JPH11288777A - 放電処理装置及び放電処理方法 - Google Patents
放電処理装置及び放電処理方法Info
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- JPH11288777A JPH11288777A JP31634098A JP31634098A JPH11288777A JP H11288777 A JPH11288777 A JP H11288777A JP 31634098 A JP31634098 A JP 31634098A JP 31634098 A JP31634098 A JP 31634098A JP H11288777 A JPH11288777 A JP H11288777A
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- discharge
- dielectric
- discharge electrode
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- electrode
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- Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
- Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 効率の良い放電処理装置及び放電処理方法を
提供すること。 【解決手段】 本発明の放電処理装置は、放電極、この
放電極と対向して設置された対電極、この対電極上に設
置された誘電体、及びこれら電極間に両極性かつ電圧休
止期間を有しない矩形波パルス単位を含むパルスを印加
できる装置、を備えている。本発明の放電処理方法は、
上記の放電処理装置の放電極及び誘電体の近傍に被処理
物を供給し、電極間に両極性かつ電圧休止期間を有しな
い矩形波パルス単位を含むパルスを印加する方法である
提供すること。 【解決手段】 本発明の放電処理装置は、放電極、この
放電極と対向して設置された対電極、この対電極上に設
置された誘電体、及びこれら電極間に両極性かつ電圧休
止期間を有しない矩形波パルス単位を含むパルスを印加
できる装置、を備えている。本発明の放電処理方法は、
上記の放電処理装置の放電極及び誘電体の近傍に被処理
物を供給し、電極間に両極性かつ電圧休止期間を有しな
い矩形波パルス単位を含むパルスを印加する方法である
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は放電処理装置及び放
電処理方法に関する。より具体的には、不織布、編織
物、或いはフィルムなどの表面処理、有害ガスの分解処
理、或いはオゾン生成することのできる放電処理装置、
及び放電処理方法に関する。
電処理方法に関する。より具体的には、不織布、編織
物、或いはフィルムなどの表面処理、有害ガスの分解処
理、或いはオゾン生成することのできる放電処理装置、
及び放電処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フィルムなどの表面処理方法の1つとし
て、コロナ放電処理が知られている。このコロナ放電処
理方法の1つとして、放電極と誘電体を担持した対電極
との間に、単極性(一般的に正極性)のパルス電圧を印
加する方法が知られている。
て、コロナ放電処理が知られている。このコロナ放電処
理方法の1つとして、放電極と誘電体を担持した対電極
との間に、単極性(一般的に正極性)のパルス電圧を印
加する方法が知られている。
【0003】このような方法により電界強度を強くして効率
良く放電処理するために、放電極と対電極との距離を短
くし、低電圧で処理することを試みたが、最初のパルス
電圧の印加によって誘電体が正又は負に帯電してしま
い、次いで同極性のパルス電圧を印加しても実質的な電
界強度が弱くなってしまうため、効率良く放電処理する
ことができなかった。
良く放電処理するために、放電極と対電極との距離を短
くし、低電圧で処理することを試みたが、最初のパルス
電圧の印加によって誘電体が正又は負に帯電してしま
い、次いで同極性のパルス電圧を印加しても実質的な電
界強度が弱くなってしまうため、効率良く放電処理する
ことができなかった。
【0004】そのため、効率良く放電処理するために、より
高い電圧を印加する必要があるが、高い電圧を印加する
と誘電体の絶縁破壊が生じたり、放電処理作業が危険に
なるなどの問題が生じた。なお、誘電体の絶縁破壊を防
止するために、誘電体の厚さを厚くすることも考えられ
たが、この場合、誘電体の静電容量が低下し、処理空間
(放電極と誘電体とによって形成される空間)に投入で
きるエネルギーが低下してしまう、という問題があっ
た。
高い電圧を印加する必要があるが、高い電圧を印加する
と誘電体の絶縁破壊が生じたり、放電処理作業が危険に
なるなどの問題が生じた。なお、誘電体の絶縁破壊を防
止するために、誘電体の厚さを厚くすることも考えられ
たが、この場合、誘電体の静電容量が低下し、処理空間
(放電極と誘電体とによって形成される空間)に投入で
きるエネルギーが低下してしまう、という問題があっ
た。
【0005】なお、特開平7−89702号公報には、両極
性パルス電圧を印加するオゾン発生装置が開示されてい
る。このオゾン発生装置においては、正又は負の矩形波
パルスを印加した後に負又は正の矩形波パルスを印加す
るため、上述の放電処理方法よりは高い電界強度とする
ことができるものの、矩形波パルスを印加する時間に比
較して、印加電圧が0の時間が非常に長いため、電界強
度の向上の程度は低く、満足できるレベルにはなかっ
た。
性パルス電圧を印加するオゾン発生装置が開示されてい
る。このオゾン発生装置においては、正又は負の矩形波
パルスを印加した後に負又は正の矩形波パルスを印加す
るため、上述の放電処理方法よりは高い電界強度とする
ことができるものの、矩形波パルスを印加する時間に比
較して、印加電圧が0の時間が非常に長いため、電界強
度の向上の程度は低く、満足できるレベルにはなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題を
解決するためになされたものであり、効率の良い放電処
理装置及び放電処理方法を提供することを目的とする。
解決するためになされたものであり、効率の良い放電処
理装置及び放電処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の放電処理装置
は、放電極、この放電極と対向して設置された対電極、
この対電極上に設置された誘電体、及びこれら電極間に
両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パルス単位を
含むパルスを印加できる装置、を備えている。
は、放電極、この放電極と対向して設置された対電極、
この対電極上に設置された誘電体、及びこれら電極間に
両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パルス単位を
含むパルスを印加できる装置、を備えている。
【0008】このように、電極間に両極性かつ電圧休止期間
を有しない矩形波パルス単位を含むパルスを印加でき、
電極間の電界強度を単極性の場合の約2倍とすることが
できるため、効率的に放電処理できる装置である。つま
り、最初に、例えば正の矩形波パルスを印加すると、放
電極は次の負の矩形波パルスが印加されるまで、印加さ
れた正の電圧をほぼ維持する。この放電極が印加された
正の電圧をほぼ維持している間に、放電により生成した
イオンのうち、正イオンが誘電体表面に付着して誘電体
表面を正に帯電させ、誘電体の表面電位を放電極に印加
した電圧と同レベルに保つ。そして、この誘電体が高い
表面電位を保った状態で、放電極に負の矩形波パルスが
印加されると、処理空間における電界強度は放電極によ
り形成される電界と誘電体の表面電荷により形成される
電界との和の強いものとなるため、効率的に放電処理す
ることができる。
を有しない矩形波パルス単位を含むパルスを印加でき、
電極間の電界強度を単極性の場合の約2倍とすることが
できるため、効率的に放電処理できる装置である。つま
り、最初に、例えば正の矩形波パルスを印加すると、放
電極は次の負の矩形波パルスが印加されるまで、印加さ
れた正の電圧をほぼ維持する。この放電極が印加された
正の電圧をほぼ維持している間に、放電により生成した
イオンのうち、正イオンが誘電体表面に付着して誘電体
表面を正に帯電させ、誘電体の表面電位を放電極に印加
した電圧と同レベルに保つ。そして、この誘電体が高い
表面電位を保った状態で、放電極に負の矩形波パルスが
印加されると、処理空間における電界強度は放電極によ
り形成される電界と誘電体の表面電荷により形成される
電界との和の強いものとなるため、効率的に放電処理す
ることができる。
【0009】本発明の放電処理方法は、上記の放電処理装置
の放電極及び誘電体の近傍に被処理物を供給し、電極間
に両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パルス単位
を含むパルスを印加する方法であるため、効率的に放電
処理できる方法である。
の放電極及び誘電体の近傍に被処理物を供給し、電極間
に両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パルス単位
を含むパルスを印加する方法であるため、効率的に放電
処理できる方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の放電極の形状は特に限定
されるものではないが、例えば、針状、ワイヤー状、ネ
ット状、平板状、円柱状のものを使用できる。
されるものではないが、例えば、針状、ワイヤー状、ネ
ット状、平板状、円柱状のものを使用できる。
【0011】この放電極はパルス周期の間に電荷が消失し
て、放電極の電圧を下げないようにするのが好ましい。
より具体的には、印加電圧の50%以上、好適には70
%以上維持できるのが好ましい。そのため、放電極は抵
抗値が109Ω以上の治具により支持されるのが好まし
い。この治具としては、例えば、ポリテトラフルオロエ
チレン樹脂やアクリル樹脂などから構成されるものを使
用することができる。
て、放電極の電圧を下げないようにするのが好ましい。
より具体的には、印加電圧の50%以上、好適には70
%以上維持できるのが好ましい。そのため、放電極は抵
抗値が109Ω以上の治具により支持されるのが好まし
い。この治具としては、例えば、ポリテトラフルオロエ
チレン樹脂やアクリル樹脂などから構成されるものを使
用することができる。
【0012】本発明の対電極は上記放電極と対向して設置さ
れている。この対電極の形状も特に限定されるものでは
ないが、例えば、平板状、円柱状のものを使用できる。
なお、対電極の形状が円柱状であると、不織布、編織
物、或いはフィルムなどの有形物の被処理物を処理する
際に、被処理物の供給速度と同調させて対電極を回転さ
せることにより、被処理物を誘電体と接触させながら連
続的に処理しても、被処理物を損傷することがない。
れている。この対電極の形状も特に限定されるものでは
ないが、例えば、平板状、円柱状のものを使用できる。
なお、対電極の形状が円柱状であると、不織布、編織
物、或いはフィルムなどの有形物の被処理物を処理する
際に、被処理物の供給速度と同調させて対電極を回転さ
せることにより、被処理物を誘電体と接触させながら連
続的に処理しても、被処理物を損傷することがない。
【0013】このような放電極や対電極を構成する材料は、
比抵抗が103Ω・cm以下の導電体であるのが好まし
く、100Ω・cm以下の導電体であるのがより好まし
い。このような導電体として、例えば、ステンレススチ
ール、アルミニウム、タングステンなどの金属、導電性
金属酸化物、カーボン、或いは金属粉末やカーボン粉末
などの導電体とゴムとを複合した導電性ゴムなどを使用
できる。
比抵抗が103Ω・cm以下の導電体であるのが好まし
く、100Ω・cm以下の導電体であるのがより好まし
い。このような導電体として、例えば、ステンレススチ
ール、アルミニウム、タングステンなどの金属、導電性
金属酸化物、カーボン、或いは金属粉末やカーボン粉末
などの導電体とゴムとを複合した導電性ゴムなどを使用
できる。
【0014】この対電極上には、放電により生成したイオン
が付着して表面電位を高い状態に保つことができるよう
に、又スパーク放電を防止できるように、誘電体が配置
されている。この誘電体は付着したイオンが消失しない
ように、抵抗値が109Ω・cm以上のものが好まし
い。また、誘電体は誘電体表面へのイオンの付着量を多
くし、処理空間に投入できるエネルギーが多くなるよう
に、誘電率が高いもの程好適に使用できる。
が付着して表面電位を高い状態に保つことができるよう
に、又スパーク放電を防止できるように、誘電体が配置
されている。この誘電体は付着したイオンが消失しない
ように、抵抗値が109Ω・cm以上のものが好まし
い。また、誘電体は誘電体表面へのイオンの付着量を多
くし、処理空間に投入できるエネルギーが多くなるよう
に、誘電率が高いもの程好適に使用できる。
【0015】また、誘電体は高い電圧を印加できるように、
絶縁破壊強度の高いものが好ましい。この誘電体の絶縁
破壊強度は誘電率にもよるため一概に限定できるもので
はないが、5KV/mm以上であるのが好ましく、10
KV/mm以上であるのがより好ましい。なお、処理空
間に5KV以上の電圧を印加するのが好ましいため、誘
電体の厚さd(mm)と絶縁破壊強度E(KV/mm)
との間に、d×E≧5の関係が成立するのが好ましい。
例えば、誘電体の厚さdが1mmであれば、絶縁破壊強
度Eは5KV/mm以上であるのが好ましい。
絶縁破壊強度の高いものが好ましい。この誘電体の絶縁
破壊強度は誘電率にもよるため一概に限定できるもので
はないが、5KV/mm以上であるのが好ましく、10
KV/mm以上であるのがより好ましい。なお、処理空
間に5KV以上の電圧を印加するのが好ましいため、誘
電体の厚さd(mm)と絶縁破壊強度E(KV/mm)
との間に、d×E≧5の関係が成立するのが好ましい。
例えば、誘電体の厚さdが1mmであれば、絶縁破壊強
度Eは5KV/mm以上であるのが好ましい。
【0016】誘電体の厚さは上述のように誘電体の絶縁破壊
強度以外に、比誘電率によっても変化し、比誘電率εと
誘電体の厚さd(mm)との間に、ε/d≧3の関係が
成立するのが好ましい。例えば、誘電体の比誘電率εが
1,000である場合、誘電体の厚さは330mm以下
であるのが好ましく、また、誘電体の比誘電率εが8で
ある場合、誘電体の厚さは2.6mm以下であるのが好
ましい。なお、本発明においては、5〜20KV程度の
低い印加電圧でも十分に放電処理できるように、処理空
間に投入できるエネルギーをより大きくするのが好まし
いため、誘電体の厚さは5mm以下であるのが好まし
く、2mm以下であるのがより好ましい。また、絶縁破
壊を生じにくいように、0.01mm以上であるのが好
ましく、0.05mm以上であるのがより好ましい。
強度以外に、比誘電率によっても変化し、比誘電率εと
誘電体の厚さd(mm)との間に、ε/d≧3の関係が
成立するのが好ましい。例えば、誘電体の比誘電率εが
1,000である場合、誘電体の厚さは330mm以下
であるのが好ましく、また、誘電体の比誘電率εが8で
ある場合、誘電体の厚さは2.6mm以下であるのが好
ましい。なお、本発明においては、5〜20KV程度の
低い印加電圧でも十分に放電処理できるように、処理空
間に投入できるエネルギーをより大きくするのが好まし
いため、誘電体の厚さは5mm以下であるのが好まし
く、2mm以下であるのがより好ましい。また、絶縁破
壊を生じにくいように、0.01mm以上であるのが好
ましく、0.05mm以上であるのがより好ましい。
【0017】このような誘電体としては、例えば、ガラス
(石英ガラスなど)、セラミック(アルミナ、チタン酸
バリウム、窒化アルミニウムなど)、ゴム(シリコーン
ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴムな
ど)、或いは熱可塑性樹脂(ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリエステル、ポリイミドなど)を使用できる。こ
れらの中でも、石英ガラス、アルミナ、チタン酸バリウ
ム、窒化アルミニウム、シリコーンゴム、ポリテトラフ
ルオロエチレンは誘電率が高い、及び/又は絶縁破壊強
度が高いため、好適に使用することができる。
(石英ガラスなど)、セラミック(アルミナ、チタン酸
バリウム、窒化アルミニウムなど)、ゴム(シリコーン
ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、天然ゴムな
ど)、或いは熱可塑性樹脂(ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリエステル、ポリイミドなど)を使用できる。こ
れらの中でも、石英ガラス、アルミナ、チタン酸バリウ
ム、窒化アルミニウム、シリコーンゴム、ポリテトラフ
ルオロエチレンは誘電率が高い、及び/又は絶縁破壊強
度が高いため、好適に使用することができる。
【0018】なお、誘電体は対電極上に設置するだけでな
く、放電極上にも設置することにより、より均一な放電
としたり、電極の消耗を防止することができる。なお、
放電極上に設置する誘電体は、上述の対電極上に設置す
る誘電体と全く同様のものを使用することができる。ま
た、放電極上に設置する誘電体と対電極上に設置する誘
電体とは同じものであっても、異なるものであっても良
い。
く、放電極上にも設置することにより、より均一な放電
としたり、電極の消耗を防止することができる。なお、
放電極上に設置する誘電体は、上述の対電極上に設置す
る誘電体と全く同様のものを使用することができる。ま
た、放電極上に設置する誘電体と対電極上に設置する誘
電体とは同じものであっても、異なるものであっても良
い。
【0019】また、このような放電極及び/又は対電極は上
下方向に移動可能とし、処理空間を適宜設定できるのが
好ましい。例えば、被処理物がフィルムなどの有形物か
らなる場合には、放電極と被処理物の放電極側表面との
間に処理空間を形成し、被処理物が空気などの無形物か
らなる場合には、放電極と誘電体との間に処理空間を形
成し、その処理空間におけるエネルギーを大きくして被
処理物を処理するのが好ましい。具体的には、前者の有
形物の場合には被処理物の放電極側表面と放電極との距
離が、又、後者の無形物の場合には放電極と誘電体との
距離が、0.1mm〜10mm程度となるように設定で
きるのが好ましい。また、放電極と対電極のうち少なく
とも一方が円柱形状を有する場合には、有形物の放電極
側表面と放電極とを接触させて処理(被処理物が不織布
などのように多孔質体からなる場合には、多孔質体の内
部空隙が処理空間として作用する)することができ、
又、放電極と誘電体とを接触させた状態で無形物を処理
することができる。
下方向に移動可能とし、処理空間を適宜設定できるのが
好ましい。例えば、被処理物がフィルムなどの有形物か
らなる場合には、放電極と被処理物の放電極側表面との
間に処理空間を形成し、被処理物が空気などの無形物か
らなる場合には、放電極と誘電体との間に処理空間を形
成し、その処理空間におけるエネルギーを大きくして被
処理物を処理するのが好ましい。具体的には、前者の有
形物の場合には被処理物の放電極側表面と放電極との距
離が、又、後者の無形物の場合には放電極と誘電体との
距離が、0.1mm〜10mm程度となるように設定で
きるのが好ましい。また、放電極と対電極のうち少なく
とも一方が円柱形状を有する場合には、有形物の放電極
側表面と放電極とを接触させて処理(被処理物が不織布
などのように多孔質体からなる場合には、多孔質体の内
部空隙が処理空間として作用する)することができ、
又、放電極と誘電体とを接触させた状態で無形物を処理
することができる。
【0020】本発明の放電処理装置は、上述のような電極間
に両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パルス単位
を含むパルスを印加できる装置を備えている。そのた
め、電極間の電界強度を単極性の場合の約2倍とするこ
とができ、効率的に放電処理することができる。
に両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パルス単位
を含むパルスを印加できる装置を備えている。そのた
め、電極間の電界強度を単極性の場合の約2倍とするこ
とができ、効率的に放電処理することができる。
【0021】この両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波
パルス単位を含むパルスとしては、例えば、図1に波形
図を示すように、両極性かつ電圧休止期間を有しない矩
形波パルス単位のみからなるパルスPや、図3に波形図
を示すように、両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形
波パルス単位間に電圧が0Vの時間を有するパルスPを
印加することができる。これらの中でも、両極性かつ電
圧休止期間を有しない矩形波パルス単位のみからなるパ
ルスPであると、電極間において常に高い電界強度を維
持することができ、より効率的に放電処理できるためよ
り好適である。
パルス単位を含むパルスとしては、例えば、図1に波形
図を示すように、両極性かつ電圧休止期間を有しない矩
形波パルス単位のみからなるパルスPや、図3に波形図
を示すように、両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形
波パルス単位間に電圧が0Vの時間を有するパルスPを
印加することができる。これらの中でも、両極性かつ電
圧休止期間を有しない矩形波パルス単位のみからなるパ
ルスPであると、電極間において常に高い電界強度を維
持することができ、より効率的に放電処理できるためよ
り好適である。
【0022】この矩形波パルスのパルス幅t1(図2参照)
は、放電極からの放電により生成したイオンが誘電体表
面に到達する時間以上であるのが好ましい。このイオン
が誘電体表面に到達するのに要する時間は電極間距離と
電界強度に依存するが、1〜100μs(マイクロ・セ
カント)程度であるため、パルス幅t1は100μs以
上であるのが好ましい。ただし、正の矩形波パルスと負
の矩形波パルスとで1パルスとした場合のパルス数は、
回転火花スイッチのような機械的スイッチを使用した場
合には、10〜2,000pps(パルス・パー・セカ
ント)程度であるため、矩形波パルスのパルス幅t1は
250μs〜50ms(ミリ・セカント)程度が適当で
あり、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)
やFET(電界効果トランジスタ)などの半導体スイッ
チを使用した場合には、10〜50,000pps程度
であるため、矩形波パルスのパルス幅t1は10μs〜
50ms程度が適当である。
は、放電極からの放電により生成したイオンが誘電体表
面に到達する時間以上であるのが好ましい。このイオン
が誘電体表面に到達するのに要する時間は電極間距離と
電界強度に依存するが、1〜100μs(マイクロ・セ
カント)程度であるため、パルス幅t1は100μs以
上であるのが好ましい。ただし、正の矩形波パルスと負
の矩形波パルスとで1パルスとした場合のパルス数は、
回転火花スイッチのような機械的スイッチを使用した場
合には、10〜2,000pps(パルス・パー・セカ
ント)程度であるため、矩形波パルスのパルス幅t1は
250μs〜50ms(ミリ・セカント)程度が適当で
あり、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)
やFET(電界効果トランジスタ)などの半導体スイッ
チを使用した場合には、10〜50,000pps程度
であるため、矩形波パルスのパルス幅t1は10μs〜
50ms程度が適当である。
【0023】また、この矩形波パルスの立ち上がり時間t2
(図2参照)は、処理空間全体に均一に広がった放電が
生じるようにできるだけ速いのが好ましく、具体的に
は、10nsec(ナノ・セカント)〜500nsec
であるのが好ましく、10nsec〜300nsecで
あるのがより好ましく、10nsec〜100nsec
であるのが最も好ましい。
(図2参照)は、処理空間全体に均一に広がった放電が
生じるようにできるだけ速いのが好ましく、具体的に
は、10nsec(ナノ・セカント)〜500nsec
であるのが好ましく、10nsec〜300nsecで
あるのがより好ましく、10nsec〜100nsec
であるのが最も好ましい。
【0024】なお、矩形波パルスの印加電圧は特に限定する
ものではないが、5KV〜20KV程度で実施すること
ができる。そのため、単極性のパルスにより放電処理す
る場合の半分程度の印加電圧で同程度の放電処理を実施
することができ、また、従来と同程度のパルス電圧(5
0〜100KV程度)とすると、従来よりも効率良く放
電処理することができる。
ものではないが、5KV〜20KV程度で実施すること
ができる。そのため、単極性のパルスにより放電処理す
る場合の半分程度の印加電圧で同程度の放電処理を実施
することができ、また、従来と同程度のパルス電圧(5
0〜100KV程度)とすると、従来よりも効率良く放
電処理することができる。
【0025】このような両極性かつ電圧休止期間を有しない
矩形波パルス単位を含むパルスを印加できる装置(以
下、「印加装置」ということがある)について、図4を
もとに簡単に説明する。
矩形波パルス単位を含むパルスを印加できる装置(以
下、「印加装置」ということがある)について、図4を
もとに簡単に説明する。
【0026】この装置は正に印加できる直流電源PS+と、
負に印加できる直流電源PS-とを備えており、これら
の直流電源PS+、PS-はそれぞれコンデンサCp1、
Cp2に接続され、しかもこのコンデンサCp1、Cp2
は回転火花スイッチRSGと接続可能なスイッチS1、
S2とそれぞれ接続されている。また、放電極RTも回
転火花スイッチRSGと接続可能なスイッチS3、S4と
接続されている。更に、コンデンサCp1、Cp2側のス
イッチS1、S2及び放電極RT側スイッチS3、S4と接
続可能な回転火花スイッチRSGを備えている。
負に印加できる直流電源PS-とを備えており、これら
の直流電源PS+、PS-はそれぞれコンデンサCp1、
Cp2に接続され、しかもこのコンデンサCp1、Cp2
は回転火花スイッチRSGと接続可能なスイッチS1、
S2とそれぞれ接続されている。また、放電極RTも回
転火花スイッチRSGと接続可能なスイッチS3、S4と
接続されている。更に、コンデンサCp1、Cp2側のス
イッチS1、S2及び放電極RT側スイッチS3、S4と接
続可能な回転火花スイッチRSGを備えている。
【0027】そのため、この印加装置は直流電源PS+、P
S-によってコンデンサCp1、Cp2をそれぞれ正と負
とに充電した後、回転火花スイッチRSGを回転させる
ことにより、例えば、正に充電したコンデンサCp1側
スイッチS1と放電極RT側スイッチS4とを短絡させる
と、放電極RTには立ち上がりが急峻な正のパルス電圧
が印加される。この場合、放電極RTは正に帯電され、
放電極RTからの放電によって生じたイオンの移動によ
り誘電体表面も正に帯電する。その後、回転火花スイッ
チRSGが回転して、負に充電したコンデンサCp2側
スイッチS2と放電極RT側スイッチS3とを短絡させる
と、放電極RTには立ち上がりが急峻な負のパルス電圧
が印加される。この場合、放電極RTは負に帯電され、
他方、誘電体は正に帯電された状態のままであるため、
放電極RTと誘電体との間には、放電極により形成され
る電界と誘電体の表面電荷により形成される電界との和
の強い電界が形成される。
S-によってコンデンサCp1、Cp2をそれぞれ正と負
とに充電した後、回転火花スイッチRSGを回転させる
ことにより、例えば、正に充電したコンデンサCp1側
スイッチS1と放電極RT側スイッチS4とを短絡させる
と、放電極RTには立ち上がりが急峻な正のパルス電圧
が印加される。この場合、放電極RTは正に帯電され、
放電極RTからの放電によって生じたイオンの移動によ
り誘電体表面も正に帯電する。その後、回転火花スイッ
チRSGが回転して、負に充電したコンデンサCp2側
スイッチS2と放電極RT側スイッチS3とを短絡させる
と、放電極RTには立ち上がりが急峻な負のパルス電圧
が印加される。この場合、放電極RTは負に帯電され、
他方、誘電体は正に帯電された状態のままであるため、
放電極RTと誘電体との間には、放電極により形成され
る電界と誘電体の表面電荷により形成される電界との和
の強い電界が形成される。
【0028】この印加装置においては、コンデンサCp1、
Cp2と直流電源PS+、PS-との間に、それぞれ抵抗
R1、R2を接続することにより、コンデンサ側スイッチ
S 1、S2と放電極RT側スイッチS4、S3とが短絡した
際に、直流電源PS+、PS-から放電極RTに向かっ
て、続流が流れないようにするのが好ましい。この抵抗
R1、R2としては直流電源PS+、PS-の供給能力など
によって決定されるが、通常5KΩ〜1MΩ程度のもの
を使用できる。なお、コンデンサCp1、Cp2からの電
流が直流電源PS+、PS-に逆流しないように、ダイオ
ードD1、D 2を接続するのが好ましい。また、回転火花
スイッチRSGと放電極RTとの間に抵抗とインダクタ
ンスとを接続することにより、直列共振現象を利用し
て、パルス電圧のピーク値を高めることもできる。更
に、図4における印加装置においては、電源として2つ
の直流電源PS+、PS-を使用しているが、正と負の両
極性の電圧を印加できるのであれば、どのような電源を
使用しても良い。
Cp2と直流電源PS+、PS-との間に、それぞれ抵抗
R1、R2を接続することにより、コンデンサ側スイッチ
S 1、S2と放電極RT側スイッチS4、S3とが短絡した
際に、直流電源PS+、PS-から放電極RTに向かっ
て、続流が流れないようにするのが好ましい。この抵抗
R1、R2としては直流電源PS+、PS-の供給能力など
によって決定されるが、通常5KΩ〜1MΩ程度のもの
を使用できる。なお、コンデンサCp1、Cp2からの電
流が直流電源PS+、PS-に逆流しないように、ダイオ
ードD1、D 2を接続するのが好ましい。また、回転火花
スイッチRSGと放電極RTとの間に抵抗とインダクタ
ンスとを接続することにより、直列共振現象を利用し
て、パルス電圧のピーク値を高めることもできる。更
に、図4における印加装置においては、電源として2つ
の直流電源PS+、PS-を使用しているが、正と負の両
極性の電圧を印加できるのであれば、どのような電源を
使用しても良い。
【0029】以上、回転火花スイッチなどの機械的スイッチ
をもとに説明したが、半導体スイッチ(例えば、IGB
TやFETを直列及び/又は並列に配列)を使用しても
同様の作用が生じる。機械的スイッチを使用した場合に
は、簡単に立ち上がりの速いパルスを得ることができ、
しかも安価であり、半導体スイッチは高周波のパルスを
得ることができる、という特徴がある。
をもとに説明したが、半導体スイッチ(例えば、IGB
TやFETを直列及び/又は並列に配列)を使用しても
同様の作用が生じる。機械的スイッチを使用した場合に
は、簡単に立ち上がりの速いパルスを得ることができ、
しかも安価であり、半導体スイッチは高周波のパルスを
得ることができる、という特徴がある。
【0030】本発明の放電処理方法は上述のような放電処理
装置を利用する処理方法であり、上述のような放電処理
装置の放電極及び誘電体の近傍に被処理物を供給し、電
極間に両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パルス
単位を含むパルスを印加する方法である。そのため、電
界強度の高い状態で被処理物を処理することができるた
め、効率的に放電処理することができる。
装置を利用する処理方法であり、上述のような放電処理
装置の放電極及び誘電体の近傍に被処理物を供給し、電
極間に両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パルス
単位を含むパルスを印加する方法である。そのため、電
界強度の高い状態で被処理物を処理することができるた
め、効率的に放電処理することができる。
【0031】本発明における被処理物としては、例えば、不
織布、編織物、或いはフィルムなどの有形物、有害ガ
ス、空気、酸素ガスなどの無形物であることができる。
前者の有形物の場合、放電処理により親水性、疎水性、
或いは接着性などが付与又は向上され、後者の場合、放
電処理により無害なガスに分解されたり、オゾンを発生
したりする。
織布、編織物、或いはフィルムなどの有形物、有害ガ
ス、空気、酸素ガスなどの無形物であることができる。
前者の有形物の場合、放電処理により親水性、疎水性、
或いは接着性などが付与又は向上され、後者の場合、放
電処理により無害なガスに分解されたり、オゾンを発生
したりする。
【0032】このような被処理物は放電極及び誘電体の近傍
に供給される。この「近傍」とは、放電極と誘電体に挟
まれることによって形成される空間、及び放電極と誘電
体に挟まれることによって形成される空間の周囲の空間
を意味する。好適には、電界強度を強くして効率良く放
電処理できるように、例えば、被処理物がフィルムなど
の有形物からなる場合には、放電極と被処理物の放電極
側表面との間に処理空間を形成し、被処理物が空気など
の無形物からなる場合には、放電極と誘電体との間に処
理空間を形成し、その処理空間に被処理物を供給する。
より具体的には、前者の有形物の場合には被処理物の放
電極側表面と放電極との距離が、又、後者の無形物の場
合には放電極と誘電体との距離が、0.1mm〜10m
m程度の処理空間に被処理物を供給するのが好ましい。
また、放電極と対電極のうち少なくとも一方が円柱状か
らなる場合には、有形物の放電極側表面と放電極とが接
触するように供給することができる。また、有形物から
なる被処理物は誘電体と接触するように供給していても
良いし、接触しないように供給しても良いが、エネルギ
ーを処理空間へ効率的に投入できるように、接触するよ
うに供給するのが好ましい。
に供給される。この「近傍」とは、放電極と誘電体に挟
まれることによって形成される空間、及び放電極と誘電
体に挟まれることによって形成される空間の周囲の空間
を意味する。好適には、電界強度を強くして効率良く放
電処理できるように、例えば、被処理物がフィルムなど
の有形物からなる場合には、放電極と被処理物の放電極
側表面との間に処理空間を形成し、被処理物が空気など
の無形物からなる場合には、放電極と誘電体との間に処
理空間を形成し、その処理空間に被処理物を供給する。
より具体的には、前者の有形物の場合には被処理物の放
電極側表面と放電極との距離が、又、後者の無形物の場
合には放電極と誘電体との距離が、0.1mm〜10m
m程度の処理空間に被処理物を供給するのが好ましい。
また、放電極と対電極のうち少なくとも一方が円柱状か
らなる場合には、有形物の放電極側表面と放電極とが接
触するように供給することができる。また、有形物から
なる被処理物は誘電体と接触するように供給していても
良いし、接触しないように供給しても良いが、エネルギ
ーを処理空間へ効率的に投入できるように、接触するよ
うに供給するのが好ましい。
【0033】なお、被処理物の供給方法は特に限定されるも
のではなく、有形物の場合には、放電処理装置の前及び
/又は後に設けられた搬送ロールなどを利用したり、無
形物の場合には、放電処理装置の処理空間に供給できる
ように設置されたファン、ポンプ、或いは加圧ボンベな
どを利用するなど、被処理物によって適宜選択できる。
のではなく、有形物の場合には、放電処理装置の前及び
/又は後に設けられた搬送ロールなどを利用したり、無
形物の場合には、放電処理装置の処理空間に供給できる
ように設置されたファン、ポンプ、或いは加圧ボンベな
どを利用するなど、被処理物によって適宜選択できる。
【0034】このように被処理物を供給した後に、両極性か
つ電圧休止期間を有しない矩形波パルス単位を含むパル
スを印加するが、この方法は上述の印加装置により実施
することができるため、ここではその説明を省略する。
つ電圧休止期間を有しない矩形波パルス単位を含むパル
スを印加するが、この方法は上述の印加装置により実施
することができるため、ここではその説明を省略する。
【0035】なお、有形物からなる被処理物を放電処理する
際の環境は、特に限定するものではないが、親水性を付
与したり向上させる場合には、例えば、空気雰囲気下や
酸素ガス雰囲気下で実施することができ、疎水性を付与
したり向上させる場合には、例えば、テトラフルオロメ
タンガスの雰囲気下で実施することができる。なお、空
気雰囲気下以外の雰囲気下で放電処理する場合には、処
理空間に不必要なガスが侵入しないように、処理空間の
周囲に存在する空気と隔離できる密閉手段を講じるのが
好ましい。この空気以外のガスはポンプ、ファン、或い
は加圧ボンベなどによって供給することができる。
際の環境は、特に限定するものではないが、親水性を付
与したり向上させる場合には、例えば、空気雰囲気下や
酸素ガス雰囲気下で実施することができ、疎水性を付与
したり向上させる場合には、例えば、テトラフルオロメ
タンガスの雰囲気下で実施することができる。なお、空
気雰囲気下以外の雰囲気下で放電処理する場合には、処
理空間に不必要なガスが侵入しないように、処理空間の
周囲に存在する空気と隔離できる密閉手段を講じるのが
好ましい。この空気以外のガスはポンプ、ファン、或い
は加圧ボンベなどによって供給することができる。
【0036】また、本発明の放電処理は大気圧下で実施する
ことができるため、作業性に優れている。
ことができるため、作業性に優れている。
【0037】以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明
は以下の実施例に限定されるものではない。
は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
【実施例】(実施例1)図4に示すように配線された印
加装置を準備した。なお、コンデンサCp1、Cp2とし
て、いずれも静電容量10nF(ナノ・ファラッド)の
ものを使用し、コンデンサCp1、Cp2と直流電源PS
+、PS-との間に接続した抵抗R1、R2として、いずれ
も1MΩ(メガ・オーム)のものを使用した。また、放
電極RT、対電極ともにステンレス板(20cm×15
cm)を使用し、誘電体として、厚さ1mmのパイレッ
クスガラス(23cm×17cm、比誘電率:約4.
9)を対電極上に配置した。なお、放電極RTはアクリ
ル樹脂からなる治具によって固定した。
加装置を準備した。なお、コンデンサCp1、Cp2とし
て、いずれも静電容量10nF(ナノ・ファラッド)の
ものを使用し、コンデンサCp1、Cp2と直流電源PS
+、PS-との間に接続した抵抗R1、R2として、いずれ
も1MΩ(メガ・オーム)のものを使用した。また、放
電極RT、対電極ともにステンレス板(20cm×15
cm)を使用し、誘電体として、厚さ1mmのパイレッ
クスガラス(23cm×17cm、比誘電率:約4.
9)を対電極上に配置した。なお、放電極RTはアクリ
ル樹脂からなる治具によって固定した。
【0039】次いで、放電極RTと誘電体の放電極側表面と
の距離(処理空間)が1mmとなるように設定した後、
電極間に両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パル
ス単位のみからなるパルスP(図1参照)を印加して、
放電を発生させた。なお、矩形波パルスのパルス幅
t1:約7msec、パルス数(正の矩形波パルスと負
の矩形波パルスで1パルス):74pps、矩形波パル
スの立ち上がり時間t 2:200nsec、矩形波パル
スの印加電圧:±5KV、±6KV、±7KV、±8K
V、±9KV、空気雰囲気下、大気圧下の条件下にて実
施した。この放電状態は表1に示す通りであった。
の距離(処理空間)が1mmとなるように設定した後、
電極間に両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パル
ス単位のみからなるパルスP(図1参照)を印加して、
放電を発生させた。なお、矩形波パルスのパルス幅
t1:約7msec、パルス数(正の矩形波パルスと負
の矩形波パルスで1パルス):74pps、矩形波パル
スの立ち上がり時間t 2:200nsec、矩形波パル
スの印加電圧:±5KV、±6KV、±7KV、±8K
V、±9KV、空気雰囲気下、大気圧下の条件下にて実
施した。この放電状態は表1に示す通りであった。
【0040】
【表1】
【0041】(実施例2)誘電体として、厚さ1mmのパイ
レックスガラス(23cm×17cm、比誘電率:約
4.9)を放電極RT上にも配置させ、両誘電体の対向
表面の距離を1mmとしたこと以外は、実施例1と全く
同様にして放電を発生させ、その状態を観察した。その
結果、いずれの印加電圧においても、発光は実施例1の
場合よりも少し弱かったが、放電の均一性がより向上し
ていた。
レックスガラス(23cm×17cm、比誘電率:約
4.9)を放電極RT上にも配置させ、両誘電体の対向
表面の距離を1mmとしたこと以外は、実施例1と全く
同様にして放電を発生させ、その状態を観察した。その
結果、いずれの印加電圧においても、発光は実施例1の
場合よりも少し弱かったが、放電の均一性がより向上し
ていた。
【0042】(比較例1)2つの直流電源をいずれも正に印
加できる直流電源としたこと、正の矩形波パルスを放電
極に印加した後、放電極を強制的に接地して放電極の電
位を0Vとしたこと(つまり、図5に示すような波形の
パルスを印加)、及び印加電圧を+5KV、+6KV、
+8KV、+10KV、+12KVとしたこと以外は、
実施例1と全く同様にして放電を発生させ、その状態を
観察した。この結果は表2に示す通り、実施例1と比較
して放電開始電圧が高く、しかも発光の弱いものであっ
た。また、実施例1と同程度の発光強度の放電を得るた
めには、2倍近い印加電圧が必要であった。
加できる直流電源としたこと、正の矩形波パルスを放電
極に印加した後、放電極を強制的に接地して放電極の電
位を0Vとしたこと(つまり、図5に示すような波形の
パルスを印加)、及び印加電圧を+5KV、+6KV、
+8KV、+10KV、+12KVとしたこと以外は、
実施例1と全く同様にして放電を発生させ、その状態を
観察した。この結果は表2に示す通り、実施例1と比較
して放電開始電圧が高く、しかも発光の弱いものであっ
た。また、実施例1と同程度の発光強度の放電を得るた
めには、2倍近い印加電圧が必要であった。
【0043】なお、上記放電を約1秒間実施した後、パイレ
ックスガラス(誘電体)表面に残留した電荷を表面電位
計により測定した。この結果も表2に示す。このよう
に、放電後に誘電体表面には正電荷が残留しているた
め、次いで正のパルスを印加したとしてもその電位差は
小さく、電界強度が小さいことがわかった。
ックスガラス(誘電体)表面に残留した電荷を表面電位
計により測定した。この結果も表2に示す。このよう
に、放電後に誘電体表面には正電荷が残留しているた
め、次いで正のパルスを印加したとしてもその電位差は
小さく、電界強度が小さいことがわかった。
【0044】
【表2】
【0045】(実施例3)対電極上に配置した誘電体とし
て、厚さ100μmのポリエステルフィルム(23cm
×17cm、抵抗値:1016Ω以上、比誘電率:約3.
1)を使用したこと、及び印加電圧を±5KV、±6K
V、±7KVのみとしたこと以外は、実施例1と全く同
様にして放電を発生させ、その状態を観察した。この結
果は表3に示す通りであるが、実施例1よりもより強く
発光、つまりプラズマ密度の高いものであった。これは
誘電体が薄く、静電容量が増加したためであると考えら
れた。
て、厚さ100μmのポリエステルフィルム(23cm
×17cm、抵抗値:1016Ω以上、比誘電率:約3.
1)を使用したこと、及び印加電圧を±5KV、±6K
V、±7KVのみとしたこと以外は、実施例1と全く同
様にして放電を発生させ、その状態を観察した。この結
果は表3に示す通りであるが、実施例1よりもより強く
発光、つまりプラズマ密度の高いものであった。これは
誘電体が薄く、静電容量が増加したためであると考えら
れた。
【0046】
【表3】
【0047】(比較例2)2つの直流電源をいずれも正に印
加できる直流電源としたこと、正の矩形波パルスを放電
極に印加した後、放電極を強制的に接地して放電極の電
位を0Vとしたこと(つまり、図5に示すような波形の
パルスを印加)、及び印加電圧を+5KV、+6KV、
+7KV、+10KVとしたこと以外は、実施例3と全
く同様にして放電を発生させ、放電状態を観察した。こ
の結果は表4に示す通りであったが、発光強度を上げる
ために、印加電圧を+10KVとしたところ、ポリエス
テルフィルムが絶縁破壊し、局部的にアーク放電となっ
た。
加できる直流電源としたこと、正の矩形波パルスを放電
極に印加した後、放電極を強制的に接地して放電極の電
位を0Vとしたこと(つまり、図5に示すような波形の
パルスを印加)、及び印加電圧を+5KV、+6KV、
+7KV、+10KVとしたこと以外は、実施例3と全
く同様にして放電を発生させ、放電状態を観察した。こ
の結果は表4に示す通りであったが、発光強度を上げる
ために、印加電圧を+10KVとしたところ、ポリエス
テルフィルムが絶縁破壊し、局部的にアーク放電となっ
た。
【0048】
【表4】
【0049】
【発明の効果】本発明の放電処理装置は、放電極、この
放電極と対向して設置された対電極、この対電極上に設
置された誘電体、及びこれら電極間に両極性かつ電圧休
止期間を有しない矩形波パルス単位を含むパルスを印加
できる装置、を備えている。
放電極と対向して設置された対電極、この対電極上に設
置された誘電体、及びこれら電極間に両極性かつ電圧休
止期間を有しない矩形波パルス単位を含むパルスを印加
できる装置、を備えている。
【0050】このように、電極間に両極性かつ電圧休止期間
を有しない矩形波パルス単位を含むパルスを印加でき、
電極間の電界強度を単極性の場合の約2倍とすることが
できるため、効率的に放電処理できる装置である。つま
り、最初に、例えば正の矩形波パルスを印加すると、放
電極は次の負の矩形波パルスが印加されるまで、印加さ
れた正の電圧をほぼ維持する。この放電極が印加された
正の電圧をほぼ維持している間に、放電により生成した
イオンのうち、正イオンが誘電体表面に付着して誘電体
表面を正に帯電させ、誘電体の表面電位を放電極に印加
した電圧と同レベルに保つ。そして、この誘電体が高い
表面電位を保った状態で、放電極に負の矩形波パルスが
印加されると、処理空間における電界強度は放電極によ
り形成される電界と誘電体の表面電荷により形成される
電界との和の強いものとなるため、効率的に放電処理す
ることができる。
を有しない矩形波パルス単位を含むパルスを印加でき、
電極間の電界強度を単極性の場合の約2倍とすることが
できるため、効率的に放電処理できる装置である。つま
り、最初に、例えば正の矩形波パルスを印加すると、放
電極は次の負の矩形波パルスが印加されるまで、印加さ
れた正の電圧をほぼ維持する。この放電極が印加された
正の電圧をほぼ維持している間に、放電により生成した
イオンのうち、正イオンが誘電体表面に付着して誘電体
表面を正に帯電させ、誘電体の表面電位を放電極に印加
した電圧と同レベルに保つ。そして、この誘電体が高い
表面電位を保った状態で、放電極に負の矩形波パルスが
印加されると、処理空間における電界強度は放電極によ
り形成される電界と誘電体の表面電荷により形成される
電界との和の強いものとなるため、効率的に放電処理す
ることができる。
【0051】本発明の放電処理方法は、上記の放電処理装置
の放電極及び誘電体の近傍に被処理物を供給し、電極間
に両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パルス単位
を含むパルスを印加する方法であるため、効率的に放電
処理できる方法である。
の放電極及び誘電体の近傍に被処理物を供給し、電極間
に両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パルス単位
を含むパルスを印加する方法であるため、効率的に放電
処理できる方法である。
【図1】 両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パ
ルス単位を含む矩形波パルスの波形図の一例
ルス単位を含む矩形波パルスの波形図の一例
【図2】 矩形波パルスの波形拡大図
【図3】 両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パ
ルス単位を含む矩形波パルスの波形図の別の例
ルス単位を含む矩形波パルスの波形図の別の例
【図4】 印加装置の配線図
【図5】 単極性パルスの波形図
P 矩形波パルス t1 パルス幅 t2 立ち上がり時間 PS+ 正に印加できる直流電源 PS- 負に印加できる直流電源 Cp1 コンデンサ Cp2 コンデンサ S1 スイッチ S2 スイッチ S3 スイッチ S4 スイッチ RSG 回転火花スイッチ RT 放電極 R1 抵抗 R2 抵抗 D1 ダイオード D2 ダイオード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06M 10/02 D06M 10/02 D
Claims (3)
- 【請求項1】 放電極、この放電極と対向して設置され
た対電極、この対電極上に設置された誘電体、及びこれ
ら電極間に両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パ
ルス単位を含むパルスを印加できる装置、を備えている
ことを特徴とする放電処理装置。 - 【請求項2】 誘電体が放電極上にも設置されているこ
とを特徴とする、請求項1記載の放電処理装置。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の放電処理装
置の放電極及び誘電体の近傍に被処理物を供給し、これ
ら電極間に両極性かつ電圧休止期間を有しない矩形波パ
ルス単位を含むパルスを印加することを特徴とする放電
処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31634098A JPH11288777A (ja) | 1997-11-25 | 1998-11-06 | 放電処理装置及び放電処理方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-339431 | 1997-11-25 | ||
JP33943197 | 1997-11-25 | ||
JP31634098A JPH11288777A (ja) | 1997-11-25 | 1998-11-06 | 放電処理装置及び放電処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11288777A true JPH11288777A (ja) | 1999-10-19 |
Family
ID=26568624
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31634098A Pending JPH11288777A (ja) | 1997-11-25 | 1998-11-06 | 放電処理装置及び放電処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11288777A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005166458A (ja) * | 2003-12-03 | 2005-06-23 | Fujisawa Pharmaceut Co Ltd | プラズマ表面処理方法及びその装置 |
JP2009046349A (ja) * | 2007-08-20 | 2009-03-05 | Metawater Co Ltd | 放電管用電源装置 |
JP2014172791A (ja) * | 2013-03-11 | 2014-09-22 | Ricoh Co Ltd | オゾン発生装置 |
-
1998
- 1998-11-06 JP JP31634098A patent/JPH11288777A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005166458A (ja) * | 2003-12-03 | 2005-06-23 | Fujisawa Pharmaceut Co Ltd | プラズマ表面処理方法及びその装置 |
JP2009046349A (ja) * | 2007-08-20 | 2009-03-05 | Metawater Co Ltd | 放電管用電源装置 |
JP2014172791A (ja) * | 2013-03-11 | 2014-09-22 | Ricoh Co Ltd | オゾン発生装置 |
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