JPH112921A - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及びその製造方法

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JPH112921A
JPH112921A JP15421897A JP15421897A JPH112921A JP H112921 A JPH112921 A JP H112921A JP 15421897 A JP15421897 A JP 15421897A JP 15421897 A JP15421897 A JP 15421897A JP H112921 A JPH112921 A JP H112921A
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JP
Japan
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suspension
solvent
toner
gas
developing
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JP15421897A
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English (en)
Inventor
Takashi Hara
敬 原
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トナー材料を含む懸濁液から簡易な方法によ
り良好な生産効率で静電荷像現像用トナーを製造する方
法を提供する。 【解決手段】 結着樹脂と着色剤を溶媒中で混合する工
程、得られた混合液を水系媒体中に分散懸濁させる分散
懸濁工程、得られた懸濁液から溶媒を除去する工程を有
する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、その溶
媒を除去する工程が、懸濁液と気体との接触界面を用い
るものであり、その懸濁液及び懸濁液と接する気体の温
度が0℃を越え100℃未満の範囲であり、かつ懸濁液
が気体と接触する面積を拡大させて溶媒を除去するもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法または
静電記録法に用いられ、結着樹脂及び着色剤を含有する
静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真法または静電記録法
により形成される静電潜像の現像に使用する静電荷像現
像用トナーを含むポリマー微粒子の製造方法は、幾つか
知られている。その中には、モノマーを出発原料とし
て、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法ま
たは分散重合法等の重合反応により、直接ポリマー微粒
子を製造する方法がある。しかし、これらの重合法によ
り製造されるポリマー微粒子は、残存モノマー及び界面
活性剤の除去が難しいこと、その後に着色剤、帯電制御
剤及び離型剤等の不溶材料を内添することが難しいこ
と、得られるポリマーの種類及び粒径範囲が限定される
こと及び材料組成が変更される毎に粒子化に最適な条件
の検討を要すること等の問題がある。
【0003】また、予めモノマーの重合反応により得ら
れたポリマーを微粒子化させることにより、ポリマー微
粒子を製造する方法がある。その中で、溶融混練粉砕法
は、予め粗粉砕したポリマーを機械回転式またはジェッ
ト式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで分級すること
によりポリマー微粒子を得る方法であり、現在では最も
汎用されている静電荷像現像用トナーの製造方法であ
る。しかし、この方法で得られるポリマー微粒子は、そ
の形状が不定形であるばかりでなく、その粒径が均一で
ないことから粒度分布をシャープにするには分級工程が
必要である等の欠点がある。
【0004】また、予め溶媒に溶解したポリマー溶液を
噴霧することにより粒子化する方法が知られているが、
この方法により製造されるポリマー微粒子は粒径が均一
にならないこと及びその製造に用いる装置が大きくなる
等の欠点がある。同じく、予め溶媒に溶解したポリマー
溶液に貧溶媒を添加するか、または予め溶媒に加熱溶解
したポリマー溶液を冷却することにより、ポリマー微粒
子を析出させる方法が知られているが、この方法は、得
られる粒子の形状制御が難しいこと及び粒径が不均一で
ある等の欠点がある。
【0005】さらに、加熱溶融したポリマーを、その融
点以上に加熱した媒体中に分散させた後、冷却すること
によりポリマー微粒子を得る方法(特開昭50−120
632号公報等)も知られているが、この方法では、媒
体が水系であると殆んどの場合に加圧を必要とするし、
また媒体が油系であると洗浄が難しくなること及び形状
の制御が困難である等の欠点がある。
【0006】近年、予め溶媒に溶解したポリマー溶液
(トナー材料の混合液等)を水系媒体中に分散懸濁さ
せ、これを加熱するか又は減圧する等によって溶媒を除
去することにより、粒子化させる方法(特公昭61−2
8688号公報、特開昭63−25664号公報、特開
平7−152202号公報、特開平9−15902号公
報等)が提案されている。
【0007】このポリマー溶液の懸濁液から溶媒を除去
する方法は、残存モノマーが無いこと、界面活性剤を使
用していないために除去する必要がないこと、着色剤、
帯電制御剤及び離型剤等の不溶材料の内添が容易である
こと、材料組成が変更されても粒子化に最適な条件の検
討を要しないこと、得られる粒子の粒度分布がシャープ
であること及び水系媒体の洗浄が容易であること等の数
多くの利点があることから、従来法の中では工業化に好
適な方法と考えられている。ところが、この方法におけ
る溶媒の除去は、溶媒をトナー材料の液滴から水系媒体
中に移行させる液中乾燥により行われ、水系媒体中の溶
媒は、懸濁液と気体との接触界面において溶媒を気化さ
せることにより除去されている。従って、この方法を工
業化規模で実施する場合、懸濁液から溶媒を除去するの
に要する時間を実験室規模の実験と同程度の時間で行う
には、単位体積当たりの懸濁液の気体との接触面積を同
等にすることが必要である。
【0008】具体的には、市販のフラスコ及び重合釜を
使用した場合、実験室規模では、通常10-43 の懸濁
液に対して、単位体積当たりの気体との接触面積は28
2/m3 程度であり、また10-33 の懸濁液に対し
て11m2 /m3 程度である。また、ベンチ規模又はパ
イロット規模では、通常10-23 の懸濁液に対して
4.5m2 /m3 程度であり、また10-13 の懸濁液
に対して2m2 /m3 程度である。さらに、これを工業
化規模で実施するには、通常1m3 の懸濁液に対して
0.8m2 /m3 程度、また10m3 の懸濁液に対して
0.4m2 /m3 程度、80m3 の懸濁液に対して0.
2m2 /m3 程度である。このように、懸濁液は、その
処理量を増加させるにつれて、単位体積当たりの気体と
の接触面積が減少する。例えば、温度、圧力及びその他
の条件を同一にした場合でも、懸濁液からの溶媒除去時
間は、10-43 の懸濁液の溶媒除去処理と比べると、
それぞれ10-23 では6倍、10-13 では14倍、
1m3 では35倍、10m3 では70倍、80m3 では
140倍を要することになる。
【0009】このような溶液と気体との接触面積を増大
させる装置として、例えば、薄膜蒸発装置、薄膜脱泡装
置、充填塔、気液向流接触装置等の市販の装置が使用さ
れるが、これらの装置を用いて溶媒除去を行う場合も、
懸濁液量が増えると実験室規模よりも単位体積当たりの
気体との接触面積は小さくなって処理効率が悪い。ま
た、その処理温度を高くしたり、処理圧力を低くする等
の操作を行うことにより処理時間の短縮化を計ることが
できるが、これらの場合にはエネルギーを多量に消費す
る上に、実験室規模と工業化規模との処理時間の比は変
わらないから処理操作の改善策とはなり得ない。
【0010】上記した液中乾燥以外の方法としては、懸
濁液を直接乾燥させる方法があり、そのスラリー状の懸
濁液を乾燥させる装置としては、スプレードライヤー、
フラッシュドライヤー等の市販の装置が用いられる。こ
の方法では、媒体の水も乾燥させる必要があるため、通
常100℃以上の気体と接触させて乾燥されており、こ
の場合には、処理量に比べて装置が大型化して熱効率が
低く、その上に運転コストが大幅に高い等の欠点があっ
た。また、懸濁液を直接乾燥させる方法以外の方法に用
いる装置としては、振動乾燥機、流動床乾燥機、パドル
ドライヤー、スチームチューブドライヤー等の市販の装
置があるが、これらはケーク状物を乾燥させるものであ
り、原理的に使用できない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
おける上記のような実状に鑑みてなされたものである。
すなわち、本発明の目的は、トナー材料を含む懸濁液か
ら簡易な方法により溶媒を除去し、生産効率が高い良好
な静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、トナー材
料混合液を水系媒体中に分散懸濁させて得られる懸濁液
からトナー粒子を製造する方法について鋭意検討した結
果、懸濁液から溶媒を除去する工程において、懸濁液を
一定の条件下に気体と接触させることにより、溶媒除去
工程の時間を大幅に短縮させて、安価で簡単な方法によ
りトナー分散液が得られることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0013】すなわち、本発明の静電荷像現像用トナー
の製造方法は、結着樹脂と着色剤とを溶媒中で混合する
工程、次に得られた組成物混合液を、水系媒体中に分散
懸濁させる工程、次に得られた懸濁液から溶媒を除去す
る工程を有する静電荷像現像用トナーの製造方法におい
て、溶媒を除去する工程が、懸濁液と気体との接触界面
から溶媒の除去を行なうものであり、その懸濁液及び懸
濁液と接する気体の温度を0℃を越えて100℃未満の
範囲とし、かつその懸濁液が気体と接触する面積を拡大
させて懸濁液の溶媒を除去することを特徴とする。
【0014】また、本発明の静電荷像現像用トナーは、
結着樹脂と着色剤とを溶媒中に溶解もしくは分散させた
溶液を、水系媒体中に分散懸濁させた後、得られた懸濁
液と気体とを、その懸濁液と気体の温度が0℃を越え1
00℃未満の範囲であり、かつその懸濁液が気体と接触
する面積を拡大させて気体と接触させることにより溶媒
を除去して得られることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の静電荷像現像用トナーの製
造方法について、上記した各工程を順次説明する。ま
ず、本発明における第1の工程は、トナー材料を溶液中
で混合させてトナー材料の混合液を得る混合工程であ
る。この混合工程においては、少なくとも結着樹脂及び
着色剤を含むトナー材料を溶媒中に溶解もしくは分散さ
せて、トナー材料の混合液を得るものである。
【0016】そのトナー材料には、結着樹脂及び着色剤
の他に、必要に応じてトナー粒子に通常添加される離型
剤及び帯電制御剤等を適宜配合してもよい。トナー材料
の混合液は、結着樹脂に予め着色剤、離型剤及び帯電制
御剤等を混練させたものを、溶媒中に溶解もしくは分散
させてもよいし、または結着樹脂を溶媒中に溶解させた
後、着色剤、離型剤及び帯電制御剤等をボールミル、サ
ンドミル等のメディア入り分散機または高圧分散機等を
用いて分散させてもよい。この混合工程においては、結
着樹脂が溶媒中に溶解して着色剤が分散している限り、
如何なる方法により混合したものでもよい。
【0017】本発明のトナー材料に用いられる結着樹脂
としては、熱可塑性樹脂の中で溶媒に溶解するものであ
れば如何なるものでもよく、例えば、スチレン−アクリ
ル共重合体、ポリエステル、ケトン樹脂、エポキシ樹
脂、ポリオレフィン、その他の静電荷像現像用トナーの
結着樹脂として使用される公知の熱可塑性樹脂が挙げら
れる。また、着色剤としては、カーボンブラック、磁性
粉、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料、その他
の静電荷像現像用トナー粒子の着色剤として公知のもの
が用いられる。さらに、トナー粒子に必要に応じて添加
される離型剤としては、石油ワックス、鉱物ワックス、
動植物ワックス、合成ワックス、その他の静電荷像現像
用トナー粒子の離型剤として公知のものが用いられ、ま
た、帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩化合物、
その他の静電荷像現像用トナー粒子の帯電制御剤として
公知のものが用いられる。
【0018】本発明において、トナー材料の溶解もしく
は分散に用いる溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジ
エチルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテ
ル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイ
ソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン、ヘキ
サン等の炭化水素系溶剤、ジクロロメタン、クロロホル
ム、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤
等が挙げられる。これらの溶媒は、結着樹脂を溶解でき
るものであって、かつ、水に溶解する割合が0〜30重
量%程度のものであることが好ましい。また、工業化を
行うにあたり、作業上の安全性、コスト及び生産性等を
も考慮すると、結着樹脂がポリオレフィンである場合に
はシクロヘキサンを用い、また、その他の結着樹脂の場
合には酢酸エチルを用いることが特に好ましい。これら
の溶剤は、トナー材料の混合液の粘度が20℃において
1〜10000mPa・sの範囲になるように用いら
れ、好ましくは1〜2000mPa・sの範囲である。
【0019】次に、本発明における第2の工程は、トナ
ー材料混合液を分散及び懸濁させる分散懸濁工程であ
る。この分散懸濁工程においては、上記混合工程で得ら
れたトナー材料の混合液を、水系媒体中に導入して懸濁
液を得るものである。その水系媒体としては、水中に無
機分散剤を分散させたものを用いることが好ましい。ま
た、トナー粒子の粒度分布を均一にするためには、水中
に無機分散剤を分散させるとともに、水に溶解する高分
子分散剤を添加することが好ましい。この無機分散剤
は、ボールミルのようなメディアの入った分散機、高圧
分散機または超音波分散機等を用いて水中に分散させ
る。また、高分子分散剤は、水中に均一に溶解していれ
ば如何なる方法によって添加してもよい。また、本発明
に用いる水は、通常、イオン交換水、蒸留水または純水
である。
【0020】上記の無機分散剤としては、親水性分散剤
を用いることが好ましく、具体的には、シリカ、アルミ
ナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リ
ン酸三カルシウム、粘土、珪藻土、ベントナイト等を挙
げることができるが、炭酸カルシウムが特に好ましい。
また、これらの無機分散剤は、その粒子表面がカルボキ
シル基を有する重合体で被覆されているものがより好ま
しい。このような重合体で被覆されたものを用いると、
安定したトナー粒子を製造することができる。また、上
記のカルボキシル基を有する重合体としては、数平均分
子量が1000〜200000の範囲のものを用いるこ
とが好ましく、例えば、アクリル酸系樹脂、メタクリル
酸系樹脂、フマール酸系樹脂、マレイン酸系樹脂等が代
表的なものとして挙げられ、これらの樹脂の構成モノマ
ーであるアクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレ
イン酸等の単独重合体又はそれらの共重合体及びそれら
と他のビニルモノマーとの共重合体も使用することがで
き、また、そのカルボキシル基は、ナトリウム、カリウ
ム、マグネシウム等の金属塩であってもよい。これらの
無機分散剤としては、平均粒子径が1〜1000nmの
範囲のものが用いられるが、好ましくは5〜100nm
の範囲のものである。また、その無機分散剤の使用量
は、トナー100重量部に対して1〜500重量部の範
囲であり、好ましくは10〜200重量部の範囲であ
る。
【0021】上記の高分子分散剤としては、親水性のも
のを用いることが好ましく、カルボキシル基を有するも
のの中でヒドロキシプロポキシル基、メトキシル基等の
親油基を持たないものが好ましい。具体的には、カルボ
キシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等
の水溶性のセルロースエーテルが用いられるが、特にカ
ルボキシメチルセルロースが好ましい。これらのセルロ
ース類は、エーテル化度が0.6〜1.5であり、平均
重合度が50〜3000のものである。また、そのカル
ボキシル基は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等
の金属塩であってもよい。
【0022】分散懸濁工程に使用される装置としては、
一般に乳化機、分散機として市販されているものであれ
ば、特に限定されるものではなく、例えば、ウルトラタ
ラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社
製)、TKオートホモミクサー(特殊機化工業社製)、
ナショナルクッキングミキサー(松下電器産業社製)等
のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社
製)、TKパイプラインホモミクサー、TKホモミック
ラインフロー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神
鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微
粉砕機(三井三池化工機社製)、キャビトロン(ユーロ
テック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)
等の連続式乳化機、クレアミックス(エムテクニック社
製)、フィルミックス(特殊機化工業社製)等のバッチ
又は連続両用乳化機、マイクロフルイダイザー(みづほ
工業社製)、ナノメーカー、ナノマイザー(ナノマイザ
ー社製)、APVゴウリン(ゴウリン社製)等の高圧乳
化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブ
ロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波
ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等
が挙げられる。
【0023】次に、本発明における第3の工程は、第2
工程で得られた懸濁液の溶媒除去工程である。この溶媒
除去工程においては、上記分散懸濁工程で得られた懸濁
液中の溶媒を除去してトナー分散液を得るものである。
この工程において得られるトナー分散液は、乾燥させる
ことなく、トナー材料及び無機分散剤等が分散した液体
であることが必要である。また、この懸濁液の溶媒除去
は、分散懸濁工程の直後に行なってもよいが、得られる
トナー粒子の粒度分布をより均一にするには、粒度分布
を安定させるため、分散懸濁工程終了後、懸濁液を1〜
5分放置した後に溶媒除去を行うことが好ましい。
【0024】本発明において、この溶媒除去を工業化規
模で実施する際の所要時間を、実験室規模におけるもの
と同等とするか又はそれよりも短縮するために、懸濁液
及びその懸濁液と接触する気体の温度が0℃を越え10
0℃未満の範囲であって、しかも、懸濁液が気体と接触
する面積を拡大させることが必要である。その懸濁液と
気体の温度は、溶媒のみを蒸発させるために、0℃より
上で100℃未満の範囲で行うことが必要であり、短時
間で溶媒の除去を終了させるには、除去される溶媒の沸
点以上であって100℃未満で行うことが好ましい。そ
れらの温度が0℃以下では懸濁液が凍結して溶媒除去が
不十分になり易く、また、100℃以上にすると懸濁液
の水分も蒸発して粒子の凝集体が発生し易くなるため不
適当である。
【0025】また、上記の懸濁液と気体との接触面積の
拡大は、分散懸濁工程において得られた懸濁液が気体と
接触している面積の2倍以上であることが好ましく、よ
り好ましくは5倍以上である。この懸濁液からの溶媒除
去時間を短縮させるには、懸濁液の単位体積当たりの気
体との接触面積で、10m2 /m3 以上にすることが好
ましい。なお、懸濁液と気体との接触面積は、例えば、
容器の開口部の面積を測定もしくは液滴の粒径から算出
することにより得ることができる。懸濁液と気体との接
触面積を拡大させるには、スプレーノズルを用いる噴霧
法により行うことが好ましい。このスプレーノズルとし
ては、懸濁液のみを噴出させて気体と接触させる一流体
ノズルも使用できるが、懸濁液と気体とを別々に噴出さ
せる二流体ノズルを使用することが好ましい。この方法
に用いるスプレーとしては、フラット、フルコーン、ホ
ロコーンのいずれの形状のものも使用可能であるが、懸
濁液の処理量、気体の圧力及び気体の流量等の運転条件
は、噴霧により微粒化された液滴の径が上記分散懸濁工
程で作製した液滴径よりも大きくなる条件を選択するこ
とが必要である。
【0026】さらに、この処理時に、(1)排風により
懸濁液の気体と接触面周辺の気体を強制的に更新する
か、(2)10〜760mmHg未満に減圧して気体の
パージにより懸濁液の気体と接触面周辺の気体を強制的
に更新するか、のいずれかを行うことが好ましい。ま
た、二流体ノズルを使用する場合には、(1)の排風及
び(2)の気体のパージは、二流体ノズルに供給する気
体により行うこともできる。本発明に用いられる気体と
しては、懸濁液中には溶剤が含まれているから、不活性
気体であることが好ましく、コストをも考慮すると安価
な窒素ガスが特に好ましい。不活性気体の純度は、酸素
濃度が溶剤の燃焼に必要な濃度以下であればよい。
【0027】本発明における静電荷像現像用トナーの製
造方法には、必要に応じて、以下の工程が付加される。
まず、上記第3の溶媒除去工程で得られたトナー分散液
から水系媒体を除去した後、洗浄し脱水して、トナーケ
ークを得る工程である。この洗浄及び脱水工程では、溶
媒除去工程で得られたトナー分散液を酸処理して無機分
散剤を溶解させ、次に水で洗浄して脱水する。ただし、
酸処理の後に、アルカリ処理を追加してもよい。さら
に、その次の工程は、上記洗浄脱水工程で得られたトナ
ーケークを乾燥させた後、篩分及び外添して静電荷像現
像用トナーを作製する工程である。これらの工程におい
ては、トナーが凝集や粉砕を起こさない方法である限
り、乾燥、篩分及び外添は如何なる方法で行なってもよ
い。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものでは
ない。以下の説明において「部」はすべて「重量部」を
意味する。 実施例1 [混合工程] ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物と ビスフェノールAオキサイド付加物とテレフタル酸誘導体 からなるポリエステル樹脂(Tg:66℃、Tm:106℃) 90部 C.I.ピグメントブルー 5部 パラフィンワックス(融点:89℃) 5部 酢酸エチル 400部 上記成分をボールミルで24時間分散することによりポ
リエステル樹脂が溶解したトナー材料混合液500部を
得た。 [分散懸濁工程] アクリル酸−マレイン酸共重合体(Mn:10000) で被覆された炭酸カルシウム(平均粒径:80nm) 10部 イオン交換水 90部 上記成分を超音波分散機に導入し、これを撹拌して水系
媒体を調整した。この水系媒体10kgをウルトラタラ
ックス(IKA社製)により周速度23.6m/秒で撹
拌している中に、上記トナー材料混合液5kgを投入
し、3分間撹拌した後停止し、懸濁液15kgを得た。
【0029】[溶媒除去工程]分散懸濁工程で得られた
懸濁液15×10-33 を1.2×10-33 /分、窒
素ガスを2kgf/cm2 の条件で二流体噴霧ノズルに
供給し、懸濁液の上面に向かって噴霧した。この噴霧し
た懸濁液の液滴径は、数10μmから1mm程度(面積
平均液滴径:約200μm)であり、懸濁液の気体との
接触面積は、計算上約45m2 /m3 であり、これは懸
濁液面の表面積の9.5倍に相当する。また、この噴霧
時の懸濁液及び窒素ガスの温度は30℃とし、その圧力
は常圧とした。この条件では、トナー分散液は約1時間
で得られた。 [洗浄、脱水工程]溶媒除去工程で得られたトナー分散
液の200重量部に10規定塩酸40重量部を加え、さ
らに吸引濾過によるイオン交換水洗浄を4回繰り返し
て、トナーケークを得た。 [乾燥、篩分工程]脱水工程で得られたトナーケークを
真空乾燥機で乾燥し、45μmメッシュで篩分すること
により静電荷像現像用トナーを得た。
【0030】実施例2 実施例1の方法において、溶媒除去工程を下記のように
代えたこと以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像
用トナーを得た。 [溶媒除去工程]分散懸濁工程の操作を10バッチ行っ
て得られた懸濁液150×10-33 を12×10-3
3 /分、窒素ガスを2kgf/cm2 の条件で二流体噴
霧ノズルに供給し、懸濁液の上面に向かって噴霧した。
この噴霧した懸濁液の液滴径は、数10μmから1mm
程度(面積平均液滴径:約200μm)であり、懸濁液
の気体との接触面積は、計算上約42m2 /m3 であ
り、これは懸濁液面の表面積の22倍に相当する。ま
た、この噴霧時の懸濁液と窒素ガスの温度は30℃と
し、圧力は常圧とした。この条件では、トナー分散液は
約1時間で得られた。
【0031】実施例3 実施例1の方法において、溶媒除去工程を下記のように
代えたこと以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像
用トナーを得た。 [溶媒除去工程]分散懸濁工程の操作を10バッチ行っ
て得られた懸濁液150×10-33 を12×10-3
3 /分、窒素ガスを2kgf/cm2 の条件で二流体噴
霧ノズルに供給し、別の容器の底に向かって噴霧した。
この噴霧した懸濁液の液滴径は、数10μmから1mm
程度(面積平均液滴径:約200μm)であり、懸濁液
の気体との接触面積は、計算上約42m2 /m3 であ
り、これは懸濁液面の表面積の22倍に相当する。ま
た、この噴霧時の懸濁液の温度は70℃、窒素ガスの温
度は酢酸エチル溶媒の沸点(約77℃)以上の90℃と
し、圧力は常圧とした。この条件では、トナー分散液は
約12.5分間で得られた。
【0032】比較例1 実施例1の方法において、溶媒除去工程を下記のように
したこと以外は、実施例1と同様にして静電荷像現像用
トナーを得た。 [溶媒除去工程]分散懸濁工程で得られた懸濁液15×
10-33 を撹拌しながら30℃に保持して、ブロワー
により懸濁液面上の気体を強制更新した。このときの懸
濁液の気体との接触面積は、4.7m2 /m3 であっ
た。これは、接触面積を変更させることなく行ったもの
である。この条件でトナー分散液を得るには、16時間
を要した。
【0033】比較例2 実施例2の方法において、溶媒除去工程を下記のように
したこと以外は、実施例2と同様にして静電荷像現像用
トナーを得た。 [溶媒除去工程]分散懸濁工程で得られた懸濁液150
×10-33 を撹拌しながら30℃において100mm
Hgに保持しながら、窒素ガスをパージして懸濁液面上
の気体を強制更新した。このときの懸濁液の気体との接
触面積は、1.9m2 /m3 であった。これは、接触面
積を変更させることなく行ったものである。この条件で
トナー分散液を得るには、32時間を要した。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、トナー材料の混合液を
水系媒体中に分散及び懸濁させた懸濁液の単位体積当た
りの気体との接触面積を大きくすることにより、溶媒除
去時間を大幅に短縮できると共に、簡単かつ安価であっ
て効率的な方法により良好な静電荷像現像用トナーを作
製することが可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結着樹脂と着色剤とを溶媒中で混合する
    工程、該組成物混合液を水系媒体中に分散懸濁させる工
    程、懸濁液から溶媒を除去する工程を有する静電荷像現
    像用トナーの製造方法において、溶媒を除去する工程
    が、懸濁液と気体との接触界面を用いるものであり、懸
    濁液及び懸濁液と接する気体の温度が0℃を越え100
    ℃未満の範囲であり、かつ懸濁液が気体と接触する面積
    を拡大させて溶媒を除去することを特徴とする静電荷像
    現像用トナーの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記溶媒を除去する工程において、接触
    面積の拡大が噴霧により行われることを特徴とする請求
    項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の製造方法により得られること
    を特徴とする静電荷像現像用トナー。
JP15421897A 1997-06-12 1997-06-12 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 Pending JPH112921A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008083734A (ja) * 2007-12-17 2008-04-10 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナーの製造方法、トナー、画像形成装置及び容器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008083734A (ja) * 2007-12-17 2008-04-10 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナーの製造方法、トナー、画像形成装置及び容器

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