、N,
N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニ
ル)−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジアミン(T
PD)が知られている。しかし、上述した公知文献に
は、トリアジン環を中心骨格として有するアミン化合物
は全く開示されていない。
【0007】正孔輸送材は、例えば有機EL素子の場
合、陽極の上に非晶質薄膜を形成して使用されるが、陽
極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を
効率よく輸送することができる材料であることが必要で
ある。そのためには、イオン化ポテンシアルが小さく、
正孔移動度が大きいことが必要であるが、その他に耐熱
性が優れる事が要求される。有機EL素子では正孔輸送
材又は発光材の非晶質薄膜の耐熱性が不十分である場
合、温度上昇により結晶化が促進され、その結果島状の
凝集構造が発生し、素子の発光効率の低下、ダークスポ
ットと呼ばれる非発光部分の発生、短絡などの現象が現
れ、最終的には駆動寿命の低下につながるという問題点
があった。上述した従来公知の化合物では、耐熱性が十
分でなく、例えば、代表的な正孔輸送材であるTPD
は、その融点は167℃、Tgは60℃であり、更なる
改善が要求されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述し
た問題点を解決するために、検討を進めた結果、1,
3,5−トリアジン環を中心骨格として有し、アリール
置換アミノ基を3個有する特定のトリアミン系化合物が
耐熱性に優れ、かつ正孔輸送材又は発光材として有用な
化合物であることを見出し、本発明に到達した。本発明
の目的は、正孔輸送材又は発光材として有用な新規トリ
アミン系化合物及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
(I)で表されるトリアミン系化合物、に存する。
【0010】
【化8】
【0011】(式中、Arは置換基を有していてもよい
アリール基を表し、各々同一でも異なっていてもよい) 本発明は又、一般式(I)で表されるトリアミン系発光
材料、に存する。本発明は又、一般式(I)で表される
トリアミン系正孔輸送材料、に存する。本発明は、更に
一般式(I)で表されるトリアミン系化合物の製造方
法、に存する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
細に説明する。本発明のトリアミン系化合物は、下記一
般式(I)で表される新規化合物である。
【0013】
【化9】
【0014】(式中、Arは置換基を有していてもよい
アリール基を表し、各々同一でも異なっていてもよい) 一般式(I)の化合物の中でもジアリールアミノ基(−
NAr2 )がパラ位に置換した下記一般式(I′)の化
合物を用いると分子の対称性がよくなり、化合物の耐熱
性が向上するという点で好ましい。
【0015】
【化10】
【0016】(式中、Arは一般式(I)中のArと同
じ意味を表す) またArは、置換基を有していてもよいアリール基を表
し、各々同一でも異なっていてもよい。具体的には、フ
ェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナンス
レニル基等が挙げられ、中でもフェニル基が特に好まし
い。Arの置換基としては、アルキル基、ハロゲン化ア
ルキル基、アルコキシ基、アリール基、ジアルキル置換
アミノ基、ジアリール置換アミノ基、アミド基、アルキ
ルスルホナミド基、アセトキシル基、アルキルスルホニ
ル基、アルコキシスルホニル基、アミノスルホニル基、
カルボキシル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原
子、ニトロ基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチ
ル基等の低級アルキル基、ハロゲン原子が好ましく、ハ
ロゲン原子としては、フッ素が特に好ましい。置換基の
数は1つのArについて複数個置換していてもよいが、
通常は1個であり、置換基の位置としてはN原子に対し
てオルト位に置換しているのが好ましい。
【0017】本発明の化合物の融点としては、200℃
以上、更には250℃以上が好ましい。また、ガラス転
移温度(Tg)としては、80℃以上、更には100℃
以上が好ましい。以下に、一般式(I)で表される、本
発明のトリアリールアミン系化合物の具体例を下記に示
す。
【0018】
【化11】
【0019】
【化12】
【0020】
【化13】
【0021】
【化14】
【0022】
【化15】
【0023】
【化16】
【0024】
【化17】
【0025】
【化18】
【0026】
【化19】
【0027】
【化20】
【0028】本発明の一般式(I)で表されるトリアリ
ールアミンは、下記一般式(II)で表されるアミンと下
記一般式(III)で表されるハロゲン化物との反応により
製造されるが、反応は通常不活性溶媒中で、銅系触媒の
存在下、脱酸剤を使用して、加熱下実施される。反応を
活性化するために触媒として更にクラウンエーテルを加
えると有効である。
【0029】
【化21】
【0030】
【化22】 Ar−Y (III)
【0031】(式中、Arは上記(I)と同じ意味を表
し、Yはハロゲン原子を表す)一般式(II)で表される
アミンとしてはフェニル基に置換するアミノ基の位置が
オルト位、メタ位又はパラ位いずれの位置でもよいが、
中でもパラ位にアミノ基が置換したアミンを使用するの
が前記式(I)で表されるトリアリールアミンを合成し
やすいという点で特に有用である。一般式(III)で表さ
れるハロゲン化物としてはベンゼン、ナフタレン、アン
トラセン、フェナンスレンなどの芳香族炭化水素の塩化
物、臭素化物、沃化物などが挙げられるが、特にベンゼ
ンの沃化物を使用するのが、一般式(I)のトリアリー
ルアミンを合成しやすいという点で有利である。
【0032】本発明で使用するハロゲン化物は芳香環に
更に他の置換基を有していても良い。置換基の種類とし
ては、置換されていてもよいアルキル基、置換されてい
てもよいアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキ
シ基、アシル基、アリール基、カルボキシル基、アルコ
キシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルバモ
イル基、ジアルキルカルバモイル基、アシルオキシ基、
ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミ
ノ基、スルホニルアミノ基、アルキルスルホニル基、ア
ルコキシスルホニル基、スルファモイル基、アルキルス
ルファモイル基、ジアルキルスルファモイル基などが挙
げられる。また、これらのハロゲン化物は活性の低い他
のハロゲン原子を置換基として更に有していてもよい。
【0033】中でも置換基としては、低級アルキル基、
トリフルオロメチル基、フッ素原子、シアノ基、低級ア
ルコキシ基、低級ジアルキルアミノ基、フェニル基、ア
セチル基などが挙げられ、低級アルキル基としてはメチ
ル基が、低級アルコキシ基としてはメトキシ基が、低級
ジアルキルアミノ基としてはジメチルアミノ基が特に有
利である。これらの置換基の数は1〜5個の範囲内で可
能である。置換基の位置はいずれの位置であってもよ
い。
【0034】本発明で使用するハロゲン化物は、一般式
(II)のアミン化合物に対し、通常6〜50倍モル使用
するが、中でも10〜20倍モルが好適である。しか
し、反応基質と溶媒とを兼ねて使用する場合は一般式
(II)のアミン化合物に対し30〜50倍モル使用する
のが適当である。本発明で使用するハロゲン化物として
1種類の化合物のみを使用すれば、一般式(I)に於い
てArが全て同じ化合物が製造されるが、数種類の異な
るハロゲン化物を混合して使用することにより、一般式
(I)に於いてArが異なった化合物を製造することが
できる。
【0035】上記の反応に使用する溶媒としては、不活
性の高沸点有機溶媒が適用である。具体的にはニトロベ
ンゼン、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、N−
メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ク
ロロナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレ
ンなどが挙げられるが、特にニトロベンゼンが有利であ
る。場合により、一般式(III)のハロゲン化物を大過剰
に使用し、溶媒として兼用させることもできる。
【0036】上記の反応に使用する銅系触媒としては、
銅粉、酢酸銅、硫酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅などを
挙げることができる。銅系触媒の使用量としては一般式
(II)のアミン化合物に対し、通常1〜200重量%で
あるが、中でも5〜100重量%が好適である。上記の
反応に使用する脱酸剤としては、酢酸ナトリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウムが好適であり、その使用量は
一般式(II)のアミン化合物に対し、6〜20倍モルで
良いが、中でも9〜15倍モルが好適である。上記の反
応の温度は150〜250℃の範囲で実施できるが、中
でも170〜210℃で実施するのが有利である。反応
時間は3〜5時間の範囲内とするのがよい。
【0037】上記の反応終了後、目的物の取り出し方法
としては、反応液を冷却した後、目的物の析出を促進さ
せるためにメタノールなどを添加し、析出した沈殿物を
濾過し、メタノール及び水などで洗浄後、乾燥する。乾
燥ケーキから、トルエン、クロロホルム、塩化メチレ
ン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリ
ドンなどの溶解度の大きい溶媒で抽出した後、溶媒を留
去するか、あるいは、アルコール類、水などの溶解度の
小さい溶媒を加えて再沈殿させ、析出した結晶を濾過
後、乾燥すればよい。目的物は必要に応じて、再結晶、
カラムクロマトグラフィーなどの手段で精製することが
できる。
【0038】このようにして製造される本発明のトリア
リールアミン系化合物は優れた発光特性又は正孔輸送特
性を示し、また、高い耐熱性を有するため、各種樹脂着
色用や有機電界発光素子用の発光材や、電子写真感光体
用又は有機電界発光素子用の正孔輸送材として工業的に
極めて有用である。本発明の化合物は、発光材と正孔輸
送材の両方の性能を有するため、特に有機電界発光素子
用に有用である。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例
に制約されるものではない。なお、以下の実施例に於け
る化合物のNo.は表−1の化合物のNo.に対応す
る。また「部」は重量部を意味する。 実施例1 2,4,6−トリ(p−アミノフェニル)トリアジン1
g、ヨードベンゼン10.3g、炭酸カリウム3.5
g、銅粉1.6g、18−クラウン6−エーテル0.1
gをニトロベンゼン15ml中に仕込み、195〜20
0℃で7時間反応を行った。反応後、反応液を30℃ま
で冷却した後、メタノール50mlを添加して、析出物
を濾過した。得られた析出物をメタノール及び水で洗浄
した後、乾燥を行った。乾燥品をクロロホルムで抽出し
た後、抽出液をカラムクロマトグラフィーで精製処理
し、前記No.1の構造式の化合物(淡黄色結晶、融
点:362℃,Tg:113℃)1.0gを得た。この
化合物は薄層クロマトグラフィーでワンスポットを示し
た。得られた化合物の元素分析結果及び各種スペクトル
測定結果を以下に示す。元素分析測定結果
【0040】
【表1】
【0041】マススペクトル測定結果 EI法:m/z=810を検出 吸収スペクトル測定結果(溶媒:塩化メチレン) λmax:360nm (ε:120000) 蛍光スペクトル測定結果(溶媒:塩化メチレン) λmax:454nm 本実施例に使用した2,4,6−トリ(p−アミノフェ
ニル)トリアジンは、p−アセトアミノベンゾニトリル
をクロロスルホン中で三量化後、アセチル基を加水分解
することにより合成した。
【0042】実施例2 実施例1の2,4,6−トリ(p−アミノフェニル)ト
リアジンの代わりに2,4,6−トリ(m−アミノフェ
ニル)トリアジン1gを用いたこと以外は実施例1と同
様にして反応及び精製を実施した結果、前記No.2の
構造式の化合物(淡黄色結晶、融点:238℃)0.5
gを得た。この化合物は薄層クロマトグラフィーでワン
スポットを示した。得られた化合物の元素分析結果、各
種スペクトル測定結果を以下に示す。元素分析測定結果
【0043】
【表2】
【0044】マススペクトル測定結果 EI法:m/z=810を検出 吸収スペクトル測定結果(溶媒:塩化メチレン) λmax:<300nm 蛍光スペクトル測定結果(溶媒:塩化メチレン) λmax:539nm 本実施例に使用した2,4,6−トリ(m−アミノフェ
ニル)トリアジンは、m−アセトアミノベンゾニトリル
をクロロスルホン中で三量化後、アセチル基を加水分解
し合成した。
【0045】実施例3 実施例1のヨードベンゼンの代わりにp−ヨードトルエ
ン11gを用いたこと以外は実施例1と同様にして反応
及び精製を実施した結果、前記No.3の構造式の化合
物(淡黄色結晶、分解点:405℃)1.6gを得た。
この化合物は薄層クロマトグラフィーでワンスポットを
示した。得られた化合物の各種スペクトル測定結果を以
下に示す。
【0046】マススペクトル測定結果 MALDI法:m/e=895を検出 吸収スペクトル測定結果(溶媒:塩化メチレン) λmax:400nm(140000) 蛍光スペクトル測定結果(溶媒:塩化メチレン) λmax:520nm
【0047】実施例4 実施例1のヨードベンゼンの代わりにm−ヨードトルエ
ン11gを用いたこと以外は実施例1と同様にして反応
及び精製を実施した結果、前記No.4の構造式の化合
物(淡黄色結晶、融点:369℃)0.8gを得た。こ
の化合物は薄層クロマトグラフィーでワンスポットを示
した。得られた化合物の各種スペクトル測定結果を以下
に示す。
【0048】マススペクトル測定結果 EI法:m/z=894を検出 MALDI法:m/e=895を検出 吸収スペクトル測定結果(溶媒:塩化メチレン) λmax:398nm(120000) 蛍光スペクトル測定結果(溶媒:塩化メチレン) λmax:500nm
【0049】実施例5 実施例1のヨードベンゼンの代わりにo−ヨードトルエ
ン11gを用いたこと以外は実施例1と同様にして反応
及び精製を実施した結果、前記No.5の構造式の化合
物(白色結晶、分解点:436℃)1.2gを得た。こ
の化合物は薄層クロマトグラフィーでワンスポットを示
した。得られた化合物の各種スペクトル測定結果を以下
に示す。
【0050】マススペクトル測定結果 EI法:m/z=894を検出 MALDI法:m/e=895を検出 吸収スペクトル測定結果(溶媒:塩化メチレン) λmax:385nm(130000) 蛍光スペクトル測定結果(溶媒:塩化メチレン) λmax:465nm
【0051】実施例6 実施例1のヨードベンゼンの代わりにp−ヨードフルオ
ロベンゼン11.2gを用いたこと以外は実施例1と同
様にして反応及び精製を実施した結果、前記No.6の
構造式の化合物(白色結晶、融点:364℃)0.4g
を得た。この化合物は薄層クロマトグラフィーでワンス
ポットを示した。得られた化合物の各種スペクトル測定
結果を以下に示す。
【0052】マススペクトル測定結果 FD法:m/z=918を検出 MALDI法:m/e=919を検出 吸収スペクトル測定結果(溶媒:塩化メチレン) λmax:389nm(100000) 蛍光スペクトル測定結果(溶媒:塩化メチレン) λmax:488nm 実施例1〜6の結果を見ると、本発明のトリアリールア
ミン系化合物は、その蛍光スペクトルから明らかなよう
に、黄〜青の鮮やかな蛍光を示し、発光材料として適し
ていることが分かる。また、その融点やTg(ガラス転
移温度)も非常に高く、耐熱性に優れた化合物であるこ
とが分かる。実施例に挙げた化合物以外でも、本発明の
範囲内のトリアミン系化合物であれば、融点やTgが高
く、耐熱性も良いと推定される。
【0053】試験例1 図1に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法
で作成した。ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物
(ITO)透明導電膜を120nm堆積したもの(ジオ
マテック社製;電子ビーム成膜品;シート抵抗15Ω)
を通常のフォトリソグラフィー技術と塩酸エッチングを
用いて2mm巾のストライプにパターニングして陽極を
形成した。パターン形成したITO基板をアセトンによ
る超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコー
ルによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥さ
せ、最後に紫外線オゾン洗浄を行って、真空蒸着装置内
に設置した。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行
った後、装置内の真空度が2×10-6Torr(約2.
7×10-4Pa)以下になるまで液体窒素トラップを備
えた油拡散ポンプを用いて排気した。
【0054】上記装置内に配置されたセラミックるつぼ
に表−1のNo.1の化合物を入れ、るつぼの周囲のT
a線ヒーターで加熱して真空容器内で蒸発させた。るつ
ぼの温度は220〜240℃の範囲で、蒸発時の真空度
は2.8×10-6Torr(約3.7×10-4Pa)で
あった。このようにして膜厚60nmの正孔輸送層4を
蒸着した。蒸着時間は3分であった。
【0055】引き続き、電子輸送層5の材料として下記
の構造式で表されるアルミニウムの8−ヒドロキシキノ
リン錯体をるつぼに入れ、加熱して蒸着を行った。るつ
ぼの温度は275〜285℃の範囲で、蒸着時の真空度
は2.5×10-6Torr(約3.3×10-4Pa)、
蒸着速度は0.3〜0.4nm/秒で蒸着時間は3分で
あった。結果として膜厚75nmの電子輸送層が得られ
た。
【0056】
【化23】
【0057】上記の正孔輸送層4及び電子輸送層5を真
空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。ここで、電
子輸送層5までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着
装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクと
して2mm巾のストライプ状シャドーマスクを、陽極2
のITOストライプとは直交するように素子を密着させ
て、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして
装置内の真空度が2×10-6Torr(約2.7×10
-4Pa)以下になるまで排気した。続いて、陰極として
マグネシウムと銀の合金電極を二元同時蒸着法によって
膜厚44nmとなるように蒸着した。蒸着はモリブデン
ボートを用いて、真空度1×10-5Torr(約1.3
×10-3Pa)、蒸着時間3分20秒で行った。また、
マグネシウムと銀の原子比は10:1.4とした。更に
続いて、装置の真空を破らないで、アルミニウムをモリ
ブデンボートを用いて40nmの膜厚でマグネシウム・
銀合金膜の上に積層して陰極4を完成させた。アルミニ
ウム蒸着時の真空度は1.5×10-5Torr(約2.
0×10-3Pa)、蒸着時間は1分20秒であった。以
上のマグネシウム・銀合金とアルミニウムの2層型陰極
の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
【0058】以上のようにして、2mm×2mmのサイ
ズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られ
た。この素子はアルミニウムキノリン錯体の緑色の下記
特性の発光を示した。 発光開始電圧:5V 発光輝度 :2336cd/m2 発光効率 :0.531m/W 輝度/電流 :1.51 駆動電圧 :9V 発光開始電圧は輝度が1cd/m2 となる電圧、発光輝
度は250mA/cm 2 の電流密度での値、発光効率は
100cd/m2 での値、輝度/電流は輝度−電流密度
特性の傾きを、駆動電圧は100cd/m2 での値を各
々示す。この時正孔輸送層において、結晶化は観察され
なかった。
【0059】
【発明の効果】本発明のトリアリールアミン系化合物は
新規な化合物であり、優れた発光特性、正孔輸送特性、
また高い耐熱性を示すため、各種樹脂着色用や有機電界
発光素子用の発光材や、電子写真感光体用や有機電界発
光素子用の正孔輸送材として有用であり、本発明の方法
により容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1で作成した有機電界発光素子の構造を
表す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 陽極 4 正孔輸送層 5 電子輸送層 7 陰極

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるトリアミン
    系化合物。 【化1】 (式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を
    表し、各々同一でも異なっていてもよい)
  2. 【請求項2】 下記一般式(I)で表されるトリアミン
    系発光材料。 【化2】 (式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を
    表し、各々同一でも異なっていてもよい)
  3. 【請求項3】 下記一般式(I)で表されるトリアミン
    系正孔輸送材料。 【化3】 (式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基を
    表し、各々同一でも異なっていてもよい)
  4. 【請求項4】 下記一般式(II)で表されるアミノ化合
    物を下記一般式(III)で表される化合物と反応させるこ
    とを特徴とするトリアミン系化合物の製造方法。 【化4】 【化5】 Ar−Y (III) (式中、Arは上記一般式(I)と同じ意味を表し、Y
    はハロゲン原子を表す)
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