JPH11290379A - シート状吸収体、その製造方法及び吸収体製品 - Google Patents

シート状吸収体、その製造方法及び吸収体製品

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JPH11290379A
JPH11290379A JP10099342A JP9934298A JPH11290379A JP H11290379 A JPH11290379 A JP H11290379A JP 10099342 A JP10099342 A JP 10099342A JP 9934298 A JP9934298 A JP 9934298A JP H11290379 A JPH11290379 A JP H11290379A
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sheet
sap
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resin
absorber
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JP10099342A
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English (en)
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Masaya Shibatani
正也 柴谷
Naoko Mori
直子 毛利
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Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高吸水性樹脂(SAP)を含む吸収面をシート
状支持体上に形成したシート状吸収体を薄物化でき、し
かもシート状支持体が親水性であっても疎水性であって
もSAPを効果的に支持体上に接着させることができる
シート状吸収体、その製造方法及びこのシート状吸収体
を使用した吸収体製品を提供する。 【解決手段】シート状支持体の上に、SAP、SAPと
シート状支持体のいずれにも接着性を示すバインダー樹
脂、およびバインダー樹脂と混合したときに増粘してゲ
ル状を示す増粘剤を主成分とする吸収体組成物を支持せ
しめてシート状吸収体とする。これを製造するには、水
相溶性を有する有機溶媒と水との混合溶媒からなる分散
媒体中にSAP、バインダー樹脂および増粘剤を分散さ
せたスラリーを調製し、このスラリーをシート状支持体
上に塗布した後、乾燥する。このシート状吸収体を構成
要素の一つとすることにより、紙オムツ等の吸収体製品
が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動物用の排泄物処
理用品、幼児用および成人用オムツ、女性用生理用品、
メディカル用血液吸収体などの広範囲な用途に利用でき
るシート状吸収体とその製造方法、及びこのシート状吸
収体を利用した吸収体製品に関する。
【0002】
【従来の技術】吸収体製品に用いられる吸収体主成分と
しては、従来から羽毛状の木材パルプと高吸収性樹脂
(以下本明細書では「SAP」と略記する)との組み合
わせで成り立っている。しかし、最近は比較的嵩張るこ
れらの吸収体製品に対して、薄物化、コンパクト化が要
求されるようになっている。従来の吸収体製品を薄物化
するには、羽毛状のパルプに対してSAPを多量に配合
すればよいが、こうすると水を吸収して膨潤した表面層
のSAPが水の侵入を阻害し、内部にあるSAPの吸水
機能が発現しなくなる「ゲルブロッキング現象」が起こ
り、吸収体製品が設計通りに機能しなくなる。かような
ゲルブロッキング現象の発生を防止するため、SAPと
パルプの配合比率を1:1程度として使用しているのが
現状であり、その結果、吸収体製品の所望の薄物化、コ
ンパクト化が達成されていない。
【0003】吸収体製品の薄物化、コンパクト化を達成
するための一つの手段として、木材パルプを微細化して
得られる微細フィブリル化セルロース(以下本明細書で
は「MFC」と略記する)によりSAP粒子を相互に結
合させた状態でシート状支持体に形成せしめてなるシー
ト状吸収体が提案されている(特願平8−333520
号)。このシート状吸収体を製造するに際しては、水相
溶性を有する有機溶媒と水との混合溶媒(以下本明細書
では単に「混合溶媒」という)からなる分散媒体中にS
APとMFCを分散させ、得られたスラリーを吐出ノズ
ルまたは吐出口から吐出させることによりシート状支持
体に塗布した後、分散媒体を乾燥除去する方法が提案さ
れている。
【0004】SAPは周知のように、水を自重の数十倍
から数百倍吸収する能力を有している。従って、上述し
たSAPとMFCを含むスラリーを調製する場合には、
SAPとMFCを水単独の分散媒体中に分散させると、
SAPが直ちに大量の水を吸収してしまう。一度水を吸
収したSAPは、体積が膨張するので流動性が悪くな
り、スラリーをシート状支持体上に塗布することが困難
となるだけでなく、水を吸収して膨張したSAPを乾燥
することは極めて困難となる。そのため上述した先願発
明におけるシート状吸収体の製造方法では、水相溶性を
有する有機溶媒と水との混合溶媒をSAPとMFCの分
散溶媒として使用している。かくして得られたシート状
吸収体は、シート状支持体上に形成されている吸収体組
成物中にSAPを90重量%以上含有させることがで
き、その結果、シート状吸収体を薄物化することが可能
となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した先願発明で用
いるMFCは、SAPをシート状支持体に接着させる機
能を有しているが、シート状支持体が疎水性である場合
には親水性のMFCとの間に水素結合性を発生しないた
め、SAPをシート状支持体に接着させにくいという問
題がある。
【0006】またMFCは保水、増粘作用を有している
が、混合溶媒にSAPとMFCを分散させたスラリーを
シート状支持体に塗布するに際して、SAPとMFCの
固形分を混合溶媒中に安定に分散させておくためにはス
ラリーの撹拌が必要となり、撹拌を停止すると数秒して
SAPとMFCの沈殿が始まり、数分経過すると固液が
分離してくる。そのため、スラリーを均一に連続的にシ
ート状支持体上に塗布するために特殊な装置やスラリー
の改質が必要となる。
【0007】さらにまた、MFCの製造に当たっては、
原料となるパルプの前処理や微細化処理に長時間を要す
ること、水に分散した状態で得られるMFCは一度乾燥
させると再度分散させるのが著しく困難となるので、水
に分散させた状態で保存せざるを得ないこと、従って長
期保存には防腐処理が必要となること、さらには固形分
濃度の高いMFC水分散液を製造することが困難である
こと、そのため製造コストが高価なものになりやすいこ
と、等の問題があり、シート状吸収体の原材料としては
必ずしも満足しうるものではない。
【0008】本発明は、これらの問題点を解決すること
を課題とする。具体的には、MFCを使用することな
く、シート状吸収体の薄物化を図ることができ、しかも
シート状支持体が親水性であっても疎水性であってもS
APを効果的に支持体上に接着させることができる新規
なシート状吸収体を提供することを課題とする。さらに
本発明は、シート状吸収体を製造するに際して、混合溶
媒にSAPを分散させたスラリー中でSAPの安定な分
散状態を維持することができる新規な製造方法を提供す
ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明のシート
状吸収体は、シート状支持体の上に、高吸水性樹脂、該
高吸水性樹脂とシート状支持体のいずれにも接着性を示
すバインダー樹脂、および該バインダー樹脂と混合した
ときに増粘してゲル状を示す増粘剤を主成分とする吸収
体組成物を支持せしめたことを特徴とするものである。
【0010】また本発明のシート状吸収体の製造方法
は、シート状支持体の上に、高吸水性樹脂を含むスラリ
ーを塗布した後、乾燥することからなるシート状吸収体
の製造方法において、前記スラリーとして、高吸収性樹
脂、該高吸水性樹脂とシート状支持体のいずれにも接着
性を示すバインダー樹脂、および該バインダー樹脂と混
合したときに増粘してゲル状を示す増粘剤を、水相溶性
を有する有機溶媒と水との混合溶媒からなる分散媒体中
に分散させて調製したスラリーを用いることを特徴とす
るものである。
【0011】かような本発明によれば、SAP粒子の表
面の少なくとも一部が、SAPとシート状支持体の両方
に接着性を示すバインダー樹脂で被覆された状態でシー
ト状支持体上に支持されることになるため、シート状支
持体が親水性であっても疎水性であっても、SAPが効
果的にシート状支持体と接着されることになる。バイン
ダー樹脂はSAPと支持体の両方に接着性を示すから、
SAPをシート状支持体に対して効果的に接着させるこ
とができ、シート状支持体上に形成させる吸収体組成物
中に多量のSAPを含有させることができる結果、高吸
水能力を備えた薄いシート状吸収体を得ることができ
る。
【0012】さらに上記のシート状吸収体を構成要素の
一つとして紙オムツ、女性用生理用品、メディカル用血
液吸収体などを作製することにより、本発明の吸収体製
品を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で使用する「SAP」は、
多量の水を安定に保持する性質を持つ高分子吸収体の総
称であり、例えば、カルギキンメチルセルロース、ポリ
アクリル酸およびその塩や誘導体、ポリエチレンオキサ
イド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部
分架橋したもの、イソブチレンとマレイン酸との共重合
体等の合成樹脂や、微生物起源の高吸水性ポリマー等が
挙げられる。本発明においては、分散媒体中に均一に分
散可能な粒状、フレーク状、ペレット状といった粒子状
のSAPが好ましく使用できる。
【0014】本発明で使用するバインダー樹脂は、高吸
水性樹脂とシート状支持体のいずれにも接着性を示すこ
とが必要であり、シート状吸収体製造に際しては、SA
Pや増粘剤とともに混合溶媒に分散混合させてスラリー
として使用される。バインダー樹脂としては、疎水性の
高分子主鎖に少量のイオン基を側鎖、又は末端基や主鎖
に持つ熱可塑性高分子であるアイオノマー樹脂が好まし
く使用できる。アイオノマー樹脂の代表的な例として
は、ポリオレフィンと不飽和カルボン酸との共重合体を
主成分とし分子間に金属イオン架橋した樹脂があり、種
々のタイプが市販されている。工業的には、粒状、フレ
ーク状、ペレットとしても扱われているが、取り扱いの
容易さから、市販品として入手できる水系に分散させた
ディスパージョンが好ましく使用できる。しかし、取り
扱いの工夫をすれば、どの様な形状のアイオノマー樹脂
でも本質的に差は無いので本発明に適宜使用できる。
【0015】アイオノマー樹脂は、最低製膜温度が常温
より高いものが多いため、スラリー塗工後の乾燥条件に
よっては、SAPの接着性や吸収性能に差が出ると考え
られたが、実際、最低製膜温度以上で乾燥しても、また
逆に最低製膜温度以下での乾燥を行っても、性能に大差
が見られなかった。
【0016】本発明で使用する増粘剤は、混合溶媒中に
バインダー樹脂とともに混合したときに増粘してゲル状
を示すものであり、代表的な例としてはポリエチレンオ
キサイドが挙げられる。本発明では、分子量100万〜
600万程度のポリエチレンオキサイドが好ましく使用
できるが、特にこの範囲に限定しなくてもよい。また、
ポリエチレンオキサイドとポリエチレングリコールは、
本質的に同一な物質であるので、どちらを用いても構わ
ない。
【0017】本発明では、ポリエチレンオキサイド以外
にも、エチレングリコール、プロピレングリコールなど
のジオール、トリオール化合物およびその重合体や、ポ
リエチレンオキサイド類似の直鎖エーテル化合物なども
増粘剤として使用でき、アイオノマー樹脂と混合するこ
とにより増粘しゲル化する。しかしながら、取扱いが容
易なこと、少量で効果が大きいことなどの理由からポリ
エチレンオキサイドが好適に使用される。
【0018】SAPとバインダー樹脂と増粘剤を分散さ
せる媒体となる有機溶剤/水の混合溶媒に使用される有
機溶媒は、水溶性を有し、SAPをあまり膨潤させず、
しかもSAPとバインダー樹脂を分散でき、かつ増粘剤
が完全に凝固してしまわないものであれば原則的にいか
なる有機溶媒でも使用できる。
【0019】しかしながら、シート状吸収体を製造する
に際しては、経済性を向上させ、しかも環境への負担を
低減するという観点から、蒸留回収できる有機溶媒の使
用が重要となる。かような観点から、本発明ではメタノ
ール、エタノール、プロパノール、アセトン等が好まし
く使用できる。なお有機溶媒は1種類のみを用いても、
あるいは必要に応じて2種類以上を混合併用してもよ
い。有機溶媒と水との混合比は、SAPの吸水をできる
だけ抑制し、かつバインダー樹脂および増粘剤が完全に
凝固してしまわない範囲に限定されるが、一般的には、
有機溶媒/水の混合比を90/10〜60/40の範囲
とすることが適切である。なおこの比率は使用する有機
溶媒やSAPの性質によっても変化する。スラリー中の
SAPの濃度は、取り扱いの容易さから5〜50重量%
の範囲から適宜選択することが望ましい。
【0020】バインダー樹脂の代表的な例としてのアイ
オノマー樹脂と、増粘剤の代表的な例としてのポリエチ
レンオキサイドとの混合比について述べるならば、ポリ
エチレンオキサイドのアイオノマー樹脂に対する添加量
は極少量で良く、固形分比で0.5重量%〜5重量%程
度添加すれば充分な増粘、保水性効果を示す。勿論これ
以上の添加を行った場合についても技術的な差はない
が、ポリエチレンオキサイドは比較的高価であるので、
経済的に好ましくない。
【0021】バインダー樹脂であるアイオノマー樹脂と
増粘剤であるポリエチレンオキサイドを混合すること
で、上記の混合溶媒中でゲル状形態をとる理由は、次の
ように説明できる。アイオノマー樹脂は、分子中にカル
ボン酸起因の極性基とオレフィン起因の非極性基を持
ち、分子内で静電荷の偏りがある分極性の状態を取って
いる。一方、ポリエチレンオキサイドは、例えばポリオ
キシエチレン誘導体として非イオン系界面活性剤として
使われていることからわるように、分子中にエチレン起
因の非極性部位と酸素起因の極性部位をもつ高分子であ
り、分子内で分極しているような分子とは相互作用を強
くもち、相溶しやすい傾向にある。そのため、アイオノ
マー樹脂とポリエチレンオキサイドを混合すると相溶
し、分子間相互作用により擬似的に高分子鎖間で架橋し
たようになり粘度が増加し、ゲル状態をとると考えられ
る。
【0022】SAPに対するアイオノマー樹脂の添加量
について説明すると、アイオノマー樹脂の添加量が少な
すぎると、増粘、保水効果が充分でなく、また、SAP
をシート状支持体に十分に接着することができなくな
り、一方、添加量が多すぎると、アイオノマー樹脂がS
AP表面を覆い、SAPの吸水能力を阻害してしまうこ
とになるので、シート状吸収体の用途に応じて適切な添
加量を選択する必要がある。本発明者らが検討した結果
では、シート状支持体との効果的な接着強度が得られ、
かつSAPの吸水能力を阻害しない範囲は、SAPの固
形分に対して、アイオノマー樹脂の量を0.5〜10重
量%の範囲にすることが望ましいことがわかった。ただ
し、この範囲より少ない添加量でも、シート状吸収体は
形成でき、SAPがシート状支持体に十分に接着してい
なくても使用できる用途ならば利用可能である。またこ
の範囲より多い添加量でも、吸水能力が比較的少なくて
もよいシート状吸収体として、あるいは比較的遅い吸収
速度でも利用可能なシート状吸収体としてならば利用可
能である。
【0023】本発明で用いるシート状支持体は、特に限
定されるものではないが、混合溶媒の留去と有機溶媒の
回収を行うという観点からは、多孔質の不織布が好まし
く使用できる。シート状支持体上に形成させる吸収体組
成物の成分としてMFCを用いた場合には、シート状支
持体は親水性素材、もしくは疎水性素材を親水化処理し
たものが好ましかったが、本発明では親水性素材および
疎水性素材のどちらでも使用でき、SAPの接着性に差
は生じない。素材の例としては、コットン、レーヨン、
木材パルプ、精製セルロース繊維、再生セルロース繊維
などの親水性素材や、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリエステル、アクリル繊維などを用いた疎水性素材が
挙げられるが、特にこれらに限定されるものではなく、
シート状吸収体の支持体として用いることが適切なもの
であるならば適宜用いることができる。
【0024】本発明のシート状吸収体を製造する際に使
用するスラリーの調製方法の代表的な例を示すと、攪拌
羽根を内部に設けた攪拌槽中に混合溶媒を入れ、攪拌し
ながら、SAP、バインダー樹脂および増粘剤を加える
ことによりスラリーが調製できる。この際、これら各成
分の機能を阻害しない範囲で各種の添加剤を必要に応じ
て添加することもできる。例えば、パルプ繊維やMFC
のような親水性繊維をスラリーに添加して、吸収体組成
物中のSAP粒子の周囲にこれらの親水性繊維を存在さ
せるようにすることにより、親水性繊維の毛細管現象で
SAP粒子に水を効率よく導くことができ、吸水速度を
向上させることができる。
【0025】調製したスラリーをシート状支持体上に塗
布する装置としては、スラリーをシート状支持体上の所
定個所に所定量塗布できる装置であれば、いかなる装置
でも使用できる。例えば、底面に吐出ノズルまたは吐出
口を備えたタンクにスラリーを収容し、重力落下または
加圧落下させて支持体に塗布する装置が使用できる。シ
ート状支持体上に塗布されたスラリーはゲル状態を保っ
ているので、多孔質の不織布などのシート状支持体であ
っても通過して滴下することはなく、シート状支持体上
でその形態を保持したまま乾燥ゾーンに搬送され、乾燥
されてシート状吸収体が製造される。
【0026】こうして得られたシート状吸収体を、例え
ば液体不透過性シートと液体透過性シートの間に挿入し
てサンドイッチ構造とすることにより、紙オムツや女性
用生理用品などの吸収体製品を製造することができる。
かような吸収体製品の厚さや重量をしめる主要部分はシ
ート状吸収体層であるため、本発明のような薄いシート
状吸収体を用いることにより、吸収体製品の全体的な薄
物化、コンパクト化が図れることになる。
【0027】
【実施例】[スラリーAの調製]エタノール:水の重量
比が7:3である混合溶媒中に、SAP(商品名「アク
アパールP211D」、三菱化学(株)製造)30重量
部、アイオノマー樹脂(商品名「ケミパールS12
0」、27重量%ディスパージョン、三井化学(株)
製)2.4重量部(固形分換算)、ポリエチレンオキサ
イド(商品名「アルコックスSR」0.5重量%水溶
液、明成化学工業(株)製)0.1重量部(固形分換
算)を攪拌しながら添加し、スラリーAを調製した。
【0028】[スラリーBの調製]エタノール:水の重
量比が7:3である混合溶媒中に、SAP(商品名「ア
クアパールP211D」)30重量部、アイオノマー樹
脂(商品名「ケミパールS120」、27重量%ディス
パージョン)4.5重量部(固形分換算)、ポリエチレ
ンオキサイド(商品名「アルコックスSR」、0.5重
量%水溶液)0.19重量部(固形分換算)を攪拌しな
がら添加し、スラリーBを調製した。
【0029】[スラリーCの調製]エタノール:水の重
量比が7:3である混合溶媒中に、SAP(商品名「ア
クアパールP211D」)30重量部、アイオノマー樹
脂(商品名「ケミパールS120」、27重量%ディス
パージョン)0.12重量部(固形分換算)、ポリエチ
レンオキサイド(商品名「アルコックスSR」、0.5
重量%水溶液)0.005重量部(固形分換算)を攪拌
しながら添加し、スラリーCを調製した。
【0030】[スラリーDの調製]エタノール:水の重
量比が7:3である混合溶媒中に、SAP(商品名「ア
クアパールP211D」)30重量部、アイオノマー樹
脂(商品名「ケミパールS120」、27重量%ディス
パージョン)2.4重量部(固形分換算)、ポリエチレ
ンオキサイド(商品名「アルコックスSR」、0.5重
量%水溶液)0.2重量部(固形分換算)を攪拌しなが
ら添加し、スラリーDを調製した。
【0031】[スラリーEの調製]エタノール:水の重
量比が7:3である混合溶媒中に、SAP(商品名「ア
クアパールP211D」)30重量部、アイオノマー樹
脂(商品名「ケミパールS120」、27重量%ディス
パージョン)2.4重量部(固形分換算)、ポリエチレ
ンオキサイド(商品名「アルコックスSR」、0.5重
量%水溶液)0.006重量部(固形分換算)を攪拌し
ながら添加し、スラリーEを調製した。
【0032】[スラリーFの調製]エタノール:水の重
量比が7:3である混合溶媒中に、SAP(商品名「ア
クアパールP211D」)30重量部、木材パルプを高
度叩解して得られたMFC2.4重量部(固形分換算)
を攪拌しながら添加し、スラリーを調製した。ここで用
いたMFCは、木材パルプを高度に叩解して微細化する
ことにより得られたものであり、本願と同一出願人によ
り提案された砥粒板摺り合わせ装置を用いる方法(特開
平8−284090号)により微細化した。
【0033】上記で得られたスラリーA〜Fの「沈降試
験」を行った。沈降試験は、各スラリーを十分に攪拌混
合したのち、そのうちの50mlを速やかに50mlの
メスシリンダーに入れて静置し、スラリー中のSAP粒
子が沈殿する様子を観察するもので、60分静置後の目
盛りの読み(ml)を記録した。この値が小さいほど沈
降しやすいことを示している。
【0034】各スラリーについて、アイオノマー樹脂
(IONOMER)/SAPの重量比、ポリエチレンオ
キサイド(PEO)/アイオノマー樹脂の重量比、およ
び沈降試験結果の関係を表1に示す。なお、スラリーF
についてはMFC/SAPの重量比を示してある。
【0035】
【表1】
【0036】表1からわかるように、SAPに対するバ
インダーとして機能するアイオノマー樹脂とMFCの添
加量を同一とした場合のスラリーの安定性(沈降試験結
果)は、アイオノマー樹脂を添加したスラリーA、B、
C、Dが、MFCを添加したスラリーFと同等またはそ
れ以上のスラリー安定性を示している。スラリーEの安
定性が劣るのはPEO/アイオノマー樹脂の比が小さい
ためであり、PEOの量を増加させることによりスラリ
ーの安定性が向上することがわかる。
【0037】[実施例1]スラリーAを坪量40g/m
2の親水性不織布(商品名「TCF404」、二村化学
(株)製造)に125g/m2(乾燥重量)塗布し、乾
燥してシート状吸収体を得た。
【0038】[実施例2]スラリーBを用いた他は、実
施例1と同じ方法でシート状吸収体を得た。
【0039】[実施例3]スラリーCを用いた他は、実
施例1と同じ方法でシート状吸収体を得た。
【0040】[実施例4]スラリーDを用いた他は、実
施例1と同じ方法でシート状吸収体を得た。
【0041】[実施例5]スラリーEを用いた他は、実
施例1と同じ方法でシート状吸収体を得た。
【0042】[実施例6]スラリーAを坪量50g/m
2の疎水性不織布(商品名「SMS」、アブコール
(株)製造)に125g/m2(乾燥重量)塗布し、乾
燥してシート状吸収体を得た。
【0043】[比較例1]スラリーFを用いた他は、実
施例1と同じ方法でシート状吸収体を得た。
【0044】[比較例2]実施例6で用いたと同じ疎水
性不織布からなるシート状不織布にスラリーFをを塗布
して、シート状吸収体を得た。
【0045】実施例および比較例で得られたシート状吸
収体の評価を「経時吸水性試験」および「接着強度試
験」の2つの方法で行った。「経時吸水性試験」とは、
水分を通過しないビニール製シートの上に、吸収体組成
物面が上になるようにシート状吸収体のサンプルを置
き、0.9%食塩水を2cc滴下後直ちに、このシート
状吸収体サンプルと同一の大きさに切断して予め重量を
測定しておいた4枚の親水性不織布(4枚の合計重量を
aとする)を重ねて、この不織布の上から5kgの重り
を乗せて放置する。この重りは、接触面が測定サンプル
面積より大きく、なおかつ平面で均一なものを使用す
る。3分経過したのち重りをはずし、親水性不織布4枚
の合計重量bを測定する。このときの「b−a」を「経
時吸水値」とするものである。この経時吸水値は、シー
ト状吸収体がどれほどの吸水能力を示すかの指標であ
り、経時吸水値が小さいほど吸水能力に優れていること
を示す。
【0046】一方、「接着強度試験」とは、SAPがシ
ート状支持体にどれだけ接着されているかを判断する試
験であり、以下の方法により行う。18cm幅のセロハ
ンテープを、貼合面積が18mm×10cmとなるよう
に測定サンプルのシート状吸収体の吸収体組成物面に貼
り付け、その上から5kg重量のゴムロールを5往復さ
せて押しつけた後、測定サンプルから90度の角度にな
るように、秒速1cmの速度でセロハンテープを引き剥
がした場合に、シート状支持体から吸収体組成物面が剥
離される状態を目視で判断し、5段階評価した。結果を
表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】表2から以下のことがわかる。 1)SAPに対するバインダーとして機能するアイオノ
マー樹脂とMFCの添加量を同一とした実施例1と比較
例1の接着強度の対比では、アイオノマー樹脂を使用し
た実施例1の方が、MFCを使用した比較例1より優れ
ている。
【0049】2)比較例1と比較例2の対比から、バイ
ンダーとしてMFCを用いた場合には、親水性のシート
状支持体(比較例1)に比べて疎水性のシート状支持体
(比較例2)に対する接着強度が大幅に劣ることがわか
る。これに対して実施例1と実施例6を対比すると、若
干接着強度は劣るものの、アイオノマー樹脂を用いた場
合には疎水性のシート状支持体に対しても接着性を発揮
することがわかる。
【0050】3)親水性のシート状吸収体を用いた実施
例1〜5および比較例1の比較から、SAPに対するア
イオノマー樹脂の量、およびアイオノマー樹脂に対する
ポリエチレンオキサイドの量を適切な範囲に調整するこ
とにより、MFCに代えてアイオノマー樹脂を使用した
場合でもシート状吸収体としての吸収性能に差が無いこ
とがわかる。
【0051】[実施例7]吸収体製品の基準サンプルと
して、市販の紙オムツを使用した。この紙オムツは、吸
収層として、木材パルプを粉砕した羽毛状パルプと顆粒
状SAPの混合物を用い、これを液体不透過性シートの
上に積層し、さらに液体透過性シートを吸収層の上に重
ねたサンドイッチ構造を有している。本実施例では、基
準サンプルの吸収層を取り除き、代わりに実施例1で得
られたシート状吸収体を挿入して本発明品の紙オムツを
作製した。基準サンプルと本発明品の厚さ(非荷重下)
と重量、およびJIS K−7223による吸収量と保
水量を測定した結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】表3によれば、本発明品は基準サンプルに
比べて厚さや重量は大きく低減しているにもかかわら
ず、紙オムツとしての性能(吸収量や保水量)は同等で
あることがわかる。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したところからわかるように本
発明によれば、SAPとシート状支持体のいずれにも接
着性を示すバインダー樹脂を使用することにより、シー
ト状支持体上に形成させる吸収体組成物中に多量のSA
Pを含有させることができる結果、高吸水能力を備えた
薄いシート状吸収体を得ることができる。また、シート
状支持体が親水性であっても疎水性であっても、SAP
を効果的にシート状支持体と接着させることができる。
【0055】さらに、シート状吸収体を製造するに際し
て、混合溶媒にSAPとバインダー樹脂と増粘剤を分散
させたスラリー中では、SAPの安定な分散状態を維持
することができ、シート状支持体上にスラリーを塗布す
る際にもスラリーの取り扱いが容易になる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状支持体の上に、高吸水性樹脂、
    該高吸水性樹脂とシート状支持体のいずれにも接着性を
    示すバインダー樹脂、および該バインダー樹脂と混合し
    たときに増粘してゲル状を示す増粘剤を主成分とする吸
    収体組成物を支持せしめたことを特徴とするシート状吸
    収体。
  2. 【請求項2】 前記バインダー樹脂が、アイオノマー樹
    脂であることを特徴とする請求項1記載のシート状吸収
    体。
  3. 【請求項3】 前記アイオノマー樹脂の高吸水性樹脂に
    対する添加量が0.5〜10重量%であることを特徴と
    する請求項2記載のシート状吸収体。
  4. 【請求項4】 前記増粘剤が、ポリエチレンオキサイド
    であることを特徴とする請求項1記載のシート状吸収
    体。
  5. 【請求項5】 シート状支持体の上に、高吸水性樹脂を
    含むスラリーを塗布した後、乾燥することからなるシー
    ト状吸収体の製造方法において、前記スラリーとして、
    高吸収性樹脂、該高吸水性樹脂とシート状支持体のいず
    れにも接着性を示すバインダー樹脂、および該バインダ
    ー樹脂と混合したときに増粘してゲル状を示す増粘剤
    を、水相溶性を有する有機溶媒と水との混合溶媒からな
    る分散媒体中に分散させて調製したスラリーを用いるこ
    とを特徴とするシート状吸収体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記バインダー樹脂の高吸水性樹脂に対
    する添加量を0.5〜10重量%とすることを特徴とす
    る請求項5記載のシート状吸収体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記バインダー樹脂としてアイオノマー
    樹脂を用いることを特徴とする請求項5または6記載の
    シート状吸収体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記増粘剤としてポリエチレンオキサイ
    ドを用いることを特徴とする請求項5記載のシート状吸
    収体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ポリエチレンオキサイドのアイオノ
    マー樹脂に対する添加量を0.5〜5重量%とすること
    を特徴とする請求項5記載のシート状吸収体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記請求項1記載のシート状吸収体を
    構成要素の一つとすることを特徴とする吸収体製品。
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