JPH11291416A - 繊維補強塩化ビニル系樹脂成形体およびその製造方法 - Google Patents

繊維補強塩化ビニル系樹脂成形体およびその製造方法

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JPH11291416A
JPH11291416A JP10143298A JP10143298A JPH11291416A JP H11291416 A JPH11291416 A JP H11291416A JP 10143298 A JP10143298 A JP 10143298A JP 10143298 A JP10143298 A JP 10143298A JP H11291416 A JPH11291416 A JP H11291416A
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resin
reinforcing material
fiber
vinyl chloride
mat
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JP10143298A
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Hiroaki Ito
宏明 伊藤
Takao Hayashi
孝雄 林
Yasuo Suzuki
康夫 鈴木
Toshio Matsuno
敏夫 松野
Tomohiko Kuno
智彦 久野
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AGC Engineering Co Ltd
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Asahi Glass Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】塩化ビニル樹脂とマット状繊維補強材相互の剥
離がなく、耐薬品性に優れた繊維補強塩化ビニル系樹脂
成形体を提供する。 【解決手段】塩化ビニル系樹脂を含み、180℃、剪断
速度6sec-1における樹脂粘度が1×106 ポアズ未
満である樹脂(a)が、ポリエステル樹脂の粉体と不飽
和ポリエステル樹脂の粉体を付着させたマット状繊維補
強材により補強されてなる繊維補強塩化ビニル系樹脂成
形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本説明は製造工程が簡便で、
機械的強度が良好な繊維補強塩化ビニル系樹脂成形体お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル樹脂をガラス繊維で補強する
ことは公知である。例えば塩化ビニル樹脂にガラス繊維
補強材を短く裁断したものをミキサーで均一に混練後、
押出機で形成する方法がある。この方法は、ミキサーや
押出機を用いるため混練時に繊維補強材が極めて短く切
断され、補強効果が低い欠点がある(特開昭60−17
3037、特開平2−24305参照)。
【0003】また、ガラス繊維補強材に塩化ビニル樹脂
エマルジョンを含浸させ乾燥後、加熱溶融する方法があ
る。この方法はガラス繊維補強材中の塩化ビニル樹脂の
含浸は容易であるが、エマルジョンが高価であり、乾
燥、溶融工程が複雑、高価なものになり、コスト高とな
る欠点がある。
【0004】更に、塩化ビニル樹脂の補強に用いられる
繊維補強材は、含浸樹脂との相溶性の改善にエポキシシ
ランまたはアミノシランなどの表面処理剤が、また補強
剤の構造を形成維持するためにポリ酢酸ビニル、不飽和
ポリエステル樹脂、エポキシ化合物、ポリメチルメタア
クリレートなどの集束剤が使用されている。例えば、特
開平1−266143に見られるような繊維補強材とマ
トリックス樹脂の間の親和性の改良が検討されていた
が、繊維補強材の結束剤の影響はさほど考慮されていな
い。
【0005】また、ガラス繊維補強材間に塩化ビニル樹
脂粉末を付着させる方法(特開平3−269022参
照)も提案されている。しかし、この方法はガラス繊維
補強材と塩化ビニル樹脂粒子がこすれて繊維切れをおこ
す欠点があり、繊維切れを避けるために集束剤を増量す
れば解束が悪くなり、繊維が樹脂中に局在化するおそれ
がある。このようにこれまで繊維補強にもかかわらずそ
の補強の効果が充分に発揮されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術の上記諸欠点を排除し、特定のマット状繊維補強材
と加熱時に低い溶融粘度を有するマトリクス樹脂を用い
て成形加工することにより、マット状繊維補強材への樹
脂含浸が良好で、溶接または切断などの二次加工におい
て剥離を起こしにくく、耐薬品性に優れ、機械的強度も
充分な繊維補強塩化ビニル系樹脂成形体を提供すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は下記樹脂(a)
が下記マット状繊維補強材(b)により補強されてなる
繊維補強塩化ビニル系樹脂成形体である。
【0008】樹脂(a):塩化ビニル系樹脂(1)また
は塩化ビニル系樹脂と他の樹脂の混合樹脂(2)からな
り、かつその180℃、剪断速度6sec-1における樹
脂粘度が1×106 ポアズ未満である樹脂。
【0009】マット状繊維補強材(b):マット状繊維
補強材にポリエステル樹脂の粉体と未硬化不飽和ポリエ
ステル樹脂の粉体を付着させた後、未硬化不飽和ポリエ
ステル樹脂の粉体を硬化させてなるマット状繊維補強
材。
【0010】また、本発明は下記樹脂(a)からなるシ
ートと下記マット状繊維補強材(b)とを積層し、熱圧
着することを特徴とする繊維補強塩化ビニル系樹脂成形
体の製造方法である。
【0011】樹脂(a):塩化ビニル系樹脂(1)また
は塩化ビニル系樹脂と他の樹脂の混合樹脂(2)からな
り、かつその180℃、剪断速度6sec-1における樹
脂粘度が1×106 ポアズ未満である樹脂。
【0012】マット状繊維補強材(b):マット状繊維
補強材にポリエステル樹脂の粉体と未硬化不飽和ポリエ
ステル樹脂の粉体を付着させた後、未硬化不飽和ポリエ
ステル樹脂の粉体を硬化させてなるマット状繊維補強
材。
【0013】本発明における樹脂(a)は塩化ビニル系
樹脂(1)または塩化ビニル系樹脂と他の樹脂の混合樹
脂(2)からなり、樹脂(1)および混合樹脂(2)そ
れぞれの「180℃、剪断速度6sec-1における樹脂
粘度」(以下、単に「樹脂粘度」という)が1×106
ポアズ未満である樹脂である。この樹脂(a)は、マッ
ト状繊維補強材間に容易に行きわたりやすいものであ
る。
【0014】本発明における塩化ビニル系樹脂として
は、塩化ビニルと他のモノマーとの共重合体、塩化ビニ
ルの単独重合体、前記共重合体または単独重合体の塩素
化物などが採用される。
【0015】塩化ビニルと他のモノマーとの共重合体に
おける、他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン
などのオレフィン類、酢酸ビニルなどの飽和カルボン酸
ビニルエステル類、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステルなどの不飽和カルボン酸エステル類、アクリル
酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸などから選ば
れる1種以上が採用される。共重合体中の他のモノマー
の共重合割合は50重量%以下が好ましく、30重量%
以下がより好ましい。
【0016】好ましい塩化ビニル系樹脂としては、塩化
ビニル−エチレン共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピレ
ン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹
脂、塩素化塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。
【0017】本発明における塩化ビニル系樹脂には、樹
脂の熱安定性を改善するための安定剤、樹脂の粘度を調
整するための可塑剤、その他滑剤などが含まれていても
よい。安定剤、可塑剤および滑剤が含まれる場合、塩化
ビニル系樹脂に対する安定剤、可塑剤、滑剤の配合量
は、樹脂100重量部に対して、安定剤は1〜5重量
部、可塑剤は0.1〜2重量部、滑剤は0.1〜2重量
部であることが好ましい。
【0018】安定剤としてはカルシウム、マグネシウ
ム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、スズ、鉛などの
金属の有機酸塩、無機酸塩などから選ばれる1種以上が
挙げられる。可塑剤としてはジオクチルフタレート、ジ
ブチルフタレート、ジエチルフタレートなどのジアルキ
ルフタレート類、トリクレジルホスフェート、トリエチ
ルホスフェートなどのホスフェート類、エポキシ化大豆
油などのエポキシ化合物類などから選ばれる1種以上が
挙げられる。滑剤としてはポリエチレンワックスなどの
炭化水素類、ステアリン酸などの高級脂肪酸類、ブチル
ステアレートなどのエステル類などから選ばれる1種以
上が挙げられる。
【0019】本発明における樹脂(a)は、塩化ビニル
系樹脂のみからなり、かつこの塩化ビニル系樹脂の樹脂
粘度が1×106 ポアズ未満であるものでもよく、塩化
ビニル系樹脂と他の樹脂の混合樹脂からなり、かつこの
混合樹脂の樹脂粘度が1×106 ポアズ未満であるもの
でもよい。混合樹脂は、樹脂粘度が1×106 〜1×1
7 ポアズの塩化ビニル系樹脂とこの塩化ビニル系樹脂
より高い溶融流動性を有する樹脂との混合樹脂が好まし
い。
【0020】ここで、「より高い溶融流動性を有する樹
脂」とは、たとえば樹脂粘度が塩化ビニル系樹脂よりも
低いことを意味する。この樹脂粘度は1×103 ポアズ
以上かつ1×106 ポアズ未満であることが好ましく、
1×104 ポアズ以上かつ1×106 ポアズ未満である
ことがより好ましい。
【0021】塩化ビニル系樹脂より高い溶融流動性を有
する樹脂としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エ
チレン/酢酸ビニル/一酸化炭素共重合体、エチレン/
アクリル酸エステル/一酸化炭素共重合体、ブタジエン
/アクリロニトリル共重合体、ポリウレタンなどから選
ばれる1種以上が採用され、エチレン/酢酸ビニル共重
合体、エチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素共重合体など
のエチレン/酢酸ビニル系共重合体が好ましい。この樹
脂の分子量は1×105 以上が好ましく、2×105
上がより好ましい。
【0022】塩化ビニル系樹脂と塩化ビニル系樹脂より
高い溶融流動性を有する樹脂との混合割合は、目的とす
る粘度を得ること、塩化ビニル系樹脂固有の耐薬品性能
を維持することなどの観点から選択され、前者100重
量部に対して後者が5〜100重量部が好ましく、10
〜60重量部がより好ましい。
【0023】本発明におけるマット状繊維補強材(b)
は、マット状繊維補強材にポリエステル樹脂の粉体と未
硬化不飽和ポリエステル樹脂の粉体を付着させた後、未
硬化不飽和ポリエステル樹脂の粉体を硬化させてなるマ
ット状繊維補強材(以下、補強材(b)という)であ
る。ポリエステル樹脂の粉体と未硬化不飽和ポリエステ
ル樹脂の粉体は別々に付着させてもよく、両者の粉体を
予め混合した後、この混合粉体を付着させてもよい。
【0024】本発明におけるポリエステル樹脂および不
飽和ポリエステル樹脂は、常温で固体であり、これらの
樹脂粉体の平均粒径は50〜500μmが好ましく、1
00〜300μmがより好ましい。
【0025】マット状繊維補強材上に散布されたポリエ
ステル樹脂の粉体はその溶融温度以上に加熱され、次い
で冷却固化されることによりマット状繊維補強材に付着
形成される。また、マット状繊維補強材上に散布された
未硬化不飽和ポリエステル樹脂の粉体はその硬化温度以
上に加熱されることによりマット状繊維補強材に付着硬
化形成される。
【0026】熱圧着成形時などにおいて補強材(b)の
それぞれの繊維間に樹脂(a)が浸透しやすくするため
には、補強繊維間に付着されたポリエステル樹脂は、繊
維補強塩化ビニル系樹脂成形体の成形温度以下で溶融す
ることが重要である。なお、補強材(b)には、繊維補
強塩化ビニル系樹脂成形体の成形温度以下で溶融する部
分、すなわちポリエステル樹脂粉体のみが付着形成され
た部分が存在すると考えられる。
【0027】したがって、本発明におけるポリエステル
樹脂はその溶融温度が繊維補強塩化ビニル系樹脂成形体
の成形温度以下である樹脂から選ばれる。ポリエステル
樹脂の溶融温度は80〜160℃が好ましく、90〜1
30℃がより好ましい。好ましいポリエステル樹脂とし
ては、重合開始剤を含まない不飽和ポリエステル樹脂、
後述の飽和多塩基酸および多価アルコール類を反応させ
て得られる樹脂などが挙げられる。
【0028】一方、未硬化不飽和ポリエステル樹脂は、
補強材(b)を形成する際にマット状繊維補強材に付着
硬化形成され、繊維補強塩化ビニル系樹脂成形体の成形
時などにおいてマット状繊維補強材の層構造を維持する
ために重要である。未硬化不飽和ポリエステル樹脂の硬
化温度は未硬化不飽和ポリエステル樹脂粉体の溶融温度
以上から選ばれる。
【0029】本発明における不飽和ポリエステル樹脂と
は、不飽和多塩基酸および多価アルコール類を反応させ
て得られる樹脂または不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸お
よび多価アルコール類を反応させて得られる樹脂であ
る。不飽和多塩基酸としては無水マレイン酸、フマル酸
が好ましく、飽和多塩基酸としては無水フタル酸、イソ
フタル酸が好ましく、多価アルコール類としてはエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグ
リコールなどのグリコール類、ビスフェノールAにプロ
ピレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加した多
価アルコール類が好ましい。
【0030】不飽和ポリエステル樹脂には、通常重合開
始剤が含まれる。重合開始剤としては、メチルエチルケ
トンパーオキシド、アセチルアセトンパーオキシド、ベ
ンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチル
パーオキシイソプロピルカーボネートなどの有機過酸化
物が好ましい。重合開始剤の含有割合は不飽和ポリエス
テル樹脂100重量部に対して0.05〜10重量部が
好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
【0031】補強材(b)に付着しているポリエステル
樹脂と硬化不飽和ポリエステル樹脂の合計の割合は、補
強材(b)100重量部に対して0.01〜20重量部
が好ましく、0.05〜10重量部がより好ましく、
0.1〜5重量部がさらに好ましい。
【0032】補強材(b)に付着しているポリエステル
樹脂と硬化不飽和ポリエステル樹脂の割合は、前者10
0重量部に対して後者が5〜100重量部の割合が好ま
しく、前者100重量部に対して後者が10〜30重量
部の割合がより好ましい。
【0033】硬化不飽和ポリエステル樹脂の付着割合が
少なすぎると、補強材(b)の層構造を維持することが
難しくなり、補強材(b)のハンドリングが悪くなるた
め好ましくない。逆に、硬化不飽和ポリエステル樹脂の
付着割合が多すぎると、硬化不飽和ポリエステル樹脂が
多すぎる結果、成形時の補強材(b)の開束が悪くなり
繊維が樹脂(a)中に局在化し、不均一な部分が生じて
しまい好ましくない。
【0034】マット状繊維補強材は、複数のモノフィラ
メントが集束剤により結束されて形成されたストランド
からなるものである。モノフィラメントの直径は通常1
0〜30μmであり、ストランドの直径は通常100〜
500μmである。
【0035】マット状繊維補強材としては、チョップト
ストランドマット、コンティニュアスストランドマッ
ト、抄紙マットなどから選ばれる1種以上が好ましく採
用される。
【0036】マット状繊維補強材の材質には、ガラス繊
維、カーボン繊維、セラミック繊維などの無機繊維、芳
香族ポリアミド繊維などの有機繊維などがある。性能と
価格を考慮するとマット状繊維補強材の材質はガラス繊
維が好ましい。
【0037】樹脂(a)との相溶性を付与するために補
強材(b)はエポキシシラン、アミノシランなどのシラ
ン系化合物で表面処理されていることが好ましい。
【0038】樹脂(a)に対する補強材(b)の含有割
合は、補強効果を考慮すると樹脂(a)100重量部に
対して5〜100重量部が好ましく、10〜50重量部
がより好ましい。含有割合が少なすぎると補強効果が低
く、逆に多すぎると樹脂の含浸が不充分な部分が生じて
しまい、いずれも好ましくない。
【0039】本発明の繊維補強塩化ビニル系樹脂成形体
の成形方法は、押出成形、射出成形、熱圧着成形などの
周知乃至公知の繊維補強熱可塑性樹脂成形方法を適用で
きる。成形体の形状は特に制限はなく、各種の成形方法
から得られる各種の形状を採用できる。好ましくは、熱
圧着成形方法によるシート状成形体の成形方法である。
【0040】本発明の繊維補強塩化ビニル系樹脂成形体
の熱圧着成形方法において、樹脂(a)からなるシート
と補強材(b)は積層後、熱圧着される。成形体の最外
層は樹脂(a)層であることが好ましい。樹脂(a)か
らなるシートと補強材(b)は1枚ずつ交互に積層され
てもよく、樹脂(a)からなるシートと補強材(b)が
それぞれ2枚以上積層されていてもよい。樹脂(a)の
シートはカレンダ法または押出し法によって成形され
る。熱圧着条件は温度160〜220℃、圧力10〜3
0kg/cm2 が好ましい。
【0041】
【実施例】例1〜2は実施例、例3は比較例である。以
下の例において、下記の略号を使用する。
【0042】樹脂A:ビスフェノールA系不飽和ポリエ
ステル樹脂(重合開始剤を含まず、溶融温度約120
℃)。 樹脂B1 :無水マレイン酸、イソフタル酸およびプロピ
レングリコールの反応物(ベンゾイルパーオキシドを1
重量%含む)。 樹脂B2 :フマル酸、テレフタル酸およびネオペンチル
グリコールの反応物(ベンゾイルパーオキシドを1重量
%含む)。 CSM:線径20μmのガラスモノフィラメントが結束
されて得られるストランドからなるコンティニュアスス
トランドマットで1m2 当たりの重量が370gである
コンティニュアスストランドマット。
【0043】「例1」樹脂Aの粉体(平均粒径150μ
m)と樹脂B1 の粉体(平均粒径150μm)からなる
混合粉体[樹脂Aの粉体:樹脂B1 の粉体=10:1
(重量比)]をCSMに散布後、200℃に加熱し樹脂
Aを溶融させ、樹脂B1 の粉体を硬化させて、混合粉体
がCSMに対して0.1重量%付着されたCSMを得
た。
【0044】このCSM4枚と樹脂粘度が105 ポアズ
の塩化ビニル系樹脂[塩化ビニル−エチレン共重合体樹
脂(エチレンに基づく重合単位の含有量8重量%)]の
カレンダシート5枚の計9枚を交互に重ね合せ、表面と
裏面にカレンダシートがくるようにし、180℃、面圧
20kg/cm2 Gの条件で4分加熱プレスし、厚さ約
2mmの板状体を得た。この板状体のガラス繊維含有量
は29重量%であった。
【0045】この板状体の物性は、引張強度9.0kg
/mm2 、曲げ強度16.0kg/mm2 、曲げ弾性率
600kg/mm2 、アイゾット衝撃強度(ノッチ付)
55kgcm/cm2 であた。この板状体は、半透明で
あり、目視した限りガラス繊維の存在はほとんど認めら
れなかった。
【0046】この板状体の耐薬品性を見るため、40重
量%のNaOH、30重量%のH2SO4 、35重量%
のHClそれぞれの液(50℃)に1週間浸漬した。浸
漬後の重量変化率はいずれもほとんどなく、安定してい
た。また、この板状体をスチレンに浸漬したところ樹脂
Aの一部が溶解した。
【0047】また、この板状体をハンドソーにより、十
字状に切り、四分割して夫々の切り口の様子を観察した
ところ、繊維と樹脂相互の剥離は全く認められなかっ
た。
【0048】「例2」例1の塩化ビニル系樹脂の代わり
に樹脂粘度が105 ポアズの塩化ビニル系樹脂[塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体樹脂]を使用し、例1のB1
の代わりにB2 を使用する以外例1と同様にして板状体
を得た。
【0049】この板状体の物性は、引張強度8.0kg
/mm2 、曲げ強度14.0kg/mm2 、曲げ弾性率
460kg/mm2 、アイゾット衝撃強度(ノッチ付)
55kgcm/cm2 であた。この板状体は、半透明で
あり、目視した限りガラス繊維の存在はほとんど認めら
れなかった。
【0050】この板状体の耐薬品性を見るため、40重
量%のNaOH、30重量%のH2SO4 、35重量%
のHCl夫々の液(50℃)に1週間浸漬した。浸漬後
の重量変化率はいずれもほとんどなく、安定していた。
また、この板状体をスチレンに浸漬したところ樹脂Aの
一部が溶解した。
【0051】また、この板状体をハンドソーにより、十
字状に切り、四分割して夫々の切り口の様子を観察した
ところ、繊維と樹脂相互の剥離は全く認められなかっ
た。
【0052】「例3」例1の樹脂Aの粉体を使用しない
以外例1と同様にして板状体を得た。この板状体につい
て例1と同様にして耐薬品性を試験したところ、NaO
Hに浸漬したものは1.7重量%、H2 SO4 に浸漬し
たものは1.0重量%、HClに浸漬したものは2.0
重量%とそれぞれ重量が増加しており、それぞれ薬品を
吸収したことがうかがえた。
【0053】またハンドソーを用いてこの板状体を十字
状に切り、切り口の様子を観察したところ、繊維と樹脂
の相互の剥離が点々と数多く認められた。
【0054】
【発明の効果】本発明において、補強材(b)を用いる
ことにより、積層成形加工時において補強繊維間の結び
つきが柔軟となり補強材(b)のそれぞれの繊維周辺を
樹脂(a)が取り囲むことができる。
【0055】また、加熱時に高い溶融流動性を有する樹
脂(a)を用いることにより、補強材(b)に樹脂が侵
入しやすくなる。この樹脂(a)と補強材(b)の相乗
作用により、容易にしかも補強材(b)の破損および凝
集もなく、含浸性の優れた繊維補強塩化ビニル系樹脂成
形体が製造できる。これにより強度が優れ、凝集相がな
いため耐薬品性に優れ、また加工時における繊維と樹脂
の剥離も起りにくい繊維補強塩化ビニル系樹脂成形体が
得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 康夫 千葉県市原市八幡海岸通り38番地 旭硝子 エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 松野 敏夫 千葉県市原市八幡海岸通り38番地 旭硝子 エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 久野 智彦 千葉県市原市八幡海岸通り38番地 旭硝子 エンジニアリング株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記樹脂(a)が下記マット状繊維補強材
    (b)により補強されてなる繊維補強塩化ビニル系樹脂
    成形体。 樹脂(a):塩化ビニル系樹脂(1)または塩化ビニル
    系樹脂と他の樹脂の混合樹脂(2)からなり、かつその
    180℃、剪断速度6sec-1における樹脂粘度が1×
    106 ポアズ未満である樹脂。 マット状繊維補強材(b):マット状繊維補強材にポリ
    エステル樹脂の粉体と未硬化不飽和ポリエステル樹脂の
    粉体を付着させた後、未硬化不飽和ポリエステル樹脂の
    粉体を硬化させてなるマット状繊維補強材。
  2. 【請求項2】下記樹脂(a)からなるシートと下記マッ
    ト状繊維補強材(b)とを積層し、熱圧着することを特
    徴とする繊維補強塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法。 樹脂(a):塩化ビニル系樹脂(1)または塩化ビニル
    系樹脂と他の樹脂の混合樹脂(2)からなり、かつその
    180℃、剪断速度6sec-1における樹脂粘度が1×
    106 ポアズ未満である樹脂。 マット状繊維補強材(b):マット状繊維補強材にポリ
    エステル樹脂の粉体と未硬化不飽和ポリエステル樹脂の
    粉体を付着させた後、未硬化不飽和ポリエステル樹脂の
    粉体を硬化させてなるマット状繊維補強材。
JP10143298A 1998-04-13 1998-04-13 繊維補強塩化ビニル系樹脂成形体およびその製造方法 Pending JPH11291416A (ja)

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Cited By (5)

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JP2020158750A (ja) * 2019-03-25 2020-10-01 積水化学工業株式会社 ポリ塩化ビニル系炭素繊維強化複合材料
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