JP2765431B2 - 透視性を有するコンクリート型枠 - Google Patents

透視性を有するコンクリート型枠

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンクリート打設時に
型内部のコンクリートの充填状態を確認できる、透視性
を有するコンクリート型枠に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、コンクリート型枠としては南
洋材などの木材を使用した型枠が使用されている。しか
し、このような透視性を有しない型枠でコンクリートを
打設した場合には、枠内部のコンクリートの充填状態を
目で確認することができなかった。このため、型枠とコ
ンクリートとの間に空隙が発生する等コンクリートの充
填状態が良好でない場合には、コンクリート打設後に建
造物を取り壊し、再度コンクリートを打設しなければな
らない場合すらあった。
【0003】このような観点から、コンクリート型枠と
して透明な合成樹脂板を使用することが提案されている
(特開昭64−80665号、特開平1−94159
号)。しかしながら、この透明な合成樹脂板は剛性およ
び衝撃強度に劣るので、型枠として充分な強度を得るた
めには、天板厚を厚くしたり、桟木を接着したりする必
要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
本発明者らはコンクリート型枠としての強度を満たし、
しかもコンクリートの充填状態が目で確認できるような
透視性を有するコンクリート型枠を開発すべく検討の結
果、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、天
板部分の厚みにおける繊維強化ポリオレフィンの全光線
透過率Tt(C)%が該樹脂の繊維充填率α重量%およ
び同一厚みのポリオレフィンの全光線透過率Tt(M)
%に対して、下式 Tt(C)≧Tt(M)−1.5α 15≦Tt(C) を満足し、かつ繊維充填率αが10〜50重量%である
繊維強化ポリオレフィン部分を有することを特徴とする
コンクリート型枠を提供するものである。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。コンクリ
ート型枠には、剛性や耐衝撃性が必要とされる。樹脂製
のコンクリート型枠の場合、使用する繊維強化樹脂中の
繊維充填率が高ければ強度が大きくなるが、透視性は低
下していく。また、同じ充填率で考えると、マトリック
ス樹脂の全光線透過率が高いほど繊維強化樹脂の透視性
が良くなる。
【0007】そこで、コンクリート型枠としての強度を
維持しつつ透視性を確保するためには、繊維強化樹脂の
全光線透過率がある基準以上の値を持つことが必要とな
る。このとき、繊維強化樹脂の全光線透過率Tt(C)
%は、上述のように、厚みを一定にして考えたときに
は、繊維充填率α重量%及びマトリックス樹脂の全光線
透過率Tt(M)%によって決定され、下式 Tt(C)≧Tt(M)−1.5α 15 ≦Tt(C) を満足する場合に透視性を有することを見出した。
【0008】ここで、繊維強化樹脂の全光線透過率が上
式を満たさない場合には、繊維充填率の増加に伴って著
しく全光線透過率が低下するため、必要な強度を満足す
るコンクリート型枠を成形した場合に充分な透視性を得
られなくなってしまう。
【0009】本発明のコンクリート型枠の基材となる樹
脂は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオ
レフィンがあげられるが、耐熱性、強度、経済性等の面
からポリプロピレンが好ましく用いられる。
【0010】充填される繊維としてはガラス繊維が好ま
しく使用されるが、アルミナ繊維等の他の繊維であって
もよく、特に限定されない。繊維の充填率は上式を満た
す範囲であればよいが、強度、経済性等からみて通常1
0〜50重量%、好ましくは15〜30重量%の範囲で
ある。
【0011】ガラス繊維を用いる場合の繊維長は、通常
0.1〜50mm、好ましくは1〜15mmである。ま
た、その繊維径としては通常1〜50μである。
【0012】また、本発明の繊維強化樹脂中に、全光線
透過率が上式を満たす範囲内で、繊維と樹脂との接着性
を向上させるための結合剤を添加してもよい。同様に、
全光線透過率が上式を満たす範囲内で、熱可塑性樹脂に
通常配合される安定剤、着色剤、充填剤などの各種配合
剤が配合されていてもよいことはいうまでもない。
【0013】本発明の熱可塑性樹脂製コンクリート型枠
の構造としては特に限定されず、天板部分のみからなる
平板であってもよいし、その断面が櫛状であるような天
板の裏面に多数のリブを有するものであってもよい。
【0014】本発明のコンクリート型枠の製造方法とし
ては特に限定されず、通常の樹脂成形法であればよく、
例えば射出成形法、射出圧縮成形法等が採用できる。
【0015】本発明のコンクリート型枠において、型枠
としての全体の厚みは、必要な強度が得られる程度の厚
みであれば特に制限はなく、通常10〜70mm程度で
あるが、使用時の作業性、特に従来より多用されている
木質系のコンクリート型枠との関係から、平板のみから
なる場合には10〜15mm、リブ構造を有する場合に
は62〜65mmの範囲であることが望ましい。
【0016】
【発明の効果】本発明の透視性を有するコンクリート型
枠を用いてコンクリートを打設した場合には、空隙発生
の有無など枠内部のコンクリートの充填状態を目で見て
確認することができるという効果を有する。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明がこれによって限定されるものでない
ことはいうまでもない。なお、各例中の試験法は以下の
とおりである。 全光線透過率:JIS K7150−改に準拠し、B法
にて測定を行った。測定に用いた装置は、積分球式反射
透過率計(材工色彩技術研究所株式会社製RT−100
型)である。 曲げ試験:JIS K7203に準拠し、8点支持法で
行った。 衝撃強度:図2に示す装置を用いて行った。50mm×
50mm×2mmのテストピース上に先端が1/2イン
チの半円状である撃芯を置き、その上方から荷重を落下
させて、テストピースが破壊されるときの荷重の最低落
下距離(破壊高さ)を測定し、式 破壊エネルギー(kg・cm)=荷重(kg)×破壊高
さ(cm) により得られる破壊エネルギーをもって衝撃強度とし
た。
【0018】実施例1、2 繊維長が6mm、繊維径が13μのガラス繊維を含むポ
リプロピレン製ペレット(マトリックス樹脂:住友化学
工業株式会社製AX574、MI=45)を可塑化装置
に供給し、230℃で加熱溶融した。この溶融した繊維
強化樹脂を、雌雄両金型からなるプレス機の金型間に、
キャビティクリアランスが約10mmの状態で雌金型内
に設けた溶融樹脂通路から供給し、キャビティクリアラ
ンスが2.5mmになるまで型締めし、加圧、冷却して
幅600mm、高さ900mm、厚さ61.0mmのリ
ブ構造を有する図1に示すようなコンクリート型枠を得
た。このコンクリート型枠の寸法は下記の通りである。 天板の厚さ:2.5mm リブの高さ:58.5mm リブの天板とのつけ根幅:3.5mm リブのテーパー角:0.5度 リブの数:長さ方向に等間隔で全11本(両側板を含
む) 幅方向に全6本(両側板および両側板からそれぞれ15
0mmと650mmの位置) このときのマトリックス樹脂および繊維強化樹脂の全光
線透過率を表1に、得られたコンクリート型枠の天板部
分における物性を表2に示す。
【0019】実施例3〜5 繊維長が0.1mm以下、繊維径が10μのガラス繊維
を含むポリプロピレン製ペレット(マトリックス樹脂:
住友化学工業株式会社製AX574、MI=45)を用
いる以外は、実施例1と同様にしてコンクリート型枠を
製造した。このときマトリックス樹脂および繊維強化樹
脂の全光線透過率を表1に、得られたコンクリート型枠
の天板部分における物性を表2に示す。
【0020】比較例1、2 ガラス繊維マット(日本バイリーン社製VHM507
5)を上下金型間に載置し、溶融したマトリックス樹脂
(住友化学工業社製AX574、MI=45)を供給し
て、以下実施例1と同様にしてコンクリート型枠を製造
した。このときマトリックス樹脂および繊維強化樹脂の
全光線透過率を表1に、得られたコンクリート型枠の天
板部分における物性を表2に示す。
【0021】比較例3 繊維長が0.1mm以下、繊維径が10μのガラス繊維
を含むポリプロピレン製ペレット(マトリックス樹脂:
住友化学工業社製AX574、MI=45)を用い、実
施例1と同様にしてコンクリート型枠を製造した。この
ときマトリックス樹脂および繊維強化樹脂の全光線透過
率を表1に、得られたコンクリート型枠の天板部分にお
ける物性を表2に示す。
【0022】
【0023】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるコンクリート型枠の一例を示
す。
【図2】本発明の実施例におけるコンクリート型枠の衝
撃試験に用いる装置を示す。
【符号の説明】 1:荷重 2:撃芯 3:テストピース 4:テストピース支持具 5:撃芯先端
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−101337(JP,A) 実開 昭62−40142(JP,U) 特公 昭58−30339(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04G 9/05 C08K 7/14 C08F 10/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】天板部分の厚みにおける繊維強化ポリオレ
    フィンの全光線透過率Tt(C)%が該樹脂の繊維充填
    率α重量%および同一厚みのポリオレフィンの全光線透
    過率Tt(M)%に対して、下式 Tt(C)≧Tt(M)−1.5α 15≦Tt(C) を満足し、かつ繊維充填率αが10〜50重量%である
    繊維強化ポリオレフィン部分を有することを特徴とする
    コンクリート型枠。
  2. 【請求項2】ポリオレフィンがポリプロピレンである請
    求項1記載のコンクリート型枠。
  3. 【請求項3】充填する繊維が繊維長0.1〜50mmの
    ガラス繊維である請求項1〜2記載のコンクリート型
    枠。
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