JPH11291259A - 被膜を有する成形金型とその被膜形成方法 - Google Patents

被膜を有する成形金型とその被膜形成方法

Info

Publication number
JPH11291259A
JPH11291259A JP37660298A JP37660298A JPH11291259A JP H11291259 A JPH11291259 A JP H11291259A JP 37660298 A JP37660298 A JP 37660298A JP 37660298 A JP37660298 A JP 37660298A JP H11291259 A JPH11291259 A JP H11291259A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
fluorine
triazinedithiol derivative
coating film
potential
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP37660298A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunio Mori
邦夫 森
Yoshiyuki Oishi
好行 大石
Hidetoshi Hirahara
英俊 平原
Yaeko Sasaki
八重子 佐々木
Shingo Omura
慎吾 大村
Seiichi Sai
聖一 斎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOA DENKA KK
Original Assignee
TOA DENKA KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOA DENKA KK filed Critical TOA DENKA KK
Priority to JP37660298A priority Critical patent/JPH11291259A/ja
Publication of JPH11291259A publication Critical patent/JPH11291259A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチックやゴム等の成形において金型に
対する成形品の離型性をよくする。 【解決手段】 電解質を含むフッ素基含有トリアジンジ
チオ−ル誘導体の水または有機溶剤やこれらの混合溶剤
の溶液に成形金型を陽極とし、不活性導電体を陰極とし
て、電位走査法、定電流法、定電位法およびパルス定電
流法、パルス定電位法のいずれかの電気化学的処理によ
り金型表面にフッ素基含有トリアジンジチオ−ル誘導体
の電解重合体被膜を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフッ素基含有トリア
ジンジチオ−ル誘導体の電解重合による被膜を金型表面
に有する成形金型とその被膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金型によるプラスチックの成形に
際し、離型性をよくするため、原料樹脂にステアリン酸
塩等の離型剤を混入したり、フッ素系やシリコン系の離
型剤を金型表面に噴霧して解決をはかっているが、なお
不充分で、金型の長期使用のため、金型を頻繁に洗浄や
研磨などして保守をおこなっているのが現状である。ま
た、熔射法やイオンプレ−ティング法により金属表面の
硬度を高めることも試みられているが、金属表面の極性
は変化させることができないため、金型に対するプラス
チックの付着強度を根本的に低下させる手段とはなって
いない。最近、フッ素樹脂粉末とニッケルとの複合メッ
キを金型におこない、離型性を賦与するという技術も提
案されているが、効果期間が短いなど種々の問題があ
り、普及するにはいたっていないので、これを精巧な平
滑性の持続が要求されるプラスチックの成形金型には使
用できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】プラスチックの成形に
おいて金型に対する成形品の離型性をよくするために
は、金型表面の臨界表面張力を成形品のそれより著しく
小さくする必要がある。しかしながら、一般にはプラス
チック表面の表面自由エネルギ−(γP )より金属表面
の表面自由エネルギ−(γM )が大きく、金型表面にプ
ラスチックが付着しやすいのが現状である。離型の条件
は付着しないということであり、この目的を達成するた
めには、γM ≠γP であり、γM とγP がともに小さい
ことである。すなわち、γM をいかに小さくするかが問
題となる。すなわち、本発明は金型表面の表面自由エネ
ルギ−をいかにして小さいするか、その解決手段を提供
せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】ここにおいて本発明者ら
は、金型表面の表面自由エネルギ−を小さくするため、
金型表面を表面自由エネルギ−の小さいフッ素系有機化
合物で被覆することに着目し、フッ素系有機化合物とし
てフッ素基含有トリアジンジチオ−ル誘導体が好適であ
ることを見出し、その電解重合体被膜を金型表面に有す
る成形金型を見出すにいたった。
【0005】用いるフッ素基含有トリアジンジチオ−ル
誘導体としては、一般式
【0006】
【化2】
【0007】〔式中、R1 は−H,−CH3 ,−C2
5 ,−C4 9 ,−C8 17,−C65 ,−CH2
H=CH2 ,−C2 4 CH=CH2 ,−CH2 CH=
CHCH=CHCH3 ,−C4 8 CH=CH2 ,−C
6 12CH=CH2 ,−CH26 4 CH=CH2
−CH2 3 7 ,−CH2 7 15,−C6 4 4
9 ,−C6 4 8 17、R2 は−CH2 −,−C2
4 −,−CH(C2 4 2 CHOCO−,−C2
4 OCO−,−C3 6 −,−CH2 CH=CH−,−
6 4 O−,−C6 12−,−CH2 CH(OH)C
2 −のいずれかであり、RfはCn 2n+1のnが1か
ら12の場合をさし、MはHおよびアルカリ金属をさ
す。〕のものであるが、これらに限定されるものではな
い。アルカリ金属はLi、Na、K、Csなどが対象と
なる。
【0008】また、かかる成形金型を得るには、電解質
を含むフッ素基含有トリアジンジチオ−ル誘導体の水ま
たは有機溶剤やこれらの混合溶剤の溶液に成形金型を陽
極とし、不活性導電体を陰極として、電位走査法、定電
流法、定電位法およびパルス定電流法、パルス定電位法
のいずれかの電気化学的処理により金型表面にフッ素基
含有トリアジンジチオ−ル誘導体の重合体被膜を形成さ
せればよく、使用し得るフッ素基含有トリアジンジチオ
−ル誘導体として、上記の各フッ素基含有トリアジンジ
チオ−ル誘導体をあげることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】表面自由エネルギ−の小さいフッ
素系有機化合物の中でも、現在、CF3 基で被覆された
表面が最も小さい臨界表面張力(γc;6〜7mJ
-2)を有するので、これを使用すれば最も小さい金属
表面の表面自由エネルギ−(γM )が得られるはずであ
る。CF3 基を金型表面に規則正しく配列させる、すな
わち金型表面とCF3 基含有トリアジンジチオ−ル誘導
体分子間にイオン対を形成させるために電気化学的処理
をおこなうが、その手法は本発明者らによる平成9年特
許願第350692号にも示してある。
【0010】一方、フッ素系有機化合物被膜は一般に機
械的強度が低いため、成形加工中に被膜が剥離し、長期
間の性能維持が困難となる。この問題を解決するために
は被膜が高分子化および三次元化されなければならな
い。したがって、かかる被膜形成物質は二官能性以上の
官能基を有する必要がある。この目的のために、フッ素
基含有トリアジンジチオ−ル誘導体による金型表面の電
気化学的処理が有効となる。
【0011】〔電気化学的処理法〕本発明でいう電気化
学的処理法とは、電解質を含むフッ素基含有トリアジン
ジチオ−ル誘導体の水または有機溶剤やこれらの混合溶
剤の溶液に、処理する導電性金型を陽極とし、不活性導
電体である白金やステンレス板を陰極として、電位走査
法、定電流法、定電位法およびパルス定電流法、パルス
定電位法のいずれかの電気化学的処理によって導電性金
型表面に三次元化された低表面エネルギ−のフッ素基含
有トリアジンジチオ−ル誘導体の重合体被膜を形成させ
る方法である。
【0012】〔表面導電性金型〕ここでいう表面導電性
金型とは、表面が導電性である金型であれば何でもよ
く、鉄および鉄合金(ステンレス、鋳物、パ−マロイ、
Mn−Si含有合金、超硬合金など)、銅および銅合金
(黄銅、リン青銅、青銅など)、ニッケル、金、銀、プ
ラチナ、コバルト、アルミニウム、マグネシウム合金、
亜鉛、鉛、錫および錫合金、ハンダ、チタン、クロムお
よびこれらのメッキ物などをあげることができる。ま
た、表面導電体とは、有機導電性皮膜、ITO、カ−ボ
ンおよび蒸着カ−ボン、導電性ゴム、および金属蒸着無
機物などであってもよい。
【0013】〔電解質〕電解質は溶剤に溶解し、通電性
を発揮しかつ安定であれば何でもよいが、一般にLiO
H、NaOH、KOH、CsOH、Na2 CO3 、Na
2 SO4 、K2SO3 、Na2 SO3 、K2 CO3 、N
aNO2 、KNO2 、NaNO3 、NaClO4 、CH
3 COONa、Na2 2 7 、NaBO3 、NaH2
PO2 、(NaPO3 6 、Na2 MoO4 、Na3
iO3 等をあげることができる。これらの濃度は一般に
0.001M〜3M、望ましくは0.01M〜0.1M
の範囲である。濃度が高すぎるとトリアジンジチオ−ル
の拡散速度が減少するので、また濃度が低すぎると電気
抵抗が大きくなり、いずれも被膜の成長速度が低下す
る。
【0014】溶剤は電解質とフッ素基含有トリアジンジ
チオ−ル誘導体を同時に溶解するものが望ましく、その
組合わせは限定できないので、溶剤を特定できないが、
たとえば、水、メタノ−ル、エタノ−ル、カルビト−
ル、セルソルブ、ジメチルホルムアミド、メチルピロリ
ドン、アクリルニトリル、エチレンカ−ボネイトなどと
これらの混合溶剤をあげることができる。混合溶剤は水
とメタノ−ル、エタノ−ル、カルビト−ル、セルソルブ
の組合せが有効である。両者の混合比はフッ素基含有ト
リアジンジチオ−ル誘導体の種類とも関係し、それぞれ
最も有効な比率が存在する。
【0015】フッ素基含有トリアジンジチオ−ル誘導体
の濃度は0.0005mmol/L〜100mmol/
L、望ましくは0.1mmol/L〜10mmol/L
である。濃度が低すぎると重合速度が遅く、また高すぎ
ると表面が粗くなる。
【0016】電解液の温度は溶剤の凝固点や沸点、また
は金属の種類などと関係するので一義的に特定できない
が、たとえば、一般的に水溶液では1°C〜99°C、
好ましくは20°C〜80°Cである。
【0017】電解槽は図1に示されるように、対極、作
用極、塩橋などを装備した一般的なものでよいが、電流
密度を調整するため、金型の形状に合わせて色々な形の
電解槽が考えられるので、一定に規定できない。対極
(陰極)の材質は電解溶液と反応したり、導電性の著し
く低いものでない限り何でもよいが、一般にステンレ
ス、白金、カ−ボン等の不活性導電体が使用される。し
かし、金型の形状が複雑な場合には、金型表面の形状に
合わせた対極形状または網状対極の使用が有効である。
さらに、電極の位置を一定速度で走査できる移動対極は
被膜を均一に生成させ、高速処理が可能となるので有効
である。
【0018】〔電位走査法〕電位走査法は溶剤の分解し
ない範囲の電位幅でおこなわれる。この範囲は溶剤や電
解質の種類等の影響を受けるので一義的に限定できな
い。走査速度は0.001〜500mV/secの範
囲、好ましくは0.1〜100mV/secの範囲であ
る。走査速度が低すぎると、重合速度が遅すぎて実用的
でなく、また高すぎると、被膜の成長が起こりにくくな
る。
【0019】〔定電位法〕定電位法の電位は−0.5〜
100mVvs.C.E.S.、好ましくは一般に自然
電位から酸化電位の範囲である。自然電位以下では全く
重合しないし、自然電位以上では溶剤の分解が起こる危
険性がある。処理電位は金属の種類と表面状態、電解溶
液の種類と濃度などの影響を受けるので一義的に限定で
きない。とくに、酸化被膜が同時に生成する場合は複雑
である。
【0020】〔定電流法〕定電流法において電流密度は
0.000001〜100mA/cm2 、好ましくは
0.0001〜5mA/cm2 が適当である。0.00
01mA/cm2 より少ないと、被膜成長に時間がかか
りすぎたり、重合しない場合がある。また、5mA/c
2 より大きいと被膜に亀裂が生成したり、金属の溶出
がみられ好ましくないが、金属の種類によっては有効な
場合もある。
【0021】〔パルス定電流法、パルス定電位法〕パル
ス定電流法およびパルス定電位法における電流密度およ
び電位は上記定電流法および定電位法におけるそれぞれ
と同じであるが、時間幅は0.01〜10分間、好まし
くは0.1〜2分間である。0.1分間より短くても、
また2分間より長くても、これらパルス定電流法および
パルス定電位法の効果が充分に発揮されなくなる。金属
に有機物などの異物が付着している場合は、前処理とし
てこれを除去しなければならないが、酸化物等は表面の
導電性を著しく低下させない限り問題ない。酸化物等が
厚くて導電しない場合は活性化の目的で通常の酸性洗浄
処理をおこなう場合もある。上記の範囲はいずれも一つ
の目安であり、それぞれの条件因子およびその組合わせ
が変化すると変わることは当然である。
【0022】成形金型の被膜の厚さは、上記の条件を調
整することにより1nm〜1000nmの範囲で任意に
制御できるが、離型性、耐久性および経済性の観点から
最適値が存在する。被膜の厚さの制御も重要であるが、
被膜の密度や強度などはより重要である。これらもそれ
ぞれに最適値が存在する。
【0023】以上により電気化学的処理がなされた金型
表面の被膜の密度や強度を高めるために、後処理が有効
な場合がある。たとえば、熱処理や光照射も被膜の三次
元化を促進し有効である。
【0024】本発明によるフッ素基含有トリアジンジチ
オ−ル誘導体の高分子化および三次元化された被膜を有
する金型は、高分子材料の成形において耐久性のある離
型性が確保される。とくに、いわゆる梨地(エンボス)
加工のミクロな凹凸面を有する金型において離型しやす
いので、金型のメンテナンスフリ−と相まって生産性の
向上をもたらす。また、離型性の点から、最近需要の多
い抜き勾配の小さい金型でも湯口の追加なしで製作が可
能となるので、金型製作費の削減に大いに貢献し低コス
トをもたらす上、製品の仕上がりもよくする効果があ
る。
【0025】本発明の成形金型を使用すれば、各種のゴ
ムやプラスチックについて離型性よく成形品を得ること
ができる。これら成形材料を例示すれば、天然ゴム、ブ
タジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエン共
重合ゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NB
R)、クロロプレンゴム、シリコンゴム、エチレンプロ
ピレンゴム、塩素化ブチルゴム、フッ化ビニリデン系フ
ッ素ゴムなどのゴム類や、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、アクリル−ブタジエンスチレン樹脂、アクリル−ス
チレン樹脂、メチルメタクリル樹脂,ポリカ−ボネ−
ト、ポリヘニレンスルフィッド、ポリスルホン酸、スチ
レン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリノルボルネ
ン、ポリアセタ−ル、ポリウレタンなどのプラスチック
類があげられる。以上の高分子材料には熱安定剤、光安
定剤、可塑剤、架橋剤,架橋促進剤、銅害防止剤、顔
料、加工助剤、粘着防止剤などが使用されるが、これら
は金型表面に析出して離型性を悪化させる。本発明によ
る表面加工された成形金型はこれらの付着をも防止す
る。
【0026】
【実施例】以下,実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 〔実施例1〜11、比較例1〕図1に示されるような一
般的な電解槽を用意しておき、これに1mMフッ素基含
有トリアジンジチオ−ル誘導体と0.1MNa2 CO3
からなる電解液を入れ、対極5にステンレス、作用極6
にステンレス板(0.2×30×50mm)、鉄板
(0.2×30×50mm)、無電解ニッケルメッキ板
(0.2×30×50mm、厚さ2μm)を用いて、
0.1mA/cm2 の電流密度で20分間電解重合をし
た。これらの金属板は電解重合処理する前に、アセトン
浸漬を30°Cで10分間、アルカリ脱脂の浸漬を江原
ユ−ジライトOP−145に50°Cで5分間それぞれ
おこなったのち、水洗してからアセトン洗浄をおこな
い、ドライヤ−で乾燥した。
【0027】電解重合処理した各種金属板を70°Cの
ホットプレ−ト台に載せ、これに260°Cに溶融した
ポリメルチメタクリレ−ト(PMMA)の液滴0.2〜
0.3gを1cm以下の高さから異なる位置に5滴滴下
する。滴下20分後、PMMAは液滴が固化し、PMM
A粒となる。この状態を確認してから、各金属板をホッ
トプレ−ト台から取出し、60分後金属板の温度が室温
付近になったなら、PMMA粒の載った金属板を90度
傾け、金属板から離れたPMMA粒の数を数えて離型性
の評価とした。
【0028】結果を実施例1から11と比較例1にまと
め、表1に示す。表1中の数字は金属板に残ったPMM
A粒の数であり、数が低いほど離型性が高いことにな
る。処理した金属板にはほとんどPMMA粒が付着せ
ず、顕著な離型効果を示した。一方、未処理の比較例に
おいてはすべての金属板がPMMA粒数5で離型性の悪
さを示した。
【0029】
【表1】
【0030】〔実施例12〜16、比較例2〜6〕軟鉄
板(0.2×30×50mm)に無電解ニッケルメッキ
(カニゼン法)で厚さ10μmのメッキをおこない研磨
しておく。この無電解ニッケルメッキ板は電解重合処理
する前に、アセトン浸漬を30°Cで10分間、アルカ
リ脱脂の浸漬を江原ユ−ジライトOP−145に50°
Cで5分間それぞれおこなったのち、水洗してからアセ
トン洗浄をおこない、ドライヤ−で乾燥した。図1に示
されるような一般的な電解槽を用意しておき、これに2
mMフッ素基含有トリアジンジチオ−ル誘導体HDO1
0と0.2MNa2 CO3 からなる電解液を入れ、対極
5にステンレス、作用極6に未処理の無電解ニッケルメ
ッキ板を用い、0.05mA/cm2 の電流密度で50
°Cにおいて15分間電解重合をした。
【0031】未処理と処理した無電解ニッケルメッキ板
(以下、いずれも金型という)を他の一般的な金型の内
面と表面が揃うようにして、それぞれその金型の底部の
凹部に載置し、これらに対し水添ポリノルボルネン樹脂
(日本ゼオン製、商品名ゼネックス)の射出成形を住友
重工製Sacap120tにより、成形サイクル30.
1sec、樹脂温度260°C、金型温度105°C、
射出圧力150MPa、冷却時間18secの条件下で
おこない、金型の表面粗さを示す最大−最小間粗さ(P
V)と平均粗さ(Ra)を三次元表面構造解析顕微鏡
(キヤノン製、Zygo New View 100)によ
り、また水の接触角をエルマ光学製接触角測定装置を用
いてそれぞれ測定し、各々離型性の目安とした。
【0032】結果を実施例12から16と比較例2から
6にまとめ、表2に示す。同じショット数で比較する
と,実施例と比較例はPVとRaの点で格段に異なる。
実施例における金型の低いPVとRaは付着物がほとん
どないことを、また比較例における金型の高いPVとR
aは金型表面に樹脂が付着していることを示す。実施例
の接触角は118〜121の間にあり、フッ素基が金型
表面に残って離型性を示していることがわかる。比較例
における接触角の上昇はやはり樹脂成分が付着している
ことを意味し、5,562ショット付近からは金型から
樹脂が離れず、成形は不能になった。以上の通り、実施
例のものがメンテナンスフリ−な離型性の高い成形金型
となりうることがわかる。
【0033】
【表2】
【0034】〔実施例17〜20、比較例7〜9〕図1
に示されるような一般的な電解槽を用意し、これに5m
Mフッ素基含有トリアジンジチオ−ル誘導体と0.2M
Na2 CO3 からなる電解液を電解槽に入れ、対極5に
ステンレス、作用極6に軟鉄板(0.2×30×50m
m、Ra;0.2μm、厚さ2μm)を用い、0.05
mA/cm2 の電流密度で50°Cにおいて15分間電
解重合をした。この軟鉄板(以下、金型という)は電解
重合処理する前に、アセトン浸漬を30°Cで10分
間、アルカリ脱脂の浸漬を江原ユ−ジライトOP−14
5に50°Cで5分間それぞれおこなったのち、水洗し
てからアセトン洗浄をおこない、ドライヤ−で乾燥し
た。
【0035】実施例17と18はフッ素基含有トリアジ
ンジチオ−ル誘導体DO10、ADO8により処理した
金型に対して、水添NBR(日本ゼオン製、商品名ZS
C2275)100部と架橋剤(ジ−t−ブチルパ−オ
キシジイソプロピルベンゼン)5部からなるゴムコンパ
ウンドシ−トを2mm幅(厚さ0.5mm、長さ50m
m)で載せ、160°Cで30分間架橋した。架橋後金
型と加硫ゴムは室温で60分間放置し、T字型剥離試験
(剥離速度;50mm/min)をおこない、剥離強度
を測定した。剥離性は剥離強度の低いものほど優れてい
ることになる。同様の架橋成形を繰返しおこない、それ
ぞれの回数で剥離強度を求めて剥離性を評価した。これ
らの結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】比較例7は未処理の金型であるが、架橋成
形回数とともに剥離強度が増加し、離型性が低下してく
ることがわかる。これに比べて、実施例17、18の処
理した金型は低い剥離強度を示し、離型性が優れている
ことがわかる。実施例19はフッ素系離型剤〔(株)ネ
オス製、商品名ネオスフリリ−ス11、以下同じ〕を処
理金型に50mmの高さから2秒間吹付けたときのもの
である。また、比較例8は未処理金型に毎回2秒間フッ
素系離型剤を吹付けて架橋したものである。実施例19
の処理した金型は1回の離型剤の塗布でもその効果を長
時間保つのに有効であるが、比較例8では毎回剥離剤を
塗布しても架橋成形の回数につれ効果が薄れてくること
がわかる。処理金型による実施例20と未処理金型によ
る比較例9は架橋成形回数30回ごとにフッ素系剥離剤
を2秒間吹付けた場合のものである。比較例9では毎回
剥離剤の塗布がなければ離型効果がでないが、実施例2
0の処理金型はときどき塗布すると安定した離型効果を
示すことが明らかであり、金型表面のフッ素基含有トリ
アジンジチオ−ル誘導体による電解重合処理が効果あり
と理解される。
【0038】
【発明の効果】以上の通り、フッ素基含有トリアジンジ
チオ−ル誘導体を用いて電解重合処理された成形金型は
離型性に優れていることが理解される。したがって、か
かる成形金型はゴムやプラスチックのほか、粉末冶金用
粉体やセラミックス用無機粉体などを用いる成形にも有
効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的な電解槽を示す説明図である。
【符号の説明】
1 記録計 2 ガルバノスタット 3 飽和カロメル電極 4 塩橋 5 対極 6 作用極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07D 251/46 C07D 251/46 B (72)発明者 平原 英俊 岩手県盛岡市高松一丁目14−55 (72)発明者 佐々木 八重子 岩手県岩手郡滝沢村鵜飼笹森68−15 (72)発明者 大村 慎吾 岩手県岩手郡滝沢村鵜飼狐洞1−375 (72)発明者 斎 聖一 岩手県岩手郡玉山村大字渋民字泉田6−4 −1−405

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素基含有トリアジンジチオ−ル誘導
    体の電解重合体被膜を金型表面に有する成形金型。
  2. 【請求項2】 フッ素基含有トリアジンジチオ−ル誘導
    体が一般式 【化1】 〔式中、R1 は−H,−CH3 ,−C2 5 ,−C4
    9 ,−C8 17,−C65 ,−CH2 CH=CH2
    −C2 4 CH=CH2 ,−CH2 CH=CHCH=C
    HCH3 ,−C4 8 CH=CH2 ,−C6 12CH=
    CH2 ,−CH26 4 CH=CH2 ,−CH2 3
    7 ,−CH2 7 15,−C6 4 49 ,−C6
    4 8 17、R2 は−CH2 −,−C2 4 −,−C
    H(C2 4 2 CHOCO−,−C2 4 OCO−,
    −C3 6 −,−CH2 CH=CH−,−C6 4
    −,−C6 12−,−CH2 CH(OH)CH2 −のい
    ずれかであり、RfはCn 2n+1のnが1から12の場
    合をさし、MはHおよびアルカリ金属をさす。〕である
    請求項1記載の成形金型。
  3. 【請求項3】 電解質を含むフッ素基含有トリアジンジ
    チオ−ル誘導体の水または有機溶剤やこれらの混合溶剤
    の溶液に成形金型を陽極とし、不活性導電体を陰極とし
    て、電位走査法、定電流法、定電位法およびパルス定電
    流法、パルス定電位法のいずれかの電気化学的処理によ
    り金型表面にフッ素基含有トリアジンジチオ−ル誘導体
    の電解重合体被膜を生成させることを特徴とする成形金
    型の被膜形成方法。
  4. 【請求項4】 フッ素基含有トリアジンジチオ−ル誘導
    体が請求項2記載のものである請求項3記載の成形金型
    の被膜形成方法。
JP37660298A 1998-02-13 1998-12-24 被膜を有する成形金型とその被膜形成方法 Pending JPH11291259A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37660298A JPH11291259A (ja) 1998-02-13 1998-12-24 被膜を有する成形金型とその被膜形成方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4877698 1998-02-13
JP10-48776 1998-02-13
JP37660298A JPH11291259A (ja) 1998-02-13 1998-12-24 被膜を有する成形金型とその被膜形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11291259A true JPH11291259A (ja) 1999-10-26

Family

ID=26389099

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP37660298A Pending JPH11291259A (ja) 1998-02-13 1998-12-24 被膜を有する成形金型とその被膜形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11291259A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001028027A1 (fr) * 1999-10-13 2001-04-19 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Dispositif electrochimique non-aqueux
JP2007131556A (ja) * 2005-11-09 2007-05-31 Iwate Univ 機能性トリアジンジチオール及びその製造方法
JP2007131919A (ja) * 2005-11-10 2007-05-31 Iwate Univ 電鋳金型の製造方法
CN104934395A (zh) * 2014-03-18 2015-09-23 海成帝爱斯株式会社 防溢出剂、用于防止溢出的组合物和防止溢出的方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001028027A1 (fr) * 1999-10-13 2001-04-19 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Dispositif electrochimique non-aqueux
US6630272B1 (en) 1999-10-13 2003-10-07 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Non-aqueous electrochemical device
JP2007131556A (ja) * 2005-11-09 2007-05-31 Iwate Univ 機能性トリアジンジチオール及びその製造方法
JP2007131919A (ja) * 2005-11-10 2007-05-31 Iwate Univ 電鋳金型の製造方法
CN104934395A (zh) * 2014-03-18 2015-09-23 海成帝爱斯株式会社 防溢出剂、用于防止溢出的组合物和防止溢出的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1192858A (en) Process for plating polymeric substrates
TWI414638B (zh) A method for manufacturing a surface-treated electrolytic copper foil, and a circuit board
EP0543293B1 (en) Coated article and method for producing same
US10745820B2 (en) Method of mirror coating an optical article and article thereby obtained
FR2726008A1 (fr) Bains alcalins et procedes pour la galvanoplastie du zinc et des alliages de zinc
JP4709575B2 (ja) 銅箔の粗面化処理方法及び粗面化処理液
Sheu et al. Improve the mechanical properties and wear resistance of Cr-C thin films by adding Al2O3 particles
JP2012172198A (ja) 電解銅箔及びその製造方法
JPH11291259A (ja) 被膜を有する成形金型とその被膜形成方法
US3451902A (en) Protective localized area resin coatings for electroplating
JP2001316872A (ja) 導電性金属についての表面機能化の方法
JP2007254866A (ja) アルミニウムまたはアルミニウム合金素材のめっき前処理方法
KR880002937A (ko) 폴리우레판 수지 분산재를 함유한 양이온 전해석출성 수지조성물
JPH0756080B2 (ja) 塗料密着性に優れた有機高分子複合メツキ金属材の製造方法
JP2009538982A (ja) 酸化還元法におけるホスフィン酸および/またはホスホン酸の使用
US3108931A (en) Etching of chromium alloys
CN112501595B (zh) 金属镀膜的形成方法
JP3582999B2 (ja) トリアジンチオール誘導体によるマグネシウムとその合金の電気化学的処理による有機薄膜被覆体ならびにこれらと有機高分子材料との複合体
US3547785A (en) Treatment of resin surfaces prior to non-electrolytic plating
JPH08252886A (ja) 弗素樹脂被覆物の製造方法
KR101789749B1 (ko) 휴대폰 카메라 모듈에 포함되는 sus 304 소재의 도금방법
KR101010943B1 (ko) 레이저 각인을 이용한 문자 패드 도금 방법
CN1681967A (zh) 用于锌和锌合金的非氰化物铜电镀方法
JP2681024B2 (ja) 弗素樹脂被覆物の製造方法
JP2002061000A (ja) 複合めっき方法および複合めっき製品

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040217

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20040302

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20040413

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20041214