JPH11292632A - 高熱伝導性窒化けい素構造部材の製造方法および半導体パッケ―ジの製造方法 - Google Patents

高熱伝導性窒化けい素構造部材の製造方法および半導体パッケ―ジの製造方法

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JPH11292632A
JPH11292632A JP10332960A JP33296098A JPH11292632A JP H11292632 A JPH11292632 A JP H11292632A JP 10332960 A JP10332960 A JP 10332960A JP 33296098 A JP33296098 A JP 33296098A JP H11292632 A JPH11292632 A JP H11292632A
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silicon nitride
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phase
sintering
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Michiyasu Komatsu
通泰 小松
Yoshitoshi Sato
孔俊 佐藤
Kazuhiro Shinosawa
和弘 篠澤
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】窒化けい素焼結体が本来備える高強度特性に加
えて、熱伝導率が高く放熱性に優れた窒化けい素構造部
材の製造方法およびその構造部材を用いた半導体パッケ
ージの製造方法を提供する。 【解決手段】本発明に係る高熱伝導性窒化けい素構造部
材の製造方法は、α相型窒化けい素を90重量%以上含
有し、平均粒径0.8μm以下の窒化けい素粉末に、希
土類元素を添加した原料混合体を成形して成形体を調製
し、得られた成形体を脱脂後焼結し、焼結温度から焼結
時に生成された液相が凝固する温度までに至る焼結体の
冷却速度を毎時100℃以下にして製造したことを特徴
とする。また本発明の半導体パッケージの製造方法は、
上記のような製造方法によって製造した高熱伝導性窒化
けい素構造部材をセラミックス基体1として使用し、そ
のセラミックス基体1に半導体チップ2を搭載すること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミックス構造部
材の製造方法および半導体パッケージの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】窒化けい素を主成分とするセラミックス
焼結体は、一般に1000℃以上の高温度環境下でも優
れた耐熱性を有し、かつ耐熱衝撃性にも優れていること
から、従来の耐熱性超合金に代わる高温構造材料として
ガスタービン用部品、エンジン用部品、製鋼用機械部品
等の各種高強度耐熱部品への応用が試みられている。ま
た、金属に対する耐食性が優れていることから溶融金属
の耐溶材料としての応用も試みられ、さらに耐摩耗性も
優れていることから、軸受等の摺動部材、切削工具への
実用化も図られている。
【0003】従来より窒化けい素セラミックス焼結体の
組成として、窒化けい素に酸化イットリウム(Y
2 3 ),酸化セリウム(CeO),酸化カルシウム
(CaO)などの希土類元素あるいはアルカリ土類元素
の酸化物を焼結助剤として添加されたものが知られてお
り、これら焼結助剤により焼結性を高めて緻密化・高強
度化している。
【0004】従来の窒化けい素構造部材は、窒化けい素
粉末に上記のような焼結助剤を添加し成形し、得られた
成形体を1600〜1850℃の温度で焼成炉で所定時
間焼成した後に炉冷し、得られた焼結体を研削研摩加工
する製法で製造されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来方法によって製造された窒化けい素焼結体は、靭性値
などの機械的強度は優れているものの、熱伝導率が、他
の窒化アルミニウム(AlN),酸化ベリリウム(Be
O)や炭化けい素(SiC)などと比較して著しく小さ
いため放熱性が低く、高温環境下で使用される摺動部
材,外囲器等の構造部材、特にセラミックス半導体パッ
ケージに使用される半導体用基体などの電子用材料とし
ては実用化されておらず、用途範囲が狭い難点があっ
た。
【0006】一方上記窒化アルミニウムは他のセラミッ
クスと比較して高い熱伝導率と低熱膨張係数の特長を有
するため、高速化、高出力化、多機能化、大型化が進展
する半導体チップを搭載した回路基板材料や半導体パッ
ケージ用基体材料として普及しているが、機械的強度は
低い。そこで高強度を有するとともに高い熱伝導率も併
せ持ったセラミックス構造部材の開発が要請されてい
た。
【0007】さらに上記窒化アルミニウムを外囲器とし
て半導体パッケージを構成し、実装ボードに固定しよう
とすると、半導体用基体(外囲器)の強度不足により半
導体パッケージを破損させる場合がある。したがって、
半導体パッケージ用の半導体用基体(外囲器)において
も、外力に耐える高強度特性と、高出力化,高発熱量化
に対応できる優れた放熱特性を兼ね備えたものが要請さ
れている。
【0008】本発明は上記のような課題要請に対処する
ためになされたものであり、窒化けい素焼結体が本来備
える高強度特性に加えて、熱伝導率が高く放熱性に優れ
た窒化けい素焼結体を用いた摺動部材,外囲器等の構造
部材の製造方法およびこれを用いた半導体パッケージの
製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段と作用】本発明者は上記目
的を達成するために、従来使用されていた窒化けい素粉
末の種類、焼結助剤や添加物の種類および添加量、焼結
体中に不純物として含有し熱伝導率を低下させる元素及
びその量,焼結条件等に検討を加え、従来の窒化けい素
焼結体の有する熱伝導率の2倍以上の高い熱伝導性を有
する窒化けい素焼結体を開発し、さらにこの窒化けい素
焼結体を構造部材として使用する際に効果が大きいこと
を確認した。
【0010】具体的には、微細で高純度を有する窒化け
い素粉末に希土類元素、必要に応じ窒化アルミニウム、
アルミナなどのアルミニウム成分を所定量ずつ添加した
原料混合体を成形脱脂し、得られた成形体を所定温度で
一定時間加熱保持して緻密化焼結を実施した後、所定以
下の冷却速度で徐冷し、得られた焼結体を研削研摩加工
して製造したときに熱伝導率が従来の窒化けい素焼結体
の2倍以上、具体的には60W/m・Kを超える値を示
すほど大きく向上し、かつ高強度を有する窒化けい素焼
結体が得られることが判明し、放熱特性および強度特性
を共に満足する新規な窒化けい素材料を開発した。そし
て、この窒化けい素材料を、半導体パッケージの基板,
圧縮機の摺動部材,ガスタービンの高温耐食性部材,外
囲器,等の構造部材に適用したときに、優れた放熱特性
と耐久性とを同時に達成できることが判明した。なお、
ここで言う構造部材とは摺動部材,耐食性部材,一般の
外囲器等の他、半導体用パッケージの外囲器としての半
導体用基体をも含むものとする。
【0011】また本発明においては、酸素や不純物陽イ
オン元素含有量を低減した高純度の窒化けい素原料粉末
を使用し、上記条件にて焼結することにより、粒界相に
おけるガラス相(非晶質相)の生成を効果的に抑制で
き、粒界相における結晶化合物を20体積%以上,好ま
しくは50体積%以上(粒界相全体に対し)とすること
により、希土類元素酸化物のみを原料粉末に添加した場
合においても60W/m・Kを超える値の高熱伝導率を
有する窒化けい素構造部材が得られるという知見を得
た。
【0012】特に、従来、焼結操作終了後に焼成炉の加
熱用電源をOFFとして焼結体を炉冷していた場合に
は、冷却速度が毎時400〜800℃と急速であった
が、本発明者の実験によれば、冷却速度を毎時100℃
以下に緩速に制御することにより、窒化けい素焼結体中
の粒界相を、結晶相を少なくとも20体積%以上,好ま
しくは50体積%以上(粒界相全体に対し)含む相にさ
せ、高強度特性と高伝熱特性とが同時に達成されること
が判明した。
【0013】本発明は上記知見に基づいて完成されたも
のである。すなわち本発明に係る高熱伝導性窒化けい素
構造部材の製造方法は、α相型窒化けい素を90重量%
以上含有し、平均粒径0.8μm以下の窒化けい素粉末
に、希土類元素を添加した原料混合体を成形して成形体
を調製し、得られた成形体を脱脂後焼結し、焼結温度か
ら焼結時に生成された液相が凝固する温度までに至る焼
結体の冷却速度を毎時100℃以下にして製造すること
を特徴とする。
【0014】さらに、上記製造方法において、焼結温度
から、焼結時に生成された液相が凝固する温度までに至
る焼結体の冷却速度を毎時50℃以下にすることによ
り、粒界相の結晶化率をさらに高めることができ、より
高い熱伝導率を有する窒化けい素構造部材が得られる。
【0015】また他の態様として、窒化けい素構造部材
が窒化けい素粒子および粒界相により構成され、粒界相
中における結晶化合物相が粒界相全体に対して体積比で
20%以上、好ましくは50体積%以上を占め、熱伝導
率が60W/m・Kより大きいことを特徴とする。
【0016】さらに上記高熱伝導性窒化けい素構造部材
を、ロータリ式圧縮機のベーン,ローラ,シリンダ,軸
受などの摺動部材やガスタービン,自動車エンジンのシ
リンダ,ピストンヘッドなどの高温耐食性部材や送受信
管などの外囲器やベアリングの内外輪,転動ボールや成
形用ロールなどに適用することにより、放熱特性および
強度を共に満足し、耐摩耗性,軽量性,耐食性などの多
くの特性を満足する構造部材が得られた。
【0017】また本発明に係る半導体パッケージの製造
方法は、半導体チップが搭載されたセラミックス基体を
具備する半導体パッケージの製造方法において、上記セ
ラミックス基体を、α相型窒化けい素を90重量%以上
含有し、平均粒径0.8μm以下の窒化けい素粉末に、
希土類元素を添加した原料混合体を成形して成形体を調
製し、得られた成形体を脱脂後焼結し、焼結温度から焼
結時に形成された液相が凝固する温度までに至る焼結体
の冷却速度を毎時100℃以下にして製造することを特
徴とする。
【0018】さらに、上記製造方法において、焼結温度
から焼結時に形成された液相が凝固する温度までに至る
焼結体の冷却速度を毎時50℃以下にしてセラミックス
基体を製造することにより、粒界相の結晶化率をさらに
高めることができ、より高い熱伝導率を有するセラミッ
クス基体が得られる。
【0019】半導体パッケージの具体的なひとつの態様
として、半導体チップが搭載されたセラミックス基体
と、前記セラミックス基体の前記半導体チップの搭載面
側に接合されたリードフレームと、前記半導体チップと
リードフレームとを電気的に接続するボンディングワイ
ヤとを具備する半導体パッケージにおいて、上記セラミ
ックス基体が窒化けい素粒子および粒界相により構成さ
れ、粒界相中の結晶化合物相が粒界相全体に対し体積比
で20%以上を占め、熱伝導率が60W/m・Kより大
きい高熱伝導性窒化けい素で構成された半導体パッケー
ジを得ることができる。
【0020】本発明方法で指向する高熱伝導性窒化けい
素構造部材および半導体パッケージのセラミックス基体
は、より具体的には、例えば以下の方法で製造される。
すなわち、酸素を1.7重量%以下、不純物陽イオン元
素としてのLi,Na,K,Fe,Ca,Mg,Sr,
Ba,Mn,Bを0.3重量%以下、α相型窒化けい素
を90重量%以上含有し、平均粒径0.8μm以下の窒
化けい素粉末に、希土類元素を酸化物に換算して1.0
〜7.5重量%を添加した原料混合体を成形して成形体
を調製し、得られた成形体を脱脂後、温度1800〜2
000℃で雰囲気加圧焼結し、上記焼結温度から、上記
希土類元素により焼結時に形成された液相が凝固する温
度までに至る焼結体の冷却速度を毎時100℃以下に設
定し、得られた焼結体を研削研摩加工して製造される。
【0021】また上記製造方法において、上記原料混合
体に、さらにTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,C
r,Mo,Wの酸化物,炭化物、窒化物、けい化物、硼
化物からなる群より選択される少なくとも1種を0.2
〜3.0重量%と、必要に応じてアルミナおよび窒化ア
ルミニウムの少なくとも一方を0.1〜2.0重量%と
を添加してもよい。
【0022】上記製造方法によれば、窒化けい素結晶組
織中に希土類元素等を含む粒界相が形成され、気孔率が
1.5%以下、熱伝導率が60W/m・Kより大きく、
三点曲げ強度が室温で80kg/mm2 以上の機械的特性お
よび熱伝導特性が共に優れた窒化けい素構造部材および
セラミックス基体が得られる。
【0023】本発明方法で得られる構造部材および半導
体パッケージのセラミックス基体の主原料となる窒化け
い素粉末としては、焼結性、強度および熱伝導率を考慮
して、焼結性が優れたα相型窒化けい素を90重量%以
上、好ましくは93重量%以上含有し、平均粒径が0.
8μm以下、好ましくは0.4〜0.6μm程度の微細
な窒化けい素粉末を使用することができる。
【0024】平均粒径が0.8μm以下の微細な原料粉
末を使用することにより、少量の焼結助剤であっても気
孔率が1.5%以下の緻密な焼結体を形成することが可
能であり、また焼結助剤が熱伝導特性を阻害するおそれ
も減少する。
【0025】特にβ相型と比較して焼結性に優れたα相
型窒化けい素を90重量%以上含有する窒化けい素原料
粉末を使用することにより、高密度の構造部材およびセ
ラミックス基体を製造することができる。
【0026】また窒化けい素原料粉末に焼結助剤として
添加する希土類元素としてはY,La,Sc,Pr,C
e,Nd,Dy,Ho,Gdなどの酸化物もしくは焼結
操作により、これらの酸化物となる物質が単独で、また
は2種以上の酸化物を組み合せたものを含んでもよい
が、特に酸化イットリウム(Y2 3 )が好ましい。こ
れらの焼結助剤は、窒化けい素原料粉末と反応して液相
を生成し、焼結促進剤として機能する。
【0027】さらに、他の添加成分としてのアルミナ
(Al2 3 )は、上記希土類元素の焼結促進剤の機能
を助長する役目を果すものであり、特に加圧焼結を行な
う場合に著しい効果を発揮するものである。Al2 3
の添加量が0.1重量%未満の場合においては緻密化が
不充分である一方、2.0重量%を超える過量となる場
合には過量の粒界相を生成したり、または窒化けい素に
固溶し始め、熱伝導の低下が起こるため、添加量は2.
0重量%以下、好ましくは0.1〜2.0重量%の範囲
とする。特に強度、熱伝導率共に良好な性能を確保する
ためには添加量を0.2〜1.5重量%の範囲とするこ
とが望ましい。
【0028】また、後述するAlNと併用する場合に
は、その合計添加量は2.0重量%以下とすることが望
ましい。
【0029】さらに他の添加成分としての窒化アルミニ
ウム(AlN)は焼結過程における窒化けい素の蒸発な
どを抑制するとともに、上記希土類元素の焼結促進剤と
しての機能をさらに助長する役目を果すものである。
【0030】AlNの添加量が0.3重量%未満(アル
ミナと併用する場合では0.1重量%未満)の場合にお
いては緻密化が不充分である一方、2.0重量%を超え
る過量となる場合には過量の粒界相を生成したり、また
は窒化けい素に固溶し始め、熱伝導率の低下が起こるた
め、添加量は2.0重量%以下、好ましくは0.3〜
2.0重量%の範囲とする。特に強度、熱伝導率共に良
好な性能を確保するためには添加量を0.5〜1.5重
量%の範囲とすることが望ましい。なお前記Al2 3
と併用する場合には、AlNの添加量は0.1〜2.0
重量%の範囲が好ましい。
【0031】また他の添加成分として使用するTi,Z
r,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの酸化物,
炭化物、窒化物、けい化物、硼化物は、上記希土類元素
の焼結促進剤の機能を促進すると共に、結晶組織におい
て分散強化の機能を果しSi3 4 構造部材および半導
体パッケージのセラミックス基体の機械的強度を向上さ
せるものである。これらの化合物の添加量が0.2重量
%未満の場合においては構造部材およびセラミックス基
体の緻密化が不充分である一方、3.0重量%を超える
過量となる場合には熱伝導率および機械的強度や電気絶
縁破壊強度の低下が起こるため、添加量は0.2〜3.
0重量%の範囲とすることが好ましい。特に好ましくは
0.3〜2.0重量%とすることが望ましい。
【0032】また上記Ti,Zr,Hf等の化合物は窒
化けい素構造部材およびセラミックス基体を着色し不透
明性を付与する遮光剤としても機能する。そのため、特
に光によって誤動作を生じ易い集積回路等を搭載する回
路基板や半導体パッケージなどのセラミックス基体を製
造する場合には、上記化合物を適正に添加し、遮光性に
優れた窒化けい素構造部材とすることが望ましい。
【0033】また窒化アルミニウム(AlN)は焼結過
程における窒化けい素の蒸発などを抑制する一方、上記
焼結促進剤の機能をさらに助長し、アルミナと同様に上
記Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W
などの酸化物の添加量を相対的に軽減する役目を果す。
これらアルミナや窒化アルミニウムなどのアルミニウム
化合物の添加量はTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,
Cr,Mo,Wの酸化物などの添加量と密接な関係があ
る。すなわち上記Ti化合物等の添加量が0.2重量%
未満であり、かつAl2 3 およびAlN等のアルミニ
ウム化合物が単独または併用して添加され、その添加量
が0.1重量%未満の場合においては緻密化が不充分で
ある一方、アルミニウム化合物の添加量が2.0重量%
を超える過量となる場合には過量の粒界相を生成した
り、または窒化けい素に固溶し始め、熱伝導の低下が起
こるため、添加量は0.1〜2.0重量%の範囲とす
る。特に強度、熱伝導率共に良好な性能を確保するため
には添加量を0.2〜1.5重量%の範囲とすることが
望ましい。
【0034】また構造部材およびセラミックス基体の気
孔率は熱伝導率および強度に大きく影響するため1.5
%以下、望ましくは0.5%以下に設定される。気孔率
が1.5%を超えると熱伝導の妨げとなり、構造部材等
の熱伝導率が低下するとともに、強度低下が起こる。
【0035】また、窒化けい素結晶組織に形成される粒
界相は構造部材等の熱伝導率に大きく影響するため、本
発明方法で得られる構造部材等においては、体積比で粒
界相の20%以上、好ましくは50体積%以上が結晶相
で占めるようにすることが重要である。結晶相が20%
未満では熱伝導率が60W/m・Kを超えるような放熱
特性に優れ、かつ高温強度に優れた構造部材が得られな
いからである。
【0036】さらに上記のように窒化けい素構造部材等
の気孔率を1.5%以下にし、また窒化けい素結晶組織
に形成される粒界相の20体積%以上が結晶相で占める
ようにするためには、窒化けい素成形体を温度1800
〜2000℃で0.5〜10時間程度、加圧焼結し、か
つ焼結操作完了直後における焼結体の冷却速度を毎時1
00℃以下に調整制御することが必要である。
【0037】焼結温度を1800℃未満に設定した場合
には、構造部材等の緻密化が不充分で気孔率が1.5vo
l%以上になり機械的強度および熱伝導性が共に低下して
しまう。一方焼結温度が2000℃を超えると窒化けい
素成分自体が蒸発分解し易くなる。特に加圧焼結ではな
く、常圧焼結を実施した場合には、1800℃付近より
窒化けい素の分解蒸発が始まる。
【0038】上記焼結操作完了直後における焼結体の冷
却速度は粒界相を結晶化させるために重要な制御因子で
あり、冷却速度が毎時100℃を超えるような急速冷却
を実施した場合には、焼結体組織の粒界相が非結晶質
(ガラス相)となり、焼結体に生成した液相が結晶相と
して粒界相に占める体積割合が20%未満となり、強度
および熱伝導性は低い。
【0039】上記冷却速度を厳密に調整すべき温度範囲
は、所定の焼結温度(1800〜2000℃)から、前
記の焼結助剤の反応によって生成する液相が凝固するま
での温度範囲で充分である。ちなみに前記のような焼結
助剤を使用した場合の液相凝固点は概略1600〜15
00℃である。そして少なくとも焼結温度から上記液相
凝固温度に至るまでの焼結体の冷却速度を毎時100℃
以下、好ましくは50℃以下に制御することにより、粒
界相の20%以上望ましくは50%以上が結晶相にな
り、熱伝導率および機械的強度が共に優れた構造部材お
よび半導体パッケージ用セラミックス基体が最終的に得
られる。
【0040】本発明方法で得られる窒化けい素構造部材
およびセラミックス基体は、例えば以下のような具体的
なプロセスを経て製造される。すなわち前記所定の微細
粒径を有し、また不純物含有量が少ない微細な窒化けい
素粉末に対して所定量の焼結助剤、有機バインダ等の添
加剤および必要に応じAl2 3 やAlNまたはTi,
Zr,Hf等の化合物を加えて原料混合体を調整し、次
に得られた原料混合体を成形して所定形状の成形体を得
る。原料混合体の成形法としては、汎用の金型プレス
法、あるいはドクターブレード法のようなシート成形法
なども適用できる。上記成形操作に引き続いて、成形体
を非酸化性雰囲気中で温度600〜800℃で1〜2時
間加熱して、予め添加していた有機バインダ成分を充分
に除去し、脱脂する。次に脱脂処理された成形体を窒素
ガス、水素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気
中で1800〜2000℃の温度で所定時間雰囲気加圧
焼結を行い、さらに得られた焼結体を研削研摩加工して
所定形状の窒化けい素構造部材等が得られる。
【0041】上記製法によって製造された窒化けい素構
造部材等は気孔率が1.5%以下であり、60W/m・
K(25℃)より大きい値の高熱伝導率を有し、また三
点曲げ強度が常温で80kg/mm2 以上と機械的特性にも
優れている。
【0042】
【実施例】次に本発明を以下に示す実施例を参照して具
体的に説明する。
【0043】実施例1〜3 酸素を1.3重量%、不純物陽イオン元素としてのL
i,Na,K,Fe,Ca,Mg,Sr,Ba,Mn,
Bを0.15重量%含有し、α相型窒化けい素97%を
含む平均粒径0.55μmの窒化けい素原料粉末に対し
て、焼結助剤として平均粒径0.7μmのY2 3 (酸
化イットリウム)粉末5重量%、平均粒径0.5μmの
Al2 3 (アルミナ)粉末1.5重量%を添加し、エ
チルアルコール中で24時間湿式混合した後に乾燥して
原料粉末混合体を調整した。次に得られた原料粉末混合
体に有機バインダを所定量添加して均一に混合した後
に、1000kg/cm2 の成形圧力でプレス成形し、長さ
50mm×幅50mm×厚さ5mmの成形体を多数製作した。
次に得られた成形体を700℃の雰囲気ガス中において
2時間脱脂した後に、この脱脂体を窒素ガス雰囲気中
7.5気圧にて1900℃で6時間保持し、緻密化焼結
を実施した後に、焼結炉に付設した加熱装置への通電量
を制御して焼結炉内温度が1500℃まで降下するまで
の間における焼結体の冷却速度がそれぞれ100℃/hr
(実施例1)、50℃/hr(実施例2)、25℃/hr
(実施例3)となるように調整して焼結体を冷却し、さ
らに得られた各焼結体を研摩加工してそれぞれ実施例1
〜3に係る窒化けい素構造部材を調製した。
【0044】比較例1 一方、緻密化焼結完了直後に、加熱装置電源をOFFに
し、従来の炉冷による冷却速度(約500℃/hr)で焼
結体を冷却した点以外は実施例1と同一条件で焼結処理
して比較例1に係る窒化けい素構造部材を調製した。
【0045】比較例2 酸素を1.7重量%、不純物陽イオン元素を0.7重量
%含有し、α相型窒化けい素91%を含む平均粒径1.
1μmの窒化けい素原料粉末を用いた点以外は実施例1
と同一条件で処理し、比較例2に係る窒化けい素構造部
材を調製した。
【0046】こうして得た実施例1〜3および比較例
1,2に係る窒化けい素構造部材について気孔率、熱伝
導率(25℃)、室温での三点曲げ強度の平均値を測定
した。さらに、各構造部材をX線回折法によって粒界相
に占める結晶相の割合(体積比)を測定し、下記表1に
示す結果を得た。
【0047】
【表1】
【0048】表1に示す結果から明らかなように実施例
1〜3に係る窒化けい素構造部材においては、比較例1
と比較して緻密化焼結完了直後における焼結体の冷却速
度を従来より小さく設定しているため、粒界相に結晶相
を含み、結晶相の占める割合が高い程、高熱伝導率を有
する放熱性の高い高強度構造部材が得られた。
【0049】一方、比較例1のように焼結体の冷却速度
を大きく設定し、急激に冷却した場合は粒界相が全て非
結晶質で形成され熱伝導率が低下した。また、比較例2
のように平均粒径が1.1μmと粗い窒化けい素粉末を
用いた場合は、焼結において緻密化が不充分で強度、熱
伝導率とも低いものであった。
【0050】実施例4〜12 実施例4〜12として実施例1において使用した窒化け
い素粉末とY2 3粉末とAl2 3 粉末とを表2に示
す組成比となるように調合して原料混合体をそれぞれ調
製した。
【0051】次に得られた各原料混合体を実施例1と同
一条件で成形脱脂処理した後、表2に示す条件で焼結処
理し、さらに研摩加工してそれぞれ実施例4〜12に係
る窒化けい素構造部材を製造した。
【0052】こうして製造した実施例4〜12に係る各
窒化けい素構造部材について実施例1と同一条件で気孔
率、熱伝導率(25℃)、室温での三点曲げ強度の平均
値、X線回折法による粒界相に占める結晶相の割合を測
定し、下記表2に示す結果を得た。
【0053】
【表2】
【0054】表2に示す結果から明らかなように、Y2
3 ,Al2 3 を所定量含有し、焼結後の冷却速度を
所定に設定した実施例4〜12に係る構造部材は、いず
れも高熱伝導率で高強度値を有している。
【0055】実施例13〜16 実施例13〜16として実施例1において使用したY2
3 粉末に置き換えて表3に示す希土類酸化物を使用し
た以外は実施例1と同一条件で実施例13〜16に係る
窒化けい素構造部材を製造した。
【0056】こうして得た実施例13〜16に係る構造
部材について実施例1と同一条件で気孔率、熱伝導率
(25℃)、室温での三点曲げ強度の平均値、X線回折
による粒界相に占める結晶相の割合を測定し下記表3に
示す結果を得た。
【0057】
【表3】
【0058】表3に示す結果から明らかなようにY2
3 に置き換えて他の希土類元素を使用した実施例13〜
16に係る構造部材はY2 3 添加のものと同等の性能
を有することが確認された。
【0059】次に本発明方法で得られた高熱伝導性窒化
けい素構造部材を、種々の半導体装置部品のセラミック
ス基体として用いた場合、および摺動部材,高温耐食性
部材,外囲器等の構造部材に適用した場合の具体的な効
果について、以下の実施例を参照して説明する。
【0060】実施例17 図1は、本発明方法で得られた半導体パッケージの一実
施例の構成を示す断面図であり、特にFe−Ni系リー
ドフレーム5を接合したQFP(クウァド型フラットパ
ッケージ)を例示したものである。図1において、セラ
ミックス基体1には、半導体チップ2の収容部となるキ
ャビティ1aが形成される。上記セラミックス基体1の
キャビティ1a内には、チップ搭載部3が設けられてお
り、このチップ搭載部3上に半導体チップ2が接合搭載
されている。また、上記セラミックス基体1の半導体チ
ップ2の搭載面側、すなわちセラミックス基体1の外縁
側凸状端面上には、固着用ガラス4等によって、リード
フレーム5が接合されている。リードフレーム5と半導
体チップ2の各電極とは、ボンディングワイヤ6によっ
て電気的に接続されている。また半導体チップ2が接
合,搭載されたセラミックス基体1の上面側には、上述
したリードフレーム5を介して、セラミックス封止部材
(キャップまたはリッド)7が、封着ガラス8、例えば
低融点ガラスによって接合されている。この封止部材7
により、半導体チップ2は気密封止されている。
【0061】ここで上記セラミックス基体1およびセラ
ミックス封止部材7は共に前記実施例1〜16において
調製した高熱伝導性窒化けい素構造部材で形成されてい
る。こうして実施例17に係る半導体パッケージ9が構
成されている。
【0062】上記半導体パッケージよれば、熱伝導性お
よび強度が共に優れた窒化けい素構造部材により、セラ
ミックス基体1および、場合によりセラミックス封止部
材7を構成しているため、放熱性が良好であり、半導体
チップ2の高出力化,高発熱化に充分に対応することが
できると同時に、実装時に作用する外力による割れや熱
膨脹差に起因する割れの発生も少なく、長期間に亘って
安定した動作信頼性を確保することができる。
【0063】実施例18 図2は本発明方法で得られた半導体パッケージの他の実
施例の構成を示す断面図である。図2に示す半導体パッ
ケージ9aは、図1に示す半導体パッケージ9のセラミ
ックス封止部材7に代えて、キャビティ1aに封着用ガ
ラス10を流し込むことにより、半導体チップ2を気密
封止した以外は実施例17と同様に構成している。
【0064】この半導体パッケージ9aにおいても、実
施例17と同様に放熱性および耐久性が共に改善され
る。
【0065】実施例19 図3は本発明方法で得られた半導体パッケージのその他
の実施例の構成を示す断面図である。
【0066】図3に示す半導体パッケージ9bは、図2
に示す半導体パッケージ9aのキャビティ1aを有する
セラミックス基体1に代えて、平板状のセラミックス基
体1bを使用するとともに、このセラミックス基体1b
の上面に四角枠状の金属リング11を一体に固着し、さ
らにこの金属リング11上面側に半田層12を介してリ
ードフレーム5を一体に接合して構成される。また金属
リング11中央部に形成したキャビティ1aに封着用ガ
ラス10を流し込むことにより、半導体チップ2を気密
封止している。
【0067】本実施例19に係る半導体パッケージ9b
によれば、セラミックス基体1bを高熱伝導性窒化けい
素構造部材で形成し、さらに熱伝導性が高い金属リング
11を介装して構成しているため、さらに放熱特性が改
善される。
【0068】なお上記実施例17〜19においては、半
導体パッケージとしてQFP(クウァドフラットパッケ
ージ)について例示しているが、これに限定されるもの
ではなく、他にリードフレームを用いたDIP(デュア
ルインラインパッケージ),リードピンを用いたPGA
(ピングリッドアレイ),入出力用のランドを用いたL
GA(ランドグリッドアレイ)等の半導体パッケージに
ついても同様に適用することが可能である。
【0069】実施例20 図4および図5は、それぞれ本発明方法で得られた高熱
伝導性窒化けい素構造部材を摺動部材として使用した密
閉型ロータリ圧縮機の構成例を示す縦断面図および平断
面図である。
【0070】この圧縮機21は、ケーシング22の内部
にモータ23aと圧縮要素23bとを内装し、圧縮要素
23bはモータ23から延びる回転軸24を主軸受25
と副軸受26とに挿通され、この主軸受25と副軸受2
6との間に、仕切板27を介して2基のシリンダ28
a,28bを配設し、各シリンダ28a,28b内にお
いて、前記回転軸24に形成された偏心部29a,29
bにそれぞれ円筒状のローラ30a,30bを嵌合させ
る一方、図5に示すように偏心回転するローラ30a,
30bに対して常時押し付けて接触するように、ベーン
31a,31bが配設されて構成される。ベーン31
a,31bは、偏心部29a,29bおよびローラ30
a,30bの回転に応じて各ローラ外周面に摺接しなが
ら往復動し、各シリンダ28a,28b内部を圧力的に
仕切る役割を果している。
【0071】こうして圧縮機21は、モータ23の駆動
によって前記ローラ30a,30bをシリンダ28a,
28b内において偏心回転させることにより、吸込口3
2を通り、シリンダ28a,28b内の吸込チャンバ3
3a,33bに吸入したガスを圧縮チャンバ34a,3
4b方向に移動させながら圧縮して吐出口35から吐出
するものである。
【0072】上記のような圧縮機21において、シリン
ダ28a,28bを、実施例1〜16において製造した
高熱伝導性窒化けい素構造部材で形成し、連続的に30
00時間運転する耐久試験を実施し、シリンダ28a,
28bの内面の摩耗量を測定した結果、従来の金属材で
あるFC200で形成したシリンダと比較して摩耗量が
1/15程度に減少し、優れた耐摩耗性と耐久性が発揮
されることが確認できた。またシリンダ内面における焼
付きなどの異常現象も観察されず、初期摺動特性も改善
されることが判明した。
【0073】またローラ30a,30bを実施例1〜1
6において製造した高熱伝導性窒化けい素構造部材で形
成し、同様に実機耐久試験を実施してローラ30a,3
0bの摩耗量を測定したところ、従来のモニクロ鋳鉄
(Mo−Ni−Cr−Fe)製のローラと比較して、摩
耗量が1/15程度に減少した。
【0074】さらにベーン31a,31bを各実施例で
製造した窒化けい素構造部材で形成し、耐久試験後の摩
耗状況を確認したところ、従来のSKH−51製のベー
ンと比較して、摩耗量は同様に1/15に減少し、圧縮
機の耐久性を大幅に延伸できることが確認できた。
【0075】なお摺動部材としての主軸受25,副軸受
26および仕切板27については、実機耐久試験を実施
していないが、シリンダ,ローラと同様に優れた耐摩耗
性および耐久性が期待できる。
【0076】実施例21 図6は本発明方法で得られた高熱伝導性窒化けい素構造
部材を、高温耐食性部材,摺動部材として使用したディ
ーゼルエンジンの構成を示す断面図である。前記実施例
1〜16において製造した各窒化けい素構造部材は高温
強度にも優れており、これらの部材を、図6に示すディ
ーゼルエンジンなどの熱機関の構成部品として使用する
ことにより、金属材料で形成した場合と比較して、運転
温度を高く設定することが可能になり、熱効率の大幅な
向上が実現する。
【0077】各実施例において製造した窒化けい素構造
部材の具体的な適用対象は、それらの要求特性に応じて
次のような構造部品がある。すなわち高温度の燃焼ガス
雰囲気内において、バルブ40と繰り返して接触するシ
リンダーヘッド41,バルブ40の本体部,予備燃焼室
用のホットプラグ42およびグロープラグ43などの高
温耐食性部材がある。また相互に高速度で摺動し、高温
度燃焼ガスと接触するシリンダーライナー44およびピ
ストンクラウン45など、耐摩耗性および高温耐食性を
共に必要とする構造部品にも使用できる。またエンジン
シリンダー外部を構成する部品として、バルブ40を進
退させるために相互に摺動しながら往復動するロッカー
アームチップ46およびトップシート47やタペット4
8,カム49などの摺動部品に前記実施例で製造した窒
化けい素構造部材を適用することもできる。
【0078】上記実施例21に示すディーゼルエンジン
のように、高温耐食性部材および摺動部材として、前記
実施例の窒化けい素構造部材を使用することにより、従
来の金属製部材と比較して、その構造部材の耐摩耗性,
耐食性を大幅に改善することができると共に、エンジン
の運転温度を高めることが可能になり、熱効率の改善も
図ることができる。
【0079】また図6に示すディーゼルエンジンに限ら
ず、ガソリンエンジンにも適用できる対象部品として、
燃焼用空気を加圧してエンジンに送り込む、ターボチャ
ージャー(過給器)のロータ(回転翼)50がある。特
にこのターボチャージャーロータ50を各実施例で製造
した窒化けい素構造部材で形成して軽量化を図ることに
より、ターボチャージャーの加速応答性をも改善するこ
とができる。
【0080】実施例22 図7は、前記実施例1〜16において製造した窒化けい
素構造部材の他の適用例であり、航空機用もしくは発電
用ガスタービンの動翼(ロータ)55として形成した例
を示す斜視図である。ガスタービン動翼55は、運転時
に高温度の燃焼ガスと接触する上に、回転時の遠心力に
よって翼の長手方向に過大な引張応力が作用する。しか
るにガスタービン動翼55を、高温強度および高温耐食
性に優れた各実施例で製造した窒化けい素構造部材によ
って形成することにより、従来の超合金製の動翼と比較
して耐久性を大幅に改善することができる。また金属製
動翼と比較して軽量化が可能であり、作用する遠心力も
低減できる上に、高価な超合金原料を使用しないため、
安価に製造することができる。さらに、金属製動翼の場
合と比較して運転温度を高めることが可能であり、熱機
関としてのガスタービンの運転熱効率を高め燃費を低減
することもできる。
【0081】上記実施例は窒化けい素構造部材をガスタ
ービンの動翼55に適用した例で示しているが、他の適
用対象として、ガスタービンの静翼(ステータ),燃焼
筒,熱交換器等の構造部材に適用することもできる。
【0082】実施例23 図8は、熱伝導率が115W/m・Kで三点曲げ強度が
98kg/mm2 である実施例3で得られた高熱伝導性窒化
けい素構造部材によって形成したセラミックス外囲器を
有する超高周波用受信管60の構造を示す断面図であ
る。
【0083】すなわち図8に示す超高周波用受信管60
は、実施例3と同様な処理方法によって調製した窒化け
い素焼結体を研削研摩加工して所定形状のセラミックス
外囲器61を形成し、このセラミックス外囲器61内
に、陽極62と,グリッド63と,陰極64と、ヒータ
65とを組み込んで構成される。
【0084】上記超高周波用受信管60によれば、熱伝
導率が高く、かつ構造強度に優れた窒化けい素構造部材
としてのセラミックス外囲器61を使用しているため、
放熱特性が良好であり、受信特性のパワーアップに充分
対応することが可能であり、かつ耐久性にも優れてい
る。
【0085】なお本実施例では、窒化けい素構造部材を
超高周波用受信管60のセラミックス外囲器に適用した
例を示しているが、適用対象は上記受信管60に限定さ
れず、特に電気絶縁性,耐熱性および構造強度が要求さ
れるX線管,マグネトロン,アレスタ等の電子管用の外
囲器または各種送信管用の外囲器を構成する材料として
使用することもできる。
【0086】実施例24 図9は、本発明方法で得られた窒化けい素構造部材を、
高周波溶接管製造機の成形用ロールに適用した例を示す
側面図である。図9に示すように、この高周波溶接管製
造機は、所定寸法の帯鋼71を所定方向に加圧して円筒
状のオープンパイプ72を形成する複数の成形用ロール
73a,73b…と、高周波溶接器74とから成り、高
周波溶接器74はオープンパイプ72の溶接点Pの直前
でパイプ外周に沿って配設されたワークコイル75と、
ワークコイル75に高周波電流を供給する電源76とか
ら成る。また上記成形用ロール73a,73bは、実施
例3と同様な製法で調製された窒化けい素焼結体を研削
研摩加工して形成されている。
【0087】原材料として投入された帯鋼71は図示し
ない複数の成形用ロールによって加圧されて徐々に円筒
状のオープンパイプ72に形成される。そしてオープン
パイプ72が高周波溶接器のワークコイル75を通過す
る際に、オープンパイプ72内に加熱用電流が誘起さ
れ、図9に示す電流経路77に沿って流れる。オープン
パイプ72に形成されたV字形の突き合せ部79a,7
9bをそれぞれ流れる電流はほぼ平行で逆方向に流れる
ため、いわゆる高周波電流の近接効果によって、電流は
突き合せ部79a,79bに集中する。その結果、突き
合せ部79a,79bは電流によるジュール熱で高温度
に加熱される。そしてオープンパイプ72は、高周波溶
接器74の直後に配設した成形用ロール(スクイズロー
ル,ガイドローラ)73a,73bによって横方向から
加圧されて、オープンパイプ72の突き合せ部79a,
79bが一体に接合され溶接管78となる。
【0088】ところで従来、上記成形用ロールを構成す
る材料としては、耐摩耗特性に優れた超硬合金などの金
属材料が一般に使用されていた。しかしながら、従来の
超硬合金製の成形用ロールにおいては、ロールの軸受部
が短期間に損傷し、異常振動を生じて製品不良を生じた
り、作用する衝撃力によって成形用ロールに割れ,変
形,傷を生じ製品の表面性状の悪化を生じたり、ロール
の温度上昇を防止するために散布する冷却水による熱衝
撃によって成形用ロールが破損するなどの種々の問題点
があった。
【0089】しかるに本実施例のように、高温強度,耐
熱衝撃性,電気絶縁性,耐摩耗性に優れた窒化けい素構
造部材で成形用ロール73a,73bを形成しているた
め、高周波溶接器74からの迷走電流等の漏洩を効果的
に防止でき、漏洩電流による軸受の電食による損傷を効
果的に防止することができる。また、従来材と比較し
て、軽量で耐摩耗性に優れているため、保守・取扱いが
容易であり、傷や変形を生じにくく、製品としての溶接
管の品質を大幅に向上させることができる。
【0090】特に本実施例の成形用ロール73a,73
bを使用することにより、高周波溶接器74からの漏洩
電流が殆どなくなり、従来の超硬合金製ロールを使用し
た場合に比較して溶接用電力消費量が10%程度低減で
き、大きな節電効果が得られた。また軸受等の電食によ
る損傷も少なく、従来の超硬合金製ロールの場合と比較
して、延稼動時間が7倍程度に延伸される結果、ロール
交換等の保守管理作業を大幅に簡素化することができ
た。
【0091】以上の実施例17〜24においては、本発
明方法で得られた窒化けい素構造部材を半導体パッケー
ジのセラミックス基体,圧縮機の摺動部材,エンジンや
ガスタービンの高温耐食性部材および摺動部材,外囲
器,鋼管製造機の成形用ロールに適用した例で示してい
るが、本発明方法で得られた窒化けい素構造部材の適用
対象はこれらに限定されるものではなく、本来の高強度
特性に加えて高熱伝導性を併有し、さらに絶縁耐性,耐
摩耗性,熱衝撃特性,軽量性,金属溶湯に対する抵抗
性,耐食性が優れた特性に着目して広範囲に適用するこ
とが可能である。
【0092】例えば各種金属溶湯に濡れにくく、耐食性
に優れている特性を利用して、アルミニウム,亜鉛など
のダイキャスト装置のシリンダー部材やプランジャー部
材にも適用できる。さらに金属および金属化合物単結晶
の引上げ治具部材やるつぼなどの耐溶材料にも好適であ
る。さらに絶縁性,耐候性,高靭性等の特性を利用し
て、高圧電線等を保持する碍子に適用することもでき
る。さらに高強度,高剛性,耐摩耗特性,耐焼付き性を
利用して、各種ベアリングのボールおよび内外輪の構成
材として使用することもできる。また、銅や銅合金を押
出し成形によって製造する際に使用する押出ダイス,熱
間圧延用ガイドローラ,パイプアプセット用ダイスなど
の金属加工用構造部品に適用することもできる。さらに
優れた耐摩耗特性を利用して、ブラスト装置において高
硬度の粒子を噴射するノズルの構造材として使用するこ
ともできる。
【0093】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る高熱伝導
性窒化けい素構造部材の製造方法によれば、従来の炉冷
のような急速冷却を実施して製造した場合と異なり、粒
界相が非晶質から結晶相を含むものに変化し、緻密で高
強度かつ高い熱伝導率を有する構造部材を容易に製造す
ることができる。したがって、この高熱伝導性窒化けい
素構造部材を、半導体用パッケージならびに放熱板など
の電子用部材,各種摺動部材,ガスタービンや自動車エ
ンジンの高温耐食性部材,電子管や受発信器のセラミッ
クス外囲器,成形用ロールなどの金属加工用構造部材等
に適用することにより、適用製品の耐久性,放熱性,寿
命を大幅に改善することができ、製品の高出力化,長寿
命化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法で得られた半導体パッケージの一実
施例の構成を示す断面図。
【図2】本発明方法で得られた半導体パッケージの他の
実施例の構成を示す断面図。
【図3】本発明方法で得られた半導体パッケージの他の
実施例の構成を示す断面図。
【図4】本発明方法で得られた高熱伝導性窒化けい素構
造部材を摺動部材として使用したロータリ式圧縮機の縦
断面図。
【図5】図4に示すロータリ式圧縮機の平断面図。
【図6】本発明方法で得られた高熱伝導性窒化けい素構
造部材を、高温耐食性部材および摺動部材として使用し
たディーゼルエンジンの構成を示す断面図。
【図7】本発明方法で得られた高熱伝導性窒化けい素構
造部材を使用した形成したガスタービン動翼を示す斜視
図。
【図8】本発明方法で得られた高熱伝導性窒化けい素構
造部材を使用した形成したセラミックス外囲器を備える
超高周波用受信管の構成を示す断面図。
【図9】本発明方法で得られた高熱伝導性窒化けい素構
造部材としての成形用ロールを備える溶接管製造装置の
側面図。
【符号の説明】 1,1b セラミックス基体(高熱伝導性窒化けい素構
造部材) 1a キャビティ 2 半導体チップ 3 チップ搭載部 4 固着用ガラス 5 リードフレーム 6 ボンディングワイヤ 7 セラミックス封止部材(リッド) 8 封着ガラス(低融点ガラス) 9,9a,9b 半導体パッケージ(QFP) 10 封着用ガラス 11 金属リング 12 半田層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α相型窒化けい素を90重量%以上含有
    し、平均粒径0.8μm以下の窒化けい素粉末に、希土
    類元素を添加した原料混合体を成形して成形体を調製
    し、得られた成形体を脱脂後焼結し、焼結温度から焼結
    時に生成された液相が凝固する温度までに至る焼結体の
    冷却速度を毎時100℃以下にして製造することを特徴
    とする高熱伝導性窒化けい素構造部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 焼結温度から、焼結時に生成された液相
    が凝固する温度までに至る焼結体の冷却速度を毎時50
    ℃以下にして製造することを特徴とする請求項1記載の
    高熱伝導性窒化けい素構造部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 高熱伝導性窒化けい素構造部材が窒化け
    い素粒子および粒界相により構成され、粒界相中におけ
    る結晶化合物相が粒界相全体に対して体積比で20%以
    上を占め、熱伝導率が60W/m・Kより大きいことを
    特徴とする請求項1記載の高熱伝導性窒化けい素構造部
    材の製造方法。
  4. 【請求項4】 粒界相中における結晶化合物相が粒界相
    全体に対し体積比で50%以上を占めることを特徴とす
    る請求項3記載の高熱伝導性窒化けい素構造部材の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 半導体チップが搭載されたセラミックス
    基体を具備する半導体パッケージの製造方法において、
    上記セラミックス基体を、α相型窒化けい素を90重量
    %以上含有し、平均粒径0.8μm以下の窒化けい素粉
    末に、希土類元素を添加した原料混合体を成形して成形
    体を調製し、得られた成形体を脱脂後焼結し、焼結温度
    から焼結時に形成された液相が凝固する温度までに至る
    焼結体の冷却速度を毎時100℃以下にして製造するこ
    とを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
  6. 【請求項6】 焼結温度から焼結時に形成された液相が
    凝固する温度までに至る焼結体の冷却速度を毎時50℃
    以下にしてセラミックス基体を製造することを特徴とす
    る請求項5記載の半導体パッケージの製造方法。
  7. 【請求項7】 セラミックス基体が窒化けい素粒子およ
    び粒界相により構成され、粒界相中における結晶化合物
    相が粒界相全体に対して体積比で20%以上を占め、熱
    伝導率が60W/m・Kより大きいことを特徴とする請
    求項5記載の半導体パッケージの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002326875A (ja) * 2001-01-12 2002-11-12 Toshiba Corp 窒化けい素製耐摩耗性部材およびその製造方法
JP2008285349A (ja) * 2007-05-16 2008-11-27 Toshiba Corp 窒化珪素焼結体とそれを用いた摺動部材

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