JPH11288673A

JPH11288673A - 電子銃

Info

Publication number: JPH11288673A
Application number: JP8759798A
Authority: JP
Inventors: Toshiyuki Aoshima; 敏幸青島; Makoto Miyazaki; 誠宮崎
Original assignee: Sony Corp
Current assignee: Sony Corp
Priority date: 1998-03-31
Filing date: 1998-03-31
Publication date: 1999-10-19

Abstract

(57)【要約】【課題】ヒータレストがヒータからの伝導熱により熱
膨張を起こした場合であっても、第１グリッドと各カソ
ード本体との間隔のアンバランス変化や、各電極間の間
隔の変化を抑制して、陰極線管の輝度及び色度のずれの
発生を防止する。【解決手段】第１グリッドＧ₁の内側に挿入されて組
み合わされるとともに、赤、緑、青の各色に対応しかつ
内部にヒータ８が装着される３本のカソード本体ＫＲ、
ＫＧ、ＫＢがカソードディスク３に形成された透孔４に
それぞれ挿入されて固定されるカソード構体２を支持す
るヒータレスト１３のカソード支持部１３ａの一部に切
欠き部１６が設けられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョン受像
機やディスプレイ装置等の陰極線管に装着される電子銃
に関する。

【０００２】

【従来の技術】陰極線管用の電子銃は、陰極線管を構成
するガラスバルブのネックに封入される。電子銃は、赤
（Ｒ）、緑（Ｇ）、青（Ｂ）の各色に対応する３本のカ
ソード本体を備えたカソード構体と、このカソード構体
の前方側に配列された複数の電極（第１グリッド乃至第
５グリッド）とを備えて構成されている。第１グリッド
乃至第５グリッドは、この順番で電極保持手段としての
ビードガラスに対して、その長手方向に沿って所定の間
隔で固定される。

【０００３】カソード構体は、上述した３本のカソード
本体と、カソードディスクとを備えて構成される。カソ
ード本体は、その先端に加熱されることにより熱電子を
発生する電子放射性物質を有する多孔質気体金属が装着
される。また、カソード本体は、その内部に所定電圧が
印加されて加熱されるヒータが装着される。カソード本
体は、ヒータが加熱されることにより多孔質気体金属の
電子放射性物質が加熱され、電子ビームを出射する。

【０００４】カソードディスクには、カソード本体がそ
れぞれ挿入される３つの透孔が形成される。また、カソ
ードディスクには、各透孔に挿入されたカソード本体を
カソードディスクに固定するカソード固定ピンが植設さ
れる。

【０００５】カソード構体は、ビードガラス内に配列さ
れたカップ状の第１グリッドの内部に挿入配置されて組
み合わされる。また、カソード構体は、片側に設けられ
たリードを介してステムピンに固定されて片持ち支持さ
れるヒータレストに支持される。ヒータレストは、カソ
ード固定ピンと同様にカソードディスクに植設されたヒ
ータレスト固定ピンにタブを介して接続されることによ
りカソードディスクを支持する。ヒータレストには、カ
ソードの内部に装着されたヒータと電源とを電気的に接
続させるために電源端子が接続される。ヒータレスト
は、リードを介して電圧が印加されることにより、電源
端子が接続されたヒータに対して所定の電圧を印加す
る。

【０００６】電子銃は、ヒータに所定の電圧が印加され
るとヒータが加熱され、このヒータの熱によって各カソ
ード本体の先端に装着された多孔質気体金属から電子ビ
ームが発射される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】電子銃においては、ヒ
ータに所定の電圧が印加されてこのヒータが加熱される
と、その熱がヒータレストへと伝導されて放熱されるよ
うに構成されている。ところが、ヒータレストは、ヒー
タからの伝導熱により熱膨張を起こして変形することが
あった。ヒータレストは、熱膨張によりカソード構体と
ヒータレストとの間隔を広げる方向に変形することがあ
った。

【０００８】すなわち、ヒータレストは、一端側がリー
ドを介してステムピンに片持ち支持されるため、この一
端側よりも自由端である他端側が熱膨張により大きく変
形することになる。したがって、カソードディスクは、
ヒータレストの自由端側での大きな熱膨張による変形に
よる傾きによって、第１グリッドと各カソード本体との
距離が等距離でなくなるいわゆるアンバランス変化が起
こる。

【０００９】また、電子銃においては、ヒータレストと
ステムピンの接続部よりもカソードディスクまわりの接
合部の強度が弱い構造となっている。したがって、電子
銃は、ヒータレストの熱膨張による変形によって、ヒー
タレストに支持されるカソード構体及びこのカソード構
体と組み合わされた第１グリッドがヒータレスト側に引
っ張られて位置が変位する。このため、電子銃は、カソ
ード構体の各カソード本体と第１グリッドとの間隔及び
第１グリッドと第２グリッドとの間隔を維持できないと
いう問題がある。

【００１０】テレビジョン受像機等の陰極線管において
は、上述したようなヒータレストの熱膨張が電子銃の通
電開始初期の約１０分間程度において生じており、その
時間において輝度及び色度がずれるという問題が生じて
いた。

【００１１】従来の電子銃においては、上述したような
問題を解決すべく、ヒータレストがステムピンに溶接す
る際にリードをたるませた状態で溶接して固定されてい
た。しかしながら、かかる構成も上述した第１グリッド
と第２グリッドとの間隔及び第１グリッドと各カソード
本体との間隔のアンバランス変化にたいして有効である
に過ぎない。

【００１２】また、従来の電子銃は、ヒータレストに低
膨張材料を使用して熱膨張による変形を軽減するという
ことも提案されているが、コストアップやヒータレスト
とリードとの間の溶接の信頼性が保証できないといった
問題点がある。

【００１３】そこで本発明は、通電開始初期においてヒ
ータレストがヒータからの伝導熱により熱膨張を起こし
た場合であっても、第１グリッドと各カソード本体との
間隔のアンバランス変化や、各電極間の間隔の変化を抑
制して、通電開始初期における陰極線管の輝度及び色度
のずれの発生を防止する電子銃を提供することを目的に
提案されたものである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
本発明に係る電子銃は、第１グリッドの内側に挿入され
て組み合わされるとともに、赤、緑、青の各色に対応し
かつ内部にヒータが装着される３本のカソード本体がカ
ソードディスクに形成された透孔にそれぞれ挿入されて
固定されるカソード構体を支持するヒータレストの支持
部の一部に切欠き部が設けられて構成される。

【００１５】本発明に係る電子銃によれば、ヒータレス
トに切欠き部を設け、この切欠き部の周辺においてヒー
タからの伝導熱によるヒータレストの熱膨張が調整され
る。したがって、本発明に係る電子銃は、ヒータレスト
の熱膨張によって生ずる各カソード本体のアンバランス
変化や各電極間の間隔変化を原因とする通電開始初期に
おける陰極線管の輝度及び色度のずれの発生を防止す
る。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電子銃の実施
の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本
実施の形態にかかる電子銃１は、例えばテレビジョン受
像機やディスプレイ装置等に装着される３つのカソード
本体ＫＲ、ＫＧ、ＫＢから発せられる電子ビームを一つ
の主レンズにより収束させるようにした、いわゆるトリ
ニトロン電子銃として構成される。電子銃１は、図１に
示すように、カソード構体２と、ビードガラスに配列さ
れて固定される第１グリッドＧ₁乃至第５グリッドＧ₅を
備えて構成される。第１グリッドＧ₁乃至第５グリッド
Ｇ₅は、カソード構体の前部にこの順番で所定の間隔を
以って配列されて固定される。

【００１７】電子銃１においては、アノード電圧が印加
される第３グリッドＧ₃と第５グリッドＧ₅及びフォーカ
ス電圧が印加される第４グリッドＧ₄とによって主レン
ズ（いわゆるユニポテンシャルレンズ）が構成される。
各カソード本体ＫＲ、ＫＧ、ＫＢより発せられる電子ビ
ームは、主レンズの中心において交差し、その後発散し
て図示を省略するコンバージェンス電極間にそれぞれ入
って陰極線管の蛍光面に照射される。

【００１８】カソード構体２は、図２に示すように、カ
ソードディスク３と、赤色、緑色或いは青色の各色に対
応する３本のカソード本体ＫＲ、ＫＧ、ＫＢとを備えて
構成される。カソード構体２は、カップ状に形成された
第１グリッドＧ₁の内部に挿入されて第１グリッドＧ₁と
組み合わされる。カソード構体２は、各カソード本体Ｋ
Ｒ、ＫＧ、ＫＢの先端と第１グリッドＧ₁との距離が等
距離になるように配置される。カソードディスク３は、
例えばセラミック等の絶縁性を有する材料により形成さ
れる。

【００１９】カソードディスク３には、各カソード本体
ＫＲ、ＫＧ、ＫＢがそれぞれ挿入配置される透孔４（４
Ｋ、４Ｇ、４Ｂ）がそれぞれ形成される。また、カソー
ドディスク３には、各カソード本体ＫＲ、ＫＧ、ＫＢを
それぞれ固定するカソード固定ピン５（５Ｒ、５Ｇ、５
Ｂ）及び後述するヒータレスト１３を固定するヒータレ
スト固定ピン６がそれぞれ植設されている。

【００２０】カソード本体ＫＲ、ＫＧ、ＫＢは、基端側
が先端側に比べてやや大径とされた円筒状のスリーブ７
（７Ｒ、７Ｇ、７Ｂ）を有し、これらスリーブ７の各内
部にヒータ８（８Ｒ、８Ｇ、８Ｂ）が装着される。カソ
ード本体ＫＲ、ＫＧ、ＫＢは、スリーブ７の先端部にそ
れぞれ被せられるキャップ９（９Ｒ、９Ｇ、９Ｂ）の上
面にエミッション源としてのオキサイド１０（１０Ｒ、
１０Ｇ、１０Ｂ）が設けられている。ヒータ８は、スリ
ーブ７の基端側に図示しない電源と電気的な接続を取る
ための電源端子１１（１１Ｒ、１１Ｇ、１１Ｂ）が設け
られている。

【００２１】カソード構体２は、カソードディスク３に
形成された透孔４に各カソード本体ＫＲ、ＫＧ、ＫＢが
それぞれ挿入配置されるとともに、各カソード本体Ｋ
Ｒ、ＫＧ、ＫＢをカソード固定ピン５によって固定す
る。カソード固定ピン５は、図示を省略するタブの一端
がカソード固定ピン５に溶接され、他端が各カソード本
体ＫＲ、ＫＧ、ＫＢのスリーブ７に溶接されることによ
りカソードディスク３に各カソード本体ＫＲ、ＫＧ、Ｋ
Ｂを固定する。

【００２２】カソード構体２は、タブ１２を介してヒー
タレスト固定ピン６が後述するヒータレスト支持部１３
ａに接続されることにより、ヒータレスト１３に支持さ
れる。ヒータレスト１３は、その片側に突出して設けら
れたリード１４がこのステムピン１５に溶接されること
により、ステムピン１５に片持ち支持されている。ヒー
タレスト１３は、各カソード本体ＫＲ、ＫＧ、ＫＢのヒ
ータ８から発生する熱がヒータレスト固定ピン６を介し
て伝達され、これを放熱する。

【００２３】ヒータレスト１３には、板状の基部の主面
に互いに平行なカソード支持部１３ａが立設されてい
る。ヒータレスト１３は、上述したようにカソード構体
２が接続されるとともに、その側縁部に略コの字状の切
欠き部１６が設けられている。切欠き部１６は、ヒータ
レスト１３が各ヒータ８から伝達された熱によって熱膨
張を起こし変形すると、熱膨張による変形の力を逃がし
て調整する。このため、ヒータレスト１３は、切欠き部
１６以外の部分においては熱膨張による変形が発生せ
ず、熱膨張による変形が抑制される。

【００２４】ヒータレスト１３は、カソード本体ＫＲ、
ＫＧ、ＫＢの内部に装着されたヒータ８の電源端子１１
が接続される。ヒータレスト１３は、リード１４から電
圧が印加されることで電源端子１１を介してヒータ８に
所定の電圧を印加する。

【００２５】電子銃１は、各カソード本体ＫＲ、ＫＧ、
ＫＢのヒータ８に所定の電圧が印加されると電子ビーム
が出射されるとともにヒータ８が加熱される。電子銃１
は、ヒータ８が加熱されると、その熱がヒータレスト１
３に伝導する。ヒータレスト１３は、ヒータ８からの伝
導熱によって加熱されて熱膨張を起こす。

【００２６】ヒータレスト１３は、上述したように、熱
膨張によって変形するがカソード支持部１３ａに設けら
れた切欠き部１６の周辺でヒータレスト１３の変形が調
整される。このため、電子銃１は、ヒータレスト１３が
ヒータ８からの伝導熱により熱膨張を起こしても切欠き
部１６から離れたヒータレスト１３の他の箇所では熱膨
張による変形が起きず、カソードディスク２を変形させ
たり、カソードディスク３や第１グリッドＧ₁の位置を
変位させたりすることがない。したがって、電子銃１
は、テレビジョン受像機等の陰極線管の通電開始初期時
における画像の輝度及び色度の変化が抑制される。

【００２７】

【発明の効果】本発明に係る電子銃によれば、ヒータレ
ストに設けられた切欠き部によってヒータレストの熱膨
張が調整され、切欠き部から離れた部分は熱膨張による
変形が生じない。したがって、本発明に係る電子銃は、
電子銃の通電開始初期におけるカソード本体と第１グリ
ッドとのバランス変化や、第１グリッド、第２グリッド
及びカソード本体の位置の変位による電極間の間隔変化
を軽減して画像の輝度及び色度の変化を抑制することが
できる。また、本発明に係る電子銃は、従来から使用さ
れるヒータレストを用いてその一部に切り欠きを設ける
ものであるため、コストやヒータレストとリードとの溶
接品質は従来と同様であり、容易に作成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】電子銃の構成図である。

【図２】カソード構体を第１グリッドと組み合わせた状
態を示すカソード構体と第１グリッドの縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１電子銃，２カソード構体，３カソードディス
ク，４透孔，５カソード固定ピン，６ヒータレス
ト固定ピン，１３ヒータレスト，１３ａカソード支
持部１４リード，１５ステムピン，１６切欠き
部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】赤、緑、青の各色に対応しかつ内部にヒ
ータが装着される３本のカソード本体がカソードディス
クに形成された透孔にそれぞれ挿入されて固定されるカ
ソード構体が、片側に設けられたリードを介してステム
ピンに片持ち支持されるヒータレストに形成された支持
部に支持されるとともに、第１グリッドの内側に挿入さ
れて組み合わされてなる電子銃において、上記カソード構体を支持する上記ヒータレストには、支
持部の一部に切欠き部が設けられて、この切欠き部によ
って上記各ヒータから伝達される伝導熱による熱膨張を
調整することを特徴とする電子銃。